SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2016 DAY3 @山中湖交流プラザきらら 8/28
- 2016/08/29
- 23:25
ついに最終日。朝は雨こそ降ってはいないが、やはりどんよりとした空模様で、実にラブシャらしい天気。しかし会場の地面はやはり泥沼状態。長靴や、もう諦めたかのようにサンダルで参戦している人の姿も多い。
10:30~ 04 Limited Sazabys [LAKESIDE STAGE]
去年のFOREST STAGEから一気にメインステージにジャンプアップを果たした、名古屋の04 Limited Sazabys。
リハでメンバーが何曲か演奏したあと、メインステージ開幕の合図となる60秒前からのカウントダウンを経てメンバーがステージに登場。
おなじみのGENの
「名古屋の04 Limited Sazabysです!」
という挨拶からいきなりの「swim」「climb」、渾身の「monolith」と初っ端からぶっ飛ばしまくりなくらいにぶっ飛ばし、泥沼状態にもかかわらずたくさんのダイバーが次々と飛んでいく。GENのハイトーンボイスもこの湖畔のステージに実によく似合っている。
去年に続き、バンドが普段曲作りの合宿をこの山中湖にあるスタジオで行っている(その模様はバンドのドキュメンタリーなどでも見ることができる)だけに、「産地直送」という形で、ここで生まれた曲たちがこの場所で演奏されていく。
新曲「Warp」もその中の1曲だが、メロコア回帰的だった「climb」とは異なり、ストレートなギターロックという趣の曲。すでに来月にアルバムが出ることも発表されているが、前作「CAV U」もかなり幅の広い内容のアルバムだっただけに、今作も同様にパンク・メロコアだけでなく、もっと多くの人が聴けるような内容のものになりそう。
RYU-TAがイントロで煽りまくってから踊らせる「Chicken race」から、そのRYU-TAが座って足を組み替えながらギターを弾く「labyrinth」と続くと、自身が地元の名古屋で始めた「YON FES」にこのフェスのいろいろな部分を持って帰りたいと語り、再会の歌こと「Terminal」から、ラストは名古屋から流星群を持ってきた「midnight crusing」で、
「このフェスに欠かせないバンドになりたい」
とGENは語ったが、もうすでにそんな存在になっているとしか思えない盛り上がりを見せた。
この日のライブでは発表しなかったが、この日の夜にバンドは2月に初の日本武道館ワンマンを行うことを発表した。今や多くのフェスでこうしてメインステージに立つようになり、ロックシーン全体を背負って立つようなオーラすら纏うようになったフォーリミの初の武道館。これは間違いなくバンドにとっても、ロックシーンにとっても記念碑的なライブになるはず。それだけに絶対見に行きたいところ。
リハ1.escape
リハ2.days
リハ3.fiction
1.swim
2.climb
3.monolith
4.Warp
5.Chicken race
6.labyrinth
7.Terminal
8.midnight crusing
Warp
https://youtu.be/gCKc99GZlqU
11:05~ My Hair is Bad [FOREST STAGE]
今年、様々なフェスに出演しているMy Hair is Bad。このフェスにも初出演を果たすが、始まる前からFOREST STAGEは人で溢れかえっており、バンドの注目度の高さを改めて感じさせる。
メンバーが登場すると
「新潟県上越市から来ました、My Hair is Badです!よろしくお願いします!」
という椎木の挨拶から「真赤」でスタートしたのだが、これまでにないくらいに椎木の声はガラガラだった。毎週というか、もはや毎日と言っていいレベルでライブを行い、アルバムも制作しているということによる疲れ。しかしながら声以外の部分では全く変わったところはないし、むしろその声が枯れていることがこのバンド特有のエモさをさらに引き出している感すらある。
MCでは声が枯れていることはわからないだけに、例によってひたすらに言葉を重ねていく。
「彼氏いるの?って聞いたら「いやぁ…」みたいなこと言ってた女とLINEしてたら、その女の彼氏にツイッターでLINEを晒されました!」
「スペシャで曲が流れると画面の隅っこにSっていうマークがつくのがうらやましくて、先にスペシャで流れていたHalo at 四畳半をいじめたりしてました!(笑)
でもこういうメディアの人たちは現場とか全然来ないんだろうし、ライブも見ないんだろうなって思ってたんだけど、スペシャ列伝ツアーをスペシャのスタッフの人たちと一緒に廻って、こんなに音楽が好きなひとたちが作ってる放送局なんだなって思ったし、こうしてラブシャにも呼んでくれました!今では本当に仲間だと思ってます!」
と、くだらないこともフェスやスペシャに対してのこともひたすらに語りまくる。そしてそのまま「from now on」でさらに言葉は鋭さを増し、もう「これ時間使いすぎなんじゃないか?」と思うくらいに。
そして「夏が過ぎてく」で終わりかと思いきや、最後にはやはりトドメとばかりに一瞬で終わる「クリサンセマム」。椎木も自身の声がガラガラなのをわかった上で、それでも最後まで止めることなく歌いきった。ライブを年間100本以上回りまくってるバンド。そんなことくらいではダメになるわけがないというライブバンドとしてのプライド。
7月頭にDEAD POP FESTiVALでこのバンドのライブを見て、「夏の匂いがした」ことを感じた。でもこの日は「夏が過ぎてく」のを感じながら見ていた。あっという間の夏だった。
1.真赤
2.アフターアワー
3.元彼氏として
4.from now on
5.夏が過ぎてく
6.クリサンセマム
真赤
https://youtu.be/0M3HoC2uGhM
12:10~ グループ魂 [LAKESIDE STAGE]
メンバーが登場すると、全員浴衣姿。まるで温泉旅行に来たおっさんたちがステージに立っているかのような、グループ魂。
のっけから下ネタ連発というか、もう曲自体が下ネタなのでもう致し方ないのだろうか。「3日しかリハやってない!」というのに破壊(阿部サダヲ)の声が枯れていたのは多忙によるものだろうか。その破壊は客席にスリッパを投げ入れまくりながら、
「若いやつらにアピールしたいのに、前の方はババアしかいねぇじゃねぇか!(笑)」
と毒舌を炸裂させる。
もうただ単にモノマネをしたいだけなんじゃないかという気すらしてくる最新アルバムからの「彦摩呂」で爆笑を巻き起こすと、港カヲルが破壊力抜群の女子高生姿になるおなじみの「High School」から、
「もう2016年はSMAPが解散して、安倍マリオが土管から出てきて、高畑くんがアメニティグッズを求めた年という。子供にどう説明すればいいんだ!」
と暴動(宮藤官九郎)が今年を総括(というか全部8月の出来事だけど)し、「君にジュースを買ってあげる」では破壊が最前列にいる観客に
「そこのマッチ棒みたいな君、なんか飲みたい?」
と聞くと、スクリーンに映し出されたその観客が「コーンスープ」と答え、
