ROCK IN JAPAN FES.2016 DAY4 @国営ひたち海浜公園 8/14
- 2016/08/17
- 00:00
いよいよ最終日。おそらく4日間で1番涼しく、過ごしやすい。心境的には今日で終わってしまうというノスタルジーな気持ちが強いが。
10:30~ グッドモーニングアメリカ [LAKE STAGE]
そんな気持ちを、作り手側の前説の山崎洋一郎も感じているらしく、ややセンチメンタルかつエモい感じになっていたらしいが、その気持ちを吹き飛ばすようにステージに登場したのは、シン・ゴジラならぬタナシン・ゴジラ。しかもゴジラのテーマに自分で歌詞をつけている(歌は下手だが)。
ゴジラの着ぐるみを脱ぐと、おなじみのファイヤーコールで大歓声を浴びながら、
「SMAPの解散が本当に悲しい。俺は1日でも長くバンドを続けたい!」
と、こうして自分たちのライブに来てくれる人や応援してくれる人を悲しい気持ちにさせたくないという、たなしんらしい気遣いの心を見せ、他のメンバーもステージに登場すると、実に言いにくいタイトルの連呼パートで手拍子が起こる「コピペ」からスタート。青空に突き刺さるように金廣のハイトーンボイスはこの日もよく伸びている
「キャッチアンドリリース」で踊らせると、最新曲「ジェットコースター」を特になんのフリもなしに披露。タイトル通りにいきなりラウドっぽくなったりと展開が多い曲だが、歌詞は日常に寄り添ったタイプのもので、近年のこうしたタイプの曲の中でも1つ1つの描写の細かさは随一と言える。
四つ打ち系バンドと見られることも多いこのバンドだが、実際にはメロコアからの影響が実に強いために、このパンクバンドの主戦場ともいうべきレイクステージ(しかも次にこのステージに出るのは高校の同級生であるTOTALFAT)が実によく似合うし、実際に「空ばかり見てた」はあらゆる意味でこの青空の下でのこのステージがよく似合う。
「メジャーデビューしてからは毎年このフェスに出させてもらってるんだけど、あと何回このステージに立てるかなって昨日とかに考えてて。ずっと出させてもらったとしても、80歳までバンドやってたとしても50回くらい。そう考えると、一回一回が本当に愛おしくなる。
でも先のことばっかり考えてもしょうがない。みんなも今日くらいは、今この瞬間を楽しんでください」
と金廣が言い(しかも珍しくタナシン・ゴジラを褒めてた)、フェスでやるのは実に珍しい、青春性の強い「そして今宵は語り合おう」から、ラストは「未来へのスパイラル」で大合唱を巻き起こした。
仲間や後輩が先にこのステージに立ってきたのをずっと見てきたこのバンドにとって、このLAKE STAGEは夢の場所だった。たなしんも「このステージに立てる喜びを噛み締めながら」と言っていたし。
しかし、このフェスにはまだもう1つ大きなステージがある。しかもそのステージには先にこのステージに立ってきた仲間たちもまだ立っていない。正直、グドモ自身も最初にSOUND OF FORESTに出演した時の期待感からするとかなりそこは遠くなってきてしまった感はあるが、GRASSにこのバンドが立つことができれば、かつてとは逆に、グドモが仲間のバンドに夢を見せられることになると思う。
1.コピペ
2.キャッチアンドリリース
3.ジェットコースター
4.空ばかり見てた
5.アブラカタブラ
6.そして今宵は語り合おう
7.未来へのスパイラル
ジェットコースター
https://youtu.be/xsz617o2v_0
11:05~ 忘れらんねえよ [SOUND OF FOREST]
もはやこのフェスでもおなじみの存在になりつつある、忘れらんねえよ。この日はLEGO BIG MORLのタナカヒロキがサポートギターで参加する4人編成。
しかし出てくるなり柴田が
「SMAP!」「ありがとう!」
というコール&レスポンスを繰り返し、解散を発表したSMAPへのリスペクトを表明してから、「ばかもののすべて」からスタート。やはりサポートギターがいることにより、サウンドは従来のスリーピースのものよりはるかに分厚くなっている。見た目的にはLEGOのメンバーが忘れらんねえよの中にいるのはかなり違和感があるが。
「君に届けを意識した」
という新曲は、内容的には忘れらんねえよ節炸裂の、情けない男の歌。しかしやはり柴田はこういう曲を書かせたら右に出るものはいないんじゃないかと思わせる。
フラワーカンパニーズの「真冬の盆踊り」のヨサホイヨサホイという踊りをしてからの「ばかばっか」(まるで踊ってた人たちがばかばっかであるかのように)を終えると、
「朝早くから来てくれてありがとうございます!俺は普段この時間家にいますよ。ずっと壁を見てる(笑)
そんな俺が今、この時間にこんな最高の景色を見れている!本当にありがとうございます!
でももうロッキン出るのは4回目なんだけど、前までは裏のバンドをぶっ倒してやるってずっと思ってたの。そしたら、なんでBUMPの裏なんですか!倒せるわけないじゃないですか!みたいな時もあったりして(笑)
でももう今はそういうのはいいんじゃないかって。こうやって見に来てくれる人が楽しんでくれたらそれだけでいい」
と素直な感謝の気持ちを語り、後半はバンドの名曲サイドの曲を連発した。
例えば「ばかばっか」では普段のライブハウスでは柴田が観客に運ばれながらビールを買いに行ったりという飛び道具的なパフォーマンスを行うことがある。しかしロッキンではそういうことはなかなかできない。だからこそ曲そのものの良さが本当に重要になる(キュウソはそこをクリアできているから、レイクが満員になる)のだが、こうしてひたすらに曲を連発しているライブを見ると、忘れらんねえよはやはりちゃんと良い曲を書いているバンドだというのが改めてわかる。
柴田は初出演時から「いつかGRASS STAGEに立ちたい」と言っていたが、まずはLAKE STAGEへ立つために、初のZeppワンマンは重要な試金石になる。
1.ばかものすべて
2.犬にしてくれ
3.俺よ届け (新曲)
4.ばかばっか
5.CからはじまるABC
6.バンドやろうぜ
7.この高鳴りをなんと呼ぶ
8.忘れらんねえよ
ばかばっか
https://youtu.be/msr34fOerMA
11:50~ NICO Touches the Walls [GRASS STAGE]
近年はずっとGRASS STAGEへの出演。もはやこのフェスを代表するバンドの一つになったと言っていい、NICO Touches the Walls。
サウンドチェックで光村がアコギを弾いていると、そのまま弾き語りのように「夏の大三角形」を歌う。改めてものすごい歌唱力。もはや松山千春かと思うレベル。
本番でメンバーが登場すると、対馬がモヒカンにサスペンダーみたいな出で立ちで、このステージに立っていた時代のBEAT CRUSADERSのマシータを彷彿とさせるような感じになっている。
1曲目は最新シングル「ストラト」。近年の曲の中では実にストレートなアレンジで光村の歌が生きるが、ライブでも派手なアレンジを加えたりはしていない。
続く「THE BUNGY」では坂倉がさらにグルーヴィーになったベースを聴かせるのだが、観客の手拍子が表拍ばかりになっていて、やはりワンマンと違ってフェスならではだと実感。かつてのフェスでは光村も「手拍子は裏拍でお願いします!」と言ったり、「THE BUNGYは裏拍で!」という横断幕を持ったファンもいたりしたが、近年は特にそこに対することは何もなくなっている。
と思っていると、「ホログラム」「Diver」という最近はあまりフェスではやらなくなっていたシングルヒット曲を連発し、大きな歓声が上がる。NICOは結構フェスでもアルバム曲をやりがちなバンドだが、こうしてシングル曲を連発すると、やはりフェスでしか見ないというような人でも、ちゃんと曲を知っているということがわかる。
そしてこの日が初披露となることを告げ、新曲の「マシ・マシ」へ。この前にやったシングル2曲と同じく、アニメのタイアップ曲だが、光村がゆっくりとした手拍子を煽ると曲中ずっとそのリズムの手拍子が続くという実にシンプルなリズムの曲。今のNICOはこういうモードということなのだろうか。
