ROCK IN JAPAN FES.2016 DAY3 @国営ひたち海浜公園 8/13
- 2016/08/15
- 23:44
週が変わって3日目。先週となんら変わるところはないが、明らかに先週よりも涼しくて過ごしやすい気候。2週開催になってから降ることもあった雨の心配もない。
10:30~ サイダーガール [HILLSIDE STAGE]
今年新設されたHILLSIDE STAGE。GRASS STAGEとLAKE STAGEの裏側をつなぐ新しいルート、まつかぜルートの途中に作られた、このフェス第7のステージにして、先週も若手・新人が多数出演した、1番小規模なステージである。先週、足を踏み入れたものの、ライブは見なかったので、この日がこのステージでライブを見るのは初。
そのHILLSIDE STAGEの2週目のトップバッターはサイダーガール。昨年デビューしたばかりのギターロックバンドである。
時間になると、サポートドラムを含めたメンバー3人が登場。ボーカル&ギターのYurinこそ上下真っ黒な服を着ているが、フジムラ(ベース)と和(ギター)はバンド名の通りに爽やかな出で立ち。
「空にこぼれる」「ドラマチック」という疾走感溢れるギターロック曲でスタートすると、本当にオーソドックスなギターロックでありながら、CDで聴いた時のYurinの爽やかなボーカルを軸にしたおとなしいイメージよりもはるかに男らしく力強い演奏に驚く。どこか2006年に新設された時に初めてメレンゲのライブを見た時のことを思い出す。
「ずっとこのフェスに憧れていたんだけど、来る時は絶対ステージの上に立つ側として来ようって思ってたから、見に来たりとかもしてなくて。こんなに早く出れて本当に嬉しいです」
とYurinが出演できた嬉しさを語ると、ずっとやってみたかったという
「ロッキン!」「ジャパーン!」
のコール&レスポンスを行い、あまりの気持ちよさにフジムラも同じようにコール&レスポンス。
「夕凪」で朝から涼しい風を吹かせると、「オーバードライブ」で再び加速し、最後の「No.2」では演奏が始まってすぐに和が目の当たりを拭うような仕草を見せると、途中でYurinが感極まって歌えなくなってしまい、再び歌い出すと明らかに涙声になっていた。これには予想以上にたくさんの人が見にきてくれたという嬉しさによるものなのかもしれないが、
「丘の上 真っ赤な空」
という歌詞が、空こそ真っ青であるが、丘の上に作られたこのステージで歌われるために作られた曲であるかのように響いた。
メンバーはアー写で顔を出したりこそしていないが、飛び道具的な要素は一切ない、かつてのロッキンオンジャパンのど真ん中にいるようなイメージのバンドである。逆に今はそうしたスタイルのバンドのほうが少なくなってきてしまっているが、このバンドは果たしてこのままでどこまでいけるか。
1.空にこぼれる
2.ドラマチック
3.夕凪
4.オーバードライブ
5.No.2
No.2
https://youtu.be/RjAQRkEvGq8
11:10~ さユり [WING TENT]
初出演にしてこの日のトップバッターであるWING TENTは始まる前からすでに満員状態。そこに登場したのは、黒い服で統一され、ガスマスクを着けた(酸欠だから?)4人のバンドメンバー。そしてその後にパーカーを着たさユりが登場。実際にステージに立っているのを見ると、他のメンバーが男性だからというのもあるが、実に体が小さい。
「酸欠少女」という枕詞がついており、amazarashiでおなじみのYKBXがビデオを手がけているなど非常に話題性が高い女性シンガーだが、配信シングルの「るーららるーらーるららるーらー」からスタートすると、その声量の大きさと歌の上手さに驚かされる。
「生きるために歌っている。聴いてもらうために歌っている」
と、このフェスに出演できた喜びよりも自身がなぜこうして歌っているかを語ると、デビューシングルの「ミカヅキ」、セカンドシングルの「それは小さな光のような」とアニメのタイアップとなったシングル曲を連発したのだが、梶浦由記が作詞作曲を手がけた「それは小さな光のような」よりも、本人が手がけた「ミカヅキ」のほうが個人的にはさユり自身の感情が最大限に乗っかっていて、彼女のポテンシャルが最大限に発揮されているような気がする。実際にシングルに収録された、彼女自身の作詞作曲によるカップリング曲も、カップリングとは思えないクオリティの名曲だらけなだけに、わざわざ他の人に曲を依頼する必要もないような気もする。(「それは小さな~」は梶浦由記がタイアップアニメの音楽を手がけているからだと思うけど)
当然ながらバンドの演奏も迫力充分で、後半にはガスマスクが外れるほどの熱演ぶりを見せるのだが、さユりの歌唱がその分厚い演奏のさらに上を行くような力強さ。最後には
「みなさん、生きていて楽しいですか!?この世界は生きにくくないですか!?」
と、彼女の曲がいわゆる「暗い」と言われる曲ばかりなのがよくわかるような言葉を投げかけると、バンドの演奏とさユりの歌唱が最大限に熱狂を見せるど派手なロックサウンドの「人間椅子」。
歌い終わると11月にワンマンライブが行われることを発表してステージを去って行ったが、想像以上に凄まじいライブだった。それはまだデビューしてからのキャリアは短いが、彼女自身が路上などで歌ってきたという経験を積んできたからというのもあるだろうが、きっとこの人の音楽はもっと大きな場所で鳴り、もっとたくさんの世の中が生きにくい人たちを救っていくようなものになるんじゃないか、という予感に満ちている。果たしてワンマンではどんなライブになるんだろうか。曲自体が抜群にいいだけに、それだけでもワンマンに行きたくなる。
1.るーららるーらーるららるーらー
2.蜂と見世物(サーカス)
3.ミカヅキ
4.それは小さな光のような
5.人間椅子
ミカヅキ
https://youtu.be/DLTP2ymtuWs
11:50~ クリープハイプ [GRASS STAGE]
2年連続でGRASS STAGE出演となる、クリープハイプ。いつものようにSEなしでふらっとメンバーが登場すると、ゆったりとしたテンポの「バブル、弾ける」から始まるというフェスにしては実に珍しい始まり方。
イントロのギターのストロークから大歓声が起きた「イノチミジカシコイセヨオトメ」、尾崎とカオナシのデュエットによる「グレーマンのせいにする」と過去曲が続く中、イントロでライブならではのアレンジが加えられた「憂、燦々」と夏らしい曲に。
すると尾崎も
「普段は全然夏らしいこともしてなくて、だらしない生活ばかりしているんですけど、夏らしい曲は結構あるんで」
と言い、四つ打ちのリズムで踊らせる「オレンジ」から、「一瞬で終わる夏」というフレーズが切なさを誘う「エロ」、問答無用の夏のアンセム「ラブホテル」と、下ネタのような曲でありながらも夏の曲であるというあたりはクリープハイプならでは。
「新曲がドラマの主題歌になってるんですけど、「そして、誰もいなくなった」っていうドラマなんで、誰もいなかったらどうしようかと思ったけど、こんなに来てくれて良かった(笑)」
と尾崎が言うと、ドラマタイアップの新曲「鬼」を披露。ブラックミュージックの要素を取り入れたリズムなどは明らかにバンドの新境地だが、それによって際立ちを見せる尾崎の歌とメロディはここ最近のシングル曲の中ではトップクラスのキラーチューンだと思う。