「コーンスープ!?…やっぱりこういうとこに来るやつは頭がおかしいな(笑)」
といじりまくり、港カヲルの愛する「ラーメン二郎」を終えると、
港「ちょっとあんまり大きな声ではまだ言えないんだけど…来年の2/1って予定空いてる人いる?」
と問いかけ、無数の手が上がり、
「実は2/1に港カヲルのソロコンサートを初開催することが決定しました!(爆笑)
場所は5000人が入る東京国際フォーラムです!(笑)
というわけで、来てくれる人ー!」
と再度問いかけると、最前列にいる数人からしか手が上がらず、港カヲルはガックリ。最終的には「二部構成で、一部が35分のソロコンサート、二部がグループ魂で今日のライブを最大限に薄めて2時間に(笑)」ということになる。暴動からは「35分って短すぎじゃねぇ!?」と突っ込まれていたが。
バイト君がさかなクンのモノマネをする「さかなクン」からはスペシャで果たしてどこまでオンエアできるのかという「ペニスJAPAN」の大コール、そして去年Charがこのステージに立ったのを知ってか知らずか「チャーのフェンダー」を、ローディーから巻きの指示を出されながらやりきった。
最後に1人残った港カヲルが再びソロコンサートの告知をしてから、
「次はお待ちかね、ハナレグミ改め、みんな大好きはなまるうどんの登場です!」
もう、参った。
1.ずるムケーションブレイクダウン
2.パンチラオブジョイトイ
3.彦摩呂
4.High School
5.君にジュースを買ってあげる
6.ラーメン二郎
7.さかなクン
8.ペニスJAPAN
9.チャーのフェンダー
彦摩呂
https://youtu.be/9nHgZyOHFSs
13:15~ クリープハイプ [Mt.FUJI STAGE]
近年のこのフェスではおなじみとなりつつあるクリープハイプ、Mt.FUJI STAGEに登場。規模的にはLAKESIDEでも全然いいくらいの存在なだけに、さすがに始まる前から超満員。
SEもなしにメンバーがステージに登場すると、尾崎世界観が
「クリープハイプのライブでは「今度会ったらセックスしよう!」っていうのが1番盛り上がる、っていう風によく言われてるのを見るんですけど、今度会ったら、っていうのがなんか嫌なんで、今ここでしましょう!」
と言い、カオナシがベースのイントロを弾き始める「HE IS MINE」でスタートし、さらに「社会の窓」と、普段のライブのクライマックスとなる曲からスタートするという逆パターン。
さらに
「普段うまくいかないこととかいっぱいあると思うんですけど、そういうのも全部、夏のせいにしてしまいましょう」
と言って「ラブホテル」、イントロでライブならではのアレンジが施された「憂、燦々」と夏のアンセムが続く。
すると
「ドラマの主題歌になってる新曲」
と紹介された、ブラックミュージックのリズムを取り入れた新境地的シングル「鬼」、カオナシがキーボードで尾崎がハンドマイクボーカルという削ぎ落とされたサウンドと、
「気持ちはいつも一番搾り でも君の気持ちはスーパードライ」
と実に尾崎らしい上手い歌詞が並ぶ「5%」と新曲が並び、ちょっと落ち着かせた後に最後に演奏されたのは「イノチミジカシコイセヨオトメ」。尾崎の声も最後の最後の「好きー!」の叫びまで実に伸びやかで、曲もライブもこれからのクリープハイプにさらなる期待をもちたくなるようなライブだった。これは来月リリースのアルバム「世界観」は近年の中ではトップクラスの内容になりそうだし、ツアーもすごくいいものになりそう。
1.HE IS MINE
2.社会の窓
3.ラブホテル
4.憂、燦々
5.鬼
6.5%
7.イノチミジカシコイセヨオトメ
鬼
https://youtu.be/TEviDZgKl1w
14:55~ 米津玄師 [Mt.FUJI STAGE]
去年はFOREST STAGEで初の夏フェス稼働となった夏を締めくくった、米津玄師が今年はMt.FUJI STAGEに登場。
サポートメンバー含めた4人がステージに登場すると、
「米津玄師です、よろしくお願いします!」
と威勢の良い挨拶をすると、中島と須藤がシンセを弾く「アンビリーバーズ」からスタートするというのはサマソニと一緒だが、両耳からピアスをぶら下げている米津玄師はやや歌詞を間違え気味なのが少し気になるところ。
それは「メランコリーキッチン」でもそうで、須藤のコーラスと歌詞が噛み合わない部分もあった。中島のマイクが下がってしまってコーラスができなくなり、須藤に笑われるという場面もあり、メンバーもこのステージに立っているのが実に楽しそう。
ライブならではの荘厳なアレンジが追加された「アイネクライネ」ではイントロから大歓声が起きる…が、サビでまさかの事態が。米津玄師が歌おうとすると、声がひっくり返ってしまい、全く歌えなくなってしまう。サビ以外の低音部分は普通に歌えているのだが、サビではもはや米津玄師はマイクに向かって歌うことすらもやめてしまう。
しかし、それでも歌声はこのステージから止まることはなかった。それはサポートメンバーのコーラスだけでなく、観客全員が米津玄師の代わりに大きな声で歌い、それが大合唱となって響いていたから。これまでにライブで何度も聴いているこの曲、というかもはやライブではやらない日はないというくらいの曲だが、今まで聴いたこの曲の中でも最も感動的だった。
ただステージに立っている側が演奏して歌うだけがライブではない。こうして目の前にいる人たちがいて、その人たちがアクションを取ることによって初めてライブになる。
「歌ってくれ!」というまでもなく合唱が起きていたこの瞬間を見て、久しぶりにそれを実感することができた。
曲終わりでは酸素を吸入したりするものの、
「こんなに声が出ないのは初めてで…。すごく支えてもらってありがとうございます。次の曲もみんなに歌って支えて欲しいんだけど…次の曲は新曲なんで、みんな歌えないんだよねぇ(笑)
でもなんとなくでいいんで、歌ってください(笑)」
と、こんなに追い詰められているような状況でもMCには割と余裕が感じられる。が、やはりサビではほとんど歌うことができず、この曲の真価を発揮させることはできなかった。
「次は知ってるかもしれない曲なんで…」
と言って演奏された「パンダヒーロー」「ドーナツホール」というボカロ曲のセルフカバー2連発ではほとんど歌えなくなってしまっていた米津玄師の代わりに観客の大合唱が会場に響き渡った。
演奏が終わると米津玄師は、
「本当に支えてもらってありがとうございます。そして申し訳ないです。来年、出れるかどうかわからないけど、もし出れるんなら是非リベンジさせてください」
と観客に感謝と謝罪の気持ちを明かし、来年のリベンジを誓った。
ただ単にセトリだけを見たら、サマソニと全く変わらない。でも内容は全く違っていた。それこそが、同じ日は二度とないというライブの醍醐味そのもの。
本人からしたら悔いが残るだろうけど、ライブ経験が他の出演者より圧倒的に少ない米津玄師にとって、この経験はこれからもずっとライブを続けていく上でとてつもなく大切な経験になるはず。
常に絶好調、常に完璧なんていうことはない。こうなった時にどうするのか。米津玄師がこれまでに聴いてきて、今でもライブを行っている人たちは、みんなそういうアクシデントを何度となく乗り越えてステージに立ち続けている。これから米津玄師がそうした存在になるために、間違いなくこれは必要な時間でありライブだった。
