2019年間ベストディスクなど
- 2019/12/26
- 22:36
もう2019年も終わるということで、一応毎年ずっと続けている年間ベストディスク的なやつを。まずはアルバム20位から。
20.THE SIDE EFFECTS / coldrain
もはやラウドロックというジャンルが隆盛を極めてきた、というよりもだんだんと大きなステージに立てるバンドとそうではないバンドがハッキリしてきたように感じる。一口にラウドと言ってもそれぞれのバンドの戦い方はバラバラであるし、「ラウドになんらかの他の要素を加えて自分たちならではの音楽にする」というスタイルのバンドも多い中で、coldrainはひたすらに王道のラウドロックを突き進む。
そして日本武道館までも制圧したことによってその王道っぷりがそれそのままcoldrainだからこその音楽であることを示した最新アルバム。そんな中にあっても地元の名古屋でフェスを開催したり(2020年2月)、CRYSTAL LAKEのRyoをゲストに招いた曲でアルバムが始まるあたりにメンバーの人間性を感じさせる。「俺たちもめちゃくちゃカッコいいことやるけど、カッコいいヤツらみんなで上がっていこうぜ」というような。
MAYDAY feat.Ryo
https://youtu.be/PzaW0E7uRwc
19.COMINATCHA!! / WANIMA
フルアルバムも3枚目となるとどうしても聴いていて既視感を感じてしまうこともあるし、それがパンクというある意味ではサウンドやスタイルが決まり切っているバンドならば尚更。
WANIMAのこの「COMINATCHA!!」も一聴するとこれまでの延長線上にあるようなアルバムであり、それは間違いではないのだが、そんな中にあって最も重要な曲は去年からライブで大事に育てられてきた、メンバーの地元・熊本の風景を歌った「りんどう」と、まさかのストリングスアレンジまで取り入れた「宝物」というバラードと言っていい2曲。
この2曲でもって、これまでに自分たちにつけられてしまった本意ではないイメージやレッテルを受け入れながらも、パンクやロックファンだけではないもっと広い場所に自分たちの音楽を届けようとしている。
WANIMAの登場は本当に衝撃的だった。パンクでこんな景色が見れるなんて、と感動した。その感動や衝撃をもっとたくさんの人に与えようとしている。この「COMINATCHA!!」はそのための大きな礎になるはずだ。
りんどう
https://youtu.be/Pw_cYJoSsKQ
18.有頂天 / ポルカドットスティングレイ
もしかしたらこのランキングの中で最も「なんでお前がこのバンドのアルバムを選んでるんだ」と思われるかもしれない。そんなこのバンドと自分との諸々は今年ブログにも書いた。
(http://rocknrollisnotdead.jp/blog-entry-592.html?sp)
しかしながら曲は良いバンドであるということは認めざるを得ないし、それがこのバンドが最も支持されている理由なのは間違いない。だからこそこうして年間ベストにも選出しているのだが、自分といろいろあった時にこのバンドの雫は
「音楽で言いたいことはない」
ときっぱり言っていた。
しかしこのアルバムに収録されている、初めて自身のことを歌った曲である「ラブコール」という曲はこのバンドにはちゃんと言いたいことや自分たちなりのスタンスがあって、しかもそれをちゃんと自分たちの音楽にすることができる。そこからは初めて、このバンドの人間らしさを感じることができる。そんな、絶対にこのバンドでないと作れない曲が収録されているというだけでも年間ベストに入るべき作品。
ヒミツ
https://youtu.be/D199Zpv6d6M
17.永遠の花 / ハルカミライ
このアルバムにはライブでは欠かすことのできない「世界を終わらせて」や「それいけステアーズ」というキラーチューンたちが収録されている。もちろんそれらの曲を含めて曲のクオリティは申し分ない。
だが幕張メッセまでも制し、ライブを見ると毎回あまりのカッコよさに必ず感動してしまうというもはや当代一のライブバンドと言っていい存在であるだけに、そのライブで感じることのできる感情や感動を全て音源に封じ込められているとは言い難い。
それはライブがあまりにも良すぎるということの裏返しでもあるが、そのライブの空気感をそのままアルバムとしてパッケージできるようになった時には、このバンドが年間ベストで1位を獲得することになるはずだ。
それいけステアーズ
https://youtu.be/ljS76dmqPIA
16.フレデリズム2 / フレデリック
それこそ「これぞフレデリック」と言えるような、シュールは歌詞のダンスロック「スキライズム」も収録されているとはいえ、このアルバムでフレデリックが目指しているのはその「これぞフレデリック」というようなイメージからの脱却と、新たなフレデリックらしさの構築だろう。
そうした今までのフレデリックらしい曲に比べるとはるかにテンポの遅い、狂騒的なダンスチューンではなくリズムに合わせて体を揺らせるような「LIGHT」から始まるということがそれを最も示しているが、本人たちもインタビューにおいて「「オドループ」がなくても成立するようなライブを」と発言しているように、バンドの視線ははるかに先を見据えている。
そうした視線の変化はともするとファン層の入れ替わりを招いてしまう可能性も孕んでいるけれど、フレデリックをダンスユニットではなくてロックバンドたらしめる上でこれまで以上に重要になるのは赤頭隆児のギターであると個人的には思っている。
「夜にロックを聴いてしまったら」、踊らずにはいられない。
スキライズム
https://youtu.be/YZdDKQHLu50
15.DON'T STOP THE MUSIC / KEYTALK
このアルバムを語る上で最も大きなトピックはレーベルの移籍だろうし、連続配信リリースも含めて移籍したからこその動きも目立ったKEYTALK。
前作までのアルバムも良かったけれど、これまでのKEYTALKのアルバムの中で自分が1番このアルバムが好きなのは、どこか器用すぎるが故にアルバムになるとバラついて見えていた部分がなくなり、太い芯が1本できたように感じるから。
このアルバムにおいてもサウンドや方向性が幅広いことは変わらないが、メンバー4人全員が作曲をしているにもかかわらず、すべての曲がシングルリリースできるくらいのクオリティを持っている。そこにこそこのアルバムの統一感を感じるし、これまではメインソングライターの首藤義勝と巨匠に比べると飛び道具的なソングライターであった小野武正と八木優樹の曲すらも彼らだからこそできた曲でありながら他の曲に見劣りしないクオリティに。もうとっくにブレイクしているバンドだけれど、本当の意味でバンドが覚醒したアルバムなのかもしれない。
DE'DEVIL DANCER
https://youtu.be/NPObW8SNA4M
14.ズーカラデル / ズーカラデル
去年からズーカラデルのライブを見る機会が何回かあった。その時に感じたのは、初期のくるりのような文系ギターロックバンドが出てきたな、というものだった。
しかし今年リリースした初のフルアルバムにしてセルフタイトルのアルバムは、もはやこのバンドがそうした誰かのフォロワーであるという形容を無効化するくらいの名盤であった。これまでの集大成であり、新たな始まりでもあるだけにすでにリリースされていた曲も再録されているのだが、ニューヨークで新たにミックスされたその曲たちはミニアルバムのバージョンよりもはるかにロックに、そしてバンドらしく進化している。
その進化っぷりにこれからのこのバンドの未来にはドキドキせざるを得ないし、見た目は全くロックスター感のないメンバーたちだからこその選ばれたロックバンドが持つ魔法のような力を感じさせる。そしてこれはまだこのバンドの長くなるであろう歴史の「前夜」なのである。
アニー
https://youtu.be/zSPEdE651y0