さらにすでに詳細も発表されている最新アルバム「世界観」収録の新曲「5%」は尾崎がピンボーカル、カオナシがベースではなくキーボードを弾くという、編成的に新境地と言える曲。歌詞もアルコールのパーセントなどを歌った内容で、じっくり歌詞を見ながら聴きたくなる。それはクリープハイプの新曲を聴くと毎回思うことなのだが。
しかしやはりこのバンドはライブ前半よりも後半のほうが圧倒的にバンドのグルーヴ、尾崎のボーカルともに出来が良い。ワンマンはもちろん、こうした長尺のフェスでもそう思うのだが、だからこそラストの「社会の窓」での「最高です!」、「HE IS MINE」の真昼間の「セックスしよう!」は最高潮の大合唱を描き出していた。
でもそれよりもこの「鬼」を筆頭に、新曲群の充実ぶりが、まだまだこのバンドの新曲を楽しみにできるし、ライブも欠かさずに行きたいと思わせてくれる。これからも攻めの姿勢を崩さずにこのメインステージに立ち続けて欲しいと思う存在。そして実は夏の野外で見たいと思わせる存在。
1.バブル、弾ける
2.イノチミジカシコイセヨオトメ
3.グレーマンのせいにする
4.憂、燦々
5.オレンジ
6.エロ
7.ラブホテル
8.鬼
9.5%
10.社会の窓
11.HE IS MINE
鬼
https://youtu.be/TEviDZgKl1w
12:50~ Plastic Tree [PARK STAGE]
何気にこのフェスの常連バンドと言ってもいい存在のPlastic Tree。一切夏の野外の太陽が似合わないようなバンドである。
やはり黒を基調とした衣装を纏ったメンバーがステージに登場すると、長谷川正(ベース)は客席に深々とお辞儀し、アルバム「シロクロニクル」収録の「イロゴト」からスタート。有村竜太郎の儚い歌声がこの青空の下の広い会場に響き渡るが、すでに20年近い活動歴の中でコンスタントにアルバムをリリースしてきただけに、膨大な持ち曲の中からどんな曲をフェスで演奏するのかが実に気になるところ。
最新アルバム「剥製」からの「フラスコ」ではナカヤマアキラ(ギター)が印象的なギターリフと多数のエフェクターを駆使して作り込まれたサウンドを響かせると、本邦初公開の翌週リリースの最新シングル「サイレントノイズ」を披露。実にストレートなこのバンドらしいギターロック。
「この暑さでは終わる頃には僕らのメイクも落ちているでしょう(笑)」
と有村が笑わせると、おなじみの「メランコリック」ではラウドなサウンドの中、「降り出したのは雨」というこの青空に全く似合わないフレーズに合わせて起こるヘドバンは本当に壮観。近年ラウド系のバンドでもよくヘドバンのパートがあり、見るようになったが、これぞ本家!というような迫力。女性ファンの方々の長い髪が一斉に前後に揺れるのはこのフェスでは異様な光景とも言えるが。
そしてラストは囁くような有村のボーカルとナカヤマのギターがシューゲイズと呼べるサウンドを奏で出す「Thirteenth Friday」でそれまでとは全く別世界のような空間を作り上げると、
「本当に楽しい白昼夢でした」
と、まさにその通りな有村の言葉を残してメンバーがステージを去って行った。
毎年のように出演しているとはいえ、やはりV系に属するバンドということで、毎年非常にアウェー感は強い。実際この日のPARK STAGEもかなり寂しい客入り具合だった。しかし、それでも毎年出演しているのは、このバンドの音楽はカッコ良いギターロックそのものだから。きっと実際に聴いてライブを見てみたらそう思う人はめちゃくちゃ多いと思うのだが。
だからこそ、これからも毎年出演して欲しい。
1.イロゴト
2.フラスコ
3.サイレントノイズ
4.メランコリック
5.Thirteenth Friday
サイレントノイズ
https://youtu.be/hiGLrqBxdDc
14:00~ The Mirraz [LAKE STAGE]
去年はPARK STAGEだったThe Mirraz、2年ぶりにLAKE STAGEへの出演。今年、ドラマーの元輝が脱退し、3人になってからは初めての出演となる。
サウンドチェックでもメンバーが出てきて曲を演奏していたのだが、ドラムレスの代わりに、これまでドラムがあった場所にはバンドロゴの貼られたテーブルにマックが置かれており、それを操作するのは、巨大ヘッドホンとバンドの帽子を装着してDJ仕様になった、マスコットのキノイ君。
新曲をSEにしてメンバー3人とそのDJキノイ君が登場すると、ダークなEDMを取り入れた近年の曲を連発するのだが、このあたりの曲はドラムがなくても音楽性的にはそこまで違和感は感じない。
タオルで汗を拭ったり(意味はない)、手拍子を煽ったりするキノイ君も実に可愛く、これは逆にドラムレスになったことをビジュアル面ではプラスに捉えた畠山の好判断と言える。
なぜかケイゾーに
「結婚したとかそういう発表ないの?」
と、あるわけもない話をすると、バンドが今年で10周年を迎えたことを畠山が告げ、バンドの歴史を総括する40曲入りのベストアルバムと最新ミニアルバムをリリースすることを発表し、そのミニアルバムからの新曲「そして、愛してる」は「もし僕が死んだら」というフレーズから始まる、これまでに「シスター」や「ハッピーアイスクリーム」などの数々の名曲ラブソングを生み出してきたミイラズの最新系ラブソングと言える。サウンドは近年のEDM路線をさらに推し進めたようなものだが、ドラムがいなくなったことによって、むしろこれからのミイラズはさらにこうしたサウンドに向かっていくと思われる。
しかしながら、やはり「僕らは」「CANのジャケット~」のEDM導入前のバンドサウンドのみの曲はドラムがいなくなってしまったことにより、物足りなさを感じてしまったのも事実。生ドラムがないため、ライブ感がどうしてもこれまでに比べると欠けてしまう。現に「CANのジャケット~」では曲後半に打ち込みのサウンドが出なくなってしまうという4人時代だったらありえないようなアクシデントも発生してしまった。(ついでにキノイ君の首が180°回るというアクシデントも)
さらに、去年はPARK STAGEはかなり埋まっていたとはいえ、近年はワンマンでもどんどんキャパが縮小していることで、この日のLAKE STAGE出演者の中ではかなり寂しい客入り(ガラガラだったと言ってもいい)だった。
客入りなんて関係ないという意見も多々目にすることもあるが、つい2年前は超満員だったのがここまで人がいないというのは触れずにはいられないし、とても意味がないとも言えない。
実際に数年前まではフェスでもうじゃうじゃいた、ミイラズTシャツ着用者も、今や着ている人を見つける人が困難なくらいにいなくなってしまった。(かつてはミイラズが出てないフェスですらたくさんいた)
おそらく、これからドラムレスになったことによって、さらにミイラズから離れていく人も増えていってしまうかもしれない。でも、それでもやはり自分はこのバンドから離れることはできない。そりゃあ畠山がキレてる時も、グダグダなMCを繰り返すようなライブもたくさんあった。でもそれ以上にこのバンドのライブで楽しい思いもさせてもらったし、何よりも今でもこのバンドの曲は本当にカッコいいと思っている。
だからこそ、もうここから浮上できるような要素はないのかもしれないが、それでもこのバンドがもう一度このステージを埋めるような日が来たら……もう泣けるなんてもんじゃないと思う。だから、やっぱりこれからも、巻けないでミイラズ!
1.マジかーそうきたか、やっぱりそうきますよね。はいはい、ですよね知ってます。
2.パンドラの箱、ツンデレっすね。
3.スーパーフレア
4.VAM! VAM! VAMPIRE!
