Getting Better presents ROCKA vol.2 @下北沢251 6/10
- 2018/06/10
- 23:38
かつてはROCK IN JAPAN FES.やCOUNTDOWN JAPANなどでもレギュラーであった、ロックDJチームGetting Betterの主催者である、片平実が新たに企画するライブイベント。
今回はThe Mirrazとavengers in sci-fiという、かつては自身とともに大型フェスの顔であり、ZeppやCOASTクラスのライブハウスでワンマンを行なっていたバンドを、Getting Betterの主戦場である下北沢に招聘。この2バンドをこうして下北沢で見るというのは、2000年代の後半にこのバンドたちがデビューした頃を思い出す。日曜日にもかかわらず開演が19時というのはDJイベント仕様なのだろうか。
今回は片平実がまずはDJとして開場時間中に観客を温めると、先攻はavengers in sci-fi。片平実のDJ中にメンバーがステージに登場すると、
「曲止まったけど、もうやるんですか?(笑)」
というロックバンドのライブの始まり方とは思えないくらいに緩いスタートだが、木幡太郎がギターを鳴らすと、グランジの影響が強い轟音サウンドが場内を支配する。
SNSなどへのテクノロジーの進化と、それを使いこなせない人間に警鐘を鳴らす「No Pain, No Youth」と、重心の低いサウンドでじっくりと体を揺らしていく。
昨年ライブ会場限定シングルとしてリリースされた「I Was Born To Dance With You」では木幡がハンドマイクで軽快なステップを踏みながら歌う。この場内で最も踊っているのはこの男である。
「Getting Better presentsというわりには、出演者がミイラズに寄っている(笑)」
と自分たちのアウェーっぷりを自虐すると、木幡がギターをスクラッチのように使う「Tokyo Techtonix」、ライブならではの曲と曲をつなぐダンスアレンジを施した、歌詞の発語感が実に面白い「E Z Funk」と、ここまでは「Dune」以降の現在のバンドのモードで押しまくっていくが、そんな中にごく初期の浮遊感溢れるダンスチューン「speed of love」が挟まれる。去年Yap!!!のツアーに招かれた際に石毛輝がリクエストした曲でもあるのだが、その時に現在のモードの中に入れても違和感がないと感じたのだろうか。それとも片平実なり、ミイラズの畠山なりもこの曲を好きだったりするのだろうか。
「雨って嫌ですよね。雨が降ると髪がちん毛みたいになっちゃうんで(笑)」
と木幡が天然パーマならではの梅雨の時期の悩みを下ネタまじりに口にすると、なぜか長谷川に
「ちん毛生えたの何歳の時?(笑)」
と振り、長谷川も困惑気味。そんなやり取りのせいか、稲見は通常のボーカルマイク(エフェクトをかけない方)が音が出なくなるというアクシデントに見舞われ、普段は2本を使い分けるのを1本で歌うことに。
そして終盤は3人がドラムセットの前に集まって音を合わせる「Dune」から再び轟音ギターサウンドへ。もはやかつての高速ダンスロック、ディスコパンクでフェスを盛り上げまくっていた頃とは完全に別バンドというくらいのサウンドの変遷っぷりだが、この「グランジ×ダンスミュージック」というスタイルをやっているバンドは他に全く思いつかないだけに、アベンズは自分たちだけのサウンドを長い活動の中で確立したのである。
また、それを活かしているのは、かつてダンスロックバンドの中では圧倒的に音が強く重かった長谷川のドラム。ダンスミュージックを取り入れるバンドにおいては重さや強さよりも正確無比な手数の多さ(ある意味機械的にならざるを得ないくらいの)が求められるが、その時代に自分のスタイルを曲げたり変えたりしなかったからこそ、現在のサウンドに最も合う形のドラムになっている。それは当時から意図していたものではなかったかもしれないが。
