氣志團万博 2018 ~房総爆音爆勝宣言~ day1 @袖ヶ浦海浜公園 9/15
- 2018/09/17
- 22:12
毎年このフェスならではの出演者が反響を呼び、バンドの地元と言ってもいい袖ヶ浦海浜公園で行われている、氣志團主催のフェス、氣志團万博。今年もこの時期に2days開催。
去年は両日ともに雨に見舞われたが、今年も初日は開場前から雨模様。会場内にはこのフェスだからこその地元の飲食ブースや千葉県のゆるキャラのチーバくんグッズなど、他ではなかなか見れないような店が並んでいる。
ステージは今年もメインのYASSAI STAGEとサブのMOSSAI STAGEの2ステージ制で時間被りなし。YASSAI STAGEは規模的には新木場の若洲公園でのフェスのメインステージくらい。MOSSAI STAGEはロッキンオン主催のフェスなら1番小さいステージよりも小さいくらいのキャパ。若洲公園のフェスだと1番小さいステージと同じくらいだろうか。そのくらいのキャパとは思えないアーティストがズラリと並んでいるという豪華さだが。
このフェスは開場が9時で、WELCOME ACTというオープニングアクト的な出演者が9時40分から始まるというタイムテーブルのため、相当早くから来て開場待ちをしていないとその時間に間に合わないのだが、案の定今年も開場待ちをしていたにもかかわらずその時間には間に合わず。そこは開場時間を早めるなどをして欲しいのだが。
そのWELCOME ACTの、オメでたい頭でなによりは、歌い手の赤飯を中心としたバンド。メンバーの高い演奏力をフルに発揮したラウドロックをやったかと思いきや、アイドル的な打ち込みのポップソングまでもやってしまう幅の広さと柔軟さを見せつつ、最後にはセルフタイトル曲である「オメでたい頭でなにより」で客席に巨大なサークルを作らせ、赤飯はステージを飛び降りてその中心に入っていって歌う。しかしそれだけでは終わらず、アウトロで
「かかってこいよ!」
と言うと、サークルを組んでいた人たちが赤飯に向かって走っていってモッシュをしまくり、最後には赤飯がダイバーのように持ち上げられてステージまで戻されていった。この雨が降る朝10時台とは思えぬ本気っぷりとテンションの高さ。このバンドがなぜ今あらゆるフェスに引っ張りだこになっているかの理由がこのわずかな時間でもわかったような気がする。
オメでたい頭でなにより
https://youtu.be/Jo7nkDUnr2s
10:15~ 森山直太朗 [OPENING CEREMONEY ACT]
開会宣言担当的な位置のOPENING CEREMONEY ACT。アーティストとしてこの枠でおなじみという無駄な豪華さがまた実にこのフェスらしい、綾小路翔の親友である、森山直太朗。
本人の「さくら」ではなくてケツメイシの「さくら」が流れる中でメインステージであるYASSAI STAGEの花道の下から浴衣を着てせり上がってくるという登場もどこか自虐感を感じさせる中、
「氣志團万博には悪い人がいっぱい来てますんでね、スリや置き引きや痴漢に気をつけてくださいね」
となぜかフェスの品位を貶めるようなことを言うと、
「では僕が18年前に、このフェスのために作った曲を」
と言ってアコギの弾き語りで演奏されたのは最大のヒット曲「さくら」。当然ながら18年前にはこのフェスは始まっておらず、嘘ばかり言っているオープニングセレモニーである。まだ朝10時だからか、今まで見た中で1番声の調子も良くないように感じたが。
しかしそれだけでは終わらず、
「ちょっとサプライズを用意してますんでね。この後、綾小路翔が出てきて、一緒に作った「バームクーヘン」っていう曲の2番を歌ってくれますんで。翔も、
「いきなり朝から出てきたらみんな驚いて喜んでくれるかなぁ」
って言ってたんで!(笑)
あと、僕も翔が出てきた時にすごいビックリしたリアクションを取るんで、そこも注目してください!(笑)」
とサプライズを先にネタバレしてしまいながら、コラボ曲「バームクーヘン」で浴衣を着た綾小路翔が登場。森山直太朗は予告通りに、
「ちょっとスタッフ~!聞いてないよ~!」
と白々しいリアクションを見せながら、最後は2人で仲良く2018年の氣志團万博の開催を宣言した。
1.さくら
2.バームクーヘン w/ 綾小路翔
さくら
https://youtu.be/p_2F2lKV9uA
10:30~ TRF [YASSAI STAGE]
このフェスが他のフェスとは異なるのは、各アーティストの登場前に綾小路翔がその出演者について語ったり、逆に出演者がこのフェスについて語る紹介VTRがあること。そのVTRの中で
「我々氣志團と同じ、ダンスを基調としたグループ」
と紹介された、TRF。90年代の音楽シーンを席巻した存在が、このフェスに初出演。
今やなぜかバラエティ番組でもおなじみのDJ KOOが先にステージに登場して音を出し始めると、SAM、ETSU、CHIHARUのダンサー、さらにボーカルのYU-KIもステージに登場し、「Overnight Sensation 〜時代はあなたに委ねてる〜」からスタート。さらにはまだ夏フェスと言っていい時期にもかかわらず「寒い夜だから…」と大ヒット曲の連発で客席は早くも歓喜。こうしたダンスグループやシンガーでは年齢を経るにつれて昔の曲のキーが出せなくなるような人もたまにいるが、YU-KIは今でも当時とほとんど変わらない(さすがに全く一緒ではないけれど)伸びやかなボーカルを聴かせてくれる。
このフェスに初めて出れた感謝を伝えると、バラード曲「LEGEND OF WIND」を挟み、若手男性ダンサーも登場してこの広いステージを賑やかにしながら、メドレー的に「BOY MEETS GIRL」「CRAZY GONNA CRAZY」「EZ DO DANCE」と大ヒット曲を連発。こうして今でも歌えるくらいにかつて何度となく聴いていた曲を聴くと改めてこのグループが当時の音楽シーンにおいて小室哲哉プロデュースサウンドの中核をglobeとともに担っていたということを思い知らされる。ある意味では時代そのものだったというか。
だからこそ、進化のスピードが他の音楽よりもダンスミュージックにおいては今やEDMすら古く感じてしまうくらいであるため、やはり懐メロとして感じてしまうというか、今の若い人がこれらの曲を聴いて好きになるか?と言われるとちょっと素直に首を縦に振れないところがある。
ラストの「survival dAnce」も確かに楽しかったが、もうこれらの曲を超えるようなものはこのグループからは生まれてこないんだろうなぁとも思ったし、一時代を築いたプロデュースサウンドはその時代を超えると新しい時代に置いていかれてしまうのかもしれない、とも思った。それでも当時と変わらずに活動を続けているメンバーは本当に凄い。
1.Overnight Sensation 〜時代はあなたに委ねてる〜
2.寒い夜だから…
3.LEGEND OF WIND
4.BOY MEETS GIRL
5.CRAZY GONNA CRAZY
6.EZ DO DANCE
7.Where to begin
8.survival dAnce 〜no no cry more〜
EZ DO DANCE
https://youtu.be/LKEWlU4rkxc
11:15〜 KEYTALK [MOSSAI STAGE]
今や大型フェスにおいてもメインステージに登場するようになった、音楽の街・下北沢代表のKEYTALK。このフェスには初出演となる。
綾小路翔「我々も若手時代には下北沢のライブハウスで数々の伝説を残してきましたから…」
スタッフ「下北沢で氣志團がすごかったっていう話って聞いてたりします?」
武正「いや、僕は聞いたことないですね〜」
綾小路翔「……………
まぁ、下北沢はもう君たちの街だ。だが、kenken(RIZE,Dragon Ash)には気をつけろ。彼に逆らうと下北沢で生きていけなくなるから!」
という下北沢についての両者の見解がまるで違うVTRの後に「物販」のSEでメンバーが登場し、「桜花爛漫」からスタート。
この曲、次々に新しい曲が出まくっている中でも全くセトリから外れる兆候がないのは、フェスという初めてこのバンドのことを見る人も多いであろう場所で自分たちのメロディーの良さを最もわかってもらえる曲であるという意識があったりするのだろうか。
巨匠がサングラスをかけた「Summer Venus」では間奏のEDM部分で巨匠、義勝、武正の3人がDA PUMP「U.S.A.」の振り付けを踊り、八木もサングラスをかけてドラムを叩くのだが、いつにも増して野太い声で巨匠と義勝が歌う部分が多かったのは氣志團のフェスだから、というヤンキー感を出していく要素もあったのだろうか。
ポップに飛び跳ねる「Love me」から、フェスにおいては毎回何かしらセトリを変えてくるこのバンドがこの日日替わり曲的な感じで演奏したのは最新アルバム「RAINBOW」の1曲目に収録されている「ワルシャワの夜に」。なぜこの曲をこのタイミングで演奏したのかわからないくらいにフェスではほとんど演奏してこなかった曲である。
晴れバンドであるこのバンドのライブにおいては珍しく雨が降る中でのライブとなったことで、普段はライブをしていても全く汗をかかない義勝が濡れまくっていることに武正がツッコむが、その武正も雨で髪が濡れてパーマがペシャンコになっているといういつもとはちょっと見た目が違う中ではあるが、いつもと全く変わらぬ盛り上がりを見せたのはラストの「MATSURI BAYASHI」から「MONSTER DANCE」というKEYTALKの、というよりも現在の日本のロックフェスにおいての鉄板的な流れ。「MONSTER DANCE」ではたくさんの人がMVのダンスを踊っていただけに、このバンドの存在と楽曲はこうした普段とは少し違う毛色のフェスに出てもしっかりと認知されていることを示していた。
しかしながら他のフェスでは持ち時間が長いメインステージに出るようになってきているだけに、やはり30分という持ち時間は物足りなく感じてしまう。
1.桜花爛漫
2.Summer Venus
3.Love me
4.ワルシャワの夜に
5.MATSURI BAYASHI
6.MONSTER DANCE
MONSTER DANCE
https://youtu.be/N39glrfql0I
11:50〜 SiM [YASSAI STAGE]
綾小路翔「SiMを見ていると、「仲間たちみんなで上がっていこう!」っていう意識を感じる。coldrainとかもSiMがいるから出てくれたっていうのもあるんだろうし。僕らの時代は競ってたのが鳥肌実とかでしたからね(笑)
みんなで上がっていこうっていうんじゃなくて、足の引っ張り合い(笑)
もしくはいかに相手を貶めて自分たちが上がっていくかっていうことばっかり考えてた(笑)」
と、DEAD POP FESTiVALを主催している(氣志團も出演したことがある)意志をしっかり笑いを交えて紹介された、SiM。このフェスには4年連続での出演ということで、完全にレギュラーと言っていい存在。
メンバーが登場すると、いきなりの「KiLLiNG ME」でスタートするのだが、ラブシャでやっていたような、観客をステージに上げてギターを弾かせるというようなパフォーマンスはなく、間奏部分で観客を全員座らせてからジャンプさせるといういつものバージョンに。とはいえ、雨が降る中でこのフェスのメインステージであるこのYASSAI STAGE特有の花道をずぶ濡れになりながらも歩きながら歌うMAHの姿は悪魔というよりもカリスマそのものであるし、ラウドバンドでこうして堂々とこの花道を使える存在もなかなかいないと思う。
超巨大な左回りサークルを出現させた「Faster Than The Clock」、SHOW-HATEが奏でる不穏な電子音に合わせてモンキーダンスさせまくる「GUNSHOTS」と、このバンドで見ることのできない景色をこのフェスのメインステージでもしっかり見せつけると、花道のど真ん中でMAHが
「4年連続でこの房総半島まで通ってるけど、マジでなんっっっにもないな!俺たちの地元の湘南もなんにもないけど、だからこそ氣志團や俺たちみたいな奴らが何もないところで何か燃えたぎるようなものを持ってバンドを始めたんだと思う」
と、自身と氣志團に確かに通ずる精神性を語ると、「WHO'S NEXT」からはこれぞSiMのラウドロックと言わんばかりにSINはステージでツーステを踏んだりして踊りまくりながらベースを弾き、次々にダイバーがステージの方に転がっていく。氣志團というお茶の間にも存在が知れ渡っている存在が主催しているフェスであることを忘れてしまうような光景である。
「北海道で地震が起きて。大阪では台風が起きて。いろんなフェスが今年は中止になったりしてます。だから今日は雨が降ってるけど、お前らがチケットを買って、こうやってここに来てライブが見れていて、俺たちがこうやってライブをやってるのも当たり前のことなんかじゃないからな!いつだってこれが最後になるかもしれないんだからな!」
とMAHが悪魔らしからぬライブにおける真理を語ったのだが、確かに地震や台風はあったけれど、このタイミングでMAHがそういうことを言う理由を自分はこの時は不思議に思いながら聞いていた。しかし、このおよそ7時間後のこのステージで、「もしかしたらMAHはこのことを知っていてこう言ったのかもしれない」と思うことになるとは、この時は思いもしなかった。
そんな中でやはり雨に打たれながら観客の合唱を煽る「Blah Blah Blah」から、
「時間まだある?…ちょうどいいくらいあるな(笑)」
とラブシャのラストを彷彿とさせるようなことを言いながら、最後は「f.a.i.t.h」で巨大ウォールオブデスを炸裂させ、ラウドロックバンドとしてこのステージに立つ意味をしっかり示してみせた。
ちなみにかつて氣志團がDEAD POP FESTiVALに出た時は「KiLLiNG ME」のカバーを2回連続でやっていたので、SiM側がこのフェスでそうしたことをやる姿もちょっと見てみたかったりする。
1.KiLLiNG ME
2.Faster Than The Clock
3.GUNSHOTS
4.WHO'S NEXT
5.MAKE ME DEAD!