5.そして、愛してる (新曲)
6.つーか、っつーか
7.僕らは
8.CANのジャケットのモンスターみたいのが現れて世界壊しちゃえばいい
パンドラの箱、ツンデレっすね。
https://youtu.be/cpWDKve_pos
14:40~ 魔法少女になり隊 [WING TENT]
2年前にRO JACKの優勝バンドとしてこのステージに出演した、魔法少女になり隊。昨年のBUZZ STAGE出演を経て、このステージに帰還。
客席はすでにテントからはみ出すくらいの満員状態でこのバンドへの期待の高さを感じさせる中、ステージにはたくさんのモニターが置かれている。メンバーが登場し、ボーカルの火寺バジル(呪いによって喋れないが、MPを消費すれば歌えるという設定)がスケッチブックをめくってMC代わりに挨拶的な文字がかかれたページをめくると、マスクを外して「冒険の書1」からスタート。gariがPCを操り、モニターにはドラクエ風の映像が流れ、サビ終わりでは
「魔法少女になりたい!」
の大合唱が発生し、ライブでしか感じることのできない一体感を感じさせてくれる。
アニソンのカバーである「おジャ魔女カーニバル!!」でも掛け合いのフレーズで大きな合唱が起こるのだが、自分は原曲を全く知らないだけに周囲の盛り上がりぶりに驚く。
トランス的なダンスチューン「RE-BI-TE-TO」では火寺とgariがパラパラのようなダンスを踊ると、来月メジャーデビューすることを告げ、メジャーデビューシングルになる「KI-RA-RI」を披露。タイトル通りにキラキラしたポップチューンで、雑多な音楽性を取り入れながらもあくまでポップ(それこそアニソンやアイドルなどにも引けを取らないくらいに)であるこのバンドのど真ん中になるであろう曲。
ラストはこの時期にぴったりな「BA BA BA ばけ~しょん」で、ウイ・ビトンの激しいギターソロを見せ、このバンドがギミックや設定だけでなく(もちろんそこが唯一無二のオリジナリティになっているんだけど)、そもそもメンバーが確かなスキルを持っていることを見せ、最後まで熱狂を巻き起こし、2年前よりもはるかにレベルアップしたことを証明した。
前述のように、独自の世界観がしっかりあり、ラウド、ダンスミュージック、アニソン、アイドルなど様々な要素を取り入れながらも、メロディは圧倒的にポップ。むしろそここそが最大の武器であるだけに、来年以降はもっと大きなステージでさらにレベルアップしたところを見せてくれる予感。
1.冒険の書1
2.おジャ魔女カーニバル!!
3.RE-BI-TE-TO
4.first star
5.KI-RA-RI
6.BA・BA・BA ばけ~しょん
BA・BA・BA ばけ~しょん
https://youtu.be/vN22JqSxwZw
15:50~ Ken Yokoyama [GRASS STAGE]
レジェンドの帰還。2009年にこのステージに出演した際に、「ロックなのに良い子でどうすんの!?」と言って、禁止されているダイブを起こし、以降はこのフェスに出演できなくなっていたKen Yokoyamaが7年ぶりにこのステージに帰ってきた。
Kenバンドのメンバーとともにステージに登場すると、
「7年ぶりに帰ってきたぜ、ひたちなか。でもノスタルジーとかは全然なくて。俺が出てた時よりもだいぶ変わって大きいフェスになったし。だから初めて呼んでもらえたフェスに出るつもりでやります。久しぶりに喰らってくれ!」
と挨拶すると、「Punk Rock Dream」からスタート。本当に久しぶりに、このGRASS STAGEでパンクロックが鳴り響いている。この人が出なくなって以降、若手バンドでもパンクバンドがこのステージまでたどり着くことはなかったし、Hi-STANDARDでの相棒である難波章浩がこのフェスに出た時もLAKE STAGEだった。そんなことを思うだけで、Ken本人とは対照的にノスタルジーな気持ちになってしまう。
しかしながらおそらくほとんどの人が最も注目していたのは、かつてダイブを促して出禁になったこの男がどんなスタンスでこのフェスのステージに立つことにしたか、というところである。折しも先週出演したDragon AshやMONOEYESがそのルールに対して言及していただけに。
すると序盤で
「決められたルールの中で好きなように楽しんでくれ!」
と今のスタンスを示すと、妖怪ウォッチのコマさんのモノマネをしてみたりと、ダイブがあるなしにかかわらず、愉快なパンクおじさんとして楽しみながらライブをしている。
ソロデビューアルバム収録の「Believer」では合唱を促す(この日はマイクを客席に投げない代わりにマイクを客席に向けていた)が、思ったような大合唱とはならず、
「みんなもう12~3年前の曲だからこの曲知らないんだな!でも次の曲を知らないとは言わせねぇぞ!去年の大ヒットラジオ曲!」
と言うと、ミュージックステーションなどでも披露した「I Won't Turn Off My Radio」で合唱を起こし、「Beautiful Song」をじっくりと聴かせると、
「あいつなんて歌ってんの?って思ってる後ろの方にいるみなさん、俺は英語で歌ってます!
英語なんかわからんという方、俺のアルバムには日本語訳の歌詞カードもついてるんで、是非アルバムを買って聴いてみてほしい!万引きしろとは言えないじゃない(笑)
だから、友達から借りたりしていいよ!持ってるやつからアルバム借りて聴いてくれ!」
と、アルバムという形態にこだわる姿勢を見せつつ、
「曲を少なくし過ぎた(笑)」
ということで、急遽作戦会議を始め、メンバーが集まってなんの曲をやるかを決め、「Ricky Punks」「Ricky Punks II」と続けると、パンクロックという音楽についてを観客に説明し、突如としてハイスタの「STAY GOLD」を演奏すると、次々に後ろの方にいた観客が次々に前方に突入していく。やはりこの曲の持つ力は凄まじいものがある。それはどれだけ年数が経とうが、どんな場所であろうが。
「俺はダイブを煽ったりはしない。もう大人だから。くだらねぇんだよ、誰が煽ったとか。演奏するステージがあって、高い金を払ってみんなが見にきてくれて、決められたルールがあってその中で楽しむ。それでいい。だからダイブして連れて行かれたやつのためになんかしようっていう気もない。
そう思えたのは震災とかいろんなことがあったからだけど、もしかしたら、次の曲の日本語歌詞の中にその答えがあるかもしれない!」
と、改めて自身の現在のスタンス(それは2009年の時とは全く違う)を改めて示すと、「Ricky Punks III」を演奏し、最後に
「怪我しないで最後まで楽しんで!」
と言って「Your Safe Rock」を演奏。この選曲には若干皮肉めいたものも感じてしまうが、ミュージックステーション出演時にも言われていたように、Ken Yokoyamaは自分たちが楽しければいいというタイプのミュージシャンではなくなった。もっとパンク、ロック全体を考える、伝道師的な存在となった。だからこそテレビも含めてこうしてロックバンド、パンクバンドのかっこよさをアピールできるような場所には積極的に出ていくようになったし、この日のライブを見たら、また来年以降もこのステージでこうしてライブを見れるかもしれないと思える。
でもこうしてかつてやらかしたKen Yokoyamaが7年ぶりに出て、今後の出演を期待できるようなライブをしてくれたのを見ると、それ以上にやらかした銀杏BOYZもいつかはまたこのフェスのステージで…とファンとしては思わざるを得ない。もうその時はGRASS STAGEではないだろうけど。
1.Punk Rock Dream
2.Save Us
