グッドモーニングアメリカ TOUR2016 @新木場STUDIO COAST 4/24
- 2016/04/25
- 00:02
昨年はバンド初の日本武道館でのワンマンライブを行った、グッドモーニングアメリカ。その武道館ワンマンの後にはセルフタイトルとなるメジャー3rdフルアルバムをリリース。年明けて2月から始まったワンマンツアーのファイナルがこの日の新木場STUDIO COAST。武道館は行けなかったので、ワンマンを見るのはその前の、「inトーキョーシティー」リリースツアーのZepp Tokyo以来。
ステージにはすでにバンドロゴのバックドロップがそびえ、その前には階段を使わないと上がれないくらいに高いドラムセットが組まれているのはこのバンドならでは。会場内を流れているBGMもグドモの過去の曲たち。
18時を過ぎると、場内が暗転し、おなじみのたなしん(ベース)の影アナが始まり、本人は客席最後方から観客をかき分けてステージへ。影アナの内容は懐かしの「ウルトラクイズ」そのもので、「アメリカに行きたいかー!」というキメ台詞も何度も叫ぶ。
ステージにたどり着くと、男性と女性の観客を1人ずつ連れている。2人も何がなんだかわからないままステージに上がると、ウルトラクイズということで、いきなり
「たなしんの母親の名前は?」
という超難易度の高いクイズが出題される。当然ステージに上げられた2人は正解できるわけもなく、回答は会場の2階席に来ていた、たなしんの母親ことミチコ本人によって発表されると、正解者へのプレゼントとして、たなしんからミチコへ花束が客席を通して渡され、さらにたなしんが母親への感謝の気持ちをしたためた手紙を読むという、このバンドのライブのオープニングとは思えないくらいに感動的な光景が。
たなしんがいったんステージからはけると、渡邊(ギター)、ペギ(ドラム)に続いて再登場したたなしんは先ほどのウルトラクイズ風の衣装を脱ぎ捨て、上半身裸といういつものスタイルに。最後に登場した金廣(ボーカル&ギター)は白い衣装に身を包んでいる。
オープニングの少し感傷的な空気を切り裂くように、1曲目はアルバムのオープニングナンバーである「ディスポップサバイバー」からスタート。ペギのドラムがこれまでよりもさらに力強さを増し、たなしんのベースも音が確実に重くなっている。そんな確かなパワーアップを遂げたリズム隊の上を、金廣の、一聴しただけでこの男のものでしかないとわかるくらい特徴的なハイトーンボーカルが伸びやかに響く。
「キャッチアンドリリース」「境界を越えて」では観客がコーラスを大合唱し、みんなで楽しむグドモのライブの温かい空気が出来上がっていくと同時に、客席最前ブロックではダイバーが続出しているというのは、四つ打ちの踊れる曲も多いが、あくまで出自をメロコアに置くこのバンドだからこそ。
最新アルバムからの「アウトサイダー」で渡邊のギターがハードなサウンドを奏でると、サビで手拍子が響く、サビの言葉遊びの歌詞が楽しい「コピペ」、この会場にいるすべての人に対して歌っているかのような「言葉にならない」とテンポ良く、序盤からキラーチューンを次々に演奏していくと、ギター渡邊の挨拶。実にテンションが高いのはツアーファイナルだからというのもあるだろうが、ここまで気合いが入っている(「っしゃおらぁ!」と気合いの入った言葉まで発する)姿はなかなか見れない。
「ハロー ハローハロー 今を楽しく生きれてますか?」「今の僕宛の歌」
と、これまでに数々の苦難に直面してきたバンド自身に向けた歌詞が観客1人1人への応援歌のように響いた「ハローハローハロー」から、四つ打ちでもツービートでもない、跳ねるようなリズムでも観客を踊らせ、サビ終わりの「心配ないさ!」のフレーズを大合唱させた「雨ニモ風ニモ負ケズ」、大型タイアップでこのバンドの存在をお茶の間にも轟かせた「拝啓、ツラツストラ」と、どの曲もアッパーでありながらも曲の構造は全く違う曲が続くと、ここでこの日数少ないミドルテンポのラブソング「雨の日」。金廣はこのバンドが雨バンドになりつつあることを気にしていたが、それを含めてのこの曲の選曲だったのだろうか。(この日は曇ってこそいたが、雨は降っていなかった)
テンションの上がりきったたなしんがいきなり客席にダイブしてから、妙に喋りの細かい部分が上手くなっているのを感じさせるおなじみの「ファイヤー!」コールを経ると、「ウォールペーパーミュージックでは踊りたくないぜ」でミラーボールが回り出し、金廣がハンドマイク&ボーカルエフェクトで歌う、EDM的な要素も感じさせる「ビッグバン」とタイプの違う新旧のダンスチューンで踊らせると、