6.Blah Blah Blah
7.f.a.i.t.h
KiLLiNG ME
https://youtu.be/vyUMYYc8lxU
12:35〜 岡崎体育 [MOSSAI STAGE]
去年、一昨年とこのMOSSAI STAGEのトリ。ROCK IN JAPAN FES.でもメインステージに出演するなど、状況的には間違いなくメインのYASSAI STAGEに出るべき存在の岡崎体育だが、
「岡崎君的にはこの方がオイシイのかな、って(笑)」
「いやー、あれだけ常識を打ち壊してきた岡崎体育がですよ?「フェスのメインステージに出るのが目標です!」みたいな普通のことは言わないでしょ〜って(笑)」
と、紹介VTRで散々いじられたことで、綾小路翔を「あの金髪リーゼント」と呼び、
「それなら僕は、MOSSAI STAGEの神・MOSSAI様になります」
と不敵に宣言。ステージには
「MOSSAI STAGEの神 MOSSAI様〜」
という不気味極まりない、このためだけに作った曲が流れ始めると、SiMのMAHのようなメイクをした(岡崎体育もSiMの主催フェスに出ているなど仲が良い)岡崎体育、もといMOSSAI様が登場し、その不気味な曲を観客に歌わせるのだが、
「なんか変な宗教みたいやな(笑)」
とセルフツッコミを入れると、いつものように
「じゃんけんで僕に勝った人だけが踊っていい」
「世界一安全なウォールオブデス、Walk Of Deathをみんなでやりましょう!」
と、収まりきらないくらいに集まった人たちと岡崎体育ワールドを作り上げていく。
バラードを歌い上げる岡崎体育にもう1人の岡崎体育がツッコミを入れていくという、このフェスにおいてはおなじみの「Voice Of Heart 2」で笑わせまくると、ラストは「盆地テクノ」と称される岡崎体育のハイクオリティなダンスミュージックで踊らせまくり、曲が終わると、
「2020年までに絶対さいたまスーパーアリーナでワンマンライブをします!」
と改めて宣言。それは綾小路翔が言うところの「普通の目標」であるのだが、逆に言うと岡崎体育ほどシニカルな視点を持った男ですらもそうした場所を目指す、というミュージシャンが抱く夢はどんな時代になっても変わらないということを示している。
1.MOSSAI様
2.Stamp
3.R.S.P
4.Walk Of Death
5.Voice Of Heart 2
6.XXL
7.The Abyss
13:10〜 JUN SKY WALKER(S) [YASSAI STAGE]
1980年代後半から1990年代中盤までのいわゆる「バンドブーム」に綾小路翔をはじめとした氣志團は大きな影響を受けていることを公言しているが、そのバンドブームの中でもひときわ巨大な存在であった(オリコン1位を獲得するくらい)、JUN SKY WALKER(S)がこのフェスに初出演。
バンドブーム当時のことやジュンスカのことを、
「木更津でもライブハウスに10組バンドが出てたら8組はジュンスカのカバーやコピーやってて。「すてきな夜空」品評会みたいになってた(笑)」
「なんで解散したんですか?って前に聞いたら、「仲悪かったんだよね〜」って普通に言ってて(笑)
「全部このままで」って歌ってたじゃん!って(笑)」
と綾小路翔が回想した後にメンバーがステージに登場。宮田和弥(ボーカル)、森純太(ギター)、寺岡呼人(ベース)、小林雅之(ドラム)という4人だけの編成に変化はないし、一時期かなり太っていた森純太の体型が元に戻ってからは見た目も老化していないように見える。(特に、ゆずなどのプロデューサーとしても知られる寺岡呼人は全く見た目が変わらない)
「歩いていこう」「START」とかつて時代を駆け抜けた名曲が次々に演奏されるのも当然、今年はバンドがメジャーデビュー30周年であり、ベスト盤のリリース、全国30箇所を廻るツアーが開催されるというメモリアルイヤーだからである。
「MY GENERATION」で大合唱を巻き起こすと、シンガーソングライターの宇宙まおがカバーした切ないバラード「休みの日」、さらには再結成直後にリリースされた、とかく青春性の強さを感じさせ、求められてきたこのバンドがこれからもそうやって進んでいくという意志を曲にした「青春」と、短い時間に今の30周年のジュンスカの全てを詰め込んでいく。和弥のボーカルは若さ特有の棘のようなものはなくなっているが、そのぶん遠くまでもしっかり聴こえるような歌い方になっているし、やはり現代のメロコアやパンクと比べるとテンポの遅いパンクには時代感を感じてしまうが、プロデューサーとして若い世代と常に音楽を作ってきた寺岡呼人、POTSHOTのドラマーとしても活動してきた小林によるリズムはどっしりとした説得力に満ちている。
そして和弥が雨に濡れながらも花道を進んでいき、観客に合唱を求めた「すてきな夜空」では和弥が
「また深く君のこと 好きになったから」
の「君」の部分で寺岡呼人を指差し、寺岡呼人が「俺!?」みたいに動揺していたのが実に微笑ましい。
そしてラストの「全部このままで」では和弥だけでなく純太もギターを弾きながら花道を駆け出して、最後には一つのマイクで2人が
「全部このままで」
というサビのフレーズを歌う。その姿は、かつてこの曲を作っていた時に望んでいた姿と全く同じだったのかもしれない。
2008年、20周年のタイミングで、ジュンスカは解散以来、1年限りの活動をした。その最後の日(その時はこうして継続的に活動することになるとは思わなかった)である2008年12月31日のCOUNTDOWN JAPANのEARTH STAGEでのライブが終わったあと、30〜40代くらいの、おそらく10代の頃にずっとジュンスカを聴いていたであろう女性2人組が号泣しながら歩いていた。
もう二度と見ることができないと思っていたバンドをまた見ることができたという奇跡。当時の自分にはまだその感覚はわからなかった。でも今年、同じように10年ぶりにELLEGARDENのライブを見ることができた自分の心境は、あの時の女性たちと全く同じものだったんだ、ということが今になると本当によくわかる。
今年はジュンスカ。去年はユニコーンもこのフェスに出ているし、筋肉少女帯もいろんなところでライブしたり新しい曲を作っている。それらいわゆるバンドブーム期のバンドは、自分が存在を知った時にはすでに活動していなかった。でも、今自分は確かにそのバンドたちがライブをしている姿を見ることができている。それだけでも、本当に良い時代に生きているのかもしれない、と思う。
1.歩いていこう
2.START
3.MY GENERATION
4.休みの日
5.青春
6.すてきな夜空
7.全部このままで
すてきな夜空
https://youtu.be/ALO4Ho69xL4
13:55〜 04 Limited Sazabys [MOSSAI STAGE]
「曲良し 顔良し ライブ良し 仲良しの4拍子揃った、パンクシーンのニュータイプ」
と、おそらくバンド名に「サザビー」が入っているからであろう紹介VTRの後にメンバーが登場すると、氣志團のフェスということだからか、4人全員が黒いサングラスをかけており、
「ああ、どうしようどうしよう。氣志團万博初出演、最初の曲…swim!」
といきなりの「swim」でのっけからダイバーの嵐。KEYTALKと同様に今や巨大フェスでもメインステージに立つような存在になっているだけに、このMOSSAI STAGEでダイバーが続出する様はライブハウスで見ているかのような感覚さえ感じさせる。
観客をもっといいところへ連れていくべく「Warp」、自分たちの憧憬を高速ツービートの疾走感に変換してみせる「My Hero」、さらには
「初めて木更津キャッツアイで氣志團を見た時のことを思い出せ!」
と言っての「Remember」で、フォーリミの氣志團の原点が木更津キャッツアイであるということを知ることができる。もうあのドラマですらも15年以上前であることを考えると、入り口はどうであれ、フォーリミも氣志團と出会ってから長い年月が経っている。
自身も春に地元の名古屋で「YON FES」というフェスを主催しているが、
「このフェスはホスピタリティがすごい!ZOZO TOWNの社長が食べてるみたいな食べ物がめちゃいっぱいケータリングエリアにあるんで、タッパーにいっぱい詰めて帰りたいと思います!
みんなは俺たちのライブを心のタッパーに詰めて帰ってください!」
と氣志團の出演者への気遣いとバックヤードの豪華さに驚きを隠せない様子をみせる。
そしてラストは「Squall」から渾身の「monolith」でダイバーを続出させ、初出演のこのフェスにおいても確かな爪痕を残したが、こうして今までは出ていなかったフェスに出て、そのフェスの空気や裏側を知ることは、YON FESをさらに進化させていくことにつながる。きっとメンバーたちもYON FESをただ若い人気バンドたちが好きな人だけが来るフェスで終わりにするつもりはない。それを感じられるからこそ、こうしていろんなフェスでフォーリミのライブを見ると、またあのフェスに足を運びたくなる。
1.swim
2.Warp
3.My HERO
4.Remember
5.fiction
6.Squall
7.monolith
Squall
https://youtu.be/NRhmgBtRKBA
14:30〜 レキシ [YASSAI STAGE]
そのコンセプトから歌唱力、エンタメ性にいたるまで、綾小路翔が今最も嫉妬している男であるということが紹介された、レキシ。本人は「レキシダン、やるしかないでしょう!」とこのフェスにおいてのコラボを匂わせていたが、いざステージにレキシこと池ちゃんが登場すると、あろうことかアフロではなくリーゼントという衝撃のコラボの手法。なぜか似合っているのが不思議だが。
そんなリーゼントで十二単を着た池ちゃんが歌う「SHIKIBU」からスタートすると、十二単をタオルのように振り回して花道を進み、「ゲゲゲの鬼太郎」のタイアップである最新シングル「GET A NOTE」で観客にタオルを振らせると、早くも「狩りから稲作へ」に突入していくと、左右に伸びた花道を歌いながら歩く池ちゃんが珍しく歌詞が飛ぶという場面もあり。
客席では物販で売られている稲穂が揺れるが、
「買わなくてもこの辺周りにいくらでも稲穂生えてるから買わなくていい!
