COUNTDOWN JAPAN 18/19 day4 @幕張メッセ 12/31
- 2019/01/03
- 18:44
いよいよ最終日。昼から翌日の朝までライブが繰り広げられるという音楽にまみれながら1年の終わりと始まりを迎えることができる日。きっとこの日だけは毎年このフェスに来るという人もたくさんいるはず。
15:15〜 キュウソネコカミ [EARTH STAGE]
このEARTH STAGEに立つのは3年連続。それでもまだなかなか完全に定着したとは言い難いのはロッキンでは今年が初のGRASSだったりしたからだろうか。
ロッキンオン社長の渋谷陽一の前説に続いてメンバーが登場すると、トップバッターとして観客の目を覚ますかのような「MEGA SHAKE IT!!」からスタート。2018年のラストライブだからということもあるからか、メンバーの演奏は最初から非常に気合いが漲っているように見える。
ヨコタのシンセのサウンドがキャッチーな「メンヘラちゃん」、最新アルバム「ギリ平成」のリードトラックの一つであり、「わっしょい わっしょい」のフレーズが早くもライブ定番曲としてこうして演奏されることに全く違和感を感じない「推しのいる生活」と曲を連発していく。
ここまでの流れを見てもわかる通りに今のキュウソはフェスでは面白いネタをやることはほとんどなく、ひたすらに曲を演奏していくというスタイルになっている。そもそもが演奏力が非常に高いバンドであるだけに、純粋な音楽集団としてのバンドになっているというか。
そんなキュウソはこのライブがちょうど今年100本目のライブであり、「KMTR645」の曲中ではそれを祝うべく、くす玉が用意され、それを割ると中からしっかりと「祝 ライブ100本目」の文字が現れる。キュウソはおそらく基本的にこういうフェスなどのオファーを受けたら断らないであろうバンドだし、2018年は小箱を中心に回るツアー(メンバー自らが機材を搬入・搬出している様子がアルバムの初回盤DVDに映っている)も、アルバムの曲をファンに先にライブで聴いてもらうための先行視聴的なツアーも行った。そんなバンドが年間100本ライブをやっているわけだが、自分はこの日が年間108本目のライブだっただけに、キュウソの数を超えてしまっているというのは我ながらよくそこまで行ったな〜と思う。
先行試聴的なツアーでMV撮影が行われた、完全にウォールオブデスをするための曲と言っていいような「炊き上がれ召し上がれ」から説明せずとも何重にもなったサークルが発生した「KMDT25」とあの手この手で楽しめる曲を連発するも、セイヤは
「こんなにたくさんの人が来てくれて、もう2曲目から泣きそうになっていた(笑)」
と感極まってステージに立っていることを明かす。
そんな、このステージを満員に埋めることができるような存在になっても、
「今でもこの曲の歌詞を書いた時の気持ちは忘れていない!」
と、噛み付く姿勢を失ってはいないことを示して演奏された「ビビった」からはさらに熱さと暑さを増していく。
客席に突入できないが故に曲そのものの力で勝負しないといけないのがロッキンオンのフェスだが、普段はセイヤが客席に突入する「DQNなりたい〜」もそうした飛び道具的なパフォーマンスがなくてもしっかり伝わっていたのがわかったし、それは「ハッピーポンコツ」「The band」という熱さを前面に押し出した曲たちからより一層そう感じる。キュウソが本当はどんなバンドなのかがよくわかるという意味でも、ロッキンオンのフェスに出続ける意義はデカい。フェス側もそんなバンドのポテンシャルをちゃんと評価しているからこのステージに毎年立っているのである。
とりわけ「The band」の
「ロックバンドでありたいだけ」
というフレーズを汗を流しながらこんなに大きなステージで鳴らしている姿は、キュウソはちゃんと自分たちがなりたいロックバンドになれているんだな、と思ってさらに胸が熱くなる。
今までの流れ的には「The band」でキレイに終わる、というパターンだったのだが、この日はそれでは終わらずに、最後に新作からの「真面目に」を演奏。もう本当に見れば見るほどキュウソは真面目なバンドだと思うのだが、そういうバンドだからこそ歌えるこの曲。
「いつか報われると信じてる」
というフレーズで終わるのだが、2018年は悔し泣きをするようなこともあったし、
「バンドをやってて本当に良かったー!」
と叫んだこともあった。そんな2018年の最後のライブで見れたのがこの満員のEARTH STAGEの景色。2018年に限っては間違いなくその想いは報われた。
なぜこのステージにキュウソが立てているのか。それはこの日のライブを見れば一目でわかるし、いよいよとんでもないバンドになってきたな、とも思う。
1.MEGA SHAKE IT!!
2.メンヘラちゃん
3.推しのいる生活
4.KMTR645
5.炊き上がれ召し上がれ
6.KMDT25
7.ビビった
8.DQNなりたい、40代で死にたい
9.ハッピーポンコツ
10.The band
11.真面目に
16:35〜 NICO Touches the Walls [EARTH STAGE]
古村の負傷によって出演キャンセルしたこともあったが、毎年このEARTH STAGEに立ってきた、NICO Touches the Walls。
サポートメンバーの浅野尚志を加えたおなじみの5人編成で登場すると、茶髪混じりの外タレみたいな髪型になった光村が吠える「VIBRIO VULNIFICUS」からスタート。さらに浅野のヴァイオリンが流麗なリフを奏でる「THE BUNGY」、今度は浅野がピアノを弾き、観客が腕を振りながら踊る「Funny Side Up!!」とこのバンドのライブの醍醐味でもある曲と曲を繋ぐようなアレンジを見せながら続くと、
「今回はお祭りモードで行きます!」
と、毎回フェスではコンセプトを決めてセトリを組んでいるこのバンドが今回はアッパーに振り切れた内容で挑んでいることを告げると、その言葉を示すべく「ホログラム」「バイシクル」というロックバンドのキャッチーなキラーチューン曲を連発。どちらもタイアップがあったことによってたくさんの人に聞かれた曲なだけに、1年の最後にこの曲を聴けて嬉しかった人も多いんじゃないだろうか。
「大好きなバンドのカバー曲をやりたいと思います。そのバンドは今年解散してしまいましたけど、ずっと大好きなバンドです」
と光村が言って演奏されたのはソリッドなギターロックアレンジでカバーされた、チャットモンチーの「ハナノユメ」。NICOとチャットモンチーは同じレコード会社に所属していた、同世代のバンド。このカバーはチャットが完結を発表するはるか前にカップリングに収録されているだけに、NICOはチャットの活躍にずっと刺激を受けながらバンドを続けてきただろうし、完結を選んだチャットの姿を見て、自分たちはこれからバンドをどう続けていくかということにも向き合ったはず。そんな仲間の曲はこうして巨大なステージでたくさんの人の前でNICOが歌うからこそ生き続ける。そんな意志が演奏している姿から感じられて、感動してしまった。
「天地ガエシ」でこのステージでの大勝利を告げると、かつてこのフェスでも何度も演奏された名曲「N極とN極」の続編的なグループサウンズ風味の「来世で逢いましょう」と、定番曲とこれから定番になっていくであろう2018年リリースの曲を続けると、
「もう平成も終わってしまうけれど、みんなにとって平成はどんな時代だった?俺はめちゃくちゃいい時代だと思ってるよ。なぜなら日本は平成の時代に一度も戦争に加担しなかった。だから昭和っていう時代は平成っていう時代に嫉妬してると思う。昭和は戦争をしてしまったから。でも次の時代はもっと良い時代にできるはず。みんな、次の時代は平成が嫉妬するくらいに良い時代にしていきましょう!」
と光村が新たな時代への覚悟を語る。
「戦争」というワードが出た時に少し会場の空気がピリッとしたのは確かに感じたが、光村はあらゆる時代の音楽、それこそ笠置シヅ子のカバーをカップリングにするくらいに戦後の歌謡曲までも聴いて自分たちの音楽に取り入れているし、ただ点で曲を聴くのではなく、その曲の背景やまつわるカルチャーなどを調べて理解した上で聴くというタイプのハードなリスナーである。普段からワンマンに行っているファンはそれを理解しているけれど、このバンドのライブを初めて見た人はどう感じたんだろうか、と思っていたのだが、発言の後には曲を演奏し終わった時以上の大きな拍手が起こっていた。NICOはそうした社会に言及するようなことをあまりしないようなタイプのバンドだが、その想いはしっかり伝わっていると思った。
そして光村がこうしてこれから我々が生きる時代をどうしていくか、というのを言葉にしてくれると、同世代(というか同い年)という身としては次の時代をさらに良いものにするために、自分に何ができて、何をすべきなんだろうか?と考えざるを得ない。
一般人として出来ることは少ないというか、ほとんどないとすら思えるけれど、こうしたフェスという戦争とは最も遠い景色を見せてくれる場所の素晴らしさを伝えることくらいは少しは出来るんじゃないだろうか、と思ったりする。それが戦争というものを遠ざけてくれるのならば。
そしてラストは「手をたたけ」で手拍子が起こって終了…ではなく、間奏で対馬が一気にテンポチェンジをすると、映画「ボヘミアン・ラプソディ」が大ヒット中のQUEEN「We Will Rock You」に繋ぎ、光村はフレディ・マーキュリーばりの圧倒的な歌唱力を見せると、対馬だけでなく古村、坂倉、さらに浅野もコーラスでそのボーカルを支え、そのリズムのままで「マシ・マシ」のフレーズを歌うという変幻自在っぷり。ワンマンでは「ミステリーゾーン」という20以上の曲を繋げて演奏するという試みを見せたが、そうしたことができる技術の高さは年々進化を遂げている。
最後にはしっかり「手をたたけ」に戻って演奏を終えたのだが、このバンドのこのフェスでのライブを10回以上見てきて、今までで1番良いライブだった。それくらい今でもNICOは常に進化しているし、ほかのバンドには絶対できないことができるバンドになっている。ワンマンの動員などを考えると、いつ下の世代のバンドにこのステージを取って変わられてしまってもおかしくないけれど、そうしたバンド自身の凄さもそうだが、同世代のバンドがことごとくGALAXYが定位置になってしまっているだけに、このバンドには意地でもEARTHに出続けて欲しい。ライブを見ればなぜこのステージに立てているのかが絶対にわかるバンドだから。
リハ.mujina
1.VIBRIO VULNIFICUS
2.THE BUNGY
3.Funny Side Up!!
