中村一義 BAND TOUR 2015 @LIQUIDROOM 9/11
- 2015/09/12
- 11:29
前回のツアーは町田昌弘との「まちなかスタイル」というアコースティックセットだった中村一義、今回のツアーはバンド編成。
バンド自体は去年と同じく、Hermann H. & The Pacemakersのメンバーとそのサポートメンバーによる「海賊」で、19時半を少し過ぎたところで、
町田昌弘(ギター)
岡本洋平(ギター)
平床政治(ギター)
TOMOTOMO CLUB(ベース)
マシータ(ドラム)
ヨースケ@HOME(キーボード)
の海賊のメンバーが登場。のちにいじられることになるが、シンガーソングライターであるヨースケ@HOMEは新入り。
メンバーが肩を組み、気合いを入れると、岡本が
「ろっくでなしロックンロール!ろっくでなしロックンロール!」
と叫び、「ロックンロール」の演奏が始まる。するとボーカルパートギリギリで、ハット着用の中村一義が走って登場するという姿そのままのテンションの高さで歌い始める。
曲中でのブレイク部分では今度は中村一義が、
「ろっくでなしロックンロール!」
と叫び、サビのコーラスパートで客席にマイクを向ける。
続いて早くもデビューシングル「犬と猫」。やはり
「どう?どう?」
の曲始まりのフレーズでは合唱を促したのだが、メンバーそれぞれが高音部分を平床と町田とヨースケ、低音部分を岡本が担うという役割分担も面白い。
中村一義も
「こんなんでええんか?」
のフレーズを
「こんなんでオッケー!」
と変えて叫ぶ。序盤はやや歌唱が不安定ではあったが、元の曲のキーの高さを考えると致し方ないところ。
そのままアウトロとイントロをつなげるようにして「ショートホープ」へ。ロックンロールなサウンドのこのバンドにはこういうアッパーなサウンドの曲が良く似合う。
すると早くもブレイク気味に中村一義がMCを始め、ビクターにレコード会社を移籍することを発表すると、
「新作早く出さなきゃ(笑)」
ということで、現在絶賛レコーディング中であり、前半部分がちょうど終了したという新作アルバムの中から、「大海賊時代」を演奏。タイトルからもわかるが、まさにこのメンバーだからこそ作ることができたという曲(実際にレコーディングもこのメンバーで行われているらしい)なのだが、「先に歌詞を知ってほしい」という中村一義の発案により、某CMなどのナレーション業でも大活躍している平床が歌詞を先に朗読。気持ちが入りすぎて笑いが起こる部分もかなり多かったが、やはり良い声。
そうして歌詞を朗読したあとに曲を演奏したからこそ、朗読した歌詞のあの部分とこの部分で韻を踏んでいる、というのがよくわかり、初めて聴く曲にもかかわらず、曲への理解度が増す。さすがに曲にはキーの高い部分はほとんどなくなってきているのは現在の中村一義が作る曲、という感じがする。
「大雨大丈夫だった?茨城とか栃木は大変みたいで。今日は宮城とかもね。
昨日そのニュースをずっと見てたんだけど、家の屋根に登って救助を待ってるお父さんが、犬をずっと抱えて待ってて。それを見た瞬間、人間ってやっぱりこれなんじゃねぇかな、って思って、涙がブワーって出てきて(笑)
一瞬にして目の前が茶色い水だらけになってしまうって想像できないけど、そんな経験をした人の背中を押したい。こんな歌しか歌ってない俺に何ができるかわかんないけど。これからのブロックはそんな曲が続きます」
と言って、セッション的なイントロから始まった「ロザリオ」、図らずも中村一義が涙した光景をそのまま曲にしたかのような「素晴らしき世界」と、中村一義の持つ最大の武器とも言える、美しいバラード曲が続く。
すると中村一義がスッとステージから去り、バンドメンバーだけで、「ERA」ではオーケストラアレンジだった、エドワード・エルガーの「威風堂々(Part1)」をバンドアレンジで演奏。途中で中村一義もバンドのフラッグを持って帰還し、そのままもちろん「威風堂々(Part2)」へ。この日は定番曲も含めてだが、「ERA」収録曲が非常に多かったが、この流れはなかなか見れないだけに実に嬉しいところ。
ヨースケのキーボードのイントロで歓声が起こった「新世界」では、マシータのドラム連打で曲が終わるという、このバンド編成ならではのアレンジが加えられていた。それに合わせるようにアウトロでギター陣がどんどん音量を上げていくのもバンド編成ならでは。