自分たち自身だけじゃなく、目の前にいる人たちで作り上げる。それがライブ。それを本当の意味で知って、これから米津玄師のライブと、ライブに対する意識は間違いなくさらに変わるだろう。
そしてライブ後、この日、この瞬間だけ空には青空が見えていた。みんなの大合唱が雲を吹き飛ばしたというのは言い過ぎだろうけど、もしかしたら、この男はこれから日本のロックシーン最強の晴れ男として認知されるようになるのかもしれない。
来年はLAKESIDE STAGEで、さらに大きくなってリベンジしてくれるのを待ってるから、また来年もこのフェスで。
1.アンビリーバーズ
2.ゴーゴー幽霊船
3.メランコリーキッチン
4.アイネクライネ
5.LOSER
6.パンダヒーロー
7.ドーナツホール
アイネクライネ
https://youtu.be/-EKxzId_Sj4
15:40~ NICO Touches the Walls [LAKESIDE STAGE]
このフェスの出演回数は最多クラスのNICO Touches the Walls。今回はSuperflyの代打としてこのステージに立つ。
メンバーが登場すると、Tシャツにネクタイという、それはなんか意味があるのか?という出で立ちをした光村に突っ込みたくなる中、シンプルなサウンドの最新シングル「ストラト」からスタートし、曲中を通じて手拍子が起こる。リズムが全然変わらないというのも、非常に高い演奏技術を持つこのバンドからしたら新鮮。
「THE BUNGY」で裏拍の手拍子とともに観客を飛び跳ねさせると、新曲の「マシ・マシ」をロッキンに続いて披露。光村がサビでタメまくってから最後の最後に歌うが、「ストラト」同様にこの曲もアレンジは非常にシンプル。
「まだまだリリースは先だと思います(笑)」
と光村が言っていただけに、アレンジが変わったりすることもあるのだろうか。
かつてこのフェスで超特大のサークルモッシュを生み出した「天地ガエシ」から、光村のスキャットとメンバーの演奏がとてつもないグルーヴを生み出す「ニワカ雨ニモ負ケズ」、そして最後は手拍子が鳴り響く「手をたたけ」。
セットリスト的にはロッキンとほとんど変わらない、というか、ロッキンの短縮版のような感じだったが、光村をはじめとして、メンバーの気合いが漲りまくっていた。このフェスはNICOを他のフェスよりも早い段階でメインステージに抜擢していたし、バンドも過去何度となく出演してきたこのステージで、このフェスへの愛を音で表明してきた。
だからこのステージのNICOのライブには何か特別は力が宿っている気がする。これからももう数え切れなくなるくらいにこのステージに立っているのを見たい。
1.ストラト
2.THE BUNGY
3.マシ・マシ
4.天地ガエシ
5.ニワカ雨ニモ負ケズ
6.手をたたけ
ストラト
https://youtu.be/uPLIiXgmBRI
16:55~ 上原ひろみとレキシ ~レキシが助けにやってきた~ [Mt.FUJI STAGE]
今年最も何が起こるかわからなかったアクトである。上原ひろみのバンドメンバーが来日できなくなったことにより、急遽レキシの面々がともにステージに立つことが発表。本当に急遽だっただけに、曲をやるのかどうかすらもわからないという状態。
最初に上原ひろみが1人で登場すると、ピアノを演奏し始める。ちなみにこの時間の前あたりからは雨が降り始めている。
するとひとしきり演奏した後に上原が突然、
「助けて、レキシー!」
と叫ぶと、スーパーマンのマントをまとったレキシとバンドメンバーが登場。今日のドラムはレキシバンドには初参加となるboboである。
客席には稲穂を掲げる観客もたくさんいる中、
「雨でげんなりしてるのか?(笑)俺もや(笑)
でもこれは稲穂にとっては恵みの雨ですよ。田植えフェスとか言われてるんやろ(笑)
め組の人ですよ(笑)」
と言って「狩りから稲作へ」を始めるも、「め組の人」を挟んだり、コール&レスポンスをするのだが、上原ひろみがフリーキーに演奏をしまくり、レキシメンバーもそれに乗っかってしまうため、池ちゃんが突っ込み役に回ってしまうという実に珍しい展開に。
オシャレキシというレキシネームをもらっているだけに、各曲を上原がオシャレにアレンジするため、もはや全然違う曲にすら聴こえる。
キメも連発するのだが、もはや演奏しているメンバーが達人クラスばかりなだけに、一発一発で客席は一気に盛り上がりを見せる。
しかしながらあまりにも上原が自由に演奏しまくるために、2曲だけでほとんどの尺を使いきってしまい、結果的に3曲だけ。
「本当は2曲だけしかできんくらいの感じだった(笑)」
だけに、よくあれだけのアレンジをした曲を演奏できたと思う。
これまでにこのフェスのステージに何度も立ってきた両者による、このフェスだからこそ見れるコラボ。最後には上原ひろみとピアノを連弾した池ちゃんが
「もう俺が助けてほしいくらいの感じだけど(笑)、ひろみちゃんが楽しそうだから良かった」
と言っていたが、かなりの雨が降る中、本当にメンバー全員が楽しそうに演奏していた。それがこのライブの素晴らしさを1番表していたと思う。
1.狩りから稲作へ
2.姫君Shake!
3.きらきら武士
きらきら武士
https://youtu.be/Mzkf1OGgSz8
17:50~ 矢沢永吉 [LAKESIDE STAGE]
矢沢永吉、2年ぶりにこのフェスに降臨。他のフェスに比べるとこのフェスには頻繁に出演している。
以前、NHKで特番が組まれていたが、永ちゃんは近年、バンドメンバーとして若い人と一緒にライブをやるようになってきている。それゆえにサウンドもすっきりとフレッシュになっている印象。かつては外人のプレイヤーがステージに何人も並んだりしていたが。
しかしながらやはり永ちゃんのライブの最大の魅力は永ちゃんその人の放つオーラである。白いスーツに身を包んでマイクスタンドを持って歌うのが本当に絵になる。
「2年前にここに出た時もこうして雨が降っていました(笑)」
と言う通り、今回もかなりの雨が降っているという雨男っぷり。しかしながら野外に出れば雨が降るというのはある意味ではスーパースターの証でもある。
熱狂的な永ちゃんファンに支えられながらアッパーな曲から永ちゃんの歌唱力を実感させてくれるバラードも歌いあげると、
「キャロルから始まって40年、ずっとステージに立っています。それでこうしてまたこのフェスに出させてもらって、こんなに嬉しいことはないね!」
とずっとライブを続けてきたからこそ説得力のある言葉を語り、「止まらないHa~Ha」では永ちゃんファンの方から、名前くらいは知ってるという人までもが一斉にタオルを放り投げる。こうして、どんな人でも同じように楽しめるというのはさすがとしか言いようがない。
そして最後は「いつの日か」でどこか再会を約束させるような歌を響かせた。
あまり毎回毎回フェスに出るような存在ではないが、こうしてこの人がステージに立っている姿を目の前で見れるというのは、ロックファンとして本当に幸せなことなのかもしれない。
1.黒く塗りつぶせ
2.カモン・ベイビー
3.古いラヴ・レター
4.共犯者
5.サイコーなRock You!