ラストは「I Was Born To Dance With You」に収録された、リズムやビートやグルーヴではなく、このバンドの歴史において初めてなんじゃないかと思うくらいに「歌とメロディ」に焦点を当てた「Indigo」。それは、かつての狂騒的な空間の中ではわからなかった、実はこのバンドは美しいメロディを備えているバンドであるということを証明しているかのようであった。
1.Vaper Trail
2.No Pain, No Youth
3.I Was Born To Dance With You
4.Tokyo Techtonix
5.E Z Funk
6.speed of love
7.Dune
8.Citizen Song
9.Indigo
I Was Born To Dance With You
https://youtu.be/E3ZFcrSOHSY
転換中にDJブースに登場したのは、ミイラズのマスコットキャラクターである、キノイくん。かつてミイラズがドラマー不在期にはライブでもDJでステージに立っていたが、DJオンリーというのは初めてのことである。
EDMを取り入れた時期のミイラズの曲をノンストップに繋ぐという、明らかにDJのセンスと技術を持っているのだが、サイリウムを持って踊ったり、首を360°回転させたりという、マスコットにあらぬようなパフォーマンスを展開。その正体は…。
そして後攻のミイラズ。畠山はバスケ選手のユニフォーム(全く知識がないから誰のだかわからないけど)を着てサングラス着用で登場すると、いきなり「レディース&ジェントルマン」でスタートし、「僕はスーパーマン」と初期のArctic Monkeysの影響が強い、リフメインのギターロックで攻めまくるのだが、ギターの音が超轟音。これはアベンズのサウンドに合わせたものなのか、この会場の音響システム特有のものなのか。いずれにせよ畠山も真彦も思いっきりギターをかき鳴らしている。
ミイラズは近年はワンマンでは(というかワンマンくらいしかライブがない)曲と曲の合間を極力排除して、ひたすらに曲を連発するというスタイルなのだが、こうした対バンライブでもそれは変わらず、実にテンポよく曲を演奏していく。その中に初期の中でもことさらレアな「アナーキーサヴィヴァー」が入ったことによってファンは歓喜するのだが、それに続いて4月のワンマンではイントロだけ演奏するというフェイントをかけた「ラストダンスとファンデーション」も、この日はまのたかしのスネアの連打だけでなく、畠山が歌に入ってさらなる歓喜が。おそらくワンマン以降にも継続的にスタジオに入って練習していたのだろうが、今のミイラズは過去最高クラスにライブでできる曲が多いんじゃないだろうか。
そうして前半は初期のリフ曲が続いたのだが、さらに「ぶっこ」という激しいギターリフの極みのような曲や、「なんだっていい」というケイゾーと真彦のコーラスが大活躍する曲と、ワンマンよりははるかに持ち時間が短いはずのライブで、ワンマンでもそんなに演奏頻度が高くない曲を演奏する。こうしたセトリだと、ライブの本数自体は他のバンドに比べると今でも決して多くはないが、行ける限りはライブに足を運びたくなる。
もちろんそう思うのはセトリもそうだし、何よりもライブの内容が素晴らしいからなのだが、この日はアッパーなギターリフ曲メインということで、間違いなくその系譜に入る最新曲「格闘ゲーム」も実に違和感なくセトリに溶け込んでいく。
そして後半は代表曲にして定番曲の連発となるのだが、「バタフライエフェクト~」以降も基本的に定番曲の中でもリフメインの曲。これはDJキノイくんがEDM期の曲をかけていたからそれらの曲をセトリに入れなかったのだろうが、それによってこの日のミイラズは本当に「ロック」そのもの。流れも演奏も実にシャープで、時折ビールを口にしながら歌う畠山はさすがに曲の連発っぷりがハイペース過ぎたのか、「僕らは」では少し声がキツそうに感じるところもあったが、そう感じたのはこの曲くらいで、そのまま崩れたりグダグダになったり、長い合間を挟むこともせず、しっかりと持ち直す術を会得している。
おなじみの「CANのジャケット~」の凄まじい仕上がりっぷりで本編を終えると、アンコールでは畠山がだいぶ年上なはずの片平実をなぜかずっと呼び捨てにしている、というふてぶてしさが垣間見える会話から、