13.超現実至上主義宣言 / teto
tetoというバンドのイメージ。早口で言葉数の多い歌詞と焦燥感すら感じるテンポの速いロックサウンド。それは2018年の個人的年間ベストの1位に選出した「手」からわずか1年で届いたこの「超現実至上主義宣言」にも確かに息づいている要素である。
しかしこのアルバムを聴いて最も驚いたのは、ポップなシンセの音が鳴っている曲が多数あるということ。しかもクレジットを見るとそのシンセを弾いているのは小池貞利(ボーカル&ギター)。紛れもなく小池自身がそのtetoというバンドの持つイメージの刷新に最も意欲的だ。
ライブではもはやアンセム化している「光るまち」の待望のバンドバージョン(シングルのカップリングに収録されていたのは弾き語りだった)から始まるという先頭打者ホームランで幕を開けるこのアルバムは、tetoのライブにおけるはちゃめちゃと言っていいような衝動を感じさせるパフォーマンスもあってか、どこか人生に確かに限りがあって、終わりがくることと向き合わされる。それは紛れもない現実である。それまでにあと何回このアルバムを聴けるだろうか。あと何回tetoのライブを観れるだろうか。いずれ朽ちて無くなってしまうまで。
夜想曲
https://youtu.be/Niel-aPBWJc
12.834.194 / サカナクション
決して沈黙していたわけではないし、フェスなどに出演しながらちょくちょくツアーを回ったりもしていただけに、6年ぶりのアルバムと言われるとビックリしてしまうが、それだけ待たされた甲斐のある2枚組というボリュームと内容。
それだけ期間が空くとどうしても既発シングル曲がたくさん入って…というものになりがちであるし、確かに既発曲も多く収録されているが、山口一郎出演のソフトバンクのCM曲として起用された「忘れられないの」をはじめとして、アルバムの新曲群のクオリティの高さ、そしてサウンドはバラバラでありながらもサカナクションでしかないそれらの曲たちはなぜこのバンドが日本を代表する立ち位置にまで到達できたのかということ、サカナクションというバンドの凄さそのものを改めて感じさせてくれる。
そしてリリースが延期されたが故にリリースに先駆けて行われたツアーによって、そのサカナクションの凄さに改めて打ちのめされた。あんなサカナクションでしかできない音楽と芸術の融合的な凄いライブはやっぱり観てしまったら、忘れられないの。
忘れられないの
https://youtu.be/BxqYUbNR-c0
11.潜潜話 / ずっと真夜中でいいのに。
6月にミニアルバム「今は今で誓いは笑みで」をリリースし、8月にワンマンライブを観た際に10月にこの1stフルアルバム「潜潜話」のリリースが発表された時は年間ベストの大本命的なものになるとすら思っていた。
そんな高過ぎるハードルゆえかこの位置に落ち着いたのは「今は今で誓いは笑みで」と昨年シーンに衝撃を与えた登場作「正しい偽りからの起床」の収録曲が多く収録されているからということもあるし、その収録曲である「正義」「勘冴えて悔しいわ」「秒針を噛む」「脳裏上のクラッカー」というあたりの曲を上回るくらいの新録曲がないということもある。
それでもこの曲たちをすべて新曲として聴いていたとしたら相当な衝撃作であることに変わりはないし、いわゆるネットシーンから出てきたアーティストの中ではトップクラスに音源をさらに上回るライブを見せてくれることが見れば一発でわかる。なんなら今年ライブを見て最も心が震えた、衝撃を受けたアーティストでもある。
正義
https://youtu.be/7kUbX4DoZoc
10.QUIZMASTER / NICO Touches the Walls
リリース時と今とではこうしてアルバムのことについて書くことが全く変わってしまった1枚。それはもちろんNICO Touches the Wallsが11月に活動終了を発表したからである。
光村龍哉が「いつか作りたかったアルバム」と語っていた通り、NICO唯一の先行シングル曲が収録されていないアルバム。それは求められるものよりも自分たちの表現欲求に突き動かされてできたアルバムということであるが、それゆえにどこかインディーズ時代のこのバンドを思い起こさせるし、どんなにやりたいように作っても根のメロディメーカーの部分は決して失われておらず、自己満足的な作品でも決してない。NICOの音楽に触れたことがない人にも堂々と最初に渡せる1枚となっている。
しかし。もしこのアルバムを作ったことによってバンドが「やりきった」と感じてしまったのだとしたら。それがバンドの終わりに繋がってしまったのだとしたら。終わってしまった今となるとそんなことも頭をよぎってしまう。もしかしたらこのアルバムが出来なければNICOはまだ今まで通りに続いていたんじゃないかと。
「どうして夢を見るの?」と問いかけるのではなくて「まっさらな夢を見させてよ」と願っていた方が幸せだったんじゃないか。聴いてしまうとそんなことを考えてしまうだけに、名盤でありながらも今年リリースされた中で最も聴けなくなってしまったアルバム。
18?
https://youtu.be/ko0DHDT7n4g
9.DEEP BLUE / 9mm Parabellum Bullet
今年15周年を迎えた9mm Parabellum Bulletは2019年9月9日に8枚目のアルバム「DEEP BLUE」をリリースした。2年前の前作「BABEL」から引き続き、滝善充が作曲、菅原卓郎が作詞という黄金コンビによって制作されたアルバムであるが、作曲を担いながら誰よりも暴発弾的な暴れっぷりを見せていた滝のライブ活動一時休止というバンド最大のピンチを経験したことによって最も変化したのは卓郎の歌詞だ。
「9mm初の応援ソング」とも言われた先行シングル曲「名もなきヒーロー」に顕著なように、これまでは物語的な歌詞が多かった卓郎の歌詞は直接的に聴き手に語りかけるものになった。それによってタイトル通りに15年目のバンドにして青さが滲み出るものともなったわけだが、その青さは若手バンドが持つ爽やかな青さではなく、いろんなことを経験してきて様々な色が混ざり合った結果として最も視覚的に大きな色となったのが青だったということ。だからただの「BLUE」ではなく、いろんなことがあったからこそ深みを増した「DEEP BLUE」。それは15年目にして新たな始まりを告げる色となった。これからの9mmは大きく変わることはないかもしれないが、ずっと9mmを聴いてきた人たちにこのアルバムの青さと同様に深く愛し続けられていくはずだ。
Beautiful Dreamer
https://youtu.be/B5MqDUaIniM
8.Fetish / 夜の本気ダンス
そのバンド名の通りに様々なフェスなどのライブ会場を踊らせまくってきた、夜の本気ダンスのメジャー3rdアルバムはそうした部分は保ちながらも、幅広い音楽性とバンドの普遍性やこれからの可能性を感じさせるものとなった。
まず幅広い音楽性という点で最も大きいのはCreepy Nutsをゲストに迎えた「Movin'」だろう。それは今までのこのバンドにはあまり感じられることがなかったヒップホップの要素をついに取り入れたということであるけれども、ライブではR指定のラップのヴァースをまさかの鈴鹿がドラムを叩きながらこなすという器用な面を見ることができる。ヒップホップは踊れる音楽であるということを証明するようなコラボである。
もう一つの普遍性という点はこのバンドのもともと持っていたメロディアスな部分が過去最高に花開いているということ。サビを一瞬聴いただけで名曲であることがわかる「Sweet Revolution」を筆頭に、アルバムの締めである「Forever Young」も客席が踊るというよりも歌うという景色が容易に想像できる。
ダンスロックバンドというのはフェスなどでの動員力と音源の売り上げが釣り合わないことも多い。フェスでは何万人もライブを観に来るけれどアルバムまでは聴かれていないというような。このバンドも前作まではそのパターンにハマりつつあった。でもこのアルバムができたことによってそれは変わる予感がする。いや、心から変わって欲しいと願っている。
