BAYCAMP 2016 @川崎東扇島公園 9/3
- 2016/09/04
- 23:09
つい数年前は「シャトルバスの運行に難があるフェス」と言われていた、川崎の野外で行われているオールナイトイベント、BAYCAMP。去年は仮設トイレがすべて故障するという、なかなかフェスでも類を見ない状況になり、シャトルバスはマシになっても運営への苦情が凄かった。(トイレ行ったら1~2アクト見逃すレベル)
運営側がトイレ対策を万全にするという(他のフェスでは見たことがない宣言)約束をし、前日には同じ会場で前夜祭も行われ、そろそろ失敗は許されない今年。(前夜祭もオールナイト)
会場にはトイレは確かに増えてはいるが、そこまでめちゃくちゃ多くはないという印象。去年からはSiM主催のフェス、DEAD POP FESTiVALも同会場で行われているため、この工業地帯が見渡せる景観もだいぶ見慣れてきた。
今年も隣り合わせのEAST ISLAND STAGEとPLANT STAGE、FREE THROW TENTの3ステージという会場構成は変わらない。
13:25~ SPARK!!SOUND!!SHOW!! [EAST ISLAND STAGE] (Welcome Act)
今年のオープニングアクトとして開幕を告げるのは、大阪のスサシことSPARK!!SOUND!!SHOW!!。去年はFREE THROW TENTのオープニングアクトだったが、今年はメインステージのオープニングアクトに。
時間になると流れてきたのはSMAPの「SHAKE」。しかもメンバー全員で歌いながら登場し、そのままカラオケに。ベースのチヨチヨは早くもステージから飛び降りたりし、
「SMAP解散反対ー!」
と叫けぶと、SPECIALS「Little Bitch」の演奏にRIP SLYME「JOINT」のラップを載せるという荒技で、ここまでは人の曲しかやっていない(笑)
人の曲ばかりとはいえ、演奏とここまでの選曲からは確かなスキルとヒップホップの影響が色濃いバンドであることがわかるのだが、「ミッドナイトサイダー」などのバンドの持つポップな面も見せながら、紅一点メンバーのミカテラ(キーボード)が飴を客席に投げ込みまくり、さらにはメンバー全員での物販紹介ラップなど、やりたい放題やりまくりで爆笑と失笑を巻き起こしまくる。
結局そんな感じなので、明らかに時間押しまくりになり、終盤は結構急ぎながら曲をやるという展開に。自分はこのバンドのライブを見るのは2回目だが、この日初めて見た人は「とにかく面白い大阪の人たち」的なイメージというイメージにしかなりようがないと思う。
ミッドナイトサイダー
https://youtu.be/cL-GhfVSVfk
14:10~ ヤバいTシャツ屋さん [FREE THROW DJ TENT]
今、各地のフェスで熱狂を巻き起こしまくっている3人組、ヤバいTシャツ屋さんが初出演。やはり開演前から人で溢れまくっているが、コヤマ(ボーカル&ギター)は
「こっちの方、バリ空いてるやん!みんなもっとこっち移動しぃって!」
と自身の前のあたりが空いてることを呼びかけるが、しばた(ベース&ボーカル)に
「そこらへんはお店屋さんの前やから!」
と突っ込まれるが、いざ時間になってライブを始めようとすると、同じ時間に真裏でライブをやっているSHISHAMOの「僕に彼女ができたんだ」のイントロをコヤマが弾き始め、
「何してんねん!しかも下手やし!やるんなら上手にやれや!」
ともりもと(ドラム)に突っ込まれる。冒頭から飛ばしまくりである。
そんなやりたい放題の中、「Tank-top of the world」からスタートすると、客席から手拍子が起こり、「天王寺経由してなんば」ではしばたがキュートなボーカルを聴かせる。
「ネコ飼いたい」「メロコアバンド~」というあたりはタイトル以上の意味が全くないような曲だが、「ウェイウェイ大学生」も含め、その観察眼の鋭さとそれをそのまま歌詞にできる能力、そして意外に広いサウンドの幅と、何よりも一度聴いたらすぐ歌いたくなるキャッチーさはこのバンドがなぜ今これだけ急速に支持を集めているのかがよくわかる。
もりもとにMCをさせたら「おもろなさすぎやん!ヤバい!」ともりもとをいじり、しばたに「ベイキャンプ」であいうえお作文をさせたり(ちゃんと返せるあたりの発想力はすごい)、
コヤマ「4人で力を合わせて…」
もりもと「1人多いやん!誰が見えてんねん!怖いわ!」
コヤマ「自分(もりもと)、高畑裕太に似てへん?(笑)」
もりもと「時事ネタやめって!」
コヤマ「社会に切り込んでいくバンドです。自分、チャゲアスのASKAに似てへん?(笑)」
もりもと「時事ネタにしては古いわ!」
コヤマ「今日初めてヤバTのライブ見る人、手挙げて。…速攻下ろして(笑)多すぎるわ(笑)」
など、まともなことを全く言わないMCで爆笑を巻き起こすと、最後はキラーチューン「あつまれ!パーリーピーポー」でダイブ、サークルも起こる熱狂ぶりを巻き起こした。
そのスタイルから確実にキュウソ以降という括られ方をされるバンドだが、そのキュウソは無名時代からこのフェスに出演して今の位置まで達した。すでに初出演にして当時のキュウソとは状況が全く違うが、この曲のキャッチーさと中毒性があれば、さらに勢いは加速していくはず。フルアルバムが出たらとんでもないことになりそう。
1.Tank-top of the world
2.天王寺経由してなんば
3.ネコ飼いたい
4.メロコアバンドのアルバムの3曲目くらいに収録されている感じの曲
5.ウェイウェイ大学生
6.あつまれ!パーティーピーポー
あつまれ!パーティーピーポー
https://youtu.be/5BKqfAZYGrA
14:45~ go! go! vanillas [EAST ISLAND STAGE]
今年全国の様々なフェスを回ってきた、go! go! vanillas。初出演のこのフェスで夏フェスの最後を飾る。
登場するなり牧(ボーカル&ギター)が
「このロケーション、最高じゃねぇか!」
と一目で海と工業地帯が見渡せるこのフェスの景色を気に入り、「スーパーワーカー」からスタートすると、非常にテンションの高い演奏を展開。夏フェス最後のライブというのもあるだろうが、今ノリにノっているバンドの勢いを感じさせる。
「デッドマンズチェイス」では4人が順番に歌って、タイトル部分を観客に合唱させるのだが、1つのマイクに集まって牧、柳沢、プリティが歌う姿が実に微笑ましい。しかしプリティが初めて手がけた曲として自身のメインボーカル曲としてカップリングに収録された時はこの曲がここまでのキラーチューンになるとは全く思っていなかった。全員で歌うというアレンジ、ライブでやり続けることにより曲自体を育ててきたというバンドの自力の強さを実感させる。
THE BAWDIESとのスプリットシングル収録の「ヒンキーディンキーパーティークルー」から「ヒートアイランド」という夏らしい曲を続けると、最後は「カウンターアクション」から
「俺たちがロックンロールの魔法をかけてやる!」
と「マジック」という、フェスらしいキラーチューン連発で今年の夏フェスを走りきった。
初出演にして客席も大入りという状況を生み出したが、近年の成長ぶりは目を見張るものがある。これからさらに大きな場所に到達するようになるかもしれない。
1.スーパーワーカー
2.エマ
3.デッドマンズチェイス
4.ヒンキーディンキーパーティークルー
5.ヒートアイランド
6.カウンターアクション
7.マジック
ヒンキーディンキーパーティークルー
https://youtu.be/EDmD4MN8f8s
15:30~ BIGMAMA [PLANT STAGE]
こちらも週末は様々な場所でのフェスに出演しまくっている、BIGMAMA。
「第九」のSEでメンバーがステージに登場すると、この晴れた空まで突き抜けていくような爽やかさの「Mr.&Mrs. Balloon」で大きな合唱を起こすと、ファンの人気が非常に高いロマンチックな「最後の一口」と、去年までの夏フェスのセトリ固定ぶりからしたら考えられないくらいの楽曲の入れ替えぶり。母の日ワンマンで様々なタイプの曲を演奏したというのもあるかもしれないが、フェスにたくさん出ているバンドなだけにこうして曲を入れ替えてくれるのは見ていて飽きない。
「降らなかったじゃん!この空に似合うような曲ばかりになりました!
