氣志團万博 2018 ~房総爆音爆勝宣言~ day2 @袖ヶ浦海浜公園 9/16
- 2018/09/19
- 23:32
2日目。曇天の空模様ではあるが、雨はほとんど降っていないので、野外フェスとしては暑くもなく寒くもない、過ごしやすい気候の1日。
9:40〜 DJ ダイノジ [WELCOME ACT]
今や芸人として、というよりもフェスにおける盛り上げ役として欠かせない存在になっているダイノジ。幅広いジャンル出演者が集まるこの日のWELCOME ACTとして適任と言える。
女性ダンサー2人が先に登場して準備運動をさせると、DJとして大谷、パフォーマーとしておなじみの虎柄セーターを着たおおちも登場し、前日にライブ活動を休止することを発表したマキシマム ザ ホルモンに捧げるかのように「恋のメガラバ」でスタートし、早くもモッシュの嵐に。
「エビバーディ!」
のフレーズをひたすら連発しまくって声を出させるという使い方のヤバイTシャツ屋さん「あつまれ!パーティーピーポー」で朝9時台とは思えないくらいの高いテンションに会場を持っていくと、もはやダイノジの持ち曲的な存在になりつつあるTOTALFAT「PARTY PARTY」で踊らせまくり、その後もおおちのエアギターや「ベストテン時代のマッチ」というネタも挟みつつ、アニソンやDA PUMP「U.S.A.」など、
「あなたの「好き」を肯定しにやってきました!」
という言葉の通りにあらゆる音楽を網羅していく。
後輩であるオリエンタルラジオのRADIO FISH「PERFECT HUMAN」でおおちが物陰やダンサーに隠れながら首を曲げるというネタで爆笑を巻き起こすと、
「新しい価値観と出会うのが氣志團万博の醍醐味」
と、このフェスの趣旨を理解した上で、様々な出演アーティストの音楽に触れて欲しいと語り、最後にUNISON SQUARE GARDEN「シュガーソングとビターステップ」で、この日の1日の始まりを告げ、参加者たちを送り出した。
10:15〜 AMEMIYA [OPENING CEREMONY ACT]
2日目のOPENING CEREMONY ACTは、「冷やし中華始めました」で一時期ブレイクした芸人、AMEMIYA。
やはりギターを持って登場すると、いきなり
「次で最後の曲になりました」
と言って、「冷やし中華始めました」のメロディに乗せて、氣志團万博の歩みを歌った「氣志團万博に捧げる歌」を熱唱。7年間のことを割と事細かに歌詞にしただけに、1曲で10分以上歌い続けるというタフな内容になったが、このフェスの歩みを知っている観客たちからは当時のことを思い出したりしたのか、笑いと温かい歓声が起きていた。
冷やし中華はじめました
https://youtu.be/2OBPzBvlduA
10:30〜 ゴールデンボンバー [YASSAI STAGE]
このフェスのトップバッターの枠が定位置になっている、ゴールデンボンバー。紹介VTRも毎年手の込んだものを自作しているが、今年は4人がゾンビに扮したものの、結局全裸になるという意味のよくわからない設定。
去年は雨が降る中でメンバーが女性用水着を着て出てきたが、今年はいたって普通の格好で登場し、「酔わせてモヒート」からスタート。
「抱きしめてシュバルツ」では昨日からこの会場の近くで潮干狩りを楽しんでいるという喜矢武豊が巨大な貝を持って登場すると、貝の中にはダッチワイフ的なものが入っており、貝の潮吹き的にそこから水が発射されるという朝10時代からのど下ネタで観客の目を覚ましていく。
かと思えば樽美酒もほぼ全裸になり、自分の身体の背中から尻にかけて、袖ヶ浦市のマスコットキャラクターの「ガウラ」の絵をマジックで書くという悪ふざけでしかないパフォーマンスを見せると、ガウラの着ぐるみもステージに登場するという、もう何がどうなっているのかわからないカオスな状態に。
喜矢武、歌広場、樽美酒の3人がボーイズグループのように寄り添いながらカメラ目線をするのがシュールな「やさしくしてね」、樽美酒が手がけたことによってボーカルを務める(鬼龍院がドラム)「タツオ…嫁を俺にくれ」で歌い上げるバラードなのに内容は割と最低な男の歌、というゴールデンボンバーらしいギャップを見せると、ひたすらにラウドに特化した「暴れ曲」では首が心配になるくらいに最前ブロックにいる女性たちがヘドバンしまくる。その様子を見ると、完全にキワモノ的な立ち位置であっても、ゴールデンボンバーはV系の系譜に入る存在だよなぁとも思う。
「まさしー!」
と誰のことなのかわからない名前をみんなで叫ぶというのがフェスにおける盛り上がり曲になりつつある「まさし」から、ラストは翌日にミュージックステーションのフェスでも
「そうです、やるのはあの曲です」
と、他にやる曲がないかのように披露された「女々しくて」で飛び跳ねさせまくって、樽美酒はほぼ全裸状態で花道を駆け回っていた。さすがにSASUKEで有力選手の1人であるだけに、筋肉は素晴らしいものであったけれど。
1.酔わせてモヒート
2.綺麗になりたくて
3.抱きしめてシュバルツ
4.やさしくしてね
5.タツオ…嫁を俺にくれ
6.暴れ曲
7.まさし
8.女々しくて
タツオ…嫁を俺にくれ
https://youtu.be/hEGnzJNanMI
11:50〜 グループ魂 [YASSAI STAGE]
綾小路翔に
「大先輩ですけど、バカの梁山泊みたいなバンド」
と評された、グループ魂。紹介VTRでこのフェスへの意気込みを問われた港カヲルは
「イキゴーミ!イキゴーミ!」
と東南アジアから来た客引きの人みたいな言い方でひたすらに「意気込み」という単語を連発しまくる。
その港カヲルが
「最近はすっかりフェス慣れしてきて、タイムテーブルを見れば自分たちに何が求められているのかわかるようになってきました。今日で言うと、AMEMIYAがお通し、ゴールデンボンバーがビール、我々がキャベツみたいなもんです。そう、ここは鳥貴族です!鳥貴族木更津店にようこそ!」
と語っている間に他のメンバーもステージに登場し、「モテる努力をしないでモテたい節」「Charのフェンダー」からスタートするという流れはラブシャの時と変わらないが、大きいステージということで破壊(ボーカル)はイヤモニを装着しており、
「音が耳の中に出されてる感じがする。音を中出しされてる!」
となぜか喜んでいる。
最新シングル「もうすっかりNO FUTURE!」で自虐を絡めながらパンク魂を叩きつけると、花道を歩いていた破壊はスタッフのセキュリティが被っていた帽子を取ってステージまで持ってきてしまい、どうすればいいのかわからずにスタッフに手渡すという細かいスタッフいじりも見せる。
破壊が歌舞伎俳優になり切る「中村屋」では相変わらず脈絡のない下ネタが次々に飛び交い、「君にジュースを買ってあげる」では花道を降りて客席にいる女性に何が飲みたいか聞きに行った破壊が観客に押され、マイクが差し歯に直撃するというある意味ではオイシイアクシデントに見舞われる。
その破壊が花道でマイケル・ジャクソンになりきり、港カヲルとバイト君がアメリカンポリスの格好をして横で踊る「職務質問」と、おじさんたちのパンクだけではない音楽性の広さを少し見せると、ラブシャに続き30代を過ぎた男の自慰行為のことを歌った「Over 30 do the 魂」。やはり「イチローも田中マー君も大谷も」と歌詞を現代風にブラッシュアップしているが、時間を気にしたのか、ラブシャでやっていた、年代をわけてのコール&レスポンスや破壊が初めて射精した時のことを思い出す語りはなし。
そしてラストは「ペニスJAPAN」で大合唱を巻き起こすという「バカの梁山泊」っぷりをしっかり見せつけてステージを後にした。
しかしゴールデンボンバー→グループ魂というこのメインステージの流れはある意味ではすごい。
1.モテる努力をしないでモテたい節
2.Charのフェンダー
3.もうすっかりNO FUTURE!
4.中村屋
5.君にジュースを買ってあげる
6.職務質問
7.Over 30 do the 魂
8.ペニスJAPAN
もうすっかりNO FUTURE!
