リーガルリリー リーガルリリーpresents「333」 〜HappyNewRegalLily!! In Tokyo〜 出演:リーガルリリー / たかはしほのか @東京キネマ倶楽部 1/5
- 2019/01/05
- 23:54
新年初ライブではあるが、会場の歴史を踏まえるとライブハウスと言っていいのかが憚られる会場である、東京キネマ倶楽部。そのステージに立つのは、昨年は渋谷のQUATTROでワンマンをするなど、着実に支持を広げているガールズスリーピースバンド、リーガルリリー。
18時過ぎに場内が暗転して3人がこの会場おなじみの下手の螺旋階段を降りてステージに登場。
この会場の雰囲気に合わせることなく、3人はいつもとなんら変わらない出で立ち。それが実に頼もしく思える。
もうちょっと広い会場だったら、この歌詞に合わせたように夜空に星がきらめくような演出が使えるようになるんだろうか、と思う2018年リリースの「The Telephone」収録の「スターノイズ」からスタート。アウトロのいきなりノイジーになるパートからはやはりこのバンドは一筋縄ではいかないというか、1曲作るのにどれだけのアイデアを込めているのだろうか、と思う。
たかはしほのかのボーカルはいつにも増して繊細さ(序盤の音づくりからそう感じるのだろうか?)を感じさせるが、それを補って余りあるくらいにリズム隊の強さが目立つ。昨年の渋谷QUATTROの時から覚醒の予感を見せていたゆきやま(ドラム)はもちろん、そのQUATTROのライブで正式加入が発表された、海(ベース)の安定感も含めて、「ああ、このバンドはちゃんと同世代の女性3人のバンドにまたなれたんだな」と少し安心してしまう。
人気音楽番組「関ジャム」で蔦谷好位置が紹介したことによって、このバンドを広く世に知らしめた「リッケンバッカー」もはやくもこの序盤に演奏されたのだが、普通のバンドだったらこの曲を本編、あるいはアンコールの最後の曲にするという軸になる曲にして、そこに至るまでの流れを作るというライブになっても良さそうだし、逆にこうしたタイプの曲を量産すればもっと簡単にさらなる大ブレイクが望めるとも思うのだが、このバンドは一切そういうことをしない。そんな曲であっても「今までに出したうちの1曲」くらいにしか思っていないだろうし、その曲も今の3人だからこそのアレンジによって、新たな曲に生まれ変わっている。
自分はこの曲は2010年代後半のガールズバンドの金字塔的な曲だと思っているし、それはYoutubeの再生回数を見てもわかることなのだが、その曲に決して頼らないという姿勢にこそこのバンドのスタイルというか意志のようなものを強く感じる。もしかしたらそうした戦略や計算みたいなものが一切できない人たちなのかもしれないが。
新曲と言って演奏された「猫の涙ギター」はタイトル通りにギターが強く前に出た曲であるのだが、そもそも特になんのリリースでもないライブ(強いて言うなら新年記念ライブ?)なので、それ故にまだミニアルバム3枚、計18曲しか全国流通音源がないこのバンドの今後がある程度予測できるような新曲が演奏されるようなライブになるのかと思っていたのだが、新曲を聴いてもまぁその今後の方向性が全然わからない。ギターロックという枠組みからは決して外れることはないだろうけど、「The Telephone」もそうだったが、実際に曲が出揃うまでにどんな作品になるのかは全くわからないバンド。
その後に演奏された「こんにちは。」からも、歌詞も曲も実にシュールというか、何をどうやったらこんな曲ができるのか、というのが全くわからないような曲ばかり。だからこそ腕が上がったり、わかりやすく盛り上がったりということは全くないのだが、そんな曲たちをちゃんと目の前にいる人たちに伝えられるような表現力をこの3人は身につけているし、たかはしのボーカルもこの辺りからは繊細さだけではなく、今までにライブをしてきたライブハウスとはまた違うこの会場に相応しい伸びや広がりを感じさせるようなものになってきていた。
