黒木渚 対バンツアー 「六人一首」 w/片平里菜 @LIQUID ROOM 1/20
- 2015/01/20
- 14:07
昨年リリースのフルアルバム「標本箱」が大傑作だった黒木渚(自分の年間ベストディスクで3位に選出させていただきました)、久々のツアーは対バン。
名古屋では髭、大阪ではSuck a Stew Dryと、昨年末から行われてきた、幅広い出演者との対バンツアーのファイナルのゲストは、アジカンのNANO-MUGENへの出演や、東北ライブハウス大作戦への活動でも知られる片平里菜。
平日ということもあってか、去年渋谷公会堂でワンマンをやったアーティストのライブにしては客席は空き気味。(渋谷公会堂も完売してなかったけど)
・片平里菜
先攻、ゲストの片平里菜。1人で登場してアコギを爪弾きながら「amazing sky」を歌い始める。
この人のライブを見るのはデビュー直後のNANO-MUGEN2012以来なのだが(その時はバンドメンバーとしてアジカンの喜多と山田が参加していた)、当時よりも圧倒的に歌が上手くなり、声と佇まいに力強さを増しているのが一瞬でわかるくらいの成長ぶり。アルバムリリースとツアー、様々な強者アーティストとの対バンという経験を積んだことによるものだろう。
「女の子は泣かない」からは、ギター、ベース、キーボード、ドラムのバンドメンバーも合流。曲中に、
「新木場、元気ですかー!」
と叫ぶも、ここは恵比寿であり、すぐさま間違えたことに気付く。なぜ新木場と間違えたのかは本人もわからないらしいが、本人は新木場を東京じゃないとまで思っていたらしい。
「Hey boy!」では手拍子とコール&レスポンスも行うが、客席の大半が男性であるからか、人数の割に手拍子の音がでかく、レスポンスの歌声もかなり野太い。コール&レスポンスの内容は曲の歌詞なのだが、
「虎視眈々と!淡々と!」
と、黒木渚の最新シングルのタイトルも何故かヒップホップ調になりながらレスポンスさせる。
中盤には来月リリースされるニューシングルの曲も演奏。バンドメンバーがキーボーディストだけになり、そのキーボーディストがスティールギターを弾き、片平が歌う、タバコを吸う男とのラブソング「煙たい」、バンドメンバーが戻り、人間の普遍性をテーマにしているイメージ(一回聴いただけだから歌詞の詳細まではわからないけど)の「誰もが」を続けて披露する。
「Come Back Home」では再び観客にコーラスを歌わせると、ここでバンドメンバーがステージを去り、片平1人に。おもむろにアコギを持つと、マイクスタンドから離れ、アンプも通さず、生声、生音で「最高の仕打ち」を弾き語る。マイクを通さずともリキッドの会場に響き渡る歌声は圧巻の一言。まだ22歳、デビューして数年という期間で、本当に素晴らしいボーカリストに成長した。
1.amazing sky
2.女の子は泣かない
3.Hey boy!
4.小石は蹴飛ばして
5.CROSS ROAD
6.煙たい
7.誰もが
8.Oh JANE
9.Come Back Home
10.最高の仕打ち
女の子は泣かない
http://youtu.be/6DRYcobqWho
・黒木渚
メインの黒木渚。先にバンドメンバーが登場したのだが、ベースが前ツアーの「手袋をしたベーシスト」こと佐藤研二(マルコシアス・バンプ)から、デビュー作のプロデューサーであり、Coccoとの仕事で有名な根岸孝旨に変わっており、前ツアーではいなかったキーボーディストも加わっている。
ギターの井手上誠とドラムのマシータ(ex.BEAT CRUSADERS)は前ツアーからそのまま。
メンバーが先に音を鳴らし始めると、途中でドレス姿の黒木渚が登場。ギターを構えると、
「この60分だけでいい、黒木渚をあなたの中の大本命にしてください!」
と言い、去年の傑作アルバム「標本箱」のリード曲「革命」からスタート。やや序盤は声が絶好調とは言い難いような、伸びを欠いているようなイメージ。しかしながらギターの井手上は、のっけから飛び跳ねまくり、明らかにステージ上での動きは挙動不審(ソロを弾く時に白目を剥くらしい)なのだが、演奏自体はめちゃくちゃ上手い。
また、キーボーディストが加わったことで、楽曲の再現度が上がり、音色も豊かになっている。
「片平里菜ちゃん、キャタピラーって呼ばれてるんでしょ?私はポケモン世代だから、キャタピラーっていうとポケモンのキャタピラーが浮かぶんだけど、あの進化すると蝶になるやつね。私はさなぎだから、コクーン。得意技は、かたくなる(笑)