「このツアーで1回もやっていない曲を」
と言って演奏されたのは、メジャー1stアルバム収録の「ロールプレイングゲーム」。これはかなり意表を付く選曲。
打ち込みも使った狂騒的ダンスチューン「アブラカタブラ」を終えると、武道館公演を経たこと、それにより悩んだこともあり、バンドについたレッテルを剥がしていこうとばかりに、「突破していこう」で突き抜けると、「低気圧の夜」ではそこまで激しい曲ではないが、ペギのドラムはさらに力強さを増し、観客がサビのフレーズに合わせて掲げた指の数を変えるのが楽しい「イチ、ニッ、サンでジャンプ」を終えると、金廣が今後も着いてきて欲しいという旨の内容のMCをしたあと、
「毎年、何日間か一緒に遊びに行く友達グループが熊本にいて。2ヶ月前にツアーで行った時は、こういう状況になるなんて全然想像してなくて。その時はみんなで飲みに行ったりしたんだけど」
と、熊本の震災について触れると、その友人たちを始めとして、震災の被害に遭った人すべてを勇気付けるようにして「友よ」を歌う。
「変わりゆく街並みに 少し泣きそうだよ」
「せめて僕の近くにいた 人々の願う幸せを」
と、震災前に作られたにもかかわらず、まるでこうなることを予期してしまったような歌詞が並ぶこの曲。5年前の東日本大震災の時は、
「瓦礫の中で 夢を見ていた」
というフレーズから始まるthe HIATUSの「西門の眛爽」がやはり震災前に作られたにもかかわらず、震災を予期していたように、震災後のライブ会場を勇気付けるように響いていた。
得てして、音楽にはそういうことが起こる。それが曲にまた新たな意味を与え、それまでとは全く違うように響く。きっと、これからこの曲は今まで以上にグドモにとって大事な曲になっていくはず。
クライマックスは金廣が観客に預けるまでもなく大合唱が起こった「空ばかり見てた」、軽快なリズムと手拍子の上にシリアスなメッセージが乗る「inトーキョーシティー」と続くと、最後に演奏されたのは、アルバムのラストを飾る「一陽来復」。
激しい曲でも、踊れる曲でもないが、かといって完全に聴き入るような曲でもなく、ただただメロディの強い、ここからのバンドの新たな物語の始まりを感じさせる曲。むしろこれからはこういうタイプの曲がバンドの最も強い武器になっていくのかもしれない、という予感も感じる。
アンコールでたなしんを先頭に賑々しくメンバーがステージに現れると、ツアーファイナルといえば重大発表ということで、11/5にバンドの地元である八王子のアリーナで主催フェスを開催することを発表。まだ出演者はわからないが、これまでにも「あ、良いライブここにあります。」という主催イベントで数々のバンドをシーンに送り出してきたバンドなだけに、初の主催フェス、しかもかなり大規模なものということには期待が高まる。
するとバンドのライブに来てた人同士で結婚した人がいるということを紹介し、バンド初期からずっとライブを見に来てくれていたその2人に捧げるように、かつてのバンド名であり、明らかに結婚する相手に向けられた歌詞の「for better,for worse」を演奏。ツアー各地ではこの曲順はリクエストだったらしいが、この日はこの曲しかない、ということ。確かに、このエピソードを聞いた上ではもうこの曲以外に考えられない。
そしてツアーの締めくくりとして演奏されたのは、歌い出しから金廣が観客にボーカルを委ね、「みんなで歌えて楽しめるライブ」というのを最後まで実証するかのような大合唱が起きた「未来へのスパイラル」で終了。最後の大サビ前には壁のように並んだダイバーが次々に人の上を泳いでいき、演奏を終えたメンバーは笑顔を浮かべながら、深々と長いお辞儀をしてからステージを去って行った。
しかし、武道館がソールドアウトしなかったのはともかく、この日も満員だったとはいえ、チケットは一般発売期間中でも普通に売っていた。「未来へのスパイラル」からその後のシングル期までは、時代の追い風を受けまくっているバンドの筆頭として、いずれはアリーナクラスでワンマンをやるんじゃないかと思わせるような勢いを見せていた。
しかし、近年はその勢いが落ち着いてきてしまっているように感じる。決してこのキャパでも小さいということはないが、武道館がソールドアウトせずに悔しい思いをし、金廣はこの日も「もっと大きなところでもライブをやりたい」と語っていただけに、このまま縮小していくわけにはいかない。
