千葉県民の音楽好きである自分がサマソニに行かない理由
- 2019/08/24
- 11:55
今年、SUMMER SONICは20周年を迎えた。東京(千葉の幕張だけど)と大阪で出演者を日毎に入れ替えて開催される都市型ロックフェスであり、普段は見れないような海外アーティストのライブが観れる貴重な場所である。
自分は千葉県民であるので、主要夏フェスのなかではサマソニが1番家から近い。チケット代が高いというのはあるけれど、家から往復400円しか交通費がかからないし、宿泊費なども一切かからないことを考えればロッキンやライジングサンよりもはるかに金銭的な負担は少ない。
であるにもかかわらず、ましてや今年はチケットが即完するくらいの豪華アーティストが集結したにもかかわらず、自分は今年のサマソニに行かなかった。去年も行っていない。そこには「行かない」ということを選んだ自分の中での明確な理由がある。
初めてサマソニに来たのは2008年だった。RADWIMPSがMARINE STAGEに立ち、the telephonesがDANCE STAGEのオープニングアクトだった最終日。9mm Parabellum Bulletや凛として時雨が小さいステージに立つ中、当時MARINE STAGEで入場規制がかかっていたという大トリのColdplayを見ずにSONIC STAGEでイギリスのシューゲイザーバンド、The Jesus and Mary Chainを見るという捻くれっぷりであった。今思うとなんでそこが被ってんだよ!とツッコミたくなるけれど。
その時に見たのはライブだけではなかった。すでにCOUNTDOWN JAPANなどのフェスで幕張メッセにはよくライブもフェスも見に行っていたが、サマソニの幕張メッセの中はそれまでに見たものとはかなり違っていた。
それはカメラを構えている観客の多さと、会場のいたるところに捨てられていたゴミ容器の多さ。「一応禁止じゃなかった?」と思うくらいのライブ中の撮影はむしろ運営側の曖昧な姿勢によって増えているという。しかし昨年出演したback numberの清水依与吏が苦言を呈していたように(かつてはBEAT CRUSADERSも言っていた)、撮られるのを嫌がるアーティストもたくさんいるし、「禁止されている行為をする人のせいでステージが見えない」というのはしっかりこの目でライブを見たい自分のようなタイプの観客にとっても決していいことではない。禁止されていないのであれば全然気にしないんだけど。
そしてゴミ。あたかも地べたに座って食べたらその場に捨て置くのが当たり前、と言わんばかりの散乱っぷり。かつて深夜のSONIC MANIAに行った時は終わった後にゴミを避けて歩いているというくらいにゴミだらけだった。千葉県民として生きてきた身からすると、自分の住んでいる千葉県の場所がこんなにも汚されるというのが悲しくて、その日見たサカナクションのライブの記憶が全くないくらいにゴミの記憶しかない。
また、サマソニの運営にも数々の怒りを覚えるようなこともあった。
前述のソニマニの時、自分は1時間くらい前から会場に着いていた。そこで荷物をクロークに預けてから開演を待とうとしていた。しかしながら何をどうやったらそんなに時間をかけることができるのか、チケットをリストバンドに引き換えてからクロークに荷物を預けて…とやっていたらすでにとっくにライブが始まっていた。その日のトップバッターはPerfumeだった。最後の1〜2曲しか見れなかった。高いチケット代取っておきながらこれはさすがに酷すぎる、と思った。それからソニマニに行くのはやめてしまった。だから今の深夜枠がどんな感じなのかはわからないけれど。
こんなこともあった。やはり朝早くから会場入りしていた自分はその日出演する某アーティストの限定Tシャツを買おうとしていた。オープニングアクトまで1時間以上時間があった。その某アーティストはお世辞にも物販に並ぶ人がいるとは言えないので、すぐにTシャツを買って、会場内を見て回ろうと思っていた。
しかしサマソニは普段の物販の手法とは違い、アーティストの物販を買うためにそのアーティストの物販列に並ぶのではなく、「幕張メッセのステージに出演しているアーティストの物販はみな同じ列に並び、買えるところまで来たら各々が好きな売り場に行く」というスタイルを採用していた。その日、幕張メッセには人気絶頂のBABYMETALが出演しており、朝から物販は長蛇の列だった。確かに運営側からしたら人件費の節約にはなるかもしれない。しかし自分は普段なら1分も経たずに買えるアーティストのTシャツを買うために、ベビメタファンの方々と一緒に炎天下の中で2時間も並んだ。(物販は幕張メッセの外だからめちゃくちゃ暑い)