するとここで海とゆきやまの2人が一旦ステージを去る。出演者にリーガルリリー / たかはしほのかとある通りに、たかはしほのかの弾き語りのコーナーへ。こういう出演の別れ方だと、最初に弾き語りをやってその後にバンドで、というパターンになりがちなのだが、こうしてあいだに挟む、そしてそれを出演者として事前に告知するというのは実に珍しいし、誠実なスタイルと言える。
たかはしはエレキで弾き語りするというスタイルなのだが、やはりバンドアレンジがされていないからか、どの曲もこの歌とギターのみというスタイルになると実にシンプル。間奏やアウトロもないだけに、メロディの良さのみがしっかりと伝わってくる。特に最後の「コーンポタージュ」はこの寒い時期ならではの情景が頭に浮かんでくる。
弾き語りを終えると、たかはしも一旦ステージから去り、背面にスクリーンが登場。そこに映し出されたのは年末に行われた、地元福生でのライブとオフショット的な映像。3人でこたつの中に入って話している姿などは実にリラックスしているし、ちゃんと3人のバンドになれたんだな、と思う。(1人だけ寝転がるようにしているゆきやまはリラックスし過ぎというレベルだが)
するとスクリーンには3月にアメリカのSXSWに出演することと、春に「春はあけぼの」というタイトルのツアーを行うことを発表。そのツアータイトルも今回のライブタイトルも決めたのは新メンバーである海ということで、そのタイトルを決めた理由を
「アメリカから帰ってきてからのツアーだから和の要素に立ち返るみたいな感じにしたかった」
と語っていたが、こんなにライブ中に喋るのは初めてとのこと。これからはそうした姿が見れるようになるのかもしれないが。
そして3人での「トランジスタラジオ」からはバンドのグルーヴがさらに激しく溶け合っていく。「僕のリリー」は今やこのバンドのテーマソングのように響き、ストレートなラブソングのようでいて最後には
「届かないよ、悪夢じみた言葉も空の笑顔さえ」
と孤独や虚無感を感じさせる「好きでよかった。」から、1stの「The Post」にシークレットトラック的に収録のポエトリーリーディング的なパートもある、このバンドの「ギターロックでありながら展開が奇想天外過ぎる」というのを初期から表していた「蛍狩り」で刹那的な駆け抜けるというよりは、思春期はあっという間に終わっていく、というような感じで本編は終了。
すぐさまメンバーが出てきたアンコールでは
「世界が終わったら、また火星で会いましょう!」
とたかはしが天然を炸裂させながら、新曲である「世界の終わり」を披露。たかはしのノイジーなギターのサウンドが世界が終わっていくような感覚を呼び起こさせるが、サウンドからもシューゲイザー的なポップさを感じさせるようなこの曲は春のツアー前に出るであろう新作(何も出さないでツアーやらないでしょ?)への期待を高まらせた。
演奏を終えると、3人が並んで観客に一礼。その姿からは清々しさとともに、ライブのタイトル「333」をベトナムのビールから取っている通りに、デビュー時は10代だったが故にお酒が飲めなかったこのバンドのメンバーが大人の女性らしさを持っていることを少し感じさせた。
たかはしを見ていると今でも幼く見える時もあるし、天然児というイメージも強い。しかしたかはしを始め、このバンドは今のバンドの中ではびっくりするくらいに野望や目標的なものを口にしたり、感じさせない。
だからこそ、本能の赴くままに、自分から出てきたものをそのまま形にして、3人で肉付けをするように曲を作っている。それは実に素直な衝動だし、作為的なものを感じさせないのだが、そこが世の中と噛み合った瞬間にさらに凄まじい曲が生まれて、凄まじいバンドになるんじゃないかと思う。
今ガールズバンドで勢いを感じさせるのは、yonigeとHump Back(どっちも大好きなバンドだけど)という2組だが、それとは同じ編成だけど全く違う音楽性、スタイルを持ったこのバンドもそのバンドたちくらい広いところで音楽を鳴らせるようになって欲しい。
1.スターノイズ
2.はしるこども
3.the tokyo tower
4.リッケンバッカー
5.猫の涙ギター
6.こんにちは。
7.うつくしいひと
8.ぶらんこ
たかはしほのか弾き語り
9.まわるよ
10.影はみっつ
11.コーンポタージュ
12.トランジスタラジオ
