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The Mirraz presents Pyramid de 427 part10 ~10回目のプロポーズ!ミイラズは死にましぇん~ @新宿MARZ 4/29

今年に入って新作アルバム「ぼなぺてぃっ!!」をリリースし、そのツアーを回り終わった直後の4月1日に配信でフルアルバム「Mr. KingKong」をリリースするという、自主レーベルを立ち上げたことにより、かつてないほどのリリースペースの速さで活動している、The Mirrazが毎年4月27日に開催していた自主企画イベント「Pyramid de 427」を今年はワンマン、しかも4月29日に開催。これは畠山いわく「平日だとみんな来るのがキツいだろうから」という、10年活動を続けたことにより、高くなってきたファンの年齢層に考慮した理由によるもの。

そうした配慮と、キャパの小ささによるものもあってか、チケット即完となった場内は、近年のミイラズのワンマンでは珍しいくらいに満員の人による活気で満ち溢れ、物販では畠山がかつてのツアーで実際に着た衣装がフリーマーケット形式で販売されている。Tシャツは1000円という破格の値段だったので、迷うことなく購入してしまう。

超満員のMARZのステージには紗幕がかけられており、18時を少し過ぎると、その紗幕には映画「LA LA LAND」の丸パクリである「BA BA BAND」という映像が映し出されるも、ストーリー説明が徐々に「101回目のプロポーズ」にシフトしていき、スーツ姿のケイゾーがウェディングドレス姿の真彦のことを諦めきれないという、メンバー主演、撮影も畠山という自主制作短編映画が始まるのだが、自主制作だからか風の音が入り込みまくり、真彦は完全に棒読み演技、畠山の役がケイゾーの弟など、ストーリー以外の部分で笑いが起きまくる。主役のケイゾーは意外にも演技派であり、なんなら本当に役者として活動してもおかしくないんじゃないかと思ってしまうくらい。

ケイゾーが真彦にプロポーズすると、3人が歩きながらCHAGE & ASKA「SAY YES」を歌ってエンドロール(といってもほぼ全部が畠山承平)が流れると紗幕が上がり、すでにステージにスタンバイしていたメンバーが「レディースアンドジェントルマン」の演奏を始めてライブがスタート。

この日のセトリは事前に畠山が自身のインスタグラムで募集をかけ、そこに投票したうちの1人が考えたセトリをそのままやるという、かつてのミイラズからは考えられないくらいにファンサイドに寄り添った企画。なので「CANのジャケット~」や「check it out!~」のような、近年のライブではクライマックスの最後の盛り上がりを生み出すような位置で演奏される曲たちがごく序盤に演奏される。だからこそ、序盤からの盛り上がりっぷりは近年では最高レベル。ドラムは相変わらず打ち込みだが、CDの音をそのまま使っているのではなく、音量や音そのものをライブ仕様に変えており、この編成になった直後に比べると違和感はかなりなくなってきている。それはこの編成でのライブを多数見てきたことによる慣れも大きいのかもしれないが。

「ぺ・ル・ソ・ナ~」からは近年のバンドのサウンドの主体であるEDMを取り入れたダークな曲が続くが、さすがにこのキャパのワンマンに来るミイラズのファンたち、それまでの曲との温度差は感じない。というよりもファンの1人が考えたセトリということは、多数の人がこれを聴きたいと思っているという可能性も高いが。

もはや最古参レベルの初期曲である「シスター」からは、ミイラズがこれまでのアルバムで発揮してきたロマンチックさを感じさせるラブソングが続く。かつてはフェスなどの持ち時間が短いライブでもよく演奏されていた「ハッピーアイスクリーム」も久々だが、「ぼなぺてぃっ!!」収録のEDMラブソング「baby」も含め、この言葉数と単語の引き出し方は、単なる世に溢れたラブソングとは全く違う、ミイラズというか畠山でしか書けない曲だよなぁと改めて思い知らされる。

「観覧車に乗る君が~」でガラッと雰囲気が明るくなるも、直後に「神になれたら」という社会性の強いシリアスな曲が来るあたりはさすがにメンバー以外が考えたセトリと言えるが、ここまで全く曲間やMCを交えずに良すぎるくらいのテンポの良さで進んできた中、

畠山「最初にセトリを募集した時は別に、まぁ人気ありそうな曲もいっぱい入ってるからいいんじゃん?みたいな感じだったんだけど…実際にやると違和感しかない!(笑)」

ケイゾー「もうねー、やり手のことを全く考えてませんよね(笑)」

畠山「そう、だから常にフルパワーみたいな。休むようなところが全然ない!俺も普段はあんまり考えないでセトリ決めるんだけど、今日やってみたら、無意識のうちにちゃんと考えてるんだな、って思った(笑)」

とこのセトリでライブをやることのキツさを訴えつつ、ライブでやるのは久々だという「なんだっていい」からの「つーかっつーか」はサウンド自体はリフ主体のギターロックとダークなEDMとまるっきり違うが、モッシュが発生したりするというよりも、上に飛び跳ねるタイプの曲という点が共通しているあたり、これはセトリ考案者が狙っていた部分でもあるのだろうか。