でも、なんで里菜ちゃんがこんなにみんなに愛されてるのか、この前里菜ちゃんのラジオに出てわかった。里菜ちゃん、本当に可愛い!しかも素直な良い子。私は弟がいるんだけど、もし妹がいたら絶対里菜ちゃんがいい!」
と、このツアーファイナルに出てくれた片平里菜への愛を語る。
この日は最新シングル「虎視眈々と淡々と」のフラゲ日ということで、収録曲も披露される。
「前にサイン会に臨月の妊婦さんが来てくれて。中にいる子に一言かけてください、って言われた時に、ようこそ世界へ、って言って。その自分で言った言葉がずっと残ってた」
というエピソードが語られた「ようこそ世界へ」はまさに躍動感を感じる、タイトル曲になっていてもおかしくないような曲。「お腹の中の子に贈るには激しくなっちゃったけど(笑)」とは本人の弁。
聴かせる初恋を歌ったラブソング「窓」を終えると、マシータと根岸のリズム隊がいったんステージを去り、ギターとキーボードで演奏されたのは、冒頭で黒木渚が言った言葉がタイトルになっている「大本命」。この曲は去年、いろんなフェスに出演した際、たくさんのアーティストが出ている中で黒木渚を選んでくれた人たちへの想いを曲にしたとのこと。
この日は「はさみ」が演奏されなかったため、リズム隊がいないサウンドというのもあって、この曲が1番の聴き入りポイントとなった。
マシータと根岸が再び合流し、ここまではハンドマイクで歌う場面が多かった黒木渚もギターを弾く、デビュー作収録の「あたしの心臓あげる」のアウトロからそのままつながる形でイントロに入り、
「世界と本気で向き合うと、どんどん自分がすり減っていく。だから私は、勝手に生きることにした。
(中略)虎視眈々と、生きることにした!」
と、長い尺のライブでは定番となっている、黒木渚の朗読が決意表明のように響いたあとに演奏されたのは、シングルのタイトル曲「虎視眈々と淡々と」。やはりキーボードのメロディが華やかな、ロックなサウンドでありながらもポップさが溢れている、黒木渚の持ち味が遺憾無く発揮された曲。
ちなみにシングルにはQRコードが入っており、そこから黒木渚の小説が読めるサイトに行けるらしい。
「まだまだ行けるでしょ、リキッド!」
と、黒木渚が先導するように煽り、終盤は「フラフープ」でタオルを回し、
「好き!嫌い!生きる!死ぬ!」
のコール&レスポンスも。やはりほぼ声は男性のもので、倍くらいの人数がいるんじゃないかというくらいに大きな声が響く。
そしてラストは屈強なバンドメンバーの演奏が爆発しまくりのロックナンバー「テーマ」。しかしそんな曲の歌詞がセクシャルな内容なのが実に黒木渚である。
アンコールでは本編とは逆に、先にツアーTシャツに着替えた黒木渚が登場し、女性の観客が、
「(今日のライブ)めっちゃ良かった!」
と言うと、
「ありがとう!私が死んだら私の遺産はあなたにあげます!(笑)」
と答えて笑わせ、バンドメンバーを1人ずつ紹介しながら呼び込み(メンバーも全員ツアーTシャツ着用)、
「人間は死ぬと火葬場に送られ、骨になります。でも、私はそうじゃないと思う。骨になっても、残るものー」
と言って、デビュー作収録の「骨」を演奏して終了。
「死んだあとでも楽しめるように 墓石に点数を彫ろう」
という歌い出しは初めて聴いた時は衝撃だったが、そんな歌詞をここまでポップなメロディとキラキラしたサウンドに乗せたのもまた衝撃的だった。デビュー当時はスリーピースバンドだったが、今でもこの曲は黒木渚の核になっている曲だと思う。
しかし、あれだけ去年の「標本箱」が傑作で、ライブも本当にいいにも関わらず、平日とはいえ、去年渋公ワンマンをやっているのにリキッドルームがソールドアウトしないとは…。自分の中ではメレンゲとOverTheDogsが過小評価されてるアーティストの2トップだが、黒木渚もそうなりつつある。
でも、このまま世間が評価しなかったとしても、「標本箱」を聴いた時から、自分の中では、黒木渚が女性アーティストの大本命。
4月の東京グローブ座でのワンマン、普段はミュージカルやオペラで使われている会場だということで、黒木渚ならではのライブをやってくれそう。
1.革命
2.マトリョーシカ
3.クマリ
4.金魚姫
5.ようこそ世界へ
6.窓
7.大本命
8.あたしの心臓あげる
9.虎視眈々と淡々と
10.フラフープ
11.テーマ
encore
12.骨
虎視眈々と淡々と
