共にSUPERCARとNUMBER GIRLのボーカルとして90年代後半から00年代前半までの日本のロックシーン、そして今に至るまで多大な影響を与えている、ナカコーと向井秀徳。
現在の各々の活動のメインである、Koji NakamuraとZAZEN BOYSの組み合わせで、新宿LOFTのイベントでガッツリ2マン。ナカコーはLAMAの結成初ライブでも向井のユニット、KIMONOSと対バンしている。
ソールドアウトしてるだけあり、人入れ過ぎで暑すぎる状況の中、19:30過ぎという遅めの時間設定の中で先攻のKoji Nakamura登場。
・Koji Nakamura
ふらっとナカコー、田渕ひさ子(ギター)、345(ベース)、沼澤尚(ドラム)というもはやおなじみのメンバーが登場。
ナカコーがメンバー紹介をしてから、メンバー各々が音を鳴らし始めると、1曲目はLAMAのノイジーなギターサウンドの「Know Your Rights」。だいたい序盤はインスト曲でじっくり始めるか、「White Surf Style 5.」でいきなり上げるかのパターンだが、曲こそ毎回やっているものではあれど、そのどちらのパターンでもない。
すると一転してダークなサウンドの、SUPERCARの「ROLLIN' ROLLIN'」。ラストアルバム「ANSWER」に収録されていた曲だが、この曲、SUPERCAR時代にも演奏されたことがあっただろうか?
SUPERCARに比べるとあまり評価されていないが、実は名曲が多いiLLの曲(前回のライブでもやった「Scum」は345のベースと沼澤のドラムの絡みがめちゃくちゃカッコいい)、初期SUPERCARのノイジーなギターサウンドの曲など(「Jet Bee Town」の沼澤のダダダというスネアの連打は何度聴いてもたまらない)、これまでのナカコーのキャリアを総括するようなセトリなのはいつもと変わらないが、この編成でライブを重ねてきたこともあってか、バンド感が毎回毎回確実に増している。
ただ、ナカコーは時々、「歌ってるのか?」と思うくらいに声が聞こえないところもあったけど。
「新しいアルバムから、何曲か。新しいって言ってももう去年のだけど」
と言うと、昨年のKoji Nakamura名義でのアルバム「Masterpiece」からの曲を演奏。ナカコーがハンドマイクで歌唱に専念する「Diamond」はもはやナカコーの代表曲の1つと言っていい。
打ち込みのイントロが流れると大歓声が上がったのは、SUPERCARの「AOHARU YOUTH」。この曲を聴けることに歓喜する我々SUPERCARファンは、いつまで経っても青い春の中。
こちらもイントロが打ち込みの、「ANSWER」からの「GOLDEN MASTER KEY」を終えると、
「あと1曲やって帰ります。次はZAZENです」
と言い、この日は最後に「White Surf Style 5.」で、暑さすら感じるLOFTの中を爽やかな風が吹き抜けていくようなラスト。
大きな拍手に包まれながらステージを去るメンバーたち。今年も何度もライブを見たいし、やはりメンバーは違えど、こうしてSUPERCARの曲をライブで聴けるのは何より嬉しい。
1.Know Your Rights
2.ROLLIN' ROLLIN'
3.Merry Dance
4.WONDER WORD
5.Anemone
6.Dive
7.Jet Bee Town
8.Kiss
9.Scum
10.Rain
11.Diamond
12.Reaction Curve
13.AOHARU YOUTH
14.GOLDEN MASTER KEY
15.White Surf Style 5.
White Surf Style 5. (from DVD 「LAST LIVE完全版」)
http://youtu.be/qCloOnuCA2M
・ZAZEN BOYS
後攻はZAZEN BOYS。向井秀徳をはじめとするメンバーが登場すると、「破裂音の朝」からスタート。やはり凄まじい演奏。まさに6本の狂ったハガネの振動。
向井と吉田一郎(ベース)のキメの掛け声までもが聴こえてくる中、「HIMITSU GIRL'S TOP SECRET」では後半に吉田、カシオマン(ギター)、向井の順に、演奏をしないでリフを口ずさむのを重ねていく。もう1人でリフを口ずさんでるだけで笑えるのに、それが3人になってるんだから笑わざるを得ない。
おなじみの「RIFF MAN」も途中からアレンジしまくり、キメ入りまくりで、リズムに乗ろうとしても全然乗り切れない。
「女の股座」という歌詞が頻発する「感覚的にNG」は歌詞だけで笑えそうなので、早く歌詞を見ながら聴きたい曲。
「COLD BEAT」も後半は向井が指揮者のようになり、メンバーの演奏を操り、チャルメラの音色をキーボードで奏でるなどやりたい放題。ライブ中は向井は焼酎を飲んでいたのだが、曲間に自分で飲み終わったコップに焼酎をついで次の一杯を作製。
やたらと長いアドリブ歌唱を連発しまくった「泥沼」では、ヒップホップ調に急展開したり、途中に「ポテトサラダ」「Honnouji」もメドレー形式で挟んでくる。このあたりのアレンジはさすがとしか言えない。
「はあとぶれいく」では向井がマイクスタンドのマイクを掴み、直立不動で歌うかと思いきや、途中でドラムセットに上り、シャツをズボンに入れ、腕まくり、襟を立てるという奇怪な出で立ちで歌う様に笑いを誘われるが、あれはいったいなんの意味があったのか。
ラストの寂寞感を感じさせる打ち込みが流れる「Asobi」では、カシオマンがギターを置いてダンスを踊りまくり、おなじみの砂の入った焼酎の空ボトルを振りまくるという、最後まで各メンバーに笑わされっぱなしで終了。
しかし、こんなに演奏が凄まじいのに、こんなに見ていて笑えるバンドは他にまずいない。
アンコールでは、ZAZENのメンバーとともに、まさかのナカコーが登場。
ナカコー「何?どうしたいの?(笑)」
向井「何も考えてません(笑)」
と、ナカコーがギターで向井はボーカルという形態でのセッションを展開。
BPM140で向井のギターを弾くナカコーがハガネのような音を繰り出したかと思えば、急に南国風のサウンドに変わったりと、自由過ぎるセッション。ZAZENのメンバーが完璧についていくのもさすが。ナカコーの表情も本当に楽しそうだが、やはりかつてよりは太った感じは否めない。
向井が
「6本の狂ったハガネの振動
よみがえる性的衝動」
というおなじみの口上を唱え、
「新宿シティー、乾杯!」
と、一夜限りのセッションを締めた。1番最後にステージから去った、ドラムの「柔道二段」松下敦の言葉は、
「今年もよろしく!」
と、見た目からは想像できないほどに爽やかなものだった。
次にナカコーと向井が対バンする時は、iLLのコラボレーションアルバムに向井が参加した、「死ぬまでDANCE」も是非やってほしいところ。
1.破裂音の朝
2.HIMITSU GIRL'S TOP SECRET
3.RIFF MAN
4.TANUKI
5.感覚的にNG
6.COLD BEAT
7.Don't Beat
8.泥沼
9.はあとぶれいく
10.Asobi
encore
11.何にも考えてない歌舞伎町セッション w/ ナカコー
HIMITSU GIRL'S TOP SECRET
http://youtu.be/FXtI4zLSSaM
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