そこからは一転して目まぐるしく展開が変わる「天地ガエシ」でメンバーの演奏力の高さを見せつけ、間奏部分で光村のスキャットパートが入る「ニワカ雨ニモ負ケズ」では最後のサビ前に光村がタメにタメまくってかなりもったいつけてからサビに突入したことによって、さらなる熱狂を生み出した。
最後は「手をたたけ」でGRASS STAGE中に手拍子が発生し、結果的にはヒットシングル連発というNICOのど真ん中を見せつける内容のライブとなり、演奏を終えたメンバーはステージ前に並んで観客に一礼して、大歓声を浴びながらステージを去って行った。
かれこれこのフェスに出始めてから10年以上になるが、毎年確実に光村の歌唱力とメンバーの演奏力の進化を見せ、徐々に大きいステージへと歩みを進め、今ではGRASS STAGEに出て当たり前という存在にまでなった。同世代のバンドたちには「世代交代」という言葉もチラついてきているだけに、これからもロックシーンのど真ん中にしっかり居座るようなバンドでいて欲しい。
1.ストラト
2.THE BUNGY
3.ホログラム
4.Diver
5.マシ・マシ
6.天地ガエシ
7.ニワカ雨ニモ負ケズ
8.手をたたけ
ストラト
https://youtu.be/uPLIiXgmBRI
12:50~ THE BAWDIES [LAKE STAGE]
去年に続いてのLAKE STAGE出演となる、THE BAWDIES。去年は倒れるんじゃないかと心配するくらいの暑さの中でもスーツを着て演奏していたが、今年はそこまでの暑さではないだけに、水色のスーツが爽やかに見える。
おなじみウィルソン・ピケット「ダンス天国」のSEで登場し、いきなりの「IT'S TOO LATE」でスタートすると、ROYの超ロングシャウトに凄まじい歓声が上がる。初めて見る人には衝撃的だろう。涼しい気候を熱く燃え上がらせるようなロックンロールを連発。go!go!vanillasとのスプリットシングル収録の「45s」も荒々しいガレージロック。
「お祭りの打ち上げ花火のような男たち、我々THE BAWDIESです!」
というROYの挨拶の後は、「みなさんに光が射しますように!」という「SUNSHINE」で合唱を巻き起こし、フェスでは珍しくなったTAXMANボーカルの「B.P.B」のあと、
「今日は競泳のメダリスト3人に来てもらってます」
というROYのインタビュアー風の小芝居が始まり、銅メダルのJIM、銀メダルのMARCY、金メダルのTAXMANにそれぞれ強さの秘訣は?と尋ねると、
JIM「朝にパンを食べてたからです」
MARCY「朝にソーセージを食べてたからです」
TAXMAN「パンにソーセージを挟んで食べてたからです」
と答え、当然のように「HOT DOG」へ突入し、さらにはフェスでおなじみとなっているメドレーで飛び跳ねさせまくり、ラスト「NO WAY」ではアウトロでJIMのギターが唸りを上げまくるセッションまで展開。
演奏が終わるとTAXMANのわっしょいも行われ、今年も最高に熱いロックンロールをこのステージで炸裂させた。
かつて初出演時は今はなき最も小さいステージだったSeaside STAGE。そこからPARK、LAKEと一段飛ばしで出世し、GRASSにも到達した。今となってはGRASS復帰はかなり難しい状態になってしまったが、それでもライブを見るとやっぱり毎年最高のライブを見せてくれるバンドなだけに、セトリがほとんど変わらなくてもずっと出続けていて欲しい。
1.IT'S TOO LATE
2.SING YOUR SONG
3.45s
4.JUST BE COOL
5.SUNSHINE
6.B.P.B
7.HOT DOG
8.メドレー (YOU GOTTA DANCE ~ YEAH ~ LEAVE YOUR TROUBLES ~ YOU GOTTA DANCE)
9.NO WAY
45s
https://youtu.be/pJsgdKES6Cs
13:30~ ヤバイTシャツ屋さん [WING TENT]
もはや開演前からテントの中はもちろん、外まで人が溢れ、あまりにも見えない人が多いために関係者用の通路まで開放する、という異常過ぎるほどのキャパオーバーした観客を前に時間前からメンバー3人が登場し、自作の地図を使って歌詞に出てくる地元大阪の地名などを事細かに説明(「ここは東京でいうと池袋くらいの都市」「この大学は東京でいうと日東駒専くらいのレベル」など)していたのは、今急速に人気を拡大している、ヤバイTシャツ屋さん。もちろんTシャツ屋ではなく、スリーピースバンド。
一度聴いたら忘れられないインパクトの強い歌詞とキャッチーなメロディを備え、「Go to RIZAP!!」というフレーズが頭に残りすぎる「Tank-top of the world」から客席はとんでもない盛り上がりを見せる。これだけたくさんの人がいて、出てきたばかりの注目バンドだと「どんなもんだろ?」という様子見的に集まってる人も多くなりがちだが、みんな完全にこのバンドとこのバンドの曲をちゃんと知っている。(全国流通盤はシングル1枚くらいしか出ていないのにもかかわらず)
こやま(ボーカル&ギター)としばた(ベース&ボーカル)の男女混成ボーカルがよりキャッチーさを際立たせる地元のことを歌っただけの曲「喜志駅周辺なんもない」では、曲中のコール&レスポンスのパートで、
「ロッキンの照明超かっけー!」
「ロッキンの音響いい感じ!」
「ロッキンのスタッフマジ優しい!」
など、フェスに媚びまくったコール&レスポンスをこやまが展開し、もりもりもと(ドラム)に「媚びすぎや!」と突っ込まれる。こやまいわく「来年も呼んでもらうため」とのこと。
こやま「Perfumeです!かしゆかです!」
しばた「かしゆかです!」
もり「…か、かしゆかです!」
こやま「いやー、僕らも中田ヤスタカプロデュースバンドとしてこうしてこのフェスに出れて嬉しいです!」
こやま「これからも5人一体となって頑張っていこうと…」
もり「あと2人誰が見えてんねん!」
こやま「よくバンドマンが行けるかー!ってMCで言うやん?あれってどこに行こうとしてるんやろね?」
しばた「GRASS STAGEちゃう?」
など、嘘しか言わないMCも芸人なみに面白い。(ちなみに公式HPも嘘情報ばかりしか書いておらず、シングルがランクインした際にその情報を間に受けたCDTVのスタッフが「3人組テクノポップユニット」と、明らかにPerfumeと間違えてるようなテロップを出していた)
いじる対象をひたすら細かく描写する(ただ面白いだけでなく、この観察眼と語彙力は素晴らしいものがある)「ウェイウェイ大学生」、「メロコアバンドのアルバムの3曲目ぐらいによく収録されている感じの曲」と、一回聴いただけで頭の中に入ってしまうくらいにひたすらにキャッチーな曲が続くと、しばたの「ロッキン」でのあいうえお作文もあり、
「こうしてここに立てているのはみんなのおかげです。ありがとうございます。バンドをやっていて本当に良かったです」
と、こやまがいきなりらしくないことを言い始め、
「聴いてください、夢を諦めない」
と言って演奏を始めるも、もりが「そんな曲あるかー!」と突っ込んでそんな曲がないことが明らかになると、ラストはこのバンドのことを一躍知らしめた「あつまれ!パーティーピーポー」で集まった全ての人をパリピと化してしまい、衝撃的なロッキンデビューを果たした。
音楽性こそ違えど、関西のバンドでこの歌詞のスタイルと「DQN」などの単語を使っているという点から、紛れもなくキュウソネコカミ以降のバンドと言える存在だが、この勢いと熱狂ぶりはキュウソサイドも取って代わられると怯えるほどかもしれない。もう来年はキュウソと同じステージに立っていたとしても全く不思議ではない。
1.Tank-top of the world
2.喜志駅周辺なんもない
3.ネコ飼いたい
4.ウェイウェイ大学生
5.メロコアバンドのアルバムの3曲目ぐらいによく収録されている感じの曲
6.あつまれ!パーティーピーポー
あつまれ!パーティーピーポー
https://youtu.be/5BKqfAZYGrA
14:05~ 黒木渚 [BUZZ STAGE]