4.ホログラム
5.バイシクル
6.ハナノユメ
7.天地ガエシ
8.来世で逢いましょう
9.手をたたけ 〜 We Will Rock You 〜 マシ・マシ 〜 手をたたけ
18:30〜 go! go! vanillas [GALAXY STAGE]
この前にGALAXY STAGEに出演したSUPER BEAVERは外の飲食エリアにまで人が溢れるくらいの入場規制っぷり。その後に出演するのは、go! go! vanillas。直前にベースのプリティが交通事故に遭って入院しているため、年末のフェスやイベントはベースにサポートメンバーを迎えての出演となる。
おなじみの「We are go!」のSEで牧、柳沢、ジェットセイヤ、そしてこの日のサポートベーシストであるマイケル(夜の本気ダンス)がステージに現れると、ロックンロールの魔法を体現するバンドとしての「マジック」からスタートするのだが、「あれって本当にマイケル?」と思ってしまう。確かに横を向きながら体を揺らすようにしてベースを弾く姿はマイケルそのものだが、出で立ちが明らかにいつもと違う。マッシュっぽい髪型を茶色く染め、黒いシャツに蝶ネクタイをしている。つまり、見た目はちょっと身長の高いプリティになっているのだ。この心配りは本当にマイケルの人柄を表しているし、そのマイケルの想いに応えるように牧は
「色々あるけれど、今日はみんなお祭り騒ぎしに来たんだろ!?幕張の本気ダンスは出来ますか!?踊れる準備はできてますか!?」
と夜の本気ダンスのライブでのおなじみのフレーズで観客を煽り、その言葉を聞いたマイケルも実に嬉しそう。本当に彼らが仲間として繋がっていることがわかる。
演奏としては全く申し分ないような状態にまで仕上げてきているのは本当にさすが。しかもマイケルは今のところこの日だけのサポート。この後には夜の本気ダンス自身のライブもある中で曲を覚えて、こんなに違和感がないくらいにまでできている。それはこの日の前にサポートを務めた長島涼平(フレンズ)と、あきらかにあきら(THE ORAL CIGARETTES)もそうだが、みんな忙しい中でこのバンドのステージに立っている。今回の事故で、バニラズとプリティがどれだけたくさんの人に愛されているのかというのが改めてわかった。事故は絶対に起きなかった方が良かったけれど、決して全てがマイナスではなかったのである。
平成生まれのこのバンドが平成という時代を生きて新しい時代へ向かっていく意志を描いた「平成ペイン」を終えると、メンバーは楽器を置く中、牧がプリティのことを改めて説明し、
「あいつが帰ってきた時にまた続きをやりましょう!」
と言って、「おはようカルチャー」のコーラス部分を観客も含めて大合唱。期せずして曲がもともと持っていたものよりも大きな意味を持ってしまったが、春からのツアーではこの曲を4人で全部演奏できるようになることを願って。
やはり持ち時間40分ありながらも、ライブ自体は30分くらいだった。それは仕方がない。でも何よりも大事なのは、バニラズが止まらなかったということ。なぜならバニラズはロックンロールバンドであり、ロックンロールバンドの先輩であるTHE BAWDIESのJIMが同じようにツアー中に事故に遭ってもライブに出続けた姿を、a flood of circleがどれだけメンバーが入れ替わっても一瞬たりとも止まらなかった姿を自分たちの目で後ろからずっと見てきた。先輩たちがそういう姿を見せてくれたからこそ、自分たちも止まるわけにはいかなかった。だから宮川が脱退した時もすぐさま柳沢が加入して、止まらない意志を見せてきた。その思いを汲んでくれた、マイケルをはじめとしたベーシストたちには本当に感謝でしかない。
そして今回の出来事は間違いなくバニラズをもっと強いバンドにする原動力になるはず。みんながプリティが帰ってきてそうなることを待っている。
リハ.バイリンガール
1.マジック
2.エマ
3.ヒンキーディンキーパーティークルー
4.カウンターアクション
5.平成ペイン
6.おはようカルチャー(コーラスのみ)
19:15〜 04 Limited Sazabys [EARTH STAGE]
go! go! vanillasとはまた違う形で、04 Limited Sazabysにとってもこの年末は試練と言っていいものだった。RYU-TAとHIROKAZのギタリストコンビが相次いでインフルエンザに感染し、このフェスの前のライブをキャンセルせざるを得ない事態になってしまっていたから。この日も最初は出演が危ぶまれていたが、2018年のライブ納めに復活。
おなじみのオリジナルのSEでインフルエンザの影響を全く感じさせないくらいの元気さでメンバーが登場すると、GENが
「帰ってきたぞ!」
と叫ぶと最新アルバム「SOIL」のオープニング曲であるファストなメロコアナンバー「message」からスタートするのだが、もうKOUHEIのドラムの一打目から全くこれまでとは違う。溜まっていたものを全て吹き飛ばすような力強さと気合い。ロックバンドであることに誇りを持ち、それを信じてきたバンドだからこそ宿る、音への力と意志。それが確実に音から発されている。もうこの時点でこの日のライブが素晴らしいライブになることは間違いなかった。
おなじみのレーザー光線が飛び交う「fiction」から、重いサウンドのロックナンバー「Alien」、愛猫家であるGENが初めて猫の曲として書いたコミカルな「Kitchen」と、「SOIL」のリリースによってフェスでのセトリにも変化が生じてきているのだが、その「SOIL」のアルバム曲が早くもバンドの代表曲であるかのような盛り上がりを見せている。
それは若手バンド、並びにパンクバンドとして非常に大きいことである。若手のパンクバンドとなると、ある程度フェスで盛り上がるキラーチューンというものが固まっているバンドが多いし、デカいステージに立っているとなるとそうした曲ばかり演奏しなければならず、セトリやライブの内容が硬直していきがちだ。しかしそれは飽きられるサイクルを早めてしまうことにも繋がる。だからバンドによっては新たな音楽性を取り入れたりして刷新を図るのだが、フォーリミが選んだのはむしろ逆。「SOIL」で手にしたのはこれまでで最も振り切ったパンクサウンド。それをもってしてこれまでの自分たちを更新し、それがしっかり受け入れられている。その姿にパンクバンドとしては前人未到の領域まで足を踏み入れているようにすら感じた。
ちょっと前までは最後に演奏されていた「swim」をこの中盤で演奏できるようになったのもそうした楽曲の循環がしっかりと果たされているからこそだが、「midnight cruising」では間奏でRYU-TAが
「この4人で04 Limited Sazabysだ!」
と叫ぶ。その姿に頼もしさを感じた人はたくさんいるだろうし、ステージに立てなかったことが本当に悔しかったんだろうな、ということも伝わってきた。
その悔しい思いをしたギタリスト2人のコーラスを生かした「Galapagos」では間奏でいったんブレイクすると、
「人が凄いですね。我々もフェスを主催してるからこのくらいの人が来ればどれくらいの収益になるのかってわかるんですよ。だから渋谷陽一はめちゃくちゃ金持ってますよ。渋谷さんの家はこれですもん」
と言って明らかにハワイの別荘的な家が映し出されると、
「今年は俺たちがこのステージでカウントダウンできると思ってたんだけどな〜」
と言って、昨年に続いてフライングカウントダウンを決行。その時はRYU-TAの変顔が次々に映し出されるというものだったが、今回はカウントダウンの瞬間にスクリーンに映ったのは、女装をしたKOUHEI。なんで俺じゃないんだ!と怒りをあらわにするRYU-TAが歌い出して曲が再開するという演出も楽曲ありきのものであり、実にうまくなってきている。
「My HERO」からはステージに炎が上がったりと演出も最大限に使いつつ、「SOIL」のリード曲であり、アルバムのパンクな内容を知らしめるような「Milestone」、この広い会場だからこそ映える大合唱曲「hello」と続くと、
「終わりよければ全て良し。今年の汚れ、今年のうちに」
と1年を締めるような言葉を口にしてから「Squall」「monolith」という最強のパンクナンバー2連発で締めたかと思いきや、まだ時間があるからと言って2018年の最後にこのバンドが演奏したのはパンク・メロコアの極みというような「Remember」で、パンクという自分たちの原点に立ち返った2018年を終えたのだった。
終わりよければ全て良しという言葉すら飛び越えるような素晴らしいライブだった。そこには自分たちで音を出すというロックバンドだからこその強さが出ていたからというのは間違いないが、それを見せながらも、このバンドがもっともっと凄い存在になるんじゃないかというのがはっきりと見えたライブだった。いずれロッキンオンのフェスのメインステージでこのバンドがトリをやる日が来るかもしれない、と思えるような。
リハ.nem…
リハ.knife
リハ.Remember
1.message
2.fiction
3.Alien
4.Kitchen
5.swim
6.midnight cruising
7.Galapagos
8.My HERO
9.Milestone
10.hello
11.Squall
12.monolith
13.Remember
20:50〜 MONOEYES [GALAXY STAGE]
2日前にはthe HIATUSでこのフェスに出演している細美武士。この最終日にはMONOEYESでGALAXY STAGEに出演。
おなじみのスターウォーズのSEが流れると、ビールを持った細美武士を中心に4人が登場。「Run Run」でスタートすると、絶え間なくパンクロックを次々に畳み掛けていく。
「スコットが決めるぜー!」
と細美がマイクを預けられる数少ない仲間であるスコット・マーフィーもそのボーカルを思いっきり開放し、合間には客席に向かって放水したりというあたりはもはやフェスでもおなじみの光景である。
サウンドに合わせて飛び跳ねまくる「My Instant Song」から「明日公園で」では一瀬のドラムセットの後ろを回り込んで戸高に近づいたスコットがベースを銃のようにして戸高に向かってぶっ放すという微笑ましい姿を見せると、いつのまにか超満員になっていた観客たちがこういう世界を望んでここに集まったんじゃないかと思う「グラニート」から、さらにパンクに振り切れていく「When I Was A King」、いないのを知っていてもTOSHI-LOWがコーラスで出てくるのを期待してしまう「Two Little Fishes」と、2日前のthe HIATUSのライブとは真逆な内容と言ってもいいくらいに、2枚のアルバムから選んだフェスにおけるベスト的な内容のライブ。
the HIATUSの時と同じように細美はかつてのようにフェスのルールに言及したり、長々としたMCは全くしなかったが、Tシャツを脱いで上半身裸になってその筋肉美を見せつけると、
「いろんなことがあると思うけど、来年も笑っていましょう」
と一言だけ言って、2018年のこのバンドの最後の曲のボーカルをスコットに託したのだった。
その細美の言葉に説得力を感じるのは、the HIATUSのみをやっていた時からは全く想像できなかったくらいに、このバンドのライブの時に細美が笑っていたから。このバンドのライブを見ることができれば、我々も笑っていることができる。それは来年も、さらにその先も。