久しぶりの「Make Some Noise~」からかつての定番曲「僕はスーパーマン」という、ライブで聴けるのは久々ではありながらも、決してマニアックな方に行き過ぎないという非常にバランスの取れたセトリで曲を連発していくと、

畠山「真彦のウェディングドレス姿は、なんか本当にいそうで気持ちが悪かった(笑)」

ケイゾー「これで両サイドはウェディングドレス着ましたからね(笑)
(かつてMVでは真彦が新郎、ケイゾーが新婦という逆パターンだった)」

真彦「ウェディングドレス着てギター弾いてたら、外人にめちゃ写真撮られたけどね(笑)」

畠山「だってあんなクソ寒い日にあんな格好してたら完全に変態じゃん(笑)
でもみんなやっぱり意味わかんないとこで笑ってんだよな~。俺が喋っただけで笑ったり(笑)
でも、初見だと面白いかもしれないけど、編集するために何回も何回も見てたら、つまらな過ぎて死にたくなってくる(笑)
だから本当は「101回目のプロポーズ」の最終回を先に見てから見て欲しかったんだけど、言うのを忘れてた(笑)」

など、今回のオープニングの短編映画の裏話を開陳し、観客を笑わせまくる。かつてはMCがグダグダに長くなりまくっていたりした時期もあったが、ちゃんとそこにいるみんなが楽しめるMCになってきているのはかつてのミイラズと最も変わった部分かもしれない。

そして「スーパーフレア」からは今回のセトリならではのクライマックスだが、演奏された曲はこの段階で演奏されてもおかしくないキラーチューンばかり。とりわけ

「「I」がないと泣いて耐えてないで歌い続けよう 今夜は
さぁ上を目指せるのだから」

と歌う「僕らは」と、

「でっかいイメージをいつもイメージしてるんだ
天井が高くてどこまでも続く人が波のように盛り上がってる
負けたんだ 負けてしまったんだ だけど終わってない だけど終わってない
もう一度賭けてみたいんだ この命をさ 賭けてみたいんだ」

と歌う「夢見る少年は夢を見るなり」は、今のミイラズの状況を最も映し出した2曲であると言える。かつてはこの会場の10倍くらいのキャパでワンマンをやっていただけに、このキャパで見ることなんて出来なかった。でもこのキャパにまでなったからこそ、まだ上を目指せる場所がたくさんあるし、バンドを辞めなければ、まだまだデカいステージに立つ夢が見れる。
そう歌うこの曲たちを最後に配置する。それはある意味、このバンドを見てきた人からしたら当然のことなのかもしれない。

畠山も、「夢見る~」の最後の部分ではかなりエモーショナルになって歌っていた。それはやはり初めてと言っていいくらいに、偽らざる自身の心境を素直に歌詞にした曲だからというのもあるのだろう。

アンコールでは畠山がサングラスを外してこの日のライブTシャツ(これも「LA LA LAND」の丸パクりデザイン)に着替えて登場し、この日の目玉企画の一つである、畠山の私服を購入できる権利を当てた人の発表が行われるが、当選者の名前などをいちいちイジるため、なかなか先に進まない(笑)
例えば「ホソイ」という名前を「細美」に聴き間違え、

ケイゾー
「昔、フェスかなんかの移動の飛行機で、後ろに畠山と真彦が座って。俺だけ前に座ったら隣が細美武士さんだった(笑) 気を遣ってくれたのか、細美さんが読んでた「カイジ」を「こういうの読む?」って言ってくれたんだけど、「麻雀全然わからないんですよねぇ」って言っちゃって(笑)」

というような具合に。これはかなりレアなエピソードだが。
ちなみにこの発表ではこの日のセトリを考案した人も当選していたのだが、当選者が「上ディスコ」という名前だったため、畠山に

「お前、さてはthe telephonesのファンだな!?(笑)」

とイジられる羽目に。

まだまだ終わりたくないのか喋りたそうな畠山だったが、ケイゾーに促されるように曲へ。アンコールももちろん「上ディスコ」の決めたもので(本人は全部を覚えてなかったが)、まずは実に久々な「ソシタラ~」。この曲が入っているアルバム「We Are The Fuck'n World」のツアー、東日本大震災直後の、超満員だった今はなき渋谷AXでのツアーファイナル。他のバンドもそうだが、バンドは階段を駆け上がっている時が1番楽しい。「We Are」が初めてオリコンTOP10に入ったアルバムだったということもあり、ミイラズもその時が間違いなく階段を駆け上がっていた時期で、ラテンの要素を取り入れたこの曲は、本当に楽しかったその日のテーマ曲のようだった。滅多にやらない曲だからこそ、こうしてライブで聴くと今でもその時のことを思い出せる。