https://youtu.be/M-c2McjaW9w
12:35〜 LiSA [MOSSAI STAGE]
氣志團の事務所の後輩であり、今回のフェスにおけるTシャツのデザインでは綾小路翔にお姫様抱っこされているくらいに優遇されているように見える、LiSA。
しかし紹介VTRの中では
「團長は実際に会うと冷たい(笑)」
と距離を感じているらしいが、その理由を綾小路翔は
「多分、コミュニケーション障害なんです(笑)」
と語っていた。
バックバンドのメンバーに続いてLiSAがステージに登場すると、このフェス仕様にスケバンセーラー服を着用し、「best day, best way」「No More Time Machine」と、VTRでは「ロックの歌姫」的な紹介をされていたが、この日はややポップ寄りな選曲。
それはUNISON SQUARE GARDENのアルバムに入っていてもおかしくないくらいに田淵智也色が強く出た、サビで手でハートを作る振り付けの「say my nameの片想い」もそうだが、
「せっかくセーラー服を着てるから!」
という理由でセーラームーンの主題歌である「ムーンライト伝説」のカバーまで披露。おそらく年齢的にもLiSAはセーラームーンをリアルタイムで見ていた世代であろう。
そうした、「この日はポップモード?」という予想をタイトル通りに「ROCK-mode」で一気に変換して見せると、最後はセーラー服のスカートに歌詞が縫われた「Catch the Moment」でダイバーまでも出現し、「ロックの歌姫」っぷりをしっかりと見せつけ、
「3回目がこんなに楽しいと、4回目も遊びたくなっちゃうな〜」
と、LiSAならではの言い方で次の出演をアピールしていた。
1.best day, best way
2.No More Time Machine
3.say my nameの片想い
4.ムーンライト伝説
5.ROCK-mode
6.Catch the Moment
Catch the Moment
https://youtu.be/pudLJ-L9ZI8
13:10〜 東京スカパラダイスオーケストラ [YASSAI STAGE]
各地のフェスはもちろん、このフェスでもおなじみの東京スカパラダイスオーケストラ。こうしてこのフェスにオファーする理由を、
綾小路翔「いつになったら俺をフィーチャリングボーカルに呼んでくれるんだ、と(笑)
呼んでくれないならこっちが呼ぶしかない」
と語っていたので、今回もコラボが見れるんじゃないか?という期待が高まる。
「SKA ME CRAZY」で早くも会場はダンス天国と化すと、いきなりスカパラメンバーと同じスーツを着た10-FEETのTAKUMAを招いて「Samurai Dreamers」をコラボ。もう10-FEETはフェスの日にちが被っていれば必ず出てくるというレベルでコラボ率が高いが、逆に言えばこうしてコラボできるのも両者があらゆるフェスからラブコールを受けている存在であるということに他ならない。
ドラマーの茂木欣一がボーカルを取る、ドラマの主題歌としてヒットした「銀河と迷路」から氷結果汁のCMで大量オンエアされている「Paradise Has No Border」と、誰もが知っている曲で踊りまくらせ、谷中敦などの曲によって楽器ではなくマイクを持つ面々は次々に花道に駆け出していく。
するといつの間にかピンクと紫を掛け合わせたようなスーツを着た綾小路翔がステージに。スカパラメンバーから「なんでいるの?」的なツッコミを入れられながら、「次のフィーチャリングボーカルに迎えられるためのテスト」として、銀杏BOYZの峯田和伸のボーカル曲である「ちえのわ」をコラボすることに。
ちなみにこの「ちえのわ」はMVをこの会場のすぐ近くである木更津の海辺で撮影しており、綾小路翔は「俺への当てつけ!?」と愚痴をこぼしていたが、綾小路翔のドラゴンボイスで歌うこの曲も峯田和伸が歌うのとはまた違った魅力がある。
現に2人はお互いを認め合っている(かつて峯田和伸は氣志團のブレイク時に「あんなにすごい人はなかなかいない」と綾小路翔を讃えている)だけに、ただ木更津でMVが撮影されただけじゃない理由で綾小路翔はこの曲を選んだのだと思われる。結局、今後フィーチャリングボーカルとして招かれるのかはわからないまま終わってしまったが。
綾小路翔がステージから去っても熱狂は続く。谷中が花道に駆け出すと、カメラマンに「ついて来い」と言わんばかりにカメラ目線で腕を振り、サックスではなくボーカリストとしてバンドの最前線に立ち、ラストの「ペドラーズ」では大森はじめも花道に進むと、その場でジャケットを脱ぎ捨てて観客を煽りまくる。
その見事なフォーメーションは言葉を交わさなくてもメンバーそれぞれが互いを理解しているかのよう。この日のスカパラは木更津スカパラダイスオーケストラだった、というくらいにこのフェスを掌握していた。
1.SKA ME CRAZY
2.Samurai Dreamers 〜サビレルナ和ヨ〜 feat.TAKUMA (10-FEET)
3.Glorious
4.銀河と迷路
5.Paradise Has No Border
6.ちえのわ feat. 綾小路翔 (氣志團)
7.DOWN BEAT STOMP
8.ペドラーズ
Paradise Has No Border
https://youtu.be/1zKo_I8VhkA
13:55〜 ORANGE RANGE [MOSSAI STAGE]
始まる前から客席に人が収まりきっておらず、ステージ向かいの海の方ギリギリにまで人が集まるというパニックっぷりとなったのは、かつては綾小路翔とよく飲みに行っていたが、携帯を紛失してからは連絡が取れなくなって全く一緒に遊ぶことがなくなったというRYOを擁するORANGE RANGEである。
曇天の空の下にメンバーが登場すると、「上海ハニー」からスタートし、一気に空気が晴れやかになっている。このフェスには意外にも初出演であるが、そんなことを全く感じさせないくらいにアウェー感ゼロ。みんなこのバンドの夏ソングが生で聴けることを本当に喜んでいる。
最新アルバム収録の「Ryukyu Wind」でさらに会場は夏感を増していくと、
「電波ではなくて心と心で繋がりましょう」
と「以心電信」で大合唱を巻き起こす。
かつて、このバンドがブレイクした直後にスピッツの草野マサムネが、
「僕らは自分たちのどの曲がお客さんに求められてるのかをよくわかってないんですけど、ORANGE RANGEはそれを自分たちでちゃんとわかっていて、その気持ちに応えることができる。それが本当にカッコいい」
と評していたが、その姿勢はもはやベテランとなった今でも変わっていない。
いつの間にか曇天から晴れ間が見えるという晴れバンドっぷりを遺憾なく発揮しながら演奏された「イケナイ太陽」では「NANANANA〜」のフレーズに合わせるようにDJ OZMA「アゲアゲEVERY騎士」の「NA〜NA〜NANANA」のコーラスフレーズを歌うという「NANANA」コラボを見せる。この辺りの遊び心と余裕もさすがである。
そしてあっという間のラストはボーカル3人がドラムセットの方を向きながら歌い始める「キリキリマイ」で、YAMATOがハイトーンボイスで煽りまくる中、客席からはダイバーが出現するほどの音の強さを見せ、初出演ながらしっかりとこのフェスに爪痕を残した。
ORANGE RANGEがメガヒットを連発していたのは、もう10年以上前。それでも今でもこんなにたくさんの人が彼らのライブを観に来るのは、楽曲の普遍性はもちろん、その長い年月をかけてライブバンドとして進化を続けてきたから。
今年もいろんなフェスでこのバンドのライブを観てきたが、もう各地のフェスはこのバンドをメインステージ以外のステージにしない方がいい。それくらいにどのフェスでも入場規制を超えるくらいの凄まじく多くの人々がこのバンドのライブを見たがっている。
1.上海ハニー
2.Ryukyu Wind
3.以心電信
4.イケナイ太陽
5.キリキリマイ
Ryukyu Wind
https://youtu.be/InKssRjmRrY
15:15〜 the GazettE [MOSSAI STAGE]
「ビジュアル系バンドに真夏の暑さは大敵」ということで、まだフェスに全く出ていなかった時から唯一と言っていいくらいにこのフェスに出演してきたthe GazettE。しかし近年はROCK IN JAPAN FES.にも2年連続で出演しており、フェスに呼べば出てくれるというイメージに変わりつつある。
RUKIは紫、他のメンバーはバンドのイメージ通りに漆黒の衣装を着て登場すると、
「ヘドバン要員ですから(笑)」
と言っていた通りに、初っ端から綾小路翔が「LOVE&WIND」と名付けたヘドバンの嵐。明らかにこのバンドを見に来たであろう女性ファンが多いため、長い髪がバッサバッサと揺れまくる様は壮観である。これは同じようにヘドバンが起きるとはいえ、ラウドロックバンドのヘドバンとは全く違う光景である。
時にはアコギや電子音も取り入れながらも、その音の重さ、強さ、演奏力の高さはいずれもラウドロック系のフェスに出て来ても全くおかしくはないくらいのものであり、「ビジュアル系の特攻隊長」としてこのフェスに出てきているのも、見た目ではなくて自分たちの音楽に自信を持っているから。ビジュアル系とラウドなサウンドは相性が良いということを改めて教えてくれているようですらある。
すでにワンマンではドームやアリーナクラスのバンドなだけに、30分という持ち時間は非常に短いが、その中でもひたすらロックに、ラウドに攻め続けるような内容。その姿には、自分たちの音楽は普段ビジュアル系の音楽を聴かないような人たちにも絶対届くはずだし、届かせてやる、という強い意気込みと意志を感じさせる。
だからこそ、「TOMORROW NEVER DIES」で
「普段ビジュアル系の音楽を聴かない人たちのノリを俺たちに見せてくれー!」
とRUKIが叫んだ後に出現したたくさんのダイバーのことを、RUKIは嬉しそうに指差した。自分たちの音楽が初めて見たり聴いたりした人にもちゃんと届いたということを実感したように。
なぜドームやアリーナという大規模な会場でライブがやれているのか。それはライブを見れば一目でわかる。それくらい、見た目で判断したらもったいないくらいに、the GazettEはカッコいいロックバンドだった。
1.99.999
2.Filth in the beauty
3.INSIDE BEAST
4.ABHOR GOD
5.UGLY
6.TOMORROW NEVER DIES
UGLY
https://youtu.be/Yjuh0a1fVgM
15:50〜 10-FEET [YASSAI STAGE]
この氣志團万博とは兄弟の契りを交わしているフェス、京都大作戦の主催者である、10-FEET。しかし今年の京都大作戦は大雨の影響で中止を余儀なくされているのだが、そうなった理由を、
「去年、氣志團が出てくれた時に、翔やんがすごい真面目な顔つきをしていて。それがあまりに珍しすぎたから今年あんなんになったんちゃう?」
とTAKUMAが綾小路翔に責任転嫁すると、
「……俺!?いやいや、俺あんな京都大作戦の涙なんか背負えないって!」
となんとか回避しようとしていた。
もちろんそれは冗談なのだが、いざSEが鳴り終わると、ステージに登場したのは10-FEETではなく氣志團のメンバーたち。
綾小路翔「楽器がおいてあるな。いっちょセッションするべ」
という木更津の高校生という設定の中、10-FEETの機材で「One Night Carnival」の演奏を始める。(綾小路翔はドラムで、星グランマニエがボーカルという編成)
すると警官の制服を着た10-FEETのメンバーたちが登場し、
「置いてある人の楽器を勝手に演奏するのは犯罪だぞ!」
と言い、氣志團メンバーに銃を発砲しまくって追い払い(星グランマニエの演技がとんでもなく下手過ぎて爆笑がおこる)、そのまま警官姿で「RIVER」を演奏し始めるという、果たしてこの寸劇は意味があるのか?と思ってしまうオープニング。
しかしそこはさすが10-FEET。ひとたび演奏が始まればそんな空気は一気に真面目なライブのモードに変わっていく。TAKUMAは疲れによるものなのか、いつもよりも声が出ておらず、振り絞るように歌っていたが。
おなじみ「goes on」では間奏でメンバーがいきなり楽器を置くと、
「第1回おまわりさん徒競走、ヨーイドン!」
と、なぜか唐突にNAOKIとKOUICHIが花道までダッシュして戻ってくるという短距離走が始まり、先にNAOKIが戻ってきたものの、TAKUMAに発砲されて倒れ、KOUICHIもまた同じようにTAKUMAに発砲されて倒れるという寸劇を繰り広げる。
結局その寸劇になんの意味があったのかは全くわからないままだったが、「ヒトリセカイ」まで演奏すると、ももいろクローバーZのTシャツを着た人たちすらもダイブしまくるというカオスな状況を生み出し、
「これだけいろんなアーティストが出てるフェスやから、場所取りしてる人がムカつく、とかいろいろあるやろう。でもそういうことをすぐネットとかに書いても、良くなるとは限らん。こういうフェスには慣れてないような、初めて来るような人もたくさんいるからな。
でも氣志團を始め、出演者はみんな、お前たちみんなが仲良くすることを願ってる」
と、京都大作戦というフェスを自らで主催し、ひたすらにライブの現場で生きてきたTAKUMAだからこその各々の多様性を認めようというMCに温かい拍手が起こるが、そうしているうちにもう数十秒しか時間がなくなり、
「母は泣いた手に触れ泣いた」
という「RIVER」のサビのフレーズのみを演奏する、四星球がネタ的によくやる「時間がない時のRIVER」を演奏し、この日も持ち時間を1秒たりとも無駄にすることなくステージを後にした。
TAKUMAの言う通り、今はちょっとでも目立つようなことをすると(それはライブの場所でもそうでないところでも)、すぐに袋叩きにあうような世の中である。でも10-FEETのメンバーはどんなことをやったとしても、そうなってしまうのは見ていられないのだろう。ましてやそれが自分たちのライブに来てくれている人たちならなおさら。
1.RIVER
2.1 size FITS ALL
3.1sec.