Sweet Revolution
https://youtu.be/gPwWjdopt9Q
7.Section #11 / THE BAWDIES
デビューから10年以上経過したバンドがそれまでの自分たちを更新しようとするときに作るアルバムはそれまでとは異なる新しい要素を取り入れて進化を図るというものになることが多い。ひたすらにロックンロールやブラックミュージックへの憧憬を自分たちの音楽としてきたTHE BAWDIESも2017年の「NEW」はタイトル通りにそうした感触が強かった。
しかしながら15周年イヤーの今年にリリースされたアルバム「Section #11」は新しい音楽性を取り入れるというよりは自分たちが持っていて、これまで育ててきた芯の部分を最大限に研ぎ澄ませることに注力したかのようなロックンロールアルバムとなった。それによって楽曲自体の良さが過去最高レベルに引き出されているのは、やはりこのバンドがロックンロールバンドであり続けていて、これからもそうやって続いていくことの証明である。
このアルバムリリース前からTHE BAWDIESはフェスやイベントを含めたライブでこのアルバムに収録された曲を珍しいくらいに演奏し続けてきた。それくらいに早く聴いてほしかったのだろうし、このアルバムに今までにないくらいの自信があるのだ。
かつて「ロックンロールの若き伝道師」とも呼ばれていたバンドはもう若手ではなくなったかもしれない。それでもこの国で最高のロックンロールの伝道師であることは全く変わっていない。アルバムの最終曲、ROYがピアノを弾くMVが公開された「STARS」はこれからのTHE BAWDIESの未来、ひいては日本のロックンロールの未来すらも優しく、しかし力強く照らしている。
SKIPPIN' STONES
https://youtu.be/1ls22HyFIGI
6.Attitude / Mrs. GREEN APPLE
先行配信された「インフェルノ」を聴いた時に「これは!?」と思った。メジャーデビュー以降は明確な意識を持って自分たちのサウンドを変化させてきたMrs. GREEN APPLEがまるでメジャーデビュー期やインディーズ期のようなギターロックを鳴らしているからである。
その「インフェルノ」を含めた4枚目のフルアルバムでMrs. GREEN APPLEはそもそも大森元貴が10代の頃から持っていた死生観を強く感じさせるギターロックに回帰した。もちろんこれまでの変化と進化を経てきたからこそのストリングスやホーンのサウンドを取り入れたアレンジも施されているが、かつてメジャー1stアルバム「Twelve」収録の「パブリック」を聴いた時のような、人間という存在そのものと向き合わされるような切実さがこのアルバムを貫くトーンとなっている。
その大森の人間としての芯や軸が変わっていないからこそ、ミセスはどこにだって行けるし、こうしてどこかに行ったことによって得た経験を加えた姿となって戻ってくることもできる。きっとこれからもそうして予想だにしない方向へ走り出したり、またこうして自分たちの軸を確認したりするのだろう。それはミュージカルのようなステージを作ってみせたかと思ったら、演出もなしで小箱を回るというバンドのみの力を再確認するようなツアーを行ったりというライブにも現れている。そしてこのアルバムに収録された「青と夏」「僕のこと」という2曲によって、このバンドは着実に、確実に国民的バンドという位置に王手をかけている。
インフェルノ
https://youtu.be/wfCcs0vLysk
5.RAINBOW PIZZA / 佐々木亮介
自分は佐々木亮介の作る音楽が好きである。それはa flood of circleというカッコ良いロックンロールバンドのボーカルでありメインソングライターであるというのが1番大きな理由なのは間違いない。その一方で今の世界のスタンダードになりつつある、R&Bやトラップのサウンドがどうにも好きになることができない。
しかしながら佐々木亮介がソロとしてリリースしたこの「RAINBOW PIZZA」はそうしたR&Bやトラップのリズムやサウンドを取り入れたものになった。そもそもがありとあらゆる時代や世界の音楽を掘りまくっている(おそらくMUSICAでレビューを書いている人のうち、ミュージシャンであれだけ数多く書いてる人は他にいない)タイプのアーティストだけに世界の主流であるサウンドに興味を持つのは当然のことだ。
そんな、「好きなアーティスト」が「好きじゃないサウンド」のアルバムを作った結果はどうなったか。多くのアーティストを抑えてのこの順位である。もちろんサウンドはそうしたR&Bやトラップ、ヒップホップをメインとはしているが、これまでの弾き語りやバンドでのカバーを聴いていてもわかるように(前作のソロアルバムリリース時のライブでは海外のアーティストのカバーをやりまくっていた)、亮介のあの独特のしゃがれた声で歌うとどんな曲でも亮介の曲に、そしてロックンロールになる。
そしてどこまでそうしたサウンドに寄せたとしても、スピッツに多大な影響を受けているメロディメーカーとしての部分が強く感じられる。ただ海外のサウンドをそのままやるのではなく、日本人だからこそ作るものに昇華する。この国でそうした音楽を取り入れている人はみなやっていることかもしれないけれど、このアルバムにこそ最もそうしたサウンドを日本でやることの意味や意義を感じる。
Fireworks
https://youtu.be/1dzAqyfRqtE
4.「Sun Dance」「Penny Rain」 / Aimer
何度かライブを観ているけれども、自分はハッキリとしたAimerの顔がわからない。それは大きな会場でのライブになると設置されているスクリーンには彼女の顔が映されることはないというミステリアスなイメージを守るための方針とも言えるだろうけれども、「光」と「闇」というテーマに寄って収録曲を分けた2枚同時リリースのこのアルバムを聴いていると、顔がハッキリとわからないにもかかわらず、Aimerが歌っている姿が頭の中に浮かんでくる。
これまでにも様々なアーティストが曲を提供してきたが、今回もそうした作り方をしていることによってサウンドは非常に幅広いものになっている。Aimerは独特の憂いを含んだその声を曲のサウンドによって、光のヴェールに包まれているかのように、あるいは自身の心の奥底に眠る闇を全て音に乗せるかのように変化させていく。それによって全ての曲がAimerが歌う曲としての必然を感じさせるものになっている。
Aimerの存在を知った時は「アニソンを歌うシンガー」というイメージだった。初めてちゃんと聴いた時は「Galileo Galileiの曲に参加して、屈指の名曲をバンドと共に作った人」というイメージだった。「蝶々結び」がリリースされた時は「野田洋次郎が惚れたこともわかるような声を持つ人」というイメージだった。この2枚がリリースされた今は、歌うことでしか生きられないような業を持った、だからこそ歌が上手いという次元や、ポップやロックという概念すら超えるシンガーというイメージになった。
花びらたちのマーチ
https://youtu.be/YMxsicN1R0M
3.Hello my shoes / 秋山黄色
シングルはもちろん、このベストディスクにはあまりミニアルバムを入れない。それは意図的にそうしているというわけではなくて、良い曲が5曲入っているミニアルバムよりも15曲入っているフルアルバムの方が評価は高くなるし、1枚で描くストーリーというものも大きくなるからだ。
しかしながら秋山黄色のデビュー作となったこの「Hello my shoes」はミニアルバムである。ミニアルバムであっても年間ベストに入る、さらには3位という順位にするべき作品である。