しかもびっくりするくらいに列が全然進まなかった。なのに売り子の人の前には時折誰も並んでいないという時間すらあった。当然のようにオープニングアクトが見れないのはもちろん、トップバッターすら遅刻した。
「サマソニの物販は長蛇の列ができるくらいに大人気!」
という公式ツイッターのツイートを違反報告してやりたかった。
ただ、ここまではまだ許容範囲内というか、ネタにできるレベルの話である。これ以上に許せない、決定打になるような出来事があった。
サマソニのメインステージは千葉マリンスタジアム(時代によって呼称は変わる)である。その千葉マリンスタジアムは千葉ロッテマリーンズの本拠地であり、幼少期からずっと野球を見に来ているロッテのファンクラブ会員である自分にとっては本当に特別な場所なのである。
そんなマリンスタジアムはサマソニ時はMARINE STAGEとなるのだが、グラウンドがスタンディングエリアになっているので、普段選手たちがプレーしている場所に立つことができる。それは実に嬉しいことだし、「この辺であの選手が普段守備についているんだな…」と妄想に耽ることもできる。
そんな場所のグラウンドの上でタバコを吸っているやつの姿を自分は見てしまった。サマソニ開催時にはシートがかけられているが、その下には人工芝がある。運営が緩すぎるサマソニがMARINE STAGEの入り口で人工芝保護のために水と無糖のお茶以外を厳しく没収しているのを見れば、タバコを吸うなんていうのはもってのほか、人工芝を殺す行為だというのはわかるはずだ。
ましてやその時期、マリンスタジアムは人工芝の改修と張替えを行なっていた。しかしマリンスタジアムの持ち主である千葉市は財政難であり、球団が多額の金銭を市の借金という形で肩代わりし、ファンからも支援金を募って老朽化してきた球場を改修しようとしていた。
こと人工芝においては劣化するとそれはそのままそこでプレーする選手の足などに影響してくる。芝が剥げてきたり短くなったりすると、足の踏みしめる感触はどんどん地肌の部分、つまりはコンクリートに近くなる。そこでダイビングしたりスライディングするというのは怪我のリスクが高くなる。球団もファンもそれをわかっていて、選手を守りたいと思っているからこそ、そうして費用を捻出して人工芝を張り替えたりしてきた。
この歳になるとプロ野球選手も歳下ばかりになる。上の年齢の選手はもちろん、同年代の選手すらもう数えられるくらいしかいない。そんな年齢の選手たちは怪我をしてしまうと、そのままそれは選手生命につながる。彼らのプレーする姿を見ては、まだいける。まだまだ自分たちの世代は第一線でやっていけるという勇気や力をもらってきた。そんな選手たちに少しでも長くプロ野球選手として生きていて欲しい。あの人工芝には球団とファンのそんな願いが込められている。
しかし大抵のサマソニ参加者からしたらそんなことは全く知らないだろうし、別にそこまで知って欲しいとは思っていない。ただ、そうしてサマソニ側すらもちゃんと保護しようとしてくれている人工芝を殺すようなことをする来場者がいるということ。言葉を選ばずに言えばぶっ飛ばしてやりたいというか、二度とタバコを吸えない体にしてやりたかった。
そう思うのも、このマリンスタジアムが自分にとって、ロッテファンにとって本当に大事な場所だからだ。今でこそ今までに訪れたフェスの会場が自分にとって大事な場所になっているけれど、それ以上に毎日マリンスタジアムで野球をするような人生でありたいと思っていたし、叶うことなら今でもそうありたいと思っている。
もちろんそれは自分がロッテファンだからそう思うだけであって、「サマソニ最高!」っていう人もいるのはわかっているし、その人にとってサマソニによってこの場所が大事な場所になっているならそれは本当に素晴らしいことだし、ありがたいことだと思う。
でもまだサマソニに行くようになる前、ロッテファンの多くが「サマソニをマリンスタジアムでやらないでほしい」と言っていたのを、自分はよくわかっていなかった。マリンスタジアムでライブ観れるって最高じゃん、くらいに思っていた。でも、ロッテファンがそう言っていた意味をわかってしまった。できればそれはわかりたくなかったし、わからない方がきっと幸せだった。こんなことを考えなくていいから。
今年出演した、SuchmosのYONCEが
「ロッテの初芝っていう選手が好きだった」
とマリンスタジアムでライブをやれる感慨を口にしていたという。当時のロッテで数少ない全国的に知られた選手だった、幕張のファンタジスタこと初芝清。YONCEがそう言っていたのは同じように初芝のプレーする姿を見ていたロッテファンとしては本当に嬉しいけれど、自分もそういう思いだけでサマソニに来れたらいいのにな、と思っていた。
Mr.マリーンズ 初芝清
