Base Ball Bear TOUR LIVE IN LIVE (夏) @LIQUIDROOM 9/6
- 2021/09/07
- 00:17
もともとはたくさんライブをやっていても、コロナ禍になってなかなかライブを出来なくなってしまったというバンドも多い。
配信ライブは行ってきたものの、Base Ball Bearも紛れもなくそんな存在だ。コロナ禍になってからの有観客ライブは今年の春のVIVA LA ROCKとJAPAN JAM、その後に行われたツアー「Over Drive」と、本当に数えられるくらいしか行っていない。
そんな中で夏フェスもほとんどがなくなり、というかつて夏を象徴する存在だったこのバンドの夏を今年も感じることができない…という中で開催されたのが、この日のリキッドルームを含めたワンマンライブ「LIVE IN LIVE (夏)」。
「LIVE IN LIVE」はBase Ball Bearのコンセプトライブシリーズであるが、タイトルにもあるように今回のテーマはどストレートに「夏」。それはかつてロックシーンきっての夏バンドと評されてきたベボベの夏ソングを、涼しくなったとはいえ夏に聴くことができるという、ある意味では失われた今年の夏を少しでも取り戻そうというものだろう。
消毒と検温を経て、ドリンク交換は終演後というマスクを外すタイミングがないようにという感染対策を行っているリキッドルームの中に入ると、床にテープを貼ってマス目を作るというスタンディング形式。ベボベでこのキャパだとかなり人が入っているようにも見えるけれど、それでもかなり動員は少なくなっているのだろう。
19時になって場内が暗転すると、おなじみのXTCのSEが流れるのだが、今までと違うのはそのSEが聞こえないくらいの大きな拍手が客席から起こっていたこと。それは声を発することが禁止されているからこその観客の唯一のバンドへの「ライブをやってくれてありがとう」という気持ちの表明でもあるのだが、ここにいる人たちがこのライブを、ベボベのライブを心から待ち望んでいたこと。きっとその人たちはこれまでの夏をベボベの音楽とともに過ごしてきたこと。そんな想いがその拍手から溢れ出ていて、メンバー3人がステージに出てきた段階で自分はすでに泣いてしまっていた。それは1年以上ぶりにこのバンドのライブを見れたJAPAN JAMの時もそうだったけれど、やはりワンマンとなると観客の熱量が全く違う。それはそうだろう。こうした世の中の状況でありながらも、迷いながらであってもベボベのライブが見たくて月曜日の夜に恵比寿まで来ている人たちが集まっているのだから。
それぞれが楽器を手にすると、果たしてこのコンセプトのライブのオープニングはいかに?と感傷の爆発から少し冷静になってステージに目線を集中させると、小出祐介(ボーカル&ギター)がギターを、堀之内大介(ドラム)がリズムを刻み、関根史織(ベース)がそのリズムに合わせて手拍子をするのは夏の切なさと刹那さの極みという一瞬を切り取ってギターロックというサウンドに託したかのような「senkou_hanabi」という紛れもない夏の曲、しかも実に久しぶりにライブで聴く(そもそもライブ自体が久しぶりだけど)この曲ということがこの日のライブのモードを決定づける。
ベボベは夏の曲を夏フェスのステージで惜しみなく演奏してきたバンドだ。それは夏の名曲をたくさん持っている自分たちに望まれていることをわかっていた上でそうしていた部分も間違いなくあるだろうし、それは時には新しいバンドの夏曲を披露する場でもあった。
それは時間帯や天気、あるいは立っている場所やステージで景色そのものが全く変わる夏の野外という記憶と紐づいているからこそ、自分の中ではこの曲はロッキンのメインステージであるGRASS STAGEに立てるようになった時に演奏していた記憶が蘇る。インディーズの頃から見てきたベボベが、日本で1番デカいフェスのメインステージに立っているという当時の感慨も含めて。
小出は久しぶりのライブだからか特に声を強く張る部分の歌唱がスタートから早くもキツそうにも感じたが、そうした夏の日に、僕らは瞬きもせずに眩しさのなかにいたんだ。それはきっとこの日も後から振り返ったらそういうものであるはずだ。
当然ながら過去の夏曲は4人で演奏しており、それをギターが小出だけという今のベボベのスリーピースの形でアレンジしているだけに、なかなか小出がイントロのギターを鳴らしてもなんの曲だかわからなかったりもするのだが、それは続いて演奏された「SUMMER ANTHEM」もまたライブで演奏されるのがあまりに久しぶり過ぎるという要素もあるからであり、「夏」をコンセプトにしているとはいえ、まさかこの曲がこうして久しぶりにライブで聴けるとは思っていなかった。それこそ4人時代は湯浅将平が音源でも
「みんな、夏だ!夏が来た!」
というセリフをアウトロで発したりしていたが、さすがにそれを今の3人の誰かがやることはない。あれは恒例の野音ワンマンであり、夕方のロッキンのLAKE STAGEだったはずだ。