3.Maybe Maybe
4.Believer
5.I Won't Turn Off My Radio
6.Beautiful Song
7.Ricky Punks
8.Ricky Punks II
9.STAY GOLD
10.Ricky Punks III
11.Your Safe Rock
I Won't Turn Off My Radio
https://youtu.be/NPhlnx3VvEQ
17:10~ [Alexandros] [GRASS STAGE]
去年は初日のGRASS STAGEのトリを務めた[Alexandros]、今年はトリ前に登場。おなじみ「Burger Queen」のSEで登場すると、途中からメンバーの生演奏に切り替わるというオープニングもおなじみだが、いきなりEDM要素の強い「Nawe Nawe」からスタートするというのはかなり意外な展開。しかも続く「Kill Me If You Can」も、何度も聴いている曲にもかかわらず、「この曲なんだろう?」と思ってしまうくらいにはるかに打ち込み要素を増したアレンジに生まれ変わっており、サトヤスの生ドラムのリズムがえらくシンプルになっている。これはなかなか面白い試みでありアレンジだとは思うが、個人的にはこの曲は原曲のままのアレンジのほうがライブで聴く限りではテンションが上がる。
さらに「Girl A」とここまでは打ち込みやサポートメンバーのRoseの鍵盤をフルに生かした、4人以外の音も駆使したバンドサウンドの曲を続けてくる。
「日本で1番元気のいいフェス」
と川上がこのフェスに集まった観客を讃えると、最新シングル曲「Swan」を披露。「NEW WALL」「ワタリドリ」にも通じる壮大な曲で、この広大な場所で鳴らされるのが実によく似合っている。次のツアーもライブハウスが多く組まれているが、もはや曲のスケール的にはスタジアムクラスでやっていてもおかしくないレベル。
中盤の「Kick & Spin」からは川上がハンドマイクでステージ左右の花道も走り回りながら歌うのだが、いたるところにあるカメラに向かって歌ったり、磯部と絡んだりしながら歌い、しかもそれがあらかじめ決まっていたかのように瞬時にモニターに映し出されるため、ステージだけでなく、モニターからも目が離せなくなるという、見ている側からしたら実に忙しくなってくる。しかしこのカメラの位置やタイミングを完璧に把握してしまっているあたりは、川上はやはりこのステージに選ばれたロックスターである。
後半は前述のように、このキャパで鳴らされるのが当然であるかのようなアンセムが続き、「Adventure」で観客に大合唱を起こさせると、ニューアルバムが11月にリリースされること、アルバムタイトルが「EXIST」に決まったことを初めて発表し、最後に暴発したかのような「city」を演奏して、凄まじい余韻に包まれながらメンバーはステージを去って行った。
アルバムのリリースのスパンがかなり速いが、近年のシングルの多様性を考えると、アルバムの内容自体も「ALXD」以上に幅広いものになりそう。これからこの先も様々なフェスやイベントに今年も毎週のように出まくるが、その中でアルバムに入る曲を披露したりすることがあるのだろうか。
0.Burger Queen
1.Nawe Nawe
2.Kill Me If You Can
3.Girl A
4.Swan
5.Kick & Spin
6.NEW WALL
7.ワタリドリ
8.Adventure
9.city
Swan
https://youtu.be/ATZC7tJPGdQ
18:30~ THE YELLOW MONKEY [GRASS STAGE]
レジェンドの帰還その2。実に2000年の第1回以来の出演となるTHE YELLOW MONKEY。今年日本中に衝撃を与えた再結成を果たし、ツアーも行う中、このひたちなかに帰ってきた。
大歓声に迎えられてメンバーがステージに登場すると、吉井和哉はやはり派手な衣装を身にまとっている。ジャージ姿だった2000年とは全く異なる姿だが、音が鳴らされて1曲目は「EXIPERIENCE MOVIE」の「SUCK OF LIFE」からスタート。ツアーの1曲目は「プライマル。」だったと聞いていたし、大ヒットシングル連発的な内容だと思っていただけに、かなり歌詞の内容がどぎついこの曲からスタートするというのはかなり予想外だったし、しっかりと歌詞の単語を1語1語発音しながら吉井和哉が歌うので、若干戸惑いを隠せない感じの観客の姿もちらほら見受けられる。
しかしながらすぐさま
「楽園に行こうぜー!」
と言っての歌詞の一部を「ひたちなか」に変えて歌われた「楽園」からは大ヒット曲連発の、フェスのトリを飾るにふさわしい曲たちが演奏されていく。
重い音と歌詞の内容ではあるが吉井和哉の歌の上手さに感心してしまう「球根」から、再結成後にリリースされた、バンドのここまでの歩みをそのまま歌詞にしたような「ALRIGHT」、メンバーが笑顔で向かい合って演奏する姿が実に微笑ましい「SPARK」と新旧のアンセムが並列に並んでも全く違和感がないし、何よりもサウンドとメンバーの動き、パフォーマンスからは15年もやっていなかったバンドとは思えないくらいに現役感しか感じない。
「いろいろやり残したと思えることがあって。それでこうしてまた一緒にやろうってなったんだけど、このひたちなかでライブをやるっていうことも俺たちにとっては紛れもなくその1つで。前に出た時は俺は空気読まないで青いジャージで出てきて豪雨に打たれながら歌ってたんだけど(笑)
この曲をこの空の下で歌えるのが本当に幸せです!みんなこれからも僕らと一緒にバラ色の日々を過ごしてください!」
と吉井和哉がこの場所に再びこのバンドで戻ってこれたという感慨を語ってから演奏された「バラ色の日々」、そして「LOVE LOVE SHOW」という、吉井がソロでも何度か歌ってきたこの曲をバンドで笑顔で鳴らし、それに合わせて観客がみんな歌っている。なんという美しい光景だろうか。
「昔、まだ売れる前に出した曲なんだけど、これから売れていこうとするバンドがこういうテンポも遅くて物騒なことを歌ってるような曲を出すのはダメだ、みたいなことをよく言われていて。でも当時、ロッキンオンジャパンの渋谷さんとか山崎さんがこの曲をすごい評価してくれて、可愛がってくれて。だから絶対このフェスでやりたかった曲なんだけど、前に出た時はこの曲をやる前に大雨で中止になってしまって。だから今日この曲をここで演奏できるのが本当に嬉しい。
そしてここでも宣言します。このバンドはもう生涯解散することはありません!我々はもう若くないんで年を取っておじいちゃんになってもカッコいいロックンロールが出来るのか、是非見守っていてください!」
と吉井が感動的なMCをしてから演奏されたのは「JAM」。ついに16年の時を経てこの場所で鳴らされた瞬間だった。
そしてラストは「悲しきASIAN BOY」。カメラ目線でギターを弾くエマも、妖しい空気を纏いながらもコミカルな仕草で笑わせるヒーセも立ち上がって客席を見渡しながらドラムを叩くアニーも実に楽しそうだった。一度は別々の道を歩いていた4人のおっさんがこうしてまた同じステージで笑顔でライブをやっている。しかもそれが紛れもなくカッコいいと思えるものになっている。それだけで涙が出そうになったし、実に素晴らしいものが見れた。これからも何度だってこのステージでその姿を見せて欲しい。
1.SUCK OF LIFE
2.楽園
3.ROCK STAR
4.球根
5.ALRIGHT
6.SPARK
7.バラ色の日々
8.パール
9.LOVE LOVE SHOW
10.JAM