NUMBER GIRLの影響を強く感じる鋭く重いリズムのギターロック「やさぐれカイドー」から始まるこのミニアルバムは、秋山黄色というアーティストの持つメロディメーカーとしての資質と可能性をこれでもかというくらいに感じさせる。なんらかの有名なアニメのタイアップにでもなっていれば大ヒットしていたであろう「猿上がりシティーポップ」、そもそもがフリーターを自称して登場したやるせない自身の心象を描いた「Drown In Twinkle」、
「今現在の残金の総額とあふるる夢の数がスレてて笑っちまう」
という、「金はないけど夢はある」あるいは「夢はあるけど金はない」という意を独自の筆致で描いたラインが個人的2019年No.1フレーズである「とうこうのはて」。このミニアルバムに収められた5曲はそれだけでフルアルバムの15曲に比肩するぐらいの大名曲のみ。それによってこの順位に選出したのだ。
おそらく単純に再生回数だけなら2019年の1位であろうというくらいに聴いた作品。こういうアーティスト、こういうアルバムに出会えるからこそ音楽を聴くのがやめられないし、一生一緒なんて思えるようになりたいんだ。
猿上がりシティーポップ
https://youtu.be/zCGl_APrE0Q
2.「だから僕は音楽を辞めた」「エルマ」 / ヨルシカ
かつて自分は3枚組というボリュームの七尾旅人「911 FANTASIA」というアルバムを年間1位に選出したこともあるし、コンセプトアルバムというものは音楽に加えて1枚を通して描く物語という要素が加わることで自分は評価を上げる傾向がある。
同時リリースではないけれど、「音楽を辞めて北欧の国に向かった青年のアルバム」と「その青年の足跡を辿る女性のアルバム」という2枚が連なるヨルシカが今年リリースしたアルバムは実質2枚組と言ってもいいものだろう。
その2枚で曲のタイトルが対になっているという構成の首謀者n-bunaの構築力はもとより、2枚それぞれで主人公が異なることを歌い方を変える(歌詞の言葉遣いも変えている)ことによって表現できるボーカル・suisの憑依っぷりも凄まじいが、それぞれ異常なほどのクオリティの高さを誇る情報量の多いギターロックな曲たちはそれ単体でも名曲たり得るような曲ばかりだ。そんな曲たちが集まること、並ぶことによってさらに大きな一つの塊となって輝く。
今や配信からストリーミングで音楽を聴くようにリスニング環境が変化してきたことによって「アルバムという表現形態はこれからも有効なのだろうか?」という問いもよく見かける。それに対する最も強力な回答も言ってもいいアルバムだし、様々な娯楽が溢れる時代の中にあって、音楽が芸術であるということを実感させてくれるアルバムでもある。
だから僕は音楽を辞めた
https://youtu.be/KTZ-y85Erus
1.CENTER OF THE EARTH / a flood of circle
これで何作目の年間ベスト1位選出だろうか。昨年の青木テツの加入で4人全員が正式メンバーとなったことによって、昨年リリースのセルフタイトルフルアルバムもライブもそれまで以上にこの4人だからこその強さを感じさせるようになったa flood of circle、1年ぶりというハイペースっぷりもこのバンドにとっては通常運転である。
5位にこのバンドのボーカルである佐々木亮介のソロアルバムを選出しているが、ソロで最新の世界のトレンドを吸収した音楽を作るようになったことにより、本隊のフラッドは完全にロックンロールとブルースに焦点が定まった。このアルバムも今のバンド自身のことを歌った「Flood」を皮切りにひたすらに全速力でぶっ飛ばすロックンロールが続く。これまではアルバムに複数曲あったバラード枠も「スノードームの夜」1曲のみとなっている。
なぜ自分がこのバンドのことを年間ベストに何回も選出するくらいに評価しているのか。それはフラッドがライブはもちろん音源においてもロックンロールのカッコ良さを感じさせてくれるバンドであると同時に、他のどんなアーティストやバンドと比べても全く引けを取らないくらいに美しいメロディの曲を生み出すことができるバンドだからである。いろんな変化があったバンドだけれどそれは揺らいだことはないし、テツ加入後は特に「今が1番最高にして最強」という状態をあらゆる面において更新し続けている。
しかしいろんな媒体の年間ベストを見ていても、このバンドの作品を取り上げているのはほとんど見たことがない。本当にずっと好きな人だけが取り上げているような。それは実に悔しいし歯痒い。ずっとそう思い続けている。自分なんぞのこんなブログなんかをきっかけに聞いてもらえる人が増えるとは思っていないけれど、少しでも可能性がある限りはそれを絶対に諦めたくはない。そう思えるような曲や作品をこのバンドは作り続けているから。
Center Of The Earth
https://youtu.be/7w1GhWCzehw
惜しくもTOP20に入らなかったアルバム
torches / SHADOWS
ALL THE LIGHT / GRAPEVINE
瞬間的シックスセンス / あいみょん
Eye / SEKAI NO OWARI
Lip / SEKAI NO OWARI
人間なのさ / Hump Back
Our Secret Spot / the HIATUS
カルペ・ディエム / THE BACK HORN
UNSER / UVERworld
2019年の20曲(順不同)
猿上がりシティーポップ / 秋山黄色
とうこうのはて / 秋山黄色
クラッカー・シャドー / 秋山黄色
クソフラペチーノ / 秋山黄色
正義 / ずっと真夜中でいいのに。
勘冴えて悔しいわ / ずっと真夜中でいいのに。
Center Of The Earth / a flood of circle
Sweet Revolution / 夜の本気ダンス
花びらたちのマーチ / Aimer
ヤングアダルト / マカロニえんぴつ
永遠と一瞬 / マカロニえんぴつ
ラブコール / ポルカドットスティングレイ
パレード / ヨルシカ
だから僕は音楽を辞めた / ヨルシカ
愛にできることはまだあるかい / RADWIMPS
Light Your Fire / the telephones
絶体絶命 / Co shu Nie
光るまち / teto
Dororo / ASIAN KUNG-FU GENERATION
癒着☆NIGHT / ヤバイTシャツ屋さん
表彰2019
MVP:a flood of circle
新人王:秋山黄色
最優秀公演賞:ハルカミライの2019年のライブ全て
カムバック賞:the telephones
今年はこの後に控えているCDJ含めて137本のライブに行った。その中でライブという意味では最大のインパクトと感動を与えられたのはハルカミライだった。それはワンマンだけじゃなく、30分だけのフェスやイベントにおいても。幕張メッセをも制したこのバンドは果たしてこれからどんなステージに立つのか。どんなに大きな場所になったとしてもその感動は変わらないはずだ。
そんな中で新人王は秋山黄色。他にもたくさんの候補がいたが、本当に今年デビューした新人でありながらも20勝するような、新人年の上原浩治を思い起こさせるくらいの衝撃だった。ミニアルバム以降の配信リリース曲もことごとく名曲揃いで、すでに来年にはメジャーデビューも決定し、この流れでフルアルバムが出たら来年は年間ベストディスクの最有力候補と言っていいだろう。
もはやMVPについてはここで語るまでもないが、年間ベストのアルバムをリリースし、そのツアーで全国を回ったと思ったらさらにシングルを2枚もリリース。その活動ペースを考えると毎年MVPクラス。ロックシーンにおける、エンゼルスで大谷翔平のチームメイトであるマイク・トラウト(デビュー以来全ての年でMVP投票3位以内)と言っていいバンドである。
そんな2019年は悲しいことや寂しいこともたくさんあった。でもそれは活動していたり、生きている時に出会うことができたからそう感じること。出会わなかった人生よりも、出会えた方が絶対に幸せだった。彼らがいたことを、音楽を鳴らしていた姿をこれからも忘れないように。いつか、the telephonesのようにまたステージに戻ってくるのを見れますように。