6.止まらないHa~Ha
7.いつの日か
止まらないHa~Ha
https://youtu.be/oIGeygsGX2I
18:35~ [Alexandros] [Mt.FUJI STAGE]
今年のMt.FUJI STAGEの大トリは、昨年はLAKESIDEのトリだった、[Alexandros]。
雨が強さを増す中、ステージには雨避けのテントが設置され、「Burger Queen」のSEでメンバーが登場すると、「Burger Queen」を演奏することはなく、最新シングル収録曲「Nawe,Nawe」からスタートし、「Girl A」と序盤はEDMの要素を取り入れた曲を続け、
「アルバムの曲ちょっとやっていいですか!」
と言うと、ハードなサウンドのロックンロールを演奏。しかし本当にちょっとだけなので、歌が入る曲なのかどうかすらわからないし、タイトルすらも当然わからない。
「Kick&Spin」では川上が雨にもかかわらずステージの前の方まで出てきてハンドマイクで歌う。さらに最新シングル「Swan」「Starrrrrr」
とバンドも観客もどんどんテンションが上がっていく。
「俺たちだけこんなテントの中でやっててすいません!でも機材濡れたらライブできなくなっちゃうんで!白井君のギターは1億3000万円くらいするんだっけ?(笑)
でも俺たちならいくらだって濡れたっていいから!」
と川上が叫ぶと、白井も磯部もガンガン前に出てきて弾きまくり、その姿にテンションの上がった観客が、雨で非常に寒い中にもかかわらず、半袖Tシャツ一枚でどんどんダイブしていく。その姿を見て、川上もバンドメンバーもさらに熱量を増していくという幸福な関係が出来上がっていた。
雨が降っているとどうしてもテンションが下がってしまうし、いつものようには楽しめなくなってしまいがちだ。だがそんな状況でも関係なくダイブしていく観客も、それを支えたり受け止めたりする人たちも、そして何より観客をそういうテンションにさせるバンドもみんな本当にかっこいい。
川上も「ありがとう!」という言い方がもう気合い入りまくってかなり荒くなっているのがわかる中、ラスト1曲と言って演奏された「Dracula La」でもダイバーが続出し、会場は雨が降ってるとは思えないというか、雨が降っているからこその熱気に満ち溢れていた。
そして最後にはまたしても新曲の断片を演奏。こちらは序盤とは違い、英語のボーカルが入っている曲。感覚としては「I want u to love me」のような、シンプルなロックンロールという感じだろうか。
演奏が終わると、
「風邪ひくなよ!気をつけて帰れよ!愛してるぜ!」
と叫び、自身が幼少時代からずっと見続け、愛を表明してきたスペシャのこのフェスのMt.FUJI STAGEを締めた。
やっぱりライブが本当にカッコいいバンドだから、ここまで来たということがわかるし、燃えまくってる時はさらにカッコいい。雨すらも演出にしていたかのようだった。
1.Nawe,Nawe
2.Girl A
3.新曲(ほんの少し)
4.Kick&Spin
5.Swan
6.Starrrrrr
7.ワタリドリ
8.Dracula La
9.新曲
Swan
https://youtu.be/ZnphQMl_SSE
19:25~ ASIAN KUNG-FU GENERATION [LAKESIDE STAGE]
ついにこのフェスも終わりの時間が迫っている。今年の大トリは結成20周年イヤーのアジカン。ロッキンに続いての大トリである。
シモリョーも含む5人がステージに登場すると、セッション的なイントロが追加された「Re:Re:」からスタートし、「振動覚」→「リライト」という「ソルファ」の流れもロッキンと同様。しかしながらロッキンより会場ははるかに寒く、メンバーも観客もかなり意識的に体を動かして温めながらという感じ。
「雨が降ってるのに最後までいてくれてどうもありがとう。寒いので体を動かしながら。最近出した激しめの曲を」
と言って「ブラッドサーキュレーター」を演奏したりと、やはり状態的にかなり気を使っているようだった。
「ブルートレイン」ではイントロから大きな歓声が上がり、「君という花」で踊らせると、
「ちょうどうちのベースの山田が会員サイトの限定コンテンツ用に山中湖を背景に自撮りをしたあたりから雨が降り始めるという、何かに祟られてる感じが…。だからなんだっていう話ですが(笑)」
と笑わせつつ、
「昔を思い出して、部活で音楽をやってた頃のような青春っぽい曲を。歌詞書いたの俺じゃないけど(笑)」
と言って演奏されたのは、もちろん浅野いにおが歌詞を手がけた「ソラニン」。そして「今を生きて」でコーラスをみんなで叫んだりしながら、曲が終わるとメンバーは残響が残る中で楽器を置いてステージを去って行った。
ロッキンではアンコールをやらなかったが、初日も2日目もこのステージはアンコールがあったので、この日もあるだろうと思って待っていたら、やはり再びメンバーがステージに登場。
「最後の最後まで本当にありがとう。最後に激しい曲を」
と言って山田のベースから始まったのは、もちろん「遥か彼方」。気合いが入りまくっていたのか、いつにも増して声にパワーと伸びがあったゴッチのボーカルが最後の最後に最高レベルでエモーショナルに響く。どれだけ雨が降ってたって、やっぱり君じゃないなら意味はないのさ、とでもいうように。
ここにいた全ての人たちの思いを引き受けたような演奏が終わると5人がステージ前に並ぶ。最後に前に出てきた伊地知潔を真ん中にしようとするゴッチと真ん中から避けようとする潔のやり取りにクスッとする中、深々と頭を下げてメンバーがステージから去ると、雨が弱まってきた中、夜空に花火が打ち上がり、ビートルズの「All You Need Is Love」が流れる中、スクリーンにはこの日の全出演アーティストの写真が映し出され、最後にアジカンの写真が映ると大きな拍手が送られ、ステージにはレーザーでイベントの終幕を告げる文字が投射されていた。
1.Re:Re:
2.振動覚
3.リライト
4.ブラッドサーキュレーター
5.ブルートレイン
6.君という花
7.ソラニン
8.今を生きて
encore
9.遥か彼方
ブラッドサーキュレーター
https://youtu.be/ad9O07zsqnY
前日の雨の酷さには心が折れそうにもなったけど、やっぱり3日間本当に楽しかった。またここでこの景色とライブ後に打ち上がる花火を画面越しなんかじゃなく、自分の目で見るためにまた必ず行く。だから山中湖、また来年。晴れてる時のこの会場の美しさが他のどこよりも好きだから、来年はずっと晴れてるといいんだけどな。
自分がフェスに行き始めた頃は、7月半ばにNANO-MUGEN行って、8月頭にロッキン行ったらもう夏は終わりだったってくらいフェスがまだあんまりなかった。でも今は7月から8月終わりのこのフェスまで毎週どこかのフェスに行ける。こんなに楽しいこと、他に絶対ない。だからこうして毎週毎週どっかしらのフェスに行くような夏を過ごしている。できれば死ぬまでそんな夏の過ごし方でいたい。
Next→ 9/3 BAYCAMP @東扇島公園

