あまざらし プレミアムライブ 千分の一夜物語「スターライト」 ~アンコール公演~ @中野サンプラザ 4/4
- 2015/04/04
- 22:17
amazarashiによる、あまざらし名義でのプレミアムライブ、「スターライト」。
昨年、TOKYO DOME CITY HALLで一夜限りのライブとして行われた同公演だが、今回こうしてアンコール公演が行われることに。
去年のライブが映像はもちろん、ストリングス隊や朗読なども含めた素晴らしいライブだっただけに、今回も期待が高まる。
前回のレポ http://rocknrollisnotdead.blog.fc2.com/blog-entry-94.html?sp
今回の会場は、ホールではこれまで何度もライブを行っている渋谷公会堂ではなく、ライブを行うのは初となる中野サンプラザ。かつて東京から弾き出された、首謀者の秋田ひろむは渋谷公会堂で初めてライブを行った時に感慨を口にしていたが、中野サンプラザは果たして何か思い入れはあるのだろうか。
いつものようにステージには紗幕が張られている中、18時になるとゆっくりと暗転して、ステージの奥のスクリーンには星座と銀河鉄道が走る映像が映し出され、宮沢賢治が作った曲が流れる。
まずは秋田ひろむがステージ端の椅子に座って朗読。物語の主人公トマーゾと、親友ヨハンが「夜の向こうに何があるのか」を知るために北極星を目指す旅。その序章として、パソコンの前から動くことない男を一緒に旅に出るために誘うという場面なのだが、これは序章であり、エンディングでもある。
すると紗幕越しにうっすらとメンバーが出てくるのが見える。いつものように秋田ひろむ(ボーカル&ギター)、豊川真奈美(ピアノ)の2人と、プロデューサー出羽良彰(ギター、ピアノなど)、ドラム、ベース(この日はコントラバス)というおなじみの編成に加え、ヴァイオリン2名とヴィオラ、チェロの計4人のストリングス隊がいるのが、amazarashiとあまざらしの目に見える違い。
秋田がギターを持たずに歌う「光、再考」からスタートし、基本的に流れ、選曲自体は去年の時とほとんど変わらない。
しかし、森の中で出会った、かつて一緒に暮らしていた少女が白鳥になって飛び去って行く朗読のあとに演奏された、秋田と豊川の2人だけの序盤からバンドサウンドに変わっていく「隅田川」以降のバラード曲は、元からストリングスアレンジを想定して作られたかのように、曲との親和性が抜群。「さくら」では歌詞が飛んでしまうところもあったが、この日の秋田は序盤から本当に良く声が出ていた。かつてのライブでは歌唱が不安定になるところもあったが、今はそんなことは全くない。
「ドブネズミ」では曲間で前回同様に、
「ドブネズミみたいに美しくなりたい 写真には映らない美しさがあるから」
と、ブルーハーツ「リンダ リンダ」の有名過ぎる歌い出しのフレーズを歌った。この日やらなかったが、「雨男」にも
「未来は僕らの手の中」
という、明らかにブルーハーツの曲を使ったであろうフレーズも出てくる。いつか、弾き語りでもいいからamazarashiアレンジでのブルーハーツのカバーアルバムでも作ってくれないだろうか。サウンドこそ全く違えど、amazarashiの(というか秋田の)精神性はパンクそのものである。
そのパンク精神というか、直接言及こそしないが、それを匂わせるのが次の、「トマーゾとヨハンが訪れた、他の星のために光を生産する星では、光の生産工場で事故が起こると、作業員が全員死んでしまう」という朗読。
前回も触れたが、これは明らかに原発のことを言っていると思う。そのあとに演奏された「古いSF映画」の、
「僕らが愛した故郷が 殺されてしまうかもしれない」
というフレーズは、ここまでとは明らかに違うのがわかるくらいに感情を込めて歌っていた。もっと言いたいこともたくさんあるんだろうか。
ここでいったん秋田以外のメンバーがステージを去ると、ステージの筒から炎が噴き出す中、秋田が1人で弾き語りする「カルマ」。この広い中野サンプラザのホールの中を、アコースティックギターの音と、秋田の力強い声のみが響く。そんなシンプル極まりないサウンドだが、見ていて本当に引き込まれるくらいに、秋田の歌唱がすごかった。
物語はいよいよ佳境に。トマーゾとヨハンが訪れた、トマーゾの故郷によく似た小さな星。そこで葬列を目にしたトマーゾが葬儀が行われている会場に入ると、祭壇の遺影にはヨハンの顔が写っており、振り返るともうそこにヨハンの姿はなく、崩れ落ちて泣き叫ぶトマーゾ…この朗読のあとには、その内容そのもののような、「ひろ」「夏を待っていました」という、「死んだ友達」がテーマになっている2曲が続けて演奏された。「ひろ」は秋田と豊川の2人だけで演奏され、秋田はギターを弾くことなく、会場に響くのはピアノの音と秋田の声だけ。