11.悲しきASIAN BOY
バラ色の日々
https://youtu.be/lbvlx2S5gLs
イエモンもユニコーンも筋肉少女帯もジュンスカもハイスタも、こうしてライブに行くようになった時にはとっくにやってなかった。その見れないって諦めてたバンドが、目の前でライブをやっていて、それを心からかっこいいと思える。なんて幸せなことなんだろうか。ってことを思いながら最終日に向けてホテルに向かった。3日間が本当に一瞬で過ぎて行った。
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10:30~ サイダーガール [HILLSIDE STAGE]
今年新設されたHILLSIDE STAGE。GRASS STAGEとLAKE STAGEの裏側をつなぐ新しいルート、まつかぜルートの途中に作られた、このフェス第7のステージにして、先週も若手・新人が多数出演した、1番小規模なステージである。先週、足を踏み入れたものの、ライブは見なかったので、この日がこのステージでライブを見るのは初。
そのHILLSIDE STAGEの2週目のトップバッターはサイダーガール。昨年デビューしたばかりのギターロックバンドである。
時間になると、サポートドラムを含めたメンバー3人が登場。ボーカル&ギターのYurinこそ上下真っ黒な服を着ているが、フジムラ(ベース)と和(ギター)はバンド名の通りに爽やかな出で立ち。
「空にこぼれる」「ドラマチック」という疾走感溢れるギターロック曲でスタートすると、本当にオーソドックスなギターロックでありながら、CDで聴いた時のYurinの爽やかなボーカルを軸にしたおとなしいイメージよりもはるかに男らしく力強い演奏に驚く。どこか2006年に新設された時に初めてメレンゲのライブを見た時のことを思い出す。
「ずっとこのフェスに憧れていたんだけど、来る時は絶対ステージの上に立つ側として来ようって思ってたから、見に来たりとかもしてなくて。こんなに早く出れて本当に嬉しいです」
とYurinが出演できた嬉しさを語ると、ずっとやってみたかったという
「ロッキン!」「ジャパーン!」
のコール&レスポンスを行い、あまりの気持ちよさにフジムラも同じようにコール&レスポンス。
「夕凪」で朝から涼しい風を吹かせると、「オーバードライブ」で再び加速し、最後の「No.2」では演奏が始まってすぐに和が目の当たりを拭うような仕草を見せると、途中でYurinが感極まって歌えなくなってしまい、再び歌い出すと明らかに涙声になっていた。これには予想以上にたくさんの人が見にきてくれたという嬉しさによるものなのかもしれないが、
「丘の上 真っ赤な空」
という歌詞が、空こそ真っ青であるが、丘の上に作られたこのステージで歌われるために作られた曲であるかのように響いた。
メンバーはアー写で顔を出したりこそしていないが、飛び道具的な要素は一切ない、かつてのロッキンオンジャパンのど真ん中にいるようなイメージのバンドである。逆に今はそうしたスタイルのバンドのほうが少なくなってきてしまっているが、このバンドは果たしてこのままでどこまでいけるか。
1.空にこぼれる
2.ドラマチック
3.夕凪
4.オーバードライブ
5.No.2
No.2
https://youtu.be/RjAQRkEvGq8
11:10~ さユり [WING TENT]
初出演にしてこの日のトップバッターであるWING TENTは始まる前からすでに満員状態。そこに登場したのは、黒い服で統一され、ガスマスクを着けた(酸欠だから?)4人のバンドメンバー。そしてその後にパーカーを着たさユりが登場。実際にステージに立っているのを見ると、他のメンバーが男性だからというのもあるが、実に体が小さい。
「酸欠少女」という枕詞がついており、amazarashiでおなじみのYKBXがビデオを手がけているなど非常に話題性が高い女性シンガーだが、配信シングルの「るーららるーらーるららるーらー」からスタートすると、その声量の大きさと歌の上手さに驚かされる。
「生きるために歌っている。聴いてもらうために歌っている」
と、このフェスに出演できた喜びよりも自身がなぜこうして歌っているかを語ると、デビューシングルの「ミカヅキ」、セカンドシングルの「それは小さな光のような」とアニメのタイアップとなったシングル曲を連発したのだが、梶浦由記が作詞作曲を手がけた「それは小さな光のような」よりも、本人が手がけた「ミカヅキ」のほうが個人的にはさユり自身の感情が最大限に乗っかっていて、彼女のポテンシャルが最大限に発揮されているような気がする。実際にシングルに収録された、彼女自身の作詞作曲によるカップリング曲も、カップリングとは思えないクオリティの名曲だらけなだけに、わざわざ他の人に曲を依頼する必要もないような気もする。(「それは小さな~」は梶浦由記がタイアップアニメの音楽を手がけているからだと思うけど)
当然ながらバンドの演奏も迫力充分で、後半にはガスマスクが外れるほどの熱演ぶりを見せるのだが、さユりの歌唱がその分厚い演奏のさらに上を行くような力強さ。最後には
「みなさん、生きていて楽しいですか!?この世界は生きにくくないですか!?」
と、彼女の曲がいわゆる「暗い」と言われる曲ばかりなのがよくわかるような言葉を投げかけると、バンドの演奏とさユりの歌唱が最大限に熱狂を見せるど派手なロックサウンドの「人間椅子」。
歌い終わると11月にワンマンライブが行われることを発表してステージを去って行ったが、想像以上に凄まじいライブだった。それはまだデビューしてからのキャリアは短いが、彼女自身が路上などで歌ってきたという経験を積んできたからというのもあるだろうが、きっとこの人の音楽はもっと大きな場所で鳴り、もっとたくさんの世の中が生きにくい人たちを救っていくようなものになるんじゃないか、という予感に満ちている。果たしてワンマンではどんなライブになるんだろうか。曲自体が抜群にいいだけに、それだけでもワンマンに行きたくなる。
1.るーららるーらーるららるーらー
2.蜂と見世物(サーカス)
3.ミカヅキ
4.それは小さな光のような
5.人間椅子
ミカヅキ
https://youtu.be/DLTP2ymtuWs
11:50~ クリープハイプ [GRASS STAGE]
2年連続でGRASS STAGE出演となる、クリープハイプ。いつものようにSEなしでふらっとメンバーが登場すると、ゆったりとしたテンポの「バブル、弾ける」から始まるというフェスにしては実に珍しい始まり方。
イントロのギターのストロークから大歓声が起きた「イノチミジカシコイセヨオトメ」、尾崎とカオナシのデュエットによる「グレーマンのせいにする」と過去曲が続く中、イントロでライブならではのアレンジが加えられた「憂、燦々」と夏らしい曲に。
すると尾崎も
「普段は全然夏らしいこともしてなくて、だらしない生活ばかりしているんですけど、夏らしい曲は結構あるんで」
と言い、四つ打ちのリズムで踊らせる「オレンジ」から、「一瞬で終わる夏」というフレーズが切なさを誘う「エロ」、問答無用の夏のアンセム「ラブホテル」と、下ネタのような曲でありながらも夏の曲であるというあたりはクリープハイプならでは。
「新曲がドラマの主題歌になってるんですけど、「そして、誰もいなくなった」っていうドラマなんで、誰もいなかったらどうしようかと思ったけど、こんなに来てくれて良かった(笑)」
と尾崎が言うと、ドラマタイアップの新曲「鬼」を披露。ブラックミュージックの要素を取り入れたリズムなどは明らかにバンドの新境地だが、それによって際立ちを見せる尾崎の歌とメロディはここ最近のシングル曲の中ではトップクラスのキラーチューンだと思う。