20.THE SIDE EFFECTS / coldrain
もはやラウドロックというジャンルが隆盛を極めてきた、というよりもだんだんと大きなステージに立てるバンドとそうではないバンドがハッキリしてきたように感じる。一口にラウドと言ってもそれぞれのバンドの戦い方はバラバラであるし、「ラウドになんらかの他の要素を加えて自分たちならではの音楽にする」というスタイルのバンドも多い中で、coldrainはひたすらに王道のラウドロックを突き進む。
そして日本武道館までも制圧したことによってその王道っぷりがそれそのままcoldrainだからこその音楽であることを示した最新アルバム。そんな中にあっても地元の名古屋でフェスを開催したり(2020年2月)、CRYSTAL LAKEのRyoをゲストに招いた曲でアルバムが始まるあたりにメンバーの人間性を感じさせる。「俺たちもめちゃくちゃカッコいいことやるけど、カッコいいヤツらみんなで上がっていこうぜ」というような。
MAYDAY feat.Ryo
https://youtu.be/PzaW0E7uRwc
19.COMINATCHA!! / WANIMA
フルアルバムも3枚目となるとどうしても聴いていて既視感を感じてしまうこともあるし、それがパンクというある意味ではサウンドやスタイルが決まり切っているバンドならば尚更。
WANIMAのこの「COMINATCHA!!」も一聴するとこれまでの延長線上にあるようなアルバムであり、それは間違いではないのだが、そんな中にあって最も重要な曲は去年からライブで大事に育てられてきた、メンバーの地元・熊本の風景を歌った「りんどう」と、まさかのストリングスアレンジまで取り入れた「宝物」というバラードと言っていい2曲。
この2曲でもって、これまでに自分たちにつけられてしまった本意ではないイメージやレッテルを受け入れながらも、パンクやロックファンだけではないもっと広い場所に自分たちの音楽を届けようとしている。
WANIMAの登場は本当に衝撃的だった。パンクでこんな景色が見れるなんて、と感動した。その感動や衝撃をもっとたくさんの人に与えようとしている。この「COMINATCHA!!」はそのための大きな礎になるはずだ。
りんどう
https://youtu.be/Pw_cYJoSsKQ
18.有頂天 / ポルカドットスティングレイ
もしかしたらこのランキングの中で最も「なんでお前がこのバンドのアルバムを選んでるんだ」と思われるかもしれない。そんなこのバンドと自分との諸々は今年ブログにも書いた。
(http://rocknrollisnotdead.jp/blog-entry-592.html?sp)
しかしながら曲は良いバンドであるということは認めざるを得ないし、それがこのバンドが最も支持されている理由なのは間違いない。だからこそこうして年間ベストにも選出しているのだが、自分といろいろあった時にこのバンドの雫は
「音楽で言いたいことはない」
ときっぱり言っていた。
しかしこのアルバムに収録されている、初めて自身のことを歌った曲である「ラブコール」という曲はこのバンドにはちゃんと言いたいことや自分たちなりのスタンスがあって、しかもそれをちゃんと自分たちの音楽にすることができる。そこからは初めて、このバンドの人間らしさを感じることができる。そんな、絶対にこのバンドでないと作れない曲が収録されているというだけでも年間ベストに入るべき作品。
ヒミツ
https://youtu.be/D199Zpv6d6M
17.永遠の花 / ハルカミライ
このアルバムにはライブでは欠かすことのできない「世界を終わらせて」や「それいけステアーズ」というキラーチューンたちが収録されている。もちろんそれらの曲を含めて曲のクオリティは申し分ない。
だが幕張メッセまでも制し、ライブを見ると毎回あまりのカッコよさに必ず感動してしまうというもはや当代一のライブバンドと言っていい存在であるだけに、そのライブで感じることのできる感情や感動を全て音源に封じ込められているとは言い難い。
それはライブがあまりにも良すぎるということの裏返しでもあるが、そのライブの空気感をそのままアルバムとしてパッケージできるようになった時には、このバンドが年間ベストで1位を獲得することになるはずだ。
それいけステアーズ
https://youtu.be/ljS76dmqPIA
16.フレデリズム2 / フレデリック
それこそ「これぞフレデリック」と言えるような、シュールは歌詞のダンスロック「スキライズム」も収録されているとはいえ、このアルバムでフレデリックが目指しているのはその「これぞフレデリック」というようなイメージからの脱却と、新たなフレデリックらしさの構築だろう。
そうした今までのフレデリックらしい曲に比べるとはるかにテンポの遅い、狂騒的なダンスチューンではなくリズムに合わせて体を揺らせるような「LIGHT」から始まるということがそれを最も示しているが、本人たちもインタビューにおいて「「オドループ」がなくても成立するようなライブを」と発言しているように、バンドの視線ははるかに先を見据えている。
そうした視線の変化はともするとファン層の入れ替わりを招いてしまう可能性も孕んでいるけれど、フレデリックをダンスユニットではなくてロックバンドたらしめる上でこれまで以上に重要になるのは赤頭隆児のギターであると個人的には思っている。
「夜にロックを聴いてしまったら」、踊らずにはいられない。
スキライズム
https://youtu.be/YZdDKQHLu50
15.DON'T STOP THE MUSIC / KEYTALK
このアルバムを語る上で最も大きなトピックはレーベルの移籍だろうし、連続配信リリースも含めて移籍したからこその動きも目立ったKEYTALK。
前作までのアルバムも良かったけれど、これまでのKEYTALKのアルバムの中で自分が1番このアルバムが好きなのは、どこか器用すぎるが故にアルバムになるとバラついて見えていた部分がなくなり、太い芯が1本できたように感じるから。
このアルバムにおいてもサウンドや方向性が幅広いことは変わらないが、メンバー4人全員が作曲をしているにもかかわらず、すべての曲がシングルリリースできるくらいのクオリティを持っている。そこにこそこのアルバムの統一感を感じるし、これまではメインソングライターの首藤義勝と巨匠に比べると飛び道具的なソングライターであった小野武正と八木優樹の曲すらも彼らだからこそできた曲でありながら他の曲に見劣りしないクオリティに。もうとっくにブレイクしているバンドだけれど、本当の意味でバンドが覚醒したアルバムなのかもしれない。
DE'DEVIL DANCER
https://youtu.be/NPObW8SNA4M
14.ズーカラデル / ズーカラデル
去年からズーカラデルのライブを見る機会が何回かあった。その時に感じたのは、初期のくるりのような文系ギターロックバンドが出てきたな、というものだった。
しかし今年リリースした初のフルアルバムにしてセルフタイトルのアルバムは、もはやこのバンドがそうした誰かのフォロワーであるという形容を無効化するくらいの名盤であった。これまでの集大成であり、新たな始まりでもあるだけにすでにリリースされていた曲も再録されているのだが、ニューヨークで新たにミックスされたその曲たちはミニアルバムのバージョンよりもはるかにロックに、そしてバンドらしく進化している。
その進化っぷりにこれからのこのバンドの未来にはドキドキせざるを得ないし、見た目は全くロックスター感のないメンバーたちだからこその選ばれたロックバンドが持つ魔法のような力を感じさせる。そしてこれはまだこのバンドの長くなるであろう歴史の「前夜」なのである。
アニー
https://youtu.be/zSPEdE651y0
13.超現実至上主義宣言 / teto
