SHINJUKU LOFT 40TH ANNIVERSARY AA= / 9mm Parabellum Bullet @新宿LOFT 8/10
- 2016/08/10
- 23:18
かつてスピッツも「新宿LOFTに出るのが夢で、そのためにバンドを始めた」という新宿LOFTが40周年を迎え、アニバーサリーライブイベントが多々組まれている。この日はAA=と9mm Parabellum Bulletという、轟音の中にポップさを内包した2組による2マン。
19時半という遅めの開演時間をちょっと過ぎたあたりに場内に鳴り響くのは、ATARI TEENAGE RIOTの「Digital Hardcore」。ということは9mmが先攻ということである。
野音ワンマンで滝が腕を負傷してからはツアーの中止や滝以外の3人でのライブなど、なかなか厳しい状態が続いていたが、この夏の怒涛のライブを前に、以前滝が骨折した時にもサポートを務めた、HEREの武田将幸がギターで参加する5人編成に。それによって滝はシンセも携えてのライブに。
いきなりわずか90秒の爆音最新シングル曲でいきなりアクセル全開。滝はこの段階では普通にギターを弾いており、負傷の影響は全く感じられない。しかしやはり始まると一瞬で終わってしまうこの曲は飛び道具のようでもあるが、曲、サウンドは紛れもなく9mmの王道でもある、歌謡とメタルをごった煮にした爆音ロックナンバー。
続く最新アルバム「Waltz on Life Line」の爆裂ロックナンバー「Lost!!」へ。この曲でも滝はギターを弾いている。つまり卓郎、武田と滝のトリプルギターという編成だが、その編成のイメージほど音がごちゃごちゃしていないのは、あくまで武田は滝のサポート的な立ち位置でギターを弾いているからだろうか。
すると滝がギターを置いて座ってシンセを奏でる「Discommunication」へ。もはや数え切れないくらいに聴きまくっている曲だが、こうしてシンセの音が加わると、より歌謡性を強く感じて、曲の持つ要素を改めて見直すことができる。もはやめちゃハードかつロックなYMOみたいに聴こえる時すらあるが。
卓郎が挨拶代わりに口を開くと、卓郎と和彦(っていうか主に和彦)がどれだけAA=の上田剛士に影響を受けてきたかを語る。和彦は剛士のベースを写真に撮ろうとしたが、一定距離よりも近寄れなかったらしい。
そんなAA=(きっとメンバーはMAD CAPSULE MARKETSからも強い影響を受けている)へのリスペクトを表明すると、滝のシンセによりものすごくテンポが速まっている中にも何処か叙情性を感じさせる「Vampiregirl」、サポートとして参加することにより、9mmが18mmくらいになっているという武田も含めた5人の音塊がとんでもない爆発力を生み出す「Answer and Answer」と続き、卓郎は新宿LOFTの思い出として、メジャーで最初にリリースしたCDにLOFTでのライブトラックを入れたこと、それまで2万円くらいのギターを使っていたのだが、WRENCHの松田知大にESPを紹介してもらい、それからずっとESPのギターを使っていることなどを懐かしそうに語る。ある意味では9mmのこのサウンドが確立された時の話である。
そして「新しい光」からは早くもクライマックスへ。座って演奏することにより、いつもよりもコーラスがハッキリ聴こえる滝。
「Black Market Blues」ではやはり歌詞に新宿LOFTという単語を入れて、この日この場所感を強く感じさせてくれる卓郎。
爆裂轟音ワルツ「生命のワルツ」で一心不乱にドラムを連打するかみじょう、暴れまくって明らかに壁に体がぶつかりながらも、狭いライブハウスということもあり、オフマイクでも全体にシャウトを轟かせる和彦。
そんな風に、9mmはこのメンバーが誰か1人でも欠けたら続かないバンドだが、滝が傷だらけだった日比谷野音ワンマンを見た後だと、9mmを最も9mmたらしめているのはやはり滝の作ってきた曲と、滝のリフなんだと実感させられる。それはギターがシンセに変わっても全く変わらない。
しかし、想像以上にライブの時間が短かったのは、やはりこの編成ではできる曲がそんなにないからということなんだろうか。
1.インフェルノ
2.Lost!!