https://youtu.be/06oXXW34GuE
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自分は千葉県民であるので、主要夏フェスのなかではサマソニが1番家から近い。チケット代が高いというのはあるけれど、家から往復400円しか交通費がかからないし、宿泊費なども一切かからないことを考えればロッキンやライジングサンよりもはるかに金銭的な負担は少ない。
であるにもかかわらず、ましてや今年はチケットが即完するくらいの豪華アーティストが集結したにもかかわらず、自分は今年のサマソニに行かなかった。去年も行っていない。そこには「行かない」ということを選んだ自分の中での明確な理由がある。
初めてサマソニに来たのは2008年だった。RADWIMPSがMARINE STAGEに立ち、the telephonesがDANCE STAGEのオープニングアクトだった最終日。9mm Parabellum Bulletや凛として時雨が小さいステージに立つ中、当時MARINE STAGEで入場規制がかかっていたという大トリのColdplayを見ずにSONIC STAGEでイギリスのシューゲイザーバンド、The Jesus and Mary Chainを見るという捻くれっぷりであった。今思うとなんでそこが被ってんだよ!とツッコミたくなるけれど。
その時に見たのはライブだけではなかった。すでにCOUNTDOWN JAPANなどのフェスで幕張メッセにはよくライブもフェスも見に行っていたが、サマソニの幕張メッセの中はそれまでに見たものとはかなり違っていた。
それはカメラを構えている観客の多さと、会場のいたるところに捨てられていたゴミ容器の多さ。「一応禁止じゃなかった?」と思うくらいのライブ中の撮影はむしろ運営側の曖昧な姿勢によって増えているという。しかし昨年出演したback numberの清水依与吏が苦言を呈していたように(かつてはBEAT CRUSADERSも言っていた)、撮られるのを嫌がるアーティストもたくさんいるし、「禁止されている行為をする人のせいでステージが見えない」というのはしっかりこの目でライブを見たい自分のようなタイプの観客にとっても決していいことではない。禁止されていないのであれば全然気にしないんだけど。
そしてゴミ。あたかも地べたに座って食べたらその場に捨て置くのが当たり前、と言わんばかりの散乱っぷり。かつて深夜のSONIC MANIAに行った時は終わった後にゴミを避けて歩いているというくらいにゴミだらけだった。千葉県民として生きてきた身からすると、自分の住んでいる千葉県の場所がこんなにも汚されるというのが悲しくて、その日見たサカナクションのライブの記憶が全くないくらいにゴミの記憶しかない。
また、サマソニの運営にも数々の怒りを覚えるようなこともあった。
前述のソニマニの時、自分は1時間くらい前から会場に着いていた。そこで荷物をクロークに預けてから開演を待とうとしていた。しかしながら何をどうやったらそんなに時間をかけることができるのか、チケットをリストバンドに引き換えてからクロークに荷物を預けて…とやっていたらすでにとっくにライブが始まっていた。その日のトップバッターはPerfumeだった。最後の1〜2曲しか見れなかった。高いチケット代取っておきながらこれはさすがに酷すぎる、と思った。それからソニマニに行くのはやめてしまった。だから今の深夜枠がどんな感じなのかはわからないけれど。
こんなこともあった。やはり朝早くから会場入りしていた自分はその日出演する某アーティストの限定Tシャツを買おうとしていた。オープニングアクトまで1時間以上時間があった。その某アーティストはお世辞にも物販に並ぶ人がいるとは言えないので、すぐにTシャツを買って、会場内を見て回ろうと思っていた。
しかしサマソニは普段の物販の手法とは違い、アーティストの物販を買うためにそのアーティストの物販列に並ぶのではなく、「幕張メッセのステージに出演しているアーティストの物販はみな同じ列に並び、買えるところまで来たら各々が好きな売り場に行く」というスタイルを採用していた。その日、幕張メッセには人気絶頂のBABYMETALが出演しており、朝から物販は長蛇の列だった。確かに運営側からしたら人件費の節約にはなるかもしれない。しかし自分は普段なら1分も経たずに買えるアーティストのTシャツを買うために、ベビメタファンの方々と一緒に炎天下の中で2時間も並んだ。(物販は幕張メッセの外だからめちゃくちゃ暑い)
しかもびっくりするくらいに列が全然進まなかった。なのに売り子の人の前には時折誰も並んでいないという時間すらあった。当然のようにオープニングアクトが見れないのはもちろん、トップバッターすら遅刻した。