ここで海賊のメンバー紹介。中村一義を船長、町田を副船長とするも、「船長」が「店長」に聴こえてしょうがない、ということで、「じゃあこの店長と副店長で、立石あたりで居酒屋を開いて(笑)最初は屋台で(笑)」と話が発展。
TOMOTOMO CLUBは先日のBAYCAMPでのTHE JERRY LEE PHANTOMのライブを、平床はやはり先ほどの朗読を、マシータは直前の「新世界」でのドラム連打をいじられると、新入りと紹介されたヨースケ@HOMEは、中村一義がコメントを書いたアルバムから、自身の「Piece」という曲を演奏。
さらに「前回のツアーで最後にアンプを蹴ったら、修理代が15万円かかった(笑)」という岡本は、前回のツアーで自身のバンド、ヘルマンの「言葉の果てに雨が降る」をカバーしたということで、今回もヘルマンの曲「ROCK IT NOW!」を演奏することになると、ヘルマンの楽器を演奏しないメンバーこと、ウルフが海賊の船長みたいな帽子をかぶって登場。
「プレッシャーに弱いから、いないものとして見てください(笑)」
と言いながらも、ステージ上で踊りまくり、ヘルマンの曲ということは岡本がメインボーカルになるので、中村一義もウルフと一緒になって踊りまくるという弾けっぷりを見せる。
近年はサビを観客が合唱するのが当たり前になっている「ジュビリー」「ハレルヤ」では説明する必要もなしに大合唱が発生。これらの曲では楽器を演奏しないメンバーもいるのだが、町田、平床、TOMOTOMO CLUBの3人がタンバリンなどを持って向かいあって踊りまくっていたのは実に面白かった。メンバー全員本当にいい笑顔をしていた。
そして大名曲「永遠なるもの」はこの日、最も気合いが入っているというか、曲に中村一義とメンバーの感情が全て入り込んでいるように感じた。それを証明するかのように、曲が終わると、中村一義が口を開くまで全く鳴り止まない拍手が起きた。
ラストはもはや途中からの出演とは思えないくらいに場に馴染みまくっているウルフが踊りながら観客を煽りまくる「1,2,3」で本編は終了。
かなり長めの時間を待ってのアンコールでは、まずは中村一義がレコード会社の移籍に続き、去年行った、中村一義の地元である江戸川での今年のライブが、1stアルバム「金字塔」の完全再現ライブとなることを発表。
「あのアルバムの曲、キー高いんだよなぁ」
と言っていたが、その曲を作ったのも歌ったのも中村一義1人じゃないか、とツッコミを入れざるを得ない。
そんな発表にどよめく中、町田はバンジョー(ギター仕様のバンジョーなので6弦)を持ち、非常に重い楽器であることを知ってもらうべく、最前の男子に持ってもらうというファンサービスも。
そんな新しい楽器(町田は中村一義がバンジョーを入れたいと言ったので購入し、弾けるように練習したという)を取り入れて演奏されたのは、前回のまちなかスタイルで観客とともにレコーディングを行った「スカイライン」。バンドアレンジになった曲は勇壮なコーラスがさらに際立つようになっており、まちなかスタイルに参加した観客が他の観客を引っ張るようにしてコーラスを歌う。「大海賊時代」とともに、新作アルバムの核になることは間違いない王道サウンドの曲。
そしてあのギターのイントロが鳴り、放たれたのは「キャノンボール」。ウルフがフラッグを持ったり踊ったりする中、
「僕は死ぬように生きていたくない そこで愛が待つゆえに」
という必殺のフレーズが笑顔いっぱいのメンバーによって鳴らされる。
かつてたった1人で音楽を作っていた男が、仲間たちと本当に楽しそうな顔で音楽を鳴らし、それをたくさんの人と共有し、過去の名曲も新曲も一緒に歌っている。「1人じゃない」という言葉がこれほど薄っぺらく感じない瞬間もなかなかない。
演奏が終わると、メンバー全員で横に並び、肩を組んで観客に一礼。男臭さを感じてしまうくらいに男しかいないステージだが、その姿からは、中村一義が本当に信頼できる仲間を見つけたんだな、と感じる。
そしてそんな仲間たちとのバンド、海賊で作られているアルバムと、このバンドで演奏されるデビューアルバム「金字塔」。想像するだけで楽しみになってくる。
それくらいに、これまでの中村一義のライブの中でも最も「楽しい」という感情に支配された一夜だった。
1.ロックンロール
2.犬と猫
3.ショートホープ
4.大海賊時代 (新曲)
5.ロザリオ
6.素晴らしき世界
7.威風堂々 (Part1)
8.威風堂々 (Part2)
9.新世界
10.ROCK IT NOW!
