〜イノマー&ミネタの〜 「クリスマスショー」 @渋谷La. mama 12/22
- 2018/12/23
- 00:26
それこそGOING STEADY時代から行われており、なんなら結果的にGOING STEADYのラストライブとなったのがこの渋谷ラママでのクリスマスライブである。
GOING STEADYから銀杏BOYZにバンドが変わってもそれは続いているのだが、今回は相方であるオナニーマシーンのイノマーが癌闘病中ということで、対バンライブではなくてトークライブという形に。
会場の渋谷ラママには椅子が置かれており、整理番号の早い人は椅子に座れ、遅い人はその後ろで立ち見。ステージには殴り書きというか落書きみたいなクリスマスツリーの絵が描かれた幕がかかっており、ステージにも椅子が置かれている。
19時になるとまずはライターのフジシュンが司会進行役としてステージに登場して、2人を呼び込むと、サンタ姿の2人がステージに現れるのだが、癌の手術を終えたばかりのイノマーは杖をついてステージに現れ、
「やはり歩くのすらギリギリなのか…」
と客席には悲壮感のようなものも漂うが、ミネタとフジシュンから
「楽屋では普通だったじゃん!」
と突っ込まれる。
とはいえやはりイノマーは元から痩せていたのがさらに痩せているように感じられたし、井の頭線に乗ってこの会場に来るのもかなりキツかった模様。
何よりもイノマーの椅子の前にパソコンが置いてあったのは何故だろうか?と思っていたのだが、喉頭底癌という症状だったことによって、イノマーは舌を切除しており、喋ることができない状態であった。なのでもともとはオリコンの編集長であり、STREET ROCK FILEという青春パンクを主体にした雑誌の発行人としてGOING STEADYをずっとプッシュし続けてきた存在でもあるので、パソコンによる筆談というスタイルもお手の物なはずなのだが、ビックリするくらいに変換ミスや誤字を連発し、
「あなた本職それでしょ!?」
とまたしても突っ込まれる。
とはいえこうして喋れない状態ではトークライブどころではないのでは?ということで、かつて2人がSTREET ROCK FILEで連載していた「真夜中のふたりごと」のDVDの上映会に。
このDVDは普段の2人の雑談というかほぼ下ネタ的な与太話の出張編として、2人にお宅訪問されたい女性を募集し、その人の家に押しかけるという企画なのだが(DVDを所有しているのですでに見たことはあるが、もう10年以上前の話)、2人ともに
「今では絶対できないどころか、オンエアすることすらできない」
というくらいにヒドイ内容なため、SNSに内容を公開するのを止められるレベル。NHKのドラマにも出るようになった今の状態のミネタがこんなことをしたら大問題になるだろうし、GOING STEADYのラストライブがこのイベントだったことによって
「GOING STEADYを解散させた張本人」
として叩かれまくっていたイノマーは今なら当時とは比べ物にならないくらいに叩かれていただろうし、なんなら逮捕されてしまう可能性すらあるレベル。
そんな中でもみうらじゅんとの3人での対談の中の
「みうらじゅんが仕事仲間とナンパ目的で沖縄に行ったらナンパ未経験過ぎて何一つうまくいかなかった」
というエピソードの一つ一つには大爆笑の嵐が起こるというのはさすがだし、みうらじゅんのトークスキルはいつの時代でも最大限に有効であるということを示している。
映像の最後にはミネタとイノマーによる弾き語り(最後に訪ねた静岡の女性の家のベランダで録音されたもの)が流れるのだが、銀杏BOYZの「なんとなく僕らは大人になるんだ」のミネタによる弾き語りを聴いていたら、もうこのDVDの発売、つまりはこうしてミネタとイノマーがバカみたいなことをやりまくっていた頃から12年も経っていることに気づいて、当時は学生だった自分が完全に大人になってしまったことに気付かされた。このDVDに出ていた女性たちももうみんな30代から40代になっている。みんな、どこで何をしているのだろうか。今でも銀杏BOYZの音楽を聴いたり、ライブに行ったりしているのだろうか。荒い歌唱とギターによる「なんとなく僕らは大人になるんだ」はそんなことを感じさせ、思わず感傷的な気持ちになってしまった。全然知らない人たちだけど、きっと同じようにGOING STEADYや銀杏BOYZに人生を救われた人たちだから、幸せになっていて欲しいな。
映像が終わると再び2人がステージに登場し、映像などへの質疑応答タイム。ミネタが質問がある人を募集するのだが、緊張によるものなのかなかなかみんな手を上げず、最前列にいる人に「なんかありますか?」と聞いていくことに。
「お互いの曲で好きな曲はありますか?」
という問いにはイノマーは
「「若者たち」か「NO FUTURE NO CRY」。「NO FUTURE NO CRY」は歌詞が好き」
という、銀杏BOYZのライブを普通に見にくるファンとしての視点を見せ、ミネタは
「昔、付き合ってた女の人の家に行った時に、オナニーマシーンのCDがあって。俺はその時はイノマーさんと全然知り合いじゃなかったんだけど、「恋のABC」を聴いた時に、なんてカッコいいんだ、って思った」
というエピソードを開陳。
ほかの質問としては
「クリスマスは何をする予定ですか?」
に対し、ミネタは「東京スカパラダイスオーケストラのライブにゲスト参加」、イノマーは「病院」というリアル過ぎる自虐に思わず会場も笑ってしまう。
さらに
「今までに自分が作った曲の中で1番好きな曲は?」
という問いに対してはイノマーは「ない」と即答。ミネタは
「好きな曲っていうのはないけど、ライブで主人公にする曲っていうのはある。今日は「光」を主役にして、そこに至るまでの流れをどう作るか、みたいな」