畠山「対バンライブってアンコールあるんだね。もうアベンズがアンコールやればいいんじゃね?(笑)このセット使って(笑)」
と言うと、物販スペースにいたアベンズの3人が急遽ステージに上がり、
稲見「このエフェクター気になってたんだよな~。カッコいい!」
木幡「あれ?これエフェクターないの!?」
畠山「俺のはアンプ直だからめっちゃ音いいよ(笑)明日からエフェクター使えなくなるよ(笑)」
とマジでミイラズのメンバーの機材を使い、まさかの「Homosapiens Experience」のシンセや打ち込みやギターエフェクトを一切使わない、完全なるパンクアレンジで演奏。かつてはバンドの代名詞的な存在だったこの曲も、今ではすっかりライブで聴くことができなくなってしまったが、まさかこんな形で聴くことになるとは。確かに今のアベンズのモードとはかけ離れている曲かもしれないけど、こうして削ぎ落とされた形で聴いても、やっぱり素晴らしい名曲であり、日本のダンスロックのアンセムの一つ。この曲が収録されたアルバム「SCIENCE ROCK」が世に出て、いきなりフェスで入場規制連発になった、階段を駆け上がり始めた時のことを思い出さずにはいられなかった。この瞬間、この機会を作ってくれたミイラズに最大限の感謝。いつもいつも本当に感謝しているけど、こうして対バン相手のいつも見れない面を引き出してくれるというのはワンマンでは見れないだけに、その感謝の大きさはいつもより大きいかもしれない。
そしてラストは主催者の片平実をステージに招いて…と思いきや、ステージに現れたのはDJキノイくん。やはりあの巧みなDJセンスはこの男によるものだったのである。その片平実がミイラズの中で1番好きな曲だという「ミラーボールが回り出したら」を客席ではミラーボールが回る中で演奏し、DJキノイくんも踊りまくり、ミラーボールのように頭をぐるぐる回転させるというパフォーマンスで盛り上げると、
「Getting Better、avengers in sci-fiありがとう!大好きだよ!」
と畠山が満面の笑みで叫んだ。本当にこの日出演した3組がより一層好きになるような一夜だった。
2年くらい前まで、ミイラズはワンマンくらいしかライブがなかった。そもそもワンマンの本数も多くなかった。他のバンドやイベント、フェスから全くライブに誘われなくなっていたのである。そこにはもしかしたら独立という後ろ盾がなくなったという事情や、普通にライブ中にキレたりしていたバンド側に問題があったのかもしれない。だからファンはライブを見れる機会が本当に少なかったし、聴ける曲も少なかった。
でも今はこうして片平実という先輩やアベンズという同士が損得勘定なしで同じステージに立ち、大阪ではZanto(キャリア的には先輩になるのか後輩なのか難しいメンバーたちだが)、先日はtetoというミイラズを聴いて育ってきたであろう後輩が対バンに呼んでくれていて、CDJに続いてロッキンにも帰ってくる。今のミイラズを応援してくれる人が、客席以外にもたくさんいて、今のミイラズのライブをたくさんの人に見てもらえる舞台を用意してくれている。
今のミイラズはそういう人たちの期待を裏切るようなことは絶対にしないし、全然存在や曲を知らない人がライブを見ても「カッコいい」と思えるバンドに間違いなくなれている。そうしていろんなところでライブを重ねれば、ミイラズを見たいと思う人は確実に増える。そうすればもっといろんなところから声がかかるようになる。これから、今よりもっと忙しくなるはず。まずは月末に始まるツアーから。今の状況をひっくり返しに行こうぜ。
1.レディース&ジェントルマン
2.僕はスーパーマン
3.ふぁっきゅー
4.Get Money
5.アナーキーサヴィヴァー
6.ラストダンスとファンデーション
7.ぶっこ
8.なんだっていい ///////////////
9.格闘ゲーム
10.バタフライエフェクトを語るくらいの善悪と頑なに選択を探すマエストロのとある一日
11.check it out! check it out! check it out! check it out!