あと他のアーティストさんの時には絶対稲穂を振るなよ!和田アキ子さんの時とかは絶対ダメだぞ!(笑)」
とその稲穂をいじって笑わせながら、「One Night Carnival」をもじった「One Day 稲穂」、曲中の「キャッツ!」の部分で引退する安室奈美恵に思いを馳せた「キャッツ YOU CELEBRATE?」など、やはり他の人の曲を歌いまくって爆笑を巻き起こしていく。おそらく綾小路翔が最も嫉妬しているのはこういう部分だろう。
そしてラストは「きらきら武士」で終わったのだが、いつも時間を押しがちなレキシがまさかの時間が余りすぎるという、アクシデントと言ってもいいようなレベルの事態に見舞われる。かといってもう1曲追加するわけにもいかず、池ちゃんは呆然としていた。ある意味では髪型以上に珍しい場面を見れたのかもしれない。
1.SHIKIBU
2.GET A NOTE
3.狩りから稲作へ
4.きらきら武士
GET A NOTE
https://youtu.be/e-owBBwVYW4
15:15〜 coldrain [MOSSAI STAGE]
昨年はメンバー全員が特攻服を着て写真を撮ったり、ギターのSugiは布袋寅泰と一緒に写真を撮ってもらったりと、ライブ以外の部分も満喫しまくっていた、coldrain。2年連続の出演となる。
メンバーがステージに現れると、紹介VTRでウォールオブデスの場面が使われていたこともあり、最初の「24-7」からウォールオブデスを炸裂させ、さらに続く「To Be Alive」でもウォールオブデスをさせるという、まさかのウォールオブデス2連発。このフェスにおいて自分たちに何が求められているのか?というのをMasatoをはじめとしたメンバーたちはしっかり理解して臨んでいるのであろう。
「去年、初めて出させてもらって。去年は初めてだったから歌いあげるような曲はまた来年でいいかな、って思ってやらなかったんで、今日はそういう曲をやろうかなって思ってたんですけど、雨が降ってて寒い思いをしてると思うんで、今日も激しい曲しかやりません!」
と宣言し、「THE REVELATION」からはさらにギアを上げて、これぞ王道ラウドロック!というような曲を連発していき、「FEED THE FIRE」ではMasatoがカメラに近づいていってそのまま口づけするというパフォーマンスまで見せてしまう。
本人たちもアウェーだと思っていた去年のこのフェスでのライブがどこよりもホームと思えるような盛り上がりだったことが本当に嬉しかった、と言っていたが、それは今年も全く変わらないし、むしろその感覚は増していると思えるんじゃないか?と思えるくらいの凄まじい盛り上がりっぷりである。
で、そのホーム感はただ単にこのバンドと近い場所にいるようなSiMであったりフォーリミであったりっていうバンドが出ているから、ということではなくて、このバンドのライブの力でその状況を生み出していて、それがこのフェスにおけるホーム感に繋がっていると思う。
それぐらいに、わずか30分という短い時間でありながらも、自分たちの全てを出し切るというくらいの衝動に満ち溢れていて、それだけじゃなくてどの曲のどの部分で誰がどのように動くか、というところまでしっかりと決まっているように見える完璧なフォーメーション。その衝動と計算が実に高いレベルで融合している。
それがちゃんと伝わっているのがわかるのがこのフェスだからこそ、Masatoは
「ステージどこでもいいんで、また来年も絶対呼んでください!」
と叫んだ。確かに来年以降もこの場所でこのバンドのライブが見たいと思わするような、素晴らしいライブだった。
1.24-7
2.To Be Alive
3.THE REVELATION
4.FEED THE FIRE
5.FIRE IN THE SKY
6.ENVY
ENVY
https://youtu.be/2teepAfDrXI
15:50〜 Dragon Ash [YASSAI STAGE]
結成当時のスリーピースから徐々にメンバーが増えてきたバンドのストーリーを、
綾小路翔「ドラクエみたい。舞踏家2人いるし(笑)kjが勇者でBOTS君は魔法使いかな。なんか三宿あたりにルイーダの酒場的な店があるんじゃないかなって(笑)」
と例えられていた、Dragon Ash。2年連続でこのフェスに出演。
ラテンやサンバのビートを取り入れた「Ambitious」からスタートすると、ミクスチャーバンドとしての意識を強く感じさせる「Mix It Up」、特になんにも言わずに演奏が始まった、hide「ROCKET DIVE」のカバーと、自分たちの音楽の幅の広さ、聴いてきたり影響されてきた音楽の幅の広さをしっかりと感じさせてくれる。
そんな序盤の連打によって続出したダイバーたちに捧げるような「For diver's area」、kenkenのスラップベースとボーカルが客席をさらなる熱狂に誘っていく「The Live」、タイトル通りに観客が飛び跳ねまくる「Jump」と一気に後半まで突き進むと、
「俺たち出演者たちやお前ら観客だけじゃなくて、雨が降ってる中で交通整理をしているスタッフとか、おとなしいライブの時と変わらない給料なのにお前らのことを支えてくれるセキュリティのスタッフがいることでこのフェスは成り立っている。だからダイブして受け止めてもらった時には「ありがとう」って一言言ってから後ろに下がってくれ」
と、このフェスを支えるバイトのスタッフへの感謝を忘れないようにと言葉にするkj。自分がセキュリティをやっていてこういうこと言われたらその場で泣いてしまうかもしれないが、ステージ上の貴重な時間を使ってそうしたことを言ってくれることによって救われる気持ちになる人はたくさんいるだろうし、そういう人たちがいることによって我々はこうしてフェスに参加できているということを忘れたくない。
そしてラストはやはり「Fantasista」で、ATSUSHIとDRI-Vのダンサーも花道まで出てきて踊る中、kjはダイバーが続出する客席を見て、
「俺も混ぜてくれー!」
とステージを飛び降りてダイバーエリアに突入していく。その顔は楽しそうに転がっていくダイバーたちと全く同じ表情をしていた。
Dragon Ashは全国各地のあらゆるロックフェスに出演しているから、数え切れないくらいにいろんなところでライブを見ているけれど、どんな場所であってもライブが終わるとDragon Ashのためのステージだったように感じられる。そう思わせるくらいに凄いライブバンドであるということが、日本の音楽シーン(ロックシーンだけでなくもっと広い意味で)に革命を起こしてからもう20年近く経っても、こうして最前線の中の先頭を走れている理由だと思う。
また、とかく「カオス」と評され、脈絡がないようにすら見えるこのフェスのラインナップだが、この日のジュンスカ→フォーリミ、coldrain→Dragon Ashという流れは、直接的な影響こそなくても、一つの音楽のスタイルが時代や世代を超えて受け継いだり受け継がれていたりするのを示していたように思うし、氣志團のメンバーもそれは意識しているんじゃないかと思う。
1.Ambitious
2.Mix It Up
3.ROCKET DIVE
4.For diver's area
5.The Live
6.Jump
7.Fantasista
Mix It Up
https://youtu.be/IiVWKNcTgKw
17:10〜 和田アキ子 [YASSAI STAGE]
「この会場まで1.5歩でやってきた」
「かつて和田アキ子のフェスバージンを奪ったのは僕です」
と紹介された、和田アキ子。こんな超大御所でさえもこのフェスでは違和感なくラインナップに並んでいるというのが実にこのフェスならではである。
ホーン隊やコーラスなども含めたバンドメンバーが先に登場し、
「BIGMAMA」「アッコにおまかせ!」
というワードがモニターに次々と映し出される中で和田アキ子がステージに登場。
ソウルフルなボーカルで「笑って許して」「古い日記」という代表曲を歌うと、早くも花道を活用したりと、このフェスにはすでに出演したことがあるというのもあるだろうが、大物にもかかわらずに実にフェス慣れしているのがわかる。だからこそ本人もこのライブを楽しんでいることもよくわかる。
和田アキ子本人がソウルなどのブラックミュージックにずっと憧れ続けているという自身のルーツを語ると、今年アレサ・フランクリンが亡くなったことに触れ、そのカバーである「Rock Steady」を披露。サビでは観客に合唱もさせると、さらにTHE BAWDIESのライブSEとしておなじみのサム&デイヴ「Soul Man」のカバーと、和田アキ子本人が本当にソウルミュージックを追求しているのがよくわかるし、この曲はTHE BAWDIESもカバーしたこともあるが、それとはまた違う渋みみたいなものがある。
さらにはブルーノ・マーズの「Uptown Funk」のカバーまでも披露。ルーツ的な音楽だけでなく、常に最新のブラックミュージックをチェックし、聴いて研究しているという、歌手生活50年を迎えても尽きることのない音楽への探究心と愛はテレビ番組のご意見番としての顔だけを見ていてもなかなか知ることができないし、そうした姿勢は我々が60代を超えるような年齢になっても失わずにいたいものである、と改めて思わせてくれる。
そうして憧れの人が亡くなったりしてきた長い人生の中での経験を、いきものがかりの水野良樹に託した「また明日も会いましょう」ではモニターに歌詞が映し出される。決して特別なことが歌われているわけではないのだが、その歌詞を和田アキ子が歌うことによって、そうした彼女自身の様々な経験が歌に乗る。
確かに和田アキ子は歌が上手いが、Superflyなどと比べると飛び抜けて歌が上手いというほどではない。(若い時はそうだったのかもしれないが)
でもその声にはそうして何かを感じさせてくれるような力が宿っている。奇しくも翌日、樹木希林が亡くなり、葬儀に向かう和田アキ子の姿がニュースに出ていた。そうして、「また明日も会いましょう」と言えなくなってしまうことをたくさん経験してきたことが、間違いなく彼女の声に説得力をもたらしている。そしてそれを曲にすることができる水野良樹の作家としての素晴らしさを改めて実感させられた。
そしてラストはやはり「あの鐘を鳴らすのはあなた」で、日本のソウルシンガーとしての力を遺憾なく見せてくれた。なかなか毎年のように出演するのは難しいだろうけれど、ライブを見ると和田アキ子が本当の歌手でありミュージシャンであるということがわかるだけに、会えなくなってしまった人のぶんまで、これからももっとたくさんの人に届くような場所で歌い続けて欲しい。
1.真夏の夜の23時
2.笑って許して
3.古い日記
4.Rock Steady
5.SOUL MAN
6.Uptown Funk
7.また明日も会いましょう
8.あの鐘を鳴らすのはあなた
あの鐘を鳴らすのはあなた
https://youtu.be/EygCaSZa--8
17:55〜 竹原ピストル [MOSSAI STAGE]
実は綾小路翔とは同い年、しかも木更津の拓大紅陵高校のボクシング部の副主将を務めていた、竹原ピストル。ガチな強さなら和田アキ子と並んでこの日の出演者の中で最強と評された、竹原ピストル。青春時代に過ごした街へ凱旋となる。
いつものように頭にタオルを巻き、アコギを弾きながら「オールドルーキー」でスタート。全てを振り絞るような歌い方は感情が入り込みまくっている。
「薬づけでも生きろ」
と和歌山に住む自身のファンへ歌う「LIVE IN 和歌山」まで聴いて、この人と同じように弾き語りで歌う人を知っていることを思い出した。それはa flood of circleの佐々木亮介なのだが、彼の弾き語りでの「無題」という曲はこの曲と全くことを感じさせる。上手さではなく、自分の見たものや感じたことで魂を振り絞るというのが歌であり、弾き語るということ。だからこそ心に響くし、竹原ピストルの歌は紅白歌合戦という舞台にまで届いたのである。
CMで大量オンエアされている「よー、そこの若いの」で初めてライブを見る人への気配りも見せると、自身が青春時代を過ごしたこの地で初めて歌えることの嬉しさを語る。蘇我や君津にも友達がいるということを話していたが、なかなか「君津」という地名が口から出てくるアーティストもいないであろう。
「あの、僕はすごく楽しいんですけど、みなさんは楽しんでもらえてますかね?たまに確認しないと、自分だけが楽しんでるんじゃないかって思っちゃうんで」
と客席に問いかけると、聞くまでもないだろうと言わんばかりの大歓声があがる。それは竹原ピストルの本気のパフォーマンスによって導かれたものであるのは間違いない。
自身の心境を世界で愛される曲に載せた「Amazing Grace」を歌い切ると、
「実は翔さんとはちゃんと話したことがまだないんですが、ライブが終わったら思い切って「翔やん」って呼んでみようかなぁ」
と笑いながら話して再び大歓声を浴びると、最後の「ぐるぐる」も全力で歌い、初の凱旋ライブを終えた。
和田アキ子も竹原ピストルの大ファンらしいが、それもよくわかる。両者には自分の人生や経験が歌に乗ることによって説得力がさらに増すシンガーであるという共通点があるから。そしてその歌を聴いていた自分の心が震えていたのも確かに感じていた。ベストアクト候補筆頭の素晴らしいライブだった。
1.オールドルーキー
2.LIVE IN 和歌山
3.よー、そこの若いの
4.おーい!おーい!