3.Discommunication
4.Vampiregirl
5.Answer and Answer
6.新しい光
7.Black Market Blues
8.生命のワルツ
インフェルノ
https://youtu.be/8DizBlRFMD4
後攻はAA=。かつてTHE MAD CAPSULE MARKETSで一時代を築いた、上田剛士によるバンドである。まずはマニピュレーターと剛士の2人が先に登場すると、剛士もDJでインダストリアルなノイズサウンドを発し、剛士はブレイクの度にステージを歩き回りながら客席を煽りまくる。
すると金子ノブアキ(ドラム。RIZE)らバンドメンバーが登場し、最後にキャップをかぶってサングラス着用という相変わらずの威圧感を発揮する白川貴善(ボーカル。BACK DROP BOMB)が登場し、剛士もベースを手にして「INQUALITY」から爆音のデジタルロックを鳴らし始める。
MCも挟まずにひたすらに曲を連発していくが、最新作「#5」の曲のみならず、幅広い曲を演奏。剛士は白川とツインボーカルで歌いながらも笑みを浮かべながら手拍子を促したりと、もう結構ないい年齢にもかかわらず、未だにライブをやるのが楽しくてしょうがないというライブキッズのように見える。
そんな中、空気が一気に変わったのは、戒厳令が発せられているかのような打ち込みのサウンドが響き渡る轟音ラウドロック「GREED…」で次々にダイバーがステージの方へ転がっていく。金子のドラムも「これ本当に人力で叩いてるのか!?」と思うくらいの凄まじさ。
さらに福島の原発事故後の東電への痛烈なメッセージである「sTEPCOde」と、自身の思想をそのまま曲にして観客に届けていく。その姿勢はAll Animals are Equall(全ての動物は平等である)というバンド名を冠したことからもよくわかる。
「未来は一部の特別な権力を持った人たちのものじゃない。未来はみんなのものだ!」
という剛士のまっすぐかつ熱いメッセージが胸を打って演奏された「MIRAI (ポストミライ)」は0.8秒と衝撃のJ.Mのボーカル部分を流しつつ、白川と剛士のボーカルのメロディも実にポップ。J.Mの声のポップさはもはや言うまでもないが、こうした外部のミュージシャンとの化学反応が剛士の持つポップさをさらに際立たせているのだろうか。
ひたすらに曲を連発している中、ふいに
「新宿LOFTはバンドを始めた時から夢の場所で、バンドを始めてからは長い間ずっと主戦場のような場所でした。今日、久しぶりにLOFTでライブをやれて本当に幸せでした。場所はちょっと変わったけど、この床の白黒の模様はやっぱりLOFTだなって思う。40周年おめでとうございます!」
と、THE MAD CAPSULE MARKETS時代から数え切れないくらいに立ってきたであろうこのLOFTのステージに感謝しつつ、このステージで良くライブをやっていた頃と同様にアンコールなしで終えることを告げて最後に演奏された「LOSER」がノイズにまみれながらも光や希望に向かって手を伸ばしているかのように鳴らされ、
「今日、今まで何度か顔を合わせてきた9mmと初めて一緒にライブができて本当に嬉しかった。卓郎の髪型には親近感を感じてたし(笑)
9mm見に来て最後までいてくれた人も、俺たちのことをいつも見に来てくれる人も、みんな本当にどうもありがとう!」
と剛士が1人ステージに残って挨拶し、LOFTの40周年に華を添えた。
最後の言葉からもわかるが、ノイジーかつものすごくラウドな音楽にもかかわらず、メロディは実にポップなのは、上田剛士という男の優しさや温かさがそのまま音楽になっているからである。音楽は人が作って演奏するから心に響くという当たり前のことを改めて実感させてくれるとともに、こういうサウンド的には激しい音楽がやっぱり好きだ、と思わせてくれる。
MIRAI (ポストミライ)
https://youtu.be/1y9pQJtGRHI