13.僕のリリー
14.好きでよかった。
15.蛍狩り
encore
16.世界の終わり
リッケンバッカー
https://youtu.be/V-lYzz5BNo0
Next→ 1/15 銀杏BOYZ @日本武道館
18時過ぎに場内が暗転して3人がこの会場おなじみの下手の螺旋階段を降りてステージに登場。
この会場の雰囲気に合わせることなく、3人はいつもとなんら変わらない出で立ち。それが実に頼もしく思える。
もうちょっと広い会場だったら、この歌詞に合わせたように夜空に星がきらめくような演出が使えるようになるんだろうか、と思う2018年リリースの「The Telephone」収録の「スターノイズ」からスタート。アウトロのいきなりノイジーになるパートからはやはりこのバンドは一筋縄ではいかないというか、1曲作るのにどれだけのアイデアを込めているのだろうか、と思う。
たかはしほのかのボーカルはいつにも増して繊細さ(序盤の音づくりからそう感じるのだろうか?)を感じさせるが、それを補って余りあるくらいにリズム隊の強さが目立つ。昨年の渋谷QUATTROの時から覚醒の予感を見せていたゆきやま(ドラム)はもちろん、そのQUATTROのライブで正式加入が発表された、海(ベース)の安定感も含めて、「ああ、このバンドはちゃんと同世代の女性3人のバンドにまたなれたんだな」と少し安心してしまう。
人気音楽番組「関ジャム」で蔦谷好位置が紹介したことによって、このバンドを広く世に知らしめた「リッケンバッカー」もはやくもこの序盤に演奏されたのだが、普通のバンドだったらこの曲を本編、あるいはアンコールの最後の曲にするという軸になる曲にして、そこに至るまでの流れを作るというライブになっても良さそうだし、逆にこうしたタイプの曲を量産すればもっと簡単にさらなる大ブレイクが望めるとも思うのだが、このバンドは一切そういうことをしない。そんな曲であっても「今までに出したうちの1曲」くらいにしか思っていないだろうし、その曲も今の3人だからこそのアレンジによって、新たな曲に生まれ変わっている。
自分はこの曲は2010年代後半のガールズバンドの金字塔的な曲だと思っているし、それはYoutubeの再生回数を見てもわかることなのだが、その曲に決して頼らないという姿勢にこそこのバンドのスタイルというか意志のようなものを強く感じる。もしかしたらそうした戦略や計算みたいなものが一切できない人たちなのかもしれないが。
新曲と言って演奏された「猫の涙ギター」はタイトル通りにギターが強く前に出た曲であるのだが、そもそも特になんのリリースでもないライブ(強いて言うなら新年記念ライブ?)なので、それ故にまだミニアルバム3枚、計18曲しか全国流通音源がないこのバンドの今後がある程度予測できるような新曲が演奏されるようなライブになるのかと思っていたのだが、新曲を聴いてもまぁその今後の方向性が全然わからない。ギターロックという枠組みからは決して外れることはないだろうけど、「The Telephone」もそうだったが、実際に曲が出揃うまでにどんな作品になるのかは全くわからないバンド。
その後に演奏された「こんにちは。」からも、歌詞も曲も実にシュールというか、何をどうやったらこんな曲ができるのか、というのが全くわからないような曲ばかり。だからこそ腕が上がったり、わかりやすく盛り上がったりということは全くないのだが、そんな曲たちをちゃんと目の前にいる人たちに伝えられるような表現力をこの3人は身につけているし、たかはしのボーカルもこの辺りからは繊細さだけではなく、今までにライブをしてきたライブハウスとはまた違うこの会場に相応しい伸びや広がりを感じさせるようなものになってきていた。
するとここで海とゆきやまの2人が一旦ステージを去る。出演者にリーガルリリー / たかはしほのかとある通りに、たかはしほのかの弾き語りのコーナーへ。こういう出演の別れ方だと、最初に弾き語りをやってその後にバンドで、というパターンになりがちなのだが、こうしてあいだに挟む、そしてそれを出演者として事前に告知するというのは実に珍しいし、誠実なスタイルと言える。