実は夏は初出演となる黒木渚。BUZZ STAGEへの登場である。ドラム・マシータ(ex.BEAT CRUSADERS。忘れらんねえよとのダブルヘッダー)、ベース・宮川トモユキ(髭)、ギター・井手上誠、キーボード・多畠幸良という最近おなじみのサポートメンバーに続いて、爽やかな青い衣装を着た、黒木渚がステージに登場。
ギターを背負うと1曲目は「虎視眈々と淡々と」。屋根があるステージではあるが、黒木渚のボーカルは青空に向かってどこまでも伸びていくかのよう。楽曲こそキャッチーだが、彼女をロックディーヴァたらしめているのは、凄腕メンバーによるバンドの演奏。ましてやBEAT CRUSADERSのドラムと髭のベースがリズム隊として同じステージに立っているとは、かつてこのフェスにそれぞれのバンドで出演していた時は全く想像できなかった。
ギターを弾かずにタイトルのフレーズでポーズを決める「大予言」、多畠のキーボードが美しいメロディを際立たせるバラード曲「アーモンド」と続くと、初出演ということで、先週は髭としてこのBUZZ STAGEに立った宮川にロッキンのことについて聞いたところ、
「舐めてたら死ぬくらいの暑さ」
というアドバイスをもらったらしいが、この日は実に涼しかったため、
「昨日出演した北海道のライジングサンより涼しい」
とのこと。よくよく考えるとすごいスケジュールであるが。
「チクショー チクショー ふざけんな」
というフレーズを観客はおろか、バンドメンバーの宮川にもコール&レスポンスさせる(宮川がマイクを通して言葉を発するのは実に珍しい)、「ふざけんな世界、ふざけろよ」から、まだソロになる前、スリーピースバンド時代から黒木渚の根幹を担ってきた曲といえる「骨」をこの時間、このステージに集まってくれた人たちに捧げるようにして歌い、待ちわびたロッキンでのデビュー戦を終えた。
音楽性やアルバム、ワンマンライブで見せているポテンシャルからすると、このステージよりもSOUND OF FORESTの方が似合うのは間違いないが、この日はそこを埋められるほどの集客とは言い難かった。もともとBUZZ STAGE自体がなかなか位置やタイムテーブル的にも集客しづらいステージというのもあるだろうが。
しかし、常々武道館ワンマンを目標にしているだけに、もう大型フェスで小さいステージに出るという立ち位置は卒業しなければならない。
と思っていたら、喉の不調により、ビルボード東京でのワンマンライブが中止になったという情報が飛び込んできた。不調という感じはこの日一切しなかっただけに衝撃。果たして大丈夫なのだろうか。
1.虎視眈々と淡々と
2.大予言
3.アーモンド
4.ふざけんな世界、ふざけろよ
5.骨
ふざけんな世界、ふざけろよ
https://youtu.be/EaZRu-sCIh8
15:10~ lovefilm [HILLSIDE STAGE]
去年まではthe telephonesとして出演していた、石毛とノブが新バンド、lovefilmを結成してこのフェスに初出演。
当然、江夏詩織(ボーカル&ギター)と高橋昌志(ドラム)はこのフェスのステージに立つのは初めてである。
江夏はさすがにモデルとして活動しているだけはあり、頭にサングラスを乗せたお洒落な出で立ちで、石毛とのツインボーカルの「Alien」からスタート。石毛と江夏がそれぞれに歌い、サビで2人の声が重なるところで起こるマジック。石毛の師匠であるナカコーがやっていた、SUPERCARの「Lucky」を彷彿とさせる。
パンキッシュな「Honey Bee」、江夏のボーカルと幻想的なサウンドが心地いい「Kiss」と、telephonesとは全く異なるサウンドをこのフェスでも響かせる。
すると石毛が「このバンドにひたちなか出身のメンバーがいるんですよ」と告げると、江夏が元気よく「はい!」と手を挙げる。地元で開催されているフェスに出演できるということで実に嬉しそうな江夏は、「Don't Cry」で
「ロッキンジャパン最高ー!」
と叫ぶ。いつもよりもノブがおとなしかったというのもあるが、明らかにこの日1番バンドで目立っていたのは江夏だった。
1stフルアルバムがリリースされたばかりというタイミングにもかかわらず披露された新曲は、別れの切なさを感じさせるような歌詞の曲。このペースで早くも新曲ができているということは、11月の初ワンマンではアルバムの曲はもちろん、もっとたくさんの曲が聴けるのかもしれない。
そしてラストは「Goodbye,Goodnight」で石毛のギターが残響を残す中でメンバーはステージを去って行った。
このフェスにおいても、the telephonesは数々の素晴らしい瞬間を作り、本当に愛されてきた存在のバンドだったし、telephonesはフェスには欠かせないバンドだった。
そのtelephonesを休止させてまで始めたこの新バンド、lovefilm。女性ボーカルと青春性の強い日本語歌詞という、telephonesにはなかった新たな武器を手に、石毛とノブのこのフェスでの新たな物語が幕を開けた。願わくば、終わることなくこの物語を見続けていたい。
1.Alien
2.Honey Bee
3.Kiss
4.Don't Cry
5.新曲
6.Goodbye,Goodnight
Kiss
https://youtu.be/YsopBGIO2Bg
15:50~ WANIMA [GRASS STAGE]
本来はこの時間、このステージにはSuperflyが久しぶりに出演するはずだった。しかしながら越智志帆の喉の不調により今年のフェス出演を全てキャンセルしたことにより、WANIMAがLAKE STAGEから昇格する形でこの時間にGRASS STAGEに立つことになった。わずか2年でのGRASS STAGEへの出演という快挙である。
おなじみスキャットマンジョンのSEでメンバーが登場すると、手拍子がどんどん広がりを見せ、GRASS STAGE中を包み込んでしまう。それくらいの期待度。
「どう考えても、日本で1番ROCK IN JAPANが好きー!PIZZA OF DEATHから来ました、WANIMAでーす!」
とKENTAが挨拶すると、「THANX」からスタートするのだが、もう完全に全曲大合唱ができる、「みんなの歌」と化している。
「みなさん、残暑見舞い申し上げまーす!」
といきなり普段ほとんど喋らないKO-SHINが大声で挨拶すると、「いいから」というエロい曲ですらもこのGRASS STAGEのアンセムと化してしまう。かと思えば、
「遠いところに行ってしまった、漁師のじいちゃんに届きますように!」
と言ってから歌い始めた「1106」では思わずウルっときてしまう。笑えて泣けるというWANIMAのライブの真骨頂である。
リリースされたばかりの最新シングル収録曲「オドルヨル」は夏フェスにぴったりな踊れるパンクナンバー。そしてKENTAの呼びかけで客席一面にウェーブを起こすと、恒例となっている、FUJIの長渕剛のモノマネコーナーでは、長渕剛の声で西野カナの「トリセツ」を歌うという新機軸。しかも歌詞の口調をいかにも長渕剛のように変えて歌うというクオリティの高さを見せる。バンドが成長すると同時に、無駄にこのコーナーも成長を遂げてきている。
「去年のロッキンのテーマソング!」
と言って演奏された「BIG UP」から凄まじい大合唱が起こった「Hey Lady」という初期曲の流れに。そして最後に演奏されたのは、最新シングルとしてミュージックステーションでも披露された「ともに」で
「生きていれば…命さえあれば…」
というフレーズが否が応でも彼らの地元である熊本で起きた震災を思い起こさせ、青春性の強い曲の中で感動を生み出してみせた。
もはや当初の予定通りのLAKE STAGEだったら入場規制という騒ぎどころではないくらいに、GRASS STAGEもこの日屈指の客入りぶりだった。
前日にKen YokoyamaがGRASS STAGEに立ったが、若いパンクバンドがこうしてGRASS STAGEに立つという姿をずっと待っていた。そしてそれを叶えたのがWANIMAだった。それは去年SOUND OF FORESTに出演した時からこのステージに立つ姿は見えていたが、今はもはや近い将来このステージでトリを務める姿すら見えている。パンクの夢を一身に背負って、これからもWANIMAの快進撃は間違いなく続いていく。きっと将来、日本のロックの歴史の中でも最も重要な存在のバンドになるはず。