挨拶がてらに「夏」をテーマにしたにもかかわらず、肌寒さすら感じるし、毎日雨ばかりだしという気候になっていることを小出が
「こうなるって狙ってた。逆にちょうどいいでしょ?」
と自虐的に言っていたが、確かに日本のロックシーン屈指の晴れバンドとして痛いくらいに照りつける太陽の真下で夏曲を演奏してきたベボベからしたらこの気候でこうした曲を聴くことができるというのは実にレアな機会と言えるかもしれない。
そんな軽いMCの後に、フェスなどではアンコールで演奏される機会も多いバンドの代表曲(それこそつい数年前にもCMで使われていたし)である「BREEEEZE GIRL」が演奏されるのだから、これはなかなか我々の固い予想通りの流れにはいかないようである。しかしながら
「風になりたくて」
と小出が歌い始めた瞬間にたくさんの人が腕を上げる光景はやはりこの曲だからこそのものだと思う。アウトロの関根のコーラスが重なる部分も含めて、ライブハウスの中であっても爽やかな風が吹き抜けていくような、そんな何度となく夏の野外で体験してきた感覚を今でも味合わせてくれる。堀之内は2コーラス目でバスドラを踏みながら地味に工藤静香「嵐の素顔」の間奏での手を顔に合わせて動かすという動きをしたりしていたけれど。
とはいえワンマンの尺をいわゆる一聴して「ザ・夏曲」という曲だけで構成するのはいかに夏曲をたくさん持つベボベでも厳しいだろうから、夏曲をメインにしながら近年の曲やら他の代表曲やらを挟んでいくという展開になると思っていたのだが、ここまでの爽やかな夏バンドとしてのベボベのギターロックからガラッとテンポを落とし、関根のベースが地を這うように低いリズムを生み出すのはまさかの「Good bye」。
「ELECTRIC SUMMER」のカップリング曲という意味では確かに夏の曲でもあるけれど、こうしてライブで改めて久々に聴くと
「冴え渡る初夏の日 早送りで過ぎていく」
というフレーズは確かに夏を感じさせるけれど、それは晴れた夏の野外フェスというものではなく、じめっとした寝苦しい夏の夜を思わせるサウンドによるものでもある。それは3人になってからのベボベが新しくバンドの中に取り入れてきたものでもある。
「冥土までは付き合えないからここで」
というサビが何よりも印象的な曲であるが、きっとここにいた人たちはベボベというバンドと冥土まで付き合っていく覚悟をしているはずだ。
さらに関根が堀之内のドラムのライザーに乗ってイントロを合わせるようにすると、その2人のリズムが暴れまくる、「これも夏曲!?」とやはりビックリしてしまう「Fragile Baby」へ。堀之内の曲中のキメ2連打に合わせて手を叩く観客が徐々に増えていくのが見ていて面白いけれど、3人での演奏になったことでノイジーかギターロックからリズムを強調したうねりまくる曲に印象はかなり変わっている。
「舞い上がる 湿った風 溺れかける 渋谷で Fragile Baby」
という歌詞も、やはり夏の情景を思わせるものなのかもしれない。
そんなまさかのレア曲の連発に驚いていると、関根がベースを刻むライブならではのイントロのアレンジで観客も手拍子をしながら曲に突入していくのは「Transfer Girl」。
「Transfer Girl くちびるを湿らせて待つ25時のプール
綺羅綺羅 水面がゆらゆらと手招きしてる
Transfer Girl どこか遠く連れ去ってしまいたい夏の終わり
綺羅綺羅 水面に触れてみたら 心がまた揺れた」
という夏ならではの情景は実にベボベらしい、小出らしい青春の描き方である。やはりこの曲を聴くと、収録されている通称「3.5th」と呼ばれる2枚のミニアルバムをリリース後の日比谷野音でのライブを思い出す。あの日も予報は完全に雨だったのに全く雨は降らなかった。しかも雨バンドの代表格的な存在のサカナクションを迎えていたというのに。
するとここでラジオの公開収録的な、近年のライブではおなじみのMCというよりもトークコーナーと言ってもいいような展開に。
「今年の夏にやりたかったこと」
をテーマにして小出はまず堀之内に話を振るのだが、
「やっぱり夏フェスとかがなくなっちゃって、フェスに出たかったしライブをやりたかった」
という堀之内の言葉を、
「それはみんなそうだから。個人的なことを話して」
と突っぱね、堀之内は2歳になる子供となかなかご時世ゆえに市民プールなどに行けなかったために、家のベランダに自分用の巨大なものも含めてビニールプールを張って過ごしていたことを語る。
それをきっかけに東京サマーランドにあるという(小出が行ったのが高校時代らしいので今もあるかは不明)、バケツをひっくり返したような水が降ってくるアトラクションに
「首が痛くなりそうだけど、それに耐えられた者がプールファイターになれる」
という意味不明な単語を発明し、競泳選手用のスイムスーツを着て市民プールで泳いでいる関根は本物のプールファイターに認定される。ちなみに小出は25m泳ぐとその日1日の体力を使い果たしてしまうくらいに泳げないので、地下二階にあった学校のプールから3階にある教室まで階段を登れずに足が痙攣して運ばれたという。いずれ堀之内の息子がプールファイターかどうかを確かめるために小出がサマーランドに連れて行くらしい。