4.goes on
5.太陽4号
6.その向こうへ
7.ヒトリセカイ
8.時間がない時のRIVER
ヒトリセカイ
https://youtu.be/rxjKJ_2T9DY
16:35〜 森山直太朗 [MOSSAI STAGE]
綾小路翔の盟友として、前日にはOPENING CEREMONY ACTとして「さくら」を歌い、紹介VTRでは
「去年氣志團万博に出なかったのは、同じ時期にオファーが来たお芝居の方がギャラが良かったから」
「1回出なくても僕と綾小路翔の友情や関係性は変わらないです。でもギャラも変わらないんだなぁって」
とやたらギャラについてうるさいキャラになっている、森山直太朗。この日は通常のライブアクトとして出演。
バイオリンとチェロを含めたバックバンドの後に、腰に上着を巻きつけた森山直太朗が登場すると、まさにこの時期に聴くことで、今年の夏の様々な思い出が脳裏を駆け巡る「夏の終わり」でスタート。ワンコーラス歌い終わると拍手が起こるという素晴らしく美しい歌声は健在である。
この時間に合わせた選曲であろう「夕暮れの代弁者」を歌うと、なんと氣志團の「愛 羅 武 勇」を弦楽器を含めた壮大なアレンジでカバー。すると2番では綾小路翔もステージに登場してデュエットするのだが、森山直太朗は
「えー!?まさかのご本人登場!?聞いてないよ〜!」
と白々しいリアクションを取ってみせる。
綾小路翔も
「なにこのアレンジ!?」
とガラッと様変わりした自らの曲に驚きを隠しきれない中、
「直太朗、どうせこのあとあれだろ?「さくら」やって終わるんだろ?でもあれもう6000回くらい歌ってるからいいんじゃん?(笑)
それよりもこの前出したアルバムの1曲目の「HEY Siri」っていう歌詞の曲がすごい良い曲だからあの曲やりなよ。あれ聴きたい」
と、森山直太朗の最新アルバム「822」収録の「群青」をリクエストし、森山直太朗もCDの宣伝をしながら歌うことに。
曲中には星グランマニエ以外の氣志團メンバーが登場し、うちわを振って盛り上げようとするのだが、綾小路翔が触れていた
「HEY Siri」
というサビのフレーズで氣志團のメンバーが後ろを向くと、尻が丸出しになっており、本来は非常に良い曲であるはずの「群青」で爆笑が起きるという結果に。
その氣志團のメンバーのパフォーマンスに、
「なんなんだよ!台無しじゃないかよ!」
とキレる森山直太朗。綾小路翔は
「せっかく出てきてやったのに…直太朗のバーカ!」
と悪態をついてステージを去ると、
「なんか、すいませんね、最後にこんなバタバタした感じになってしまって。どうもありがとうございました」
と言って、綾小路翔にキレた時に叩きつけた、腰に巻いていた上着がなくなった森山直太朗が後ろを向くと森山直太朗も尻が丸出しになっているというオチに再度客席は爆笑。本当に仲が良い両者だからこそできるパフォーマンスだが、このフェスに来ると森山直太朗のイメージがかなりお笑い芸人みたいな感じになってしまう。
1.夏の終わり
2.夕暮れの代弁者
3.愛 羅 武 勇 w/ 綾小路翔
4.群青 w/ 氣志團
夏の終わり
https://youtu.be/3KwfNuzYmnM
17:10〜 HYDE [YASSAI STAGE]
紹介VTRでもどこかおどろおどろしさを感じるような出で立ちで、ソロになって最大限に解き放たれていることを語っていた、HYDE。解き放たれたからなのか、今年はたくさんのフェスにソロで出演している。
ステージに登場したHYDEはまるでXmas eileenのメンバーたちのような白い仮面を付けており、バックバンドのメンバーたちもそれぞれかなり怖いというか、グロテスクめな仮面を被って、「FAKE DIVINE」からスタートすると、完全なるラウド・スタジアムロック的な音像。
VAMPS後期からその兆しはあったが、今のHYDEには明確に自分がやりたい音楽があって、そのためのメンバーを集めてその音楽をやっているという、実に音楽的な活動に向かっている。
仮面を外すと、口の周りを真っ赤な口紅で塗っており、黒い衣装もあいまって、まるで異世界から来た人のよう。いや、人というかもはや堕天使というべきか。
「知らない曲ばかりだろうから」
と言ってサビのコーラスを練習させ、大きな合唱が返ってくることに驚きつつ、
「オーオーオー」
というコーラスを練習させてから演奏されたのは、L'Arc〜en〜Cielの「HONEY」。コーラスからも、サウンドからも、最初はなんの曲かわからないくらいにこの曲もラウド化している様からは、本当にHYDEがこの音楽で勝負していこうとする強い決意が見える。本来なら、原曲に忠実な形で演奏した方が喜ぶ人が多いというのはわかっているはずだ。
同様にVAMPSの「AHEAD」もさらにラウド化しているのだが、花道を歩きながら、
「ピリオドの向こうへ行きたいなぁぁぁ!!!」
という氣志團の決め台詞がこんなに黒魔術みたいに聞こえる人は他にいないだろう。
EDMも飲み込んだラウドロック「MIDNIGHT CELEBRATION II」でギタリストとともに花道のど真ん中でHYDEが咆哮を上げ、もはやライブを見終わる頃にはこの会場の空気は完全にこの男のものに染まっていた。
メンバー全員が曲を作れるL'Arc〜en〜Cielとも、KAZというパートナーがいるVAMPSとも違う、ただひたすらに自分がやりたい音楽をやるためのソロ。あまりにラルクとは違う音像なだけに、ずっとラルクを追い続けてきた人たちがどう感じるのかはわからないが、自分のやりたいことをとことん追求しているその姿は、自分には今までのHYDEの音楽キャリアの中で最もカッコいいと思える。
1.FAKE DIVINE
2.AFTER LIGHT
3.ANOTHER MOMENT
4.HONEY
5.RISE UP
6.AHEAD
7.MIDNIGHT CELEBRATION Ⅱ
AFTER LIGHT
https://youtu.be/pcSjLP0erjQ
17:55〜 ヤバイTシャツ屋さん [MOSSAI STAGE]
「そんなのアリ?」枠としてこのフェス初出演となる、ヤバイTシャツ屋さん。氣志團が出禁になっているNHKでレギュラー番組を持っているバンドである。
おなじみの脱力必至な「はじまるよ〜」というSEで登場すると、
「タンクトップの力でパンクロックを超えるんだ」
と、パンク・メロコアに強い影響を受けていることを示す、高速ツービート「Tank-top in your heart」からスタートし、しばたのベースがより一層グルーヴィになってきている「あつまれ!パーティーピーポー」を早くも前半で演奏して超満員の観客の大合唱を巻き起こす。
今年はROCK IN JAPAN FES.でメインステージに出演しているため、今のこのバンドの規模感からするとこのステージは非常に小さいと言ってもいいレベルだが、それがまるで普段のこのバンドの生きる場所であるライブハウスのような熱気を生み出していき、ダイバーも次々と続出。
いつものように道重さゆみTシャツを着ているしばたのことを、Tシャツ屋さんだけに
「ももいろクローゼット」
と例えるMCのキレ味をこやまが見せつつ、30分という短い時間で面白いネタを詰め込むのではなく、曲、音楽をひたすらに詰め込んでいく。このスピーディーなスタイルはまさにパンクバンドそのものである。
「L・O・V・Eタオル」では客席でタオルがぐるぐると回り、「無線LANばり便利」では「オイ!オイ!」ならぬ
「Wi-Fi!」
の大合唱が起こり、原曲よりもはるかにテンポが速くなった「ヤバみ」とクライマックスにライブ定番曲を畳み掛けていく。もりもとのドラムを叩きながらの笑顔はこのフェスに出れたことの喜びを言葉以上に物語っている。
そしてラストはやはり大合唱が巻き起こった「ハッピーウエディング前ソング」で、夜になってきた会場の空からも、まるでこのステージのトリであるかのような圧勝っぷり。
氣志團ですらも「そんなのアリ!?」と思うようなバンドは、「そんなのアリ!?」なスタイルを貫いたままで国民的な領域まで到達しようとしている。
1.Tank-top in your heart
2.あつまれ!パーティーピーポー
3.鬼POP激キャッチー最強ハイパーウルトラミュージック
4.L・O・V・Eタオル
5.無線LANばり便利
6.ヤバみ
7.ハッピーウエディング前ソング
ハッピーウエディング前ソング
https://youtu.be/lVIHyj9qVy0
18:30〜 THE ALFEE [YASSAI STAGE]