長渕剛さんがDVDで「みんなで雨を吹き飛ばすぞ!セイ!セイ!」って言ってたけど、大丈夫だね(笑)」
と予報に反して晴れた空に図らずも似合う曲が並んだことを金井が語ると、バンドの最新バージョンとでも言うべき「Weekend Magic」、金井と柿沼のハイトーンツインボーカルが美しい「Cinderella ~計算高いシンデレラ~」と新旧の曲が違和感なく並び、「荒狂曲”シンセカイ”」でダイバーが次々に転がっていくと、ラストはEDMの要素も取り入れて、バンドの近年のテーマでもある「祝祭感」を最大限に引き出した「MUTOPIA」で踊らせまくった。
前週もフェスに出て、この翌日もフェスに出たが、どれもセットリストはかなり変わっていた。サウンドスタイルは多岐に渡れど、もともと名曲、代表曲が非常に多いバンドである。(セトリを従来とはだいぶ入れ替えたこの日もどれもそう感じさせる曲ばかりだった)
だからこそこうしてセトリを毎回変えてくれると、全く飽きることがないし、ライブを見れる機会が何回も続いても何回でも見たくなる。母の日ワンマンのレポでその部分について言及させてもらったが、バンドがそこに自覚的になったのならもうそんなことは言わなくてよくなる。
1.Mr.&Mrs. Balloon
2.最後の一口
3.Weekend Magic
4.秘密
5.Cinderella ~計算高いシンデレラ~
6.荒狂曲”シンセカイ”
7.MUTOPIA
Weekend Magic
https://youtu.be/g1X76gOu97w
16:15~ 大森靖子 [EAST ISLAND STAGE]
サウンドチェックでバンドメンバー全員が出てきてBUMP OF CHICKEN「天体観測」の絶唱カバーで観客を沸かせていた、大森靖子。
本番では大森靖子が1人で真っ白な旗を持って走ってステージに登場すると、アコギを手にして「PINK」の弾き語りからスタートし、途中でおなじみの凄腕バンドメンバーが登場。しかしこの日はキーボードは奥野真哉ではなかったのは、ソウル・フラワー・ユニオンがどこかでライブがあったからなのだろうか。
基本的な流れはロッキンで見た時と変わらず、「絶対彼女」ではおっさん限定でサビの
「絶対女の子 絶対女の子がいいな」
というフレーズを合唱させるのだが、女の子がいいなとは思っていないであろう野太い声がこのフレーズを歌っているのは実にシュールで面白い。
しかしながらロッキンの時にやっていた最新曲「ピンクメトセラ」はこの日はやらず、代わりに「少女3号」をやるというセトリに。囁くような大森のボーカルの「TOKYO BLACK HOLE」から、ラストの
「音楽は魔法ではない」
のフレーズを繰り返す「音楽を捨てよ、そして音楽へ」ではハンドマイクで歌いながら客席へ突入していき、最終的には観客に支えられながら上に立って熱唱し、歌い切るとそのまま後ろに倒れこむようにして観客に支えられる。そして演奏が終わると、
「あなたたち1人1人の人生が最高です!」
と叫ぶ。いやいや、このライブが最高でした。
1.PINK
2.マジックミラー
3.ミッドナイト清純異性交遊
4.絶対彼女
5.少女3号
6.TOKYO BLACK HOLE
7.音楽を捨てよ、そして音楽へ
TOKYO BLACK HOLE
https://youtu.be/lXIOIUGmh7I
17:00~ ストレイテナー [PLANT STAGE]
初出演時に、「このフェスはストレイテナーのために作った」と主催者に言われてからは毎回出演している、ストレイテナー。初のまだ暗くない時間での出演である。
ひなっちが蛍光イエローのTシャツを着ているのが目を引く中、いきなりの「Melodic Storm」からスタート。さらに「冬の太陽」と季節感はともかくとしてアッパーなギターロックが続くと、最新アルバムから「原色」、そして「シーグラス」と続ける。
今年の夏も何度かこのバンドのライブを見たが、この「シーグラス」を聴くと今年の夏の楽しかったライブの思い出の数々が頭の中にフラッシュバックしてきて少し切なくなってしまう。
「このフェスはホームだと思っているので、普段フェスではあんまりやらないような曲を」
と言って演奏されたのは同じく最新アルバムからの「Alternative Dancer」。ゆったりと踊らせると、
「まさに朝まで楽しむこのフェスにぴったりな曲!」
と「From Noon Till Dawn」から、ラストはシンペイが
「狂戦士のように昼から朝まで楽しみ続ける、このフェスに捧げる!」
と最後にテンションMAXにするべく「BERSERKER TUNE」で締め。もともとライブごとにセトリをかなり変えてくるバンドではあるが、短い時間で緩急をつけてくるあたりはさすが。もはやこのフェスを代表するバンドとしての貫禄すら感じる。
1.Melodic Storm
2.冬の太陽
3.原色
4.シーグラス
5.Alternative Dancer
6.From Noon Till Dawn
7.BERSERKER TUNE
シーグラス
https://youtu.be/eHfaix1XbPM
17:40~ lovefilm [FREE THROW DJ TENT]
去年はthe telephonesとして大トリを務め、このフェスとバンドの夏に終わりを告げた石毛とノブが今年は新バンドlovefilmとして帰還。初のDJ TENTステージである。
サウンドチェックでは江夏詩織がちょっと音の調整に苦しんでいた感じもあったが、「Alien」からスタートすると、いつもと変わらずに青春性の強いポップなギターロックが次々と演奏されていく。石毛とノブはなんら問題ないが、江夏も様々な夏フェスを回ってライブを重ねてきたことで、だいぶライブで落ち着きが見れるようになってきた。
それはライブを見ている側もそうで、telephonesのメンバーのバンドではあれど、telephonesとは全く違うライブの楽しみ方というのが定着してきている感もある。「Vomit」や江夏が叫びまくる「Don't Cry」ではtelephonesの時のように大きな合唱が巻き起こるが。
「神奈川県初ライブです、lovefilmです。このフェス、俺はもう4回目かな。ずっと来てますけど、大好きなフェスです。トイレの数に不満はあるけれど(笑)
今年はみんはトイレは大丈夫ですか?楽屋はちょっとヤバそうです(笑)」
と、去年の深刻なトイレ問題は観客だけでなく、楽屋側も同じであるということが明らかになる。石毛の発言からすると楽屋側は改善されていないということでもあるが。
無邪気な歌詞の「Honey Bee」から最後は今年の夏フェスで毎回最後に演奏されてきた「Kiss」で、
「君だけを見ていたいさ
もう2度と叶わない」
というフレーズがとても切なく響いて終了。ロッキンなどでやっていた新曲はラブシャとこの日は演奏されなかったが、11月の初ワンマンまでにはさらなる新曲も何曲か生まれているはず。それを経て、これからどうバンドは進化していくのか。その鍵を握っているのは間違いなく1番若くて経験の浅い江夏である。そこを石毛がどうさらに引き出していくのか。
1.Alien
2.Vomit
3.Goodbye,Goodnight
4.Don't Cry
5.Honey Bee
6.Kiss
Kiss
https://youtu.be/YsopBGIO2Bg
18:30~ the pillows [PLANT STAGE]
ここまでは若手~中堅が並んでいただけに、大ベテランのthe pillowsが山中さわおを先頭に登場すると一気に空気が引き締まっていくような空気になる。この日もサポートベースは最近おなじみの有江嘉典(VOLA & THE ORIENTAL MACHINE)。
荒々しい衝動がほとばしるギターロック「Advice」からスタートすると、次々に名曲が演奏されていく。ほとんど曲の間に喋ったりすることはなく、機材の交換くらい。
この日は飲食ブースにTheピーズのカラーゲ屋が出店していたのはこのバンドのドラムが佐藤シンイチロウだからであろうが、シンプルだがどっしりしたリズムであるだけに、さわおのボーカルがよく聞こえる。
ピロウズはすでに2枚もトリビュートアルバムが出されているだけに、「Blues Drive Monster」はa flood of circle、バンド屈指の名曲「Funny Bunny」はELLEGARDENという名カバーと本家を聴き比べるのも実に面白い。
「ちょうどいい天気ですね。ジャスト!」
と、ちょうどいいとは思えないくらいに雨が降ってきつつある天気なんですけど、と心の中でツッコミを入れたくなる中、
「27年ピロウズやってます。20歳で始めたから、もう47歳になるけど、今でもバンドが好き。ロックが音楽が好き。こうしてステージに立ってデカい音を出すのが大好き。音楽業界もいろいろ変わってきて、変わっていくものもあるけど、変わらないものもある。そういう気持ちを込めて」
と自身の音楽に対する衝動が変わっていないことを語り、演奏されたのは「Fool on the planet」。
「時代が変わっても 流されて歌ったりしないぜ
全てが変わっても 僕は変わらない」
という歌詞を先ほどのMCに重ねながら、見る側とステージに立つ側は違えど、自分は47歳くらいになっても、こうしてバンドが好き、ロックが好き、って言えているだろうか。言えているような人生を送っていたいと考えていた。
そして最後に「Can you feel!?」とさわおがといかけて演奏されたのは「ハイブリッド レインボウ」で、明日への確かな期待を感じさせながらステージを去っていった。
変わっていくものが多い中で、ピロウズもメンバーが変わったりといろいろあったけど、さわおの精神はずっと変わっていなかった。
1.Advice
2.I think I can
3.Ride on shooting star
4.カーニバル
5.Blues Drive Monster
6.Funny Bunny
7.Fool on the planet
8.ハイブリッド レインボウ
Funny Bunny
https://youtu.be/f92VWkYl8CI
19:15~ Czecho No Republic [EAST ISLAND STAGE]
毎年出演を続けてしっかりと成長を感じさせてきた、Czecho No Republic。今年は初めて夜の時間に登場である。
サウンドチェックでメンバーが曲を演奏している中、砂川(ギター)が
「雨止んでない?奇跡だぜー!お前らが起こした奇跡だぜー!」
と、それまで降っていた雨が止んだことをテンション高く語ると、武井に降られてL'Arc~en~Ciel「虹」をちょっとだけ歌う。
本番でメンバーが登場すると、「Amazing Parade」「NO WAY」と、バンドを今の位置にまで押し上げた名盤アルバム「MANTLE」の曲を連発して踊らせ、最新アルバム「DREAMS」からの、EDM要素が強くなり、武井がハンドマイクで砂川がベースという編成で音数を絞り込んだ「Dream Beach Sunset」では観客が手をフラミンゴのように振ると、山崎正太郎もドラムを叩きながら首を左右に動かしているのが実に面白い。砂川はカメラを意識しまくっており、さかんにカメラに近づいて演奏。
「天国があるかないかなんて 考えたことはないけど
もしかしてここがそうかなって 鼻歌交じり時々思うよ」
という歌詞がチェコのライブの空気そのものを言い当てているかのような「MUSIC」を終えると、
「夜になると、普段は中の下くらいの女の子も上の下くらいになって…」
ということを武井が話すと、砂川に
「君は何を言ってるんだ!」
と突っ込まれながら、タカハシマイがメインボーカルの「Electric Girl」へ。武井がハンドマイクで歌う曲が増えてフロントマンらしさが増しているが、同じくこの曲をハンドマイクで歌うタカハシマイも歌姫のような空気を纏うようになってきている。
そして夜の野外で演奏されるのが実によく似合う「Firework」から、ラストは「Oh Yeah!!!!!!!」で飛び跳ねさせまくり、武井もアコギを置いて踊りまくりながら歌っていた。
これまでは昼の太陽の下が似合うバンドというイメージが定着していたが、最新アルバムでのEDM要素をさらに強く取り入れたことによって、このバンドは夜すらも実によく似合うバンドになった。ロッキンでもトリだったし、これからはこういう時間でも見れる機会が増えるかもしれない。もちろんそれによってライブ自体もベストアクトクラスの素晴らしさになっていた。
リハ1.Forever Dreaming
リハ2.RUN RUN TIKI BANG BANG
1.Amazing Parade
2.NO WAY
3.Dream Beach Sunset
4.MUSIC
5.Electric Girl
6.Firework
7.Oh Yeah!!!!!!!