そして、去年のライブ時にはリリースどころか(前回は「ひろ」も「スターライト」もリリースされる前だった)、存在すらなかった、今年リリースされた最新シングル曲「季節は次々死んでいく」もこのストリングスを加えたアレンジで演奏される。まだライブでは演奏されていない曲だが、このアレンジで演奏されるのをライブで見るのはこの日限りになってしまうんだろうか?他の曲とは違ってそこまでBPMを落とした感じではなかったアレンジだったが。
何度もフェードアウトしていきそうでいて、なかなかフェードアウトせずにちゃんと最後まで演奏されるも、途中でまた秋田が歌詞が飛んでしまった「美しき思い出」を終えると、最後の朗読。
冒頭の、トマーゾとヨハンが訪ねた、パソコンの前に座っている男=トマーゾが主観で、トマーゾとヨハンが訪問者という逆の視点。この物語はトマーゾがパソコンに向かって打ち込んでいる小説であり、トマーゾはヨハンの死からずっと部屋に閉じこもっていたのだが、物語を経たあとだからこそヨハンが、
「ここにいちゃダメだ」
と言い、その一言がきっかけで2年ぶりにトマーゾは家から外に出て行くというエンディング。
その物語の最後に演奏されるのはもちろん、「スターライト」。スクリーンには銀河鉄道が夜空を走り抜けて行く映像が映し出される中、CDほどアッパーなサウンドではなく、むしろストリングスが入ったことにより壮大なサウンドとなって、物語を締めくくった。
演奏の残響が止まってメンバーがステージを去ると、冒頭の映像の時と同様に、宮沢賢治の曲が流れる中、スクリーンにはエンドロールが流れ、終わるまで一貫して鳴り止まない拍手。
こうして、2度目の一夜限りの「あまざらし」名義でのプレミアムライブは幕を閉じた。
「あまざらし」名義のライブは前回のも見ているだけに、物語の内容も、選曲もほぼわかっているが、それでもまた見たくなる。これは全編ノーカットで収録するべき。
5月にリリースされるアコースティックアルバムに去年の「あまざらし」名義のライブの映像のDVDがつくらしいが、果たしてどのように収録されているのだろうか。そしてやはりそのアコースティックアルバムの収録曲を見た限り、この「あまざらし」名義でのアレンジになるのだろうか。
-朗読-
1.光、再考
2.ムカデ
3.空っぽの空に潰される
-朗読-
4.隅田川
5.無題
6.さくら
7.ドブネズミ
-朗読-
8.つじつま合わせに生まれた僕ら
9.古いSF映画
10.カルマ
-朗読-
11.ひろ
12.夏を待っていました
13.季節は次々死んでいく
14.美しき思い出
-朗読-
15.スターライト
季節は次々死んでいく
http://youtu.be/wtJcLWeY114
Next→ 4/5 J-WAVE LIVE 出演:チャットモンチー、パスピエ、THE BAWDIES、OKAMOTO'S、水曜日のカンパネラ @TOKYO DOME CITY HALL
昨年、TOKYO DOME CITY HALLで一夜限りのライブとして行われた同公演だが、今回こうしてアンコール公演が行われることに。
去年のライブが映像はもちろん、ストリングス隊や朗読なども含めた素晴らしいライブだっただけに、今回も期待が高まる。
前回のレポ http://rocknrollisnotdead.blog.fc2.com/blog-entry-94.html?sp
今回の会場は、ホールではこれまで何度もライブを行っている渋谷公会堂ではなく、ライブを行うのは初となる中野サンプラザ。かつて東京から弾き出された、首謀者の秋田ひろむは渋谷公会堂で初めてライブを行った時に感慨を口にしていたが、中野サンプラザは果たして何か思い入れはあるのだろうか。
いつものようにステージには紗幕が張られている中、18時になるとゆっくりと暗転して、ステージの奥のスクリーンには星座と銀河鉄道が走る映像が映し出され、宮沢賢治が作った曲が流れる。
まずは秋田ひろむがステージ端の椅子に座って朗読。物語の主人公トマーゾと、親友ヨハンが「夜の向こうに何があるのか」を知るために北極星を目指す旅。その序章として、パソコンの前から動くことない男を一緒に旅に出るために誘うという場面なのだが、これは序章であり、エンディングでもある。
すると紗幕越しにうっすらとメンバーが出てくるのが見える。いつものように秋田ひろむ(ボーカル&ギター)、豊川真奈美(ピアノ)の2人と、プロデューサー出羽良彰(ギター、ピアノなど)、ドラム、ベース(この日はコントラバス)というおなじみの編成に加え、ヴァイオリン2名とヴィオラ、チェロの計4人のストリングス隊がいるのが、amazarashiとあまざらしの目に見える違い。
秋田がギターを持たずに歌う「光、再考」からスタートし、基本的に流れ、選曲自体は去年の時とほとんど変わらない。
しかし、森の中で出会った、かつて一緒に暮らしていた少女が白鳥になって飛び去って行く朗読のあとに演奏された、秋田と豊川の2人だけの序盤からバンドサウンドに変わっていく「隅田川」以降のバラード曲は、元からストリングスアレンジを想定して作られたかのように、曲との親和性が抜群。「さくら」では歌詞が飛んでしまうところもあったが、この日の秋田は序盤から本当に良く声が出ていた。かつてのライブでは歌唱が不安定になるところもあったが、今はそんなことは全くない。