5.みんな〜、やってるか!
6.Amazing Grace
7.ぐるぐる
よー、そこの若いの
https://youtu.be/G9YgNxMB9Uo
18:30〜 マキシマム ザ ホルモン [YASSAI STAGE]
綾小路翔「ナヲちゃんの下の子の父親は僕です」
ナヲ「FUNKY MONKEY BABYSでーす!」
と、嘘の応酬的な紹介VTRで始まる前から爆笑を巻き起こした、マキシマム ザ ホルモン。間違いなくこの日の最大動員と言っていいくらいのすごい人数が詰めかけている。
と思ったらかつて偽の新曲として公開された「小さな君の手」をメンバーの緩いマイクリレーで歌うという意表を突きまくるオープニングに、客席からは笑いと「?」が。しかし公開時の映像同様にその穏やかな、ホルモンらしさ0%のサウンドに吐瀉物を吐きかけるように「maximum the hormone」の轟音ラウドサウンドでいつものホルモンに戻っていく。
フォーリミ同様にこのフェスのホスピタリティに感謝を告げながら、20年前に下北沢の屋根裏で氣志團と対バンしたから今がある、という氣志團との歴史を語りながら、その時のもう1組の対バン相手であった、スニーカーズ(ナヲいわく本人たち以外に誰も知らないくらいのバンドらしい)へも感謝を告げると、「中2 ザ ビーム」からはモニターにライブ映像だけではなく、MVなどの様々な映像が映し出されるという特別な演出も手伝って、完全にこのバンドの野外ワンマンのような空気感に染まっていく。
ダイスケはんがパーカッションを叩く「爪爪爪」、上ちゃんもボーカルを取る、研ぎ澄まされた高速パンクナンバー「メス豚のケツにビンタ(キックも)」と、近年はフェスごとにガラッとセトリを変えていることでも話題を呼んでいるが、その中でも割と近年の曲に振り切ったような内容。もちろん「爪爪爪」のように中身はアップデートされているのだが。
と思いきや「川北猿員」という懐かしい曲もぶっ込んでくるのだから全く油断ならないが、いつもはフェスで時間を押しがちなこのバンドが珍しく時間が余っているということで、TRFのDJ KOOの「EZ DO DANCE」の言い方を他の曲にも適用しまくるという悪ノリを繰り返しているうちにやはり時間がなくなり、一発勝負の恋のおまじないから、ラストは「恋のスペルマ」で踊らせまくってライブを終えた。
そんな、いつも通りの楽しいホルモンのライブだと思っていたのだが、モニターには「マキシマム ザ ホルモンからの大切なお知らせ」という、今まであらゆるネタで我々を驚かせてきたバンドとは思えないシンプルさが深刻さを物語るお知らせが。
そこでは、2日後のHEY-SMITH主催のHAZIKETEMAZARE FES.をもって、バンドが当面の間ライブ活動を休止することが告げられた。それはこの時は理由も、本当なのかネタなのかもわからなかったが、MAN WITH A MISSIONとの対バンやMONGOL800の主催フェスまでもキャンセルするというのをこうしてメンバーの口からではなくて公式アナウンスでする、というのはネタではないことがすぐにわかったし、その理由が決していいものではないこともすぐにわかってしまった。
早くも発表後には様々な予想が飛び交っていたが、「ナヲの第三子妊娠」という予想も、前回あれだけ計画的な妊活で活動休止したこのバンドからは考えにくいし、「制作に専念するため」というのも、このバンドが仲間たちのライブを断ってまでするわけがない。
結果的にはダイスケはんのヘルニアの手術という発表がされたわけだが、この日モニターに映し出された発表のあと、それまでの楽しかった空気は一気に凍りついてしまった。バンドの解散や活動休止を発表した時のこの空気は何度経験しても慣れることはない。
そしてSiMのMAHが
「ライブを見れるのは当たり前のことではない」
とMCで口にしたのは、やはりこのことを知っていたからなんだな、というのがここでようやくわかった。MAN WITH A MISSIONのライブには、ホルモンの代打でSiMが出演する。ステージ上では悪魔キャラを演じているけれど、本当に男らしい、カッコいいバンドだな、と思うし、今はダイスケはんが早く良くなって再びステージに立つのを待つしかない。
1.小さな君の手
2.maximum the hormone
3.中2 ザ ビーム
4.爪爪爪
5.メス豚のケツにビンタ(キックも)
6.川北猿員
7.恋のスペルマ
恋のスペルマ
https://youtu.be/Nw8624J0s5Y
19:15〜 打首獄門同好会 [MOSSAI STAGE]
初日のこのMOSSAI STAGEのトリは、綾小路翔に
「同じプロレスラーの匂いがする。ゴールデンボンバーを初めて見た時も「生き別れの兄弟に出会った」みたいな感じだったけど、あいつらは「氣志團に影響を受けた」って全く言わないから(笑)」
とシンパシーを感じていることを告げられた、生活密着型ラウドロックバンド、打首獄門同好会。
サウンドチェック時にすでにばら撒いていたうまい棒が客席で振られる「デリシャスティック」からスタートするが、VJのサカムケ☆レシピが卒業を控えているため、引き継ぎ的なところも含めてなのか、VJは2人体制に。
木更津の海に思いを馳せながら、そこで釣れるのかわからない魚たちの料理名を列挙した「島国DNA」と、パンク・ラウドバンドが数多く集まったこの日のこのステージのトリを任されたのも納得の重厚なサウンドを響かせていくと、Dr.COYASSを迎えた「歯痛くて」ではコーラスに氣志團の「One Night Carnival」の「Angel」のフレーズを巧みに取り入れてみせる。目に見えてラップの技術が向上しているDr.COYASSは10月に中目黒に自身の歯医者を開業する、という今までライブのステージ上で他に誰も言ったことがないであろう告知をしてステージを去っていった。
もうタイトルからしてそのまんまな内容の新曲「はたらきたくない」から、
「氣志團万博は戦だ」
と戦争につなげてみせる「きのこたけのこ戦争」と、大澤のMCも噛み気味ながら実に巧み。
そしてラストは当然「日本の米」なのだが、
「私、今日はTRFの時間からずっといろんな出演者のライブを見てきておりますが、レキシが「他の出演者の時は振るなよ!」と言っていた、稲穂を唯一振ってもいい時間がやってきました。みなさん、秋になりました。日本のお米の豊作を祈ってご唱和ください!」
と、レキシの稲穂が客席で揺れる中で
「日本の米は世界一!」
の大合唱が轟くという、この日のこのフェスだからこそのコラボも果たすと、演奏終了後には、
「さぁ、みんなで氣志團見に行こうぜー!」
と主催者への敬意を忘れない大澤は実にカッコいい男だと思う。
やっぱり氣志團よりも筋肉少女帯の影響の方を強く感じてしまうけれど。
1.デリシャスティック
2.島国DNA
3.歯痛くて feat.Dr.COYASS
4.はたらきたくない
5.きのこたけのこ戦争
6.日本の米
はたらきたくない
https://youtu.be/GR-mLGV0X1I
19:50〜 氣志團 [YASSAI STAGE]
主催者でありながらも、実は両日ともトリを務めるのは今年が初めてであるという氣志團。紹介VTRも
「平成最後の氣志團万博、そのトリを務めるのは俺たちじゃなきゃダメなんだ」
という実に真面目なもの。
メンバーが登場し、綾小路翔もギターを弾いて音を合わせるという、「バンド・氣志團」を感じさせるカッコいいオープニングから、ドレスコーズの志磨遼平が手がけた「スポットライト」からスタート。随所に志磨遼平らしさを感じさせる曲だが、こうしてライブで聴くと氣志團のものにしか感じないというのは両者ともにさすがである。
打ち込みも取り入れたポップな「The アイシテル」では大量のダンサーが登場し、途中で綾小路翔の元に詰めかけて綾小路翔がもみくちゃにされるという実に氣志團らしい演出もあり、「週末番長」では各メンバーが楽器を置いてラップをするという、綾小路翔だけではなく、メンバー1人1人がこのフェスの主催者であるというメッセージを感じさせてくれる。
「毎年来てくれてる人も、初めて来てくれた人もいると思うけど、どうだい?俺たちの地元は?なんもねぇだろ?」
と氣志團万博ではおなじみのMCから、地元のことを歌った「落陽」へ。タイトル通りにオレンジ色の照明がメンバーたちを照らす中、綾小路翔がギター、早乙女光はトランペットを演奏するという、実はパフォーマンスだけでなく音楽集団としても高いレベルを持っている氣志團の魅力を見せてくれる。
そして最大のヒット曲である「One Night Carnival」では会場中の人が振り付けを踊る中、ブレイク部分で大合唱が響き渡り、
「俺たちはいつだって、あの海に!この空に!この街に!そして、お前達に!」
と恋しているものの名前を並べてから
「恋しているのさ〜」
と歌う姿はどこか感動的ですらある。
そんな、この日は面白いネタというよりもひたすら音楽的に突っ走るのかと思いきや、
「俺たち、今音楽で一つになれてんじゃね!?みんな同じ気持ちじゃね!?