リハ.Get Up
1.Run Run
2.Like We've Never Lost
3.Free Throw
4.Roxxette
5.My Instant Song
6.明日公園で
7.グラニート
8.When I Was A King
9.Two Little Fishes
10.Borders & Walls
22:00〜 yonige [GALAXY STAGE]
夏のロッキンでもLAKE STAGEに出演し、今回も初のGALAXY STAGEと、バンドが大きくステップアップした1年のライブ納めとなる、yonige。今やワンマンでもZeppクラスがソールドアウトするくらいの存在になってきている。
サポートのホリエを加えた3人が登場すると、今年の夏にライブ会場限定シングルとしてリリースされた「リボルバー」からスタート。リハで演奏していた「さよならアイデンティティー」みたいに派手な展開がある曲ではない、淡々とした曲。この曲で描かれているように、日常はドラマチックなものではないから。だからこそ宿る普遍性。個人的に今年トップクラスの名曲。
しかしサポートとは思えないくらいにもはや完全にバンドの音の一部となっているホリエの力強いドラムはもちろん、夏から感じていた牛丸のボーカリストとしての覚醒っぷりはさらに強くなっている。遠くに飛ばせるようになったのはもちろんだが、歌の上手さや飛距離が確実に増している。大きな会場でのライブを重ねてきたからこそというのもあるのだろうが、その牛丸のボーカル力の向上はバンドのライブ力そのものの目に見える向上にしっかりと繋がっている。
とはいえ
ごっきん「今年17kg痩せました!デブ界のガリガリを目指していこうと思います!」
牛丸「あ、ガキの使いを予約録画してくるの忘れてた」
という天然っぷりは変わらず、牛丸は「アボカド」で盛大に歌詞をすっ飛ばしていたのだが、それが完全にマイナスに働いてるというわけではなく、むしろ珍しいものが見れた(歌詞間違い自体は結構多い)というふうに思えるのもライブ自体の質がはっきりと向上してきているからだろう。
今年リリースされたミニアルバム「HOUSE」収録の「春の嵐」もタイトルが感じさせるような派手さはないが、インディーズ時代は得意技と言ってもよかったそうしたドラマチックな構成の曲ではなくてもyonigeらしさを感じさせるようになっているのは間違いなく2018年の収穫だろう。
そして「さよならプリズナー」から上げて終わるのかと思いきや、最後に演奏されたのは牛丸のノイジーなギターが濃厚なサイケデリアを描く「最愛の恋人たち」。フェスではそれなりに演奏されている曲ではあるが、1年の最後をこの曲に託したあたりに今のyonigeのモードを感じさせた。
昨年はこのフェスを終えて帰宅したら、テレビからこのバンドが歌う「笑おう」が流れまくっていた。それを聴いてこのバンドの今年の飛躍を確信した人もたくさんいただろうけれど、「笑おう」で見せた形とは違う方向での進化をしっかり果たした1年となった。それを経た2019年は果たしてどんな年になるのだろうか。
リハ.さよならアイデンティティー
リハ.どうでもよくなる
1.リボルバー
2.our time city
3.センチメンタルシスター
4.最終回
5.アボカド
6.春の嵐
7.さよならプリズナー
8.最愛の恋人たち
22:35〜 ヒトリエ [MOON STAGE]
各ステージが年越しへの空気感を高めている中、年越しアクトの前の最後のアクトとなるのが、このMOON STAGEでのヒトリエである。
メンバーが登場して爆音を鳴らし始めると、
「お客様の中で踊れる方はいらっしゃいませんかー!」
と「踊るマネキン、唄う阿呆」からスタートし、「トーキーダンス」と続くと、もはや年末の幕張での恒例となった超高速ダンスロックタイムに突入していく。
昨年、初出演した時にはガラッガラだったASTRO ARENAを埋めた時に
「初めて愛を歌ってみようと思った」
とwowakaが語っていた「アンノウン・マザーグース」は最初に演奏された2曲の後に演奏されたからこそこのバンドの音楽の幅、バンドが表現したいことの幅を広げているし、それはwowakaの
「いろんなことがあるけれど、俺は人間を諦めたくない。そういう歌を歌っていきたい」
というさらに強くなった覚悟を持って鳴らされた「ポラリス」からも感じられた。
最初はボカロPという人間の力以外を使って音楽を作っていたwowakaがなぜバンドという形態を選んだのか。なぜこの4人でバンドを続けているのか。その答えもこの言葉と「ポラリス」には含まれていた。
あまりにも正確無比な演奏であるがゆえに、ともすれば機械っぽく感じてしまうヒトリエがライブを見ると、どんどん人間らしさしか感じないようになってきている。それが確実に生み出される曲にも影響を及ぼしている。こんなバンドになるとは、とも思うが、それこそが生の人間の集合体であるバンドの面白さである。
そしてラストは「センスレス・ワンダー」で踊り納め。シノダは間奏で
「ワシはこれで仕事納めじゃー!」
と叫んでギターソロを弾きまくると、客席ではまさかのダイバーが出現。完全にダイブ禁止のルールが定着したフェスであるがゆえに、パンクやラウド系のバンドのライブでもダイバーは全く出なくなっているが、それがまさかこのバンドで出るとは。それくらいの衝動を炸裂させるような力をこのバンドが持っていることの裏返しでもあるのだが。
ライブが終わるとwowakaは
「今、初めて言います。2月にアルバムが出ます。凄いものができたんで、楽しみにしていてください」
と、急遽アルバムがリリースされることを発表した。画面の前にいる顔が見えない人たちではなく、こうして自分たちの音楽を聴くために会いにきてくれる、目の前にいてくれる人たちに1番最初に嬉しい報告をしたい。
ヒトリエは本当にこれ以上ないくらいに人間臭いバンドになっていた。
1.踊るマネキン、唄う阿呆
2.トーキーダンス
3.アンノウン・マザーグース
4.ポラリス
5.センスレス・ワンダー
23:30〜 サンボマスター [EARTH STAGE]
そしていよいよ年越しアクトの時間に。今回のEARTH STAGEの年越しを務めるのはサンボマスター。04/05でGALAXY STAGEの年越しを務めているので、14年ぶりにこのフェスの年越しを務めることに。
場内が暗転すると、メンバーが登場する前にスクリーンに山口隆が映し出され、
「あれ!?ここは幕張のお葬式会場ですか?違いますよね!?みなさん、5万人で伝説の圧倒的な年越しをしようじゃありませんか!」
と登場前から煽りまくると、続いて映し出されたのは2017年に行われた、このバンド初の武道館ワンマンの映像。それを見ていると否が応でもライブへの期待が高まっていく。
そしておなじみ「モンキー・マジック」のSEで3人が登場すると、
「幕張準備できてんのかコラー!」
と早くもメンバーのテンションは最高潮で、
「圧倒的!圧倒的!」
とこの日の年越しライブのテーマが「圧倒的」であることが決定すると、「世界をかえさせておくれよ」からスタートし、「可能性」から踊りまくりの「青春狂騒曲」とキラーチューンを連発し、最高の年越しへの期待がさらに高まっていく。
「今年はいろんなことがあった。大雨とか地震とかの災害もあった」
と2018年にあった様々な悲しい出来事を忘れずに新しい年に向かっていくべく演奏された「ラブソング」はそれまでの盛り上がりとは一転して山口のボーカルと演奏に集中して聴き入っている。
すると奇跡的な年越しを迎えるべく、「ミラクルをキミとおこしたいんです」をかなり時間を気にしながら始めると、最後のサビ前に60秒前からのカウントダウンが開始。しかし通常の年越しアクトは曲と曲の間にカウントダウンをするのだが、曲中にリズムに合わせて「オイ!オイ!」と声をあげる様が20秒前からカウントダウンに変わっていく。
そして0を迎えると金テープと特効が炸裂。ひたすらに熱気に満ち溢れた年越し。この会場で年越しをするようになって13年。こんな年越しは今までに経験したことがない。まさに圧倒的な年越しの瞬間だった。
しかしそれで終わるわけではもちろんなく、ステージには門松と獅子舞も現れる中、「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」からはさらなるキラーチューンを連発していく。2019年最初の「愛と平和!」の大合唱はある種の祈りのようにして響き渡り、「光のロック」「そのぬくもりに用がある」という曲が演奏されるのは持ち時間が多いこのメインステージの年越しアクトならではだが、年越しを迎えた後もライブの熱気は一切衰えるどころかさらに増していく。
おなじみのビートルズやストーンズ、ブルーハーツというロックスターたちの名前を挙げてからの「ロックンロール イズ ノットデッド」で2019年もロックンロールがこのバンドとそのファンたちがいることによって生き続けていくことを示すと、圧倒的な年越しをすることができたサンボマスターと5万人だからこその「できっこはないをやらなくちゃ」で熱狂はピークを迎えると、
「俺が言うのも上から言ってるみたいになっちまうけれど、こうしてみんなで圧倒的な年越しができたのも、君たちが2018年の終わりまで生きてきてくれたからだ。みんな、よく生きてきてくれたね。ありがとう」
という山口の暖かい言葉には大きな拍手が起こり、
「お前らも辛いことが2019年もいっぱいあると思う。ぶっ殺したい上司とか後輩とかもいるだろうし、自分の手首にその刃物を向けるようなこともあるかもしれない。でもそういう時はこの日のことを思い出してくれ。ここでこうやってみんなで年越ししたことを忘れないでくれ。俺たち絶対そんなお前らのことを探しにいくからな!…また会おうな。生きて必ずまた会おうな」
と言うと、客席から
「ありがとうー!」
という叫びが自発的に起こり、そのままそんな景色を作ってくれたサンボマスターに割れんばかりの拍手が向けられた。
そして最後に演奏されたのは最新シングルの「輝きだして走ってく」。ワンマンにも毎回行っているけれど、それとは全く違う、5万人だからこその感動。
こんな年越しをしたら、2019年は絶対いい年になる。これがサンボマスターだ。まさに圧倒的な伝説の年越しだった。ありがとう。
1.世界をかえさせておくれよ
2.可能性
3.青春狂騒曲
4.ラブソング
5.ミラクルをキミとおこしたいんです
カウントダウン
6.世界はそれを愛と呼ぶんだぜ
7.光のロック
8.そのぬくもりに用がある
9.ロックンロール イズ ノットデッド
10.できっこないをやらなくちゃ
11.輝きだして走ってく
25:10〜 KEYTALK [EARTH STAGE]
年越しを超えてもまだフェスは終わらない。このメインであるEARTH STAGEのトリを務めるのはKEYTALK。この日はお台場でのフェスでライブをしてからのダブルヘッダーである。
おなじみの「物販」のSEで元気良くメンバーが登場すると、武正のギターがトリッキーなフレーズを奏でる「パラレル」から「太陽系リフレイン」と続き、はやくも踊りまくり。武正はもちろん、巨匠と義勝のボーカルコンビもボーカルパート以外はガンガン左右の花道に走って行くのだが、冷静に考えると深夜1時過ぎとは思えないテンションの高さである。