そんな、
「暖まった体がすっかり冷える」
というトークタイムはしかし、世の中が変わって観客の楽しみ方も変わってしまっても、ベボベの3人の関係性やライブの形は全く変わらないという愛おしさを感じさせてくれる。それはファンクラブのラジオ番組とも違って感じるのは、やはりメンバーが目の前にいて喋っているからだろう。話している時の表情が見えるからこそ、メンバーが本当にライブという場を楽しんでいて、大切に思ってくれていることがわかる。
そんな冷えた体を再び暖めるように小出がギターを鳴らし始めたのは汗ばむ季節の曲である「short hair」であるが、歌っていくごとに調子を取り戻していくかと思っていた小出の喉は
「オーイェー!」
というシャウトもいつも通りに発声できないくらいにキツそうで、こんなキツそうな小出のボーカルを見たことがあっただろうか、とすら思う(それは逆に今までのライブでの小出の安定感を示していると言える)のだが、それでもなんとか歌おうとする様が小出が敢えて避けてきたロックバンドとしてのエモーションを感じさせるものになっているあたり、やはりこれまでに数え切れないくらいに見てきたライブではグルーヴでそれを示していたベボベはやはりロックバンドらしいロックバンドなのである。この曲のMVとジャケ写に出ていた本田翼がこんなに毎日CMなどで目にする存在になるなんて、リリースされた2011年(もう10年も前!)には全く想像していなかった。
関根と堀之内のイントロのコーラスと、パーカッシブなドラムがライブならではの昂る熱量を感じさせてくれる「転校生」が「short hair」を挟んで「Transfer Girl」の後に演奏されるというのがまた新たな物語を描いているようにも感じられるが、曲後半でギターの音色が大人しくなったと思ったらそれは小出が弦を切ってしまっていたからであった。
その弦の張り替えを待ちながらも、小出はこのライブを本当に開催するかどうかを直前まで迷っていたことを素直に明かす。払い戻し対応もして、実際に払い戻しをした人も間違いではないということも。
「それでも迷いながら進んでいく」
「見るからにダメだろ、ってこと以外はどんな人やどんな意見でも否定したくない」
という言葉からは、昨年もライブの予定を中止にしたりと、できる機会はもっとあったかもしれないけれど、それでも慎重に、悩んで考えながらこのライブにたどり着いてこうしてステージに立っているということを感じさせるが、それでも鳴らしている音からは迷いなどの中途半端さは全く感じられない。小出の歌唱も迷いというメンタル的なものが出ているのではなく、フィジカルな要素であることも聞いていてわかる。
そうしたことも引っくるめて、
「バンドは生き様」
という言葉にはきっとベボベのその生き様をずっと見てきたであろう観客たちは大きく強く頷かされたはずだ。同年代のバンドたちが次々に居なくなっていって、自分たちにも変わらざるを得ない出来事があったのに、そうしたバンドたちの思いを背負うようにしてここまで走り続けてきたのをこの目で見てきたから。だからこそその言葉にはどこか重さや深さというものが滲み出ていた。
そんな小出の言葉の後に最新曲である「プールサイダー」が演奏されたというのが、まさに先へ進み続けるバンドの生き様を示しているのだが、青春性を感じさせるギターロックという自分たちの原点に立ち返ったようなこの曲を聴いていると、トークコーナーでの「プールファイター」はこの曲のタイトルに引っ張られてきたということがわかるし、これまでに何度もモチーフにしてきた海ではないというのが堀之内が家でビニールプールに入っていたという今年の夏に生まれた新たな夏ソングであることを強く感じさせる。
だからこそ続く「海になりたい part.2」は来年は家のビニールプールでもなければ、家とスタジオの往復でもない、海の近くでこの曲や夏ソングたちを鳴らせるように、という願いを込めているかのようであった。
そしてそのままアウトロからイントロのギターに繋がるように「CRAZY FOR YOUの季節」へ。正直、小出の喉はこの曲の時が1番キツそうで、サビを一部歌えていない部分すらあった。しかしそれでも振り絞るように歌おうとするのがロックバンドのエモーションを感じさせるというのは前述の通りであるし、何よりもこの終盤、この曲においてバンドのグルーヴが完全に最高潮に達していて、声が出ないということをそのグルーヴが飲み込んで、それすらもグルーヴの一部にしてしまっているかのようだ。
何よりもこの曲の「CRAZY FOR YOUの季節」の季節が、このコンセプトのライブで演奏されることによって夏であることもわかるのだが、そんなことはとっくに知っていたというのは、まだ新人として小さなステージに出ていた2006年あたりから、この曲を夏フェスで演奏してきたのを数え切れないくらいに見てきたからだ。