11.ジュビリー
12.ハレルヤ
13.永遠なるもの
14.1,2,3
encore
15.スカイライン (新曲)
16.キャノンボール
Next→ 9/12 GRAPEVINE @日比谷野外大音楽堂
バンド自体は去年と同じく、Hermann H. & The Pacemakersのメンバーとそのサポートメンバーによる「海賊」で、19時半を少し過ぎたところで、
町田昌弘(ギター)
岡本洋平(ギター)
平床政治(ギター)
TOMOTOMO CLUB(ベース)
マシータ(ドラム)
ヨースケ@HOME(キーボード)
の海賊のメンバーが登場。のちにいじられることになるが、シンガーソングライターであるヨースケ@HOMEは新入り。
メンバーが肩を組み、気合いを入れると、岡本が
「ろっくでなしロックンロール!ろっくでなしロックンロール!」
と叫び、「ロックンロール」の演奏が始まる。するとボーカルパートギリギリで、ハット着用の中村一義が走って登場するという姿そのままのテンションの高さで歌い始める。
曲中でのブレイク部分では今度は中村一義が、
「ろっくでなしロックンロール!」
と叫び、サビのコーラスパートで客席にマイクを向ける。
続いて早くもデビューシングル「犬と猫」。やはり
「どう?どう?」
の曲始まりのフレーズでは合唱を促したのだが、メンバーそれぞれが高音部分を平床と町田とヨースケ、低音部分を岡本が担うという役割分担も面白い。
中村一義も
「こんなんでええんか?」
のフレーズを
「こんなんでオッケー!」
と変えて叫ぶ。序盤はやや歌唱が不安定ではあったが、元の曲のキーの高さを考えると致し方ないところ。
そのままアウトロとイントロをつなげるようにして「ショートホープ」へ。ロックンロールなサウンドのこのバンドにはこういうアッパーなサウンドの曲が良く似合う。
すると早くもブレイク気味に中村一義がMCを始め、ビクターにレコード会社を移籍することを発表すると、
「新作早く出さなきゃ(笑)」
ということで、現在絶賛レコーディング中であり、前半部分がちょうど終了したという新作アルバムの中から、「大海賊時代」を演奏。タイトルからもわかるが、まさにこのメンバーだからこそ作ることができたという曲(実際にレコーディングもこのメンバーで行われているらしい)なのだが、「先に歌詞を知ってほしい」という中村一義の発案により、某CMなどのナレーション業でも大活躍している平床が歌詞を先に朗読。気持ちが入りすぎて笑いが起こる部分もかなり多かったが、やはり良い声。
そうして歌詞を朗読したあとに曲を演奏したからこそ、朗読した歌詞のあの部分とこの部分で韻を踏んでいる、というのがよくわかり、初めて聴く曲にもかかわらず、曲への理解度が増す。さすがに曲にはキーの高い部分はほとんどなくなってきているのは現在の中村一義が作る曲、という感じがする。
「大雨大丈夫だった?茨城とか栃木は大変みたいで。今日は宮城とかもね。
昨日そのニュースをずっと見てたんだけど、家の屋根に登って救助を待ってるお父さんが、犬をずっと抱えて待ってて。それを見た瞬間、人間ってやっぱりこれなんじゃねぇかな、って思って、涙がブワーって出てきて(笑)
一瞬にして目の前が茶色い水だらけになってしまうって想像できないけど、そんな経験をした人の背中を押したい。こんな歌しか歌ってない俺に何ができるかわかんないけど。これからのブロックはそんな曲が続きます」
と言って、セッション的なイントロから始まった「ロザリオ」、図らずも中村一義が涙した光景をそのまま曲にしたかのような「素晴らしき世界」と、中村一義の持つ最大の武器とも言える、美しいバラード曲が続く。
すると中村一義がスッとステージから去り、バンドメンバーだけで、「ERA」ではオーケストラアレンジだった、エドワード・エルガーの「威風堂々(Part1)」をバンドアレンジで演奏。途中で中村一義もバンドのフラッグを持って帰還し、そのままもちろん「威風堂々(Part2)」へ。この日は定番曲も含めてだが、「ERA」収録曲が非常に多かったが、この流れはなかなか見れないだけに実に嬉しいところ。
ヨースケのキーボードのイントロで歓声が起こった「新世界」では、マシータのドラム連打で曲が終わるという、このバンド編成ならではのアレンジが加えられていた。それに合わせるようにアウトロでギター陣がどんどん音量を上げていくのもバンド編成ならでは。
ここで海賊のメンバー紹介。中村一義を船長、町田を副船長とするも、「船長」が「店長」に聴こえてしょうがない、ということで、「じゃあこの店長と副店長で、立石あたりで居酒屋を開いて(笑)最初は屋台で(笑)」と話が発展。