12.ラストナンバー
13.スーパーフレア
14.僕らは
15.プロタゴニストの一日は
16.CANのジャケットのモンスターみたいのが現れて世界壊しちゃえばいい
encore
17.Homosapiens Experience (アベンズがミイラズの機材で演奏)
18.ミラーボールが回り出したら
格闘ゲーム
https://youtu.be/gLXDc57G6xg
Next→ 6/13 BRAHMAN × キュウソネコカミ @新木場STUDIO COAST
今回はThe Mirrazとavengers in sci-fiという、かつては自身とともに大型フェスの顔であり、ZeppやCOASTクラスのライブハウスでワンマンを行なっていたバンドを、Getting Betterの主戦場である下北沢に招聘。この2バンドをこうして下北沢で見るというのは、2000年代の後半にこのバンドたちがデビューした頃を思い出す。日曜日にもかかわらず開演が19時というのはDJイベント仕様なのだろうか。
今回は片平実がまずはDJとして開場時間中に観客を温めると、先攻はavengers in sci-fi。片平実のDJ中にメンバーがステージに登場すると、
「曲止まったけど、もうやるんですか?(笑)」
というロックバンドのライブの始まり方とは思えないくらいに緩いスタートだが、木幡太郎がギターを鳴らすと、グランジの影響が強い轟音サウンドが場内を支配する。
SNSなどへのテクノロジーの進化と、それを使いこなせない人間に警鐘を鳴らす「No Pain, No Youth」と、重心の低いサウンドでじっくりと体を揺らしていく。
昨年ライブ会場限定シングルとしてリリースされた「I Was Born To Dance With You」では木幡がハンドマイクで軽快なステップを踏みながら歌う。この場内で最も踊っているのはこの男である。
「Getting Better presentsというわりには、出演者がミイラズに寄っている(笑)」
と自分たちのアウェーっぷりを自虐すると、木幡がギターをスクラッチのように使う「Tokyo Techtonix」、ライブならではの曲と曲をつなぐダンスアレンジを施した、歌詞の発語感が実に面白い「E Z Funk」と、ここまでは「Dune」以降の現在のバンドのモードで押しまくっていくが、そんな中にごく初期の浮遊感溢れるダンスチューン「speed of love」が挟まれる。去年Yap!!!のツアーに招かれた際に石毛輝がリクエストした曲でもあるのだが、その時に現在のモードの中に入れても違和感がないと感じたのだろうか。それとも片平実なり、ミイラズの畠山なりもこの曲を好きだったりするのだろうか。
「雨って嫌ですよね。雨が降ると髪がちん毛みたいになっちゃうんで(笑)」
と木幡が天然パーマならではの梅雨の時期の悩みを下ネタまじりに口にすると、なぜか長谷川に
「ちん毛生えたの何歳の時?(笑)」
と振り、長谷川も困惑気味。そんなやり取りのせいか、稲見は通常のボーカルマイク(エフェクトをかけない方)が音が出なくなるというアクシデントに見舞われ、普段は2本を使い分けるのを1本で歌うことに。
そして終盤は3人がドラムセットの前に集まって音を合わせる「Dune」から再び轟音ギターサウンドへ。もはやかつての高速ダンスロック、ディスコパンクでフェスを盛り上げまくっていた頃とは完全に別バンドというくらいのサウンドの変遷っぷりだが、この「グランジ×ダンスミュージック」というスタイルをやっているバンドは他に全く思いつかないだけに、アベンズは自分たちだけのサウンドを長い活動の中で確立したのである。
また、それを活かしているのは、かつてダンスロックバンドの中では圧倒的に音が強く重かった長谷川のドラム。ダンスミュージックを取り入れるバンドにおいては重さや強さよりも正確無比な手数の多さ(ある意味機械的にならざるを得ないくらいの)が求められるが、その時代に自分のスタイルを曲げたり変えたりしなかったからこそ、現在のサウンドに最も合う形のドラムになっている。それは当時から意図していたものではなかったかもしれないが。
ラストは「I Was Born To Dance With You」に収録された、リズムやビートやグルーヴではなく、このバンドの歴史において初めてなんじゃないかと思うくらいに「歌とメロディ」に焦点を当てた「Indigo」。それは、かつての狂騒的な空間の中ではわからなかった、実はこのバンドは美しいメロディを備えているバンドであるということを証明しているかのようであった。