そしてそれはいつもその日のハイライトと言っていいくらいに素晴らしい景色を見せてくれていたし、やっぱりベボベは最高だな、っていつだって、どんなにネガティブなことがあった時だって思わせてくれた。
小出も堀之内も観客が声を出せないのをわかっているからか、イントロから間奏に至るまで決して煽ることはないのだけれど、リズムに合わせて腕を振り上げる観客の姿からは、今までに数え切れないくらいに聴いてきた「オイ!オイ!」というコールが頭の中に確かに聴こえていた。また必ずそうしてみんなで叫んで、時には小出が観客に任せて一緒に歌うという瞬間を迎えたい。それを毎年毎年見て、実際に自分も口にしてこれまで生きてきたのだから。
「来年にはドラマチックな夏がやってきますように」
と小出がこの夏というコンセプトのライブを来年に繋げ、そこでまたこの曲を演奏できるようにと願いを込めるように演奏されたのはやはり「ドラマチック」。
「ほら、今 夏がスタート」
と歌いながら、今年の夏は過ぎ去ろうとしている。それでも2年前までの、夏の野外でこの曲を聴いていた時のように、
「いつの日か 思い出すのだろう
今年の夏のことを」
と思える日が来るのだろうか。今年の夏は何があっただろう。フジロックに初めて行けたくらいだ。でもきっとそのことと同じくらい、2021年の夏にベボベが夏ソングばかり演奏するライブを観れたということは、何もなかったような夏を少しでも夏らしいものにしてくれた。
「また出会えそうで 一度きりのドラマ
さぁ、熱くなれるだけ 熱くなればいい」
というフレーズを苦しそうにしながらも小出はファルセットで歌う。その姿は、バンド自身も熱くなっている証拠であるし、こうしてそんなベボベのライブを見れれば、我々も熱くなれるだけ熱くなれるのだ。
やや長めのアンコール待ちはやはり小出の喉の状況によるものかと思ったらその小出自身もやはり
「本当の僕はこんなんじゃない!もっとできるはずだ!」
と納得いかない様子で、
「もう今日は恥部を見せたようなもんだから!今日は恥部 IN 恥部ですよ!皆さん、そんな恥部を見せた僕がここからまた復活していくドキュメントの始まりが今日です!(笑)」
と、なかなかここまでの日はこれまでになかっただけに本当に小出は悔しそうだったが、それをにこやかにフォローする堀之内と関根の姿を見ていて、きっと次にライブが見れる時にはこの日は何だったんだってくらいのいつもの安定感ある小出に戻っているんだろうなと思った。
そしてここでお知らせとともに新曲が披露されたのだが、それはまだ情報解禁されていないのでここで書くことはできない。でもそれを先に発表したということは、バンドが来てくれている観客を心から信頼してくれているからこそ出来ることだ。その新曲の、何周もしてまた戻ってきたかのような、「C3」とはまた全く違う爽やかなギターロックというような、新しい風を吹かせるサウンドがそれをより強く感じさせた。
そんなライブの最後はやはり「祭りのあと」。祭りが終わってしまうという切なさもアッパーなビートとギターロックに乗せて踊らせるこの曲の間奏で、関根がステージ中央に出てきて煽るようにゴリゴリのソロを決める。その後ろでは小出もまたギター&ボーカルが弾くレベルではないギターソロを平然と弾いてみせる。
「夏の終わりのあとの やや肌寒い 夜のあとさき」
というフレーズは灼熱の夏に聴いてきたのとはまた違う、今、今年の9月という時期にこれ以上ないくらいにふさわしいものであった。それでも、やっぱりフェスのアンコールができる時間、つまりはそのフェスの最後の1曲にこの曲を聴いて、祭りのあとを実感しながら帰路に着きたい。それが微かでも確かな希望になっているのを感じていた。
我々ベボベファンは飽きるくらいにどんなに同じセトリ、同じ内容のライブであっても、それは過ぎ去ってしまえばもう2度と見ることができないものであるということを知ってしまっている。もういわゆるフェスセトリ的な曲を連発していた4人時代のベボベのライブを観ることはできない。
だからこそ、同じ夏が2度来ないことも知っている。来年の夏は今年の夏とは全く違うものになることも。2年前のロッキンのLAKE STAGEのトリを務めた時に小出が2007年に初めてこのステージに立った時に浴衣姿だったことを思い出して、
「来年はまた浴衣でやるか!」
という言葉が来年現実になった時、我々が愛してきたベボベの夏が本当に帰ってきたんだと思えるはず。
どんなに世の中に浸透する夏ソングが生まれたり、毎年夏ソングをリリースするバンドが出てきても、自分の中では夏バンドと言ったらベボベなのだ。学生時代から今に至るまで、ずっとベボベの夏ソングを聴いて夏を過ごしてきたのだから。それだけで、夏かったんだ。
1.senkou_hanabi
2.SUMMER ANTHEM
3.BREEEEZE GIRL
4.Good bye
5.Fragile Baby
6.Transfer Girl
7.shot hair
8.転校生
9.プールサイダー
10.海になりたい part.2
11.CRAZY FOR YOUの季節
12.ドラマチック
encore
