今年に入り、全国を対バン(ツレ)と一緒に廻るツアー「ツレ伝」(ネーミング自体はスペシャ列伝のパクリ)を開催し、幅広いアーティストと対バンしてきた忘れらんねえよ。自分は千葉LOOKでのCzecho No Republicとの対バンを見たが、そのあとにボーカル柴田の童貞詐称とその謝罪による坊主化というどうでも良すぎるニュースと、ミニアルバム「あの娘のメルアド予想する」をリリースするという、ツアー中とは思えないくらいの活動ぶりを見せている。
そのツレ伝のツアーファイナルは、まさかのクアトロワンマン。ライブタイトルにあるとおり、「対バン全然決まらんから」という理由らしいが、おそらくは最初からファイナルはワンマンと決まっていたと思われる。
ツアー中と同様に、開演前にはBGMとして、爆弾ジョニー、SAKANAMON、フラワーカンパニーズなどの各地で対バンとして出演したツレの曲が流れている。
19時を10分ほど過ぎると、号泣謝罪会見が話題になった野々村議員の会見の音声が場内に流れ、客席の1番奥から、スーツを着て野々村議員風の髪型をした柴田(ボーカル&ギター)が登場。
「野々村!」「龍太郎!」
というコール&レスポンスを要求し、しっかり手を耳に添えるという小さなモノマネも交え、「僕らチェンジザワールド」からスタート。前回Getting Betterで見た時同様に、ドラムの酒田がステージ左側、ベースの梅津は中央で椅子に座っている。「戦う時はひとりだ」では、
「えっちゃん!なんでtacicaなんかと結婚したんだー!」
とチャットモンチー橋本絵莉子への思いをダイレクトに叫ぶ。
ワンマンくらいしかやらないレア曲を続け、
「このツレ伝が始まってからいろいろありました!梅津君が腰を痛めて座ってないとベース弾けなくなったり、俺が謝罪会見をしたり!で、こうなりました!」
と野々村議員風のカツラを投げ捨て、短くなった髪をあらわに。
その流れで名曲「この高鳴りをなんと呼ぶ」を演奏するという落差の激しさもあり、「青年かまってちゃん」ではイントロで柴田が奇妙な動きを見せて笑いを誘う。
中盤には、
「今日は一応ツレ伝なんだけど、対バンがいなくてワンマンになってしまって。最初からワンマンにするつもりだったろ!って思ってた人はどれくらいいる?…ほぼ全員じゃねえか!本当なんだよ!赤い公園とN'夙川BOYSにはスケジュールの都合で断られました!(笑)
でせっかくのワンマンなんで、セトリもそうだけど特別なことをしたくて。夜間飛行って曲があるんだけど、その曲の原曲があるんだけど、その曲を弾き語りでやります!でもマジでひどい歌詞だから!」
と言って柴田の弾き語りで披露された、「ハッピーバースデーとはいえ俺は誕生会に呼ばれてない」は、アルバムリリース前から弾き語りでやっていた曲で、曲自体は「夜間飛行」そのものだが、
「今日はあの娘の誕生会 今頃彼氏とチョメチョメしてる 勝手に祝うべくツボ八で飲んで目が覚めたら公園のベンチで
全裸だった 股間にはハンカチがかけてあった」
という「夜間飛行」の切なさが消し飛ぶくらいのひどい歌詞。しかもその直後に「夜間飛行」を続けて演奏してしまうという暴挙とすら思える流れ。
ここまで新作の曲を全く演奏していなかったので、いろいろ盛りだくさんすぎてすっかり忘れてしまっていたが、ここでようやく「運動ができない君へ」。柴田がかつての自分自身に向けて書いた曲であるが、ここからの曲はバンドが2ndアルバムで得た、「いいメロディとまっすぐな歌詞」の曲のゾーンへ。
柴田が、
「今日はなんかバンドの調子がいいな」
と言った直後に柴田のギターのチューニングがボロボロで演奏をやり直すというアクシデントにさらされると、
「さっき調子がいいなって言ったから、音楽の神様が、「柴田この程度で調子に乗るんじゃねぇ!」って言ってる(笑)」
と笑いでフォローするあたりはさすが。新作の粒ぞろいの曲の中でも軽快な4つ打ちという、いわゆる流行りのスタイルに真っ向から挑んだ「タイトルコールを見ていた」を終えると、
「今日は、ツレ伝に出てくれた、爆弾ジョから始まって、ニーで終わるバンドのボーカルのりょーめー君も来てくれています!」
と言うと、爆弾ジョニーの「なぁ~んにも」のサビをカバーし、りょーめーもステージに登場。しかし歌うわけではなく、「ステージ上でパニクってる柴田のモノマネ」を披露しただけというもったいなさすぎる使い方(笑)
「ここからは速い曲ばっかりだからみんなもっと熱狂してくれー!」
と言うと、「体内ラブ」では、ツレ伝にも出演したWiennersの玉屋2060%とMAXが登場し、それぞれギターとコーラスで参加。2人とも本当に楽しそうな顔をしていたが、爆弾ジョニーといい、Wiennersといい、本当に対バンライブをやるつもりだったんなら、出演しても良かったんじゃないかという気もするんだが。