Dream Beach Sunset
https://youtu.be/7sy1_Cv5cpk
20:45~ Dragon Ash [EAST ISLAND STAGE]
ロッキンでは自らの美学を貫くライブをやってみせたDragon Ash、このフェスにも再び登場。
春フェスでよく演奏されていた「House of Velocity」「Ambitious」という踊らせる流れでスタートすると、
「俺らはモッシュ、ダイブ大賛成なんで、そういうのが嫌な、落ち着いて見たい人は俺らのライブの時は後ろに下がって見てくれ!」
とkjが言うと、kenkenの凄まじいベースとボーカルによる「The Live」で飛び跳ねさせまくり、新曲「光の街」を披露。すでに春から「Head Bang」というラウドロックど真ん中な新曲もライブでやっているが、この曲はそういうタイプではなく、「瓦礫の中」など、震災後の描写を強く感じさせる、一聴しただけで名曲とわかるタイプの曲。東北ライブハウス大作戦のライブハウスをバンドが回ったことも影響しているのだろうか。しかしながら曲後半にはいきなり演奏が激しくなり、次々にダイバーが出現するという初聴きとは思えない盛り上がりぶりを見せ、
「まだリリースも決まってない、ビデオも撮ってない新曲でこんなに喜んでくれて、暴れてくれるのはバンドのファンだけです。本当にありがとうございます」
とkjは観客のリアクションに感動していたが、それは曲自体に力があるからこそ。
そして「百合の咲く場所で」「Fantasista」というこれまでに数々の場面で最高の時間を作り上げてきたアンセムを連発し、もちろんサークル&ダイブの応酬となり、
「前回このフェスに出た時、俺よりバカな細美武士っていうやつがいて、俺と細美武士よりバカなTOSHI-LOW君もいて。3人で朝8時までずーっと裏で飲んでたんだけど、スタッフに「そろそろレゲエフェスの搬入が始まるからいい加減に帰ってくれないか」って言われて、MONOEYESの機材車に無理矢理乗せてもらって、アンプに囲まれながら帰った(笑)」
と、kjがこのフェスでの思い出を本当に楽しそうに語ってから最後に演奏された「Lily」でも最後の大サビでダイバーが続出。
これがDragon Ashの生き様であり、戦い方である。それを曲げるようなことは決してしない。それはずっとわかっていたことではあったが、改めてそれを強く感じさせてくれた2016年の夏だった。
1. House of Velocity
2.Ambitious
3.The Live
4.光の街 (新曲)
5.百合の咲く場所で
6.Fantasista
7.Lily
Lily
https://youtu.be/XbOkzFadliI
21:30~ キュウソネコカミ [PLANT STAGE]
4年連続出演、主催のP青木との関係の深さからも、間違いなくこのフェスを代表するバンドである、キュウソネコカミ。
本気のリハで「MEGA SHAKE IT!!」を演奏して、「ハウスミュージック」のフレーズでもダンスを起こすと、捌けることなくそのまま本番へ突入し、最新シングル「サギグラファー」からスタート。大きな合唱も起こる中、ブレイク部分では写真撮影ポーズを観客も一緒にやっているくらいに早くも曲自体がライブで定着しつつある。
レキシとのコラボ曲「KMTR645」をキュウソのみのバージョンで演奏すると「ビビった」「辛あわせ」という代表曲と最新曲を並べる。「辛あわせ」はここまでフェスとかで演奏されるような曲になるとは、という感じだが。
「みんな青木ツトムが大好きなんやろー!」
と、ポンコツではあるが普段から自分たちを支えてくれるP青木への愛情あふれる叫びから、「DQN~」ではセイヤがやはり客席に突入。「今年で4年目だから、来年も出られるように5歩歩かせてくれ!」と言い、何度も倒れそうになりながら、
「芸能人を倒すんじゃねー!」
と叫びながらなんとか5歩歩いてみせ、もはやこのフェスのテーマソングと言ってもいい「ハッピーポンコツ」で締めかと思いきや、最後に演奏されたのはなんと新曲。キュウソなりの、ネガティヴな人への応援歌とでも言うような、毒などをあまり感じないあたりは「ハッピーポンコツ」などに通じる部分もあるが、幕張メッセのワンマンなどでも披露していた新曲がリリースに至らなかっただけに、この曲はどんな形で今後聴けるようになるのだろうか。
結果的には、この日最大の集客だったのは明らかにこのバンドだった。(Dragon Ashのライブ中から待ってる人がたくさんいた)
やはりそれだけこのフェスに来る人はキュウソのライブを楽しみにしているし、このバンドがこのフェスで積み上げてきたことの結果でもある。自分自身、このフェスで初めてこのバンドを見た時のこと(3年前)を思い出したりしていた。あれは本当に衝撃的だった。
リハ.MEGA SHAKE IT!!