1.THANX
2.夏の面影
3.いいから
4.リベンジ
5.1106
6.オドルヨル
7.TRACE
8.BIG UP
9.Hey Lady
10.ともに
ともに
https://youtu.be/qag4ewos4TE
17:30~ サンボマスター [LAKE STAGE]
近年はこのLAKE STAGEがおなじみになりつつある、サンボマスター。今年は最終日のトリ前という位置、しかもONE OK ROCKの裏という時間での出演である。
おなじみゴダイゴ「MONKEY MAGIC」のSEで登場したメンバーは、オリンピックの選手のジャージを着て登場。ご丁寧に草の輪っかまでをも頭に装着している。
「金メダルどころか、世界新、いやロックの宇宙新記録を出しましょう!」
と、オリンピックネタなのは4年前と同じ。しかしながら当時は「金メダル」だっただけに、さらにハードルは上がっている。
「ミラクルをキミと起こしたいんです」でスタートすると、
「あれ?みなさんは宇宙新記録を出さない協会の人たちですか?もっと行けるでしょー!」
と山口が観客を煽りまくる。
フェスではかなり長い尺じゃないと演奏されない「光のロック」で疾走すると、
「俺はあんたらに愛してるって言いてえの。そしたらあんたらにも愛してるって言って欲しいわけ」
とひたすらに言葉を並べて「愛してる 愛してほしい」から「可能性」と、曲自体も非常に熱いが、山口の言葉がさらに客席を熱くさせていく。
「できっこないをやらなくちゃ」で早くもクライマックスのような盛り上がりを見せる中、
「聖火ランナーが来てくれてます!」
と山口が紹介して、聖火を持って登場したのは、MONGOL800のキヨサク。山口になぜか英語で語りかけると、愛と平和の使者がステージに現れたということで、キヨサクを加えての「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」。キヨサクがサンボマスターの曲を歌うというだけで特別感しかないが、そのキヨサクとともにここにいるみんなが「愛と平和!」と叫び、この日このステージでしかない光景を作り上げる。
そして最後は
「音楽を好きでいてくれてありがとう」
という山口の言葉に思わず感動してしまってからの「ロックンロールイズノットデッド」。
サンボマスターがいる限り、ロックは絶対に死なないと思わせるくらいの熱さ。
そしてONE OK ROCKの裏にもかかわらず、入場規制ギリギリまで人が入るという状況。毎年やる曲はほとんど変わらない。(「世界を変えさせておくれよ」の代わりに「光のロック」をやったくらい)だが、普通のバンドなら飽きてしまうような選曲であるにもかかわらず、飽きるどこれかもっと見ていたいと思わせるというのは、このバンドこそがロックンロールの宇宙記録保持者だから。
1.ミラクルをキミとおこしたいんです
2.光のロック
3.愛してる 愛してほしい
4.可能性
5.できっこないをやらなくちゃ
6.世界はそれを愛と呼ぶんだぜ feat.キヨサク(MONGOL800)
7.ロックンロールイズノットデッド
ミラクルをキミとおこしたいんです
https://youtu.be/5yEA5K1TFw8
18:30~ ASIAN KUNG-FU GENERATION [GRASS STAGE]
暗くなってきた空の中、このフェスが終わっていくことに寂しさを感じながら、大トリとして登場するのはアジカン。
シモリョーを含めた5人が登場すると、バンドのセッション的な演奏から始まったのは「Re:Re:」。今年シングルとして再リリースされた曲だが、近年のライブアレンジを音源として再録したという感じが強い。
「君じゃないとさ」
のフレーズは、聴いている我々にとってはこのステージの大トリはやっぱり君(=アジカン)じゃないとさ、という意味に響く。
すると「振動覚」からだいぶダビーなアレンジになった曲間でコール&レスポンスを起こす「リライト」という流れには、「もしかして今日のライブは「ソルファ」を軸にしたものになるのか!?」と思わずにはいられなかったが、「ソラニン」から最新シングル「ブラッドサーキュレーター」と続いたことにより、そうした内容ではなく、このステージの最後を飾るのに相応しい、ビッグヒット曲で構成されたものになるんだな、ということがわかる。
ゴッチはこういう舞台だからか、いつもよりもMC、挨拶はかなり控えめで、ひたすら曲を連発していくというスタイル。
分厚いロックサウンドの「Easter」から、最近のフェスではやる機会が少なくなってきていた「サイレン」、イントロをライブアレンジさせた「ブルートレイン」とヒットシングルを出し惜しみなく連発。あくまでもみんなのアジカンという雰囲気を壊さないようにしている。
ゴッチはMCで
「こうして昔の曲を演奏していると、客が友達しかいなかった学生時代とかを思い出す」
と言っていたが、自分はそうした曲を聴いていて、2004年に初めてこのフェスでアジカンのライブを見たことを思い出していた。(アジカン自身もこのフェス初出演がその年だった)
あの頃はまだ若手ギターロックバンドの中ではトップクラスの勢いを誇るバンドという立ち位置だったが(「リライト」がリリースされた週だった)、そのバンドが10年以上経って、このさらに大きくなったステージで大トリを務めているのを見ていると、思わず感慨深くなってしまう。
そしててっきりアンコールでやるものだと予想していた「遥か彼方」から四つ打ちリズムのダンスチューン「君という花」と代表曲の連発はとどまることを知らず、
「らっせーらっせー!」
の大合唱が響き渡る。
「昔、この雑誌に載り始めた頃は、こいつらなんかロックじゃねぇって言われてたんだぜ(笑)笑っちゃうよな。
でも、ひたすらまっすぐに音を鳴らしてれば絶対届くんだって。これからもその気持ちを忘れずにやっていきたいと思います」
とゴッチが真摯に語ると、「今を生きて」から、最後に演奏されたのは、このフェスでも何度もクライマックスを任されてきた、
「できれば世界を僕は塗り替えたい」
というフレーズで始まる「転がる岩、君に朝が降る」。ゴッチの真摯なMCと同様に曲のストレートなメッセージが響く中、ゴッチがギターをいじりながらステージに残響を残すと、5人が肩を組んでから一礼してステージを去り、すぐさまステージ裏からは花火が上がり、この日はアンコールがないことを悟った。
こうしてキャリア横断的なセトリのライブを見ると、紛れもなく自分はアジカンとともにこの10年以上を生きてきたんだと思わされる。
それはアジカンが一度も止まったり、メンバーが変わることもなくここまで続いてきたバンドだから。そして自分たちで大規模なフェスをやったりして、聴く音楽に広がりを与えてくれたのもアジカンだった。
裏が米津玄師なだけに、引き裂かれそうなタイムテーブルだったが、やっぱりアジカンで締めることができて良かった。これからお互いさらにおっさんになっていくけど、どうか死ぬまでよろしく。
1.Re:Re:
2.振動覚
3.リライト
4.ソラニン
5.ブラッドサーキュレーター
6.Easter
7.サイレン
8.ブルートレイン
9.遥か彼方
10.君という花
11.今を生きて
12.転がる岩、君に朝が降る
ブラッドサーキュレーター
https://youtu.be/ad9O07zsqnY
そのあと、追い出されるギリギリまで会場に居座って、余韻を噛み締めながら会場を後にした。やっぱりこのフェス、この会場が他の何よりも好きだし、自分はこの4日間のために生きていると心から言える。
最初にここにきた2004年の時、漠然と「ずっとこのフェスに来れたらいいな」と思っていた。それから10年以上経って、やはり自分はずっとこのフェスに毎年来ている。そしてこれからもそうやって生きていきたいと思っている。
参加したみなさん、携わったスタッフの方々、お疲れ様でした。そして何よりもありがとう、ひたちなか。今年も本当に楽しかった。また来年絶対来るよ。