みんなが思ってることをあえて口にすると、
「この曲古くね?」
わかってる。わかってたよ!アーティストはみんなブラッシュアップして進化していくのに、俺たちは17年前の曲に頼りっきりで、ブレイク部分ではお前達にドヤ顔で歌うことを強要したりしている!でもな、ヒット曲が出ないんだよ…(笑)逆にどうやったらヒット曲が出るのか教えてくれよ!(笑)
謝ります。ずっと17年前の曲に頼ったあげくに、みんなにドヤ顔で歌うことを強要して、申し訳ありませんでした!」
と花道でメンバーも楽器を置いて謝ると、「One Night Carnival」を2018年バージョンにブラッシュアップさせた、「O.N.C.」ことDA PUMP「U.S.A.」とマッシュアップさせたバージョンをメンバー全員で踊りながら披露して爆笑を巻き起こすあたりはやはりさすが。
「C'mon baby America」
と
「俺んとこ来ないか?」
がこんなに気持ち良く同じリズムにハマるとは。曲のマッシュアップもそうだし、ダンスも相当練習したはず。それは全て「来てくれてる人たちを楽しませたい」という一点によるもの。その氣志團が持っている思考を他の出演者たちも心からわかっているから、こんなに幅が広すぎるようなラインナップのフェスであっても、終わった後には「楽しかった」という感情しか出てこない。
そして最後は着ぐるみたちもステージに登場した、フェスのテーマソング的な「ゆかいな仲間たち」で、その楽しさはピークに達して大団円。演奏後には花火が上がり、ステージから去っていく綾小路翔の最後の一言は、
「ホルモン、すぐに戻ってくるから心配すんなよ!」
と、自分たちのことではなく、暗くなってしまいがちな観客のことを最後まで1番に考えていた。ホルモン、帰ってきたら、このフェスだけは絶対に出ないと。
1.スポットライト
2.The アイシテル
3.週末番長
4.落陽
5.One Night Carnival
6.O.N.C. (One Night Carnival 2018)
7.ゆかいな仲間たち
One Night Carnival
https://youtu.be/SJsx3FVudys
雨もあったが、決してテンションが下がるようなことはない1日だった。それはやはりこのフェスの空気と、出演したアーティストの熱演あってこそ。「明日はいったいどんな1日になるんだろうか」と楽しみにしながら帰路についた。
Next→ 9/16 氣志團万博 day2 @袖ヶ浦海浜公園
去年は両日ともに雨に見舞われたが、今年も初日は開場前から雨模様。会場内にはこのフェスだからこその地元の飲食ブースや千葉県のゆるキャラのチーバくんグッズなど、他ではなかなか見れないような店が並んでいる。
ステージは今年もメインのYASSAI STAGEとサブのMOSSAI STAGEの2ステージ制で時間被りなし。YASSAI STAGEは規模的には新木場の若洲公園でのフェスのメインステージくらい。MOSSAI STAGEはロッキンオン主催のフェスなら1番小さいステージよりも小さいくらいのキャパ。若洲公園のフェスだと1番小さいステージと同じくらいだろうか。そのくらいのキャパとは思えないアーティストがズラリと並んでいるという豪華さだが。
このフェスは開場が9時で、WELCOME ACTというオープニングアクト的な出演者が9時40分から始まるというタイムテーブルのため、相当早くから来て開場待ちをしていないとその時間に間に合わないのだが、案の定今年も開場待ちをしていたにもかかわらずその時間には間に合わず。そこは開場時間を早めるなどをして欲しいのだが。
そのWELCOME ACTの、オメでたい頭でなによりは、歌い手の赤飯を中心としたバンド。メンバーの高い演奏力をフルに発揮したラウドロックをやったかと思いきや、アイドル的な打ち込みのポップソングまでもやってしまう幅の広さと柔軟さを見せつつ、最後にはセルフタイトル曲である「オメでたい頭でなにより」で客席に巨大なサークルを作らせ、赤飯はステージを飛び降りてその中心に入っていって歌う。しかしそれだけでは終わらず、アウトロで
「かかってこいよ!」
と言うと、サークルを組んでいた人たちが赤飯に向かって走っていってモッシュをしまくり、最後には赤飯がダイバーのように持ち上げられてステージまで戻されていった。この雨が降る朝10時台とは思えぬ本気っぷりとテンションの高さ。このバンドがなぜ今あらゆるフェスに引っ張りだこになっているかの理由がこのわずかな時間でもわかったような気がする。
オメでたい頭でなにより
https://youtu.be/Jo7nkDUnr2s
10:15~ 森山直太朗 [OPENING CEREMONEY ACT]
開会宣言担当的な位置のOPENING CEREMONEY ACT。アーティストとしてこの枠でおなじみという無駄な豪華さがまた実にこのフェスらしい、綾小路翔の親友である、森山直太朗。
本人の「さくら」ではなくてケツメイシの「さくら」が流れる中でメインステージであるYASSAI STAGEの花道の下から浴衣を着てせり上がってくるという登場もどこか自虐感を感じさせる中、
「氣志團万博には悪い人がいっぱい来てますんでね、スリや置き引きや痴漢に気をつけてくださいね」
となぜかフェスの品位を貶めるようなことを言うと、
「では僕が18年前に、このフェスのために作った曲を」
と言ってアコギの弾き語りで演奏されたのは最大のヒット曲「さくら」。当然ながら18年前にはこのフェスは始まっておらず、嘘ばかり言っているオープニングセレモニーである。まだ朝10時だからか、今まで見た中で1番声の調子も良くないように感じたが。
しかしそれだけでは終わらず、
「ちょっとサプライズを用意してますんでね。この後、綾小路翔が出てきて、一緒に作った「バームクーヘン」っていう曲の2番を歌ってくれますんで。翔も、
「いきなり朝から出てきたらみんな驚いて喜んでくれるかなぁ」
って言ってたんで!(笑)
あと、僕も翔が出てきた時にすごいビックリしたリアクションを取るんで、そこも注目してください!(笑)」
とサプライズを先にネタバレしてしまいながら、コラボ曲「バームクーヘン」で浴衣を着た綾小路翔が登場。森山直太朗は予告通りに、
「ちょっとスタッフ~!聞いてないよ~!」
と白々しいリアクションを見せながら、最後は2人で仲良く2018年の氣志團万博の開催を宣言した。
1.さくら
2.バームクーヘン w/ 綾小路翔
さくら
https://youtu.be/p_2F2lKV9uA
10:30~ TRF [YASSAI STAGE]
このフェスが他のフェスとは異なるのは、各アーティストの登場前に綾小路翔がその出演者について語ったり、逆に出演者がこのフェスについて語る紹介VTRがあること。そのVTRの中で
「我々氣志團と同じ、ダンスを基調としたグループ」
と紹介された、TRF。90年代の音楽シーンを席巻した存在が、このフェスに初出演。
今やなぜかバラエティ番組でもおなじみのDJ KOOが先にステージに登場して音を出し始めると、SAM、ETSU、CHIHARUのダンサー、さらにボーカルのYU-KIもステージに登場し、「Overnight Sensation 〜時代はあなたに委ねてる〜」からスタート。さらにはまだ夏フェスと言っていい時期にもかかわらず「寒い夜だから…」と大ヒット曲の連発で客席は早くも歓喜。こうしたダンスグループやシンガーでは年齢を経るにつれて昔の曲のキーが出せなくなるような人もたまにいるが、YU-KIは今でも当時とほとんど変わらない(さすがに全く一緒ではないけれど)伸びやかなボーカルを聴かせてくれる。
このフェスに初めて出れた感謝を伝えると、バラード曲「LEGEND OF WIND」を挟み、若手男性ダンサーも登場してこの広いステージを賑やかにしながら、メドレー的に「BOY MEETS GIRL」「CRAZY GONNA CRAZY」「EZ DO DANCE」と大ヒット曲を連発。こうして今でも歌えるくらいにかつて何度となく聴いていた曲を聴くと改めてこのグループが当時の音楽シーンにおいて小室哲哉プロデュースサウンドの中核をglobeとともに担っていたということを思い知らされる。ある意味では時代そのものだったというか。
だからこそ、進化のスピードが他の音楽よりもダンスミュージックにおいては今やEDMすら古く感じてしまうくらいであるため、やはり懐メロとして感じてしまうというか、今の若い人がこれらの曲を聴いて好きになるか?と言われるとちょっと素直に首を縦に振れないところがある。
ラストの「survival dAnce」も確かに楽しかったが、もうこれらの曲を超えるようなものはこのグループからは生まれてこないんだろうなぁとも思ったし、一時代を築いたプロデュースサウンドはその時代を超えると新しい時代に置いていかれてしまうのかもしれない、とも思った。それでも当時と変わらずに活動を続けているメンバーは本当に凄い。
1.Overnight Sensation 〜時代はあなたに委ねてる〜
2.寒い夜だから…
3.LEGEND OF WIND
4.BOY MEETS GIRL
5.CRAZY GONNA CRAZY
6.EZ DO DANCE
7.Where to begin
8.survival dAnce 〜no no cry more〜
EZ DO DANCE
https://youtu.be/LKEWlU4rkxc
11:15〜 KEYTALK [MOSSAI STAGE]
今や大型フェスにおいてもメインステージに登場するようになった、音楽の街・下北沢代表のKEYTALK。このフェスには初出演となる。
綾小路翔「我々も若手時代には下北沢のライブハウスで数々の伝説を残してきましたから…」
スタッフ「下北沢で氣志團がすごかったっていう話って聞いてたりします?」
武正「いや、僕は聞いたことないですね〜」
綾小路翔「……………
まぁ、下北沢はもう君たちの街だ。だが、kenken(RIZE,Dragon Ash)には気をつけろ。彼に逆らうと下北沢で生きていけなくなるから!」
という下北沢についての両者の見解がまるで違うVTRの後に「物販」のSEでメンバーが登場し、「桜花爛漫」からスタート。
この曲、次々に新しい曲が出まくっている中でも全くセトリから外れる兆候がないのは、フェスという初めてこのバンドのことを見る人も多いであろう場所で自分たちのメロディーの良さを最もわかってもらえる曲であるという意識があったりするのだろうか。
巨匠がサングラスをかけた「Summer Venus」では間奏のEDM部分で巨匠、義勝、武正の3人がDA PUMP「U.S.A.」の振り付けを踊り、八木もサングラスをかけてドラムを叩くのだが、いつにも増して野太い声で巨匠と義勝が歌う部分が多かったのは氣志團のフェスだから、というヤンキー感を出していく要素もあったのだろうか。
ポップに飛び跳ねる「Love me」から、フェスにおいては毎回何かしらセトリを変えてくるこのバンドがこの日日替わり曲的な感じで演奏したのは最新アルバム「RAINBOW」の1曲目に収録されている「ワルシャワの夜に」。なぜこの曲をこのタイミングで演奏したのかわからないくらいにフェスではほとんど演奏してこなかった曲である。
晴れバンドであるこのバンドのライブにおいては珍しく雨が降る中でのライブとなったことで、普段はライブをしていても全く汗をかかない義勝が濡れまくっていることに武正がツッコむが、その武正も雨で髪が濡れてパーマがペシャンコになっているといういつもとはちょっと見た目が違う中ではあるが、いつもと全く変わらぬ盛り上がりを見せたのはラストの「MATSURI BAYASHI」から「MONSTER DANCE」というKEYTALKの、というよりも現在の日本のロックフェスにおいての鉄板的な流れ。「MONSTER DANCE」ではたくさんの人がMVのダンスを踊っていただけに、このバンドの存在と楽曲はこうした普段とは少し違う毛色のフェスに出てもしっかりと認知されていることを示していた。
しかしながら他のフェスでは持ち時間が長いメインステージに出るようになってきているだけに、やはり30分という持ち時間は物足りなく感じてしまう。
1.桜花爛漫
2.Summer Venus
3.Love me
4.ワルシャワの夜に
5.MATSURI BAYASHI
6.MONSTER DANCE
MONSTER DANCE
https://youtu.be/N39glrfql0I
11:50〜 SiM [YASSAI STAGE]
綾小路翔「SiMを見ていると、「仲間たちみんなで上がっていこう!」っていう意識を感じる。coldrainとかもSiMがいるから出てくれたっていうのもあるんだろうし。僕らの時代は競ってたのが鳥肌実とかでしたからね(笑)
みんなで上がっていこうっていうんじゃなくて、足の引っ張り合い(笑)
もしくはいかに相手を貶めて自分たちが上がっていくかっていうことばっかり考えてた(笑)」
と、DEAD POP FESTiVALを主催している(氣志團も出演したことがある)意志をしっかり笑いを交えて紹介された、SiM。このフェスには4年連続での出演ということで、完全にレギュラーと言っていい存在。
メンバーが登場すると、いきなりの「KiLLiNG ME」でスタートするのだが、ラブシャでやっていたような、観客をステージに上げてギターを弾かせるというようなパフォーマンスはなく、間奏部分で観客を全員座らせてからジャンプさせるといういつものバージョンに。とはいえ、雨が降る中でこのフェスのメインステージであるこのYASSAI STAGE特有の花道をずぶ濡れになりながらも歩きながら歌うMAHの姿は悪魔というよりもカリスマそのものであるし、ラウドバンドでこうして堂々とこの花道を使える存在もなかなかいないと思う。
超巨大な左回りサークルを出現させた「Faster Than The Clock」、SHOW-HATEが奏でる不穏な電子音に合わせてモンキーダンスさせまくる「GUNSHOTS」と、このバンドで見ることのできない景色をこのフェスのメインステージでもしっかり見せつけると、花道のど真ん中でMAHが
「4年連続でこの房総半島まで通ってるけど、マジでなんっっっにもないな!俺たちの地元の湘南もなんにもないけど、だからこそ氣志團や俺たちみたいな奴らが何もないところで何か燃えたぎるようなものを持ってバンドを始めたんだと思う」
と、自身と氣志團に確かに通ずる精神性を語ると、「WHO'S NEXT」からはこれぞSiMのラウドロックと言わんばかりにSINはステージでツーステを踏んだりして踊りまくりながらベースを弾き、次々にダイバーがステージの方に転がっていく。氣志團というお茶の間にも存在が知れ渡っている存在が主催しているフェスであることを忘れてしまうような光景である。
「北海道で地震が起きて。大阪では台風が起きて。いろんなフェスが今年は中止になったりしてます。だから今日は雨が降ってるけど、お前らがチケットを買って、こうやってここに来てライブが見れていて、俺たちがこうやってライブをやってるのも当たり前のことなんかじゃないからな!いつだってこれが最後になるかもしれないんだからな!」
とMAHが悪魔らしからぬライブにおける真理を語ったのだが、確かに地震や台風はあったけれど、このタイミングでMAHがそういうことを言う理由を自分はこの時は不思議に思いながら聞いていた。しかし、このおよそ7時間後のこのステージで、「もしかしたらMAHはこのことを知っていてこう言ったのかもしれない」と思うことになるとは、この時は思いもしなかった。
そんな中でやはり雨に打たれながら観客の合唱を煽る「Blah Blah Blah」から、
「時間まだある?…ちょうどいいくらいあるな(笑)」
とラブシャのラストを彷彿とさせるようなことを言いながら、最後は「f.a.i.t.h」で巨大ウォールオブデスを炸裂させ、ラウドロックバンドとしてこのステージに立つ意味をしっかり示してみせた。
ちなみにかつて氣志團がDEAD POP FESTiVALに出た時は「KiLLiNG ME」のカバーを2回連続でやっていたので、SiM側がこのフェスでそうしたことをやる姿もちょっと見てみたかったりする。
1.KiLLiNG ME
2.Faster Than The Clock
3.GUNSHOTS
4.WHO'S NEXT
5.MAKE ME DEAD!