1.サギグラファー
2.KMTR645
3.ビビった
4.辛あわせ
5.DQNなりたい、40代で死にたい
6.ハッピーポンコツ
7.新曲
サギグラファー
https://youtu.be/UWgfwooNqxk
22:25~ 銀杏BOYZ [EAST ISLAND STAGE]
銀杏BOYZ、ついにこのフェス初出演。野外でのライブである。
まずはTシャツに海パンという姿の峯田和伸が1人で登場し、弾き語りの「光」でスタート。途中で山本幹宗(ギター)、藤原寛(ベース)、後藤大樹(ドラム)の3人も登場してバンド編成になるのだが、サビをさらに追加して、ツアー同様にかなり曲を長くしたアレンジ。バンドサウンドになってからの峯田はハンドマイクで暴れまわりながら歌うのだが、いつも以上に強く頭にマイクをぶつけており、途中からは額から出血してしまっているレベル。
サビのフレーズを峯田が呟いてからの「若者たち」では一気に観客が前方に押し寄せ、次々とダイバーが出現。メンバーこそ違えど、かつてこの曲を演奏していた時と全く同じ光景である。
「1番新しい曲!」
と言って演奏されたのは、峯田主演ドラマ「奇跡の人」のエンディングで流れていた「骨」だが、5月のVIVA LA ROCKの時からライブで演奏されているだけに、新しい曲と言われると、さらなる新曲なのかと思ってしまった。
「俺は夏が大嫌いです。なぜなら、夏の終わりはあの子をさらっていってしまうから。せめて、夢で逢いたかった!」
と言って演奏された「夢で逢えたら」、このフェス史上に残るんじゃないかというくらいの大合唱となった「BABY BABY」と名曲が続くが、やはり「BABY BABY」をこれだけたくさんの人が歌っている状況というのは何度体験しても涙が出そうになる。ワンマンの、銀杏BOYZが好きな人しかいないライブでも、こういう銀杏BOYZのことをあまり知らないような人がたくさんいるであろうというフェスでも、変わらず感動させてくれる。それは歌の力であり、違う人生を歩んできたたくさんの人が同じ曲を大きな声で合唱するというカタルシスによるもの。
「音楽業界が不況だとかなんとか言ってるやつらもいるけど、俺らからしたら今までとなんにも変わらない。作りたい曲を作って、演奏したい曲を演奏して、みんながこうして見に来てくれる。それだけでいいんだ。これはミュージシャン全員を代表してというわけではないですけど(笑)」
と自身の音楽観を語り、最後に演奏されたのは、
「銀杏BOYZみたいにポップになれんだ」
と歌う、とびきりロマンチックな「ぽあだむ」。演奏が終わると峯田は、
「俺はこれからも一生音楽を続けていきます。あの子のスカートを揺らすまで!」
と力強く宣言した。
この日出演した、大森靖子や彼のバンドメンバーであるピエール中野は銀杏BOYZへの愛を常に表明してきたし、キュウソネコカミはかつて銀杏BOYZのコピーもやっていた。さらにはこの日、My Hair is Badやスチャダラパーも銀杏のライブを見ていたことをMCで語っていた。改めて、銀杏BOYZがたくさんの人の人生に影響を及ぼした存在であることを実感した。それは自分自身が身をもって体験したことでもあるけれど。
ツアーに何公演も参加すると曲数自体は物足りない感じは否めないが、こうしてすぐまた銀杏BOYZのライブが見れるというのが本当に他の何よりも嬉しい。見れない時間が本当に長かったから。今月はサンボマスターとの対バンもある。この2組を一緒に見るの、実に久しぶり。本当に楽しみ。
1.光
2.若者たち
3.骨
4.夢で逢えたら
5.BABY BABY
6.ぽあだむ
ぽあだむ
https://youtu.be/wSIRyLtgXSY
24:40~ My Hair is Bad [FREE THROW DJ TENT]
銀杏BOYZ後、抜け殻になっていたり、雨が強くなったりしてかなり時間が空いてのMy Hair is Bad。雨はすっかり止んでいる。
リハから曲を連発すると、
「24:40、My Hair is Bad始めます!」
と言って、おなじみ「ブラジャーのホックを外す時だけ…」のフレーズを椎木が歌い始め、「真赤」からスタート。
椎木がぴょんぴょん飛び跳ねながら
「ドキドキしたいんじゃなくて、ドキドキさせにきたんだ!」
と叫ぶ「アフターアワー」とライブではおなじみの曲が続く。
椎木はこのフェスのイメージを
「なんかチャラい感じ(笑)今月なら結構まだ金あるから、ホテル代とか出せますよ!(笑)」
ととんでもない言葉で語り、
「今年の夏、いろんなフェスに出させてもらって。細美武士、エレファントカシマシ、アジカン、RIP SLYME、ザ・クロマニヨンズ、今日の銀杏BOYZと、いろんな本物の人たちをこの目で見てきた!今、みんなの前で演奏している俺たちも。本物のライブをその目で見てくれ!」
と、この夏の体験を語って言葉を次々に紡いでいく「from now on」へ。この日、この場所でしか聴けない曲。それはどんな場所でのライブでも毎回そう思える。だからこのバンドのライブはいつだって見逃せない。
そして
「この時間に似合う曲を」
と言って演奏されたのは、最新シングルのリード曲にして、ポエトリーリーディング的な「戦争を知らない大人たち」。てっきり時期的にこの日も「夏が過ぎてく」かと思っていたが、「グッナイ」のフレーズが繰り返されるこの曲は、深夜の野外というこの状況にこの上なくハマっていた。
そして最後はトドメとばかりに「クリサンセマム」を一瞬で叩きつけて終了。
椎木も言っていたように、この夏のバンドのフェス行脚での様々なレジェンドたちのライブを見たことは、これからの活動にとって必ず大きな財産になるはず。これからこのバンドがそのレジェンドたちに並んで語られるようになるためにも。
リハ1.ドラマみたいだ
リハ2.彼氏として
1.真赤
2.アフターアワー
3.元彼氏として
4.from now on
5.戦争を知らない大人たち
6.クリサンセマム
戦争を知らない大人たち
https://youtu.be/nX4hQH6RBQQ
1:25~ スチャダラパー [EAST ISLAND STAGE]
2年連続出演となるスチャダラパー。今年もロボ宙とバックバンドのザ・コストパフォーマンスを引き連れての登場。
ロボ宙とANIが「FUN」「BRA」というボードを掲げて観客にコールさせる「MORE FUN-KEY WORD」でスタートすると、「ライツカメラアクション」と、深夜で眠くなってくる時間帯にもかかわらず、観客全員が参加できる楽しいヒップホップライブに。
「ANIが川崎出身なんだけど、ここはなんか、ゴジラが出てきそうな場所っていうイメージしかない(笑)
でもさっき銀杏BOYZを見てたんですよ。やっぱり有名な曲もいっぱいあるバンドじゃないですか。「BABY BABY」とかみんなで歌ってて。でやっぱり俺らもそういう曲やっておかないとなぁって。でも峯田君がゲストで歌いに来てくれるわけじゃないんで、みなさんが歌うんですよ!?」
とBOSEが言うと、今年も「今夜はブギー・バック」の大合唱。コストパフォーマンスの演奏もよりジャジーかつムーディーなのがこの時間に聴くのに実に似合っている。
新曲も挟みつつ、
「なんかメンバーの体が重いなぁ、みたいなのも深夜だからじゃなくて、工業地帯ならではの公害によるものなんじゃないかって(笑)
ANIの小学校は教室に空気清浄機ついてたんでしょ?(笑)」
とこの場所ならではの脱力MCで笑わせると、それすらも「夏のせい」にしてしまう「サマージャム'95」の2016年バージョンで「夏のせい」の大合唱を巻き起こした。
やっぱり誰しもが知るヒット曲があるというのは本当にデカイし、ベテランならではの面白さとかっこよさを備えた人たちだと再確認。本人たちは
「東京オリンピックが始まる直前にスパッとやめる(笑)」
と言っていたけど(笑)
1.MORE FUN-KEY WORD
2.ライツカメラアクション
3.GET UP AND DANCE
4.今夜はブギーバック
5.レッツロックオン
6.FUN-KEY4-1
7.サマージャム'95
レッツロックオン
https://youtu.be/W5QytATQSxA
2:10~ 水曜日のカンパネラ [PLANT STAGE]
去年までのTENT STAGEから、ついにメインステージに進出した、水曜日のカンパネラ。もはやお茶の間にもその存在が浸透しつつある。
いたって普通に登場し、衣装はやはり派手ではあるが、ささやくようなボーカルでコムアイが最新作「UMA」収録の「フェニックス」を歌うと、ステージから降りて食虫植物みたいな神輿に乗って(もちろん下でスタッフが支えるという人力っぷり)客席の中を徘徊。PAテントの横で静止すると、
「こんな時間に見てくれてありがとう!私は川崎出身なんで、このフェスに出ると凱旋ライブみたいな感じがするんで、毎年出れて本当に嬉しいです!」
と自身がこの川崎出身であるという意外な事実を語ると、観客とのコール&レスポンス的に曲を進める「ディアブロ」へ。神輿に乗った状態で歌っていたのだが、さすがに支えているスタッフが限界を迎えてきているということで、ステージに戻り、カレーの歌である「ラー」ではこの日、会場で配られていた、カレー飯のマスコットと女性ダンサー2人も登場。女性ダンサーは最近サカナクションの山口一郎が使っている、振り回すと文字や絵が浮かび上がるサイリウムのようなものを使って大喝采を浴びる。
カレー飯くんについての説明もコムアイからあったが、そんなの耳に入るわけもないのは、コムアイがバルーンの中に入って客席の上を転がっていたから。転がりながら「桃太郎」を歌っていたが、もうその姿を追うのに必死で、曲を歌っていたということが全く頭に入ってこない。
歌いおわると、「どうやって終わればいいのかわからない(笑)」と観客の上で呟いていたコムアイ。結局はステージの方に転がって行って回収されるという終わり方。ステージがデカくなるにつれて、その飛び道具感もさらに増している。もっとデカいとこでやったらどんなことになるんだろうか。