で、その停滞のきっかけになったのは、「inトーキョーシティー」だと思う。決して良くなかったアルバムではないが、当時渡邊がよくライブで口にしていた、「開いていく、届けていく」というバンドの活動理念とは距離があったように感じるアルバムだったし、武道館前のインタビューでたなしんが、
「俺はあのアルバムは売れないって思ったんですよ。でも、音楽面での貢献が少なかったから、自分の意見を言うことができなかった」
と語ったように、メンバー全員の意志が統一されていたとも言えなかった。
だからこそ「グッドモーニングアメリカ」と今回のツアーはある意味で原点回帰的な内容になったのだと思われるが、一度落ち着いてしまった勢いを再び上昇気流に乗せるのは本当に難しい。それは先輩バンドたちが証明しているし、後からデビューした後輩バンドたちもどんどんこのキャパでは収まらない存在になってきている。
それだけに、ここから再びバンドが上昇気流に乗っていくためには、たなしんのベーシストとしてのさらなる技術の向上と、それに伴ってメンバー4人が対等な立場で意見交換ができるようになることが重要になる。
こう書くと、たなしんが足を引っ張っているようになってしまうが、それは全く逆で、たなしんのキャラクターがなければ、バンドはここまで来ることは絶対にできなかった。だからこそ、そうやってバンドに最大限貢献してきたたなしんならそれができると思っているし、主催フェスを大規模なままで続けていくためには、グドモ自体がその大規模なステージに見合う存在であり続けなければならない。
バンドがいつかまた武道館や、さらに広いステージに立って、メンバーとファンがその喜びを共有できる日を期待して待っている。
1.ディスポップサバイバー
2.キャッチアンドリリース
3.境界を越えて
4.アウトサイダー
5.コピペ
6.言葉にならない
7.ハローハローハロー
8.雨ニモ風ニモ負ケズ
9.拝啓、ツラツストラ
10.雨の日
11.ウォールペーパーミュージックじゃ踊りたくないぜ
12.ビッグバン
13.ロールプレイングゲーム
14.アブラカタブラ
15.突破していこう
16.低気圧の夜
17.イチ、ニッ、サンでジャンプ
18.友よ
19.空ばかり見てた
20.inトーキョーシティー
21.一陽来復
encore
22.for better,for worse
23.未来へのスパイラル
友よ
http://youtu.be/INf1Nb76S10
Next→ 4/30 Base Ball Bear @日比谷野外大音楽堂
ステージにはすでにバンドロゴのバックドロップがそびえ、その前には階段を使わないと上がれないくらいに高いドラムセットが組まれているのはこのバンドならでは。会場内を流れているBGMもグドモの過去の曲たち。
18時を過ぎると、場内が暗転し、おなじみのたなしん(ベース)の影アナが始まり、本人は客席最後方から観客をかき分けてステージへ。影アナの内容は懐かしの「ウルトラクイズ」そのもので、「アメリカに行きたいかー!」というキメ台詞も何度も叫ぶ。
ステージにたどり着くと、男性と女性の観客を1人ずつ連れている。2人も何がなんだかわからないままステージに上がると、ウルトラクイズということで、いきなり
「たなしんの母親の名前は?」
という超難易度の高いクイズが出題される。当然ステージに上げられた2人は正解できるわけもなく、回答は会場の2階席に来ていた、たなしんの母親ことミチコ本人によって発表されると、正解者へのプレゼントとして、たなしんからミチコへ花束が客席を通して渡され、さらにたなしんが母親への感謝の気持ちをしたためた手紙を読むという、このバンドのライブのオープニングとは思えないくらいに感動的な光景が。
たなしんがいったんステージからはけると、渡邊(ギター)、ペギ(ドラム)に続いて再登場したたなしんは先ほどのウルトラクイズ風の衣装を脱ぎ捨て、上半身裸といういつものスタイルに。最後に登場した金廣(ボーカル&ギター)は白い衣装に身を包んでいる。
オープニングの少し感傷的な空気を切り裂くように、1曲目はアルバムのオープニングナンバーである「ディスポップサバイバー」からスタート。ペギのドラムがこれまでよりもさらに力強さを増し、たなしんのベースも音が確実に重くなっている。そんな確かなパワーアップを遂げたリズム隊の上を、金廣の、一聴しただけでこの男のものでしかないとわかるくらい特徴的なハイトーンボーカルが伸びやかに響く。