Next→ 8/17 銀杏BOYZ @中野サンプラザ


10:30~ グッドモーニングアメリカ [LAKE STAGE]
そんな気持ちを、作り手側の前説の山崎洋一郎も感じているらしく、ややセンチメンタルかつエモい感じになっていたらしいが、その気持ちを吹き飛ばすようにステージに登場したのは、シン・ゴジラならぬタナシン・ゴジラ。しかもゴジラのテーマに自分で歌詞をつけている(歌は下手だが)。
ゴジラの着ぐるみを脱ぐと、おなじみのファイヤーコールで大歓声を浴びながら、
「SMAPの解散が本当に悲しい。俺は1日でも長くバンドを続けたい!」
と、こうして自分たちのライブに来てくれる人や応援してくれる人を悲しい気持ちにさせたくないという、たなしんらしい気遣いの心を見せ、他のメンバーもステージに登場すると、実に言いにくいタイトルの連呼パートで手拍子が起こる「コピペ」からスタート。青空に突き刺さるように金廣のハイトーンボイスはこの日もよく伸びている
「キャッチアンドリリース」で踊らせると、最新曲「ジェットコースター」を特になんのフリもなしに披露。タイトル通りにいきなりラウドっぽくなったりと展開が多い曲だが、歌詞は日常に寄り添ったタイプのもので、近年のこうしたタイプの曲の中でも1つ1つの描写の細かさは随一と言える。
四つ打ち系バンドと見られることも多いこのバンドだが、実際にはメロコアからの影響が実に強いために、このパンクバンドの主戦場ともいうべきレイクステージ(しかも次にこのステージに出るのは高校の同級生であるTOTALFAT)が実によく似合うし、実際に「空ばかり見てた」はあらゆる意味でこの青空の下でのこのステージがよく似合う。
「メジャーデビューしてからは毎年このフェスに出させてもらってるんだけど、あと何回このステージに立てるかなって昨日とかに考えてて。ずっと出させてもらったとしても、80歳までバンドやってたとしても50回くらい。そう考えると、一回一回が本当に愛おしくなる。
でも先のことばっかり考えてもしょうがない。みんなも今日くらいは、今この瞬間を楽しんでください」
と金廣が言い(しかも珍しくタナシン・ゴジラを褒めてた)、フェスでやるのは実に珍しい、青春性の強い「そして今宵は語り合おう」から、ラストは「未来へのスパイラル」で大合唱を巻き起こした。
仲間や後輩が先にこのステージに立ってきたのをずっと見てきたこのバンドにとって、このLAKE STAGEは夢の場所だった。たなしんも「このステージに立てる喜びを噛み締めながら」と言っていたし。
しかし、このフェスにはまだもう1つ大きなステージがある。しかもそのステージには先にこのステージに立ってきた仲間たちもまだ立っていない。正直、グドモ自身も最初にSOUND OF FORESTに出演した時の期待感からするとかなりそこは遠くなってきてしまった感はあるが、GRASSにこのバンドが立つことができれば、かつてとは逆に、グドモが仲間のバンドに夢を見せられることになると思う。
1.コピペ
2.キャッチアンドリリース
3.ジェットコースター
4.空ばかり見てた
5.アブラカタブラ
6.そして今宵は語り合おう
7.未来へのスパイラル
ジェットコースター
https://youtu.be/xsz617o2v_0
11:05~ 忘れらんねえよ [SOUND OF FOREST]
もはやこのフェスでもおなじみの存在になりつつある、忘れらんねえよ。この日はLEGO BIG MORLのタナカヒロキがサポートギターで参加する4人編成。
しかし出てくるなり柴田が
「SMAP!」「ありがとう!」
というコール&レスポンスを繰り返し、解散を発表したSMAPへのリスペクトを表明してから、「ばかもののすべて」からスタート。やはりサポートギターがいることにより、サウンドは従来のスリーピースのものよりはるかに分厚くなっている。見た目的にはLEGOのメンバーが忘れらんねえよの中にいるのはかなり違和感があるが。
「君に届けを意識した」
という新曲は、内容的には忘れらんねえよ節炸裂の、情けない男の歌。しかしやはり柴田はこういう曲を書かせたら右に出るものはいないんじゃないかと思わせる。
フラワーカンパニーズの「真冬の盆踊り」のヨサホイヨサホイという踊りをしてからの「ばかばっか」(まるで踊ってた人たちがばかばっかであるかのように)を終えると、
「朝早くから来てくれてありがとうございます!俺は普段この時間家にいますよ。ずっと壁を見てる(笑)
そんな俺が今、この時間にこんな最高の景色を見れている!本当にありがとうございます!
でももうロッキン出るのは4回目なんだけど、前までは裏のバンドをぶっ倒してやるってずっと思ってたの。そしたら、なんでBUMPの裏なんですか!倒せるわけないじゃないですか!みたいな時もあったりして(笑)
でももう今はそういうのはいいんじゃないかって。こうやって見に来てくれる人が楽しんでくれたらそれだけでいい」
と素直な感謝の気持ちを語り、後半はバンドの名曲サイドの曲を連発した。
例えば「ばかばっか」では普段のライブハウスでは柴田が観客に運ばれながらビールを買いに行ったりという飛び道具的なパフォーマンスを行うことがある。しかしロッキンではそういうことはなかなかできない。だからこそ曲そのものの良さが本当に重要になる(キュウソはそこをクリアできているから、レイクが満員になる)のだが、こうしてひたすらに曲を連発しているライブを見ると、忘れらんねえよはやはりちゃんと良い曲を書いているバンドだというのが改めてわかる。
柴田は初出演時から「いつかGRASS STAGEに立ちたい」と言っていたが、まずはLAKE STAGEへ立つために、初のZeppワンマンは重要な試金石になる。
1.ばかものすべて
2.犬にしてくれ
3.俺よ届け (新曲)
4.ばかばっか
5.CからはじまるABC
6.バンドやろうぜ
7.この高鳴りをなんと呼ぶ
8.忘れらんねえよ
ばかばっか
https://youtu.be/msr34fOerMA
11:50~ NICO Touches the Walls [GRASS STAGE]
近年はずっとGRASS STAGEへの出演。もはやこのフェスを代表するバンドの一つになったと言っていい、NICO Touches the Walls。
サウンドチェックで光村がアコギを弾いていると、そのまま弾き語りのように「夏の大三角形」を歌う。改めてものすごい歌唱力。もはや松山千春かと思うレベル。
本番でメンバーが登場すると、対馬がモヒカンにサスペンダーみたいな出で立ちで、このステージに立っていた時代のBEAT CRUSADERSのマシータを彷彿とさせるような感じになっている。
1曲目は最新シングル「ストラト」。近年の曲の中では実にストレートなアレンジで光村の歌が生きるが、ライブでも派手なアレンジを加えたりはしていない。
続く「THE BUNGY」では坂倉がさらにグルーヴィーになったベースを聴かせるのだが、観客の手拍子が表拍ばかりになっていて、やはりワンマンと違ってフェスならではだと実感。かつてのフェスでは光村も「手拍子は裏拍でお願いします!」と言ったり、「THE BUNGYは裏拍で!」という横断幕を持ったファンもいたりしたが、近年は特にそこに対することは何もなくなっている。
と思っていると、「ホログラム」「Diver」という最近はあまりフェスではやらなくなっていたシングルヒット曲を連発し、大きな歓声が上がる。NICOは結構フェスでもアルバム曲をやりがちなバンドだが、こうしてシングル曲を連発すると、やはりフェスでしか見ないというような人でも、ちゃんと曲を知っているということがわかる。
そしてこの日が初披露となることを告げ、新曲の「マシ・マシ」へ。この前にやったシングル2曲と同じく、アニメのタイアップ曲だが、光村がゆっくりとした手拍子を煽ると曲中ずっとそのリズムの手拍子が続くという実にシンプルなリズムの曲。今のNICOはこういうモードということなのだろうか。
そこからは一転して目まぐるしく展開が変わる「天地ガエシ」でメンバーの演奏力の高さを見せつけ、間奏部分で光村のスキャットパートが入る「ニワカ雨ニモ負ケズ」では最後のサビ前に光村がタメにタメまくってかなりもったいつけてからサビに突入したことによって、さらなる熱狂を生み出した。
