GRAPEVINE supported by uP!!! @日比谷野外大音楽堂 9/12
- 2015/09/13
- 11:23
独自の立ち位置で進み続けるバンド、GRAPEVINEが久々に日比谷野音でのワンマンライブを開催。今年は新作アルバム「Burning tree」もリリースしたが、今回の日比谷野音と大阪城野音はそれに合わせたリリースがない中でのライブとなるので、選曲も楽しみになるところ。
指定席はもちろん、立ち見席までぎっしり埋まった超満員(自分はこの日は立ち見席から見てたので、全体がしっかり見えていたわけでもないし、メンバーの表情などもそこまで見えなかった)という状況で、17時半を少し過ぎたころ、SEもなしにメンバーがフラッとステージに登場。
一斉に立ち上がる観客に対し、
「立たんでええ(笑)」
と田中(ボーカル&ギター)がいきなりひねくれた対応を見せながら、
「聴こえるかい この世界の歌
答えなら風の中にはない」
という問いかけから始まる「Burning tree」の1曲目「Big tree song」からスタート。CDではウォータードラムを使っていたが、亀井が叩いていたのはデジタルドラムだろうか。これからの長い時間の始まりを感じさせるに実に相応しい曲。
晴れた野外が実によく似合う「放浪フリーク」、
「明るい時間にやっておかんといけない曲」
と前置きした「真昼の子供たち」、ライブでは定番の「Glare」と序盤はこのバンドの中でもメロディーの良さが際立つ、ポップサイドと言っていい曲が続く。
田中の年々渋みを増しているボーカルはもちろん、メンバーの演奏のアンサンブル、さらには曲ごとに代わる代わる務めるコーラスワークまでもやはり安定感抜群。このバンドのライブは平均点を維持する安定感ではなく、常に3割30本100打点をマークするくらいの圧倒的な安定感がある。
遊び心満載のサウンドが飛び交う「コヨーテ」を経ると、カップリング曲の中ではライブ演奏頻度が高いほうである「冥王星」へ。かなり渋い曲ではあるが、演奏後に田中は
「我々の代表曲、冥王星でした(笑)」
と紹介。
すると唐突に初期の名曲「そら」へ。まだ明るさの残るこの時間帯、GRAPEVINEの中でも多くはない、晴れた空の下が似合う曲。
「売店が7時半で閉まるらしいんで、氷結を3本くらい買ってきていただいて…」
と田中が何度も酒を飲みながらゆったりと楽しむことを勧めていたが、曲の中でめまぐるしく展開が変わる「MAWATA」からの中盤はまさにそうした楽しみ方がピッタリの曲たちが続く。
バンドのダークサイドという方向の中でもアンサンブルを発揮するタイプの「壁の星」、田中が歌詞に合わせて身振り手振りを交えながら歌う「SEA」、そのまま深いところまで潜っていくかのような「愁眠」と、これだけ満員の日比谷野音であっても過去のヒットシングル連発という内容になるわけもなく、むしろバンドの濃い部分、深い部分をじっくり見せていくというのがさすがにGRAPEVINEならでは。
「この街に捧げる、This town!」
と田中の英詞歌唱が聴ける「This town」を終えると、夏ソングにしては爽やかさのかけらもない、激しいバンドアンサンブルが極まっていき、まばゆい照明がそこにピッタリと合うように絡んでいく「夏の逆襲」、間奏で西川(ギター)と金戸(ベース)がそれぞれステージ前に出てきてソロを弾く「KOL」…ここまでくるとまさに圧巻。シングル曲でもなければわかりやすく盛り上がる曲でもないこのあたりの曲でも大歓声が巻き起こるのは、観客もこうしたバンドのアンサンブルを聴けるのがこのバンドのライブの楽しみの一つであるというのを理解しているから。
「さすがにGRAPEVINEのお客さん、すっかり席に座っている(笑)」
と言っていた中盤からこのあたりの終盤になると再びほとんどの人が立ち上がっていた。
クライマックスは燃え盛るような歌唱と演奏の「GRAVEYARD」、田中がアコギを奏でる美しいバラード「smalltown,superhero」、そして
「どうもありがとー!最後はこれ!」
と言って本編最後に演奏されたのは、
「今 限界を超える そのくらい言わないと」
と、まさにバンドの限界を超えていくような「超える」。
アンコールでは、本編での白シャツからライブTシャツに田中が着替えて登場し、
「暗くなったけど、冥王星は見えた?(笑)」