「キャッチアンドリリース」「境界を越えて」では観客がコーラスを大合唱し、みんなで楽しむグドモのライブの温かい空気が出来上がっていくと同時に、客席最前ブロックではダイバーが続出しているというのは、四つ打ちの踊れる曲も多いが、あくまで出自をメロコアに置くこのバンドだからこそ。
最新アルバムからの「アウトサイダー」で渡邊のギターがハードなサウンドを奏でると、サビで手拍子が響く、サビの言葉遊びの歌詞が楽しい「コピペ」、この会場にいるすべての人に対して歌っているかのような「言葉にならない」とテンポ良く、序盤からキラーチューンを次々に演奏していくと、ギター渡邊の挨拶。実にテンションが高いのはツアーファイナルだからというのもあるだろうが、ここまで気合いが入っている(「っしゃおらぁ!」と気合いの入った言葉まで発する)姿はなかなか見れない。
「ハロー ハローハロー 今を楽しく生きれてますか?」「今の僕宛の歌」
と、これまでに数々の苦難に直面してきたバンド自身に向けた歌詞が観客1人1人への応援歌のように響いた「ハローハローハロー」から、四つ打ちでもツービートでもない、跳ねるようなリズムでも観客を踊らせ、サビ終わりの「心配ないさ!」のフレーズを大合唱させた「雨ニモ風ニモ負ケズ」、大型タイアップでこのバンドの存在をお茶の間にも轟かせた「拝啓、ツラツストラ」と、どの曲もアッパーでありながらも曲の構造は全く違う曲が続くと、ここでこの日数少ないミドルテンポのラブソング「雨の日」。金廣はこのバンドが雨バンドになりつつあることを気にしていたが、それを含めてのこの曲の選曲だったのだろうか。(この日は曇ってこそいたが、雨は降っていなかった)
テンションの上がりきったたなしんがいきなり客席にダイブしてから、妙に喋りの細かい部分が上手くなっているのを感じさせるおなじみの「ファイヤー!」コールを経ると、「ウォールペーパーミュージックでは踊りたくないぜ」でミラーボールが回り出し、金廣がハンドマイク&ボーカルエフェクトで歌う、EDM的な要素も感じさせる「ビッグバン」とタイプの違う新旧のダンスチューンで踊らせると、
「このツアーで1回もやっていない曲を」
と言って演奏されたのは、メジャー1stアルバム収録の「ロールプレイングゲーム」。これはかなり意表を付く選曲。
打ち込みも使った狂騒的ダンスチューン「アブラカタブラ」を終えると、武道館公演を経たこと、それにより悩んだこともあり、バンドについたレッテルを剥がしていこうとばかりに、「突破していこう」で突き抜けると、「低気圧の夜」ではそこまで激しい曲ではないが、ペギのドラムはさらに力強さを増し、観客がサビのフレーズに合わせて掲げた指の数を変えるのが楽しい「イチ、ニッ、サンでジャンプ」を終えると、金廣が今後も着いてきて欲しいという旨の内容のMCをしたあと、
「毎年、何日間か一緒に遊びに行く友達グループが熊本にいて。2ヶ月前にツアーで行った時は、こういう状況になるなんて全然想像してなくて。その時はみんなで飲みに行ったりしたんだけど」
と、熊本の震災について触れると、その友人たちを始めとして、震災の被害に遭った人すべてを勇気付けるようにして「友よ」を歌う。
「変わりゆく街並みに 少し泣きそうだよ」
「せめて僕の近くにいた 人々の願う幸せを」
と、震災前に作られたにもかかわらず、まるでこうなることを予期してしまったような歌詞が並ぶこの曲。5年前の東日本大震災の時は、
「瓦礫の中で 夢を見ていた」
というフレーズから始まるthe HIATUSの「西門の眛爽」がやはり震災前に作られたにもかかわらず、震災を予期していたように、震災後のライブ会場を勇気付けるように響いていた。
得てして、音楽にはそういうことが起こる。それが曲にまた新たな意味を与え、それまでとは全く違うように響く。きっと、これからこの曲は今まで以上にグドモにとって大事な曲になっていくはず。
クライマックスは金廣が観客に預けるまでもなく大合唱が起こった「空ばかり見てた」、軽快なリズムと手拍子の上にシリアスなメッセージが乗る「inトーキョーシティー」と続くと、最後に演奏されたのは、アルバムのラストを飾る「一陽来復」。
激しい曲でも、踊れる曲でもないが、かといって完全に聴き入るような曲でもなく、ただただメロディの強い、ここからのバンドの新たな物語の始まりを感じさせる曲。むしろこれからはこういうタイプの曲がバンドの最も強い武器になっていくのかもしれない、という予感も感じる。