10:30~ 04 Limited Sazabys [LAKESIDE STAGE]
去年のFOREST STAGEから一気にメインステージにジャンプアップを果たした、名古屋の04 Limited Sazabys。
リハでメンバーが何曲か演奏したあと、メインステージ開幕の合図となる60秒前からのカウントダウンを経てメンバーがステージに登場。
おなじみのGENの
「名古屋の04 Limited Sazabysです!」
という挨拶からいきなりの「swim」「climb」、渾身の「monolith」と初っ端からぶっ飛ばしまくりなくらいにぶっ飛ばし、泥沼状態にもかかわらずたくさんのダイバーが次々と飛んでいく。GENのハイトーンボイスもこの湖畔のステージに実によく似合っている。
去年に続き、バンドが普段曲作りの合宿をこの山中湖にあるスタジオで行っている(その模様はバンドのドキュメンタリーなどでも見ることができる)だけに、「産地直送」という形で、ここで生まれた曲たちがこの場所で演奏されていく。
新曲「Warp」もその中の1曲だが、メロコア回帰的だった「climb」とは異なり、ストレートなギターロックという趣の曲。すでに来月にアルバムが出ることも発表されているが、前作「CAV U」もかなり幅の広い内容のアルバムだっただけに、今作も同様にパンク・メロコアだけでなく、もっと多くの人が聴けるような内容のものになりそう。
RYU-TAがイントロで煽りまくってから踊らせる「Chicken race」から、そのRYU-TAが座って足を組み替えながらギターを弾く「labyrinth」と続くと、自身が地元の名古屋で始めた「YON FES」にこのフェスのいろいろな部分を持って帰りたいと語り、再会の歌こと「Terminal」から、ラストは名古屋から流星群を持ってきた「midnight crusing」で、
「このフェスに欠かせないバンドになりたい」
とGENは語ったが、もうすでにそんな存在になっているとしか思えない盛り上がりを見せた。
この日のライブでは発表しなかったが、この日の夜にバンドは2月に初の日本武道館ワンマンを行うことを発表した。今や多くのフェスでこうしてメインステージに立つようになり、ロックシーン全体を背負って立つようなオーラすら纏うようになったフォーリミの初の武道館。これは間違いなくバンドにとっても、ロックシーンにとっても記念碑的なライブになるはず。それだけに絶対見に行きたいところ。
リハ1.escape
リハ2.days
リハ3.fiction
1.swim
2.climb
3.monolith
4.Warp
5.Chicken race
6.labyrinth
7.Terminal
8.midnight crusing
Warp
https://youtu.be/gCKc99GZlqU
11:05~ My Hair is Bad [FOREST STAGE]
今年、様々なフェスに出演しているMy Hair is Bad。このフェスにも初出演を果たすが、始まる前からFOREST STAGEは人で溢れかえっており、バンドの注目度の高さを改めて感じさせる。
メンバーが登場すると
「新潟県上越市から来ました、My Hair is Badです!よろしくお願いします!」
という椎木の挨拶から「真赤」でスタートしたのだが、これまでにないくらいに椎木の声はガラガラだった。毎週というか、もはや毎日と言っていいレベルでライブを行い、アルバムも制作しているということによる疲れ。しかしながら声以外の部分では全く変わったところはないし、むしろその声が枯れていることがこのバンド特有のエモさをさらに引き出している感すらある。
MCでは声が枯れていることはわからないだけに、例によってひたすらに言葉を重ねていく。
「彼氏いるの?って聞いたら「いやぁ…」みたいなこと言ってた女とLINEしてたら、その女の彼氏にツイッターでLINEを晒されました!」
「スペシャで曲が流れると画面の隅っこにSっていうマークがつくのがうらやましくて、先にスペシャで流れていたHalo at 四畳半をいじめたりしてました!(笑)
でもこういうメディアの人たちは現場とか全然来ないんだろうし、ライブも見ないんだろうなって思ってたんだけど、スペシャ列伝ツアーをスペシャのスタッフの人たちと一緒に廻って、こんなに音楽が好きなひとたちが作ってる放送局なんだなって思ったし、こうしてラブシャにも呼んでくれました!今では本当に仲間だと思ってます!」
と、くだらないこともフェスやスペシャに対してのこともひたすらに語りまくる。そしてそのまま「from now on」でさらに言葉は鋭さを増し、もう「これ時間使いすぎなんじゃないか?」と思うくらいに。
そして「夏が過ぎてく」で終わりかと思いきや、最後にはやはりトドメとばかりに一瞬で終わる「クリサンセマム」。椎木も自身の声がガラガラなのをわかった上で、それでも最後まで止めることなく歌いきった。ライブを年間100本以上回りまくってるバンド。そんなことくらいではダメになるわけがないというライブバンドとしてのプライド。
7月頭にDEAD POP FESTiVALでこのバンドのライブを見て、「夏の匂いがした」ことを感じた。でもこの日は「夏が過ぎてく」のを感じながら見ていた。あっという間の夏だった。
1.真赤
2.アフターアワー
3.元彼氏として
4.from now on
5.夏が過ぎてく
6.クリサンセマム
真赤
https://youtu.be/0M3HoC2uGhM
12:10~ グループ魂 [LAKESIDE STAGE]
メンバーが登場すると、全員浴衣姿。まるで温泉旅行に来たおっさんたちがステージに立っているかのような、グループ魂。
のっけから下ネタ連発というか、もう曲自体が下ネタなのでもう致し方ないのだろうか。「3日しかリハやってない!」というのに破壊(阿部サダヲ)の声が枯れていたのは多忙によるものだろうか。その破壊は客席にスリッパを投げ入れまくりながら、
「若いやつらにアピールしたいのに、前の方はババアしかいねぇじゃねぇか!(笑)」
と毒舌を炸裂させる。
もうただ単にモノマネをしたいだけなんじゃないかという気すらしてくる最新アルバムからの「彦摩呂」で爆笑を巻き起こすと、港カヲルが破壊力抜群の女子高生姿になるおなじみの「High School」から、
「もう2016年はSMAPが解散して、安倍マリオが土管から出てきて、高畑くんがアメニティグッズを求めた年という。子供にどう説明すればいいんだ!」
と暴動(宮藤官九郎)が今年を総括(というか全部8月の出来事だけど)し、「君にジュースを買ってあげる」では破壊が最前列にいる観客に
「そこのマッチ棒みたいな君、なんか飲みたい?」
と聞くと、スクリーンに映し出されたその観客が「コーンスープ」と答え、
「コーンスープ!?…やっぱりこういうとこに来るやつは頭がおかしいな(笑)」
といじりまくり、港カヲルの愛する「ラーメン二郎」を終えると、
港「ちょっとあんまり大きな声ではまだ言えないんだけど…来年の2/1って予定空いてる人いる?」
と問いかけ、無数の手が上がり、