と軽口を叩きながら、金戸のベースのイントロで始まってどよめきが起きたのは、まさかの初期GRAPEVINEの珠玉の名曲「君を待つ間」。田中は歌詞に「ガキ」という単語を入れたりしながら、現在のバージョンといった形だったが、ずっとライブで聴きたくてしょうがなかったこの曲をようやくこうして聴くことができた。そうそう何度もライブでやるような曲には今後もならないだろうが、またこうしてこの曲をライブで聴けるのを、「いつまでだって待ってるから」。
そして世界の終焉に向かっていくような内容の「RAKUEN」でライブも終焉に向かっていくと、最後の最後に演奏されたのはバンドの代表曲的シングルの一つと言ってもいい「ふれていたい」。
サビではこの日唯一と言ってもいいくらいに多くの腕が上がる中、
「レノンはパーで 僕はグー」
という歌詞に合わせて手をパーにしたあとにグーにしようとする観客に対して、
「レノンはパーで 僕もパー アホか!」
と田中の独り勝ち状態になるという天邪鬼ぶりを最後まで発揮しながら、一人一人がバラバラにステージを去って行った。
新曲の披露も期待していたが、レコーディング中とはいえ、まだそれはなし。しかし、月末の大阪城野音やその後のクラブサーキットでは新たな展開を見せてくれるだろうか。東京ではライブやらないから当分見れないけど。
前日の中村一義と、この日のGRAPEVINE。ともに1997年にデビューして、自分が中学生の時に存在を知ったアーティスト。ともに様々な変遷を経てきたが、もっと若いバンドが解散や活動休止していく中、こうして過去曲はもちろん、現在の姿を見せてくれているのは嬉しいし、本当に頼もしい。
同じ時期にデビューしたくるりやDragon AshやPOLYSICSも未だに最前線を走っているとはいえ、GRAPEVINEはフェスではアウェーな機会も多くなったが、ワンマンでこれだけ満員になるんなら、フェスでガラガラなバンドが武道館を満員にする姿も見てみたい気もする。
1.Big tree song
2.放浪フリーク
3.真昼の子供たち
4.Glare
5.コヨーテ
6.冥王星
7.そら
8.無心の歌
9.MAWATA
10.おそれ
11.壁の星
12.SEA
13.愁眠
14.This town
15.夏の逆襲
16.KOL
17.GRAVEYARD
18.smalltown,superhero
19.超える
encore
20.君を待つ間
21.RAKUEN
22.触れていたい
君を待つ間
http://youtu.be/5o_nX80LWq4
Next→ 9/17 9mm Parabellum Bullet × MO'SOME TONEBENDER @恵比寿リキッドルーム
指定席はもちろん、立ち見席までぎっしり埋まった超満員(自分はこの日は立ち見席から見てたので、全体がしっかり見えていたわけでもないし、メンバーの表情などもそこまで見えなかった)という状況で、17時半を少し過ぎたころ、SEもなしにメンバーがフラッとステージに登場。
一斉に立ち上がる観客に対し、
「立たんでええ(笑)」
と田中(ボーカル&ギター)がいきなりひねくれた対応を見せながら、
「聴こえるかい この世界の歌
答えなら風の中にはない」
という問いかけから始まる「Burning tree」の1曲目「Big tree song」からスタート。CDではウォータードラムを使っていたが、亀井が叩いていたのはデジタルドラムだろうか。これからの長い時間の始まりを感じさせるに実に相応しい曲。
晴れた野外が実によく似合う「放浪フリーク」、
「明るい時間にやっておかんといけない曲」
と前置きした「真昼の子供たち」、ライブでは定番の「Glare」と序盤はこのバンドの中でもメロディーの良さが際立つ、ポップサイドと言っていい曲が続く。
田中の年々渋みを増しているボーカルはもちろん、メンバーの演奏のアンサンブル、さらには曲ごとに代わる代わる務めるコーラスワークまでもやはり安定感抜群。このバンドのライブは平均点を維持する安定感ではなく、常に3割30本100打点をマークするくらいの圧倒的な安定感がある。
遊び心満載のサウンドが飛び交う「コヨーテ」を経ると、カップリング曲の中ではライブ演奏頻度が高いほうである「冥王星」へ。かなり渋い曲ではあるが、演奏後に田中は
「我々の代表曲、冥王星でした(笑)」
と紹介。
すると唐突に初期の名曲「そら」へ。まだ明るさの残るこの時間帯、GRAPEVINEの中でも多くはない、晴れた空の下が似合う曲。
「売店が7時半で閉まるらしいんで、氷結を3本くらい買ってきていただいて…」
と田中が何度も酒を飲みながらゆったりと楽しむことを勧めていたが、曲の中でめまぐるしく展開が変わる「MAWATA」からの中盤はまさにそうした楽しみ方がピッタリの曲たちが続く。