でもAA=がここまで盛りだくさん(1時間ちょっとやってた)の内容だったのを考えると、9mmはやはり物理的な意味で長い時間はライブができなかったんだなぁとわかる。いつになるかはわからないけど、また完璧な姿で18mmではない9mmが見れるのを待っている。
Next→ 8/13 ROCK IN JAPAN FES.2016 DAY3 @国営ひたち海浜公園
19時半という遅めの開演時間をちょっと過ぎたあたりに場内に鳴り響くのは、ATARI TEENAGE RIOTの「Digital Hardcore」。ということは9mmが先攻ということである。
野音ワンマンで滝が腕を負傷してからはツアーの中止や滝以外の3人でのライブなど、なかなか厳しい状態が続いていたが、この夏の怒涛のライブを前に、以前滝が骨折した時にもサポートを務めた、HEREの武田将幸がギターで参加する5人編成に。それによって滝はシンセも携えてのライブに。
いきなりわずか90秒の爆音最新シングル曲でいきなりアクセル全開。滝はこの段階では普通にギターを弾いており、負傷の影響は全く感じられない。しかしやはり始まると一瞬で終わってしまうこの曲は飛び道具のようでもあるが、曲、サウンドは紛れもなく9mmの王道でもある、歌謡とメタルをごった煮にした爆音ロックナンバー。
続く最新アルバム「Waltz on Life Line」の爆裂ロックナンバー「Lost!!」へ。この曲でも滝はギターを弾いている。つまり卓郎、武田と滝のトリプルギターという編成だが、その編成のイメージほど音がごちゃごちゃしていないのは、あくまで武田は滝のサポート的な立ち位置でギターを弾いているからだろうか。
すると滝がギターを置いて座ってシンセを奏でる「Discommunication」へ。もはや数え切れないくらいに聴きまくっている曲だが、こうしてシンセの音が加わると、より歌謡性を強く感じて、曲の持つ要素を改めて見直すことができる。もはやめちゃハードかつロックなYMOみたいに聴こえる時すらあるが。
卓郎が挨拶代わりに口を開くと、卓郎と和彦(っていうか主に和彦)がどれだけAA=の上田剛士に影響を受けてきたかを語る。和彦は剛士のベースを写真に撮ろうとしたが、一定距離よりも近寄れなかったらしい。
そんなAA=(きっとメンバーはMAD CAPSULE MARKETSからも強い影響を受けている)へのリスペクトを表明すると、滝のシンセによりものすごくテンポが速まっている中にも何処か叙情性を感じさせる「Vampiregirl」、サポートとして参加することにより、9mmが18mmくらいになっているという武田も含めた5人の音塊がとんでもない爆発力を生み出す「Answer and Answer」と続き、卓郎は新宿LOFTの思い出として、メジャーで最初にリリースしたCDにLOFTでのライブトラックを入れたこと、それまで2万円くらいのギターを使っていたのだが、WRENCHの松田知大にESPを紹介してもらい、それからずっとESPのギターを使っていることなどを懐かしそうに語る。ある意味では9mmのこのサウンドが確立された時の話である。
そして「新しい光」からは早くもクライマックスへ。座って演奏することにより、いつもよりもコーラスがハッキリ聴こえる滝。
「Black Market Blues」ではやはり歌詞に新宿LOFTという単語を入れて、この日この場所感を強く感じさせてくれる卓郎。
爆裂轟音ワルツ「生命のワルツ」で一心不乱にドラムを連打するかみじょう、暴れまくって明らかに壁に体がぶつかりながらも、狭いライブハウスということもあり、オフマイクでも全体にシャウトを轟かせる和彦。
そんな風に、9mmはこのメンバーが誰か1人でも欠けたら続かないバンドだが、滝が傷だらけだった日比谷野音ワンマンを見た後だと、9mmを最も9mmたらしめているのはやはり滝の作ってきた曲と、滝のリフなんだと実感させられる。それはギターがシンセに変わっても全く変わらない。
しかし、想像以上にライブの時間が短かったのは、やはりこの編成ではできる曲がそんなにないからということなんだろうか。
1.インフェルノ
2.Lost!!