13.新曲
14.祭りのあと
配信ライブは行ってきたものの、Base Ball Bearも紛れもなくそんな存在だ。コロナ禍になってからの有観客ライブは今年の春のVIVA LA ROCKとJAPAN JAM、その後に行われたツアー「Over Drive」と、本当に数えられるくらいしか行っていない。
そんな中で夏フェスもほとんどがなくなり、というかつて夏を象徴する存在だったこのバンドの夏を今年も感じることができない…という中で開催されたのが、この日のリキッドルームを含めたワンマンライブ「LIVE IN LIVE (夏)」。
「LIVE IN LIVE」はBase Ball Bearのコンセプトライブシリーズであるが、タイトルにもあるように今回のテーマはどストレートに「夏」。それはかつてロックシーンきっての夏バンドと評されてきたベボベの夏ソングを、涼しくなったとはいえ夏に聴くことができるという、ある意味では失われた今年の夏を少しでも取り戻そうというものだろう。
消毒と検温を経て、ドリンク交換は終演後というマスクを外すタイミングがないようにという感染対策を行っているリキッドルームの中に入ると、床にテープを貼ってマス目を作るというスタンディング形式。ベボベでこのキャパだとかなり人が入っているようにも見えるけれど、それでもかなり動員は少なくなっているのだろう。
19時になって場内が暗転すると、おなじみのXTCのSEが流れるのだが、今までと違うのはそのSEが聞こえないくらいの大きな拍手が客席から起こっていたこと。それは声を発することが禁止されているからこその観客の唯一のバンドへの「ライブをやってくれてありがとう」という気持ちの表明でもあるのだが、ここにいる人たちがこのライブを、ベボベのライブを心から待ち望んでいたこと。きっとその人たちはこれまでの夏をベボベの音楽とともに過ごしてきたこと。そんな想いがその拍手から溢れ出ていて、メンバー3人がステージに出てきた段階で自分はすでに泣いてしまっていた。それは1年以上ぶりにこのバンドのライブを見れたJAPAN JAMの時もそうだったけれど、やはりワンマンとなると観客の熱量が全く違う。それはそうだろう。こうした世の中の状況でありながらも、迷いながらであってもベボベのライブが見たくて月曜日の夜に恵比寿まで来ている人たちが集まっているのだから。
それぞれが楽器を手にすると、果たしてこのコンセプトのライブのオープニングはいかに?と感傷の爆発から少し冷静になってステージに目線を集中させると、小出祐介(ボーカル&ギター)がギターを、堀之内大介(ドラム)がリズムを刻み、関根史織(ベース)がそのリズムに合わせて手拍子をするのは夏の切なさと刹那さの極みという一瞬を切り取ってギターロックというサウンドに託したかのような「senkou_hanabi」という紛れもない夏の曲、しかも実に久しぶりにライブで聴く(そもそもライブ自体が久しぶりだけど)この曲ということがこの日のライブのモードを決定づける。
ベボベは夏の曲を夏フェスのステージで惜しみなく演奏してきたバンドだ。それは夏の名曲をたくさん持っている自分たちに望まれていることをわかっていた上でそうしていた部分も間違いなくあるだろうし、それは時には新しいバンドの夏曲を披露する場でもあった。
それは時間帯や天気、あるいは立っている場所やステージで景色そのものが全く変わる夏の野外という記憶と紐づいているからこそ、自分の中ではこの曲はロッキンのメインステージであるGRASS STAGEに立てるようになった時に演奏していた記憶が蘇る。インディーズの頃から見てきたベボベが、日本で1番デカいフェスのメインステージに立っているという当時の感慨も含めて。
小出は久しぶりのライブだからか特に声を強く張る部分の歌唱がスタートから早くもキツそうにも感じたが、そうした夏の日に、僕らは瞬きもせずに眩しさのなかにいたんだ。それはきっとこの日も後から振り返ったらそういうものであるはずだ。
当然ながら過去の夏曲は4人で演奏しており、それをギターが小出だけという今のベボベのスリーピースの形でアレンジしているだけに、なかなか小出がイントロのギターを鳴らしてもなんの曲だかわからなかったりもするのだが、それは続いて演奏された「SUMMER ANTHEM」もまたライブで演奏されるのがあまりに久しぶり過ぎるという要素もあるからであり、「夏」をコンセプトにしているとはいえ、まさかこの曲がこうして久しぶりにライブで聴けるとは思っていなかった。それこそ4人時代は湯浅将平が音源でも
「みんな、夏だ!夏が来た!」
というセリフをアウトロで発したりしていたが、さすがにそれを今の3人の誰かがやることはない。あれは恒例の野音ワンマンであり、夕方のロッキンのLAKE STAGEだったはずだ。
挨拶がてらに「夏」をテーマにしたにもかかわらず、肌寒さすら感じるし、毎日雨ばかりだしという気候になっていることを小出が
「こうなるって狙ってた。逆にちょうどいいでしょ?」