いよいよ終わりが近づいてくる二日間。そのトリ前の大事な時間を担うのは、デビュー45周年を迎える大ベテランバンド、THE ALFEE。
ドラムとキーボードという必要最小限のサポートを迎えて、桜井、坂崎、そしてドレスに長髪と女性のようにしか見えない高見沢が登場すると、「STARSHIP」で壮大な音楽の旅に出ると、「メリーアン」と続いたことで、この日がヒット曲メドレーになる予感をひしひしと感じる。
45周年という月日を経ているとは思えないくらいに見た目以上にその声からは現役感しか感じない桜井と坂崎のボーカル、若手ギタリストも顔負けの弾きまくりギターを見せる高見沢。
その高見沢が鞭で坂崎を叩くという女王様になり切る場面もあったが、何よりもすごいのはムダな時間をほとんど取らずに曲をひたすら連発していくというストイックなライブスタイル。
さらには3人全員が左右と前後の花道に積極的に駆け出していくなど、完全なる大ベテランになってもライブバンドとして生き続けていることをその身をもって示している。この姿を見ると、若手バンドが「疲れ」を口にするのが甘えているようにすら思えてしまう。
時には3方向に散って歌ったり演奏していた3人が真ん中の花道に集まると、坂崎と高見沢がそれぞれ自分の前にマイクスタンドを置こうとする奪い合いをして無言ながら笑わせたあと、3人がこの広大なステージにアカペラで歌声を轟かせたのは「星空のディスタンス」。この3人全員の持つエネルギーは本当に驚愕してしまうレベル。ある時期から見た目も全然変わらないが、このバンドには「老い」という概念が存在するのか?とすら思ってしまう。
ラストの「SWEAT & TEARS」を演奏している頃には、このバンドのことをこの千葉のど田舎まで見にきたという人たちはもちろん、有名な曲がいっぱいあるから見ておこうかなという人、全然曲は知らないけど見てみようという人のどれもが完全にこのバンドの虜になっていた。何故ならばアウトロがどんどん速くなっていく、という最後に最も凄いライブパフォーマンスを見せたから。こんなに凄いバンドだったなんて、このライブを見る前は思ってもいなかった。
このTHE ALFEEやHYDE、前日の和田アキ子など。このフェスに来ないとなかなか見る機会がないようなアーティストたち。そのどれもが素晴らしいパフォーマンスを見せてくれることによって、普段から見にいくアーティストのライブとはまた違う刺激を与えてくれる。それは、見たことのない人たちのライブを見るのは実に楽しいし面白いということ。氣志團万博はその一見カオスな出演者によって、それをしっかりと感じさせてくれる。
1.STARSHIP 〜光を求めて〜
2.メリーアン
3.FLOWER REVOLUTION
4.ジェネレーション・ダイナマイト
5.恋の炎
6.星空のディスタンス
7.SWEAT & TEARS
星空のディスタンス
https://youtu.be/mzi2O5HEBmU
19:15〜 MIYAVI [MOSSAI STAGE]
昨年に続いての出演で、今年はMOSSAI STAGEの最後の出演者となるMIYAVI。ドラマーのBOBOに加え、外国人コーラスとDJを加えた4人編成。
BOBOの手数の多い正確無比なリズムが引っ張る中、綾小路翔が
「家で練習したことあるけど、手が痛くなるだけで全く音が出なかった」
という独特のスラップ奏法のギターがリズムとメロディの両方として機能している。何度見てもどうやったらそんなことができるのか全くわからない。
そのギターだけでなく、男前な出で立ち以上に男前なボーカルも響かせると、「All My Life」では「スペシャルゲスト」として、なんと出番を終えたばかりのHYDEがステージに登場し、MIYAVIとボーカルを分け合うようにして歌うと、MIYAVIがHYDEの頬にキスをするという、両者のファンなら失神してもおかしくないくらいに刺激的なパフォーマンスも見せてくれる。
大胆にEDMとの融合を果たした「Fire Bird」から、ラストは「DAY 1」からの「What's My Name?」という代表曲の畳み掛けで、BOBOのドラムもMIYAVIのスラップギターもさらにキレ味を増していき、もはや名前を聞くのも野暮だと言わんばかりに脳裏に刻まれるようなライブを見せて、今年も熱かったMOSSAI STAGEを見事に締めくくってみせた。
1.Flashback
2.Dancing With My Fingers
3.In Crowd
4.All My Life w/ HYDE
5.Fire Bird
6.DAY 1
7.What's My Name? 2017
Fire Bird
https://youtu.be/etFfwA0bLWs
19:50〜 氣志團 [YASSAI STAGE]
いよいよフェスはフィナーレの時間が近づいてきている。7年目にして初の両日のトリとなる、氣志團。平成最後の氣志團万博を自らの手で締めるために、いざ出陣。
前日とは異なりオープニングナンバーは「鉄のハート」。このフェスでは両日ともにセトリが変化しないというイメージがあったが、どうやら今年はそんなことはないようだ。
続く「The アイシテル」は前日に続いての披露となったが、多数のダンサーたちが綾小路翔の元に詰めかけて綾小路翔が転倒する、という茶番は2日連続で見ても面白い。
「ここが俺たちの地元だ!初めて来た人はビックリするくらいに何もないだろ?
でも、何もないっていうことは何でもあるっていうことだぜ!」
とネガティヴをポジティブに変換させるように、そしてその言葉をリアルなものにするために、スカパラホーンズと森山直太朗がステージに登場。森山直太朗は星条旗の服を着て、顔にはペイントを施しているのだが、それはこのメンバーでカバーした「走れ正直者」を歌っていた西城秀樹のモノマネであることが、森山直太朗の普段とは全く違う歌い方と、ムダに
「ギャランドゥー!」
と叫んでいることからもわかる。モノマネのクオリティはめちゃくちゃ高いが、完全にこのフェスにおける立ち位置はお笑い枠を超えて飛び道具枠になりつつある。
スカパラホーンズと森山直太朗の代わりにステージに登場したのは、ちびまる子ちゃんとコジコジという、さくらももこのキャラクターのコスプレをした、ももクロのメンバーたち。綾小路翔はおもちゃみたいなギターを弾いて近藤房之助になり切る、B.B.クイーンズ「おどるポンポコリン」のカバーで、このフェスだからこそのコラボでの楽しさを味あわせながら、亡くなってしまった西城秀樹とさくらももこへの追悼の意を示す。いなくなっても、その意志を継ぐものがいる限り、その人の存在は消えないし、これからもずっと生き続けていく。あらゆるカルチャーに精通してきた氣志團だからこそ、受け継げるものは多いはずだ。
前日同様に綾小路翔がギター、早乙女光はトランペットという編成で氣志團の音楽的な器用さと、氣志團の地元への愛を感じさせる「落陽」で誰もがセンチメンタルな気分になると、この日も「One Night Carnival」で大合唱を巻き起こし、
「俺たちはいつだって、あの海に!この空に!この街に!そしてお前たちに!」
と言ってから
「恋しているのさ〜」
と歌って感動的な場面を作ったのも束の間、前日同様に
「みんなが思ってること。それは…この曲飽きた」
というやり取りから、メンバーによる謝罪、そして「One Night Carnival」の2018年バージョンである、DA PUMP「U.S.A.」とのマッシュアップバージョン「O.N.C.」の歌詞とダンスで爆笑を巻き起こす。もうこの日限りで聴けなくなるのは実にもったいないので、いっそこのバージョンで音源化して欲しいくらいに歌詞のハマり方が完璧過ぎる。
そして平成最後の氣志團万博の最後の曲は、メンバーたちの着ぐるみが出てきて大団円となった、フェスのテーマソング的な「ゆかいな仲間たち」。最後の花火がやけに尻すぼみな感じだったのが、実に氣志團らしかった。
氣志團万博はもはや誰が出てもOK、というくらいにラインアップがカオスになるのが当たり前なフェスになっている。でも他のフェスでこのメンツが集まったら荒れる可能性だってあるのにそうならないのは、それをずっと続けてきたから。普通じゃないことでも、続けていれば当たり前になる。それは他のどこにもないこのスタイルのフェスを続けてきた氣志團の力でしかない。
1.鉄のハート
2.The アイシテル
3.走れ正直者 w/ スカパラホーンズ、森山直太朗
4.おどるポンポコリン w/ ももいろクローバーZ
5.落陽
6.One Night Carnival
7.O.N.C. (One Night Carnival 2018)