1.Vaper Trail
2.No Pain, No Youth
3.I Was Born To Dance With You
4.Tokyo Techtonix
5.E Z Funk
6.speed of love
7.Dune
8.Citizen Song
9.Indigo
I Was Born To Dance With You
https://youtu.be/E3ZFcrSOHSY
転換中にDJブースに登場したのは、ミイラズのマスコットキャラクターである、キノイくん。かつてミイラズがドラマー不在期にはライブでもDJでステージに立っていたが、DJオンリーというのは初めてのことである。
EDMを取り入れた時期のミイラズの曲をノンストップに繋ぐという、明らかにDJのセンスと技術を持っているのだが、サイリウムを持って踊ったり、首を360°回転させたりという、マスコットにあらぬようなパフォーマンスを展開。その正体は…。
そして後攻のミイラズ。畠山はバスケ選手のユニフォーム(全く知識がないから誰のだかわからないけど)を着てサングラス着用で登場すると、いきなり「レディース&ジェントルマン」でスタートし、「僕はスーパーマン」と初期のArctic Monkeysの影響が強い、リフメインのギターロックで攻めまくるのだが、ギターの音が超轟音。これはアベンズのサウンドに合わせたものなのか、この会場の音響システム特有のものなのか。いずれにせよ畠山も真彦も思いっきりギターをかき鳴らしている。
ミイラズは近年はワンマンでは(というかワンマンくらいしかライブがない)曲と曲の合間を極力排除して、ひたすらに曲を連発するというスタイルなのだが、こうした対バンライブでもそれは変わらず、実にテンポよく曲を演奏していく。その中に初期の中でもことさらレアな「アナーキーサヴィヴァー」が入ったことによってファンは歓喜するのだが、それに続いて4月のワンマンではイントロだけ演奏するというフェイントをかけた「ラストダンスとファンデーション」も、この日はまのたかしのスネアの連打だけでなく、畠山が歌に入ってさらなる歓喜が。おそらくワンマン以降にも継続的にスタジオに入って練習していたのだろうが、今のミイラズは過去最高クラスにライブでできる曲が多いんじゃないだろうか。
そうして前半は初期のリフ曲が続いたのだが、さらに「ぶっこ」という激しいギターリフの極みのような曲や、「なんだっていい」というケイゾーと真彦のコーラスが大活躍する曲と、ワンマンよりははるかに持ち時間が短いはずのライブで、ワンマンでもそんなに演奏頻度が高くない曲を演奏する。こうしたセトリだと、ライブの本数自体は他のバンドに比べると今でも決して多くはないが、行ける限りはライブに足を運びたくなる。
もちろんそう思うのはセトリもそうだし、何よりもライブの内容が素晴らしいからなのだが、この日はアッパーなギターリフ曲メインということで、間違いなくその系譜に入る最新曲「格闘ゲーム」も実に違和感なくセトリに溶け込んでいく。
そして後半は代表曲にして定番曲の連発となるのだが、「バタフライエフェクト~」以降も基本的に定番曲の中でもリフメインの曲。これはDJキノイくんがEDM期の曲をかけていたからそれらの曲をセトリに入れなかったのだろうが、それによってこの日のミイラズは本当に「ロック」そのもの。流れも演奏も実にシャープで、時折ビールを口にしながら歌う畠山はさすがに曲の連発っぷりがハイペース過ぎたのか、「僕らは」では少し声がキツそうに感じるところもあったが、そう感じたのはこの曲くらいで、そのまま崩れたりグダグダになったり、長い合間を挟むこともせず、しっかりと持ち直す術を会得している。
おなじみの「CANのジャケット~」の凄まじい仕上がりっぷりで本編を終えると、アンコールでは畠山がだいぶ年上なはずの片平実をなぜかずっと呼び捨てにしている、というふてぶてしさが垣間見える会話から、
畠山「対バンライブってアンコールあるんだね。もうアベンズがアンコールやればいいんじゃね?(笑)このセット使って(笑)」
と言うと、物販スペースにいたアベンズの3人が急遽ステージに上がり、
稲見「このエフェクター気になってたんだよな~。カッコいい!」
木幡「あれ?これエフェクターないの!?」