6.Blah Blah Blah
7.f.a.i.t.h
KiLLiNG ME
https://youtu.be/vyUMYYc8lxU
12:35〜 岡崎体育 [MOSSAI STAGE]
去年、一昨年とこのMOSSAI STAGEのトリ。ROCK IN JAPAN FES.でもメインステージに出演するなど、状況的には間違いなくメインのYASSAI STAGEに出るべき存在の岡崎体育だが、
「岡崎君的にはこの方がオイシイのかな、って(笑)」
「いやー、あれだけ常識を打ち壊してきた岡崎体育がですよ?「フェスのメインステージに出るのが目標です!」みたいな普通のことは言わないでしょ〜って(笑)」
と、紹介VTRで散々いじられたことで、綾小路翔を「あの金髪リーゼント」と呼び、
「それなら僕は、MOSSAI STAGEの神・MOSSAI様になります」
と不敵に宣言。ステージには
「MOSSAI STAGEの神 MOSSAI様〜」
という不気味極まりない、このためだけに作った曲が流れ始めると、SiMのMAHのようなメイクをした(岡崎体育もSiMの主催フェスに出ているなど仲が良い)岡崎体育、もといMOSSAI様が登場し、その不気味な曲を観客に歌わせるのだが、
「なんか変な宗教みたいやな(笑)」
とセルフツッコミを入れると、いつものように
「じゃんけんで僕に勝った人だけが踊っていい」
「世界一安全なウォールオブデス、Walk Of Deathをみんなでやりましょう!」
と、収まりきらないくらいに集まった人たちと岡崎体育ワールドを作り上げていく。
バラードを歌い上げる岡崎体育にもう1人の岡崎体育がツッコミを入れていくという、このフェスにおいてはおなじみの「Voice Of Heart 2」で笑わせまくると、ラストは「盆地テクノ」と称される岡崎体育のハイクオリティなダンスミュージックで踊らせまくり、曲が終わると、
「2020年までに絶対さいたまスーパーアリーナでワンマンライブをします!」
と改めて宣言。それは綾小路翔が言うところの「普通の目標」であるのだが、逆に言うと岡崎体育ほどシニカルな視点を持った男ですらもそうした場所を目指す、というミュージシャンが抱く夢はどんな時代になっても変わらないということを示している。
1.MOSSAI様
2.Stamp
3.R.S.P
4.Walk Of Death
5.Voice Of Heart 2
6.XXL
7.The Abyss
13:10〜 JUN SKY WALKER(S) [YASSAI STAGE]
1980年代後半から1990年代中盤までのいわゆる「バンドブーム」に綾小路翔をはじめとした氣志團は大きな影響を受けていることを公言しているが、そのバンドブームの中でもひときわ巨大な存在であった(オリコン1位を獲得するくらい)、JUN SKY WALKER(S)がこのフェスに初出演。
バンドブーム当時のことやジュンスカのことを、
「木更津でもライブハウスに10組バンドが出てたら8組はジュンスカのカバーやコピーやってて。「すてきな夜空」品評会みたいになってた(笑)」
「なんで解散したんですか?って前に聞いたら、「仲悪かったんだよね〜」って普通に言ってて(笑)
「全部このままで」って歌ってたじゃん!って(笑)」
と綾小路翔が回想した後にメンバーがステージに登場。宮田和弥(ボーカル)、森純太(ギター)、寺岡呼人(ベース)、小林雅之(ドラム)という4人だけの編成に変化はないし、一時期かなり太っていた森純太の体型が元に戻ってからは見た目も老化していないように見える。(特に、ゆずなどのプロデューサーとしても知られる寺岡呼人は全く見た目が変わらない)
「歩いていこう」「START」とかつて時代を駆け抜けた名曲が次々に演奏されるのも当然、今年はバンドがメジャーデビュー30周年であり、ベスト盤のリリース、全国30箇所を廻るツアーが開催されるというメモリアルイヤーだからである。
「MY GENERATION」で大合唱を巻き起こすと、シンガーソングライターの宇宙まおがカバーした切ないバラード「休みの日」、さらには再結成直後にリリースされた、とかく青春性の強さを感じさせ、求められてきたこのバンドがこれからもそうやって進んでいくという意志を曲にした「青春」と、短い時間に今の30周年のジュンスカの全てを詰め込んでいく。和弥のボーカルは若さ特有の棘のようなものはなくなっているが、そのぶん遠くまでもしっかり聴こえるような歌い方になっているし、やはり現代のメロコアやパンクと比べるとテンポの遅いパンクには時代感を感じてしまうが、プロデューサーとして若い世代と常に音楽を作ってきた寺岡呼人、POTSHOTのドラマーとしても活動してきた小林によるリズムはどっしりとした説得力に満ちている。
そして和弥が雨に濡れながらも花道を進んでいき、観客に合唱を求めた「すてきな夜空」では和弥が
「また深く君のこと 好きになったから」
の「君」の部分で寺岡呼人を指差し、寺岡呼人が「俺!?」みたいに動揺していたのが実に微笑ましい。
そしてラストの「全部このままで」では和弥だけでなく純太もギターを弾きながら花道を駆け出して、最後には一つのマイクで2人が
「全部このままで」
というサビのフレーズを歌う。その姿は、かつてこの曲を作っていた時に望んでいた姿と全く同じだったのかもしれない。
2008年、20周年のタイミングで、ジュンスカは解散以来、1年限りの活動をした。その最後の日(その時はこうして継続的に活動することになるとは思わなかった)である2008年12月31日のCOUNTDOWN JAPANのEARTH STAGEでのライブが終わったあと、30〜40代くらいの、おそらく10代の頃にずっとジュンスカを聴いていたであろう女性2人組が号泣しながら歩いていた。
もう二度と見ることができないと思っていたバンドをまた見ることができたという奇跡。当時の自分にはまだその感覚はわからなかった。でも今年、同じように10年ぶりにELLEGARDENのライブを見ることができた自分の心境は、あの時の女性たちと全く同じものだったんだ、ということが今になると本当によくわかる。
今年はジュンスカ。去年はユニコーンもこのフェスに出ているし、筋肉少女帯もいろんなところでライブしたり新しい曲を作っている。それらいわゆるバンドブーム期のバンドは、自分が存在を知った時にはすでに活動していなかった。でも、今自分は確かにそのバンドたちがライブをしている姿を見ることができている。それだけでも、本当に良い時代に生きているのかもしれない、と思う。
1.歩いていこう
2.START
3.MY GENERATION
4.休みの日
5.青春
6.すてきな夜空
7.全部このままで
すてきな夜空
https://youtu.be/ALO4Ho69xL4
13:55〜 04 Limited Sazabys [MOSSAI STAGE]
「曲良し 顔良し ライブ良し 仲良しの4拍子揃った、パンクシーンのニュータイプ」
と、おそらくバンド名に「サザビー」が入っているからであろう紹介VTRの後にメンバーが登場すると、氣志團のフェスということだからか、4人全員が黒いサングラスをかけており、
「ああ、どうしようどうしよう。氣志團万博初出演、最初の曲…swim!」
といきなりの「swim」でのっけからダイバーの嵐。KEYTALKと同様に今や巨大フェスでもメインステージに立つような存在になっているだけに、このMOSSAI STAGEでダイバーが続出する様はライブハウスで見ているかのような感覚さえ感じさせる。
観客をもっといいところへ連れていくべく「Warp」、自分たちの憧憬を高速ツービートの疾走感に変換してみせる「My Hero」、さらには
「初めて木更津キャッツアイで氣志團を見た時のことを思い出せ!」
と言っての「Remember」で、フォーリミの氣志團の原点が木更津キャッツアイであるということを知ることができる。もうあのドラマですらも15年以上前であることを考えると、入り口はどうであれ、フォーリミも氣志團と出会ってから長い年月が経っている。
自身も春に地元の名古屋で「YON FES」というフェスを主催しているが、
「このフェスはホスピタリティがすごい!ZOZO TOWNの社長が食べてるみたいな食べ物がめちゃいっぱいケータリングエリアにあるんで、タッパーにいっぱい詰めて帰りたいと思います!
みんなは俺たちのライブを心のタッパーに詰めて帰ってください!」
と氣志團の出演者への気遣いとバックヤードの豪華さに驚きを隠せない様子をみせる。
そしてラストは「Squall」から渾身の「monolith」でダイバーを続出させ、初出演のこのフェスにおいても確かな爪痕を残したが、こうして今までは出ていなかったフェスに出て、そのフェスの空気や裏側を知ることは、YON FESをさらに進化させていくことにつながる。きっとメンバーたちもYON FESをただ若い人気バンドたちが好きな人だけが来るフェスで終わりにするつもりはない。それを感じられるからこそ、こうしていろんなフェスでフォーリミのライブを見ると、またあのフェスに足を運びたくなる。
1.swim
2.Warp
3.My HERO
4.Remember
5.fiction
6.Squall
7.monolith
Squall
https://youtu.be/NRhmgBtRKBA
14:30〜 レキシ [YASSAI STAGE]
そのコンセプトから歌唱力、エンタメ性にいたるまで、綾小路翔が今最も嫉妬している男であるということが紹介された、レキシ。本人は「レキシダン、やるしかないでしょう!」とこのフェスにおいてのコラボを匂わせていたが、いざステージにレキシこと池ちゃんが登場すると、あろうことかアフロではなくリーゼントという衝撃のコラボの手法。なぜか似合っているのが不思議だが。
そんなリーゼントで十二単を着た池ちゃんが歌う「SHIKIBU」からスタートすると、十二単をタオルのように振り回して花道を進み、「ゲゲゲの鬼太郎」のタイアップである最新シングル「GET A NOTE」で観客にタオルを振らせると、早くも「狩りから稲作へ」に突入していくと、左右に伸びた花道を歌いながら歩く池ちゃんが珍しく歌詞が飛ぶという場面もあり。
客席では物販で売られている稲穂が揺れるが、
「買わなくてもこの辺周りにいくらでも稲穂生えてるから買わなくていい!