最後は「手をたたけ」でGRASS STAGE中に手拍子が発生し、結果的にはヒットシングル連発というNICOのど真ん中を見せつける内容のライブとなり、演奏を終えたメンバーはステージ前に並んで観客に一礼して、大歓声を浴びながらステージを去って行った。
かれこれこのフェスに出始めてから10年以上になるが、毎年確実に光村の歌唱力とメンバーの演奏力の進化を見せ、徐々に大きいステージへと歩みを進め、今ではGRASS STAGEに出て当たり前という存在にまでなった。同世代のバンドたちには「世代交代」という言葉もチラついてきているだけに、これからもロックシーンのど真ん中にしっかり居座るようなバンドでいて欲しい。
1.ストラト
2.THE BUNGY
3.ホログラム
4.Diver
5.マシ・マシ
6.天地ガエシ
7.ニワカ雨ニモ負ケズ
8.手をたたけ
ストラト
https://youtu.be/uPLIiXgmBRI
12:50~ THE BAWDIES [LAKE STAGE]
去年に続いてのLAKE STAGE出演となる、THE BAWDIES。去年は倒れるんじゃないかと心配するくらいの暑さの中でもスーツを着て演奏していたが、今年はそこまでの暑さではないだけに、水色のスーツが爽やかに見える。
おなじみウィルソン・ピケット「ダンス天国」のSEで登場し、いきなりの「IT'S TOO LATE」でスタートすると、ROYの超ロングシャウトに凄まじい歓声が上がる。初めて見る人には衝撃的だろう。涼しい気候を熱く燃え上がらせるようなロックンロールを連発。go!go!vanillasとのスプリットシングル収録の「45s」も荒々しいガレージロック。
「お祭りの打ち上げ花火のような男たち、我々THE BAWDIESです!」
というROYの挨拶の後は、「みなさんに光が射しますように!」という「SUNSHINE」で合唱を巻き起こし、フェスでは珍しくなったTAXMANボーカルの「B.P.B」のあと、
「今日は競泳のメダリスト3人に来てもらってます」
というROYのインタビュアー風の小芝居が始まり、銅メダルのJIM、銀メダルのMARCY、金メダルのTAXMANにそれぞれ強さの秘訣は?と尋ねると、
JIM「朝にパンを食べてたからです」
MARCY「朝にソーセージを食べてたからです」
TAXMAN「パンにソーセージを挟んで食べてたからです」
と答え、当然のように「HOT DOG」へ突入し、さらにはフェスでおなじみとなっているメドレーで飛び跳ねさせまくり、ラスト「NO WAY」ではアウトロでJIMのギターが唸りを上げまくるセッションまで展開。
演奏が終わるとTAXMANのわっしょいも行われ、今年も最高に熱いロックンロールをこのステージで炸裂させた。
かつて初出演時は今はなき最も小さいステージだったSeaside STAGE。そこからPARK、LAKEと一段飛ばしで出世し、GRASSにも到達した。今となってはGRASS復帰はかなり難しい状態になってしまったが、それでもライブを見るとやっぱり毎年最高のライブを見せてくれるバンドなだけに、セトリがほとんど変わらなくてもずっと出続けていて欲しい。
1.IT'S TOO LATE
2.SING YOUR SONG
3.45s
4.JUST BE COOL
5.SUNSHINE
6.B.P.B
7.HOT DOG
8.メドレー (YOU GOTTA DANCE ~ YEAH ~ LEAVE YOUR TROUBLES ~ YOU GOTTA DANCE)
9.NO WAY
45s
https://youtu.be/pJsgdKES6Cs
13:30~ ヤバイTシャツ屋さん [WING TENT]
もはや開演前からテントの中はもちろん、外まで人が溢れ、あまりにも見えない人が多いために関係者用の通路まで開放する、という異常過ぎるほどのキャパオーバーした観客を前に時間前からメンバー3人が登場し、自作の地図を使って歌詞に出てくる地元大阪の地名などを事細かに説明(「ここは東京でいうと池袋くらいの都市」「この大学は東京でいうと日東駒専くらいのレベル」など)していたのは、今急速に人気を拡大している、ヤバイTシャツ屋さん。もちろんTシャツ屋ではなく、スリーピースバンド。
一度聴いたら忘れられないインパクトの強い歌詞とキャッチーなメロディを備え、「Go to RIZAP!!」というフレーズが頭に残りすぎる「Tank-top of the world」から客席はとんでもない盛り上がりを見せる。これだけたくさんの人がいて、出てきたばかりの注目バンドだと「どんなもんだろ?」という様子見的に集まってる人も多くなりがちだが、みんな完全にこのバンドとこのバンドの曲をちゃんと知っている。(全国流通盤はシングル1枚くらいしか出ていないのにもかかわらず)
こやま(ボーカル&ギター)としばた(ベース&ボーカル)の男女混成ボーカルがよりキャッチーさを際立たせる地元のことを歌っただけの曲「喜志駅周辺なんもない」では、曲中のコール&レスポンスのパートで、
「ロッキンの照明超かっけー!」
「ロッキンの音響いい感じ!」
「ロッキンのスタッフマジ優しい!」
など、フェスに媚びまくったコール&レスポンスをこやまが展開し、もりもりもと(ドラム)に「媚びすぎや!」と突っ込まれる。こやまいわく「来年も呼んでもらうため」とのこと。
こやま「Perfumeです!かしゆかです!」
しばた「かしゆかです!」
もり「…か、かしゆかです!」
こやま「いやー、僕らも中田ヤスタカプロデュースバンドとしてこうしてこのフェスに出れて嬉しいです!」
こやま「これからも5人一体となって頑張っていこうと…」
もり「あと2人誰が見えてんねん!」
こやま「よくバンドマンが行けるかー!ってMCで言うやん?あれってどこに行こうとしてるんやろね?」
しばた「GRASS STAGEちゃう?」
など、嘘しか言わないMCも芸人なみに面白い。(ちなみに公式HPも嘘情報ばかりしか書いておらず、シングルがランクインした際にその情報を間に受けたCDTVのスタッフが「3人組テクノポップユニット」と、明らかにPerfumeと間違えてるようなテロップを出していた)
いじる対象をひたすら細かく描写する(ただ面白いだけでなく、この観察眼と語彙力は素晴らしいものがある)「ウェイウェイ大学生」、「メロコアバンドのアルバムの3曲目ぐらいによく収録されている感じの曲」と、一回聴いただけで頭の中に入ってしまうくらいにひたすらにキャッチーな曲が続くと、しばたの「ロッキン」でのあいうえお作文もあり、
「こうしてここに立てているのはみんなのおかげです。ありがとうございます。バンドをやっていて本当に良かったです」
と、こやまがいきなりらしくないことを言い始め、
「聴いてください、夢を諦めない」
と言って演奏を始めるも、もりが「そんな曲あるかー!」と突っ込んでそんな曲がないことが明らかになると、ラストはこのバンドのことを一躍知らしめた「あつまれ!パーティーピーポー」で集まった全ての人をパリピと化してしまい、衝撃的なロッキンデビューを果たした。
音楽性こそ違えど、関西のバンドでこの歌詞のスタイルと「DQN」などの単語を使っているという点から、紛れもなくキュウソネコカミ以降のバンドと言える存在だが、この勢いと熱狂ぶりはキュウソサイドも取って代わられると怯えるほどかもしれない。もう来年はキュウソと同じステージに立っていたとしても全く不思議ではない。
1.Tank-top of the world
2.喜志駅周辺なんもない
3.ネコ飼いたい
4.ウェイウェイ大学生
5.メロコアバンドのアルバムの3曲目ぐらいによく収録されている感じの曲
6.あつまれ!パーティーピーポー
あつまれ!パーティーピーポー
https://youtu.be/5BKqfAZYGrA
14:05~ 黒木渚 [BUZZ STAGE]