http://youtu.be/8vMhe90s29k
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名古屋では髭、大阪ではSuck a Stew Dryと、昨年末から行われてきた、幅広い出演者との対バンツアーのファイナルのゲストは、アジカンのNANO-MUGENへの出演や、東北ライブハウス大作戦への活動でも知られる片平里菜。
平日ということもあってか、去年渋谷公会堂でワンマンをやったアーティストのライブにしては客席は空き気味。(渋谷公会堂も完売してなかったけど)
・片平里菜
先攻、ゲストの片平里菜。1人で登場してアコギを爪弾きながら「amazing sky」を歌い始める。
この人のライブを見るのはデビュー直後のNANO-MUGEN2012以来なのだが(その時はバンドメンバーとしてアジカンの喜多と山田が参加していた)、当時よりも圧倒的に歌が上手くなり、声と佇まいに力強さを増しているのが一瞬でわかるくらいの成長ぶり。アルバムリリースとツアー、様々な強者アーティストとの対バンという経験を積んだことによるものだろう。
「女の子は泣かない」からは、ギター、ベース、キーボード、ドラムのバンドメンバーも合流。曲中に、
「新木場、元気ですかー!」
と叫ぶも、ここは恵比寿であり、すぐさま間違えたことに気付く。なぜ新木場と間違えたのかは本人もわからないらしいが、本人は新木場を東京じゃないとまで思っていたらしい。
「Hey boy!」では手拍子とコール&レスポンスも行うが、客席の大半が男性であるからか、人数の割に手拍子の音がでかく、レスポンスの歌声もかなり野太い。コール&レスポンスの内容は曲の歌詞なのだが、
「虎視眈々と!淡々と!」
と、黒木渚の最新シングルのタイトルも何故かヒップホップ調になりながらレスポンスさせる。
中盤には来月リリースされるニューシングルの曲も演奏。バンドメンバーがキーボーディストだけになり、そのキーボーディストがスティールギターを弾き、片平が歌う、タバコを吸う男とのラブソング「煙たい」、バンドメンバーが戻り、人間の普遍性をテーマにしているイメージ(一回聴いただけだから歌詞の詳細まではわからないけど)の「誰もが」を続けて披露する。
「Come Back Home」では再び観客にコーラスを歌わせると、ここでバンドメンバーがステージを去り、片平1人に。おもむろにアコギを持つと、マイクスタンドから離れ、アンプも通さず、生声、生音で「最高の仕打ち」を弾き語る。マイクを通さずともリキッドの会場に響き渡る歌声は圧巻の一言。まだ22歳、デビューして数年という期間で、本当に素晴らしいボーカリストに成長した。
1.amazing sky
2.女の子は泣かない
3.Hey boy!
4.小石は蹴飛ばして
5.CROSS ROAD
6.煙たい
7.誰もが
8.Oh JANE
9.Come Back Home
10.最高の仕打ち
女の子は泣かない
http://youtu.be/6DRYcobqWho
・黒木渚
メインの黒木渚。先にバンドメンバーが登場したのだが、ベースが前ツアーの「手袋をしたベーシスト」こと佐藤研二(マルコシアス・バンプ)から、デビュー作のプロデューサーであり、Coccoとの仕事で有名な根岸孝旨に変わっており、前ツアーではいなかったキーボーディストも加わっている。
ギターの井手上誠とドラムのマシータ(ex.BEAT CRUSADERS)は前ツアーからそのまま。
メンバーが先に音を鳴らし始めると、途中でドレス姿の黒木渚が登場。ギターを構えると、
「この60分だけでいい、黒木渚をあなたの中の大本命にしてください!」
と言い、去年の傑作アルバム「標本箱」のリード曲「革命」からスタート。やや序盤は声が絶好調とは言い難いような、伸びを欠いているようなイメージ。しかしながらギターの井手上は、のっけから飛び跳ねまくり、明らかにステージ上での動きは挙動不審(ソロを弾く時に白目を剥くらしい)なのだが、演奏自体はめちゃくちゃ上手い。
また、キーボーディストが加わったことで、楽曲の再現度が上がり、音色も豊かになっている。
「片平里菜ちゃん、キャタピラーって呼ばれてるんでしょ?私はポケモン世代だから、キャタピラーっていうとポケモンのキャタピラーが浮かぶんだけど、あの進化すると蝶になるやつね。私はさなぎだから、コクーン。得意技は、かたくなる(笑)