さらにすでに詳細も発表されている最新アルバム「世界観」収録の新曲「5%」は尾崎がピンボーカル、カオナシがベースではなくキーボードを弾くという、編成的に新境地と言える曲。歌詞もアルコールのパーセントなどを歌った内容で、じっくり歌詞を見ながら聴きたくなる。それはクリープハイプの新曲を聴くと毎回思うことなのだが。
しかしやはりこのバンドはライブ前半よりも後半のほうが圧倒的にバンドのグルーヴ、尾崎のボーカルともに出来が良い。ワンマンはもちろん、こうした長尺のフェスでもそう思うのだが、だからこそラストの「社会の窓」での「最高です!」、「HE IS MINE」の真昼間の「セックスしよう!」は最高潮の大合唱を描き出していた。
でもそれよりもこの「鬼」を筆頭に、新曲群の充実ぶりが、まだまだこのバンドの新曲を楽しみにできるし、ライブも欠かさずに行きたいと思わせてくれる。これからも攻めの姿勢を崩さずにこのメインステージに立ち続けて欲しいと思う存在。そして実は夏の野外で見たいと思わせる存在。
1.バブル、弾ける
2.イノチミジカシコイセヨオトメ
3.グレーマンのせいにする
4.憂、燦々
5.オレンジ
6.エロ
7.ラブホテル
8.鬼
9.5%
10.社会の窓
11.HE IS MINE
鬼
https://youtu.be/TEviDZgKl1w
12:50~ Plastic Tree [PARK STAGE]
何気にこのフェスの常連バンドと言ってもいい存在のPlastic Tree。一切夏の野外の太陽が似合わないようなバンドである。
やはり黒を基調とした衣装を纏ったメンバーがステージに登場すると、長谷川正(ベース)は客席に深々とお辞儀し、アルバム「シロクロニクル」収録の「イロゴト」からスタート。有村竜太郎の儚い歌声がこの青空の下の広い会場に響き渡るが、すでに20年近い活動歴の中でコンスタントにアルバムをリリースしてきただけに、膨大な持ち曲の中からどんな曲をフェスで演奏するのかが実に気になるところ。
最新アルバム「剥製」からの「フラスコ」ではナカヤマアキラ(ギター)が印象的なギターリフと多数のエフェクターを駆使して作り込まれたサウンドを響かせると、本邦初公開の翌週リリースの最新シングル「サイレントノイズ」を披露。実にストレートなこのバンドらしいギターロック。
「この暑さでは終わる頃には僕らのメイクも落ちているでしょう(笑)」
と有村が笑わせると、おなじみの「メランコリック」ではラウドなサウンドの中、「降り出したのは雨」というこの青空に全く似合わないフレーズに合わせて起こるヘドバンは本当に壮観。近年ラウド系のバンドでもよくヘドバンのパートがあり、見るようになったが、これぞ本家!というような迫力。女性ファンの方々の長い髪が一斉に前後に揺れるのはこのフェスでは異様な光景とも言えるが。
そしてラストは囁くような有村のボーカルとナカヤマのギターがシューゲイズと呼べるサウンドを奏で出す「Thirteenth Friday」でそれまでとは全く別世界のような空間を作り上げると、
「本当に楽しい白昼夢でした」
と、まさにその通りな有村の言葉を残してメンバーがステージを去って行った。
毎年のように出演しているとはいえ、やはりV系に属するバンドということで、毎年非常にアウェー感は強い。実際この日のPARK STAGEもかなり寂しい客入り具合だった。しかし、それでも毎年出演しているのは、このバンドの音楽はカッコ良いギターロックそのものだから。きっと実際に聴いてライブを見てみたらそう思う人はめちゃくちゃ多いと思うのだが。
だからこそ、これからも毎年出演して欲しい。
1.イロゴト
2.フラスコ
3.サイレントノイズ
4.メランコリック
5.Thirteenth Friday
サイレントノイズ
https://youtu.be/hiGLrqBxdDc
14:00~ The Mirraz [LAKE STAGE]
去年はPARK STAGEだったThe Mirraz、2年ぶりにLAKE STAGEへの出演。今年、ドラマーの元輝が脱退し、3人になってからは初めての出演となる。
サウンドチェックでもメンバーが出てきて曲を演奏していたのだが、ドラムレスの代わりに、これまでドラムがあった場所にはバンドロゴの貼られたテーブルにマックが置かれており、それを操作するのは、巨大ヘッドホンとバンドの帽子を装着してDJ仕様になった、マスコットのキノイ君。
新曲をSEにしてメンバー3人とそのDJキノイ君が登場すると、ダークなEDMを取り入れた近年の曲を連発するのだが、このあたりの曲はドラムがなくても音楽性的にはそこまで違和感は感じない。
タオルで汗を拭ったり(意味はない)、手拍子を煽ったりするキノイ君も実に可愛く、これは逆にドラムレスになったことをビジュアル面ではプラスに捉えた畠山の好判断と言える。
なぜかケイゾーに
「結婚したとかそういう発表ないの?」
と、あるわけもない話をすると、バンドが今年で10周年を迎えたことを畠山が告げ、バンドの歴史を総括する40曲入りのベストアルバムと最新ミニアルバムをリリースすることを発表し、そのミニアルバムからの新曲「そして、愛してる」は「もし僕が死んだら」というフレーズから始まる、これまでに「シスター」や「ハッピーアイスクリーム」などの数々の名曲ラブソングを生み出してきたミイラズの最新系ラブソングと言える。サウンドは近年のEDM路線をさらに推し進めたようなものだが、ドラムがいなくなったことによって、むしろこれからのミイラズはさらにこうしたサウンドに向かっていくと思われる。
しかしながら、やはり「僕らは」「CANのジャケット~」のEDM導入前のバンドサウンドのみの曲はドラムがいなくなってしまったことにより、物足りなさを感じてしまったのも事実。生ドラムがないため、ライブ感がどうしてもこれまでに比べると欠けてしまう。現に「CANのジャケット~」では曲後半に打ち込みのサウンドが出なくなってしまうという4人時代だったらありえないようなアクシデントも発生してしまった。(ついでにキノイ君の首が180°回るというアクシデントも)
さらに、去年はPARK STAGEはかなり埋まっていたとはいえ、近年はワンマンでもどんどんキャパが縮小していることで、この日のLAKE STAGE出演者の中ではかなり寂しい客入り(ガラガラだったと言ってもいい)だった。
客入りなんて関係ないという意見も多々目にすることもあるが、つい2年前は超満員だったのがここまで人がいないというのは触れずにはいられないし、とても意味がないとも言えない。
実際に数年前まではフェスでもうじゃうじゃいた、ミイラズTシャツ着用者も、今や着ている人を見つける人が困難なくらいにいなくなってしまった。(かつてはミイラズが出てないフェスですらたくさんいた)
おそらく、これからドラムレスになったことによって、さらにミイラズから離れていく人も増えていってしまうかもしれない。でも、それでもやはり自分はこのバンドから離れることはできない。そりゃあ畠山がキレてる時も、グダグダなMCを繰り返すようなライブもたくさんあった。でもそれ以上にこのバンドのライブで楽しい思いもさせてもらったし、何よりも今でもこのバンドの曲は本当にカッコいいと思っている。
だからこそ、もうここから浮上できるような要素はないのかもしれないが、それでもこのバンドがもう一度このステージを埋めるような日が来たら……もう泣けるなんてもんじゃないと思う。だから、やっぱりこれからも、巻けないでミイラズ!
1.マジかーそうきたか、やっぱりそうきますよね。はいはい、ですよね知ってます。
2.パンドラの箱、ツンデレっすね。
3.スーパーフレア
4.VAM! VAM! VAMPIRE!