KEYTALKと言えば夏フェスのアンセムと言っていいサマーソングを数々生み出してきたバンドだが、それは真冬の年末であるこのフェスにおいても抜群の威力を誇っているというのがよくわかる「YURAMEKI SUMMER」の盛り上がりっぷり。さらに「Summer Venus」では曲中のEDM部分で義勝と武正が「U.S.A」ダンスを踊ってさらにパリピっぷりに磨きをかけていく。
さらに「MATSURI BAYASHI」では義勝のスラップベースが力強く鳴り、2018年がメジャーデビューから5周年という記念イヤーということで、メジャーデビュー曲である「コースター」も披露。「パラレル」もそうだが、こうしてメジャーデビュー期の曲を聴くと、今に至るまでの音楽性の変遷や幅の広がりを感じる。この頃まではまだ自分はこのバンドをthe band apartがめちゃ好きな若手バンドというくらいの感じで捉えていたが、そこから見事に飛び出してこのステージのトリができるくらいになったのはそうした幅の広いサウンドを取り入れられる器用さと技術があってのことである。
武正による「ぺーい」のコール&レスポンスもありつつ、多幸感溢れる「Love me」から「桜花爛漫」というフェスではおなじみのポップな曲が続くと、2018年にリリースされたアルバム「RAINBOW」から、メンバーが着想を得たという「マリオカート」のステージを彷彿とさせるきらめくパンク曲「Rainbow Road」を披露。「RAINBOW」は改めてこのバンドの幅の広さを知らしめた、まさに色とりどりのアルバムだったが、その中からこの曲がフェスのステージで聴けるとは思っていなかった。
「いやー、今年で1番楽しい!」
と、まだ2019年になってから1時間しか経ってないだけにそれも当たり前だろうという言葉を武正と義勝が発すると、最後に演奏された「MONSTER DANCE」でまさに今年1番楽しい空気を作り出して、見事にEARTH STAGEのトリという大役を果たした。
演奏が終わると観客とともに写真撮影。2018年はロッキンで初のGRASS STAGEに立ち、幕張メッセで360°ワンマンも行い、名実共にロックシーンを代表するバンドとなった。果たして2019年はこのバンドはどこまで行くのだろうか。
リハ.HELLO WONDERLAND
リハ.アワーワールド
1.パラレル
2.太陽系リフレイン
3.YURAMEKI SUMMER
4.Summer Venus
5.MATSURI BAYASHI
6.コースター
7.Love me
8.桜花爛漫
9.Rainbow Road
10.MONSTER DANCE
26:45〜 魔法少女になり隊 [COSMO STAGE]
年が明けて深夜3時近く。それでもGALAXY STAGEでは夜の本気ダンスが入場規制になるくらいの盛り上がりを見せるなど、まだまだ続くCOUNTDOWN JAPAN。年越し後のこのCOSMO STAGEに登場するのは、魔法少女になり隊。もはやこのフェスの常連と言えるバンドである。
先にサポートベースを含む演奏陣がステージに登場すると、最後に火寺バジルがステージに現れ、「魔法少女になり隊」と書かれたスケッチブックを観客に見せて、和のテイストを取り入れた「ヒメサマスピリッツ」からスタート。VJのGARIは観客を煽りながら、スマホの画面のようなビジョンを自分の体全体で持ち、そこに映像を映し出す。
そうして映像を使ってRPG型バンドという自分たちの世界観を提示していくのがこのバンドのスタイルなのだが、バジルとGARIがパラパラのようなダンスを踊りまくる「RE-BI-TE-TO」からはGARIがモニターを外し、ひたすらに曲と演奏の力だけで真っ向勝負。
もはやこのフェスでもおなじみになっているだけに観客の掛け合い部分も完璧な「おジャ魔女カーニバル!!」のラウドバージョンから、フェスでは珍しい魔女の呪いをテーマにしたミドルテンポの「ミッドナイトシンドローム」、GARIが自分でミラーボールを持って、ライトが当たる場所の下に移動しては輝かせる「five star」と幅広い楽曲が演奏できるのはMCを挟まないで曲と曲を繋げるというこのバンドのスタイルゆえ。
そして「完全無敵のぶっ飛バスターX」からは直球勝負のバンドサウンドがさらに力強さを増していき、笑顔でギターを弾きまくるウイ・ビトンのコーラスの声量もさらに大きくなっていくと、その声を上回るような
「魔法少女になりたい!!!」
の大合唱が起きた「冒険の書1」でこの日も締め、バジルはスケッチブックに「ありがとう」と書いてステージから去っていった。
おそらくこの深夜という時間でなければ規制がかかっていたかもしれないというくらいの満員っぷり。RPG型バンドというスタンス通りに、経験値を積んできたことによってこのバンドは着実にレベルアップを果たしてきている。
リハ.革命のマスク
リハ.ハレ晴レユカイ
1.ヒメサマスピリッツ
2.RE-BI-TE-TO
3.おジャ魔女カーニバル!!
4.ミッドナイトシンドローム
5.first star
6.完全無敵のぶっとバスターX
7.冒険の書1
27:15〜 バックドロップシンデレラ [MOON STAGE]
すでにライブハウスシーンでは一部から熱狂的な人気を誇る、バックドロップシンデレラ。このフェスにもついに初出演である。
インパクトはあるとはいえ、いっても小さいライブハウスを主戦場にしているバンドなので、果たしてこのフェスではどうだろうか?と思っていたら、まさかの入場規制レベルの超満員。しかもちゃんとみんなが曲を知っており、「台湾フォーチュン」で踊りまくり、
「歌い続けてたら本当にこのフェスに出ることができました!」
という「フェスだして」ではでんでけあゆみ(ボーカル)と豊島"ペリー来航"渉(ギター&ボーカル)が煽ると、びっくりするくらいの大合唱が起こる。そんな感動的なシーンが深夜3時台とは思えないくらいの熱狂となり、スカのリズムを取り入れたダンスナンバーで踊りまくる。未だにウンザウンザがなんなのかは全くわからないけれど。
「このフェスに出れたのももちろん嬉しいんだけど、もっと嬉しかったのは、こうやって応援してくれたり、ずっと一緒にやってきた仲間たちが自分のことのように喜んでくれたこと」
と、もはや12年にも及ぶ活動歴を持つバンドなだけに自分たちだけではなく周りの人たちのおかげでこのステージに立てていることの感謝を語ると、巨大なサークルが出現した「サンタマリアに乗って」からさらに踊りまくり、でんでけあゆみが身軽な格好になったバンド側も持てる最大のキラーチューンを全て演奏していく。
初めてこのフェスに出るとは思えないし、深夜4時になっているとは思えないくらいのあまりの熱狂っぷり。まるでこの空間がこの時間だけは池袋Admになったかのようだった。
正直、かなり異色のバンドだし、それはこのフェスでほかの出演者と並ぶとより一層そう思うのだけど、長い活動歴を経てついにメインストリームに進出していくのかもしれない、という予感が芽生えるライブだった。
1.およげ!たいやきくん
2.台湾フォーチュン
3.フェスだして
4.本気でウンザウンザを踊る
5.サンタマリアに乗って
6.月あかりウンザウンザを踊る
7.さらば青春のパンク
28:10〜 忘れらんねえよ [GALAXY STAGE]
今回のこのフェスの大トリを担うのは、忘れらんねえよ。初のGALAXYにしてこの大役である。
その期待に100%以上で応えるように、柴田とサポートメンバーたち(ギター・カニユウヤ、ベース・イガラシ、ドラム・タイチサンダー)がかなり早い段階からサウンドチェックに登場すると、DA PUMP「U.S.A」を歌い、コーラスを観客に求めるも全くリアクションがなく、それならばと銀杏BOYZ「BABY BABY」を歌詞を間違えまくりながら歌うと、今度は
「抱きしめておくれ〜」
の合唱が返ってきてひとまずは安心。
その後もひたすらにサウンドチェックとして曲を連発しまくると、本番では[ALEXANDROS]「ワタリドリ」をメンバーたちが演奏し、柴田が歌うのかと思いきや、歌い始めたのは「お正月」で、「ワタリドリ」はあっという間に姿を消してしまう。
そのまま「バンドやろうぜ」で本格的にスタートするのだが、明らかに演奏が走りまくっている。柴田1人になってからはしっかりとした演奏技術を持ちながら内面が柴田と似ているこのメンバーたちと共にライブを行っているのだが、確かな演奏技術を持っているメンバーたちも上手く演奏しようという感じではないし、そもそも柴田も上手く歌おうなんて思っていないだろう。ただひたすらに自分の思いを伝えるために感情を込めて歌っている。だから多少はキツそうなところがあっても思いっきり歌っているし、その気持ちは確かに伝わってくる。
「ばかばっか」では間奏でおなじみのビール一気飲みではなく、お屠蘇の一気飲みをするのだが、量が多くて全然一気には飲めていなかった。とはいえこれは日本酒ではなかっただろうな、っていうくらいにこんなに日本酒を一気飲みしたら演奏できなくなるだろうな、と思うくらいの量だった。
年末に新作ミニアルバムがリリースされたばかりなのだが、その中からいかにも忘れらんねえよらしい「君は乾杯のとき俺とだけグラスを合わせなかった」を披露し、さらに夏から新曲として演奏していた「踊れ引きこもり」で踊らせまくると、
「もうここまできたらやりたいことをやりますわ!」
と、さらなる新曲「だっせー恋ばかりしやがって」までも演奏。
柴田は初日にASTRO ARENAのトリとしてDJをやったのだが、BUMP OF CHICKENと時間が被ったことにより、キャパの1割くらいしか客がいなくて自信を喪失し、この日のライブも不安で仕方なかったらしいのだが、恐らくこの時間じゃなかったらもっと埋まってたんじゃないかというくらいに人を集めており、
「俺は学生時代にスクールカーストで言うと本当に底の方にいた。ずっと端っこの方にいた。ヤンキーみたいなやつに「柴田、お前ずっと端っこにいるな」って言われるくらいにずっと端っこにいた。でも、こんな時間にロックンロールを聴きに来るようなお前らだってそうだと思うんだよ。そんな俺とお前らでもさ、すごいキレイな景色が作れるっていうことを俺は今日このステージで証明したいんだよ」
と言って柴田がスマホライトの明かりを観客に掲げてもらった中で演奏された「忘れらんねえよ」で大合唱を巻き起こし、スクールカースト最下層のような人間たちでも年明け早々にこんなに美しい光景を作れるということを証明してみせた。
アンコールで再びすぐさまメンバーとともにステージに戻ると、2018年はこれまでずっと柴田とともに活動してきた梅津との別れという辛い出来事もあったこのバンドが最後に歌うことを選んだのは「別れの歌」。もともとはかつてドラマーだった酒田が脱退した時に作られた曲なのだが、今こうして柴田が1人っきりになって演奏されるこの曲はその時とはまた意味合いが違って聞こえた。
もう1人になったということは、忘れらんねえよという名前を背負わなくてもいいし、バンドという形態に拘らなくてもいい。でも柴田はこれまでの忘れらんねえよの活動の中で経験してきたたくさんの思い出や、辞めていった2人、その中でバンドを手伝ってくれた、マシータやタナカヒロキ(LEGO BIG MORL)、ロマンチック☆安田(爆弾ジョニー)という人たちがくれた思いや力も忘れることなく、もっと大きなステージで彼らと一緒に作った音楽を鳴らそうとしている。それが彼らや応援してくれる人たちに対する最高のお返しになると信じている。