でも、なんで里菜ちゃんがこんなにみんなに愛されてるのか、この前里菜ちゃんのラジオに出てわかった。里菜ちゃん、本当に可愛い!しかも素直な良い子。私は弟がいるんだけど、もし妹がいたら絶対里菜ちゃんがいい!」
と、このツアーファイナルに出てくれた片平里菜への愛を語る。
この日は最新シングル「虎視眈々と淡々と」のフラゲ日ということで、収録曲も披露される。
「前にサイン会に臨月の妊婦さんが来てくれて。中にいる子に一言かけてください、って言われた時に、ようこそ世界へ、って言って。その自分で言った言葉がずっと残ってた」
というエピソードが語られた「ようこそ世界へ」はまさに躍動感を感じる、タイトル曲になっていてもおかしくないような曲。「お腹の中の子に贈るには激しくなっちゃったけど(笑)」とは本人の弁。
聴かせる初恋を歌ったラブソング「窓」を終えると、マシータと根岸のリズム隊がいったんステージを去り、ギターとキーボードで演奏されたのは、冒頭で黒木渚が言った言葉がタイトルになっている「大本命」。この曲は去年、いろんなフェスに出演した際、たくさんのアーティストが出ている中で黒木渚を選んでくれた人たちへの想いを曲にしたとのこと。
この日は「はさみ」が演奏されなかったため、リズム隊がいないサウンドというのもあって、この曲が1番の聴き入りポイントとなった。
マシータと根岸が再び合流し、ここまではハンドマイクで歌う場面が多かった黒木渚もギターを弾く、デビュー作収録の「あたしの心臓あげる」のアウトロからそのままつながる形でイントロに入り、
「世界と本気で向き合うと、どんどん自分がすり減っていく。だから私は、勝手に生きることにした。
(中略)虎視眈々と、生きることにした!」
と、長い尺のライブでは定番となっている、黒木渚の朗読が決意表明のように響いたあとに演奏されたのは、シングルのタイトル曲「虎視眈々と淡々と」。やはりキーボードのメロディが華やかな、ロックなサウンドでありながらもポップさが溢れている、黒木渚の持ち味が遺憾無く発揮された曲。
ちなみにシングルにはQRコードが入っており、そこから黒木渚の小説が読めるサイトに行けるらしい。
「まだまだ行けるでしょ、リキッド!」
と、黒木渚が先導するように煽り、終盤は「フラフープ」でタオルを回し、
「好き!嫌い!生きる!死ぬ!」
のコール&レスポンスも。やはりほぼ声は男性のもので、倍くらいの人数がいるんじゃないかというくらいに大きな声が響く。
そしてラストは屈強なバンドメンバーの演奏が爆発しまくりのロックナンバー「テーマ」。しかしそんな曲の歌詞がセクシャルな内容なのが実に黒木渚である。
アンコールでは本編とは逆に、先にツアーTシャツに着替えた黒木渚が登場し、女性の観客が、
「(今日のライブ)めっちゃ良かった!」
と言うと、
「ありがとう!私が死んだら私の遺産はあなたにあげます!(笑)」
と答えて笑わせ、バンドメンバーを1人ずつ紹介しながら呼び込み(メンバーも全員ツアーTシャツ着用)、
「人間は死ぬと火葬場に送られ、骨になります。でも、私はそうじゃないと思う。骨になっても、残るものー」
と言って、デビュー作収録の「骨」を演奏して終了。
「死んだあとでも楽しめるように 墓石に点数を彫ろう」
という歌い出しは初めて聴いた時は衝撃だったが、そんな歌詞をここまでポップなメロディとキラキラしたサウンドに乗せたのもまた衝撃的だった。デビュー当時はスリーピースバンドだったが、今でもこの曲は黒木渚の核になっている曲だと思う。
しかし、あれだけ去年の「標本箱」が傑作で、ライブも本当にいいにも関わらず、平日とはいえ、去年渋公ワンマンをやっているのにリキッドルームがソールドアウトしないとは…。自分の中ではメレンゲとOverTheDogsが過小評価されてるアーティストの2トップだが、黒木渚もそうなりつつある。
でも、このまま世間が評価しなかったとしても、「標本箱」を聴いた時から、自分の中では、黒木渚が女性アーティストの大本命。
4月の東京グローブ座でのワンマン、普段はミュージカルやオペラで使われている会場だということで、黒木渚ならではのライブをやってくれそう。
1.革命
2.マトリョーシカ
3.クマリ
4.金魚姫
5.ようこそ世界へ
6.窓
7.大本命
8.あたしの心臓あげる
9.虎視眈々と淡々と
10.フラフープ
11.テーマ
encore
12.骨
虎視眈々と淡々と
http://youtu.be/8vMhe90s29k
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