8.ゆかいな仲間たち
One Night Carnival
https://youtu.be/SJsx3FVudys
2005年に千葉ロッテマリーンズが日本一になった時、スポーツ新聞に千葉出身ということで綾小路翔のコメントが載っていたのだが、その内容は
「千葉にはBUMP OF CHICKENがいる!ELLEGARDENがいる!そして千葉ロッテマリーンズがいる!」
と、氣志團の名前を一切出さないという自虐っぷりを発揮していたのだが、こうして千葉でずっとこのフェスを続けている氣志團こそが、1番の千葉の誇り。このフェスの時ほど、千葉県民で良かったと思う時はない。だから、また来年もここに来れますように。
Next→ 9/23 中津川ソーラー武道館 @中津川公園内特設ステージ
9:40〜 DJ ダイノジ [WELCOME ACT]
今や芸人として、というよりもフェスにおける盛り上げ役として欠かせない存在になっているダイノジ。幅広いジャンル出演者が集まるこの日のWELCOME ACTとして適任と言える。
女性ダンサー2人が先に登場して準備運動をさせると、DJとして大谷、パフォーマーとしておなじみの虎柄セーターを着たおおちも登場し、前日にライブ活動を休止することを発表したマキシマム ザ ホルモンに捧げるかのように「恋のメガラバ」でスタートし、早くもモッシュの嵐に。
「エビバーディ!」
のフレーズをひたすら連発しまくって声を出させるという使い方のヤバイTシャツ屋さん「あつまれ!パーティーピーポー」で朝9時台とは思えないくらいの高いテンションに会場を持っていくと、もはやダイノジの持ち曲的な存在になりつつあるTOTALFAT「PARTY PARTY」で踊らせまくり、その後もおおちのエアギターや「ベストテン時代のマッチ」というネタも挟みつつ、アニソンやDA PUMP「U.S.A.」など、
「あなたの「好き」を肯定しにやってきました!」
という言葉の通りにあらゆる音楽を網羅していく。
後輩であるオリエンタルラジオのRADIO FISH「PERFECT HUMAN」でおおちが物陰やダンサーに隠れながら首を曲げるというネタで爆笑を巻き起こすと、
「新しい価値観と出会うのが氣志團万博の醍醐味」
と、このフェスの趣旨を理解した上で、様々な出演アーティストの音楽に触れて欲しいと語り、最後にUNISON SQUARE GARDEN「シュガーソングとビターステップ」で、この日の1日の始まりを告げ、参加者たちを送り出した。
10:15〜 AMEMIYA [OPENING CEREMONY ACT]
2日目のOPENING CEREMONY ACTは、「冷やし中華始めました」で一時期ブレイクした芸人、AMEMIYA。
やはりギターを持って登場すると、いきなり
「次で最後の曲になりました」
と言って、「冷やし中華始めました」のメロディに乗せて、氣志團万博の歩みを歌った「氣志團万博に捧げる歌」を熱唱。7年間のことを割と事細かに歌詞にしただけに、1曲で10分以上歌い続けるというタフな内容になったが、このフェスの歩みを知っている観客たちからは当時のことを思い出したりしたのか、笑いと温かい歓声が起きていた。
冷やし中華はじめました
https://youtu.be/2OBPzBvlduA
10:30〜 ゴールデンボンバー [YASSAI STAGE]
このフェスのトップバッターの枠が定位置になっている、ゴールデンボンバー。紹介VTRも毎年手の込んだものを自作しているが、今年は4人がゾンビに扮したものの、結局全裸になるという意味のよくわからない設定。
去年は雨が降る中でメンバーが女性用水着を着て出てきたが、今年はいたって普通の格好で登場し、「酔わせてモヒート」からスタート。
「抱きしめてシュバルツ」では昨日からこの会場の近くで潮干狩りを楽しんでいるという喜矢武豊が巨大な貝を持って登場すると、貝の中にはダッチワイフ的なものが入っており、貝の潮吹き的にそこから水が発射されるという朝10時代からのど下ネタで観客の目を覚ましていく。
かと思えば樽美酒もほぼ全裸になり、自分の身体の背中から尻にかけて、袖ヶ浦市のマスコットキャラクターの「ガウラ」の絵をマジックで書くという悪ふざけでしかないパフォーマンスを見せると、ガウラの着ぐるみもステージに登場するという、もう何がどうなっているのかわからないカオスな状態に。
喜矢武、歌広場、樽美酒の3人がボーイズグループのように寄り添いながらカメラ目線をするのがシュールな「やさしくしてね」、樽美酒が手がけたことによってボーカルを務める(鬼龍院がドラム)「タツオ…嫁を俺にくれ」で歌い上げるバラードなのに内容は割と最低な男の歌、というゴールデンボンバーらしいギャップを見せると、ひたすらにラウドに特化した「暴れ曲」では首が心配になるくらいに最前ブロックにいる女性たちがヘドバンしまくる。その様子を見ると、完全にキワモノ的な立ち位置であっても、ゴールデンボンバーはV系の系譜に入る存在だよなぁとも思う。
「まさしー!」
と誰のことなのかわからない名前をみんなで叫ぶというのがフェスにおける盛り上がり曲になりつつある「まさし」から、ラストは翌日にミュージックステーションのフェスでも
「そうです、やるのはあの曲です」
と、他にやる曲がないかのように披露された「女々しくて」で飛び跳ねさせまくって、樽美酒はほぼ全裸状態で花道を駆け回っていた。さすがにSASUKEで有力選手の1人であるだけに、筋肉は素晴らしいものであったけれど。
1.酔わせてモヒート
2.綺麗になりたくて
3.抱きしめてシュバルツ
4.やさしくしてね
5.タツオ…嫁を俺にくれ
6.暴れ曲
7.まさし
8.女々しくて
タツオ…嫁を俺にくれ
https://youtu.be/hEGnzJNanMI
11:50〜 グループ魂 [YASSAI STAGE]
綾小路翔に
「大先輩ですけど、バカの梁山泊みたいなバンド」
と評された、グループ魂。紹介VTRでこのフェスへの意気込みを問われた港カヲルは
「イキゴーミ!イキゴーミ!」
と東南アジアから来た客引きの人みたいな言い方でひたすらに「意気込み」という単語を連発しまくる。
その港カヲルが
「最近はすっかりフェス慣れしてきて、タイムテーブルを見れば自分たちに何が求められているのかわかるようになってきました。今日で言うと、AMEMIYAがお通し、ゴールデンボンバーがビール、我々がキャベツみたいなもんです。そう、ここは鳥貴族です!鳥貴族木更津店にようこそ!」
と語っている間に他のメンバーもステージに登場し、「モテる努力をしないでモテたい節」「Charのフェンダー」からスタートするという流れはラブシャの時と変わらないが、大きいステージということで破壊(ボーカル)はイヤモニを装着しており、
「音が耳の中に出されてる感じがする。音を中出しされてる!」
となぜか喜んでいる。
最新シングル「もうすっかりNO FUTURE!」で自虐を絡めながらパンク魂を叩きつけると、花道を歩いていた破壊はスタッフのセキュリティが被っていた帽子を取ってステージまで持ってきてしまい、どうすればいいのかわからずにスタッフに手渡すという細かいスタッフいじりも見せる。
破壊が歌舞伎俳優になり切る「中村屋」では相変わらず脈絡のない下ネタが次々に飛び交い、「君にジュースを買ってあげる」では花道を降りて客席にいる女性に何が飲みたいか聞きに行った破壊が観客に押され、マイクが差し歯に直撃するというある意味ではオイシイアクシデントに見舞われる。
その破壊が花道でマイケル・ジャクソンになりきり、港カヲルとバイト君がアメリカンポリスの格好をして横で踊る「職務質問」と、おじさんたちのパンクだけではない音楽性の広さを少し見せると、ラブシャに続き30代を過ぎた男の自慰行為のことを歌った「Over 30 do the 魂」。やはり「イチローも田中マー君も大谷も」と歌詞を現代風にブラッシュアップしているが、時間を気にしたのか、ラブシャでやっていた、年代をわけてのコール&レスポンスや破壊が初めて射精した時のことを思い出す語りはなし。
そしてラストは「ペニスJAPAN」で大合唱を巻き起こすという「バカの梁山泊」っぷりをしっかり見せつけてステージを後にした。
しかしゴールデンボンバー→グループ魂というこのメインステージの流れはある意味ではすごい。
1.モテる努力をしないでモテたい節
2.Charのフェンダー
3.もうすっかりNO FUTURE!
4.中村屋
5.君にジュースを買ってあげる
6.職務質問
7.Over 30 do the 魂
8.ペニスJAPAN
もうすっかりNO FUTURE!