と自虐的に言っていたが、確かに日本のロックシーン屈指の晴れバンドとして痛いくらいに照りつける太陽の真下で夏曲を演奏してきたベボベからしたらこの気候でこうした曲を聴くことができるというのは実にレアな機会と言えるかもしれない。
そんな軽いMCの後に、フェスなどではアンコールで演奏される機会も多いバンドの代表曲(それこそつい数年前にもCMで使われていたし)である「BREEEEZE GIRL」が演奏されるのだから、これはなかなか我々の固い予想通りの流れにはいかないようである。しかしながら
「風になりたくて」
と小出が歌い始めた瞬間にたくさんの人が腕を上げる光景はやはりこの曲だからこそのものだと思う。アウトロの関根のコーラスが重なる部分も含めて、ライブハウスの中であっても爽やかな風が吹き抜けていくような、そんな何度となく夏の野外で体験してきた感覚を今でも味合わせてくれる。堀之内は2コーラス目でバスドラを踏みながら地味に工藤静香「嵐の素顔」の間奏での手を顔に合わせて動かすという動きをしたりしていたけれど。
とはいえワンマンの尺をいわゆる一聴して「ザ・夏曲」という曲だけで構成するのはいかに夏曲をたくさん持つベボベでも厳しいだろうから、夏曲をメインにしながら近年の曲やら他の代表曲やらを挟んでいくという展開になると思っていたのだが、ここまでの爽やかな夏バンドとしてのベボベのギターロックからガラッとテンポを落とし、関根のベースが地を這うように低いリズムを生み出すのはまさかの「Good bye」。
「ELECTRIC SUMMER」のカップリング曲という意味では確かに夏の曲でもあるけれど、こうしてライブで改めて久々に聴くと
「冴え渡る初夏の日 早送りで過ぎていく」
というフレーズは確かに夏を感じさせるけれど、それは晴れた夏の野外フェスというものではなく、じめっとした寝苦しい夏の夜を思わせるサウンドによるものでもある。それは3人になってからのベボベが新しくバンドの中に取り入れてきたものでもある。
「冥土までは付き合えないからここで」
というサビが何よりも印象的な曲であるが、きっとここにいた人たちはベボベというバンドと冥土まで付き合っていく覚悟をしているはずだ。
さらに関根が堀之内のドラムのライザーに乗ってイントロを合わせるようにすると、その2人のリズムが暴れまくる、「これも夏曲!?」とやはりビックリしてしまう「Fragile Baby」へ。堀之内の曲中のキメ2連打に合わせて手を叩く観客が徐々に増えていくのが見ていて面白いけれど、3人での演奏になったことでノイジーかギターロックからリズムを強調したうねりまくる曲に印象はかなり変わっている。
「舞い上がる 湿った風 溺れかける 渋谷で Fragile Baby」
という歌詞も、やはり夏の情景を思わせるものなのかもしれない。
そんなまさかのレア曲の連発に驚いていると、関根がベースを刻むライブならではのイントロのアレンジで観客も手拍子をしながら曲に突入していくのは「Transfer Girl」。
「Transfer Girl くちびるを湿らせて待つ25時のプール
綺羅綺羅 水面がゆらゆらと手招きしてる
Transfer Girl どこか遠く連れ去ってしまいたい夏の終わり
綺羅綺羅 水面に触れてみたら 心がまた揺れた」
という夏ならではの情景は実にベボベらしい、小出らしい青春の描き方である。やはりこの曲を聴くと、収録されている通称「3.5th」と呼ばれる2枚のミニアルバムをリリース後の日比谷野音でのライブを思い出す。あの日も予報は完全に雨だったのに全く雨は降らなかった。しかも雨バンドの代表格的な存在のサカナクションを迎えていたというのに。
するとここでラジオの公開収録的な、近年のライブではおなじみのMCというよりもトークコーナーと言ってもいいような展開に。
「今年の夏にやりたかったこと」
をテーマにして小出はまず堀之内に話を振るのだが、
「やっぱり夏フェスとかがなくなっちゃって、フェスに出たかったしライブをやりたかった」
という堀之内の言葉を、
「それはみんなそうだから。個人的なことを話して」
と突っぱね、堀之内は2歳になる子供となかなかご時世ゆえに市民プールなどに行けなかったために、家のベランダに自分用の巨大なものも含めてビニールプールを張って過ごしていたことを語る。
それをきっかけに東京サマーランドにあるという(小出が行ったのが高校時代らしいので今もあるかは不明)、バケツをひっくり返したような水が降ってくるアトラクションに
「首が痛くなりそうだけど、それに耐えられた者がプールファイターになれる」
という意味不明な単語を発明し、競泳選手用のスイムスーツを着て市民プールで泳いでいる関根は本物のプールファイターに認定される。ちなみに小出は25m泳ぐとその日1日の体力を使い果たしてしまうくらいに泳げないので、地下二階にあった学校のプールから3階にある教室まで階段を登れずに足が痙攣して運ばれたという。いずれ堀之内の息子がプールファイターかどうかを確かめるために小出がサマーランドに連れて行くらしい。
そんな、
「暖まった体がすっかり冷える」