実は夏は初出演となる黒木渚。BUZZ STAGEへの登場である。ドラム・マシータ(ex.BEAT CRUSADERS。忘れらんねえよとのダブルヘッダー)、ベース・宮川トモユキ(髭)、ギター・井手上誠、キーボード・多畠幸良という最近おなじみのサポートメンバーに続いて、爽やかな青い衣装を着た、黒木渚がステージに登場。
ギターを背負うと1曲目は「虎視眈々と淡々と」。屋根があるステージではあるが、黒木渚のボーカルは青空に向かってどこまでも伸びていくかのよう。楽曲こそキャッチーだが、彼女をロックディーヴァたらしめているのは、凄腕メンバーによるバンドの演奏。ましてやBEAT CRUSADERSのドラムと髭のベースがリズム隊として同じステージに立っているとは、かつてこのフェスにそれぞれのバンドで出演していた時は全く想像できなかった。
ギターを弾かずにタイトルのフレーズでポーズを決める「大予言」、多畠のキーボードが美しいメロディを際立たせるバラード曲「アーモンド」と続くと、初出演ということで、先週は髭としてこのBUZZ STAGEに立った宮川にロッキンのことについて聞いたところ、
「舐めてたら死ぬくらいの暑さ」
というアドバイスをもらったらしいが、この日は実に涼しかったため、
「昨日出演した北海道のライジングサンより涼しい」
とのこと。よくよく考えるとすごいスケジュールであるが。
「チクショー チクショー ふざけんな」
というフレーズを観客はおろか、バンドメンバーの宮川にもコール&レスポンスさせる(宮川がマイクを通して言葉を発するのは実に珍しい)、「ふざけんな世界、ふざけろよ」から、まだソロになる前、スリーピースバンド時代から黒木渚の根幹を担ってきた曲といえる「骨」をこの時間、このステージに集まってくれた人たちに捧げるようにして歌い、待ちわびたロッキンでのデビュー戦を終えた。
音楽性やアルバム、ワンマンライブで見せているポテンシャルからすると、このステージよりもSOUND OF FORESTの方が似合うのは間違いないが、この日はそこを埋められるほどの集客とは言い難かった。もともとBUZZ STAGE自体がなかなか位置やタイムテーブル的にも集客しづらいステージというのもあるだろうが。
しかし、常々武道館ワンマンを目標にしているだけに、もう大型フェスで小さいステージに出るという立ち位置は卒業しなければならない。
と思っていたら、喉の不調により、ビルボード東京でのワンマンライブが中止になったという情報が飛び込んできた。不調という感じはこの日一切しなかっただけに衝撃。果たして大丈夫なのだろうか。
1.虎視眈々と淡々と
2.大予言
3.アーモンド
4.ふざけんな世界、ふざけろよ
5.骨
ふざけんな世界、ふざけろよ
https://youtu.be/EaZRu-sCIh8
15:10~ lovefilm [HILLSIDE STAGE]
去年まではthe telephonesとして出演していた、石毛とノブが新バンド、lovefilmを結成してこのフェスに初出演。
当然、江夏詩織(ボーカル&ギター)と高橋昌志(ドラム)はこのフェスのステージに立つのは初めてである。
江夏はさすがにモデルとして活動しているだけはあり、頭にサングラスを乗せたお洒落な出で立ちで、石毛とのツインボーカルの「Alien」からスタート。石毛と江夏がそれぞれに歌い、サビで2人の声が重なるところで起こるマジック。石毛の師匠であるナカコーがやっていた、SUPERCARの「Lucky」を彷彿とさせる。
パンキッシュな「Honey Bee」、江夏のボーカルと幻想的なサウンドが心地いい「Kiss」と、telephonesとは全く異なるサウンドをこのフェスでも響かせる。
すると石毛が「このバンドにひたちなか出身のメンバーがいるんですよ」と告げると、江夏が元気よく「はい!」と手を挙げる。地元で開催されているフェスに出演できるということで実に嬉しそうな江夏は、「Don't Cry」で
「ロッキンジャパン最高ー!」
と叫ぶ。いつもよりもノブがおとなしかったというのもあるが、明らかにこの日1番バンドで目立っていたのは江夏だった。
1stフルアルバムがリリースされたばかりというタイミングにもかかわらず披露された新曲は、別れの切なさを感じさせるような歌詞の曲。このペースで早くも新曲ができているということは、11月の初ワンマンではアルバムの曲はもちろん、もっとたくさんの曲が聴けるのかもしれない。
そしてラストは「Goodbye,Goodnight」で石毛のギターが残響を残す中でメンバーはステージを去って行った。
このフェスにおいても、the telephonesは数々の素晴らしい瞬間を作り、本当に愛されてきた存在のバンドだったし、telephonesはフェスには欠かせないバンドだった。
そのtelephonesを休止させてまで始めたこの新バンド、lovefilm。女性ボーカルと青春性の強い日本語歌詞という、telephonesにはなかった新たな武器を手に、石毛とノブのこのフェスでの新たな物語が幕を開けた。願わくば、終わることなくこの物語を見続けていたい。
1.Alien
2.Honey Bee
3.Kiss
4.Don't Cry
5.新曲
6.Goodbye,Goodnight
Kiss
https://youtu.be/YsopBGIO2Bg
15:50~ WANIMA [GRASS STAGE]
本来はこの時間、このステージにはSuperflyが久しぶりに出演するはずだった。しかしながら越智志帆の喉の不調により今年のフェス出演を全てキャンセルしたことにより、WANIMAがLAKE STAGEから昇格する形でこの時間にGRASS STAGEに立つことになった。わずか2年でのGRASS STAGEへの出演という快挙である。
おなじみスキャットマンジョンのSEでメンバーが登場すると、手拍子がどんどん広がりを見せ、GRASS STAGE中を包み込んでしまう。それくらいの期待度。
「どう考えても、日本で1番ROCK IN JAPANが好きー!PIZZA OF DEATHから来ました、WANIMAでーす!」
とKENTAが挨拶すると、「THANX」からスタートするのだが、もう完全に全曲大合唱ができる、「みんなの歌」と化している。
「みなさん、残暑見舞い申し上げまーす!」
といきなり普段ほとんど喋らないKO-SHINが大声で挨拶すると、「いいから」というエロい曲ですらもこのGRASS STAGEのアンセムと化してしまう。かと思えば、
「遠いところに行ってしまった、漁師のじいちゃんに届きますように!」
と言ってから歌い始めた「1106」では思わずウルっときてしまう。笑えて泣けるというWANIMAのライブの真骨頂である。
リリースされたばかりの最新シングル収録曲「オドルヨル」は夏フェスにぴったりな踊れるパンクナンバー。そしてKENTAの呼びかけで客席一面にウェーブを起こすと、恒例となっている、FUJIの長渕剛のモノマネコーナーでは、長渕剛の声で西野カナの「トリセツ」を歌うという新機軸。しかも歌詞の口調をいかにも長渕剛のように変えて歌うというクオリティの高さを見せる。バンドが成長すると同時に、無駄にこのコーナーも成長を遂げてきている。
「去年のロッキンのテーマソング!」
と言って演奏された「BIG UP」から凄まじい大合唱が起こった「Hey Lady」という初期曲の流れに。そして最後に演奏されたのは、最新シングルとしてミュージックステーションでも披露された「ともに」で
「生きていれば…命さえあれば…」
というフレーズが否が応でも彼らの地元である熊本で起きた震災を思い起こさせ、青春性の強い曲の中で感動を生み出してみせた。
もはや当初の予定通りのLAKE STAGEだったら入場規制という騒ぎどころではないくらいに、GRASS STAGEもこの日屈指の客入りぶりだった。
前日にKen YokoyamaがGRASS STAGEに立ったが、若いパンクバンドがこうしてGRASS STAGEに立つという姿をずっと待っていた。そしてそれを叶えたのがWANIMAだった。それは去年SOUND OF FORESTに出演した時からこのステージに立つ姿は見えていたが、今はもはや近い将来このステージでトリを務める姿すら見えている。パンクの夢を一身に背負って、これからもWANIMAの快進撃は間違いなく続いていく。きっと将来、日本のロックの歴史の中でも最も重要な存在のバンドになるはず。