1.フェニックス
2.ディアブロ
3.シャクシャイン
4.ラー
5.桃太郎
ラー
https://youtu.be/IOY7hh_KplE
そのあと、神聖かまってちゃんを見ていたりしたのだが、途中で意識がなくなってしまう。つまりは寝てしまっていた。楽しみにしていた、大トリの忘れらんねえよも見ることができず。このあたりはちょっと来年への己の課題にしたい。もうちょっとで最後まで楽しめていただけに。
しかし、去年はトイレ地獄となったわけで、女子トイレは確かに数が増えていたが、男子トイレは全く数が増えておらず、夜はかなり並ぶ羽目になり、帰る前に寄ったら8~9割は去年同様に使用禁止になっていた。
何人くらい来場者がいるのか。野外でオールナイトという寒くなりそうな状況、未成年がほとんどいないという酒が売れる客層。そうした要素をちゃんと主催者がわかっているとはとうてい思えない。(lovefilmの石毛もチラッとトイレについて言っていたけど)
こんなに男子トイレが並ぶフェスというのはなかなかないし、何がそこまで問題かというと、「トイレに行ったらめちゃ並んでて、ライブ見逃した」っていう状態になるほどバカらしいものはない。正直、台数さえ用意すればいくらでも置ける場所はあるはず。同じ会場で行われているDEAD POP FESTiVALはもっとトイレが多かったはず。
シャトルバスも早くから並んだ割にはかなり並ばされたし、客席には本来なら持ち込んではいけないはずのビンや缶のゴミも散乱していた。まだまだストレス0で楽しめるフェスというわけにはいかない。出演者とかは文句なしなだけに、その出演者のライブをなんの不安もなく楽しめるようなフェスを作って欲しい。せっかくこうして毎年行ってるフェスなだけに、いい思い出が残るようにしたいから。
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運営側がトイレ対策を万全にするという(他のフェスでは見たことがない宣言)約束をし、前日には同じ会場で前夜祭も行われ、そろそろ失敗は許されない今年。(前夜祭もオールナイト)
会場にはトイレは確かに増えてはいるが、そこまでめちゃくちゃ多くはないという印象。去年からはSiM主催のフェス、DEAD POP FESTiVALも同会場で行われているため、この工業地帯が見渡せる景観もだいぶ見慣れてきた。
今年も隣り合わせのEAST ISLAND STAGEとPLANT STAGE、FREE THROW TENTの3ステージという会場構成は変わらない。
13:25~ SPARK!!SOUND!!SHOW!! [EAST ISLAND STAGE] (Welcome Act)
今年のオープニングアクトとして開幕を告げるのは、大阪のスサシことSPARK!!SOUND!!SHOW!!。去年はFREE THROW TENTのオープニングアクトだったが、今年はメインステージのオープニングアクトに。
時間になると流れてきたのはSMAPの「SHAKE」。しかもメンバー全員で歌いながら登場し、そのままカラオケに。ベースのチヨチヨは早くもステージから飛び降りたりし、
「SMAP解散反対ー!」
と叫けぶと、SPECIALS「Little Bitch」の演奏にRIP SLYME「JOINT」のラップを載せるという荒技で、ここまでは人の曲しかやっていない(笑)
人の曲ばかりとはいえ、演奏とここまでの選曲からは確かなスキルとヒップホップの影響が色濃いバンドであることがわかるのだが、「ミッドナイトサイダー」などのバンドの持つポップな面も見せながら、紅一点メンバーのミカテラ(キーボード)が飴を客席に投げ込みまくり、さらにはメンバー全員での物販紹介ラップなど、やりたい放題やりまくりで爆笑と失笑を巻き起こしまくる。
結局そんな感じなので、明らかに時間押しまくりになり、終盤は結構急ぎながら曲をやるという展開に。自分はこのバンドのライブを見るのは2回目だが、この日初めて見た人は「とにかく面白い大阪の人たち」的なイメージというイメージにしかなりようがないと思う。
ミッドナイトサイダー
https://youtu.be/cL-GhfVSVfk
14:10~ ヤバいTシャツ屋さん [FREE THROW DJ TENT]
今、各地のフェスで熱狂を巻き起こしまくっている3人組、ヤバいTシャツ屋さんが初出演。やはり開演前から人で溢れまくっているが、コヤマ(ボーカル&ギター)は
「こっちの方、バリ空いてるやん!みんなもっとこっち移動しぃって!」
と自身の前のあたりが空いてることを呼びかけるが、しばた(ベース&ボーカル)に
「そこらへんはお店屋さんの前やから!」
と突っ込まれるが、いざ時間になってライブを始めようとすると、同じ時間に真裏でライブをやっているSHISHAMOの「僕に彼女ができたんだ」のイントロをコヤマが弾き始め、
「何してんねん!しかも下手やし!やるんなら上手にやれや!」
ともりもと(ドラム)に突っ込まれる。冒頭から飛ばしまくりである。
そんなやりたい放題の中、「Tank-top of the world」からスタートすると、客席から手拍子が起こり、「天王寺経由してなんば」ではしばたがキュートなボーカルを聴かせる。
「ネコ飼いたい」「メロコアバンド~」というあたりはタイトル以上の意味が全くないような曲だが、「ウェイウェイ大学生」も含め、その観察眼の鋭さとそれをそのまま歌詞にできる能力、そして意外に広いサウンドの幅と、何よりも一度聴いたらすぐ歌いたくなるキャッチーさはこのバンドがなぜ今これだけ急速に支持を集めているのかがよくわかる。
もりもとにMCをさせたら「おもろなさすぎやん!ヤバい!」ともりもとをいじり、しばたに「ベイキャンプ」であいうえお作文をさせたり(ちゃんと返せるあたりの発想力はすごい)、
コヤマ「4人で力を合わせて…」
もりもと「1人多いやん!誰が見えてんねん!怖いわ!」
コヤマ「自分(もりもと)、高畑裕太に似てへん?(笑)」
もりもと「時事ネタやめって!」
コヤマ「社会に切り込んでいくバンドです。自分、チャゲアスのASKAに似てへん?(笑)」
もりもと「時事ネタにしては古いわ!」
コヤマ「今日初めてヤバTのライブ見る人、手挙げて。…速攻下ろして(笑)多すぎるわ(笑)」
など、まともなことを全く言わないMCで爆笑を巻き起こすと、最後はキラーチューン「あつまれ!パーリーピーポー」でダイブ、サークルも起こる熱狂ぶりを巻き起こした。
そのスタイルから確実にキュウソ以降という括られ方をされるバンドだが、そのキュウソは無名時代からこのフェスに出演して今の位置まで達した。すでに初出演にして当時のキュウソとは状況が全く違うが、この曲のキャッチーさと中毒性があれば、さらに勢いは加速していくはず。フルアルバムが出たらとんでもないことになりそう。
1.Tank-top of the world
2.天王寺経由してなんば
3.ネコ飼いたい
4.メロコアバンドのアルバムの3曲目くらいに収録されている感じの曲
5.ウェイウェイ大学生
6.あつまれ!パーティーピーポー
あつまれ!パーティーピーポー
https://youtu.be/5BKqfAZYGrA
14:45~ go! go! vanillas [EAST ISLAND STAGE]
今年全国の様々なフェスを回ってきた、go! go! vanillas。初出演のこのフェスで夏フェスの最後を飾る。
登場するなり牧(ボーカル&ギター)が
「このロケーション、最高じゃねぇか!」
と一目で海と工業地帯が見渡せるこのフェスの景色を気に入り、「スーパーワーカー」からスタートすると、非常にテンションの高い演奏を展開。夏フェス最後のライブというのもあるだろうが、今ノリにノっているバンドの勢いを感じさせる。
「デッドマンズチェイス」では4人が順番に歌って、タイトル部分を観客に合唱させるのだが、1つのマイクに集まって牧、柳沢、プリティが歌う姿が実に微笑ましい。しかしプリティが初めて手がけた曲として自身のメインボーカル曲としてカップリングに収録された時はこの曲がここまでのキラーチューンになるとは全く思っていなかった。全員で歌うというアレンジ、ライブでやり続けることにより曲自体を育ててきたというバンドの自力の強さを実感させる。
THE BAWDIESとのスプリットシングル収録の「ヒンキーディンキーパーティークルー」から「ヒートアイランド」という夏らしい曲を続けると、最後は「カウンターアクション」から
「俺たちがロックンロールの魔法をかけてやる!」
と「マジック」という、フェスらしいキラーチューン連発で今年の夏フェスを走りきった。
初出演にして客席も大入りという状況を生み出したが、近年の成長ぶりは目を見張るものがある。これからさらに大きな場所に到達するようになるかもしれない。
1.スーパーワーカー
2.エマ
3.デッドマンズチェイス
4.ヒンキーディンキーパーティークルー
5.ヒートアイランド
6.カウンターアクション
7.マジック
ヒンキーディンキーパーティークルー
https://youtu.be/EDmD4MN8f8s
15:30~ BIGMAMA [PLANT STAGE]
こちらも週末は様々な場所でのフェスに出演しまくっている、BIGMAMA。
「第九」のSEでメンバーがステージに登場すると、この晴れた空まで突き抜けていくような爽やかさの「Mr.&Mrs. Balloon」で大きな合唱を起こすと、ファンの人気が非常に高いロマンチックな「最後の一口」と、去年までの夏フェスのセトリ固定ぶりからしたら考えられないくらいの楽曲の入れ替えぶり。母の日ワンマンで様々なタイプの曲を演奏したというのもあるかもしれないが、フェスにたくさん出ているバンドなだけにこうして曲を入れ替えてくれるのは見ていて飽きない。
「降らなかったじゃん!この空に似合うような曲ばかりになりました!