「ドブネズミ」では曲間で前回同様に、
「ドブネズミみたいに美しくなりたい 写真には映らない美しさがあるから」
と、ブルーハーツ「リンダ リンダ」の有名過ぎる歌い出しのフレーズを歌った。この日やらなかったが、「雨男」にも
「未来は僕らの手の中」
という、明らかにブルーハーツの曲を使ったであろうフレーズも出てくる。いつか、弾き語りでもいいからamazarashiアレンジでのブルーハーツのカバーアルバムでも作ってくれないだろうか。サウンドこそ全く違えど、amazarashiの(というか秋田の)精神性はパンクそのものである。
そのパンク精神というか、直接言及こそしないが、それを匂わせるのが次の、「トマーゾとヨハンが訪れた、他の星のために光を生産する星では、光の生産工場で事故が起こると、作業員が全員死んでしまう」という朗読。
前回も触れたが、これは明らかに原発のことを言っていると思う。そのあとに演奏された「古いSF映画」の、
「僕らが愛した故郷が 殺されてしまうかもしれない」
というフレーズは、ここまでとは明らかに違うのがわかるくらいに感情を込めて歌っていた。もっと言いたいこともたくさんあるんだろうか。
ここでいったん秋田以外のメンバーがステージを去ると、ステージの筒から炎が噴き出す中、秋田が1人で弾き語りする「カルマ」。この広い中野サンプラザのホールの中を、アコースティックギターの音と、秋田の力強い声のみが響く。そんなシンプル極まりないサウンドだが、見ていて本当に引き込まれるくらいに、秋田の歌唱がすごかった。
物語はいよいよ佳境に。トマーゾとヨハンが訪れた、トマーゾの故郷によく似た小さな星。そこで葬列を目にしたトマーゾが葬儀が行われている会場に入ると、祭壇の遺影にはヨハンの顔が写っており、振り返るともうそこにヨハンの姿はなく、崩れ落ちて泣き叫ぶトマーゾ…この朗読のあとには、その内容そのもののような、「ひろ」「夏を待っていました」という、「死んだ友達」がテーマになっている2曲が続けて演奏された。「ひろ」は秋田と豊川の2人だけで演奏され、秋田はギターを弾くことなく、会場に響くのはピアノの音と秋田の声だけ。
そして、去年のライブ時にはリリースどころか(前回は「ひろ」も「スターライト」もリリースされる前だった)、存在すらなかった、今年リリースされた最新シングル曲「季節は次々死んでいく」もこのストリングスを加えたアレンジで演奏される。まだライブでは演奏されていない曲だが、このアレンジで演奏されるのをライブで見るのはこの日限りになってしまうんだろうか?他の曲とは違ってそこまでBPMを落とした感じではなかったアレンジだったが。
何度もフェードアウトしていきそうでいて、なかなかフェードアウトせずにちゃんと最後まで演奏されるも、途中でまた秋田が歌詞が飛んでしまった「美しき思い出」を終えると、最後の朗読。
冒頭の、トマーゾとヨハンが訪ねた、パソコンの前に座っている男=トマーゾが主観で、トマーゾとヨハンが訪問者という逆の視点。この物語はトマーゾがパソコンに向かって打ち込んでいる小説であり、トマーゾはヨハンの死からずっと部屋に閉じこもっていたのだが、物語を経たあとだからこそヨハンが、
「ここにいちゃダメだ」
と言い、その一言がきっかけで2年ぶりにトマーゾは家から外に出て行くというエンディング。
その物語の最後に演奏されるのはもちろん、「スターライト」。スクリーンには銀河鉄道が夜空を走り抜けて行く映像が映し出される中、CDほどアッパーなサウンドではなく、むしろストリングスが入ったことにより壮大なサウンドとなって、物語を締めくくった。
演奏の残響が止まってメンバーがステージを去ると、冒頭の映像の時と同様に、宮沢賢治の曲が流れる中、スクリーンにはエンドロールが流れ、終わるまで一貫して鳴り止まない拍手。
こうして、2度目の一夜限りの「あまざらし」名義でのプレミアムライブは幕を閉じた。
「あまざらし」名義のライブは前回のも見ているだけに、物語の内容も、選曲もほぼわかっているが、それでもまた見たくなる。これは全編ノーカットで収録するべき。
5月にリリースされるアコースティックアルバムに去年の「あまざらし」名義のライブの映像のDVDがつくらしいが、果たしてどのように収録されているのだろうか。そしてやはりそのアコースティックアルバムの収録曲を見た限り、この「あまざらし」名義でのアレンジになるのだろうか。
-朗読-
1.光、再考
2.ムカデ
3.空っぽの空に潰される
-朗読-
4.隅田川
5.無題
6.さくら
7.ドブネズミ
-朗読-
8.つじつま合わせに生まれた僕ら
9.古いSF映画
10.カルマ
-朗読-
11.ひろ
12.夏を待っていました
13.季節は次々死んでいく
14.美しき思い出
-朗読-
15.スターライト
季節は次々死んでいく
http://youtu.be/wtJcLWeY114
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