「サマソニの物販は長蛇の列ができるくらいに大人気!」
という公式ツイッターのツイートを違反報告してやりたかった。
ただ、ここまではまだ許容範囲内というか、ネタにできるレベルの話である。これ以上に許せない、決定打になるような出来事があった。
サマソニのメインステージは千葉マリンスタジアム(時代によって呼称は変わる)である。その千葉マリンスタジアムは千葉ロッテマリーンズの本拠地であり、幼少期からずっと野球を見に来ているロッテのファンクラブ会員である自分にとっては本当に特別な場所なのである。
そんなマリンスタジアムはサマソニ時はMARINE STAGEとなるのだが、グラウンドがスタンディングエリアになっているので、普段選手たちがプレーしている場所に立つことができる。それは実に嬉しいことだし、「この辺であの選手が普段守備についているんだな…」と妄想に耽ることもできる。
そんな場所のグラウンドの上でタバコを吸っているやつの姿を自分は見てしまった。サマソニ開催時にはシートがかけられているが、その下には人工芝がある。運営が緩すぎるサマソニがMARINE STAGEの入り口で人工芝保護のために水と無糖のお茶以外を厳しく没収しているのを見れば、タバコを吸うなんていうのはもってのほか、人工芝を殺す行為だというのはわかるはずだ。
ましてやその時期、マリンスタジアムは人工芝の改修と張替えを行なっていた。しかしマリンスタジアムの持ち主である千葉市は財政難であり、球団が多額の金銭を市の借金という形で肩代わりし、ファンからも支援金を募って老朽化してきた球場を改修しようとしていた。
こと人工芝においては劣化するとそれはそのままそこでプレーする選手の足などに影響してくる。芝が剥げてきたり短くなったりすると、足の踏みしめる感触はどんどん地肌の部分、つまりはコンクリートに近くなる。そこでダイビングしたりスライディングするというのは怪我のリスクが高くなる。球団もファンもそれをわかっていて、選手を守りたいと思っているからこそ、そうして費用を捻出して人工芝を張り替えたりしてきた。
この歳になるとプロ野球選手も歳下ばかりになる。上の年齢の選手はもちろん、同年代の選手すらもう数えられるくらいしかいない。そんな年齢の選手たちは怪我をしてしまうと、そのままそれは選手生命につながる。彼らのプレーする姿を見ては、まだいける。まだまだ自分たちの世代は第一線でやっていけるという勇気や力をもらってきた。そんな選手たちに少しでも長くプロ野球選手として生きていて欲しい。あの人工芝には球団とファンのそんな願いが込められている。
しかし大抵のサマソニ参加者からしたらそんなことは全く知らないだろうし、別にそこまで知って欲しいとは思っていない。ただ、そうしてサマソニ側すらもちゃんと保護しようとしてくれている人工芝を殺すようなことをする来場者がいるということ。言葉を選ばずに言えばぶっ飛ばしてやりたいというか、二度とタバコを吸えない体にしてやりたかった。
そう思うのも、このマリンスタジアムが自分にとって、ロッテファンにとって本当に大事な場所だからだ。今でこそ今までに訪れたフェスの会場が自分にとって大事な場所になっているけれど、それ以上に毎日マリンスタジアムで野球をするような人生でありたいと思っていたし、叶うことなら今でもそうありたいと思っている。
もちろんそれは自分がロッテファンだからそう思うだけであって、「サマソニ最高!」っていう人もいるのはわかっているし、その人にとってサマソニによってこの場所が大事な場所になっているならそれは本当に素晴らしいことだし、ありがたいことだと思う。
でもまだサマソニに行くようになる前、ロッテファンの多くが「サマソニをマリンスタジアムでやらないでほしい」と言っていたのを、自分はよくわかっていなかった。マリンスタジアムでライブ観れるって最高じゃん、くらいに思っていた。でも、ロッテファンがそう言っていた意味をわかってしまった。できればそれはわかりたくなかったし、わからない方がきっと幸せだった。こんなことを考えなくていいから。
今年出演した、SuchmosのYONCEが
「ロッテの初芝っていう選手が好きだった」
とマリンスタジアムでライブをやれる感慨を口にしていたという。当時のロッテで数少ない全国的に知られた選手だった、幕張のファンタジスタこと初芝清。YONCEがそう言っていたのは同じように初芝のプレーする姿を見ていたロッテファンとしては本当に嬉しいけれど、自分もそういう思いだけでサマソニに来れたらいいのにな、と思っていた。
Mr.マリーンズ 初芝清
https://youtu.be/06oXXW34GuE
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