だからまだ忘れらんねえよを辞めるわけにも、止めるわけにもいかない。そんな意志に溢れた、2019年からの決意表明のようなライブだった。やっぱり、忘れられない。
リハ.犬にしてくれ
リハ.バンドワゴン
1.バンドやろうぜ
2.寝てらんねえよ
3.ばかばっか
4.俺よ届け
5.君は乾杯のとき俺とだけグラスを合わせなかった
6.この高鳴りをなんと呼ぶ
7.踊れ引きこもり
8.だっせー恋ばかりしやがって (新曲)
9.忘れらんねえよ
encore
10.別れの歌
これにて、COUNTDOWN JAPAN 18/19の全日程が終了。今回も初日のトップバッターから最終日の大トリまでを無事に完走することができた。色々なことが変わったりするけれど、初めてここに来た13年前から、もうこの会場以外で年越しをするという選択肢がない。1年の最後にこうして4日間も大好きな音楽にひたすら塗れることができる。こんなに幸せな1年の終わりがほかにあるだろうか。
ずっとそう思い続けているからこそ、CDJ、また今年の年末に。
Next→ 1/15 銀杏BOYZ @日本武道館
15:15〜 キュウソネコカミ [EARTH STAGE]
このEARTH STAGEに立つのは3年連続。それでもまだなかなか完全に定着したとは言い難いのはロッキンでは今年が初のGRASSだったりしたからだろうか。
ロッキンオン社長の渋谷陽一の前説に続いてメンバーが登場すると、トップバッターとして観客の目を覚ますかのような「MEGA SHAKE IT!!」からスタート。2018年のラストライブだからということもあるからか、メンバーの演奏は最初から非常に気合いが漲っているように見える。
ヨコタのシンセのサウンドがキャッチーな「メンヘラちゃん」、最新アルバム「ギリ平成」のリードトラックの一つであり、「わっしょい わっしょい」のフレーズが早くもライブ定番曲としてこうして演奏されることに全く違和感を感じない「推しのいる生活」と曲を連発していく。
ここまでの流れを見てもわかる通りに今のキュウソはフェスでは面白いネタをやることはほとんどなく、ひたすらに曲を演奏していくというスタイルになっている。そもそもが演奏力が非常に高いバンドであるだけに、純粋な音楽集団としてのバンドになっているというか。
そんなキュウソはこのライブがちょうど今年100本目のライブであり、「KMTR645」の曲中ではそれを祝うべく、くす玉が用意され、それを割ると中からしっかりと「祝 ライブ100本目」の文字が現れる。キュウソはおそらく基本的にこういうフェスなどのオファーを受けたら断らないであろうバンドだし、2018年は小箱を中心に回るツアー(メンバー自らが機材を搬入・搬出している様子がアルバムの初回盤DVDに映っている)も、アルバムの曲をファンに先にライブで聴いてもらうための先行視聴的なツアーも行った。そんなバンドが年間100本ライブをやっているわけだが、自分はこの日が年間108本目のライブだっただけに、キュウソの数を超えてしまっているというのは我ながらよくそこまで行ったな〜と思う。
先行試聴的なツアーでMV撮影が行われた、完全にウォールオブデスをするための曲と言っていいような「炊き上がれ召し上がれ」から説明せずとも何重にもなったサークルが発生した「KMDT25」とあの手この手で楽しめる曲を連発するも、セイヤは
「こんなにたくさんの人が来てくれて、もう2曲目から泣きそうになっていた(笑)」
と感極まってステージに立っていることを明かす。
そんな、このステージを満員に埋めることができるような存在になっても、
「今でもこの曲の歌詞を書いた時の気持ちは忘れていない!」
と、噛み付く姿勢を失ってはいないことを示して演奏された「ビビった」からはさらに熱さと暑さを増していく。
客席に突入できないが故に曲そのものの力で勝負しないといけないのがロッキンオンのフェスだが、普段はセイヤが客席に突入する「DQNなりたい〜」もそうした飛び道具的なパフォーマンスがなくてもしっかり伝わっていたのがわかったし、それは「ハッピーポンコツ」「The band」という熱さを前面に押し出した曲たちからより一層そう感じる。キュウソが本当はどんなバンドなのかがよくわかるという意味でも、ロッキンオンのフェスに出続ける意義はデカい。フェス側もそんなバンドのポテンシャルをちゃんと評価しているからこのステージに毎年立っているのである。
とりわけ「The band」の
「ロックバンドでありたいだけ」
というフレーズを汗を流しながらこんなに大きなステージで鳴らしている姿は、キュウソはちゃんと自分たちがなりたいロックバンドになれているんだな、と思ってさらに胸が熱くなる。
今までの流れ的には「The band」でキレイに終わる、というパターンだったのだが、この日はそれでは終わらずに、最後に新作からの「真面目に」を演奏。もう本当に見れば見るほどキュウソは真面目なバンドだと思うのだが、そういうバンドだからこそ歌えるこの曲。
「いつか報われると信じてる」
というフレーズで終わるのだが、2018年は悔し泣きをするようなこともあったし、
「バンドをやってて本当に良かったー!」
と叫んだこともあった。そんな2018年の最後のライブで見れたのがこの満員のEARTH STAGEの景色。2018年に限っては間違いなくその想いは報われた。
なぜこのステージにキュウソが立てているのか。それはこの日のライブを見れば一目でわかるし、いよいよとんでもないバンドになってきたな、とも思う。
1.MEGA SHAKE IT!!
2.メンヘラちゃん
3.推しのいる生活
4.KMTR645
5.炊き上がれ召し上がれ
6.KMDT25
7.ビビった
8.DQNなりたい、40代で死にたい
9.ハッピーポンコツ
10.The band
11.真面目に
16:35〜 NICO Touches the Walls [EARTH STAGE]
古村の負傷によって出演キャンセルしたこともあったが、毎年このEARTH STAGEに立ってきた、NICO Touches the Walls。
サポートメンバーの浅野尚志を加えたおなじみの5人編成で登場すると、茶髪混じりの外タレみたいな髪型になった光村が吠える「VIBRIO VULNIFICUS」からスタート。さらに浅野のヴァイオリンが流麗なリフを奏でる「THE BUNGY」、今度は浅野がピアノを弾き、観客が腕を振りながら踊る「Funny Side Up!!」とこのバンドのライブの醍醐味でもある曲と曲を繋ぐようなアレンジを見せながら続くと、
「今回はお祭りモードで行きます!」
と、毎回フェスではコンセプトを決めてセトリを組んでいるこのバンドが今回はアッパーに振り切れた内容で挑んでいることを告げると、その言葉を示すべく「ホログラム」「バイシクル」というロックバンドのキャッチーなキラーチューン曲を連発。どちらもタイアップがあったことによってたくさんの人に聞かれた曲なだけに、1年の最後にこの曲を聴けて嬉しかった人も多いんじゃないだろうか。
「大好きなバンドのカバー曲をやりたいと思います。そのバンドは今年解散してしまいましたけど、ずっと大好きなバンドです」
と光村が言って演奏されたのはソリッドなギターロックアレンジでカバーされた、チャットモンチーの「ハナノユメ」。NICOとチャットモンチーは同じレコード会社に所属していた、同世代のバンド。このカバーはチャットが完結を発表するはるか前にカップリングに収録されているだけに、NICOはチャットの活躍にずっと刺激を受けながらバンドを続けてきただろうし、完結を選んだチャットの姿を見て、自分たちはこれからバンドをどう続けていくかということにも向き合ったはず。そんな仲間の曲はこうして巨大なステージでたくさんの人の前でNICOが歌うからこそ生き続ける。そんな意志が演奏している姿から感じられて、感動してしまった。
「天地ガエシ」でこのステージでの大勝利を告げると、かつてこのフェスでも何度も演奏された名曲「N極とN極」の続編的なグループサウンズ風味の「来世で逢いましょう」と、定番曲とこれから定番になっていくであろう2018年リリースの曲を続けると、
「もう平成も終わってしまうけれど、みんなにとって平成はどんな時代だった?俺はめちゃくちゃいい時代だと思ってるよ。なぜなら日本は平成の時代に一度も戦争に加担しなかった。だから昭和っていう時代は平成っていう時代に嫉妬してると思う。昭和は戦争をしてしまったから。でも次の時代はもっと良い時代にできるはず。みんな、次の時代は平成が嫉妬するくらいに良い時代にしていきましょう!」
と光村が新たな時代への覚悟を語る。
「戦争」というワードが出た時に少し会場の空気がピリッとしたのは確かに感じたが、光村はあらゆる時代の音楽、それこそ笠置シヅ子のカバーをカップリングにするくらいに戦後の歌謡曲までも聴いて自分たちの音楽に取り入れているし、ただ点で曲を聴くのではなく、その曲の背景やまつわるカルチャーなどを調べて理解した上で聴くというタイプのハードなリスナーである。普段からワンマンに行っているファンはそれを理解しているけれど、このバンドのライブを初めて見た人はどう感じたんだろうか、と思っていたのだが、発言の後には曲を演奏し終わった時以上の大きな拍手が起こっていた。NICOはそうした社会に言及するようなことをあまりしないようなタイプのバンドだが、その想いはしっかり伝わっていると思った。
そして光村がこうしてこれから我々が生きる時代をどうしていくか、というのを言葉にしてくれると、同世代(というか同い年)という身としては次の時代をさらに良いものにするために、自分に何ができて、何をすべきなんだろうか?と考えざるを得ない。
一般人として出来ることは少ないというか、ほとんどないとすら思えるけれど、こうしたフェスという戦争とは最も遠い景色を見せてくれる場所の素晴らしさを伝えることくらいは少しは出来るんじゃないだろうか、と思ったりする。それが戦争というものを遠ざけてくれるのならば。
そしてラストは「手をたたけ」で手拍子が起こって終了…ではなく、間奏で対馬が一気にテンポチェンジをすると、映画「ボヘミアン・ラプソディ」が大ヒット中のQUEEN「We Will Rock You」に繋ぎ、光村はフレディ・マーキュリーばりの圧倒的な歌唱力を見せると、対馬だけでなく古村、坂倉、さらに浅野もコーラスでそのボーカルを支え、そのリズムのままで「マシ・マシ」のフレーズを歌うという変幻自在っぷり。ワンマンでは「ミステリーゾーン」という20以上の曲を繋げて演奏するという試みを見せたが、そうしたことができる技術の高さは年々進化を遂げている。
最後にはしっかり「手をたたけ」に戻って演奏を終えたのだが、このバンドのこのフェスでのライブを10回以上見てきて、今までで1番良いライブだった。それくらい今でもNICOは常に進化しているし、ほかのバンドには絶対できないことができるバンドになっている。ワンマンの動員などを考えると、いつ下の世代のバンドにこのステージを取って変わられてしまってもおかしくないけれど、そうしたバンド自身の凄さもそうだが、同世代のバンドがことごとくGALAXYが定位置になってしまっているだけに、このバンドには意地でもEARTHに出続けて欲しい。ライブを見ればなぜこのステージに立てているのかが絶対にわかるバンドだから。
リハ.mujina
1.VIBRIO VULNIFICUS
2.THE BUNGY
3.Funny Side Up!!