tetoというバンドのイメージ。早口で言葉数の多い歌詞と焦燥感すら感じるテンポの速いロックサウンド。それは2018年の個人的年間ベストの1位に選出した「手」からわずか1年で届いたこの「超現実至上主義宣言」にも確かに息づいている要素である。
しかしこのアルバムを聴いて最も驚いたのは、ポップなシンセの音が鳴っている曲が多数あるということ。しかもクレジットを見るとそのシンセを弾いているのは小池貞利(ボーカル&ギター)。紛れもなく小池自身がそのtetoというバンドの持つイメージの刷新に最も意欲的だ。
ライブではもはやアンセム化している「光るまち」の待望のバンドバージョン(シングルのカップリングに収録されていたのは弾き語りだった)から始まるという先頭打者ホームランで幕を開けるこのアルバムは、tetoのライブにおけるはちゃめちゃと言っていいような衝動を感じさせるパフォーマンスもあってか、どこか人生に確かに限りがあって、終わりがくることと向き合わされる。それは紛れもない現実である。それまでにあと何回このアルバムを聴けるだろうか。あと何回tetoのライブを観れるだろうか。いずれ朽ちて無くなってしまうまで。
夜想曲
https://youtu.be/Niel-aPBWJc
12.834.194 / サカナクション
決して沈黙していたわけではないし、フェスなどに出演しながらちょくちょくツアーを回ったりもしていただけに、6年ぶりのアルバムと言われるとビックリしてしまうが、それだけ待たされた甲斐のある2枚組というボリュームと内容。
それだけ期間が空くとどうしても既発シングル曲がたくさん入って…というものになりがちであるし、確かに既発曲も多く収録されているが、山口一郎出演のソフトバンクのCM曲として起用された「忘れられないの」をはじめとして、アルバムの新曲群のクオリティの高さ、そしてサウンドはバラバラでありながらもサカナクションでしかないそれらの曲たちはなぜこのバンドが日本を代表する立ち位置にまで到達できたのかということ、サカナクションというバンドの凄さそのものを改めて感じさせてくれる。
そしてリリースが延期されたが故にリリースに先駆けて行われたツアーによって、そのサカナクションの凄さに改めて打ちのめされた。あんなサカナクションでしかできない音楽と芸術の融合的な凄いライブはやっぱり観てしまったら、忘れられないの。
忘れられないの
https://youtu.be/BxqYUbNR-c0
11.潜潜話 / ずっと真夜中でいいのに。
6月にミニアルバム「今は今で誓いは笑みで」をリリースし、8月にワンマンライブを観た際に10月にこの1stフルアルバム「潜潜話」のリリースが発表された時は年間ベストの大本命的なものになるとすら思っていた。
そんな高過ぎるハードルゆえかこの位置に落ち着いたのは「今は今で誓いは笑みで」と昨年シーンに衝撃を与えた登場作「正しい偽りからの起床」の収録曲が多く収録されているからということもあるし、その収録曲である「正義」「勘冴えて悔しいわ」「秒針を噛む」「脳裏上のクラッカー」というあたりの曲を上回るくらいの新録曲がないということもある。
それでもこの曲たちをすべて新曲として聴いていたとしたら相当な衝撃作であることに変わりはないし、いわゆるネットシーンから出てきたアーティストの中ではトップクラスに音源をさらに上回るライブを見せてくれることが見れば一発でわかる。なんなら今年ライブを見て最も心が震えた、衝撃を受けたアーティストでもある。
正義
https://youtu.be/7kUbX4DoZoc
10.QUIZMASTER / NICO Touches the Walls
リリース時と今とではこうしてアルバムのことについて書くことが全く変わってしまった1枚。それはもちろんNICO Touches the Wallsが11月に活動終了を発表したからである。
光村龍哉が「いつか作りたかったアルバム」と語っていた通り、NICO唯一の先行シングル曲が収録されていないアルバム。それは求められるものよりも自分たちの表現欲求に突き動かされてできたアルバムということであるが、それゆえにどこかインディーズ時代のこのバンドを思い起こさせるし、どんなにやりたいように作っても根のメロディメーカーの部分は決して失われておらず、自己満足的な作品でも決してない。NICOの音楽に触れたことがない人にも堂々と最初に渡せる1枚となっている。
しかし。もしこのアルバムを作ったことによってバンドが「やりきった」と感じてしまったのだとしたら。それがバンドの終わりに繋がってしまったのだとしたら。終わってしまった今となるとそんなことも頭をよぎってしまう。もしかしたらこのアルバムが出来なければNICOはまだ今まで通りに続いていたんじゃないかと。
「どうして夢を見るの?」と問いかけるのではなくて「まっさらな夢を見させてよ」と願っていた方が幸せだったんじゃないか。聴いてしまうとそんなことを考えてしまうだけに、名盤でありながらも今年リリースされた中で最も聴けなくなってしまったアルバム。
18?
https://youtu.be/ko0DHDT7n4g
9.DEEP BLUE / 9mm Parabellum Bullet
今年15周年を迎えた9mm Parabellum Bulletは2019年9月9日に8枚目のアルバム「DEEP BLUE」をリリースした。2年前の前作「BABEL」から引き続き、滝善充が作曲、菅原卓郎が作詞という黄金コンビによって制作されたアルバムであるが、作曲を担いながら誰よりも暴発弾的な暴れっぷりを見せていた滝のライブ活動一時休止というバンド最大のピンチを経験したことによって最も変化したのは卓郎の歌詞だ。
「9mm初の応援ソング」とも言われた先行シングル曲「名もなきヒーロー」に顕著なように、これまでは物語的な歌詞が多かった卓郎の歌詞は直接的に聴き手に語りかけるものになった。それによってタイトル通りに15年目のバンドにして青さが滲み出るものともなったわけだが、その青さは若手バンドが持つ爽やかな青さではなく、いろんなことを経験してきて様々な色が混ざり合った結果として最も視覚的に大きな色となったのが青だったということ。だからただの「BLUE」ではなく、いろんなことがあったからこそ深みを増した「DEEP BLUE」。それは15年目にして新たな始まりを告げる色となった。これからの9mmは大きく変わることはないかもしれないが、ずっと9mmを聴いてきた人たちにこのアルバムの青さと同様に深く愛し続けられていくはずだ。
Beautiful Dreamer
https://youtu.be/B5MqDUaIniM
8.Fetish / 夜の本気ダンス
そのバンド名の通りに様々なフェスなどのライブ会場を踊らせまくってきた、夜の本気ダンスのメジャー3rdアルバムはそうした部分は保ちながらも、幅広い音楽性とバンドの普遍性やこれからの可能性を感じさせるものとなった。
まず幅広い音楽性という点で最も大きいのはCreepy Nutsをゲストに迎えた「Movin'」だろう。それは今までのこのバンドにはあまり感じられることがなかったヒップホップの要素をついに取り入れたということであるけれども、ライブではR指定のラップのヴァースをまさかの鈴鹿がドラムを叩きながらこなすという器用な面を見ることができる。ヒップホップは踊れる音楽であるということを証明するようなコラボである。
もう一つの普遍性という点はこのバンドのもともと持っていたメロディアスな部分が過去最高に花開いているということ。サビを一瞬聴いただけで名曲であることがわかる「Sweet Revolution」を筆頭に、アルバムの締めである「Forever Young」も客席が踊るというよりも歌うという景色が容易に想像できる。
ダンスロックバンドというのはフェスなどでの動員力と音源の売り上げが釣り合わないことも多い。フェスでは何万人もライブを観に来るけれどアルバムまでは聴かれていないというような。このバンドも前作まではそのパターンにハマりつつあった。でもこのアルバムができたことによってそれは変わる予感がする。いや、心から変わって欲しいと願っている。