TOMOTOMO CLUBは先日のBAYCAMPでのTHE JERRY LEE PHANTOMのライブを、平床はやはり先ほどの朗読を、マシータは直前の「新世界」でのドラム連打をいじられると、新入りと紹介されたヨースケ@HOMEは、中村一義がコメントを書いたアルバムから、自身の「Piece」という曲を演奏。
さらに「前回のツアーで最後にアンプを蹴ったら、修理代が15万円かかった(笑)」という岡本は、前回のツアーで自身のバンド、ヘルマンの「言葉の果てに雨が降る」をカバーしたということで、今回もヘルマンの曲「ROCK IT NOW!」を演奏することになると、ヘルマンの楽器を演奏しないメンバーこと、ウルフが海賊の船長みたいな帽子をかぶって登場。
「プレッシャーに弱いから、いないものとして見てください(笑)」
と言いながらも、ステージ上で踊りまくり、ヘルマンの曲ということは岡本がメインボーカルになるので、中村一義もウルフと一緒になって踊りまくるという弾けっぷりを見せる。
近年はサビを観客が合唱するのが当たり前になっている「ジュビリー」「ハレルヤ」では説明する必要もなしに大合唱が発生。これらの曲では楽器を演奏しないメンバーもいるのだが、町田、平床、TOMOTOMO CLUBの3人がタンバリンなどを持って向かいあって踊りまくっていたのは実に面白かった。メンバー全員本当にいい笑顔をしていた。
そして大名曲「永遠なるもの」はこの日、最も気合いが入っているというか、曲に中村一義とメンバーの感情が全て入り込んでいるように感じた。それを証明するかのように、曲が終わると、中村一義が口を開くまで全く鳴り止まない拍手が起きた。
ラストはもはや途中からの出演とは思えないくらいに場に馴染みまくっているウルフが踊りながら観客を煽りまくる「1,2,3」で本編は終了。
かなり長めの時間を待ってのアンコールでは、まずは中村一義がレコード会社の移籍に続き、去年行った、中村一義の地元である江戸川での今年のライブが、1stアルバム「金字塔」の完全再現ライブとなることを発表。
「あのアルバムの曲、キー高いんだよなぁ」
と言っていたが、その曲を作ったのも歌ったのも中村一義1人じゃないか、とツッコミを入れざるを得ない。
そんな発表にどよめく中、町田はバンジョー(ギター仕様のバンジョーなので6弦)を持ち、非常に重い楽器であることを知ってもらうべく、最前の男子に持ってもらうというファンサービスも。
そんな新しい楽器(町田は中村一義がバンジョーを入れたいと言ったので購入し、弾けるように練習したという)を取り入れて演奏されたのは、前回のまちなかスタイルで観客とともにレコーディングを行った「スカイライン」。バンドアレンジになった曲は勇壮なコーラスがさらに際立つようになっており、まちなかスタイルに参加した観客が他の観客を引っ張るようにしてコーラスを歌う。「大海賊時代」とともに、新作アルバムの核になることは間違いない王道サウンドの曲。
そしてあのギターのイントロが鳴り、放たれたのは「キャノンボール」。ウルフがフラッグを持ったり踊ったりする中、
「僕は死ぬように生きていたくない そこで愛が待つゆえに」
という必殺のフレーズが笑顔いっぱいのメンバーによって鳴らされる。
かつてたった1人で音楽を作っていた男が、仲間たちと本当に楽しそうな顔で音楽を鳴らし、それをたくさんの人と共有し、過去の名曲も新曲も一緒に歌っている。「1人じゃない」という言葉がこれほど薄っぺらく感じない瞬間もなかなかない。
演奏が終わると、メンバー全員で横に並び、肩を組んで観客に一礼。男臭さを感じてしまうくらいに男しかいないステージだが、その姿からは、中村一義が本当に信頼できる仲間を見つけたんだな、と感じる。
そしてそんな仲間たちとのバンド、海賊で作られているアルバムと、このバンドで演奏されるデビューアルバム「金字塔」。想像するだけで楽しみになってくる。
それくらいに、これまでの中村一義のライブの中でも最も「楽しい」という感情に支配された一夜だった。
1.ロックンロール
2.犬と猫
3.ショートホープ
4.大海賊時代 (新曲)
5.ロザリオ
6.素晴らしき世界
7.威風堂々 (Part1)
8.威風堂々 (Part2)
9.新世界
10.ROCK IT NOW!
11.ジュビリー
12.ハレルヤ
13.永遠なるもの
14.1,2,3
encore
15.スカイライン (新曲)
16.キャノンボール
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