1.THANX
2.夏の面影
3.いいから
4.リベンジ
5.1106
6.オドルヨル
7.TRACE
8.BIG UP
9.Hey Lady
10.ともに
ともに
https://youtu.be/qag4ewos4TE
17:30~ サンボマスター [LAKE STAGE]
近年はこのLAKE STAGEがおなじみになりつつある、サンボマスター。今年は最終日のトリ前という位置、しかもONE OK ROCKの裏という時間での出演である。
おなじみゴダイゴ「MONKEY MAGIC」のSEで登場したメンバーは、オリンピックの選手のジャージを着て登場。ご丁寧に草の輪っかまでをも頭に装着している。
「金メダルどころか、世界新、いやロックの宇宙新記録を出しましょう!」
と、オリンピックネタなのは4年前と同じ。しかしながら当時は「金メダル」だっただけに、さらにハードルは上がっている。
「ミラクルをキミと起こしたいんです」でスタートすると、
「あれ?みなさんは宇宙新記録を出さない協会の人たちですか?もっと行けるでしょー!」
と山口が観客を煽りまくる。
フェスではかなり長い尺じゃないと演奏されない「光のロック」で疾走すると、
「俺はあんたらに愛してるって言いてえの。そしたらあんたらにも愛してるって言って欲しいわけ」
とひたすらに言葉を並べて「愛してる 愛してほしい」から「可能性」と、曲自体も非常に熱いが、山口の言葉がさらに客席を熱くさせていく。
「できっこないをやらなくちゃ」で早くもクライマックスのような盛り上がりを見せる中、
「聖火ランナーが来てくれてます!」
と山口が紹介して、聖火を持って登場したのは、MONGOL800のキヨサク。山口になぜか英語で語りかけると、愛と平和の使者がステージに現れたということで、キヨサクを加えての「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」。キヨサクがサンボマスターの曲を歌うというだけで特別感しかないが、そのキヨサクとともにここにいるみんなが「愛と平和!」と叫び、この日このステージでしかない光景を作り上げる。
そして最後は
「音楽を好きでいてくれてありがとう」
という山口の言葉に思わず感動してしまってからの「ロックンロールイズノットデッド」。
サンボマスターがいる限り、ロックは絶対に死なないと思わせるくらいの熱さ。
そしてONE OK ROCKの裏にもかかわらず、入場規制ギリギリまで人が入るという状況。毎年やる曲はほとんど変わらない。(「世界を変えさせておくれよ」の代わりに「光のロック」をやったくらい)だが、普通のバンドなら飽きてしまうような選曲であるにもかかわらず、飽きるどこれかもっと見ていたいと思わせるというのは、このバンドこそがロックンロールの宇宙記録保持者だから。
1.ミラクルをキミとおこしたいんです
2.光のロック
3.愛してる 愛してほしい
4.可能性
5.できっこないをやらなくちゃ
6.世界はそれを愛と呼ぶんだぜ feat.キヨサク(MONGOL800)
7.ロックンロールイズノットデッド
ミラクルをキミとおこしたいんです
https://youtu.be/5yEA5K1TFw8
18:30~ ASIAN KUNG-FU GENERATION [GRASS STAGE]
暗くなってきた空の中、このフェスが終わっていくことに寂しさを感じながら、大トリとして登場するのはアジカン。
シモリョーを含めた5人が登場すると、バンドのセッション的な演奏から始まったのは「Re:Re:」。今年シングルとして再リリースされた曲だが、近年のライブアレンジを音源として再録したという感じが強い。
「君じゃないとさ」
のフレーズは、聴いている我々にとってはこのステージの大トリはやっぱり君(=アジカン)じゃないとさ、という意味に響く。
すると「振動覚」からだいぶダビーなアレンジになった曲間でコール&レスポンスを起こす「リライト」という流れには、「もしかして今日のライブは「ソルファ」を軸にしたものになるのか!?」と思わずにはいられなかったが、「ソラニン」から最新シングル「ブラッドサーキュレーター」と続いたことにより、そうした内容ではなく、このステージの最後を飾るのに相応しい、ビッグヒット曲で構成されたものになるんだな、ということがわかる。
ゴッチはこういう舞台だからか、いつもよりもMC、挨拶はかなり控えめで、ひたすら曲を連発していくというスタイル。
分厚いロックサウンドの「Easter」から、最近のフェスではやる機会が少なくなってきていた「サイレン」、イントロをライブアレンジさせた「ブルートレイン」とヒットシングルを出し惜しみなく連発。あくまでもみんなのアジカンという雰囲気を壊さないようにしている。
ゴッチはMCで
「こうして昔の曲を演奏していると、客が友達しかいなかった学生時代とかを思い出す」
と言っていたが、自分はそうした曲を聴いていて、2004年に初めてこのフェスでアジカンのライブを見たことを思い出していた。(アジカン自身もこのフェス初出演がその年だった)
あの頃はまだ若手ギターロックバンドの中ではトップクラスの勢いを誇るバンドという立ち位置だったが(「リライト」がリリースされた週だった)、そのバンドが10年以上経って、このさらに大きくなったステージで大トリを務めているのを見ていると、思わず感慨深くなってしまう。
そしててっきりアンコールでやるものだと予想していた「遥か彼方」から四つ打ちリズムのダンスチューン「君という花」と代表曲の連発はとどまることを知らず、
「らっせーらっせー!」
の大合唱が響き渡る。
「昔、この雑誌に載り始めた頃は、こいつらなんかロックじゃねぇって言われてたんだぜ(笑)笑っちゃうよな。
でも、ひたすらまっすぐに音を鳴らしてれば絶対届くんだって。これからもその気持ちを忘れずにやっていきたいと思います」
とゴッチが真摯に語ると、「今を生きて」から、最後に演奏されたのは、このフェスでも何度もクライマックスを任されてきた、
「できれば世界を僕は塗り替えたい」
というフレーズで始まる「転がる岩、君に朝が降る」。ゴッチの真摯なMCと同様に曲のストレートなメッセージが響く中、ゴッチがギターをいじりながらステージに残響を残すと、5人が肩を組んでから一礼してステージを去り、すぐさまステージ裏からは花火が上がり、この日はアンコールがないことを悟った。
こうしてキャリア横断的なセトリのライブを見ると、紛れもなく自分はアジカンとともにこの10年以上を生きてきたんだと思わされる。
それはアジカンが一度も止まったり、メンバーが変わることもなくここまで続いてきたバンドだから。そして自分たちで大規模なフェスをやったりして、聴く音楽に広がりを与えてくれたのもアジカンだった。
裏が米津玄師なだけに、引き裂かれそうなタイムテーブルだったが、やっぱりアジカンで締めることができて良かった。これからお互いさらにおっさんになっていくけど、どうか死ぬまでよろしく。
1.Re:Re:
2.振動覚
3.リライト
4.ソラニン
5.ブラッドサーキュレーター
6.Easter
7.サイレン
8.ブルートレイン
9.遥か彼方
10.君という花
11.今を生きて
12.転がる岩、君に朝が降る
ブラッドサーキュレーター
https://youtu.be/ad9O07zsqnY
そのあと、追い出されるギリギリまで会場に居座って、余韻を噛み締めながら会場を後にした。やっぱりこのフェス、この会場が他の何よりも好きだし、自分はこの4日間のために生きていると心から言える。
最初にここにきた2004年の時、漠然と「ずっとこのフェスに来れたらいいな」と思っていた。それから10年以上経って、やはり自分はずっとこのフェスに毎年来ている。そしてこれからもそうやって生きていきたいと思っている。
参加したみなさん、携わったスタッフの方々、お疲れ様でした。そして何よりもありがとう、ひたちなか。今年も本当に楽しかった。また来年絶対来るよ。
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