4.ホログラム
5.バイシクル
6.ハナノユメ
7.天地ガエシ
8.来世で逢いましょう
9.手をたたけ 〜 We Will Rock You 〜 マシ・マシ 〜 手をたたけ
18:30〜 go! go! vanillas [GALAXY STAGE]
この前にGALAXY STAGEに出演したSUPER BEAVERは外の飲食エリアにまで人が溢れるくらいの入場規制っぷり。その後に出演するのは、go! go! vanillas。直前にベースのプリティが交通事故に遭って入院しているため、年末のフェスやイベントはベースにサポートメンバーを迎えての出演となる。
おなじみの「We are go!」のSEで牧、柳沢、ジェットセイヤ、そしてこの日のサポートベーシストであるマイケル(夜の本気ダンス)がステージに現れると、ロックンロールの魔法を体現するバンドとしての「マジック」からスタートするのだが、「あれって本当にマイケル?」と思ってしまう。確かに横を向きながら体を揺らすようにしてベースを弾く姿はマイケルそのものだが、出で立ちが明らかにいつもと違う。マッシュっぽい髪型を茶色く染め、黒いシャツに蝶ネクタイをしている。つまり、見た目はちょっと身長の高いプリティになっているのだ。この心配りは本当にマイケルの人柄を表しているし、そのマイケルの想いに応えるように牧は
「色々あるけれど、今日はみんなお祭り騒ぎしに来たんだろ!?幕張の本気ダンスは出来ますか!?踊れる準備はできてますか!?」
と夜の本気ダンスのライブでのおなじみのフレーズで観客を煽り、その言葉を聞いたマイケルも実に嬉しそう。本当に彼らが仲間として繋がっていることがわかる。
演奏としては全く申し分ないような状態にまで仕上げてきているのは本当にさすが。しかもマイケルは今のところこの日だけのサポート。この後には夜の本気ダンス自身のライブもある中で曲を覚えて、こんなに違和感がないくらいにまでできている。それはこの日の前にサポートを務めた長島涼平(フレンズ)と、あきらかにあきら(THE ORAL CIGARETTES)もそうだが、みんな忙しい中でこのバンドのステージに立っている。今回の事故で、バニラズとプリティがどれだけたくさんの人に愛されているのかというのが改めてわかった。事故は絶対に起きなかった方が良かったけれど、決して全てがマイナスではなかったのである。
平成生まれのこのバンドが平成という時代を生きて新しい時代へ向かっていく意志を描いた「平成ペイン」を終えると、メンバーは楽器を置く中、牧がプリティのことを改めて説明し、
「あいつが帰ってきた時にまた続きをやりましょう!」
と言って、「おはようカルチャー」のコーラス部分を観客も含めて大合唱。期せずして曲がもともと持っていたものよりも大きな意味を持ってしまったが、春からのツアーではこの曲を4人で全部演奏できるようになることを願って。
やはり持ち時間40分ありながらも、ライブ自体は30分くらいだった。それは仕方がない。でも何よりも大事なのは、バニラズが止まらなかったということ。なぜならバニラズはロックンロールバンドであり、ロックンロールバンドの先輩であるTHE BAWDIESのJIMが同じようにツアー中に事故に遭ってもライブに出続けた姿を、a flood of circleがどれだけメンバーが入れ替わっても一瞬たりとも止まらなかった姿を自分たちの目で後ろからずっと見てきた。先輩たちがそういう姿を見せてくれたからこそ、自分たちも止まるわけにはいかなかった。だから宮川が脱退した時もすぐさま柳沢が加入して、止まらない意志を見せてきた。その思いを汲んでくれた、マイケルをはじめとしたベーシストたちには本当に感謝でしかない。
そして今回の出来事は間違いなくバニラズをもっと強いバンドにする原動力になるはず。みんながプリティが帰ってきてそうなることを待っている。
リハ.バイリンガール
1.マジック
2.エマ
3.ヒンキーディンキーパーティークルー
4.カウンターアクション
5.平成ペイン
6.おはようカルチャー(コーラスのみ)
19:15〜 04 Limited Sazabys [EARTH STAGE]
go! go! vanillasとはまた違う形で、04 Limited Sazabysにとってもこの年末は試練と言っていいものだった。RYU-TAとHIROKAZのギタリストコンビが相次いでインフルエンザに感染し、このフェスの前のライブをキャンセルせざるを得ない事態になってしまっていたから。この日も最初は出演が危ぶまれていたが、2018年のライブ納めに復活。
おなじみのオリジナルのSEでインフルエンザの影響を全く感じさせないくらいの元気さでメンバーが登場すると、GENが
「帰ってきたぞ!」
と叫ぶと最新アルバム「SOIL」のオープニング曲であるファストなメロコアナンバー「message」からスタートするのだが、もうKOUHEIのドラムの一打目から全くこれまでとは違う。溜まっていたものを全て吹き飛ばすような力強さと気合い。ロックバンドであることに誇りを持ち、それを信じてきたバンドだからこそ宿る、音への力と意志。それが確実に音から発されている。もうこの時点でこの日のライブが素晴らしいライブになることは間違いなかった。
おなじみのレーザー光線が飛び交う「fiction」から、重いサウンドのロックナンバー「Alien」、愛猫家であるGENが初めて猫の曲として書いたコミカルな「Kitchen」と、「SOIL」のリリースによってフェスでのセトリにも変化が生じてきているのだが、その「SOIL」のアルバム曲が早くもバンドの代表曲であるかのような盛り上がりを見せている。
それは若手バンド、並びにパンクバンドとして非常に大きいことである。若手のパンクバンドとなると、ある程度フェスで盛り上がるキラーチューンというものが固まっているバンドが多いし、デカいステージに立っているとなるとそうした曲ばかり演奏しなければならず、セトリやライブの内容が硬直していきがちだ。しかしそれは飽きられるサイクルを早めてしまうことにも繋がる。だからバンドによっては新たな音楽性を取り入れたりして刷新を図るのだが、フォーリミが選んだのはむしろ逆。「SOIL」で手にしたのはこれまでで最も振り切ったパンクサウンド。それをもってしてこれまでの自分たちを更新し、それがしっかり受け入れられている。その姿にパンクバンドとしては前人未到の領域まで足を踏み入れているようにすら感じた。
ちょっと前までは最後に演奏されていた「swim」をこの中盤で演奏できるようになったのもそうした楽曲の循環がしっかりと果たされているからこそだが、「midnight cruising」では間奏でRYU-TAが
「この4人で04 Limited Sazabysだ!」
と叫ぶ。その姿に頼もしさを感じた人はたくさんいるだろうし、ステージに立てなかったことが本当に悔しかったんだろうな、ということも伝わってきた。
その悔しい思いをしたギタリスト2人のコーラスを生かした「Galapagos」では間奏でいったんブレイクすると、
「人が凄いですね。我々もフェスを主催してるからこのくらいの人が来ればどれくらいの収益になるのかってわかるんですよ。だから渋谷陽一はめちゃくちゃ金持ってますよ。渋谷さんの家はこれですもん」
と言って明らかにハワイの別荘的な家が映し出されると、
「今年は俺たちがこのステージでカウントダウンできると思ってたんだけどな〜」
と言って、昨年に続いてフライングカウントダウンを決行。その時はRYU-TAの変顔が次々に映し出されるというものだったが、今回はカウントダウンの瞬間にスクリーンに映ったのは、女装をしたKOUHEI。なんで俺じゃないんだ!と怒りをあらわにするRYU-TAが歌い出して曲が再開するという演出も楽曲ありきのものであり、実にうまくなってきている。
「My HERO」からはステージに炎が上がったりと演出も最大限に使いつつ、「SOIL」のリード曲であり、アルバムのパンクな内容を知らしめるような「Milestone」、この広い会場だからこそ映える大合唱曲「hello」と続くと、
「終わりよければ全て良し。今年の汚れ、今年のうちに」
と1年を締めるような言葉を口にしてから「Squall」「monolith」という最強のパンクナンバー2連発で締めたかと思いきや、まだ時間があるからと言って2018年の最後にこのバンドが演奏したのはパンク・メロコアの極みというような「Remember」で、パンクという自分たちの原点に立ち返った2018年を終えたのだった。
終わりよければ全て良しという言葉すら飛び越えるような素晴らしいライブだった。そこには自分たちで音を出すというロックバンドだからこその強さが出ていたからというのは間違いないが、それを見せながらも、このバンドがもっともっと凄い存在になるんじゃないかというのがはっきりと見えたライブだった。いずれロッキンオンのフェスのメインステージでこのバンドがトリをやる日が来るかもしれない、と思えるような。
リハ.nem…
リハ.knife
リハ.Remember
1.message
2.fiction
3.Alien
4.Kitchen
5.swim
6.midnight cruising
7.Galapagos
8.My HERO
9.Milestone
10.hello
11.Squall
12.monolith
13.Remember
20:50〜 MONOEYES [GALAXY STAGE]
2日前にはthe HIATUSでこのフェスに出演している細美武士。この最終日にはMONOEYESでGALAXY STAGEに出演。
おなじみのスターウォーズのSEが流れると、ビールを持った細美武士を中心に4人が登場。「Run Run」でスタートすると、絶え間なくパンクロックを次々に畳み掛けていく。
「スコットが決めるぜー!」
と細美がマイクを預けられる数少ない仲間であるスコット・マーフィーもそのボーカルを思いっきり開放し、合間には客席に向かって放水したりというあたりはもはやフェスでもおなじみの光景である。
サウンドに合わせて飛び跳ねまくる「My Instant Song」から「明日公園で」では一瀬のドラムセットの後ろを回り込んで戸高に近づいたスコットがベースを銃のようにして戸高に向かってぶっ放すという微笑ましい姿を見せると、いつのまにか超満員になっていた観客たちがこういう世界を望んでここに集まったんじゃないかと思う「グラニート」から、さらにパンクに振り切れていく「When I Was A King」、いないのを知っていてもTOSHI-LOWがコーラスで出てくるのを期待してしまう「Two Little Fishes」と、2日前のthe HIATUSのライブとは真逆な内容と言ってもいいくらいに、2枚のアルバムから選んだフェスにおけるベスト的な内容のライブ。
the HIATUSの時と同じように細美はかつてのようにフェスのルールに言及したり、長々としたMCは全くしなかったが、Tシャツを脱いで上半身裸になってその筋肉美を見せつけると、
「いろんなことがあると思うけど、来年も笑っていましょう」
と一言だけ言って、2018年のこのバンドの最後の曲のボーカルをスコットに託したのだった。
その細美の言葉に説得力を感じるのは、the HIATUSのみをやっていた時からは全く想像できなかったくらいに、このバンドのライブの時に細美が笑っていたから。このバンドのライブを見ることができれば、我々も笑っていることができる。それは来年も、さらにその先も。
リハ.Get Up
1.Run Run
2.Like We've Never Lost
3.Free Throw
4.Roxxette
5.My Instant Song
6.明日公園で
7.グラニート
8.When I Was A King
9.Two Little Fishes
10.Borders & Walls
22:00〜 yonige [GALAXY STAGE]
夏のロッキンでもLAKE STAGEに出演し、今回も初のGALAXY STAGEと、バンドが大きくステップアップした1年のライブ納めとなる、yonige。今やワンマンでもZeppクラスがソールドアウトするくらいの存在になってきている。
サポートのホリエを加えた3人が登場すると、今年の夏にライブ会場限定シングルとしてリリースされた「リボルバー」からスタート。リハで演奏していた「さよならアイデンティティー」みたいに派手な展開がある曲ではない、淡々とした曲。この曲で描かれているように、日常はドラマチックなものではないから。だからこそ宿る普遍性。個人的に今年トップクラスの名曲。
しかしサポートとは思えないくらいにもはや完全にバンドの音の一部となっているホリエの力強いドラムはもちろん、夏から感じていた牛丸のボーカリストとしての覚醒っぷりはさらに強くなっている。遠くに飛ばせるようになったのはもちろんだが、歌の上手さや飛距離が確実に増している。大きな会場でのライブを重ねてきたからこそというのもあるのだろうが、その牛丸のボーカル力の向上はバンドのライブ力そのものの目に見える向上にしっかりと繋がっている。
とはいえ
ごっきん「今年17kg痩せました!デブ界のガリガリを目指していこうと思います!」
牛丸「あ、ガキの使いを予約録画してくるの忘れてた」
という天然っぷりは変わらず、牛丸は「アボカド」で盛大に歌詞をすっ飛ばしていたのだが、それが完全にマイナスに働いてるというわけではなく、むしろ珍しいものが見れた(歌詞間違い自体は結構多い)というふうに思えるのもライブ自体の質がはっきりと向上してきているからだろう。
今年リリースされたミニアルバム「HOUSE」収録の「春の嵐」もタイトルが感じさせるような派手さはないが、インディーズ時代は得意技と言ってもよかったそうしたドラマチックな構成の曲ではなくてもyonigeらしさを感じさせるようになっているのは間違いなく2018年の収穫だろう。