バンドのダークサイドという方向の中でもアンサンブルを発揮するタイプの「壁の星」、田中が歌詞に合わせて身振り手振りを交えながら歌う「SEA」、そのまま深いところまで潜っていくかのような「愁眠」と、これだけ満員の日比谷野音であっても過去のヒットシングル連発という内容になるわけもなく、むしろバンドの濃い部分、深い部分をじっくり見せていくというのがさすがにGRAPEVINEならでは。
「この街に捧げる、This town!」
と田中の英詞歌唱が聴ける「This town」を終えると、夏ソングにしては爽やかさのかけらもない、激しいバンドアンサンブルが極まっていき、まばゆい照明がそこにピッタリと合うように絡んでいく「夏の逆襲」、間奏で西川(ギター)と金戸(ベース)がそれぞれステージ前に出てきてソロを弾く「KOL」…ここまでくるとまさに圧巻。シングル曲でもなければわかりやすく盛り上がる曲でもないこのあたりの曲でも大歓声が巻き起こるのは、観客もこうしたバンドのアンサンブルを聴けるのがこのバンドのライブの楽しみの一つであるというのを理解しているから。
「さすがにGRAPEVINEのお客さん、すっかり席に座っている(笑)」
と言っていた中盤からこのあたりの終盤になると再びほとんどの人が立ち上がっていた。
クライマックスは燃え盛るような歌唱と演奏の「GRAVEYARD」、田中がアコギを奏でる美しいバラード「smalltown,superhero」、そして
「どうもありがとー!最後はこれ!」
と言って本編最後に演奏されたのは、
「今 限界を超える そのくらい言わないと」
と、まさにバンドの限界を超えていくような「超える」。
アンコールでは、本編での白シャツからライブTシャツに田中が着替えて登場し、
「暗くなったけど、冥王星は見えた?(笑)」
と軽口を叩きながら、金戸のベースのイントロで始まってどよめきが起きたのは、まさかの初期GRAPEVINEの珠玉の名曲「君を待つ間」。田中は歌詞に「ガキ」という単語を入れたりしながら、現在のバージョンといった形だったが、ずっとライブで聴きたくてしょうがなかったこの曲をようやくこうして聴くことができた。そうそう何度もライブでやるような曲には今後もならないだろうが、またこうしてこの曲をライブで聴けるのを、「いつまでだって待ってるから」。
そして世界の終焉に向かっていくような内容の「RAKUEN」でライブも終焉に向かっていくと、最後の最後に演奏されたのはバンドの代表曲的シングルの一つと言ってもいい「ふれていたい」。
サビではこの日唯一と言ってもいいくらいに多くの腕が上がる中、
「レノンはパーで 僕はグー」
という歌詞に合わせて手をパーにしたあとにグーにしようとする観客に対して、
「レノンはパーで 僕もパー アホか!」
と田中の独り勝ち状態になるという天邪鬼ぶりを最後まで発揮しながら、一人一人がバラバラにステージを去って行った。
新曲の披露も期待していたが、レコーディング中とはいえ、まだそれはなし。しかし、月末の大阪城野音やその後のクラブサーキットでは新たな展開を見せてくれるだろうか。東京ではライブやらないから当分見れないけど。
前日の中村一義と、この日のGRAPEVINE。ともに1997年にデビューして、自分が中学生の時に存在を知ったアーティスト。ともに様々な変遷を経てきたが、もっと若いバンドが解散や活動休止していく中、こうして過去曲はもちろん、現在の姿を見せてくれているのは嬉しいし、本当に頼もしい。
同じ時期にデビューしたくるりやDragon AshやPOLYSICSも未だに最前線を走っているとはいえ、GRAPEVINEはフェスではアウェーな機会も多くなったが、ワンマンでこれだけ満員になるんなら、フェスでガラガラなバンドが武道館を満員にする姿も見てみたい気もする。
1.Big tree song
2.放浪フリーク
3.真昼の子供たち
4.Glare
5.コヨーテ
6.冥王星
7.そら
8.無心の歌
9.MAWATA
10.おそれ
11.壁の星
12.SEA
13.愁眠
14.This town
15.夏の逆襲
16.KOL
17.GRAVEYARD
18.smalltown,superhero
19.超える
encore
20.君を待つ間
21.RAKUEN
22.触れていたい
君を待つ間
http://youtu.be/5o_nX80LWq4
Next→ 9/17 9mm Parabellum Bullet × MO'SOME TONEBENDER @恵比寿リキッドルーム
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