そしてかつてはアンコールでの定番曲だった、「イフタム!ヤー!シムシム!」。当時は全く思っていなかったが、

「思い出だけを食べて生きれたら
そんな風にはなれない わかってます
生きるために君を食いつぶすのです
涙流して 食べ尽くすして行く

ひらけゴマ!って魔法の言葉だって
カギなんてなくたって大丈夫
さあもう諦めただろう?出来ることはひとつしかない
この体でぶつかって開け開け開け

醜くても生き続けるんだ
貰った体はただひとつだけなんだ
貰った命はただひとつだけなんだ
貰った心はただひとつだけ

もういっそ泣きながら走るんだ
笑われてもいいから走るんだ
なんだ簡単じゃないか 答えなんてさ

おもわず笑みが
こぼれる笑みが
行くよ」

という歌詞は、初期の曲にもかかわらず、まるでこうなることをわかっていたかのように、今のミイラズの状況そのもののよう。
そしてやや声がキツそうな畠山に変わり、観客は最後にこう叫ぶ。

「いつだってスタート」

そう、今からでも遅くない。いつだってスタート。またここから始めればいい。そうしてこの曲は現実を直視した上で、諦めないバンドのことを後押ししてくれる。

そして最後には「プロタゴニストの一日は」でひと暴れして終わったのだが、この曲が収録されたアルバム「OPPORTUNITY」は、「TOP OF THE FUCK'N WORLD」に次いで自分が好きなアルバムだし、ファン目線を引いてみても本当に良いアルバムだと思っている。しかし、そんなアルバムなのにそれまでと比べると売れなかったし、ツアーファイナルの新木場STUDIO COASTもガラガラだった。内容の良さに評価がついてこない。今の状況になってしまうサインはこの時からすでに出ていたのかもしれない。

と思っていると、演奏終わりに畠山が

「ダブルアンコール待ってるから!」

と言い放ってステージを去る。当然のようにダブルアンコールを待っていると、そこに現れたのは、3人と新しいサポートドラム。

「みんなが盛り上がる曲がいいかな」

と言って4人編成で演奏されたのは、この日2回目の「CANのジャケット~」。しかし、1回目とはやはり全く違っていた。それはやはり生ドラムによる音の迫力。打ち込みにもすっかり慣れてきていたが、久々に聴く生ドラムでのミイラズの曲は、これこそが本来の姿であるというごとくに、本編以上の盛り上がりを見せた。

そして畠山は

「次のツアーはこのメンバーで廻るから!」

と力強く、笑顔で宣言した。

近年のミイラズのライブは、なかなかトンネルの出口というか、光が見えないような状況だった。もちろんライブは楽しいし、曲自体は良いのだが、それだけではなかなか浮上していくようにはならない。しかし、この日は違っていた。それはこのダブルアンコールの1曲で、本来のミイラズの姿を取り戻したから。最新作からの曲はこの日は1曲も披露されなかったが、EDM路線に別れを告げ、ガレージロックに回帰した「Mr.KingKong」は間違いなくこの4人編成で演奏されるべきアルバムである。
そしてそのアルバムとツアーを狼煙に、ミイラズは再びシーンの前線へ躍り出ようとしている。また一歩ずつ、今度は地に足をつけて階段を登っていく。そんなバンドの姿が想像できるような、聴き手の期待に応えるファン感謝祭的なワンマンだったし、その新旧の曲がバランス良く並んだ内容が、本当にミイラズは良い曲であり、なおかつミイラズにしか作れない曲ばかりを作り続けてきたんだな、と改めて実感させてくれた。

そして最近はほとんどなかった、満員に埋まった客席が、少しずつではあるがあの頃の景色に戻ってきていることを実感させた。畠山いわく、次のツアーの千葉LOOKと新代田FEVERはソールドするか微妙らしいけど(笑)


1.レディースアンドジェントルマン
2.CANのジャケットのモンスターみたいのが現れて世界壊しちゃえばいい
3.ふぁっきゅー
4.check it out! check it out! check it out! check it out!
5.ぺ・ル・ソ・ナ ~邪魔しないでよ~
6.unco
7.まざーふぁっかー!!!
8.シスター
9.ハッピーアイスクリーム
10.baby
11.観覧車に乗る君が夜景に照らされてるうちは
12.神になれたら
13.なんだっていい ///////
14.つーかっつーか
15.Make Some Noiseeeeeeeeee!!!!!!!!!!
16.僕はスーパーマン
17.スーパーフレア
18.マジかーそうきたか、やっぱそうきますよね。はいはい、ですよね知ってます。
19.僕らは
20.夢見る少年は夢を見るなり

encore
21.ソシタラ ~人気名前ランキング2009、愛という名前は64位です~
22.イフタム!ヤー!シムシム!
23.プロタゴニストの一日は

encore2
24.CANのジャケットのモンスターみたいのが現れて世界壊しちゃえばいい

イフタム!ヤー!シムシム!
https://youtu.be/UmuHUzmyhYk

ハッピーアイスクリーム
https://youtu.be/s3DPEwUeWXE


Next→ 4/30 RADWIMPS @さいたまスーパーアリーナ


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ソノダマン

Author:ソノダマン
主に邦ロックバンドのライブに年間100本以上足を運んでいる男による、タイトルそのままのブログ(主にライブレポ)です。
Twitterもやってます。 @yoppeleah で主に音楽のことをつぶやいています。

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