そして「さよならプリズナー」から上げて終わるのかと思いきや、最後に演奏されたのは牛丸のノイジーなギターが濃厚なサイケデリアを描く「最愛の恋人たち」。フェスではそれなりに演奏されている曲ではあるが、1年の最後をこの曲に託したあたりに今のyonigeのモードを感じさせた。
昨年はこのフェスを終えて帰宅したら、テレビからこのバンドが歌う「笑おう」が流れまくっていた。それを聴いてこのバンドの今年の飛躍を確信した人もたくさんいただろうけれど、「笑おう」で見せた形とは違う方向での進化をしっかり果たした1年となった。それを経た2019年は果たしてどんな年になるのだろうか。
リハ.さよならアイデンティティー
リハ.どうでもよくなる
1.リボルバー
2.our time city
3.センチメンタルシスター
4.最終回
5.アボカド
6.春の嵐
7.さよならプリズナー
8.最愛の恋人たち
22:35〜 ヒトリエ [MOON STAGE]
各ステージが年越しへの空気感を高めている中、年越しアクトの前の最後のアクトとなるのが、このMOON STAGEでのヒトリエである。
メンバーが登場して爆音を鳴らし始めると、
「お客様の中で踊れる方はいらっしゃいませんかー!」
と「踊るマネキン、唄う阿呆」からスタートし、「トーキーダンス」と続くと、もはや年末の幕張での恒例となった超高速ダンスロックタイムに突入していく。
昨年、初出演した時にはガラッガラだったASTRO ARENAを埋めた時に
「初めて愛を歌ってみようと思った」
とwowakaが語っていた「アンノウン・マザーグース」は最初に演奏された2曲の後に演奏されたからこそこのバンドの音楽の幅、バンドが表現したいことの幅を広げているし、それはwowakaの
「いろんなことがあるけれど、俺は人間を諦めたくない。そういう歌を歌っていきたい」
というさらに強くなった覚悟を持って鳴らされた「ポラリス」からも感じられた。
最初はボカロPという人間の力以外を使って音楽を作っていたwowakaがなぜバンドという形態を選んだのか。なぜこの4人でバンドを続けているのか。その答えもこの言葉と「ポラリス」には含まれていた。
あまりにも正確無比な演奏であるがゆえに、ともすれば機械っぽく感じてしまうヒトリエがライブを見ると、どんどん人間らしさしか感じないようになってきている。それが確実に生み出される曲にも影響を及ぼしている。こんなバンドになるとは、とも思うが、それこそが生の人間の集合体であるバンドの面白さである。
そしてラストは「センスレス・ワンダー」で踊り納め。シノダは間奏で
「ワシはこれで仕事納めじゃー!」
と叫んでギターソロを弾きまくると、客席ではまさかのダイバーが出現。完全にダイブ禁止のルールが定着したフェスであるがゆえに、パンクやラウド系のバンドのライブでもダイバーは全く出なくなっているが、それがまさかこのバンドで出るとは。それくらいの衝動を炸裂させるような力をこのバンドが持っていることの裏返しでもあるのだが。
ライブが終わるとwowakaは
「今、初めて言います。2月にアルバムが出ます。凄いものができたんで、楽しみにしていてください」
と、急遽アルバムがリリースされることを発表した。画面の前にいる顔が見えない人たちではなく、こうして自分たちの音楽を聴くために会いにきてくれる、目の前にいてくれる人たちに1番最初に嬉しい報告をしたい。
ヒトリエは本当にこれ以上ないくらいに人間臭いバンドになっていた。
1.踊るマネキン、唄う阿呆
2.トーキーダンス
3.アンノウン・マザーグース
4.ポラリス
5.センスレス・ワンダー
23:30〜 サンボマスター [EARTH STAGE]
そしていよいよ年越しアクトの時間に。今回のEARTH STAGEの年越しを務めるのはサンボマスター。04/05でGALAXY STAGEの年越しを務めているので、14年ぶりにこのフェスの年越しを務めることに。
場内が暗転すると、メンバーが登場する前にスクリーンに山口隆が映し出され、
「あれ!?ここは幕張のお葬式会場ですか?違いますよね!?みなさん、5万人で伝説の圧倒的な年越しをしようじゃありませんか!」
と登場前から煽りまくると、続いて映し出されたのは2017年に行われた、このバンド初の武道館ワンマンの映像。それを見ていると否が応でもライブへの期待が高まっていく。
そしておなじみ「モンキー・マジック」のSEで3人が登場すると、
「幕張準備できてんのかコラー!」
と早くもメンバーのテンションは最高潮で、
「圧倒的!圧倒的!」
とこの日の年越しライブのテーマが「圧倒的」であることが決定すると、「世界をかえさせておくれよ」からスタートし、「可能性」から踊りまくりの「青春狂騒曲」とキラーチューンを連発し、最高の年越しへの期待がさらに高まっていく。
「今年はいろんなことがあった。大雨とか地震とかの災害もあった」
と2018年にあった様々な悲しい出来事を忘れずに新しい年に向かっていくべく演奏された「ラブソング」はそれまでの盛り上がりとは一転して山口のボーカルと演奏に集中して聴き入っている。
すると奇跡的な年越しを迎えるべく、「ミラクルをキミとおこしたいんです」をかなり時間を気にしながら始めると、最後のサビ前に60秒前からのカウントダウンが開始。しかし通常の年越しアクトは曲と曲の間にカウントダウンをするのだが、曲中にリズムに合わせて「オイ!オイ!」と声をあげる様が20秒前からカウントダウンに変わっていく。
そして0を迎えると金テープと特効が炸裂。ひたすらに熱気に満ち溢れた年越し。この会場で年越しをするようになって13年。こんな年越しは今までに経験したことがない。まさに圧倒的な年越しの瞬間だった。
しかしそれで終わるわけではもちろんなく、ステージには門松と獅子舞も現れる中、「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」からはさらなるキラーチューンを連発していく。2019年最初の「愛と平和!」の大合唱はある種の祈りのようにして響き渡り、「光のロック」「そのぬくもりに用がある」という曲が演奏されるのは持ち時間が多いこのメインステージの年越しアクトならではだが、年越しを迎えた後もライブの熱気は一切衰えるどころかさらに増していく。
おなじみのビートルズやストーンズ、ブルーハーツというロックスターたちの名前を挙げてからの「ロックンロール イズ ノットデッド」で2019年もロックンロールがこのバンドとそのファンたちがいることによって生き続けていくことを示すと、圧倒的な年越しをすることができたサンボマスターと5万人だからこその「できっこはないをやらなくちゃ」で熱狂はピークを迎えると、
「俺が言うのも上から言ってるみたいになっちまうけれど、こうしてみんなで圧倒的な年越しができたのも、君たちが2018年の終わりまで生きてきてくれたからだ。みんな、よく生きてきてくれたね。ありがとう」
という山口の暖かい言葉には大きな拍手が起こり、
「お前らも辛いことが2019年もいっぱいあると思う。ぶっ殺したい上司とか後輩とかもいるだろうし、自分の手首にその刃物を向けるようなこともあるかもしれない。でもそういう時はこの日のことを思い出してくれ。ここでこうやってみんなで年越ししたことを忘れないでくれ。俺たち絶対そんなお前らのことを探しにいくからな!…また会おうな。生きて必ずまた会おうな」
と言うと、客席から
「ありがとうー!」
という叫びが自発的に起こり、そのままそんな景色を作ってくれたサンボマスターに割れんばかりの拍手が向けられた。
そして最後に演奏されたのは最新シングルの「輝きだして走ってく」。ワンマンにも毎回行っているけれど、それとは全く違う、5万人だからこその感動。
こんな年越しをしたら、2019年は絶対いい年になる。これがサンボマスターだ。まさに圧倒的な伝説の年越しだった。ありがとう。
1.世界をかえさせておくれよ
2.可能性
3.青春狂騒曲
4.ラブソング
5.ミラクルをキミとおこしたいんです
カウントダウン
6.世界はそれを愛と呼ぶんだぜ
7.光のロック
8.そのぬくもりに用がある
9.ロックンロール イズ ノットデッド
10.できっこないをやらなくちゃ
11.輝きだして走ってく
25:10〜 KEYTALK [EARTH STAGE]
年越しを超えてもまだフェスは終わらない。このメインであるEARTH STAGEのトリを務めるのはKEYTALK。この日はお台場でのフェスでライブをしてからのダブルヘッダーである。
おなじみの「物販」のSEで元気良くメンバーが登場すると、武正のギターがトリッキーなフレーズを奏でる「パラレル」から「太陽系リフレイン」と続き、はやくも踊りまくり。武正はもちろん、巨匠と義勝のボーカルコンビもボーカルパート以外はガンガン左右の花道に走って行くのだが、冷静に考えると深夜1時過ぎとは思えないテンションの高さである。
KEYTALKと言えば夏フェスのアンセムと言っていいサマーソングを数々生み出してきたバンドだが、それは真冬の年末であるこのフェスにおいても抜群の威力を誇っているというのがよくわかる「YURAMEKI SUMMER」の盛り上がりっぷり。さらに「Summer Venus」では曲中のEDM部分で義勝と武正が「U.S.A」ダンスを踊ってさらにパリピっぷりに磨きをかけていく。
さらに「MATSURI BAYASHI」では義勝のスラップベースが力強く鳴り、2018年がメジャーデビューから5周年という記念イヤーということで、メジャーデビュー曲である「コースター」も披露。「パラレル」もそうだが、こうしてメジャーデビュー期の曲を聴くと、今に至るまでの音楽性の変遷や幅の広がりを感じる。この頃まではまだ自分はこのバンドをthe band apartがめちゃ好きな若手バンドというくらいの感じで捉えていたが、そこから見事に飛び出してこのステージのトリができるくらいになったのはそうした幅の広いサウンドを取り入れられる器用さと技術があってのことである。
武正による「ぺーい」のコール&レスポンスもありつつ、多幸感溢れる「Love me」から「桜花爛漫」というフェスではおなじみのポップな曲が続くと、2018年にリリースされたアルバム「RAINBOW」から、メンバーが着想を得たという「マリオカート」のステージを彷彿とさせるきらめくパンク曲「Rainbow Road」を披露。「RAINBOW」は改めてこのバンドの幅の広さを知らしめた、まさに色とりどりのアルバムだったが、その中からこの曲がフェスのステージで聴けるとは思っていなかった。
「いやー、今年で1番楽しい!」
と、まだ2019年になってから1時間しか経ってないだけにそれも当たり前だろうという言葉を武正と義勝が発すると、最後に演奏された「MONSTER DANCE」でまさに今年1番楽しい空気を作り出して、見事にEARTH STAGEのトリという大役を果たした。
演奏が終わると観客とともに写真撮影。2018年はロッキンで初のGRASS STAGEに立ち、幕張メッセで360°ワンマンも行い、名実共にロックシーンを代表するバンドとなった。果たして2019年はこのバンドはどこまで行くのだろうか。
リハ.HELLO WONDERLAND
リハ.アワーワールド
1.パラレル
2.太陽系リフレイン
3.YURAMEKI SUMMER
4.Summer Venus
5.MATSURI BAYASHI
6.コースター
7.Love me
8.桜花爛漫
9.Rainbow Road
10.MONSTER DANCE
26:45〜 魔法少女になり隊 [COSMO STAGE]
年が明けて深夜3時近く。それでもGALAXY STAGEでは夜の本気ダンスが入場規制になるくらいの盛り上がりを見せるなど、まだまだ続くCOUNTDOWN JAPAN。年越し後のこのCOSMO STAGEに登場するのは、魔法少女になり隊。もはやこのフェスの常連と言えるバンドである。
先にサポートベースを含む演奏陣がステージに登場すると、最後に火寺バジルがステージに現れ、「魔法少女になり隊」と書かれたスケッチブックを観客に見せて、和のテイストを取り入れた「ヒメサマスピリッツ」からスタート。VJのGARIは観客を煽りながら、スマホの画面のようなビジョンを自分の体全体で持ち、そこに映像を映し出す。
そうして映像を使ってRPG型バンドという自分たちの世界観を提示していくのがこのバンドのスタイルなのだが、バジルとGARIがパラパラのようなダンスを踊りまくる「RE-BI-TE-TO」からはGARIがモニターを外し、ひたすらに曲と演奏の力だけで真っ向勝負。
もはやこのフェスでもおなじみになっているだけに観客の掛け合い部分も完璧な「おジャ魔女カーニバル!!」のラウドバージョンから、フェスでは珍しい魔女の呪いをテーマにしたミドルテンポの「ミッドナイトシンドローム」、GARIが自分でミラーボールを持って、ライトが当たる場所の下に移動しては輝かせる「five star」と幅広い楽曲が演奏できるのはMCを挟まないで曲と曲を繋げるというこのバンドのスタイルゆえ。
そして「完全無敵のぶっ飛バスターX」からは直球勝負のバンドサウンドがさらに力強さを増していき、笑顔でギターを弾きまくるウイ・ビトンのコーラスの声量もさらに大きくなっていくと、その声を上回るような
「魔法少女になりたい!!!」
の大合唱が起きた「冒険の書1」でこの日も締め、バジルはスケッチブックに「ありがとう」と書いてステージから去っていった。
おそらくこの深夜という時間でなければ規制がかかっていたかもしれないというくらいの満員っぷり。RPG型バンドというスタンス通りに、経験値を積んできたことによってこのバンドは着実にレベルアップを果たしてきている。
リハ.革命のマスク
リハ.ハレ晴レユカイ
1.ヒメサマスピリッツ
2.RE-BI-TE-TO
3.おジャ魔女カーニバル!!