というトークタイムはしかし、世の中が変わって観客の楽しみ方も変わってしまっても、ベボベの3人の関係性やライブの形は全く変わらないという愛おしさを感じさせてくれる。それはファンクラブのラジオ番組とも違って感じるのは、やはりメンバーが目の前にいて喋っているからだろう。話している時の表情が見えるからこそ、メンバーが本当にライブという場を楽しんでいて、大切に思ってくれていることがわかる。
そんな冷えた体を再び暖めるように小出がギターを鳴らし始めたのは汗ばむ季節の曲である「short hair」であるが、歌っていくごとに調子を取り戻していくかと思っていた小出の喉は
「オーイェー!」
というシャウトもいつも通りに発声できないくらいにキツそうで、こんなキツそうな小出のボーカルを見たことがあっただろうか、とすら思う(それは逆に今までのライブでの小出の安定感を示していると言える)のだが、それでもなんとか歌おうとする様が小出が敢えて避けてきたロックバンドとしてのエモーションを感じさせるものになっているあたり、やはりこれまでに数え切れないくらいに見てきたライブではグルーヴでそれを示していたベボベはやはりロックバンドらしいロックバンドなのである。この曲のMVとジャケ写に出ていた本田翼がこんなに毎日CMなどで目にする存在になるなんて、リリースされた2011年(もう10年も前!)には全く想像していなかった。
関根と堀之内のイントロのコーラスと、パーカッシブなドラムがライブならではの昂る熱量を感じさせてくれる「転校生」が「short hair」を挟んで「Transfer Girl」の後に演奏されるというのがまた新たな物語を描いているようにも感じられるが、曲後半でギターの音色が大人しくなったと思ったらそれは小出が弦を切ってしまっていたからであった。
その弦の張り替えを待ちながらも、小出はこのライブを本当に開催するかどうかを直前まで迷っていたことを素直に明かす。払い戻し対応もして、実際に払い戻しをした人も間違いではないということも。
「それでも迷いながら進んでいく」
「見るからにダメだろ、ってこと以外はどんな人やどんな意見でも否定したくない」
という言葉からは、昨年もライブの予定を中止にしたりと、できる機会はもっとあったかもしれないけれど、それでも慎重に、悩んで考えながらこのライブにたどり着いてこうしてステージに立っているということを感じさせるが、それでも鳴らしている音からは迷いなどの中途半端さは全く感じられない。小出の歌唱も迷いというメンタル的なものが出ているのではなく、フィジカルな要素であることも聞いていてわかる。
そうしたことも引っくるめて、
「バンドは生き様」
という言葉にはきっとベボベのその生き様をずっと見てきたであろう観客たちは大きく強く頷かされたはずだ。同年代のバンドたちが次々に居なくなっていって、自分たちにも変わらざるを得ない出来事があったのに、そうしたバンドたちの思いを背負うようにしてここまで走り続けてきたのをこの目で見てきたから。だからこそその言葉にはどこか重さや深さというものが滲み出ていた。
そんな小出の言葉の後に最新曲である「プールサイダー」が演奏されたというのが、まさに先へ進み続けるバンドの生き様を示しているのだが、青春性を感じさせるギターロックという自分たちの原点に立ち返ったようなこの曲を聴いていると、トークコーナーでの「プールファイター」はこの曲のタイトルに引っ張られてきたということがわかるし、これまでに何度もモチーフにしてきた海ではないというのが堀之内が家でビニールプールに入っていたという今年の夏に生まれた新たな夏ソングであることを強く感じさせる。
だからこそ続く「海になりたい part.2」は来年は家のビニールプールでもなければ、家とスタジオの往復でもない、海の近くでこの曲や夏ソングたちを鳴らせるように、という願いを込めているかのようであった。
そしてそのままアウトロからイントロのギターに繋がるように「CRAZY FOR YOUの季節」へ。正直、小出の喉はこの曲の時が1番キツそうで、サビを一部歌えていない部分すらあった。しかしそれでも振り絞るように歌おうとするのがロックバンドのエモーションを感じさせるというのは前述の通りであるし、何よりもこの終盤、この曲においてバンドのグルーヴが完全に最高潮に達していて、声が出ないということをそのグルーヴが飲み込んで、それすらもグルーヴの一部にしてしまっているかのようだ。
何よりもこの曲の「CRAZY FOR YOUの季節」の季節が、このコンセプトのライブで演奏されることによって夏であることもわかるのだが、そんなことはとっくに知っていたというのは、まだ新人として小さなステージに出ていた2006年あたりから、この曲を夏フェスで演奏してきたのを数え切れないくらいに見てきたからだ。
そしてそれはいつもその日のハイライトと言っていいくらいに素晴らしい景色を見せてくれていたし、やっぱりベボベは最高だな、っていつだって、どんなにネガティブなことがあった時だって思わせてくれた。