長渕剛さんがDVDで「みんなで雨を吹き飛ばすぞ!セイ!セイ!」って言ってたけど、大丈夫だね(笑)」
と予報に反して晴れた空に図らずも似合う曲が並んだことを金井が語ると、バンドの最新バージョンとでも言うべき「Weekend Magic」、金井と柿沼のハイトーンツインボーカルが美しい「Cinderella ~計算高いシンデレラ~」と新旧の曲が違和感なく並び、「荒狂曲”シンセカイ”」でダイバーが次々に転がっていくと、ラストはEDMの要素も取り入れて、バンドの近年のテーマでもある「祝祭感」を最大限に引き出した「MUTOPIA」で踊らせまくった。
前週もフェスに出て、この翌日もフェスに出たが、どれもセットリストはかなり変わっていた。サウンドスタイルは多岐に渡れど、もともと名曲、代表曲が非常に多いバンドである。(セトリを従来とはだいぶ入れ替えたこの日もどれもそう感じさせる曲ばかりだった)
だからこそこうしてセトリを毎回変えてくれると、全く飽きることがないし、ライブを見れる機会が何回も続いても何回でも見たくなる。母の日ワンマンのレポでその部分について言及させてもらったが、バンドがそこに自覚的になったのならもうそんなことは言わなくてよくなる。
1.Mr.&Mrs. Balloon
2.最後の一口
3.Weekend Magic
4.秘密
5.Cinderella ~計算高いシンデレラ~
6.荒狂曲”シンセカイ”
7.MUTOPIA
Weekend Magic
https://youtu.be/g1X76gOu97w
16:15~ 大森靖子 [EAST ISLAND STAGE]
サウンドチェックでバンドメンバー全員が出てきてBUMP OF CHICKEN「天体観測」の絶唱カバーで観客を沸かせていた、大森靖子。
本番では大森靖子が1人で真っ白な旗を持って走ってステージに登場すると、アコギを手にして「PINK」の弾き語りからスタートし、途中でおなじみの凄腕バンドメンバーが登場。しかしこの日はキーボードは奥野真哉ではなかったのは、ソウル・フラワー・ユニオンがどこかでライブがあったからなのだろうか。
基本的な流れはロッキンで見た時と変わらず、「絶対彼女」ではおっさん限定でサビの
「絶対女の子 絶対女の子がいいな」
というフレーズを合唱させるのだが、女の子がいいなとは思っていないであろう野太い声がこのフレーズを歌っているのは実にシュールで面白い。
しかしながらロッキンの時にやっていた最新曲「ピンクメトセラ」はこの日はやらず、代わりに「少女3号」をやるというセトリに。囁くような大森のボーカルの「TOKYO BLACK HOLE」から、ラストの
「音楽は魔法ではない」
のフレーズを繰り返す「音楽を捨てよ、そして音楽へ」ではハンドマイクで歌いながら客席へ突入していき、最終的には観客に支えられながら上に立って熱唱し、歌い切るとそのまま後ろに倒れこむようにして観客に支えられる。そして演奏が終わると、
「あなたたち1人1人の人生が最高です!」
と叫ぶ。いやいや、このライブが最高でした。
1.PINK
2.マジックミラー
3.ミッドナイト清純異性交遊
4.絶対彼女
5.少女3号
6.TOKYO BLACK HOLE
7.音楽を捨てよ、そして音楽へ
TOKYO BLACK HOLE
https://youtu.be/lXIOIUGmh7I
17:00~ ストレイテナー [PLANT STAGE]
初出演時に、「このフェスはストレイテナーのために作った」と主催者に言われてからは毎回出演している、ストレイテナー。初のまだ暗くない時間での出演である。
ひなっちが蛍光イエローのTシャツを着ているのが目を引く中、いきなりの「Melodic Storm」からスタート。さらに「冬の太陽」と季節感はともかくとしてアッパーなギターロックが続くと、最新アルバムから「原色」、そして「シーグラス」と続ける。
今年の夏も何度かこのバンドのライブを見たが、この「シーグラス」を聴くと今年の夏の楽しかったライブの思い出の数々が頭の中にフラッシュバックしてきて少し切なくなってしまう。
「このフェスはホームだと思っているので、普段フェスではあんまりやらないような曲を」
と言って演奏されたのは同じく最新アルバムからの「Alternative Dancer」。ゆったりと踊らせると、
「まさに朝まで楽しむこのフェスにぴったりな曲!」
と「From Noon Till Dawn」から、ラストはシンペイが
「狂戦士のように昼から朝まで楽しみ続ける、このフェスに捧げる!」
と最後にテンションMAXにするべく「BERSERKER TUNE」で締め。もともとライブごとにセトリをかなり変えてくるバンドではあるが、短い時間で緩急をつけてくるあたりはさすが。もはやこのフェスを代表するバンドとしての貫禄すら感じる。
1.Melodic Storm
2.冬の太陽
3.原色
4.シーグラス
5.Alternative Dancer
6.From Noon Till Dawn
7.BERSERKER TUNE
シーグラス
https://youtu.be/eHfaix1XbPM
17:40~ lovefilm [FREE THROW DJ TENT]
去年はthe telephonesとして大トリを務め、このフェスとバンドの夏に終わりを告げた石毛とノブが今年は新バンドlovefilmとして帰還。初のDJ TENTステージである。
サウンドチェックでは江夏詩織がちょっと音の調整に苦しんでいた感じもあったが、「Alien」からスタートすると、いつもと変わらずに青春性の強いポップなギターロックが次々と演奏されていく。石毛とノブはなんら問題ないが、江夏も様々な夏フェスを回ってライブを重ねてきたことで、だいぶライブで落ち着きが見れるようになってきた。
それはライブを見ている側もそうで、telephonesのメンバーのバンドではあれど、telephonesとは全く違うライブの楽しみ方というのが定着してきている感もある。「Vomit」や江夏が叫びまくる「Don't Cry」ではtelephonesの時のように大きな合唱が巻き起こるが。
「神奈川県初ライブです、lovefilmです。このフェス、俺はもう4回目かな。ずっと来てますけど、大好きなフェスです。トイレの数に不満はあるけれど(笑)
今年はみんはトイレは大丈夫ですか?楽屋はちょっとヤバそうです(笑)」
と、去年の深刻なトイレ問題は観客だけでなく、楽屋側も同じであるということが明らかになる。石毛の発言からすると楽屋側は改善されていないということでもあるが。
無邪気な歌詞の「Honey Bee」から最後は今年の夏フェスで毎回最後に演奏されてきた「Kiss」で、
「君だけを見ていたいさ
もう2度と叶わない」
というフレーズがとても切なく響いて終了。ロッキンなどでやっていた新曲はラブシャとこの日は演奏されなかったが、11月の初ワンマンまでにはさらなる新曲も何曲か生まれているはず。それを経て、これからどうバンドは進化していくのか。その鍵を握っているのは間違いなく1番若くて経験の浅い江夏である。そこを石毛がどうさらに引き出していくのか。
1.Alien
2.Vomit
3.Goodbye,Goodnight
4.Don't Cry
5.Honey Bee
6.Kiss
Kiss
https://youtu.be/YsopBGIO2Bg
18:30~ the pillows [PLANT STAGE]
ここまでは若手~中堅が並んでいただけに、大ベテランのthe pillowsが山中さわおを先頭に登場すると一気に空気が引き締まっていくような空気になる。この日もサポートベースは最近おなじみの有江嘉典(VOLA & THE ORIENTAL MACHINE)。
荒々しい衝動がほとばしるギターロック「Advice」からスタートすると、次々に名曲が演奏されていく。ほとんど曲の間に喋ったりすることはなく、機材の交換くらい。
この日は飲食ブースにTheピーズのカラーゲ屋が出店していたのはこのバンドのドラムが佐藤シンイチロウだからであろうが、シンプルだがどっしりしたリズムであるだけに、さわおのボーカルがよく聞こえる。
ピロウズはすでに2枚もトリビュートアルバムが出されているだけに、「Blues Drive Monster」はa flood of circle、バンド屈指の名曲「Funny Bunny」はELLEGARDENという名カバーと本家を聴き比べるのも実に面白い。
「ちょうどいい天気ですね。ジャスト!」
と、ちょうどいいとは思えないくらいに雨が降ってきつつある天気なんですけど、と心の中でツッコミを入れたくなる中、
「27年ピロウズやってます。20歳で始めたから、もう47歳になるけど、今でもバンドが好き。ロックが音楽が好き。こうしてステージに立ってデカい音を出すのが大好き。音楽業界もいろいろ変わってきて、変わっていくものもあるけど、変わらないものもある。そういう気持ちを込めて」
と自身の音楽に対する衝動が変わっていないことを語り、演奏されたのは「Fool on the planet」。
「時代が変わっても 流されて歌ったりしないぜ
全てが変わっても 僕は変わらない」
という歌詞を先ほどのMCに重ねながら、見る側とステージに立つ側は違えど、自分は47歳くらいになっても、こうしてバンドが好き、ロックが好き、って言えているだろうか。言えているような人生を送っていたいと考えていた。
そして最後に「Can you feel!?」とさわおがといかけて演奏されたのは「ハイブリッド レインボウ」で、明日への確かな期待を感じさせながらステージを去っていった。
変わっていくものが多い中で、ピロウズもメンバーが変わったりといろいろあったけど、さわおの精神はずっと変わっていなかった。
1.Advice
2.I think I can
3.Ride on shooting star
4.カーニバル
5.Blues Drive Monster
6.Funny Bunny
7.Fool on the planet
8.ハイブリッド レインボウ
Funny Bunny
https://youtu.be/f92VWkYl8CI
19:15~ Czecho No Republic [EAST ISLAND STAGE]
毎年出演を続けてしっかりと成長を感じさせてきた、Czecho No Republic。今年は初めて夜の時間に登場である。
サウンドチェックでメンバーが曲を演奏している中、砂川(ギター)が
「雨止んでない?奇跡だぜー!お前らが起こした奇跡だぜー!」
と、それまで降っていた雨が止んだことをテンション高く語ると、武井に降られてL'Arc~en~Ciel「虹」をちょっとだけ歌う。
本番でメンバーが登場すると、「Amazing Parade」「NO WAY」と、バンドを今の位置にまで押し上げた名盤アルバム「MANTLE」の曲を連発して踊らせ、最新アルバム「DREAMS」からの、EDM要素が強くなり、武井がハンドマイクで砂川がベースという編成で音数を絞り込んだ「Dream Beach Sunset」では観客が手をフラミンゴのように振ると、山崎正太郎もドラムを叩きながら首を左右に動かしているのが実に面白い。砂川はカメラを意識しまくっており、さかんにカメラに近づいて演奏。
「天国があるかないかなんて 考えたことはないけど
もしかしてここがそうかなって 鼻歌交じり時々思うよ」
という歌詞がチェコのライブの空気そのものを言い当てているかのような「MUSIC」を終えると、
「夜になると、普段は中の下くらいの女の子も上の下くらいになって…」
ということを武井が話すと、砂川に
「君は何を言ってるんだ!」
と突っ込まれながら、タカハシマイがメインボーカルの「Electric Girl」へ。武井がハンドマイクで歌う曲が増えてフロントマンらしさが増しているが、同じくこの曲をハンドマイクで歌うタカハシマイも歌姫のような空気を纏うようになってきている。
そして夜の野外で演奏されるのが実によく似合う「Firework」から、ラストは「Oh Yeah!!!!!!!」で飛び跳ねさせまくり、武井もアコギを置いて踊りまくりながら歌っていた。
これまでは昼の太陽の下が似合うバンドというイメージが定着していたが、最新アルバムでのEDM要素をさらに強く取り入れたことによって、このバンドは夜すらも実によく似合うバンドになった。ロッキンでもトリだったし、これからはこういう時間でも見れる機会が増えるかもしれない。もちろんそれによってライブ自体もベストアクトクラスの素晴らしさになっていた。
リハ1.Forever Dreaming
リハ2.RUN RUN TIKI BANG BANG
1.Amazing Parade
2.NO WAY
3.Dream Beach Sunset
4.MUSIC
5.Electric Girl
6.Firework
7.Oh Yeah!!!!!!!