5.そして、愛してる (新曲)
6.つーか、っつーか
7.僕らは
8.CANのジャケットのモンスターみたいのが現れて世界壊しちゃえばいい
パンドラの箱、ツンデレっすね。
https://youtu.be/cpWDKve_pos
14:40~ 魔法少女になり隊 [WING TENT]
2年前にRO JACKの優勝バンドとしてこのステージに出演した、魔法少女になり隊。昨年のBUZZ STAGE出演を経て、このステージに帰還。
客席はすでにテントからはみ出すくらいの満員状態でこのバンドへの期待の高さを感じさせる中、ステージにはたくさんのモニターが置かれている。メンバーが登場し、ボーカルの火寺バジル(呪いによって喋れないが、MPを消費すれば歌えるという設定)がスケッチブックをめくってMC代わりに挨拶的な文字がかかれたページをめくると、マスクを外して「冒険の書1」からスタート。gariがPCを操り、モニターにはドラクエ風の映像が流れ、サビ終わりでは
「魔法少女になりたい!」
の大合唱が発生し、ライブでしか感じることのできない一体感を感じさせてくれる。
アニソンのカバーである「おジャ魔女カーニバル!!」でも掛け合いのフレーズで大きな合唱が起こるのだが、自分は原曲を全く知らないだけに周囲の盛り上がりぶりに驚く。
トランス的なダンスチューン「RE-BI-TE-TO」では火寺とgariがパラパラのようなダンスを踊ると、来月メジャーデビューすることを告げ、メジャーデビューシングルになる「KI-RA-RI」を披露。タイトル通りにキラキラしたポップチューンで、雑多な音楽性を取り入れながらもあくまでポップ(それこそアニソンやアイドルなどにも引けを取らないくらいに)であるこのバンドのど真ん中になるであろう曲。
ラストはこの時期にぴったりな「BA BA BA ばけ~しょん」で、ウイ・ビトンの激しいギターソロを見せ、このバンドがギミックや設定だけでなく(もちろんそこが唯一無二のオリジナリティになっているんだけど)、そもそもメンバーが確かなスキルを持っていることを見せ、最後まで熱狂を巻き起こし、2年前よりもはるかにレベルアップしたことを証明した。
前述のように、独自の世界観がしっかりあり、ラウド、ダンスミュージック、アニソン、アイドルなど様々な要素を取り入れながらも、メロディは圧倒的にポップ。むしろそここそが最大の武器であるだけに、来年以降はもっと大きなステージでさらにレベルアップしたところを見せてくれる予感。
1.冒険の書1
2.おジャ魔女カーニバル!!
3.RE-BI-TE-TO
4.first star
5.KI-RA-RI
6.BA・BA・BA ばけ~しょん
BA・BA・BA ばけ~しょん
https://youtu.be/vN22JqSxwZw
15:50~ Ken Yokoyama [GRASS STAGE]
レジェンドの帰還。2009年にこのステージに出演した際に、「ロックなのに良い子でどうすんの!?」と言って、禁止されているダイブを起こし、以降はこのフェスに出演できなくなっていたKen Yokoyamaが7年ぶりにこのステージに帰ってきた。
Kenバンドのメンバーとともにステージに登場すると、
「7年ぶりに帰ってきたぜ、ひたちなか。でもノスタルジーとかは全然なくて。俺が出てた時よりもだいぶ変わって大きいフェスになったし。だから初めて呼んでもらえたフェスに出るつもりでやります。久しぶりに喰らってくれ!」
と挨拶すると、「Punk Rock Dream」からスタート。本当に久しぶりに、このGRASS STAGEでパンクロックが鳴り響いている。この人が出なくなって以降、若手バンドでもパンクバンドがこのステージまでたどり着くことはなかったし、Hi-STANDARDでの相棒である難波章浩がこのフェスに出た時もLAKE STAGEだった。そんなことを思うだけで、Ken本人とは対照的にノスタルジーな気持ちになってしまう。
しかしながらおそらくほとんどの人が最も注目していたのは、かつてダイブを促して出禁になったこの男がどんなスタンスでこのフェスのステージに立つことにしたか、というところである。折しも先週出演したDragon AshやMONOEYESがそのルールに対して言及していただけに。
すると序盤で
「決められたルールの中で好きなように楽しんでくれ!」
と今のスタンスを示すと、妖怪ウォッチのコマさんのモノマネをしてみたりと、ダイブがあるなしにかかわらず、愉快なパンクおじさんとして楽しみながらライブをしている。
ソロデビューアルバム収録の「Believer」では合唱を促す(この日はマイクを客席に投げない代わりにマイクを客席に向けていた)が、思ったような大合唱とはならず、
「みんなもう12~3年前の曲だからこの曲知らないんだな!でも次の曲を知らないとは言わせねぇぞ!去年の大ヒットラジオ曲!」
と言うと、ミュージックステーションなどでも披露した「I Won't Turn Off My Radio」で合唱を起こし、「Beautiful Song」をじっくりと聴かせると、
「あいつなんて歌ってんの?って思ってる後ろの方にいるみなさん、俺は英語で歌ってます!
英語なんかわからんという方、俺のアルバムには日本語訳の歌詞カードもついてるんで、是非アルバムを買って聴いてみてほしい!万引きしろとは言えないじゃない(笑)
だから、友達から借りたりしていいよ!持ってるやつからアルバム借りて聴いてくれ!」
と、アルバムという形態にこだわる姿勢を見せつつ、
「曲を少なくし過ぎた(笑)」
ということで、急遽作戦会議を始め、メンバーが集まってなんの曲をやるかを決め、「Ricky Punks」「Ricky Punks II」と続けると、パンクロックという音楽についてを観客に説明し、突如としてハイスタの「STAY GOLD」を演奏すると、次々に後ろの方にいた観客が次々に前方に突入していく。やはりこの曲の持つ力は凄まじいものがある。それはどれだけ年数が経とうが、どんな場所であろうが。
「俺はダイブを煽ったりはしない。もう大人だから。くだらねぇんだよ、誰が煽ったとか。演奏するステージがあって、高い金を払ってみんなが見にきてくれて、決められたルールがあってその中で楽しむ。それでいい。だからダイブして連れて行かれたやつのためになんかしようっていう気もない。
そう思えたのは震災とかいろんなことがあったからだけど、もしかしたら、次の曲の日本語歌詞の中にその答えがあるかもしれない!」
と、改めて自身の現在のスタンス(それは2009年の時とは全く違う)を改めて示すと、「Ricky Punks III」を演奏し、最後に
「怪我しないで最後まで楽しんで!」
と言って「Your Safe Rock」を演奏。この選曲には若干皮肉めいたものも感じてしまうが、ミュージックステーション出演時にも言われていたように、Ken Yokoyamaは自分たちが楽しければいいというタイプのミュージシャンではなくなった。もっとパンク、ロック全体を考える、伝道師的な存在となった。だからこそテレビも含めてこうしてロックバンド、パンクバンドのかっこよさをアピールできるような場所には積極的に出ていくようになったし、この日のライブを見たら、また来年以降もこのステージでこうしてライブを見れるかもしれないと思える。
でもこうしてかつてやらかしたKen Yokoyamaが7年ぶりに出て、今後の出演を期待できるようなライブをしてくれたのを見ると、それ以上にやらかした銀杏BOYZもいつかはまたこのフェスのステージで…とファンとしては思わざるを得ない。もうその時はGRASS STAGEではないだろうけど。
1.Punk Rock Dream
2.Save Us
3.Maybe Maybe
4.Believer
5.I Won't Turn Off My Radio
6.Beautiful Song
7.Ricky Punks
8.Ricky Punks II
9.STAY GOLD
10.Ricky Punks III