あと他のアーティストさんの時には絶対稲穂を振るなよ!和田アキ子さんの時とかは絶対ダメだぞ!(笑)」
とその稲穂をいじって笑わせながら、「One Night Carnival」をもじった「One Day 稲穂」、曲中の「キャッツ!」の部分で引退する安室奈美恵に思いを馳せた「キャッツ YOU CELEBRATE?」など、やはり他の人の曲を歌いまくって爆笑を巻き起こしていく。おそらく綾小路翔が最も嫉妬しているのはこういう部分だろう。
そしてラストは「きらきら武士」で終わったのだが、いつも時間を押しがちなレキシがまさかの時間が余りすぎるという、アクシデントと言ってもいいようなレベルの事態に見舞われる。かといってもう1曲追加するわけにもいかず、池ちゃんは呆然としていた。ある意味では髪型以上に珍しい場面を見れたのかもしれない。
1.SHIKIBU
2.GET A NOTE
3.狩りから稲作へ
4.きらきら武士
GET A NOTE
https://youtu.be/e-owBBwVYW4
15:15〜 coldrain [MOSSAI STAGE]
昨年はメンバー全員が特攻服を着て写真を撮ったり、ギターのSugiは布袋寅泰と一緒に写真を撮ってもらったりと、ライブ以外の部分も満喫しまくっていた、coldrain。2年連続の出演となる。
メンバーがステージに現れると、紹介VTRでウォールオブデスの場面が使われていたこともあり、最初の「24-7」からウォールオブデスを炸裂させ、さらに続く「To Be Alive」でもウォールオブデスをさせるという、まさかのウォールオブデス2連発。このフェスにおいて自分たちに何が求められているのか?というのをMasatoをはじめとしたメンバーたちはしっかり理解して臨んでいるのであろう。
「去年、初めて出させてもらって。去年は初めてだったから歌いあげるような曲はまた来年でいいかな、って思ってやらなかったんで、今日はそういう曲をやろうかなって思ってたんですけど、雨が降ってて寒い思いをしてると思うんで、今日も激しい曲しかやりません!」
と宣言し、「THE REVELATION」からはさらにギアを上げて、これぞ王道ラウドロック!というような曲を連発していき、「FEED THE FIRE」ではMasatoがカメラに近づいていってそのまま口づけするというパフォーマンスまで見せてしまう。
本人たちもアウェーだと思っていた去年のこのフェスでのライブがどこよりもホームと思えるような盛り上がりだったことが本当に嬉しかった、と言っていたが、それは今年も全く変わらないし、むしろその感覚は増していると思えるんじゃないか?と思えるくらいの凄まじい盛り上がりっぷりである。
で、そのホーム感はただ単にこのバンドと近い場所にいるようなSiMであったりフォーリミであったりっていうバンドが出ているから、ということではなくて、このバンドのライブの力でその状況を生み出していて、それがこのフェスにおけるホーム感に繋がっていると思う。
それぐらいに、わずか30分という短い時間でありながらも、自分たちの全てを出し切るというくらいの衝動に満ち溢れていて、それだけじゃなくてどの曲のどの部分で誰がどのように動くか、というところまでしっかりと決まっているように見える完璧なフォーメーション。その衝動と計算が実に高いレベルで融合している。
それがちゃんと伝わっているのがわかるのがこのフェスだからこそ、Masatoは
「ステージどこでもいいんで、また来年も絶対呼んでください!」
と叫んだ。確かに来年以降もこの場所でこのバンドのライブが見たいと思わするような、素晴らしいライブだった。
1.24-7
2.To Be Alive
3.THE REVELATION
4.FEED THE FIRE
5.FIRE IN THE SKY
6.ENVY
ENVY
https://youtu.be/2teepAfDrXI
15:50〜 Dragon Ash [YASSAI STAGE]
結成当時のスリーピースから徐々にメンバーが増えてきたバンドのストーリーを、
綾小路翔「ドラクエみたい。舞踏家2人いるし(笑)kjが勇者でBOTS君は魔法使いかな。なんか三宿あたりにルイーダの酒場的な店があるんじゃないかなって(笑)」
と例えられていた、Dragon Ash。2年連続でこのフェスに出演。
ラテンやサンバのビートを取り入れた「Ambitious」からスタートすると、ミクスチャーバンドとしての意識を強く感じさせる「Mix It Up」、特になんにも言わずに演奏が始まった、hide「ROCKET DIVE」のカバーと、自分たちの音楽の幅の広さ、聴いてきたり影響されてきた音楽の幅の広さをしっかりと感じさせてくれる。
そんな序盤の連打によって続出したダイバーたちに捧げるような「For diver's area」、kenkenのスラップベースとボーカルが客席をさらなる熱狂に誘っていく「The Live」、タイトル通りに観客が飛び跳ねまくる「Jump」と一気に後半まで突き進むと、
「俺たち出演者たちやお前ら観客だけじゃなくて、雨が降ってる中で交通整理をしているスタッフとか、おとなしいライブの時と変わらない給料なのにお前らのことを支えてくれるセキュリティのスタッフがいることでこのフェスは成り立っている。だからダイブして受け止めてもらった時には「ありがとう」って一言言ってから後ろに下がってくれ」
と、このフェスを支えるバイトのスタッフへの感謝を忘れないようにと言葉にするkj。自分がセキュリティをやっていてこういうこと言われたらその場で泣いてしまうかもしれないが、ステージ上の貴重な時間を使ってそうしたことを言ってくれることによって救われる気持ちになる人はたくさんいるだろうし、そういう人たちがいることによって我々はこうしてフェスに参加できているということを忘れたくない。
そしてラストはやはり「Fantasista」で、ATSUSHIとDRI-Vのダンサーも花道まで出てきて踊る中、kjはダイバーが続出する客席を見て、
「俺も混ぜてくれー!」
とステージを飛び降りてダイバーエリアに突入していく。その顔は楽しそうに転がっていくダイバーたちと全く同じ表情をしていた。
Dragon Ashは全国各地のあらゆるロックフェスに出演しているから、数え切れないくらいにいろんなところでライブを見ているけれど、どんな場所であってもライブが終わるとDragon Ashのためのステージだったように感じられる。そう思わせるくらいに凄いライブバンドであるということが、日本の音楽シーン(ロックシーンだけでなくもっと広い意味で)に革命を起こしてからもう20年近く経っても、こうして最前線の中の先頭を走れている理由だと思う。
また、とかく「カオス」と評され、脈絡がないようにすら見えるこのフェスのラインナップだが、この日のジュンスカ→フォーリミ、coldrain→Dragon Ashという流れは、直接的な影響こそなくても、一つの音楽のスタイルが時代や世代を超えて受け継いだり受け継がれていたりするのを示していたように思うし、氣志團のメンバーもそれは意識しているんじゃないかと思う。
1.Ambitious
2.Mix It Up
3.ROCKET DIVE
4.For diver's area
5.The Live
6.Jump
7.Fantasista
Mix It Up
https://youtu.be/IiVWKNcTgKw
17:10〜 和田アキ子 [YASSAI STAGE]
「この会場まで1.5歩でやってきた」
「かつて和田アキ子のフェスバージンを奪ったのは僕です」
と紹介された、和田アキ子。こんな超大御所でさえもこのフェスでは違和感なくラインナップに並んでいるというのが実にこのフェスならではである。
ホーン隊やコーラスなども含めたバンドメンバーが先に登場し、
「BIGMAMA」「アッコにおまかせ!」
というワードがモニターに次々と映し出される中で和田アキ子がステージに登場。
ソウルフルなボーカルで「笑って許して」「古い日記」という代表曲を歌うと、早くも花道を活用したりと、このフェスにはすでに出演したことがあるというのもあるだろうが、大物にもかかわらずに実にフェス慣れしているのがわかる。だからこそ本人もこのライブを楽しんでいることもよくわかる。
和田アキ子本人がソウルなどのブラックミュージックにずっと憧れ続けているという自身のルーツを語ると、今年アレサ・フランクリンが亡くなったことに触れ、そのカバーである「Rock Steady」を披露。サビでは観客に合唱もさせると、さらにTHE BAWDIESのライブSEとしておなじみのサム&デイヴ「Soul Man」のカバーと、和田アキ子本人が本当にソウルミュージックを追求しているのがよくわかるし、この曲はTHE BAWDIESもカバーしたこともあるが、それとはまた違う渋みみたいなものがある。
さらにはブルーノ・マーズの「Uptown Funk」のカバーまでも披露。ルーツ的な音楽だけでなく、常に最新のブラックミュージックをチェックし、聴いて研究しているという、歌手生活50年を迎えても尽きることのない音楽への探究心と愛はテレビ番組のご意見番としての顔だけを見ていてもなかなか知ることができないし、そうした姿勢は我々が60代を超えるような年齢になっても失わずにいたいものである、と改めて思わせてくれる。
そうして憧れの人が亡くなったりしてきた長い人生の中での経験を、いきものがかりの水野良樹に託した「また明日も会いましょう」ではモニターに歌詞が映し出される。決して特別なことが歌われているわけではないのだが、その歌詞を和田アキ子が歌うことによって、そうした彼女自身の様々な経験が歌に乗る。
確かに和田アキ子は歌が上手いが、Superflyなどと比べると飛び抜けて歌が上手いというほどではない。(若い時はそうだったのかもしれないが)
でもその声にはそうして何かを感じさせてくれるような力が宿っている。奇しくも翌日、樹木希林が亡くなり、葬儀に向かう和田アキ子の姿がニュースに出ていた。そうして、「また明日も会いましょう」と言えなくなってしまうことをたくさん経験してきたことが、間違いなく彼女の声に説得力をもたらしている。そしてそれを曲にすることができる水野良樹の作家としての素晴らしさを改めて実感させられた。
そしてラストはやはり「あの鐘を鳴らすのはあなた」で、日本のソウルシンガーとしての力を遺憾なく見せてくれた。なかなか毎年のように出演するのは難しいだろうけれど、ライブを見ると和田アキ子が本当の歌手でありミュージシャンであるということがわかるだけに、会えなくなってしまった人のぶんまで、これからももっとたくさんの人に届くような場所で歌い続けて欲しい。
1.真夏の夜の23時
2.笑って許して
3.古い日記
4.Rock Steady
5.SOUL MAN
6.Uptown Funk
7.また明日も会いましょう
8.あの鐘を鳴らすのはあなた
あの鐘を鳴らすのはあなた
https://youtu.be/EygCaSZa--8
17:55〜 竹原ピストル [MOSSAI STAGE]
実は綾小路翔とは同い年、しかも木更津の拓大紅陵高校のボクシング部の副主将を務めていた、竹原ピストル。ガチな強さなら和田アキ子と並んでこの日の出演者の中で最強と評された、竹原ピストル。青春時代に過ごした街へ凱旋となる。
いつものように頭にタオルを巻き、アコギを弾きながら「オールドルーキー」でスタート。全てを振り絞るような歌い方は感情が入り込みまくっている。
「薬づけでも生きろ」
と和歌山に住む自身のファンへ歌う「LIVE IN 和歌山」まで聴いて、この人と同じように弾き語りで歌う人を知っていることを思い出した。それはa flood of circleの佐々木亮介なのだが、彼の弾き語りでの「無題」という曲はこの曲と全くことを感じさせる。上手さではなく、自分の見たものや感じたことで魂を振り絞るというのが歌であり、弾き語るということ。だからこそ心に響くし、竹原ピストルの歌は紅白歌合戦という舞台にまで届いたのである。
CMで大量オンエアされている「よー、そこの若いの」で初めてライブを見る人への気配りも見せると、自身が青春時代を過ごしたこの地で初めて歌えることの嬉しさを語る。蘇我や君津にも友達がいるということを話していたが、なかなか「君津」という地名が口から出てくるアーティストもいないであろう。
「あの、僕はすごく楽しいんですけど、みなさんは楽しんでもらえてますかね?たまに確認しないと、自分だけが楽しんでるんじゃないかって思っちゃうんで」
と客席に問いかけると、聞くまでもないだろうと言わんばかりの大歓声があがる。それは竹原ピストルの本気のパフォーマンスによって導かれたものであるのは間違いない。
自身の心境を世界で愛される曲に載せた「Amazing Grace」を歌い切ると、
「実は翔さんとはちゃんと話したことがまだないんですが、ライブが終わったら思い切って「翔やん」って呼んでみようかなぁ」
と笑いながら話して再び大歓声を浴びると、最後の「ぐるぐる」も全力で歌い、初の凱旋ライブを終えた。
和田アキ子も竹原ピストルの大ファンらしいが、それもよくわかる。両者には自分の人生や経験が歌に乗ることによって説得力がさらに増すシンガーであるという共通点があるから。そしてその歌を聴いていた自分の心が震えていたのも確かに感じていた。ベストアクト候補筆頭の素晴らしいライブだった。
1.オールドルーキー
2.LIVE IN 和歌山
3.よー、そこの若いの
4.おーい!おーい!