4.ミッドナイトシンドローム
5.first star
6.完全無敵のぶっとバスターX
7.冒険の書1
27:15〜 バックドロップシンデレラ [MOON STAGE]
すでにライブハウスシーンでは一部から熱狂的な人気を誇る、バックドロップシンデレラ。このフェスにもついに初出演である。
インパクトはあるとはいえ、いっても小さいライブハウスを主戦場にしているバンドなので、果たしてこのフェスではどうだろうか?と思っていたら、まさかの入場規制レベルの超満員。しかもちゃんとみんなが曲を知っており、「台湾フォーチュン」で踊りまくり、
「歌い続けてたら本当にこのフェスに出ることができました!」
という「フェスだして」ではでんでけあゆみ(ボーカル)と豊島"ペリー来航"渉(ギター&ボーカル)が煽ると、びっくりするくらいの大合唱が起こる。そんな感動的なシーンが深夜3時台とは思えないくらいの熱狂となり、スカのリズムを取り入れたダンスナンバーで踊りまくる。未だにウンザウンザがなんなのかは全くわからないけれど。
「このフェスに出れたのももちろん嬉しいんだけど、もっと嬉しかったのは、こうやって応援してくれたり、ずっと一緒にやってきた仲間たちが自分のことのように喜んでくれたこと」
と、もはや12年にも及ぶ活動歴を持つバンドなだけに自分たちだけではなく周りの人たちのおかげでこのステージに立てていることの感謝を語ると、巨大なサークルが出現した「サンタマリアに乗って」からさらに踊りまくり、でんでけあゆみが身軽な格好になったバンド側も持てる最大のキラーチューンを全て演奏していく。
初めてこのフェスに出るとは思えないし、深夜4時になっているとは思えないくらいのあまりの熱狂っぷり。まるでこの空間がこの時間だけは池袋Admになったかのようだった。
正直、かなり異色のバンドだし、それはこのフェスでほかの出演者と並ぶとより一層そう思うのだけど、長い活動歴を経てついにメインストリームに進出していくのかもしれない、という予感が芽生えるライブだった。
1.およげ!たいやきくん
2.台湾フォーチュン
3.フェスだして
4.本気でウンザウンザを踊る
5.サンタマリアに乗って
6.月あかりウンザウンザを踊る
7.さらば青春のパンク
28:10〜 忘れらんねえよ [GALAXY STAGE]
今回のこのフェスの大トリを担うのは、忘れらんねえよ。初のGALAXYにしてこの大役である。
その期待に100%以上で応えるように、柴田とサポートメンバーたち(ギター・カニユウヤ、ベース・イガラシ、ドラム・タイチサンダー)がかなり早い段階からサウンドチェックに登場すると、DA PUMP「U.S.A」を歌い、コーラスを観客に求めるも全くリアクションがなく、それならばと銀杏BOYZ「BABY BABY」を歌詞を間違えまくりながら歌うと、今度は
「抱きしめておくれ〜」
の合唱が返ってきてひとまずは安心。
その後もひたすらにサウンドチェックとして曲を連発しまくると、本番では[ALEXANDROS]「ワタリドリ」をメンバーたちが演奏し、柴田が歌うのかと思いきや、歌い始めたのは「お正月」で、「ワタリドリ」はあっという間に姿を消してしまう。
そのまま「バンドやろうぜ」で本格的にスタートするのだが、明らかに演奏が走りまくっている。柴田1人になってからはしっかりとした演奏技術を持ちながら内面が柴田と似ているこのメンバーたちと共にライブを行っているのだが、確かな演奏技術を持っているメンバーたちも上手く演奏しようという感じではないし、そもそも柴田も上手く歌おうなんて思っていないだろう。ただひたすらに自分の思いを伝えるために感情を込めて歌っている。だから多少はキツそうなところがあっても思いっきり歌っているし、その気持ちは確かに伝わってくる。
「ばかばっか」では間奏でおなじみのビール一気飲みではなく、お屠蘇の一気飲みをするのだが、量が多くて全然一気には飲めていなかった。とはいえこれは日本酒ではなかっただろうな、っていうくらいにこんなに日本酒を一気飲みしたら演奏できなくなるだろうな、と思うくらいの量だった。
年末に新作ミニアルバムがリリースされたばかりなのだが、その中からいかにも忘れらんねえよらしい「君は乾杯のとき俺とだけグラスを合わせなかった」を披露し、さらに夏から新曲として演奏していた「踊れ引きこもり」で踊らせまくると、
「もうここまできたらやりたいことをやりますわ!」
と、さらなる新曲「だっせー恋ばかりしやがって」までも演奏。
柴田は初日にASTRO ARENAのトリとしてDJをやったのだが、BUMP OF CHICKENと時間が被ったことにより、キャパの1割くらいしか客がいなくて自信を喪失し、この日のライブも不安で仕方なかったらしいのだが、恐らくこの時間じゃなかったらもっと埋まってたんじゃないかというくらいに人を集めており、
「俺は学生時代にスクールカーストで言うと本当に底の方にいた。ずっと端っこの方にいた。ヤンキーみたいなやつに「柴田、お前ずっと端っこにいるな」って言われるくらいにずっと端っこにいた。でも、こんな時間にロックンロールを聴きに来るようなお前らだってそうだと思うんだよ。そんな俺とお前らでもさ、すごいキレイな景色が作れるっていうことを俺は今日このステージで証明したいんだよ」
と言って柴田がスマホライトの明かりを観客に掲げてもらった中で演奏された「忘れらんねえよ」で大合唱を巻き起こし、スクールカースト最下層のような人間たちでも年明け早々にこんなに美しい光景を作れるということを証明してみせた。
アンコールで再びすぐさまメンバーとともにステージに戻ると、2018年はこれまでずっと柴田とともに活動してきた梅津との別れという辛い出来事もあったこのバンドが最後に歌うことを選んだのは「別れの歌」。もともとはかつてドラマーだった酒田が脱退した時に作られた曲なのだが、今こうして柴田が1人っきりになって演奏されるこの曲はその時とはまた意味合いが違って聞こえた。
もう1人になったということは、忘れらんねえよという名前を背負わなくてもいいし、バンドという形態に拘らなくてもいい。でも柴田はこれまでの忘れらんねえよの活動の中で経験してきたたくさんの思い出や、辞めていった2人、その中でバンドを手伝ってくれた、マシータやタナカヒロキ(LEGO BIG MORL)、ロマンチック☆安田(爆弾ジョニー)という人たちがくれた思いや力も忘れることなく、もっと大きなステージで彼らと一緒に作った音楽を鳴らそうとしている。それが彼らや応援してくれる人たちに対する最高のお返しになると信じている。
だからまだ忘れらんねえよを辞めるわけにも、止めるわけにもいかない。そんな意志に溢れた、2019年からの決意表明のようなライブだった。やっぱり、忘れられない。
リハ.犬にしてくれ
リハ.バンドワゴン
1.バンドやろうぜ
2.寝てらんねえよ
3.ばかばっか
4.俺よ届け
5.君は乾杯のとき俺とだけグラスを合わせなかった
6.この高鳴りをなんと呼ぶ
7.踊れ引きこもり
8.だっせー恋ばかりしやがって (新曲)
9.忘れらんねえよ
encore
10.別れの歌
これにて、COUNTDOWN JAPAN 18/19の全日程が終了。今回も初日のトップバッターから最終日の大トリまでを無事に完走することができた。色々なことが変わったりするけれど、初めてここに来た13年前から、もうこの会場以外で年越しをするという選択肢がない。1年の最後にこうして4日間も大好きな音楽にひたすら塗れることができる。こんなに幸せな1年の終わりがほかにあるだろうか。
ずっとそう思い続けているからこそ、CDJ、また今年の年末に。
Next→ 1/15 銀杏BOYZ @日本武道館
リーガルリリー リーガルリリーpresents「333」 〜HappyNewRegalLily!! In Tokyo〜 出演:リーガルリリー / たかはしほのか @東京キネマ倶楽部 1/5 ホーム
COUNTDOWN JAPAN 18/19 day3 @幕張メッセ 12/30