11.Your Safe Rock
I Won't Turn Off My Radio
https://youtu.be/NPhlnx3VvEQ
17:10~ [Alexandros] [GRASS STAGE]
去年は初日のGRASS STAGEのトリを務めた[Alexandros]、今年はトリ前に登場。おなじみ「Burger Queen」のSEで登場すると、途中からメンバーの生演奏に切り替わるというオープニングもおなじみだが、いきなりEDM要素の強い「Nawe Nawe」からスタートするというのはかなり意外な展開。しかも続く「Kill Me If You Can」も、何度も聴いている曲にもかかわらず、「この曲なんだろう?」と思ってしまうくらいにはるかに打ち込み要素を増したアレンジに生まれ変わっており、サトヤスの生ドラムのリズムがえらくシンプルになっている。これはなかなか面白い試みでありアレンジだとは思うが、個人的にはこの曲は原曲のままのアレンジのほうがライブで聴く限りではテンションが上がる。
さらに「Girl A」とここまでは打ち込みやサポートメンバーのRoseの鍵盤をフルに生かした、4人以外の音も駆使したバンドサウンドの曲を続けてくる。
「日本で1番元気のいいフェス」
と川上がこのフェスに集まった観客を讃えると、最新シングル曲「Swan」を披露。「NEW WALL」「ワタリドリ」にも通じる壮大な曲で、この広大な場所で鳴らされるのが実によく似合っている。次のツアーもライブハウスが多く組まれているが、もはや曲のスケール的にはスタジアムクラスでやっていてもおかしくないレベル。
中盤の「Kick & Spin」からは川上がハンドマイクでステージ左右の花道も走り回りながら歌うのだが、いたるところにあるカメラに向かって歌ったり、磯部と絡んだりしながら歌い、しかもそれがあらかじめ決まっていたかのように瞬時にモニターに映し出されるため、ステージだけでなく、モニターからも目が離せなくなるという、見ている側からしたら実に忙しくなってくる。しかしこのカメラの位置やタイミングを完璧に把握してしまっているあたりは、川上はやはりこのステージに選ばれたロックスターである。
後半は前述のように、このキャパで鳴らされるのが当然であるかのようなアンセムが続き、「Adventure」で観客に大合唱を起こさせると、ニューアルバムが11月にリリースされること、アルバムタイトルが「EXIST」に決まったことを初めて発表し、最後に暴発したかのような「city」を演奏して、凄まじい余韻に包まれながらメンバーはステージを去って行った。
アルバムのリリースのスパンがかなり速いが、近年のシングルの多様性を考えると、アルバムの内容自体も「ALXD」以上に幅広いものになりそう。これからこの先も様々なフェスやイベントに今年も毎週のように出まくるが、その中でアルバムに入る曲を披露したりすることがあるのだろうか。
0.Burger Queen
1.Nawe Nawe
2.Kill Me If You Can
3.Girl A
4.Swan
5.Kick & Spin
6.NEW WALL
7.ワタリドリ
8.Adventure
9.city
Swan
https://youtu.be/ATZC7tJPGdQ
18:30~ THE YELLOW MONKEY [GRASS STAGE]
レジェンドの帰還その2。実に2000年の第1回以来の出演となるTHE YELLOW MONKEY。今年日本中に衝撃を与えた再結成を果たし、ツアーも行う中、このひたちなかに帰ってきた。
大歓声に迎えられてメンバーがステージに登場すると、吉井和哉はやはり派手な衣装を身にまとっている。ジャージ姿だった2000年とは全く異なる姿だが、音が鳴らされて1曲目は「EXIPERIENCE MOVIE」の「SUCK OF LIFE」からスタート。ツアーの1曲目は「プライマル。」だったと聞いていたし、大ヒットシングル連発的な内容だと思っていただけに、かなり歌詞の内容がどぎついこの曲からスタートするというのはかなり予想外だったし、しっかりと歌詞の単語を1語1語発音しながら吉井和哉が歌うので、若干戸惑いを隠せない感じの観客の姿もちらほら見受けられる。
しかしながらすぐさま
「楽園に行こうぜー!」
と言っての歌詞の一部を「ひたちなか」に変えて歌われた「楽園」からは大ヒット曲連発の、フェスのトリを飾るにふさわしい曲たちが演奏されていく。
重い音と歌詞の内容ではあるが吉井和哉の歌の上手さに感心してしまう「球根」から、再結成後にリリースされた、バンドのここまでの歩みをそのまま歌詞にしたような「ALRIGHT」、メンバーが笑顔で向かい合って演奏する姿が実に微笑ましい「SPARK」と新旧のアンセムが並列に並んでも全く違和感がないし、何よりもサウンドとメンバーの動き、パフォーマンスからは15年もやっていなかったバンドとは思えないくらいに現役感しか感じない。
「いろいろやり残したと思えることがあって。それでこうしてまた一緒にやろうってなったんだけど、このひたちなかでライブをやるっていうことも俺たちにとっては紛れもなくその1つで。前に出た時は俺は空気読まないで青いジャージで出てきて豪雨に打たれながら歌ってたんだけど(笑)
この曲をこの空の下で歌えるのが本当に幸せです!みんなこれからも僕らと一緒にバラ色の日々を過ごしてください!」
と吉井和哉がこの場所に再びこのバンドで戻ってこれたという感慨を語ってから演奏された「バラ色の日々」、そして「LOVE LOVE SHOW」という、吉井がソロでも何度か歌ってきたこの曲をバンドで笑顔で鳴らし、それに合わせて観客がみんな歌っている。なんという美しい光景だろうか。
「昔、まだ売れる前に出した曲なんだけど、これから売れていこうとするバンドがこういうテンポも遅くて物騒なことを歌ってるような曲を出すのはダメだ、みたいなことをよく言われていて。でも当時、ロッキンオンジャパンの渋谷さんとか山崎さんがこの曲をすごい評価してくれて、可愛がってくれて。だから絶対このフェスでやりたかった曲なんだけど、前に出た時はこの曲をやる前に大雨で中止になってしまって。だから今日この曲をここで演奏できるのが本当に嬉しい。
そしてここでも宣言します。このバンドはもう生涯解散することはありません!我々はもう若くないんで年を取っておじいちゃんになってもカッコいいロックンロールが出来るのか、是非見守っていてください!」
と吉井が感動的なMCをしてから演奏されたのは「JAM」。ついに16年の時を経てこの場所で鳴らされた瞬間だった。
そしてラストは「悲しきASIAN BOY」。カメラ目線でギターを弾くエマも、妖しい空気を纏いながらもコミカルな仕草で笑わせるヒーセも立ち上がって客席を見渡しながらドラムを叩くアニーも実に楽しそうだった。一度は別々の道を歩いていた4人のおっさんがこうしてまた同じステージで笑顔でライブをやっている。しかもそれが紛れもなくカッコいいと思えるものになっている。それだけで涙が出そうになったし、実に素晴らしいものが見れた。これからも何度だってこのステージでその姿を見せて欲しい。
1.SUCK OF LIFE
2.楽園
3.ROCK STAR
4.球根
5.ALRIGHT
6.SPARK
7.バラ色の日々
8.パール
9.LOVE LOVE SHOW
10.JAM
11.悲しきASIAN BOY
バラ色の日々
https://youtu.be/lbvlx2S5gLs
イエモンもユニコーンも筋肉少女帯もジュンスカもハイスタも、こうしてライブに行くようになった時にはとっくにやってなかった。その見れないって諦めてたバンドが、目の前でライブをやっていて、それを心からかっこいいと思える。なんて幸せなことなんだろうか。ってことを思いながら最終日に向けてホテルに向かった。3日間が本当に一瞬で過ぎて行った。
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