Sweet Revolution
https://youtu.be/gPwWjdopt9Q
7.Section #11 / THE BAWDIES
デビューから10年以上経過したバンドがそれまでの自分たちを更新しようとするときに作るアルバムはそれまでとは異なる新しい要素を取り入れて進化を図るというものになることが多い。ひたすらにロックンロールやブラックミュージックへの憧憬を自分たちの音楽としてきたTHE BAWDIESも2017年の「NEW」はタイトル通りにそうした感触が強かった。
しかしながら15周年イヤーの今年にリリースされたアルバム「Section #11」は新しい音楽性を取り入れるというよりは自分たちが持っていて、これまで育ててきた芯の部分を最大限に研ぎ澄ませることに注力したかのようなロックンロールアルバムとなった。それによって楽曲自体の良さが過去最高レベルに引き出されているのは、やはりこのバンドがロックンロールバンドであり続けていて、これからもそうやって続いていくことの証明である。
このアルバムリリース前からTHE BAWDIESはフェスやイベントを含めたライブでこのアルバムに収録された曲を珍しいくらいに演奏し続けてきた。それくらいに早く聴いてほしかったのだろうし、このアルバムに今までにないくらいの自信があるのだ。
かつて「ロックンロールの若き伝道師」とも呼ばれていたバンドはもう若手ではなくなったかもしれない。それでもこの国で最高のロックンロールの伝道師であることは全く変わっていない。アルバムの最終曲、ROYがピアノを弾くMVが公開された「STARS」はこれからのTHE BAWDIESの未来、ひいては日本のロックンロールの未来すらも優しく、しかし力強く照らしている。
SKIPPIN' STONES
https://youtu.be/1ls22HyFIGI
6.Attitude / Mrs. GREEN APPLE
先行配信された「インフェルノ」を聴いた時に「これは!?」と思った。メジャーデビュー以降は明確な意識を持って自分たちのサウンドを変化させてきたMrs. GREEN APPLEがまるでメジャーデビュー期やインディーズ期のようなギターロックを鳴らしているからである。
その「インフェルノ」を含めた4枚目のフルアルバムでMrs. GREEN APPLEはそもそも大森元貴が10代の頃から持っていた死生観を強く感じさせるギターロックに回帰した。もちろんこれまでの変化と進化を経てきたからこそのストリングスやホーンのサウンドを取り入れたアレンジも施されているが、かつてメジャー1stアルバム「Twelve」収録の「パブリック」を聴いた時のような、人間という存在そのものと向き合わされるような切実さがこのアルバムを貫くトーンとなっている。
その大森の人間としての芯や軸が変わっていないからこそ、ミセスはどこにだって行けるし、こうしてどこかに行ったことによって得た経験を加えた姿となって戻ってくることもできる。きっとこれからもそうして予想だにしない方向へ走り出したり、またこうして自分たちの軸を確認したりするのだろう。それはミュージカルのようなステージを作ってみせたかと思ったら、演出もなしで小箱を回るというバンドのみの力を再確認するようなツアーを行ったりというライブにも現れている。そしてこのアルバムに収録された「青と夏」「僕のこと」という2曲によって、このバンドは着実に、確実に国民的バンドという位置に王手をかけている。
インフェルノ
https://youtu.be/wfCcs0vLysk
5.RAINBOW PIZZA / 佐々木亮介
自分は佐々木亮介の作る音楽が好きである。それはa flood of circleというカッコ良いロックンロールバンドのボーカルでありメインソングライターであるというのが1番大きな理由なのは間違いない。その一方で今の世界のスタンダードになりつつある、R&Bやトラップのサウンドがどうにも好きになることができない。
しかしながら佐々木亮介がソロとしてリリースしたこの「RAINBOW PIZZA」はそうしたR&Bやトラップのリズムやサウンドを取り入れたものになった。そもそもがありとあらゆる時代や世界の音楽を掘りまくっている(おそらくMUSICAでレビューを書いている人のうち、ミュージシャンであれだけ数多く書いてる人は他にいない)タイプのアーティストだけに世界の主流であるサウンドに興味を持つのは当然のことだ。
そんな、「好きなアーティスト」が「好きじゃないサウンド」のアルバムを作った結果はどうなったか。多くのアーティストを抑えてのこの順位である。もちろんサウンドはそうしたR&Bやトラップ、ヒップホップをメインとはしているが、これまでの弾き語りやバンドでのカバーを聴いていてもわかるように(前作のソロアルバムリリース時のライブでは海外のアーティストのカバーをやりまくっていた)、亮介のあの独特のしゃがれた声で歌うとどんな曲でも亮介の曲に、そしてロックンロールになる。
そしてどこまでそうしたサウンドに寄せたとしても、スピッツに多大な影響を受けているメロディメーカーとしての部分が強く感じられる。ただ海外のサウンドをそのままやるのではなく、日本人だからこそ作るものに昇華する。この国でそうした音楽を取り入れている人はみなやっていることかもしれないけれど、このアルバムにこそ最もそうしたサウンドを日本でやることの意味や意義を感じる。
Fireworks
https://youtu.be/1dzAqyfRqtE
4.「Sun Dance」「Penny Rain」 / Aimer
何度かライブを観ているけれども、自分はハッキリとしたAimerの顔がわからない。それは大きな会場でのライブになると設置されているスクリーンには彼女の顔が映されることはないというミステリアスなイメージを守るための方針とも言えるだろうけれども、「光」と「闇」というテーマに寄って収録曲を分けた2枚同時リリースのこのアルバムを聴いていると、顔がハッキリとわからないにもかかわらず、Aimerが歌っている姿が頭の中に浮かんでくる。
これまでにも様々なアーティストが曲を提供してきたが、今回もそうした作り方をしていることによってサウンドは非常に幅広いものになっている。Aimerは独特の憂いを含んだその声を曲のサウンドによって、光のヴェールに包まれているかのように、あるいは自身の心の奥底に眠る闇を全て音に乗せるかのように変化させていく。それによって全ての曲がAimerが歌う曲としての必然を感じさせるものになっている。
Aimerの存在を知った時は「アニソンを歌うシンガー」というイメージだった。初めてちゃんと聴いた時は「Galileo Galileiの曲に参加して、屈指の名曲をバンドと共に作った人」というイメージだった。「蝶々結び」がリリースされた時は「野田洋次郎が惚れたこともわかるような声を持つ人」というイメージだった。この2枚がリリースされた今は、歌うことでしか生きられないような業を持った、だからこそ歌が上手いという次元や、ポップやロックという概念すら超えるシンガーというイメージになった。
花びらたちのマーチ
https://youtu.be/YMxsicN1R0M
3.Hello my shoes / 秋山黄色
シングルはもちろん、このベストディスクにはあまりミニアルバムを入れない。それは意図的にそうしているというわけではなくて、良い曲が5曲入っているミニアルバムよりも15曲入っているフルアルバムの方が評価は高くなるし、1枚で描くストーリーというものも大きくなるからだ。
しかしながら秋山黄色のデビュー作となったこの「Hello my shoes」はミニアルバムである。ミニアルバムであっても年間ベストに入る、さらには3位という順位にするべき作品である。
NUMBER GIRLの影響を強く感じる鋭く重いリズムのギターロック「やさぐれカイドー」から始まるこのミニアルバムは、秋山黄色というアーティストの持つメロディメーカーとしての資質と可能性をこれでもかというくらいに感じさせる。なんらかの有名なアニメのタイアップにでもなっていれば大ヒットしていたであろう「猿上がりシティーポップ」、そもそもがフリーターを自称して登場したやるせない自身の心象を描いた「Drown In Twinkle」、