「実は2/1に港カヲルのソロコンサートを初開催することが決定しました!(爆笑)
場所は5000人が入る東京国際フォーラムです!(笑)
というわけで、来てくれる人ー!」
と再度問いかけると、最前列にいる数人からしか手が上がらず、港カヲルはガックリ。最終的には「二部構成で、一部が35分のソロコンサート、二部がグループ魂で今日のライブを最大限に薄めて2時間に(笑)」ということになる。暴動からは「35分って短すぎじゃねぇ!?」と突っ込まれていたが。
バイト君がさかなクンのモノマネをする「さかなクン」からはスペシャで果たしてどこまでオンエアできるのかという「ペニスJAPAN」の大コール、そして去年Charがこのステージに立ったのを知ってか知らずか「チャーのフェンダー」を、ローディーから巻きの指示を出されながらやりきった。
最後に1人残った港カヲルが再びソロコンサートの告知をしてから、
「次はお待ちかね、ハナレグミ改め、みんな大好きはなまるうどんの登場です!」
もう、参った。
1.ずるムケーションブレイクダウン
2.パンチラオブジョイトイ
3.彦摩呂
4.High School
5.君にジュースを買ってあげる
6.ラーメン二郎
7.さかなクン
8.ペニスJAPAN
9.チャーのフェンダー
彦摩呂
https://youtu.be/9nHgZyOHFSs
13:15~ クリープハイプ [Mt.FUJI STAGE]
近年のこのフェスではおなじみとなりつつあるクリープハイプ、Mt.FUJI STAGEに登場。規模的にはLAKESIDEでも全然いいくらいの存在なだけに、さすがに始まる前から超満員。
SEもなしにメンバーがステージに登場すると、尾崎世界観が
「クリープハイプのライブでは「今度会ったらセックスしよう!」っていうのが1番盛り上がる、っていう風によく言われてるのを見るんですけど、今度会ったら、っていうのがなんか嫌なんで、今ここでしましょう!」
と言い、カオナシがベースのイントロを弾き始める「HE IS MINE」でスタートし、さらに「社会の窓」と、普段のライブのクライマックスとなる曲からスタートするという逆パターン。
さらに
「普段うまくいかないこととかいっぱいあると思うんですけど、そういうのも全部、夏のせいにしてしまいましょう」
と言って「ラブホテル」、イントロでライブならではのアレンジが施された「憂、燦々」と夏のアンセムが続く。
すると
「ドラマの主題歌になってる新曲」
と紹介された、ブラックミュージックのリズムを取り入れた新境地的シングル「鬼」、カオナシがキーボードで尾崎がハンドマイクボーカルという削ぎ落とされたサウンドと、
「気持ちはいつも一番搾り でも君の気持ちはスーパードライ」
と実に尾崎らしい上手い歌詞が並ぶ「5%」と新曲が並び、ちょっと落ち着かせた後に最後に演奏されたのは「イノチミジカシコイセヨオトメ」。尾崎の声も最後の最後の「好きー!」の叫びまで実に伸びやかで、曲もライブもこれからのクリープハイプにさらなる期待をもちたくなるようなライブだった。これは来月リリースのアルバム「世界観」は近年の中ではトップクラスの内容になりそうだし、ツアーもすごくいいものになりそう。
1.HE IS MINE
2.社会の窓
3.ラブホテル
4.憂、燦々
5.鬼
6.5%
7.イノチミジカシコイセヨオトメ
鬼
https://youtu.be/TEviDZgKl1w
14:55~ 米津玄師 [Mt.FUJI STAGE]
去年はFOREST STAGEで初の夏フェス稼働となった夏を締めくくった、米津玄師が今年はMt.FUJI STAGEに登場。
サポートメンバー含めた4人がステージに登場すると、
「米津玄師です、よろしくお願いします!」
と威勢の良い挨拶をすると、中島と須藤がシンセを弾く「アンビリーバーズ」からスタートするというのはサマソニと一緒だが、両耳からピアスをぶら下げている米津玄師はやや歌詞を間違え気味なのが少し気になるところ。
それは「メランコリーキッチン」でもそうで、須藤のコーラスと歌詞が噛み合わない部分もあった。中島のマイクが下がってしまってコーラスができなくなり、須藤に笑われるという場面もあり、メンバーもこのステージに立っているのが実に楽しそう。
ライブならではの荘厳なアレンジが追加された「アイネクライネ」ではイントロから大歓声が起きる…が、サビでまさかの事態が。米津玄師が歌おうとすると、声がひっくり返ってしまい、全く歌えなくなってしまう。サビ以外の低音部分は普通に歌えているのだが、サビではもはや米津玄師はマイクに向かって歌うことすらもやめてしまう。
しかし、それでも歌声はこのステージから止まることはなかった。それはサポートメンバーのコーラスだけでなく、観客全員が米津玄師の代わりに大きな声で歌い、それが大合唱となって響いていたから。これまでにライブで何度も聴いているこの曲、というかもはやライブではやらない日はないというくらいの曲だが、今まで聴いたこの曲の中でも最も感動的だった。
ただステージに立っている側が演奏して歌うだけがライブではない。こうして目の前にいる人たちがいて、その人たちがアクションを取ることによって初めてライブになる。
「歌ってくれ!」というまでもなく合唱が起きていたこの瞬間を見て、久しぶりにそれを実感することができた。
曲終わりでは酸素を吸入したりするものの、
「こんなに声が出ないのは初めてで…。すごく支えてもらってありがとうございます。次の曲もみんなに歌って支えて欲しいんだけど…次の曲は新曲なんで、みんな歌えないんだよねぇ(笑)
でもなんとなくでいいんで、歌ってください(笑)」
と、こんなに追い詰められているような状況でもMCには割と余裕が感じられる。が、やはりサビではほとんど歌うことができず、この曲の真価を発揮させることはできなかった。
「次は知ってるかもしれない曲なんで…」
と言って演奏された「パンダヒーロー」「ドーナツホール」というボカロ曲のセルフカバー2連発ではほとんど歌えなくなってしまっていた米津玄師の代わりに観客の大合唱が会場に響き渡った。
演奏が終わると米津玄師は、
「本当に支えてもらってありがとうございます。そして申し訳ないです。来年、出れるかどうかわからないけど、もし出れるんなら是非リベンジさせてください」
と観客に感謝と謝罪の気持ちを明かし、来年のリベンジを誓った。
ただ単にセトリだけを見たら、サマソニと全く変わらない。でも内容は全く違っていた。それこそが、同じ日は二度とないというライブの醍醐味そのもの。
本人からしたら悔いが残るだろうけど、ライブ経験が他の出演者より圧倒的に少ない米津玄師にとって、この経験はこれからもずっとライブを続けていく上でとてつもなく大切な経験になるはず。
常に絶好調、常に完璧なんていうことはない。こうなった時にどうするのか。米津玄師がこれまでに聴いてきて、今でもライブを行っている人たちは、みんなそういうアクシデントを何度となく乗り越えてステージに立ち続けている。これから米津玄師がそうした存在になるために、間違いなくこれは必要な時間でありライブだった。