https://youtu.be/M-c2McjaW9w
12:35〜 LiSA [MOSSAI STAGE]
氣志團の事務所の後輩であり、今回のフェスにおけるTシャツのデザインでは綾小路翔にお姫様抱っこされているくらいに優遇されているように見える、LiSA。
しかし紹介VTRの中では
「團長は実際に会うと冷たい(笑)」
と距離を感じているらしいが、その理由を綾小路翔は
「多分、コミュニケーション障害なんです(笑)」
と語っていた。
バックバンドのメンバーに続いてLiSAがステージに登場すると、このフェス仕様にスケバンセーラー服を着用し、「best day, best way」「No More Time Machine」と、VTRでは「ロックの歌姫」的な紹介をされていたが、この日はややポップ寄りな選曲。
それはUNISON SQUARE GARDENのアルバムに入っていてもおかしくないくらいに田淵智也色が強く出た、サビで手でハートを作る振り付けの「say my nameの片想い」もそうだが、
「せっかくセーラー服を着てるから!」
という理由でセーラームーンの主題歌である「ムーンライト伝説」のカバーまで披露。おそらく年齢的にもLiSAはセーラームーンをリアルタイムで見ていた世代であろう。
そうした、「この日はポップモード?」という予想をタイトル通りに「ROCK-mode」で一気に変換して見せると、最後はセーラー服のスカートに歌詞が縫われた「Catch the Moment」でダイバーまでも出現し、「ロックの歌姫」っぷりをしっかりと見せつけ、
「3回目がこんなに楽しいと、4回目も遊びたくなっちゃうな〜」
と、LiSAならではの言い方で次の出演をアピールしていた。
1.best day, best way
2.No More Time Machine
3.say my nameの片想い
4.ムーンライト伝説
5.ROCK-mode
6.Catch the Moment
Catch the Moment
https://youtu.be/pudLJ-L9ZI8
13:10〜 東京スカパラダイスオーケストラ [YASSAI STAGE]
各地のフェスはもちろん、このフェスでもおなじみの東京スカパラダイスオーケストラ。こうしてこのフェスにオファーする理由を、
綾小路翔「いつになったら俺をフィーチャリングボーカルに呼んでくれるんだ、と(笑)
呼んでくれないならこっちが呼ぶしかない」
と語っていたので、今回もコラボが見れるんじゃないか?という期待が高まる。
「SKA ME CRAZY」で早くも会場はダンス天国と化すと、いきなりスカパラメンバーと同じスーツを着た10-FEETのTAKUMAを招いて「Samurai Dreamers」をコラボ。もう10-FEETはフェスの日にちが被っていれば必ず出てくるというレベルでコラボ率が高いが、逆に言えばこうしてコラボできるのも両者があらゆるフェスからラブコールを受けている存在であるということに他ならない。
ドラマーの茂木欣一がボーカルを取る、ドラマの主題歌としてヒットした「銀河と迷路」から氷結果汁のCMで大量オンエアされている「Paradise Has No Border」と、誰もが知っている曲で踊りまくらせ、谷中敦などの曲によって楽器ではなくマイクを持つ面々は次々に花道に駆け出していく。
するといつの間にかピンクと紫を掛け合わせたようなスーツを着た綾小路翔がステージに。スカパラメンバーから「なんでいるの?」的なツッコミを入れられながら、「次のフィーチャリングボーカルに迎えられるためのテスト」として、銀杏BOYZの峯田和伸のボーカル曲である「ちえのわ」をコラボすることに。
ちなみにこの「ちえのわ」はMVをこの会場のすぐ近くである木更津の海辺で撮影しており、綾小路翔は「俺への当てつけ!?」と愚痴をこぼしていたが、綾小路翔のドラゴンボイスで歌うこの曲も峯田和伸が歌うのとはまた違った魅力がある。
現に2人はお互いを認め合っている(かつて峯田和伸は氣志團のブレイク時に「あんなにすごい人はなかなかいない」と綾小路翔を讃えている)だけに、ただ木更津でMVが撮影されただけじゃない理由で綾小路翔はこの曲を選んだのだと思われる。結局、今後フィーチャリングボーカルとして招かれるのかはわからないまま終わってしまったが。
綾小路翔がステージから去っても熱狂は続く。谷中が花道に駆け出すと、カメラマンに「ついて来い」と言わんばかりにカメラ目線で腕を振り、サックスではなくボーカリストとしてバンドの最前線に立ち、ラストの「ペドラーズ」では大森はじめも花道に進むと、その場でジャケットを脱ぎ捨てて観客を煽りまくる。
その見事なフォーメーションは言葉を交わさなくてもメンバーそれぞれが互いを理解しているかのよう。この日のスカパラは木更津スカパラダイスオーケストラだった、というくらいにこのフェスを掌握していた。
1.SKA ME CRAZY
2.Samurai Dreamers 〜サビレルナ和ヨ〜 feat.TAKUMA (10-FEET)
3.Glorious
4.銀河と迷路
5.Paradise Has No Border
6.ちえのわ feat. 綾小路翔 (氣志團)
7.DOWN BEAT STOMP
8.ペドラーズ
Paradise Has No Border
https://youtu.be/1zKo_I8VhkA
13:55〜 ORANGE RANGE [MOSSAI STAGE]
始まる前から客席に人が収まりきっておらず、ステージ向かいの海の方ギリギリにまで人が集まるというパニックっぷりとなったのは、かつては綾小路翔とよく飲みに行っていたが、携帯を紛失してからは連絡が取れなくなって全く一緒に遊ぶことがなくなったというRYOを擁するORANGE RANGEである。
曇天の空の下にメンバーが登場すると、「上海ハニー」からスタートし、一気に空気が晴れやかになっている。このフェスには意外にも初出演であるが、そんなことを全く感じさせないくらいにアウェー感ゼロ。みんなこのバンドの夏ソングが生で聴けることを本当に喜んでいる。
最新アルバム収録の「Ryukyu Wind」でさらに会場は夏感を増していくと、
「電波ではなくて心と心で繋がりましょう」
と「以心電信」で大合唱を巻き起こす。
かつて、このバンドがブレイクした直後にスピッツの草野マサムネが、
「僕らは自分たちのどの曲がお客さんに求められてるのかをよくわかってないんですけど、ORANGE RANGEはそれを自分たちでちゃんとわかっていて、その気持ちに応えることができる。それが本当にカッコいい」
と評していたが、その姿勢はもはやベテランとなった今でも変わっていない。
いつの間にか曇天から晴れ間が見えるという晴れバンドっぷりを遺憾なく発揮しながら演奏された「イケナイ太陽」では「NANANANA〜」のフレーズに合わせるようにDJ OZMA「アゲアゲEVERY騎士」の「NA〜NA〜NANANA」のコーラスフレーズを歌うという「NANANA」コラボを見せる。この辺りの遊び心と余裕もさすがである。
そしてあっという間のラストはボーカル3人がドラムセットの方を向きながら歌い始める「キリキリマイ」で、YAMATOがハイトーンボイスで煽りまくる中、客席からはダイバーが出現するほどの音の強さを見せ、初出演ながらしっかりとこのフェスに爪痕を残した。
ORANGE RANGEがメガヒットを連発していたのは、もう10年以上前。それでも今でもこんなにたくさんの人が彼らのライブを観に来るのは、楽曲の普遍性はもちろん、その長い年月をかけてライブバンドとして進化を続けてきたから。
今年もいろんなフェスでこのバンドのライブを観てきたが、もう各地のフェスはこのバンドをメインステージ以外のステージにしない方がいい。それくらいにどのフェスでも入場規制を超えるくらいの凄まじく多くの人々がこのバンドのライブを見たがっている。
1.上海ハニー
2.Ryukyu Wind
3.以心電信
4.イケナイ太陽
5.キリキリマイ
Ryukyu Wind
https://youtu.be/InKssRjmRrY
15:15〜 the GazettE [MOSSAI STAGE]
「ビジュアル系バンドに真夏の暑さは大敵」ということで、まだフェスに全く出ていなかった時から唯一と言っていいくらいにこのフェスに出演してきたthe GazettE。しかし近年はROCK IN JAPAN FES.にも2年連続で出演しており、フェスに呼べば出てくれるというイメージに変わりつつある。
RUKIは紫、他のメンバーはバンドのイメージ通りに漆黒の衣装を着て登場すると、
「ヘドバン要員ですから(笑)」
と言っていた通りに、初っ端から綾小路翔が「LOVE&WIND」と名付けたヘドバンの嵐。明らかにこのバンドを見に来たであろう女性ファンが多いため、長い髪がバッサバッサと揺れまくる様は壮観である。これは同じようにヘドバンが起きるとはいえ、ラウドロックバンドのヘドバンとは全く違う光景である。
時にはアコギや電子音も取り入れながらも、その音の重さ、強さ、演奏力の高さはいずれもラウドロック系のフェスに出て来ても全くおかしくはないくらいのものであり、「ビジュアル系の特攻隊長」としてこのフェスに出てきているのも、見た目ではなくて自分たちの音楽に自信を持っているから。ビジュアル系とラウドなサウンドは相性が良いということを改めて教えてくれているようですらある。
すでにワンマンではドームやアリーナクラスのバンドなだけに、30分という持ち時間は非常に短いが、その中でもひたすらロックに、ラウドに攻め続けるような内容。その姿には、自分たちの音楽は普段ビジュアル系の音楽を聴かないような人たちにも絶対届くはずだし、届かせてやる、という強い意気込みと意志を感じさせる。
だからこそ、「TOMORROW NEVER DIES」で
「普段ビジュアル系の音楽を聴かない人たちのノリを俺たちに見せてくれー!」
とRUKIが叫んだ後に出現したたくさんのダイバーのことを、RUKIは嬉しそうに指差した。自分たちの音楽が初めて見たり聴いたりした人にもちゃんと届いたということを実感したように。
なぜドームやアリーナという大規模な会場でライブがやれているのか。それはライブを見れば一目でわかる。それくらい、見た目で判断したらもったいないくらいに、the GazettEはカッコいいロックバンドだった。
1.99.999
2.Filth in the beauty
3.INSIDE BEAST
4.ABHOR GOD
5.UGLY
6.TOMORROW NEVER DIES
UGLY
https://youtu.be/Yjuh0a1fVgM
15:50〜 10-FEET [YASSAI STAGE]
この氣志團万博とは兄弟の契りを交わしているフェス、京都大作戦の主催者である、10-FEET。しかし今年の京都大作戦は大雨の影響で中止を余儀なくされているのだが、そうなった理由を、
「去年、氣志團が出てくれた時に、翔やんがすごい真面目な顔つきをしていて。それがあまりに珍しすぎたから今年あんなんになったんちゃう?」
とTAKUMAが綾小路翔に責任転嫁すると、
「……俺!?いやいや、俺あんな京都大作戦の涙なんか背負えないって!」
となんとか回避しようとしていた。
もちろんそれは冗談なのだが、いざSEが鳴り終わると、ステージに登場したのは10-FEETではなく氣志團のメンバーたち。
綾小路翔「楽器がおいてあるな。いっちょセッションするべ」
という木更津の高校生という設定の中、10-FEETの機材で「One Night Carnival」の演奏を始める。(綾小路翔はドラムで、星グランマニエがボーカルという編成)
すると警官の制服を着た10-FEETのメンバーたちが登場し、
「置いてある人の楽器を勝手に演奏するのは犯罪だぞ!」
と言い、氣志團メンバーに銃を発砲しまくって追い払い(星グランマニエの演技がとんでもなく下手過ぎて爆笑がおこる)、そのまま警官姿で「RIVER」を演奏し始めるという、果たしてこの寸劇は意味があるのか?と思ってしまうオープニング。
しかしそこはさすが10-FEET。ひとたび演奏が始まればそんな空気は一気に真面目なライブのモードに変わっていく。TAKUMAは疲れによるものなのか、いつもよりも声が出ておらず、振り絞るように歌っていたが。
おなじみ「goes on」では間奏でメンバーがいきなり楽器を置くと、
「第1回おまわりさん徒競走、ヨーイドン!」
と、なぜか唐突にNAOKIとKOUICHIが花道までダッシュして戻ってくるという短距離走が始まり、先にNAOKIが戻ってきたものの、TAKUMAに発砲されて倒れ、KOUICHIもまた同じようにTAKUMAに発砲されて倒れるという寸劇を繰り広げる。
結局その寸劇になんの意味があったのかは全くわからないままだったが、「ヒトリセカイ」まで演奏すると、ももいろクローバーZのTシャツを着た人たちすらもダイブしまくるというカオスな状況を生み出し、
「これだけいろんなアーティストが出てるフェスやから、場所取りしてる人がムカつく、とかいろいろあるやろう。でもそういうことをすぐネットとかに書いても、良くなるとは限らん。こういうフェスには慣れてないような、初めて来るような人もたくさんいるからな。
でも氣志團を始め、出演者はみんな、お前たちみんなが仲良くすることを願ってる」
と、京都大作戦というフェスを自らで主催し、ひたすらにライブの現場で生きてきたTAKUMAだからこその各々の多様性を認めようというMCに温かい拍手が起こるが、そうしているうちにもう数十秒しか時間がなくなり、
「母は泣いた手に触れ泣いた」
という「RIVER」のサビのフレーズのみを演奏する、四星球がネタ的によくやる「時間がない時のRIVER」を演奏し、この日も持ち時間を1秒たりとも無駄にすることなくステージを後にした。
TAKUMAの言う通り、今はちょっとでも目立つようなことをすると(それはライブの場所でもそうでないところでも)、すぐに袋叩きにあうような世の中である。でも10-FEETのメンバーはどんなことをやったとしても、そうなってしまうのは見ていられないのだろう。ましてやそれが自分たちのライブに来てくれている人たちならなおさら。
1.RIVER
2.1 size FITS ALL
3.1sec.