5.みんな〜、やってるか!
6.Amazing Grace
7.ぐるぐる
よー、そこの若いの
https://youtu.be/G9YgNxMB9Uo
18:30〜 マキシマム ザ ホルモン [YASSAI STAGE]
綾小路翔「ナヲちゃんの下の子の父親は僕です」
ナヲ「FUNKY MONKEY BABYSでーす!」
と、嘘の応酬的な紹介VTRで始まる前から爆笑を巻き起こした、マキシマム ザ ホルモン。間違いなくこの日の最大動員と言っていいくらいのすごい人数が詰めかけている。
と思ったらかつて偽の新曲として公開された「小さな君の手」をメンバーの緩いマイクリレーで歌うという意表を突きまくるオープニングに、客席からは笑いと「?」が。しかし公開時の映像同様にその穏やかな、ホルモンらしさ0%のサウンドに吐瀉物を吐きかけるように「maximum the hormone」の轟音ラウドサウンドでいつものホルモンに戻っていく。
フォーリミ同様にこのフェスのホスピタリティに感謝を告げながら、20年前に下北沢の屋根裏で氣志團と対バンしたから今がある、という氣志團との歴史を語りながら、その時のもう1組の対バン相手であった、スニーカーズ(ナヲいわく本人たち以外に誰も知らないくらいのバンドらしい)へも感謝を告げると、「中2 ザ ビーム」からはモニターにライブ映像だけではなく、MVなどの様々な映像が映し出されるという特別な演出も手伝って、完全にこのバンドの野外ワンマンのような空気感に染まっていく。
ダイスケはんがパーカッションを叩く「爪爪爪」、上ちゃんもボーカルを取る、研ぎ澄まされた高速パンクナンバー「メス豚のケツにビンタ(キックも)」と、近年はフェスごとにガラッとセトリを変えていることでも話題を呼んでいるが、その中でも割と近年の曲に振り切ったような内容。もちろん「爪爪爪」のように中身はアップデートされているのだが。
と思いきや「川北猿員」という懐かしい曲もぶっ込んでくるのだから全く油断ならないが、いつもはフェスで時間を押しがちなこのバンドが珍しく時間が余っているということで、TRFのDJ KOOの「EZ DO DANCE」の言い方を他の曲にも適用しまくるという悪ノリを繰り返しているうちにやはり時間がなくなり、一発勝負の恋のおまじないから、ラストは「恋のスペルマ」で踊らせまくってライブを終えた。
そんな、いつも通りの楽しいホルモンのライブだと思っていたのだが、モニターには「マキシマム ザ ホルモンからの大切なお知らせ」という、今まであらゆるネタで我々を驚かせてきたバンドとは思えないシンプルさが深刻さを物語るお知らせが。
そこでは、2日後のHEY-SMITH主催のHAZIKETEMAZARE FES.をもって、バンドが当面の間ライブ活動を休止することが告げられた。それはこの時は理由も、本当なのかネタなのかもわからなかったが、MAN WITH A MISSIONとの対バンやMONGOL800の主催フェスまでもキャンセルするというのをこうしてメンバーの口からではなくて公式アナウンスでする、というのはネタではないことがすぐにわかったし、その理由が決していいものではないこともすぐにわかってしまった。
早くも発表後には様々な予想が飛び交っていたが、「ナヲの第三子妊娠」という予想も、前回あれだけ計画的な妊活で活動休止したこのバンドからは考えにくいし、「制作に専念するため」というのも、このバンドが仲間たちのライブを断ってまでするわけがない。
結果的にはダイスケはんのヘルニアの手術という発表がされたわけだが、この日モニターに映し出された発表のあと、それまでの楽しかった空気は一気に凍りついてしまった。バンドの解散や活動休止を発表した時のこの空気は何度経験しても慣れることはない。
そしてSiMのMAHが
「ライブを見れるのは当たり前のことではない」
とMCで口にしたのは、やはりこのことを知っていたからなんだな、というのがここでようやくわかった。MAN WITH A MISSIONのライブには、ホルモンの代打でSiMが出演する。ステージ上では悪魔キャラを演じているけれど、本当に男らしい、カッコいいバンドだな、と思うし、今はダイスケはんが早く良くなって再びステージに立つのを待つしかない。
1.小さな君の手
2.maximum the hormone
3.中2 ザ ビーム
4.爪爪爪
5.メス豚のケツにビンタ(キックも)
6.川北猿員
7.恋のスペルマ
恋のスペルマ
https://youtu.be/Nw8624J0s5Y
19:15〜 打首獄門同好会 [MOSSAI STAGE]
初日のこのMOSSAI STAGEのトリは、綾小路翔に
「同じプロレスラーの匂いがする。ゴールデンボンバーを初めて見た時も「生き別れの兄弟に出会った」みたいな感じだったけど、あいつらは「氣志團に影響を受けた」って全く言わないから(笑)」
とシンパシーを感じていることを告げられた、生活密着型ラウドロックバンド、打首獄門同好会。
サウンドチェック時にすでにばら撒いていたうまい棒が客席で振られる「デリシャスティック」からスタートするが、VJのサカムケ☆レシピが卒業を控えているため、引き継ぎ的なところも含めてなのか、VJは2人体制に。
木更津の海に思いを馳せながら、そこで釣れるのかわからない魚たちの料理名を列挙した「島国DNA」と、パンク・ラウドバンドが数多く集まったこの日のこのステージのトリを任されたのも納得の重厚なサウンドを響かせていくと、Dr.COYASSを迎えた「歯痛くて」ではコーラスに氣志團の「One Night Carnival」の「Angel」のフレーズを巧みに取り入れてみせる。目に見えてラップの技術が向上しているDr.COYASSは10月に中目黒に自身の歯医者を開業する、という今までライブのステージ上で他に誰も言ったことがないであろう告知をしてステージを去っていった。
もうタイトルからしてそのまんまな内容の新曲「はたらきたくない」から、
「氣志團万博は戦だ」
と戦争につなげてみせる「きのこたけのこ戦争」と、大澤のMCも噛み気味ながら実に巧み。
そしてラストは当然「日本の米」なのだが、
「私、今日はTRFの時間からずっといろんな出演者のライブを見てきておりますが、レキシが「他の出演者の時は振るなよ!」と言っていた、稲穂を唯一振ってもいい時間がやってきました。みなさん、秋になりました。日本のお米の豊作を祈ってご唱和ください!」
と、レキシの稲穂が客席で揺れる中で
「日本の米は世界一!」
の大合唱が轟くという、この日のこのフェスだからこそのコラボも果たすと、演奏終了後には、
「さぁ、みんなで氣志團見に行こうぜー!」
と主催者への敬意を忘れない大澤は実にカッコいい男だと思う。
やっぱり氣志團よりも筋肉少女帯の影響の方を強く感じてしまうけれど。
1.デリシャスティック
2.島国DNA
3.歯痛くて feat.Dr.COYASS
4.はたらきたくない
5.きのこたけのこ戦争
6.日本の米
はたらきたくない
https://youtu.be/GR-mLGV0X1I
19:50〜 氣志團 [YASSAI STAGE]
主催者でありながらも、実は両日ともトリを務めるのは今年が初めてであるという氣志團。紹介VTRも
「平成最後の氣志團万博、そのトリを務めるのは俺たちじゃなきゃダメなんだ」
という実に真面目なもの。
メンバーが登場し、綾小路翔もギターを弾いて音を合わせるという、「バンド・氣志團」を感じさせるカッコいいオープニングから、ドレスコーズの志磨遼平が手がけた「スポットライト」からスタート。随所に志磨遼平らしさを感じさせる曲だが、こうしてライブで聴くと氣志團のものにしか感じないというのは両者ともにさすがである。
打ち込みも取り入れたポップな「The アイシテル」では大量のダンサーが登場し、途中で綾小路翔の元に詰めかけて綾小路翔がもみくちゃにされるという実に氣志團らしい演出もあり、「週末番長」では各メンバーが楽器を置いてラップをするという、綾小路翔だけではなく、メンバー1人1人がこのフェスの主催者であるというメッセージを感じさせてくれる。
「毎年来てくれてる人も、初めて来てくれた人もいると思うけど、どうだい?俺たちの地元は?なんもねぇだろ?」
と氣志團万博ではおなじみのMCから、地元のことを歌った「落陽」へ。タイトル通りにオレンジ色の照明がメンバーたちを照らす中、綾小路翔がギター、早乙女光はトランペットを演奏するという、実はパフォーマンスだけでなく音楽集団としても高いレベルを持っている氣志團の魅力を見せてくれる。
そして最大のヒット曲である「One Night Carnival」では会場中の人が振り付けを踊る中、ブレイク部分で大合唱が響き渡り、
「俺たちはいつだって、あの海に!この空に!この街に!そして、お前達に!」
と恋しているものの名前を並べてから
「恋しているのさ〜」
と歌う姿はどこか感動的ですらある。
そんな、この日は面白いネタというよりもひたすら音楽的に突っ走るのかと思いきや、
「俺たち、今音楽で一つになれてんじゃね!?みんな同じ気持ちじゃね!?
みんなが思ってることをあえて口にすると、
「この曲古くね?」
わかってる。わかってたよ!アーティストはみんなブラッシュアップして進化していくのに、俺たちは17年前の曲に頼りっきりで、ブレイク部分ではお前達にドヤ顔で歌うことを強要したりしている!でもな、ヒット曲が出ないんだよ…(笑)逆にどうやったらヒット曲が出るのか教えてくれよ!(笑)
謝ります。ずっと17年前の曲に頼ったあげくに、みんなにドヤ顔で歌うことを強要して、申し訳ありませんでした!」
と花道でメンバーも楽器を置いて謝ると、「One Night Carnival」を2018年バージョンにブラッシュアップさせた、「O.N.C.」ことDA PUMP「U.S.A.」とマッシュアップさせたバージョンをメンバー全員で踊りながら披露して爆笑を巻き起こすあたりはやはりさすが。
「C'mon baby America」
と
「俺んとこ来ないか?」
がこんなに気持ち良く同じリズムにハマるとは。曲のマッシュアップもそうだし、ダンスも相当練習したはず。それは全て「来てくれてる人たちを楽しませたい」という一点によるもの。その氣志團が持っている思考を他の出演者たちも心からわかっているから、こんなに幅が広すぎるようなラインナップのフェスであっても、終わった後には「楽しかった」という感情しか出てこない。
そして最後は着ぐるみたちもステージに登場した、フェスのテーマソング的な「ゆかいな仲間たち」で、その楽しさはピークに達して大団円。演奏後には花火が上がり、ステージから去っていく綾小路翔の最後の一言は、
「ホルモン、すぐに戻ってくるから心配すんなよ!」
と、自分たちのことではなく、暗くなってしまいがちな観客のことを最後まで1番に考えていた。ホルモン、帰ってきたら、このフェスだけは絶対に出ないと。
1.スポットライト
2.The アイシテル
3.週末番長
4.落陽
5.One Night Carnival
6.O.N.C. (One Night Carnival 2018)
7.ゆかいな仲間たち
One Night Carnival
https://youtu.be/SJsx3FVudys
雨もあったが、決してテンションが下がるようなことはない1日だった。それはやはりこのフェスの空気と、出演したアーティストの熱演あってこそ。「明日はいったいどんな1日になるんだろうか」と楽しみにしながら帰路についた。
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