自分たち自身だけじゃなく、目の前にいる人たちで作り上げる。それがライブ。それを本当の意味で知って、これから米津玄師のライブと、ライブに対する意識は間違いなくさらに変わるだろう。
そしてライブ後、この日、この瞬間だけ空には青空が見えていた。みんなの大合唱が雲を吹き飛ばしたというのは言い過ぎだろうけど、もしかしたら、この男はこれから日本のロックシーン最強の晴れ男として認知されるようになるのかもしれない。
来年はLAKESIDE STAGEで、さらに大きくなってリベンジしてくれるのを待ってるから、また来年もこのフェスで。
1.アンビリーバーズ
2.ゴーゴー幽霊船
3.メランコリーキッチン
4.アイネクライネ
5.LOSER
6.パンダヒーロー
7.ドーナツホール
アイネクライネ
https://youtu.be/-EKxzId_Sj4
15:40~ NICO Touches the Walls [LAKESIDE STAGE]
このフェスの出演回数は最多クラスのNICO Touches the Walls。今回はSuperflyの代打としてこのステージに立つ。
メンバーが登場すると、Tシャツにネクタイという、それはなんか意味があるのか?という出で立ちをした光村に突っ込みたくなる中、シンプルなサウンドの最新シングル「ストラト」からスタートし、曲中を通じて手拍子が起こる。リズムが全然変わらないというのも、非常に高い演奏技術を持つこのバンドからしたら新鮮。
「THE BUNGY」で裏拍の手拍子とともに観客を飛び跳ねさせると、新曲の「マシ・マシ」をロッキンに続いて披露。光村がサビでタメまくってから最後の最後に歌うが、「ストラト」同様にこの曲もアレンジは非常にシンプル。
「まだまだリリースは先だと思います(笑)」
と光村が言っていただけに、アレンジが変わったりすることもあるのだろうか。
かつてこのフェスで超特大のサークルモッシュを生み出した「天地ガエシ」から、光村のスキャットとメンバーの演奏がとてつもないグルーヴを生み出す「ニワカ雨ニモ負ケズ」、そして最後は手拍子が鳴り響く「手をたたけ」。
セットリスト的にはロッキンとほとんど変わらない、というか、ロッキンの短縮版のような感じだったが、光村をはじめとして、メンバーの気合いが漲りまくっていた。このフェスはNICOを他のフェスよりも早い段階でメインステージに抜擢していたし、バンドも過去何度となく出演してきたこのステージで、このフェスへの愛を音で表明してきた。
だからこのステージのNICOのライブには何か特別は力が宿っている気がする。これからももう数え切れなくなるくらいにこのステージに立っているのを見たい。
1.ストラト
2.THE BUNGY
3.マシ・マシ
4.天地ガエシ
5.ニワカ雨ニモ負ケズ
6.手をたたけ
ストラト
https://youtu.be/uPLIiXgmBRI
16:55~ 上原ひろみとレキシ ~レキシが助けにやってきた~ [Mt.FUJI STAGE]
今年最も何が起こるかわからなかったアクトである。上原ひろみのバンドメンバーが来日できなくなったことにより、急遽レキシの面々がともにステージに立つことが発表。本当に急遽だっただけに、曲をやるのかどうかすらもわからないという状態。
最初に上原ひろみが1人で登場すると、ピアノを演奏し始める。ちなみにこの時間の前あたりからは雨が降り始めている。
するとひとしきり演奏した後に上原が突然、
「助けて、レキシー!」
と叫ぶと、スーパーマンのマントをまとったレキシとバンドメンバーが登場。今日のドラムはレキシバンドには初参加となるboboである。
客席には稲穂を掲げる観客もたくさんいる中、
「雨でげんなりしてるのか?(笑)俺もや(笑)
でもこれは稲穂にとっては恵みの雨ですよ。田植えフェスとか言われてるんやろ(笑)
め組の人ですよ(笑)」
と言って「狩りから稲作へ」を始めるも、「め組の人」を挟んだり、コール&レスポンスをするのだが、上原ひろみがフリーキーに演奏をしまくり、レキシメンバーもそれに乗っかってしまうため、池ちゃんが突っ込み役に回ってしまうという実に珍しい展開に。
オシャレキシというレキシネームをもらっているだけに、各曲を上原がオシャレにアレンジするため、もはや全然違う曲にすら聴こえる。
キメも連発するのだが、もはや演奏しているメンバーが達人クラスばかりなだけに、一発一発で客席は一気に盛り上がりを見せる。
しかしながらあまりにも上原が自由に演奏しまくるために、2曲だけでほとんどの尺を使いきってしまい、結果的に3曲だけ。
「本当は2曲だけしかできんくらいの感じだった(笑)」
だけに、よくあれだけのアレンジをした曲を演奏できたと思う。
これまでにこのフェスのステージに何度も立ってきた両者による、このフェスだからこそ見れるコラボ。最後には上原ひろみとピアノを連弾した池ちゃんが
「もう俺が助けてほしいくらいの感じだけど(笑)、ひろみちゃんが楽しそうだから良かった」
と言っていたが、かなりの雨が降る中、本当にメンバー全員が楽しそうに演奏していた。それがこのライブの素晴らしさを1番表していたと思う。
1.狩りから稲作へ
2.姫君Shake!
3.きらきら武士
きらきら武士
https://youtu.be/Mzkf1OGgSz8
17:50~ 矢沢永吉 [LAKESIDE STAGE]
矢沢永吉、2年ぶりにこのフェスに降臨。他のフェスに比べるとこのフェスには頻繁に出演している。
以前、NHKで特番が組まれていたが、永ちゃんは近年、バンドメンバーとして若い人と一緒にライブをやるようになってきている。それゆえにサウンドもすっきりとフレッシュになっている印象。かつては外人のプレイヤーがステージに何人も並んだりしていたが。
しかしながらやはり永ちゃんのライブの最大の魅力は永ちゃんその人の放つオーラである。白いスーツに身を包んでマイクスタンドを持って歌うのが本当に絵になる。
「2年前にここに出た時もこうして雨が降っていました(笑)」
と言う通り、今回もかなりの雨が降っているという雨男っぷり。しかしながら野外に出れば雨が降るというのはある意味ではスーパースターの証でもある。
熱狂的な永ちゃんファンに支えられながらアッパーな曲から永ちゃんの歌唱力を実感させてくれるバラードも歌いあげると、
「キャロルから始まって40年、ずっとステージに立っています。それでこうしてまたこのフェスに出させてもらって、こんなに嬉しいことはないね!」
とずっとライブを続けてきたからこそ説得力のある言葉を語り、「止まらないHa~Ha」では永ちゃんファンの方から、名前くらいは知ってるという人までもが一斉にタオルを放り投げる。こうして、どんな人でも同じように楽しめるというのはさすがとしか言いようがない。
そして最後は「いつの日か」でどこか再会を約束させるような歌を響かせた。
あまり毎回毎回フェスに出るような存在ではないが、こうしてこの人がステージに立っている姿を目の前で見れるというのは、ロックファンとして本当に幸せなことなのかもしれない。
1.黒く塗りつぶせ
2.カモン・ベイビー
3.古いラヴ・レター
4.共犯者
5.サイコーなRock You!