Dream Beach Sunset
https://youtu.be/7sy1_Cv5cpk
20:45~ Dragon Ash [EAST ISLAND STAGE]
ロッキンでは自らの美学を貫くライブをやってみせたDragon Ash、このフェスにも再び登場。
春フェスでよく演奏されていた「House of Velocity」「Ambitious」という踊らせる流れでスタートすると、
「俺らはモッシュ、ダイブ大賛成なんで、そういうのが嫌な、落ち着いて見たい人は俺らのライブの時は後ろに下がって見てくれ!」
とkjが言うと、kenkenの凄まじいベースとボーカルによる「The Live」で飛び跳ねさせまくり、新曲「光の街」を披露。すでに春から「Head Bang」というラウドロックど真ん中な新曲もライブでやっているが、この曲はそういうタイプではなく、「瓦礫の中」など、震災後の描写を強く感じさせる、一聴しただけで名曲とわかるタイプの曲。東北ライブハウス大作戦のライブハウスをバンドが回ったことも影響しているのだろうか。しかしながら曲後半にはいきなり演奏が激しくなり、次々にダイバーが出現するという初聴きとは思えない盛り上がりぶりを見せ、
「まだリリースも決まってない、ビデオも撮ってない新曲でこんなに喜んでくれて、暴れてくれるのはバンドのファンだけです。本当にありがとうございます」
とkjは観客のリアクションに感動していたが、それは曲自体に力があるからこそ。
そして「百合の咲く場所で」「Fantasista」というこれまでに数々の場面で最高の時間を作り上げてきたアンセムを連発し、もちろんサークル&ダイブの応酬となり、
「前回このフェスに出た時、俺よりバカな細美武士っていうやつがいて、俺と細美武士よりバカなTOSHI-LOW君もいて。3人で朝8時までずーっと裏で飲んでたんだけど、スタッフに「そろそろレゲエフェスの搬入が始まるからいい加減に帰ってくれないか」って言われて、MONOEYESの機材車に無理矢理乗せてもらって、アンプに囲まれながら帰った(笑)」
と、kjがこのフェスでの思い出を本当に楽しそうに語ってから最後に演奏された「Lily」でも最後の大サビでダイバーが続出。
これがDragon Ashの生き様であり、戦い方である。それを曲げるようなことは決してしない。それはずっとわかっていたことではあったが、改めてそれを強く感じさせてくれた2016年の夏だった。
1. House of Velocity
2.Ambitious
3.The Live
4.光の街 (新曲)
5.百合の咲く場所で
6.Fantasista
7.Lily
Lily
https://youtu.be/XbOkzFadliI
21:30~ キュウソネコカミ [PLANT STAGE]
4年連続出演、主催のP青木との関係の深さからも、間違いなくこのフェスを代表するバンドである、キュウソネコカミ。
本気のリハで「MEGA SHAKE IT!!」を演奏して、「ハウスミュージック」のフレーズでもダンスを起こすと、捌けることなくそのまま本番へ突入し、最新シングル「サギグラファー」からスタート。大きな合唱も起こる中、ブレイク部分では写真撮影ポーズを観客も一緒にやっているくらいに早くも曲自体がライブで定着しつつある。
レキシとのコラボ曲「KMTR645」をキュウソのみのバージョンで演奏すると「ビビった」「辛あわせ」という代表曲と最新曲を並べる。「辛あわせ」はここまでフェスとかで演奏されるような曲になるとは、という感じだが。
「みんな青木ツトムが大好きなんやろー!」
と、ポンコツではあるが普段から自分たちを支えてくれるP青木への愛情あふれる叫びから、「DQN~」ではセイヤがやはり客席に突入。「今年で4年目だから、来年も出られるように5歩歩かせてくれ!」と言い、何度も倒れそうになりながら、
「芸能人を倒すんじゃねー!」
と叫びながらなんとか5歩歩いてみせ、もはやこのフェスのテーマソングと言ってもいい「ハッピーポンコツ」で締めかと思いきや、最後に演奏されたのはなんと新曲。キュウソなりの、ネガティヴな人への応援歌とでも言うような、毒などをあまり感じないあたりは「ハッピーポンコツ」などに通じる部分もあるが、幕張メッセのワンマンなどでも披露していた新曲がリリースに至らなかっただけに、この曲はどんな形で今後聴けるようになるのだろうか。
結果的には、この日最大の集客だったのは明らかにこのバンドだった。(Dragon Ashのライブ中から待ってる人がたくさんいた)
やはりそれだけこのフェスに来る人はキュウソのライブを楽しみにしているし、このバンドがこのフェスで積み上げてきたことの結果でもある。自分自身、このフェスで初めてこのバンドを見た時のこと(3年前)を思い出したりしていた。あれは本当に衝撃的だった。
リハ.MEGA SHAKE IT!!