4.goes on
5.太陽4号
6.その向こうへ
7.ヒトリセカイ
8.時間がない時のRIVER
ヒトリセカイ
https://youtu.be/rxjKJ_2T9DY
16:35〜 森山直太朗 [MOSSAI STAGE]
綾小路翔の盟友として、前日にはOPENING CEREMONY ACTとして「さくら」を歌い、紹介VTRでは
「去年氣志團万博に出なかったのは、同じ時期にオファーが来たお芝居の方がギャラが良かったから」
「1回出なくても僕と綾小路翔の友情や関係性は変わらないです。でもギャラも変わらないんだなぁって」
とやたらギャラについてうるさいキャラになっている、森山直太朗。この日は通常のライブアクトとして出演。
バイオリンとチェロを含めたバックバンドの後に、腰に上着を巻きつけた森山直太朗が登場すると、まさにこの時期に聴くことで、今年の夏の様々な思い出が脳裏を駆け巡る「夏の終わり」でスタート。ワンコーラス歌い終わると拍手が起こるという素晴らしく美しい歌声は健在である。
この時間に合わせた選曲であろう「夕暮れの代弁者」を歌うと、なんと氣志團の「愛 羅 武 勇」を弦楽器を含めた壮大なアレンジでカバー。すると2番では綾小路翔もステージに登場してデュエットするのだが、森山直太朗は
「えー!?まさかのご本人登場!?聞いてないよ〜!」
と白々しいリアクションを取ってみせる。
綾小路翔も
「なにこのアレンジ!?」
とガラッと様変わりした自らの曲に驚きを隠しきれない中、
「直太朗、どうせこのあとあれだろ?「さくら」やって終わるんだろ?でもあれもう6000回くらい歌ってるからいいんじゃん?(笑)
それよりもこの前出したアルバムの1曲目の「HEY Siri」っていう歌詞の曲がすごい良い曲だからあの曲やりなよ。あれ聴きたい」
と、森山直太朗の最新アルバム「822」収録の「群青」をリクエストし、森山直太朗もCDの宣伝をしながら歌うことに。
曲中には星グランマニエ以外の氣志團メンバーが登場し、うちわを振って盛り上げようとするのだが、綾小路翔が触れていた
「HEY Siri」
というサビのフレーズで氣志團のメンバーが後ろを向くと、尻が丸出しになっており、本来は非常に良い曲であるはずの「群青」で爆笑が起きるという結果に。
その氣志團のメンバーのパフォーマンスに、
「なんなんだよ!台無しじゃないかよ!」
とキレる森山直太朗。綾小路翔は
「せっかく出てきてやったのに…直太朗のバーカ!」
と悪態をついてステージを去ると、
「なんか、すいませんね、最後にこんなバタバタした感じになってしまって。どうもありがとうございました」
と言って、綾小路翔にキレた時に叩きつけた、腰に巻いていた上着がなくなった森山直太朗が後ろを向くと森山直太朗も尻が丸出しになっているというオチに再度客席は爆笑。本当に仲が良い両者だからこそできるパフォーマンスだが、このフェスに来ると森山直太朗のイメージがかなりお笑い芸人みたいな感じになってしまう。
1.夏の終わり
2.夕暮れの代弁者
3.愛 羅 武 勇 w/ 綾小路翔
4.群青 w/ 氣志團
夏の終わり
https://youtu.be/3KwfNuzYmnM
17:10〜 HYDE [YASSAI STAGE]
紹介VTRでもどこかおどろおどろしさを感じるような出で立ちで、ソロになって最大限に解き放たれていることを語っていた、HYDE。解き放たれたからなのか、今年はたくさんのフェスにソロで出演している。
ステージに登場したHYDEはまるでXmas eileenのメンバーたちのような白い仮面を付けており、バックバンドのメンバーたちもそれぞれかなり怖いというか、グロテスクめな仮面を被って、「FAKE DIVINE」からスタートすると、完全なるラウド・スタジアムロック的な音像。
VAMPS後期からその兆しはあったが、今のHYDEには明確に自分がやりたい音楽があって、そのためのメンバーを集めてその音楽をやっているという、実に音楽的な活動に向かっている。
仮面を外すと、口の周りを真っ赤な口紅で塗っており、黒い衣装もあいまって、まるで異世界から来た人のよう。いや、人というかもはや堕天使というべきか。
「知らない曲ばかりだろうから」
と言ってサビのコーラスを練習させ、大きな合唱が返ってくることに驚きつつ、
「オーオーオー」
というコーラスを練習させてから演奏されたのは、L'Arc〜en〜Cielの「HONEY」。コーラスからも、サウンドからも、最初はなんの曲かわからないくらいにこの曲もラウド化している様からは、本当にHYDEがこの音楽で勝負していこうとする強い決意が見える。本来なら、原曲に忠実な形で演奏した方が喜ぶ人が多いというのはわかっているはずだ。
同様にVAMPSの「AHEAD」もさらにラウド化しているのだが、花道を歩きながら、
「ピリオドの向こうへ行きたいなぁぁぁ!!!」
という氣志團の決め台詞がこんなに黒魔術みたいに聞こえる人は他にいないだろう。
EDMも飲み込んだラウドロック「MIDNIGHT CELEBRATION II」でギタリストとともに花道のど真ん中でHYDEが咆哮を上げ、もはやライブを見終わる頃にはこの会場の空気は完全にこの男のものに染まっていた。
メンバー全員が曲を作れるL'Arc〜en〜Cielとも、KAZというパートナーがいるVAMPSとも違う、ただひたすらに自分がやりたい音楽をやるためのソロ。あまりにラルクとは違う音像なだけに、ずっとラルクを追い続けてきた人たちがどう感じるのかはわからないが、自分のやりたいことをとことん追求しているその姿は、自分には今までのHYDEの音楽キャリアの中で最もカッコいいと思える。
1.FAKE DIVINE
2.AFTER LIGHT
3.ANOTHER MOMENT
4.HONEY
5.RISE UP
6.AHEAD
7.MIDNIGHT CELEBRATION Ⅱ
AFTER LIGHT
https://youtu.be/pcSjLP0erjQ
17:55〜 ヤバイTシャツ屋さん [MOSSAI STAGE]
「そんなのアリ?」枠としてこのフェス初出演となる、ヤバイTシャツ屋さん。氣志團が出禁になっているNHKでレギュラー番組を持っているバンドである。
おなじみの脱力必至な「はじまるよ〜」というSEで登場すると、
「タンクトップの力でパンクロックを超えるんだ」
と、パンク・メロコアに強い影響を受けていることを示す、高速ツービート「Tank-top in your heart」からスタートし、しばたのベースがより一層グルーヴィになってきている「あつまれ!パーティーピーポー」を早くも前半で演奏して超満員の観客の大合唱を巻き起こす。
今年はROCK IN JAPAN FES.でメインステージに出演しているため、今のこのバンドの規模感からするとこのステージは非常に小さいと言ってもいいレベルだが、それがまるで普段のこのバンドの生きる場所であるライブハウスのような熱気を生み出していき、ダイバーも次々と続出。
いつものように道重さゆみTシャツを着ているしばたのことを、Tシャツ屋さんだけに
「ももいろクローゼット」
と例えるMCのキレ味をこやまが見せつつ、30分という短い時間で面白いネタを詰め込むのではなく、曲、音楽をひたすらに詰め込んでいく。このスピーディーなスタイルはまさにパンクバンドそのものである。
「L・O・V・Eタオル」では客席でタオルがぐるぐると回り、「無線LANばり便利」では「オイ!オイ!」ならぬ
「Wi-Fi!」
の大合唱が起こり、原曲よりもはるかにテンポが速くなった「ヤバみ」とクライマックスにライブ定番曲を畳み掛けていく。もりもとのドラムを叩きながらの笑顔はこのフェスに出れたことの喜びを言葉以上に物語っている。
そしてラストはやはり大合唱が巻き起こった「ハッピーウエディング前ソング」で、夜になってきた会場の空からも、まるでこのステージのトリであるかのような圧勝っぷり。
氣志團ですらも「そんなのアリ!?」と思うようなバンドは、「そんなのアリ!?」なスタイルを貫いたままで国民的な領域まで到達しようとしている。
1.Tank-top in your heart
2.あつまれ!パーティーピーポー
3.鬼POP激キャッチー最強ハイパーウルトラミュージック
4.L・O・V・Eタオル
5.無線LANばり便利
6.ヤバみ
7.ハッピーウエディング前ソング
ハッピーウエディング前ソング
https://youtu.be/lVIHyj9qVy0
18:30〜 THE ALFEE [YASSAI STAGE]
いよいよ終わりが近づいてくる二日間。そのトリ前の大事な時間を担うのは、デビュー45周年を迎える大ベテランバンド、THE ALFEE。
ドラムとキーボードという必要最小限のサポートを迎えて、桜井、坂崎、そしてドレスに長髪と女性のようにしか見えない高見沢が登場すると、「STARSHIP」で壮大な音楽の旅に出ると、「メリーアン」と続いたことで、この日がヒット曲メドレーになる予感をひしひしと感じる。