3.Discommunication
4.Vampiregirl
5.Answer and Answer
6.新しい光
7.Black Market Blues
8.生命のワルツ
インフェルノ
https://youtu.be/8DizBlRFMD4
後攻はAA=。かつてTHE MAD CAPSULE MARKETSで一時代を築いた、上田剛士によるバンドである。まずはマニピュレーターと剛士の2人が先に登場すると、剛士もDJでインダストリアルなノイズサウンドを発し、剛士はブレイクの度にステージを歩き回りながら客席を煽りまくる。
すると金子ノブアキ(ドラム。RIZE)らバンドメンバーが登場し、最後にキャップをかぶってサングラス着用という相変わらずの威圧感を発揮する白川貴善(ボーカル。BACK DROP BOMB)が登場し、剛士もベースを手にして「INQUALITY」から爆音のデジタルロックを鳴らし始める。
MCも挟まずにひたすらに曲を連発していくが、最新作「#5」の曲のみならず、幅広い曲を演奏。剛士は白川とツインボーカルで歌いながらも笑みを浮かべながら手拍子を促したりと、もう結構ないい年齢にもかかわらず、未だにライブをやるのが楽しくてしょうがないというライブキッズのように見える。
そんな中、空気が一気に変わったのは、戒厳令が発せられているかのような打ち込みのサウンドが響き渡る轟音ラウドロック「GREED…」で次々にダイバーがステージの方へ転がっていく。金子のドラムも「これ本当に人力で叩いてるのか!?」と思うくらいの凄まじさ。
さらに福島の原発事故後の東電への痛烈なメッセージである「sTEPCOde」と、自身の思想をそのまま曲にして観客に届けていく。その姿勢はAll Animals are Equall(全ての動物は平等である)というバンド名を冠したことからもよくわかる。
「未来は一部の特別な権力を持った人たちのものじゃない。未来はみんなのものだ!」
という剛士のまっすぐかつ熱いメッセージが胸を打って演奏された「MIRAI (ポストミライ)」は0.8秒と衝撃のJ.Mのボーカル部分を流しつつ、白川と剛士のボーカルのメロディも実にポップ。J.Mの声のポップさはもはや言うまでもないが、こうした外部のミュージシャンとの化学反応が剛士の持つポップさをさらに際立たせているのだろうか。
ひたすらに曲を連発している中、ふいに
「新宿LOFTはバンドを始めた時から夢の場所で、バンドを始めてからは長い間ずっと主戦場のような場所でした。今日、久しぶりにLOFTでライブをやれて本当に幸せでした。場所はちょっと変わったけど、この床の白黒の模様はやっぱりLOFTだなって思う。40周年おめでとうございます!」
と、THE MAD CAPSULE MARKETS時代から数え切れないくらいに立ってきたであろうこのLOFTのステージに感謝しつつ、このステージで良くライブをやっていた頃と同様にアンコールなしで終えることを告げて最後に演奏された「LOSER」がノイズにまみれながらも光や希望に向かって手を伸ばしているかのように鳴らされ、
「今日、今まで何度か顔を合わせてきた9mmと初めて一緒にライブができて本当に嬉しかった。卓郎の髪型には親近感を感じてたし(笑)
9mm見に来て最後までいてくれた人も、俺たちのことをいつも見に来てくれる人も、みんな本当にどうもありがとう!」
と剛士が1人ステージに残って挨拶し、LOFTの40周年に華を添えた。
最後の言葉からもわかるが、ノイジーかつものすごくラウドな音楽にもかかわらず、メロディは実にポップなのは、上田剛士という男の優しさや温かさがそのまま音楽になっているからである。音楽は人が作って演奏するから心に響くという当たり前のことを改めて実感させてくれるとともに、こういうサウンド的には激しい音楽がやっぱり好きだ、と思わせてくれる。
MIRAI (ポストミライ)
https://youtu.be/1y9pQJtGRHI
でもAA=がここまで盛りだくさん(1時間ちょっとやってた)の内容だったのを考えると、9mmはやはり物理的な意味で長い時間はライブができなかったんだなぁとわかる。いつになるかはわからないけど、また完璧な姿で18mmではない9mmが見れるのを待っている。
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