たかはしはエレキで弾き語りするというスタイルなのだが、やはりバンドアレンジがされていないからか、どの曲もこの歌とギターのみというスタイルになると実にシンプル。間奏やアウトロもないだけに、メロディの良さのみがしっかりと伝わってくる。特に最後の「コーンポタージュ」はこの寒い時期ならではの情景が頭に浮かんでくる。
弾き語りを終えると、たかはしも一旦ステージから去り、背面にスクリーンが登場。そこに映し出されたのは年末に行われた、地元福生でのライブとオフショット的な映像。3人でこたつの中に入って話している姿などは実にリラックスしているし、ちゃんと3人のバンドになれたんだな、と思う。(1人だけ寝転がるようにしているゆきやまはリラックスし過ぎというレベルだが)
するとスクリーンには3月にアメリカのSXSWに出演することと、春に「春はあけぼの」というタイトルのツアーを行うことを発表。そのツアータイトルも今回のライブタイトルも決めたのは新メンバーである海ということで、そのタイトルを決めた理由を
「アメリカから帰ってきてからのツアーだから和の要素に立ち返るみたいな感じにしたかった」
と語っていたが、こんなにライブ中に喋るのは初めてとのこと。これからはそうした姿が見れるようになるのかもしれないが。
そして3人での「トランジスタラジオ」からはバンドのグルーヴがさらに激しく溶け合っていく。「僕のリリー」は今やこのバンドのテーマソングのように響き、ストレートなラブソングのようでいて最後には
「届かないよ、悪夢じみた言葉も空の笑顔さえ」
と孤独や虚無感を感じさせる「好きでよかった。」から、1stの「The Post」にシークレットトラック的に収録のポエトリーリーディング的なパートもある、このバンドの「ギターロックでありながら展開が奇想天外過ぎる」というのを初期から表していた「蛍狩り」で刹那的な駆け抜けるというよりは、思春期はあっという間に終わっていく、というような感じで本編は終了。
すぐさまメンバーが出てきたアンコールでは
「世界が終わったら、また火星で会いましょう!」
とたかはしが天然を炸裂させながら、新曲である「世界の終わり」を披露。たかはしのノイジーなギターのサウンドが世界が終わっていくような感覚を呼び起こさせるが、サウンドからもシューゲイザー的なポップさを感じさせるようなこの曲は春のツアー前に出るであろう新作(何も出さないでツアーやらないでしょ?)への期待を高まらせた。
演奏を終えると、3人が並んで観客に一礼。その姿からは清々しさとともに、ライブのタイトル「333」をベトナムのビールから取っている通りに、デビュー時は10代だったが故にお酒が飲めなかったこのバンドのメンバーが大人の女性らしさを持っていることを少し感じさせた。
たかはしを見ていると今でも幼く見える時もあるし、天然児というイメージも強い。しかしたかはしを始め、このバンドは今のバンドの中ではびっくりするくらいに野望や目標的なものを口にしたり、感じさせない。
だからこそ、本能の赴くままに、自分から出てきたものをそのまま形にして、3人で肉付けをするように曲を作っている。それは実に素直な衝動だし、作為的なものを感じさせないのだが、そこが世の中と噛み合った瞬間にさらに凄まじい曲が生まれて、凄まじいバンドになるんじゃないかと思う。
今ガールズバンドで勢いを感じさせるのは、yonigeとHump Back(どっちも大好きなバンドだけど)という2組だが、それとは同じ編成だけど全く違う音楽性、スタイルを持ったこのバンドもそのバンドたちくらい広いところで音楽を鳴らせるようになって欲しい。
1.スターノイズ
2.はしるこども
3.the tokyo tower
4.リッケンバッカー
5.猫の涙ギター
6.こんにちは。
7.うつくしいひと
8.ぶらんこ
たかはしほのか弾き語り
9.まわるよ
10.影はみっつ
11.コーンポタージュ
12.トランジスタラジオ
13.僕のリリー
14.好きでよかった。
15.蛍狩り
encore
16.世界の終わり
リッケンバッカー
https://youtu.be/V-lYzz5BNo0
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