アンコールでたなしんを先頭に賑々しくメンバーがステージに現れると、ツアーファイナルといえば重大発表ということで、11/5にバンドの地元である八王子のアリーナで主催フェスを開催することを発表。まだ出演者はわからないが、これまでにも「あ、良いライブここにあります。」という主催イベントで数々のバンドをシーンに送り出してきたバンドなだけに、初の主催フェス、しかもかなり大規模なものということには期待が高まる。
するとバンドのライブに来てた人同士で結婚した人がいるということを紹介し、バンド初期からずっとライブを見に来てくれていたその2人に捧げるように、かつてのバンド名であり、明らかに結婚する相手に向けられた歌詞の「for better,for worse」を演奏。ツアー各地ではこの曲順はリクエストだったらしいが、この日はこの曲しかない、ということ。確かに、このエピソードを聞いた上ではもうこの曲以外に考えられない。
そしてツアーの締めくくりとして演奏されたのは、歌い出しから金廣が観客にボーカルを委ね、「みんなで歌えて楽しめるライブ」というのを最後まで実証するかのような大合唱が起きた「未来へのスパイラル」で終了。最後の大サビ前には壁のように並んだダイバーが次々に人の上を泳いでいき、演奏を終えたメンバーは笑顔を浮かべながら、深々と長いお辞儀をしてからステージを去って行った。
しかし、武道館がソールドアウトしなかったのはともかく、この日も満員だったとはいえ、チケットは一般発売期間中でも普通に売っていた。「未来へのスパイラル」からその後のシングル期までは、時代の追い風を受けまくっているバンドの筆頭として、いずれはアリーナクラスでワンマンをやるんじゃないかと思わせるような勢いを見せていた。
しかし、近年はその勢いが落ち着いてきてしまっているように感じる。決してこのキャパでも小さいということはないが、武道館がソールドアウトせずに悔しい思いをし、金廣はこの日も「もっと大きなところでもライブをやりたい」と語っていただけに、このまま縮小していくわけにはいかない。
で、その停滞のきっかけになったのは、「inトーキョーシティー」だと思う。決して良くなかったアルバムではないが、当時渡邊がよくライブで口にしていた、「開いていく、届けていく」というバンドの活動理念とは距離があったように感じるアルバムだったし、武道館前のインタビューでたなしんが、
「俺はあのアルバムは売れないって思ったんですよ。でも、音楽面での貢献が少なかったから、自分の意見を言うことができなかった」
と語ったように、メンバー全員の意志が統一されていたとも言えなかった。
だからこそ「グッドモーニングアメリカ」と今回のツアーはある意味で原点回帰的な内容になったのだと思われるが、一度落ち着いてしまった勢いを再び上昇気流に乗せるのは本当に難しい。それは先輩バンドたちが証明しているし、後からデビューした後輩バンドたちもどんどんこのキャパでは収まらない存在になってきている。
それだけに、ここから再びバンドが上昇気流に乗っていくためには、たなしんのベーシストとしてのさらなる技術の向上と、それに伴ってメンバー4人が対等な立場で意見交換ができるようになることが重要になる。
こう書くと、たなしんが足を引っ張っているようになってしまうが、それは全く逆で、たなしんのキャラクターがなければ、バンドはここまで来ることは絶対にできなかった。だからこそ、そうやってバンドに最大限貢献してきたたなしんならそれができると思っているし、主催フェスを大規模なままで続けていくためには、グドモ自体がその大規模なステージに見合う存在であり続けなければならない。
バンドがいつかまた武道館や、さらに広いステージに立って、メンバーとファンがその喜びを共有できる日を期待して待っている。
1.ディスポップサバイバー
2.キャッチアンドリリース
3.境界を越えて
4.アウトサイダー
5.コピペ
6.言葉にならない
7.ハローハローハロー
8.雨ニモ風ニモ負ケズ
9.拝啓、ツラツストラ
10.雨の日
11.ウォールペーパーミュージックじゃ踊りたくないぜ
12.ビッグバン
13.ロールプレイングゲーム
14.アブラカタブラ
15.突破していこう
16.低気圧の夜
17.イチ、ニッ、サンでジャンプ
18.友よ
19.空ばかり見てた
20.inトーキョーシティー
21.一陽来復
encore
22.for better,for worse
23.未来へのスパイラル
友よ
http://youtu.be/INf1Nb76S10
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