6.止まらないHa~Ha
7.いつの日か
止まらないHa~Ha
https://youtu.be/oIGeygsGX2I
18:35~ [Alexandros] [Mt.FUJI STAGE]
今年のMt.FUJI STAGEの大トリは、昨年はLAKESIDEのトリだった、[Alexandros]。
雨が強さを増す中、ステージには雨避けのテントが設置され、「Burger Queen」のSEでメンバーが登場すると、「Burger Queen」を演奏することはなく、最新シングル収録曲「Nawe,Nawe」からスタートし、「Girl A」と序盤はEDMの要素を取り入れた曲を続け、
「アルバムの曲ちょっとやっていいですか!」
と言うと、ハードなサウンドのロックンロールを演奏。しかし本当にちょっとだけなので、歌が入る曲なのかどうかすらわからないし、タイトルすらも当然わからない。
「Kick&Spin」では川上が雨にもかかわらずステージの前の方まで出てきてハンドマイクで歌う。さらに最新シングル「Swan」「Starrrrrr」
とバンドも観客もどんどんテンションが上がっていく。
「俺たちだけこんなテントの中でやっててすいません!でも機材濡れたらライブできなくなっちゃうんで!白井君のギターは1億3000万円くらいするんだっけ?(笑)
でも俺たちならいくらだって濡れたっていいから!」
と川上が叫ぶと、白井も磯部もガンガン前に出てきて弾きまくり、その姿にテンションの上がった観客が、雨で非常に寒い中にもかかわらず、半袖Tシャツ一枚でどんどんダイブしていく。その姿を見て、川上もバンドメンバーもさらに熱量を増していくという幸福な関係が出来上がっていた。
雨が降っているとどうしてもテンションが下がってしまうし、いつものようには楽しめなくなってしまいがちだ。だがそんな状況でも関係なくダイブしていく観客も、それを支えたり受け止めたりする人たちも、そして何より観客をそういうテンションにさせるバンドもみんな本当にかっこいい。
川上も「ありがとう!」という言い方がもう気合い入りまくってかなり荒くなっているのがわかる中、ラスト1曲と言って演奏された「Dracula La」でもダイバーが続出し、会場は雨が降ってるとは思えないというか、雨が降っているからこその熱気に満ち溢れていた。
そして最後にはまたしても新曲の断片を演奏。こちらは序盤とは違い、英語のボーカルが入っている曲。感覚としては「I want u to love me」のような、シンプルなロックンロールという感じだろうか。
演奏が終わると、
「風邪ひくなよ!気をつけて帰れよ!愛してるぜ!」
と叫び、自身が幼少時代からずっと見続け、愛を表明してきたスペシャのこのフェスのMt.FUJI STAGEを締めた。
やっぱりライブが本当にカッコいいバンドだから、ここまで来たということがわかるし、燃えまくってる時はさらにカッコいい。雨すらも演出にしていたかのようだった。
1.Nawe,Nawe
2.Girl A
3.新曲(ほんの少し)
4.Kick&Spin
5.Swan
6.Starrrrrr
7.ワタリドリ
8.Dracula La
9.新曲
Swan
https://youtu.be/ZnphQMl_SSE
19:25~ ASIAN KUNG-FU GENERATION [LAKESIDE STAGE]
ついにこのフェスも終わりの時間が迫っている。今年の大トリは結成20周年イヤーのアジカン。ロッキンに続いての大トリである。
シモリョーも含む5人がステージに登場すると、セッション的なイントロが追加された「Re:Re:」からスタートし、「振動覚」→「リライト」という「ソルファ」の流れもロッキンと同様。しかしながらロッキンより会場ははるかに寒く、メンバーも観客もかなり意識的に体を動かして温めながらという感じ。
「雨が降ってるのに最後までいてくれてどうもありがとう。寒いので体を動かしながら。最近出した激しめの曲を」
と言って「ブラッドサーキュレーター」を演奏したりと、やはり状態的にかなり気を使っているようだった。
「ブルートレイン」ではイントロから大きな歓声が上がり、「君という花」で踊らせると、
「ちょうどうちのベースの山田が会員サイトの限定コンテンツ用に山中湖を背景に自撮りをしたあたりから雨が降り始めるという、何かに祟られてる感じが…。だからなんだっていう話ですが(笑)」
と笑わせつつ、
「昔を思い出して、部活で音楽をやってた頃のような青春っぽい曲を。歌詞書いたの俺じゃないけど(笑)」
と言って演奏されたのは、もちろん浅野いにおが歌詞を手がけた「ソラニン」。そして「今を生きて」でコーラスをみんなで叫んだりしながら、曲が終わるとメンバーは残響が残る中で楽器を置いてステージを去って行った。
ロッキンではアンコールをやらなかったが、初日も2日目もこのステージはアンコールがあったので、この日もあるだろうと思って待っていたら、やはり再びメンバーがステージに登場。
「最後の最後まで本当にありがとう。最後に激しい曲を」
と言って山田のベースから始まったのは、もちろん「遥か彼方」。気合いが入りまくっていたのか、いつにも増して声にパワーと伸びがあったゴッチのボーカルが最後の最後に最高レベルでエモーショナルに響く。どれだけ雨が降ってたって、やっぱり君じゃないなら意味はないのさ、とでもいうように。
ここにいた全ての人たちの思いを引き受けたような演奏が終わると5人がステージ前に並ぶ。最後に前に出てきた伊地知潔を真ん中にしようとするゴッチと真ん中から避けようとする潔のやり取りにクスッとする中、深々と頭を下げてメンバーがステージから去ると、雨が弱まってきた中、夜空に花火が打ち上がり、ビートルズの「All You Need Is Love」が流れる中、スクリーンにはこの日の全出演アーティストの写真が映し出され、最後にアジカンの写真が映ると大きな拍手が送られ、ステージにはレーザーでイベントの終幕を告げる文字が投射されていた。
1.Re:Re:
2.振動覚
3.リライト
4.ブラッドサーキュレーター
5.ブルートレイン
6.君という花
7.ソラニン
8.今を生きて
encore
9.遥か彼方
ブラッドサーキュレーター
https://youtu.be/ad9O07zsqnY
前日の雨の酷さには心が折れそうにもなったけど、やっぱり3日間本当に楽しかった。またここでこの景色とライブ後に打ち上がる花火を画面越しなんかじゃなく、自分の目で見るためにまた必ず行く。だから山中湖、また来年。晴れてる時のこの会場の美しさが他のどこよりも好きだから、来年はずっと晴れてるといいんだけどな。
自分がフェスに行き始めた頃は、7月半ばにNANO-MUGEN行って、8月頭にロッキン行ったらもう夏は終わりだったってくらいフェスがまだあんまりなかった。でも今は7月から8月終わりのこのフェスまで毎週どこかのフェスに行ける。こんなに楽しいこと、他に絶対ない。だからこうして毎週毎週どっかしらのフェスに行くような夏を過ごしている。できれば死ぬまでそんな夏の過ごし方でいたい。
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