「今現在の残金の総額とあふるる夢の数がスレてて笑っちまう」
という、「金はないけど夢はある」あるいは「夢はあるけど金はない」という意を独自の筆致で描いたラインが個人的2019年No.1フレーズである「とうこうのはて」。このミニアルバムに収められた5曲はそれだけでフルアルバムの15曲に比肩するぐらいの大名曲のみ。それによってこの順位に選出したのだ。
おそらく単純に再生回数だけなら2019年の1位であろうというくらいに聴いた作品。こういうアーティスト、こういうアルバムに出会えるからこそ音楽を聴くのがやめられないし、一生一緒なんて思えるようになりたいんだ。
猿上がりシティーポップ
https://youtu.be/zCGl_APrE0Q
2.「だから僕は音楽を辞めた」「エルマ」 / ヨルシカ
かつて自分は3枚組というボリュームの七尾旅人「911 FANTASIA」というアルバムを年間1位に選出したこともあるし、コンセプトアルバムというものは音楽に加えて1枚を通して描く物語という要素が加わることで自分は評価を上げる傾向がある。
同時リリースではないけれど、「音楽を辞めて北欧の国に向かった青年のアルバム」と「その青年の足跡を辿る女性のアルバム」という2枚が連なるヨルシカが今年リリースしたアルバムは実質2枚組と言ってもいいものだろう。
その2枚で曲のタイトルが対になっているという構成の首謀者n-bunaの構築力はもとより、2枚それぞれで主人公が異なることを歌い方を変える(歌詞の言葉遣いも変えている)ことによって表現できるボーカル・suisの憑依っぷりも凄まじいが、それぞれ異常なほどのクオリティの高さを誇る情報量の多いギターロックな曲たちはそれ単体でも名曲たり得るような曲ばかりだ。そんな曲たちが集まること、並ぶことによってさらに大きな一つの塊となって輝く。
今や配信からストリーミングで音楽を聴くようにリスニング環境が変化してきたことによって「アルバムという表現形態はこれからも有効なのだろうか?」という問いもよく見かける。それに対する最も強力な回答も言ってもいいアルバムだし、様々な娯楽が溢れる時代の中にあって、音楽が芸術であるということを実感させてくれるアルバムでもある。
だから僕は音楽を辞めた
https://youtu.be/KTZ-y85Erus
1.CENTER OF THE EARTH / a flood of circle
これで何作目の年間ベスト1位選出だろうか。昨年の青木テツの加入で4人全員が正式メンバーとなったことによって、昨年リリースのセルフタイトルフルアルバムもライブもそれまで以上にこの4人だからこその強さを感じさせるようになったa flood of circle、1年ぶりというハイペースっぷりもこのバンドにとっては通常運転である。
5位にこのバンドのボーカルである佐々木亮介のソロアルバムを選出しているが、ソロで最新の世界のトレンドを吸収した音楽を作るようになったことにより、本隊のフラッドは完全にロックンロールとブルースに焦点が定まった。このアルバムも今のバンド自身のことを歌った「Flood」を皮切りにひたすらに全速力でぶっ飛ばすロックンロールが続く。これまではアルバムに複数曲あったバラード枠も「スノードームの夜」1曲のみとなっている。
なぜ自分がこのバンドのことを年間ベストに何回も選出するくらいに評価しているのか。それはフラッドがライブはもちろん音源においてもロックンロールのカッコ良さを感じさせてくれるバンドであると同時に、他のどんなアーティストやバンドと比べても全く引けを取らないくらいに美しいメロディの曲を生み出すことができるバンドだからである。いろんな変化があったバンドだけれどそれは揺らいだことはないし、テツ加入後は特に「今が1番最高にして最強」という状態をあらゆる面において更新し続けている。
しかしいろんな媒体の年間ベストを見ていても、このバンドの作品を取り上げているのはほとんど見たことがない。本当にずっと好きな人だけが取り上げているような。それは実に悔しいし歯痒い。ずっとそう思い続けている。自分なんぞのこんなブログなんかをきっかけに聞いてもらえる人が増えるとは思っていないけれど、少しでも可能性がある限りはそれを絶対に諦めたくはない。そう思えるような曲や作品をこのバンドは作り続けているから。
Center Of The Earth
https://youtu.be/7w1GhWCzehw
惜しくもTOP20に入らなかったアルバム
torches / SHADOWS
ALL THE LIGHT / GRAPEVINE
瞬間的シックスセンス / あいみょん
Eye / SEKAI NO OWARI
Lip / SEKAI NO OWARI
人間なのさ / Hump Back
Our Secret Spot / the HIATUS
カルペ・ディエム / THE BACK HORN
UNSER / UVERworld
2019年の20曲(順不同)
猿上がりシティーポップ / 秋山黄色
とうこうのはて / 秋山黄色
クラッカー・シャドー / 秋山黄色
クソフラペチーノ / 秋山黄色
正義 / ずっと真夜中でいいのに。
勘冴えて悔しいわ / ずっと真夜中でいいのに。
Center Of The Earth / a flood of circle
Sweet Revolution / 夜の本気ダンス
花びらたちのマーチ / Aimer
ヤングアダルト / マカロニえんぴつ
永遠と一瞬 / マカロニえんぴつ
ラブコール / ポルカドットスティングレイ
パレード / ヨルシカ
だから僕は音楽を辞めた / ヨルシカ
愛にできることはまだあるかい / RADWIMPS
Light Your Fire / the telephones
絶体絶命 / Co shu Nie
光るまち / teto
Dororo / ASIAN KUNG-FU GENERATION
癒着☆NIGHT / ヤバイTシャツ屋さん
表彰2019
MVP:a flood of circle
新人王:秋山黄色
最優秀公演賞:ハルカミライの2019年のライブ全て
カムバック賞:the telephones
今年はこの後に控えているCDJ含めて137本のライブに行った。その中でライブという意味では最大のインパクトと感動を与えられたのはハルカミライだった。それはワンマンだけじゃなく、30分だけのフェスやイベントにおいても。幕張メッセをも制したこのバンドは果たしてこれからどんなステージに立つのか。どんなに大きな場所になったとしてもその感動は変わらないはずだ。
そんな中で新人王は秋山黄色。他にもたくさんの候補がいたが、本当に今年デビューした新人でありながらも20勝するような、新人年の上原浩治を思い起こさせるくらいの衝撃だった。ミニアルバム以降の配信リリース曲もことごとく名曲揃いで、すでに来年にはメジャーデビューも決定し、この流れでフルアルバムが出たら来年は年間ベストディスクの最有力候補と言っていいだろう。
もはやMVPについてはここで語るまでもないが、年間ベストのアルバムをリリースし、そのツアーで全国を回ったと思ったらさらにシングルを2枚もリリース。その活動ペースを考えると毎年MVPクラス。ロックシーンにおける、エンゼルスで大谷翔平のチームメイトであるマイク・トラウト(デビュー以来全ての年でMVP投票3位以内)と言っていいバンドである。
そんな2019年は悲しいことや寂しいこともたくさんあった。でもそれは活動していたり、生きている時に出会うことができたからそう感じること。出会わなかった人生よりも、出会えた方が絶対に幸せだった。彼らがいたことを、音楽を鳴らしていた姿をこれからも忘れないように。いつか、the telephonesのようにまたステージに戻ってくるのを見れますように。