1.サギグラファー
2.KMTR645
3.ビビった
4.辛あわせ
5.DQNなりたい、40代で死にたい
6.ハッピーポンコツ
7.新曲
サギグラファー
https://youtu.be/UWgfwooNqxk
22:25~ 銀杏BOYZ [EAST ISLAND STAGE]
銀杏BOYZ、ついにこのフェス初出演。野外でのライブである。
まずはTシャツに海パンという姿の峯田和伸が1人で登場し、弾き語りの「光」でスタート。途中で山本幹宗(ギター)、藤原寛(ベース)、後藤大樹(ドラム)の3人も登場してバンド編成になるのだが、サビをさらに追加して、ツアー同様にかなり曲を長くしたアレンジ。バンドサウンドになってからの峯田はハンドマイクで暴れまわりながら歌うのだが、いつも以上に強く頭にマイクをぶつけており、途中からは額から出血してしまっているレベル。
サビのフレーズを峯田が呟いてからの「若者たち」では一気に観客が前方に押し寄せ、次々とダイバーが出現。メンバーこそ違えど、かつてこの曲を演奏していた時と全く同じ光景である。
「1番新しい曲!」
と言って演奏されたのは、峯田主演ドラマ「奇跡の人」のエンディングで流れていた「骨」だが、5月のVIVA LA ROCKの時からライブで演奏されているだけに、新しい曲と言われると、さらなる新曲なのかと思ってしまった。
「俺は夏が大嫌いです。なぜなら、夏の終わりはあの子をさらっていってしまうから。せめて、夢で逢いたかった!」
と言って演奏された「夢で逢えたら」、このフェス史上に残るんじゃないかというくらいの大合唱となった「BABY BABY」と名曲が続くが、やはり「BABY BABY」をこれだけたくさんの人が歌っている状況というのは何度体験しても涙が出そうになる。ワンマンの、銀杏BOYZが好きな人しかいないライブでも、こういう銀杏BOYZのことをあまり知らないような人がたくさんいるであろうというフェスでも、変わらず感動させてくれる。それは歌の力であり、違う人生を歩んできたたくさんの人が同じ曲を大きな声で合唱するというカタルシスによるもの。
「音楽業界が不況だとかなんとか言ってるやつらもいるけど、俺らからしたら今までとなんにも変わらない。作りたい曲を作って、演奏したい曲を演奏して、みんながこうして見に来てくれる。それだけでいいんだ。これはミュージシャン全員を代表してというわけではないですけど(笑)」
と自身の音楽観を語り、最後に演奏されたのは、
「銀杏BOYZみたいにポップになれんだ」
と歌う、とびきりロマンチックな「ぽあだむ」。演奏が終わると峯田は、
「俺はこれからも一生音楽を続けていきます。あの子のスカートを揺らすまで!」
と力強く宣言した。
この日出演した、大森靖子や彼のバンドメンバーであるピエール中野は銀杏BOYZへの愛を常に表明してきたし、キュウソネコカミはかつて銀杏BOYZのコピーもやっていた。さらにはこの日、My Hair is Badやスチャダラパーも銀杏のライブを見ていたことをMCで語っていた。改めて、銀杏BOYZがたくさんの人の人生に影響を及ぼした存在であることを実感した。それは自分自身が身をもって体験したことでもあるけれど。
ツアーに何公演も参加すると曲数自体は物足りない感じは否めないが、こうしてすぐまた銀杏BOYZのライブが見れるというのが本当に他の何よりも嬉しい。見れない時間が本当に長かったから。今月はサンボマスターとの対バンもある。この2組を一緒に見るの、実に久しぶり。本当に楽しみ。
1.光
2.若者たち
3.骨
4.夢で逢えたら
5.BABY BABY
6.ぽあだむ
ぽあだむ
https://youtu.be/wSIRyLtgXSY
24:40~ My Hair is Bad [FREE THROW DJ TENT]
銀杏BOYZ後、抜け殻になっていたり、雨が強くなったりしてかなり時間が空いてのMy Hair is Bad。雨はすっかり止んでいる。
リハから曲を連発すると、
「24:40、My Hair is Bad始めます!」
と言って、おなじみ「ブラジャーのホックを外す時だけ…」のフレーズを椎木が歌い始め、「真赤」からスタート。
椎木がぴょんぴょん飛び跳ねながら
「ドキドキしたいんじゃなくて、ドキドキさせにきたんだ!」
と叫ぶ「アフターアワー」とライブではおなじみの曲が続く。
椎木はこのフェスのイメージを
「なんかチャラい感じ(笑)今月なら結構まだ金あるから、ホテル代とか出せますよ!(笑)」
ととんでもない言葉で語り、
「今年の夏、いろんなフェスに出させてもらって。細美武士、エレファントカシマシ、アジカン、RIP SLYME、ザ・クロマニヨンズ、今日の銀杏BOYZと、いろんな本物の人たちをこの目で見てきた!今、みんなの前で演奏している俺たちも。本物のライブをその目で見てくれ!」
と、この夏の体験を語って言葉を次々に紡いでいく「from now on」へ。この日、この場所でしか聴けない曲。それはどんな場所でのライブでも毎回そう思える。だからこのバンドのライブはいつだって見逃せない。
そして
「この時間に似合う曲を」
と言って演奏されたのは、最新シングルのリード曲にして、ポエトリーリーディング的な「戦争を知らない大人たち」。てっきり時期的にこの日も「夏が過ぎてく」かと思っていたが、「グッナイ」のフレーズが繰り返されるこの曲は、深夜の野外というこの状況にこの上なくハマっていた。
そして最後はトドメとばかりに「クリサンセマム」を一瞬で叩きつけて終了。
椎木も言っていたように、この夏のバンドのフェス行脚での様々なレジェンドたちのライブを見たことは、これからの活動にとって必ず大きな財産になるはず。これからこのバンドがそのレジェンドたちに並んで語られるようになるためにも。
リハ1.ドラマみたいだ
リハ2.彼氏として
1.真赤
2.アフターアワー
3.元彼氏として
4.from now on
5.戦争を知らない大人たち
6.クリサンセマム
戦争を知らない大人たち
https://youtu.be/nX4hQH6RBQQ
1:25~ スチャダラパー [EAST ISLAND STAGE]
2年連続出演となるスチャダラパー。今年もロボ宙とバックバンドのザ・コストパフォーマンスを引き連れての登場。
ロボ宙とANIが「FUN」「BRA」というボードを掲げて観客にコールさせる「MORE FUN-KEY WORD」でスタートすると、「ライツカメラアクション」と、深夜で眠くなってくる時間帯にもかかわらず、観客全員が参加できる楽しいヒップホップライブに。
「ANIが川崎出身なんだけど、ここはなんか、ゴジラが出てきそうな場所っていうイメージしかない(笑)
でもさっき銀杏BOYZを見てたんですよ。やっぱり有名な曲もいっぱいあるバンドじゃないですか。「BABY BABY」とかみんなで歌ってて。でやっぱり俺らもそういう曲やっておかないとなぁって。でも峯田君がゲストで歌いに来てくれるわけじゃないんで、みなさんが歌うんですよ!?」
とBOSEが言うと、今年も「今夜はブギー・バック」の大合唱。コストパフォーマンスの演奏もよりジャジーかつムーディーなのがこの時間に聴くのに実に似合っている。
新曲も挟みつつ、
「なんかメンバーの体が重いなぁ、みたいなのも深夜だからじゃなくて、工業地帯ならではの公害によるものなんじゃないかって(笑)
ANIの小学校は教室に空気清浄機ついてたんでしょ?(笑)」
とこの場所ならではの脱力MCで笑わせると、それすらも「夏のせい」にしてしまう「サマージャム'95」の2016年バージョンで「夏のせい」の大合唱を巻き起こした。
やっぱり誰しもが知るヒット曲があるというのは本当にデカイし、ベテランならではの面白さとかっこよさを備えた人たちだと再確認。本人たちは
「東京オリンピックが始まる直前にスパッとやめる(笑)」
と言っていたけど(笑)
1.MORE FUN-KEY WORD
2.ライツカメラアクション
3.GET UP AND DANCE
4.今夜はブギーバック
5.レッツロックオン
6.FUN-KEY4-1
7.サマージャム'95
レッツロックオン
https://youtu.be/W5QytATQSxA
2:10~ 水曜日のカンパネラ [PLANT STAGE]
去年までのTENT STAGEから、ついにメインステージに進出した、水曜日のカンパネラ。もはやお茶の間にもその存在が浸透しつつある。
いたって普通に登場し、衣装はやはり派手ではあるが、ささやくようなボーカルでコムアイが最新作「UMA」収録の「フェニックス」を歌うと、ステージから降りて食虫植物みたいな神輿に乗って(もちろん下でスタッフが支えるという人力っぷり)客席の中を徘徊。PAテントの横で静止すると、
「こんな時間に見てくれてありがとう!私は川崎出身なんで、このフェスに出ると凱旋ライブみたいな感じがするんで、毎年出れて本当に嬉しいです!」
と自身がこの川崎出身であるという意外な事実を語ると、観客とのコール&レスポンス的に曲を進める「ディアブロ」へ。神輿に乗った状態で歌っていたのだが、さすがに支えているスタッフが限界を迎えてきているということで、ステージに戻り、カレーの歌である「ラー」ではこの日、会場で配られていた、カレー飯のマスコットと女性ダンサー2人も登場。女性ダンサーは最近サカナクションの山口一郎が使っている、振り回すと文字や絵が浮かび上がるサイリウムのようなものを使って大喝采を浴びる。
カレー飯くんについての説明もコムアイからあったが、そんなの耳に入るわけもないのは、コムアイがバルーンの中に入って客席の上を転がっていたから。転がりながら「桃太郎」を歌っていたが、もうその姿を追うのに必死で、曲を歌っていたということが全く頭に入ってこない。
歌いおわると、「どうやって終わればいいのかわからない(笑)」と観客の上で呟いていたコムアイ。結局はステージの方に転がって行って回収されるという終わり方。ステージがデカくなるにつれて、その飛び道具感もさらに増している。もっとデカいとこでやったらどんなことになるんだろうか。
1.フェニックス
2.ディアブロ
3.シャクシャイン
4.ラー
5.桃太郎
ラー
https://youtu.be/IOY7hh_KplE
そのあと、神聖かまってちゃんを見ていたりしたのだが、途中で意識がなくなってしまう。つまりは寝てしまっていた。楽しみにしていた、大トリの忘れらんねえよも見ることができず。このあたりはちょっと来年への己の課題にしたい。もうちょっとで最後まで楽しめていただけに。
しかし、去年はトイレ地獄となったわけで、女子トイレは確かに数が増えていたが、男子トイレは全く数が増えておらず、夜はかなり並ぶ羽目になり、帰る前に寄ったら8~9割は去年同様に使用禁止になっていた。
何人くらい来場者がいるのか。野外でオールナイトという寒くなりそうな状況、未成年がほとんどいないという酒が売れる客層。そうした要素をちゃんと主催者がわかっているとはとうてい思えない。(lovefilmの石毛もチラッとトイレについて言っていたけど)
こんなに男子トイレが並ぶフェスというのはなかなかないし、何がそこまで問題かというと、「トイレに行ったらめちゃ並んでて、ライブ見逃した」っていう状態になるほどバカらしいものはない。正直、台数さえ用意すればいくらでも置ける場所はあるはず。同じ会場で行われているDEAD POP FESTiVALはもっとトイレが多かったはず。
シャトルバスも早くから並んだ割にはかなり並ばされたし、客席には本来なら持ち込んではいけないはずのビンや缶のゴミも散乱していた。まだまだストレス0で楽しめるフェスというわけにはいかない。出演者とかは文句なしなだけに、その出演者のライブをなんの不安もなく楽しめるようなフェスを作って欲しい。せっかくこうして毎年行ってるフェスなだけに、いい思い出が残るようにしたいから。
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