45周年という月日を経ているとは思えないくらいに見た目以上にその声からは現役感しか感じない桜井と坂崎のボーカル、若手ギタリストも顔負けの弾きまくりギターを見せる高見沢。
その高見沢が鞭で坂崎を叩くという女王様になり切る場面もあったが、何よりもすごいのはムダな時間をほとんど取らずに曲をひたすら連発していくというストイックなライブスタイル。
さらには3人全員が左右と前後の花道に積極的に駆け出していくなど、完全なる大ベテランになってもライブバンドとして生き続けていることをその身をもって示している。この姿を見ると、若手バンドが「疲れ」を口にするのが甘えているようにすら思えてしまう。
時には3方向に散って歌ったり演奏していた3人が真ん中の花道に集まると、坂崎と高見沢がそれぞれ自分の前にマイクスタンドを置こうとする奪い合いをして無言ながら笑わせたあと、3人がこの広大なステージにアカペラで歌声を轟かせたのは「星空のディスタンス」。この3人全員の持つエネルギーは本当に驚愕してしまうレベル。ある時期から見た目も全然変わらないが、このバンドには「老い」という概念が存在するのか?とすら思ってしまう。
ラストの「SWEAT & TEARS」を演奏している頃には、このバンドのことをこの千葉のど田舎まで見にきたという人たちはもちろん、有名な曲がいっぱいあるから見ておこうかなという人、全然曲は知らないけど見てみようという人のどれもが完全にこのバンドの虜になっていた。何故ならばアウトロがどんどん速くなっていく、という最後に最も凄いライブパフォーマンスを見せたから。こんなに凄いバンドだったなんて、このライブを見る前は思ってもいなかった。
このTHE ALFEEやHYDE、前日の和田アキ子など。このフェスに来ないとなかなか見る機会がないようなアーティストたち。そのどれもが素晴らしいパフォーマンスを見せてくれることによって、普段から見にいくアーティストのライブとはまた違う刺激を与えてくれる。それは、見たことのない人たちのライブを見るのは実に楽しいし面白いということ。氣志團万博はその一見カオスな出演者によって、それをしっかりと感じさせてくれる。
1.STARSHIP 〜光を求めて〜
2.メリーアン
3.FLOWER REVOLUTION
4.ジェネレーション・ダイナマイト
5.恋の炎
6.星空のディスタンス
7.SWEAT & TEARS
星空のディスタンス
https://youtu.be/mzi2O5HEBmU
19:15〜 MIYAVI [MOSSAI STAGE]
昨年に続いての出演で、今年はMOSSAI STAGEの最後の出演者となるMIYAVI。ドラマーのBOBOに加え、外国人コーラスとDJを加えた4人編成。
BOBOの手数の多い正確無比なリズムが引っ張る中、綾小路翔が
「家で練習したことあるけど、手が痛くなるだけで全く音が出なかった」
という独特のスラップ奏法のギターがリズムとメロディの両方として機能している。何度見てもどうやったらそんなことができるのか全くわからない。
そのギターだけでなく、男前な出で立ち以上に男前なボーカルも響かせると、「All My Life」では「スペシャルゲスト」として、なんと出番を終えたばかりのHYDEがステージに登場し、MIYAVIとボーカルを分け合うようにして歌うと、MIYAVIがHYDEの頬にキスをするという、両者のファンなら失神してもおかしくないくらいに刺激的なパフォーマンスも見せてくれる。
大胆にEDMとの融合を果たした「Fire Bird」から、ラストは「DAY 1」からの「What's My Name?」という代表曲の畳み掛けで、BOBOのドラムもMIYAVIのスラップギターもさらにキレ味を増していき、もはや名前を聞くのも野暮だと言わんばかりに脳裏に刻まれるようなライブを見せて、今年も熱かったMOSSAI STAGEを見事に締めくくってみせた。
1.Flashback
2.Dancing With My Fingers
3.In Crowd
4.All My Life w/ HYDE
5.Fire Bird
6.DAY 1
7.What's My Name? 2017
Fire Bird
https://youtu.be/etFfwA0bLWs
19:50〜 氣志團 [YASSAI STAGE]
いよいよフェスはフィナーレの時間が近づいてきている。7年目にして初の両日のトリとなる、氣志團。平成最後の氣志團万博を自らの手で締めるために、いざ出陣。
前日とは異なりオープニングナンバーは「鉄のハート」。このフェスでは両日ともにセトリが変化しないというイメージがあったが、どうやら今年はそんなことはないようだ。
続く「The アイシテル」は前日に続いての披露となったが、多数のダンサーたちが綾小路翔の元に詰めかけて綾小路翔が転倒する、という茶番は2日連続で見ても面白い。
「ここが俺たちの地元だ!初めて来た人はビックリするくらいに何もないだろ?
でも、何もないっていうことは何でもあるっていうことだぜ!」
とネガティヴをポジティブに変換させるように、そしてその言葉をリアルなものにするために、スカパラホーンズと森山直太朗がステージに登場。森山直太朗は星条旗の服を着て、顔にはペイントを施しているのだが、それはこのメンバーでカバーした「走れ正直者」を歌っていた西城秀樹のモノマネであることが、森山直太朗の普段とは全く違う歌い方と、ムダに
「ギャランドゥー!」
と叫んでいることからもわかる。モノマネのクオリティはめちゃくちゃ高いが、完全にこのフェスにおける立ち位置はお笑い枠を超えて飛び道具枠になりつつある。
スカパラホーンズと森山直太朗の代わりにステージに登場したのは、ちびまる子ちゃんとコジコジという、さくらももこのキャラクターのコスプレをした、ももクロのメンバーたち。綾小路翔はおもちゃみたいなギターを弾いて近藤房之助になり切る、B.B.クイーンズ「おどるポンポコリン」のカバーで、このフェスだからこそのコラボでの楽しさを味あわせながら、亡くなってしまった西城秀樹とさくらももこへの追悼の意を示す。いなくなっても、その意志を継ぐものがいる限り、その人の存在は消えないし、これからもずっと生き続けていく。あらゆるカルチャーに精通してきた氣志團だからこそ、受け継げるものは多いはずだ。
前日同様に綾小路翔がギター、早乙女光はトランペットという編成で氣志團の音楽的な器用さと、氣志團の地元への愛を感じさせる「落陽」で誰もがセンチメンタルな気分になると、この日も「One Night Carnival」で大合唱を巻き起こし、
「俺たちはいつだって、あの海に!この空に!この街に!そしてお前たちに!」
と言ってから
「恋しているのさ〜」
と歌って感動的な場面を作ったのも束の間、前日同様に
「みんなが思ってること。それは…この曲飽きた」
というやり取りから、メンバーによる謝罪、そして「One Night Carnival」の2018年バージョンである、DA PUMP「U.S.A.」とのマッシュアップバージョン「O.N.C.」の歌詞とダンスで爆笑を巻き起こす。もうこの日限りで聴けなくなるのは実にもったいないので、いっそこのバージョンで音源化して欲しいくらいに歌詞のハマり方が完璧過ぎる。
そして平成最後の氣志團万博の最後の曲は、メンバーたちの着ぐるみが出てきて大団円となった、フェスのテーマソング的な「ゆかいな仲間たち」。最後の花火がやけに尻すぼみな感じだったのが、実に氣志團らしかった。
氣志團万博はもはや誰が出てもOK、というくらいにラインアップがカオスになるのが当たり前なフェスになっている。でも他のフェスでこのメンツが集まったら荒れる可能性だってあるのにそうならないのは、それをずっと続けてきたから。普通じゃないことでも、続けていれば当たり前になる。それは他のどこにもないこのスタイルのフェスを続けてきた氣志團の力でしかない。
1.鉄のハート
2.The アイシテル
3.走れ正直者 w/ スカパラホーンズ、森山直太朗
4.おどるポンポコリン w/ ももいろクローバーZ
5.落陽
6.One Night Carnival
7.O.N.C. (One Night Carnival 2018)
8.ゆかいな仲間たち
One Night Carnival
https://youtu.be/SJsx3FVudys
2005年に千葉ロッテマリーンズが日本一になった時、スポーツ新聞に千葉出身ということで綾小路翔のコメントが載っていたのだが、その内容は
「千葉にはBUMP OF CHICKENがいる!ELLEGARDENがいる!そして千葉ロッテマリーンズがいる!」
と、氣志團の名前を一切出さないという自虐っぷりを発揮していたのだが、こうして千葉でずっとこのフェスを続けている氣志團こそが、1番の千葉の誇り。このフェスの時ほど、千葉県民で良かったと思う時はない。だから、また来年もここに来れますように。
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