「さっきWiennersが出てきた時に、調子乗ってMAXちゃんと握手する前に手に唾をつけたら、玉屋君に、「やっちゃいましたね」って顔された!あー、リスカしたい!(笑)でも、バンドやろうぜ」
という、無理矢理な気がしなくもないつなぎから、エモーションが爆発する新作随一にして、バンド随一と言ってもいい名曲「バンドやろうぜ」。最後には観客全員で、
「さぁバンドやろうぜ」
の大合唱が起きる。
「今回のツレ伝、本当に素晴らしい仲間達と出会えて。さっきの爆弾ジョニーとかWiennersもそうだけど、KEYTALKとか。俺、最初絶対仲良くなれないと思ってたもん。楽屋でカツアゲされるんじゃないかって(笑)」
と言うと、いきなりKEYTALKの「パラレル」、さらにはキュウソネコカミの「ビビった」までも、忘れらんねえよらしくシンプルなパンクバージョンでカバー。もちろん本人たちがそのバンドを大好きだからというのもあるが、来てくれた人を少しでも楽しませたいという気持ちが伝わってくる。
そのあとはまさに熱狂の一言でラストの「ばかばっか」に突入したのだが、梅津のベースの音が止まり、まさかのやり直し。酒田のドラムソロも観客から、
「えー!?」
という声があがるほどに中途半端に終わる(笑)演奏自体は見るたびに良くなっているのに。
気を取り直して演奏再開すると、最近のライブではおなじみの、柴田が客席に突入し、サビでサークルモッシュという流れから、柴田が人の上に運ばれてバーカウンターまで到達し、また運ばれてステージまで戻り、バーカウンターで買った缶ビール(マジでポケットから千円出してた)を開けるも、泡が吹き出してしまう。
それでもめげない柴田は自ら、
「一気!一気!」
とコールを要求して一気飲みしようとするも、当然一気には飲めないというお決まりの展開を見せて本編は終了した。
アンコールではB'zの「Ultra Soul」が流れる中、柴田が今度は北島康介のコスプレ(ただ単に海パンを穿いただけ)で客席後方から登場すると、観客に乳首と股間を攻められながらなんとかステージにたどり着く。しかし上半身裸になると本当に細い。
最近やってなかった曲、と言って「バンドワゴン」を演奏すると、
「最後に一つだけ。また必ず会いましょう。次はロッキンか。なんかサカナクションの裏らしいんだけど、俺が爆発したら人が集まるかな(笑)」
と言い、曲始まりから最後まで「忘れらんねえよ」の大合唱。りょーめーと玉屋、MAXも再びステージに登場し、
「最後はかっこよく帰りたいから、道を開けてください!」
と言うと、柴田、玉屋、りょーめーの3人が観客とハイタッチしながら客席を通って退場。目の前に来たので、柴田の素肌はもちろん、玉屋とりょーめーにもペタペタ触ってしまった。
ステージに残された梅津が、
「なんかアクシデントもいっぱいあったけど、楽しかったよ。ありがとう」
と爽やかなコメントを残し、忘れらんねえよと仲間達のツレ伝は幕を閉じた。
しかし、実はツレ伝はまだ終わっていなかった。ライブ中に柴田も告知していたが、追加ツアーが秋から決定し、1月にはバンド史上最大キャパの赤坂BLITZ。対バンはまだ未定だが、柴田は
「チャットモンチーとやりたい!」
とアピールしていた。袖にいたスタッフはすぐさま首を横に振っていたけれど。でもBLITZでやるからには、それなりに有名なバンドが出てくるはず。グッドモーニングアメリカやクリープハイプあたりこないだろうか。
しかし、それまでにはまた何かしらのリリースがあるはず。1stの逆ギレと下ネタ、2ndの美しいメロディとまっすぐな歌詞に加え、各地でツレからもらった刺激…という要素を考えると、これから先、このバンドはさらに良くなっていくであろうという期待しかない。そのためにも、まずは梅津の完全回復が待たれるところ。ロッキンでももちろん見る!
1.僕らチェンジザワールド
2.戦う時はひとりだ
3.だんだんどんどん
4.俺を守りたい
5.この高鳴りをなんと呼ぶ
6.中年かまってちゃん
7.青年かまってちゃん
8.ドフトエフスキーを読んだと嘘をついた
9.あんたなんだ
10.ハッピーバースデーとはいえ俺は誕生会に呼ばれてない
11.夜間飛行
12.運動ができない君へ
13.そんなに大きな声で泣いてなんだか僕も悲しいじゃないか
14.タイトルコールを見ていた
15.この街には君がいない
16.体内ラブ ~大腸と小腸の恋~
17.バンドやろうぜ
18.Cから始まるABC
19.僕らパンクロックで生きていくんだ
20.北極星
21.ばかばっか
encore
22.バンドワゴン
23.忘れらんねえよ
ばかばっか
http://youtu.be/msr34fOerMA