この日もサマソニは2日目が行われているが、そっちには参加せず、下北沢へ。アニメ「ピンポン」や「宇宙兄弟」の主題歌でおなじみのメレンゲの下北沢QLUB Queでのワンマン2daysの2日目。一応Queの20周年も兼ねたライブだが、「ピンポン」の主題歌になったシングル「僕らについて」のリリースライブという位置付けになるだろう。
2月には渋谷公会堂でワンマンも行っているし、最近は広めのハコでワンマンをやる機会が多かったが、久しぶりの小さなハコということで、両日即完の2日目はギュウギュウの状態。入りきれない人がいるため、開演前から何度も奥に詰めてくれ、というスタッフの声を聞くことに。
いつもよりかなり早い17:00過ぎ、メンバーが登場。しかし、最近おなじみだった、大村達身と皆川真人のサポート2人の姿はなく、ギター松江潤(スネオヘアー、YUKIバンドなど)、キーボードgomes(髭など)の2人を加えての5人編成。
しかし、まずはクボがアコギを持ち、ほぼ3人だけで演奏されたのは、「再会のテーマ」というレア曲。カップリング曲であり、これまでほとんど演奏されてこなかった曲だけに、意表を付かれるオープニング。
そこからはクボがアコギを弾く、メレンゲの中でも聴かせるタイプの曲を続ける。
タケシタ(ベース)「いつもと違ってギュウギュウになっちゃってるけど…」
クボ「いつもはスカスカだって言いたいの?(笑)」
タケシタ「いやいや(笑)…2月に渋谷公会堂でワンマンやってるバンドだからね!(笑)」
と微笑ましいやり取りから、クボが初めてメレンゲとしてワンマンを行ったこのQueでまたこうしてワンマンが出来るのを感慨深そうに話す。
最新シングル「僕らについて」からはメレンゲの中でもギターロックな曲を続けるゾーンへ。メンバーのタケシタはもちろん、サポートの松江とgomesも楽器の演奏だけでなく、コーラスでも彩りを与える。
未だに野音でのワンマンで月の下で演奏されたのが忘れられないロマンチックな「ムーンライト」からは、クボがボーカルに専念する「すみか」で再び聴かせるモードへ。
今月末にドラマ主題歌の最新シングルがリリースされることを告知すると、そのカップリングに収録される「東京にいる理由」を披露。クボがアコギ、松江がバンジョー、タケシタもアコースティックベースというアコースティック編成で演奏された、タイトル通りに「東京」を歌った曲。このバンドには「東京」というタイトルの名曲があるが、そっちは主観としての「東京」だったのに対し、こっちは地方から出てきた人から見た「東京」というイメージ。
さらにドラマ「同窓生」の主題歌になっている、シングルのタイトル曲の「楽園」も披露。
タケシタ「主題歌が我々で、挿入歌がアナ雪でおなじみのMay.Jさんで…」
クボ「そんなん知らんがな!(笑)」
タケシタ「avexの人とか見に来てないよね?(笑)大丈夫だよね?(笑)」
というやり取りもあってから披露されたこの曲は、四つ打ちのダンスビートでありながらも、雰囲気自体はややアダルトかつムーディーなサウンドで、ゆったり踊らせるような曲。先ほどのカップリング曲とは対象的な曲であり、両極端な曲が入ったシングルになる。
続く打ち込みも使った「フィナーレ」では、イントロでタケシタが最近恒例のパントマイム、さらにはなんと手品までも披露するという、もはやどこに向かってるのかわからない状態。ヤマザキがドラムではなくパーカッションを叩くのだが、曲の途中でバチバチという異音が鳴り、どうしたのかと思ったら、クボのギターの弦が切れたらしい。
こうして見ると、今のメレンゲの曲は、大きくわけて、
疾走感のあるギターロック
聴かせるミドル~バラード
ハイブリッドなダンスチューン
という3タイプに分けることが出来るが、普段は「ミュージックシーン」「バンドワゴン」という曲が演奏されることが多いダンスチューンは今回はこの「フィナーレ」くらい。
よって、「シンメトリア」からはクライマックスのギターロック曲を連発していくのだが、まだリリース予定も何もないという新曲「アンカーリング」が、メレンゲの中で1番と言っていいくらいに激しいサウンドの曲で、滅多に腕が上がることのない客席から、初めて聴くにもかかわらずたくさんの腕が上がっていた。
手拍子が鳴り響き、クボが笑顔でその光景を見つめていた「ビスケット」から、ラストのレコード会社移籍第一弾の再出発シングルにして、宇宙兄弟のテーマソング「クレーター」の、まさにロケットで突き抜けるような爽やかなサウンドで終了。ライブ中から「酸素が薄い」としきりに言っていただけに、かなり疲労の色を見せてステージを去って行った。
アンコールではまずタケシタが一人で登場し、
「男子もちらほら来てるね。頭が一つぶん出てるから、笑顔じゃなかったらすぐわかるよ(笑)」
と、男性の観客が少ないバンドの客層を自虐的にいじったりし、だんだん場が持たなくなってきたところでメンバーが登場。クボだけがこの日限定のTシャツ(売れ残ってるからという理由で黒のほう)を着て登場し、サポートメンバーを紹介するも、サポートメンバーにいかにメレンゲ、というかクボが好きかを言わせるという紹介の仕方。ちなみにgomesは「クラシック」が好きらしい。
そして「初恋サンセット」を演奏。この時期にピッタリの曲で、
「どこまでも続く ヒコーキ雲を見て
「空が割れちゃうわ」って君が言う」
という歌詞の表現が非常に好きな曲なのだが、こういう表現の曲が多いから、MCでいじられるくらいに女性ばかりしか客席にいないんじゃないかという気もする。
ちなみにアンコールでは珍しくクボが帽子を被っていなかったのだが、
「これで帽子を被っている=ハゲ説を違うって証明した(笑)」
と笑いにしていたものの、明らかに暑かったから被らなかったのだろう。
さらに、POLYSICSがここで7daysワンマンをやった記録を持っていることに触れ、
「Queで9日間連続でワンマンやりたいですね。でも週の真ん中とかがチケット全然売れなかったら困るけど(笑)」
と、なかなか難しい目標を語り、ラストはこの時期にピッタリなギターロック曲「夕凪」。聴きながら、自分が初めてこのバンドのライブを見た2006年のロッキンで、1番最初に演奏したのがこの曲だったなぁということを回想していた。あれからだいぶ長い年月を経たが、未だに全く色褪せていない。
さらなるアンコールに応え、タケシタが再び登場するも、
「クボ君が楽屋で灰になっている(笑)」
という理由でこの日はここまで。まだ次のライブの予定はないが、シングル曲も溜まってきたし、そろそろ移籍第一弾アルバムも近いんじゃないだろうか。その時はもうちょっと余裕のあるキャパの会場がいいな。
1.再会のテーマ
2.バスを待っている僕ら
3.クラシック
4.8月、落雷のストーリー
5.僕らについて
6.輝く蛍の輪
7.ムーンライト
8.すみか
9.東京にいる理由
10.まぶしい朝
11.アルカディア
12.楽園
13.フィナーレ
14.シンメトリア
15.アンカーリング (新曲)
16.ライカ
17.ビスケット
18.クレーター
encore
19.初恋サンセット
20.夕凪
僕らについて
http://youtu.be/gnfhIHkXY6s