畠山「俺のはアンプ直だからめっちゃ音いいよ(笑)明日からエフェクター使えなくなるよ(笑)」
とマジでミイラズのメンバーの機材を使い、まさかの「Homosapiens Experience」のシンセや打ち込みやギターエフェクトを一切使わない、完全なるパンクアレンジで演奏。かつてはバンドの代名詞的な存在だったこの曲も、今ではすっかりライブで聴くことができなくなってしまったが、まさかこんな形で聴くことになるとは。確かに今のアベンズのモードとはかけ離れている曲かもしれないけど、こうして削ぎ落とされた形で聴いても、やっぱり素晴らしい名曲であり、日本のダンスロックのアンセムの一つ。この曲が収録されたアルバム「SCIENCE ROCK」が世に出て、いきなりフェスで入場規制連発になった、階段を駆け上がり始めた時のことを思い出さずにはいられなかった。この瞬間、この機会を作ってくれたミイラズに最大限の感謝。いつもいつも本当に感謝しているけど、こうして対バン相手のいつも見れない面を引き出してくれるというのはワンマンでは見れないだけに、その感謝の大きさはいつもより大きいかもしれない。
そしてラストは主催者の片平実をステージに招いて…と思いきや、ステージに現れたのはDJキノイくん。やはりあの巧みなDJセンスはこの男によるものだったのである。その片平実がミイラズの中で1番好きな曲だという「ミラーボールが回り出したら」を客席ではミラーボールが回る中で演奏し、DJキノイくんも踊りまくり、ミラーボールのように頭をぐるぐる回転させるというパフォーマンスで盛り上げると、
「Getting Better、avengers in sci-fiありがとう!大好きだよ!」
と畠山が満面の笑みで叫んだ。本当にこの日出演した3組がより一層好きになるような一夜だった。
2年くらい前まで、ミイラズはワンマンくらいしかライブがなかった。そもそもワンマンの本数も多くなかった。他のバンドやイベント、フェスから全くライブに誘われなくなっていたのである。そこにはもしかしたら独立という後ろ盾がなくなったという事情や、普通にライブ中にキレたりしていたバンド側に問題があったのかもしれない。だからファンはライブを見れる機会が本当に少なかったし、聴ける曲も少なかった。
でも今はこうして片平実という先輩やアベンズという同士が損得勘定なしで同じステージに立ち、大阪ではZanto(キャリア的には先輩になるのか後輩なのか難しいメンバーたちだが)、先日はtetoというミイラズを聴いて育ってきたであろう後輩が対バンに呼んでくれていて、CDJに続いてロッキンにも帰ってくる。今のミイラズを応援してくれる人が、客席以外にもたくさんいて、今のミイラズのライブをたくさんの人に見てもらえる舞台を用意してくれている。
今のミイラズはそういう人たちの期待を裏切るようなことは絶対にしないし、全然存在や曲を知らない人がライブを見ても「カッコいい」と思えるバンドに間違いなくなれている。そうしていろんなところでライブを重ねれば、ミイラズを見たいと思う人は確実に増える。そうすればもっといろんなところから声がかかるようになる。これから、今よりもっと忙しくなるはず。まずは月末に始まるツアーから。今の状況をひっくり返しに行こうぜ。
1.レディース&ジェントルマン
2.僕はスーパーマン
3.ふぁっきゅー
4.Get Money
5.アナーキーサヴィヴァー
6.ラストダンスとファンデーション
7.ぶっこ
8.なんだっていい ///////////////
9.格闘ゲーム
10.バタフライエフェクトを語るくらいの善悪と頑なに選択を探すマエストロのとある一日
11.check it out! check it out! check it out! check it out!
12.ラストナンバー
13.スーパーフレア
14.僕らは
15.プロタゴニストの一日は
16.CANのジャケットのモンスターみたいのが現れて世界壊しちゃえばいい
encore
17.Homosapiens Experience (アベンズがミイラズの機材で演奏)
18.ミラーボールが回り出したら
格闘ゲーム
https://youtu.be/gLXDc57G6xg
Next→ 6/13 BRAHMAN × キュウソネコカミ @新木場STUDIO COAST

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