小出も堀之内も観客が声を出せないのをわかっているからか、イントロから間奏に至るまで決して煽ることはないのだけれど、リズムに合わせて腕を振り上げる観客の姿からは、今までに数え切れないくらいに聴いてきた「オイ!オイ!」というコールが頭の中に確かに聴こえていた。また必ずそうしてみんなで叫んで、時には小出が観客に任せて一緒に歌うという瞬間を迎えたい。それを毎年毎年見て、実際に自分も口にしてこれまで生きてきたのだから。
「来年にはドラマチックな夏がやってきますように」
と小出がこの夏というコンセプトのライブを来年に繋げ、そこでまたこの曲を演奏できるようにと願いを込めるように演奏されたのはやはり「ドラマチック」。
「ほら、今 夏がスタート」
と歌いながら、今年の夏は過ぎ去ろうとしている。それでも2年前までの、夏の野外でこの曲を聴いていた時のように、
「いつの日か 思い出すのだろう
今年の夏のことを」
と思える日が来るのだろうか。今年の夏は何があっただろう。フジロックに初めて行けたくらいだ。でもきっとそのことと同じくらい、2021年の夏にベボベが夏ソングばかり演奏するライブを観れたということは、何もなかったような夏を少しでも夏らしいものにしてくれた。
「また出会えそうで 一度きりのドラマ
さぁ、熱くなれるだけ 熱くなればいい」
というフレーズを苦しそうにしながらも小出はファルセットで歌う。その姿は、バンド自身も熱くなっている証拠であるし、こうしてそんなベボベのライブを見れれば、我々も熱くなれるだけ熱くなれるのだ。
やや長めのアンコール待ちはやはり小出の喉の状況によるものかと思ったらその小出自身もやはり
「本当の僕はこんなんじゃない!もっとできるはずだ!」
と納得いかない様子で、
「もう今日は恥部を見せたようなもんだから!今日は恥部 IN 恥部ですよ!皆さん、そんな恥部を見せた僕がここからまた復活していくドキュメントの始まりが今日です!(笑)」
と、なかなかここまでの日はこれまでになかっただけに本当に小出は悔しそうだったが、それをにこやかにフォローする堀之内と関根の姿を見ていて、きっと次にライブが見れる時にはこの日は何だったんだってくらいのいつもの安定感ある小出に戻っているんだろうなと思った。
そしてここでお知らせとともに新曲が披露されたのだが、それはまだ情報解禁されていないのでここで書くことはできない。でもそれを先に発表したということは、バンドが来てくれている観客を心から信頼してくれているからこそ出来ることだ。その新曲の、何周もしてまた戻ってきたかのような、「C3」とはまた全く違う爽やかなギターロックというような、新しい風を吹かせるサウンドがそれをより強く感じさせた。
そんなライブの最後はやはり「祭りのあと」。祭りが終わってしまうという切なさもアッパーなビートとギターロックに乗せて踊らせるこの曲の間奏で、関根がステージ中央に出てきて煽るようにゴリゴリのソロを決める。その後ろでは小出もまたギター&ボーカルが弾くレベルではないギターソロを平然と弾いてみせる。
「夏の終わりのあとの やや肌寒い 夜のあとさき」
というフレーズは灼熱の夏に聴いてきたのとはまた違う、今、今年の9月という時期にこれ以上ないくらいにふさわしいものであった。それでも、やっぱりフェスのアンコールができる時間、つまりはそのフェスの最後の1曲にこの曲を聴いて、祭りのあとを実感しながら帰路に着きたい。それが微かでも確かな希望になっているのを感じていた。
我々ベボベファンは飽きるくらいにどんなに同じセトリ、同じ内容のライブであっても、それは過ぎ去ってしまえばもう2度と見ることができないものであるということを知ってしまっている。もういわゆるフェスセトリ的な曲を連発していた4人時代のベボベのライブを観ることはできない。
だからこそ、同じ夏が2度来ないことも知っている。来年の夏は今年の夏とは全く違うものになることも。2年前のロッキンのLAKE STAGEのトリを務めた時に小出が2007年に初めてこのステージに立った時に浴衣姿だったことを思い出して、
「来年はまた浴衣でやるか!」
という言葉が来年現実になった時、我々が愛してきたベボベの夏が本当に帰ってきたんだと思えるはず。
どんなに世の中に浸透する夏ソングが生まれたり、毎年夏ソングをリリースするバンドが出てきても、自分の中では夏バンドと言ったらベボベなのだ。学生時代から今に至るまで、ずっとベボベの夏ソングを聴いて夏を過ごしてきたのだから。それだけで、夏かったんだ。
1.senkou_hanabi
2.SUMMER ANTHEM
3.BREEEEZE GIRL
4.Good bye
5.Fragile Baby
6.Transfer Girl
7.shot hair
8.転校生
9.プールサイダー
10.海になりたい part.2
11.CRAZY FOR YOUの季節
12.ドラマチック
encore
13.新曲
14.祭りのあと
クリープハイプ 「クリープハイプの日 2021 (仮)」 @東京ガーデンシアター 9/8 ホーム
若者のすべて -YOUNG, ALIVE, IN LOVE MUSIC- @TSUTAYA O-EAST 9/4