と語っていたが、ファンそれぞれに思い入れが強い曲がありすぎる銀杏BOYZなだけに、全員が納得するセトリを作るのは実に難しいと思われるが、そこにはしっかりとしたミネタの意志が込められていることを語ってくれた。
質疑応答タイムが終わると、続いてはクリスマスイベントらしく、2人から観客へのプレゼントコーナー。ジャンケンの勝者1人ずつにプレゼントを渡すというものであるが、2人ともサイン入りのアコギを選ぶという被りっぷり。イノマーはそれにサイン入りAV5本を付けたが、そのうちの1本はミネタが先にもらったらしく、4本に。
ちなみにミネタのギターは10年以上使っていた、ミネタが大ファンであるグラビアアイドルの杏さゆりのシールが貼られており、イノマーもそのギターのことをよく覚えているという。
ジャンケン大会はともに女性が勝利してギターをゲットすると、ステージにはおもむろに譜面台が置かれ、ミネタの新しいアコギとイノマーのベースも持ち込まれると、ミネタがボーカル&アコギ、イノマーが癌の手術後初となるベースの演奏で銀杏BOYZ「BABY BABY」を演奏。
出てくる時はあんなにフラフラしていたイノマーが、しっかりと立ってベースを演奏している。そこにはイノマーの「絶対このラママのステージにまた帰ってきてライブをやるんだ」という強い意志が感じられたし、ミネタも
「イノマーさん、ベース弾けるじゃん!これならすぐにまたライブできるよ!またラママで一緒にライブやろう!」
とイノマーを称えた。そのミネタの言葉と観客の拍手の温かさが、イノマーの人間性を何よりも示していた。それはこれからも長い闘病生活を続けていかなければならないイノマーにとって何よりも強い力になるはず。
そして演奏が終わると、最後のプレゼントとして、なんと観客1人1人との写真撮影タイムへ。イノマーとミネタの間に座って写真を撮るという、信じられない状態。前列から順番なので、立ち見で見ていた自分は最後の方の順番だったのだが、近くなるにつれてどんどん緊張が増してきて、「え?本当にミネタさんと一緒に写真撮るの?」という心境になってきた。
しかも自分が椅子に座ろうとした寸前にイノマーが咳き込んでしまうという心配な瞬間もあったのだが、本当に2人の間に座って写真を撮ってしまった。
決してこうやって一緒に写真を撮ったり、話したりすることを求めていたわけじゃない。ただただミネタの作る音楽を聴いて、ライブを見ていたかった、それだけ。なのになぜか写真を撮る順番が来る直前になったらいろんなものが込み上げてきた。出会って17年くらい経って、こんな日が来るとは。
写真を撮った時に2人に
「STREET ROCK FILEも、オフステも、今でも全部大事にとってあります」
と言ったら、ミネタは
「オフステ!(笑)2号しか出ないで廃刊になったやつ(笑)懐かしいなぁ。またやりたいね」
と言ってくれた。自分でもう100人以上は対応していただろうに、ミネタはずっと笑顔でファンに対応していたし、自分のちょっと前の順番だった子連れの方の子供をめちゃくちゃ可愛がっていた。その姿や対応からは、ミネタの本質的な人間としての優しさを感じたし、なぜ我々がミネタの作る音楽に心を動かされ、人生すらも救われた感覚になったのか、という答えがあるような感じがした。ただ良い曲であっただけじゃなくて、そこから滲み出る人間らしさ。それこそがGOING STEADYの、銀杏BOYZの魅力そのものだった。あまりに緊張し過ぎて握手してもらうのを忘れてしまったのだけど、それはまたいつか、生きてるうちにこうやって会える日が来る時のためにとっておこうと思う。
途中で上映会になった時は「これだけで終わったらちょっとさすがにキツいな…」と思ってしまった。でも終わった時にはいつものライブとはまた違う充実感が芽生えていた。
銀杏BOYZがHEY! HEY! HEY!に出た時にダウンタウンを「好き過ぎて会いたくない存在」と言っていたのだが、自分にとっては峯田和伸が間違いなくそういう存在だったので、GOING STEADYに出会ってから17年、こういう機会が来るのが怖かったところがあった。緊張し過ぎて何も喋れないだろうし、どれだけ自分があなたの作ってきた音楽に救われてきたか、ということを伝えたくても絶対に伝えられないし、後悔するだけなんじゃないかと。でもやっぱり写真を一緒に撮れて嬉しかったし、狂ったようにGOING STEADYばかり聴いていた高校生の頃の自分にこの写真を見せてやりたくなった。GOING STEADYが解散したり、なかなかライブが見れなかったり、銀杏BOYZのメンバーはみんないなくなったりとツラいこともたくさん待ち構えているけれど、それでもずっとこの人のことを信じて追い続けていればこういう瞬間が来るから、って。
そして何よりも、NHKの朝ドラに出演したり、石原さとみの相手役としてドラマのみならず情報番組にも出まくるようになって、もうミネタはイノマーとかとこうして絡んだりすることはないんじゃないかと思っていた。関わったり、一緒に何かやることに意味はないんじゃないかと。
いや、確かに意味はないのかもしれない。ただただ「この人が好きで、一緒にいるのが楽しいから」というそれだけなのかもしれない。でも芸能界という損得感情が先行してしまうようなイメージがある場所に片足どころか全身が浸かっているようにも見えるミネタは、そうした打算や計算で一切生きていない。それは昔から何も変わっていないし、イノマーとの関係性も同じなのだ。それが確かに感じることができたのが、かつて「ふたりごと」を始めとした2人のバカ話を読み耽っていた身として本当に嬉しかった。
イノマーは昔「ふたりごと」内で
「オイラが死んだら秘蔵AVコレクションを全部ミネタ君にあげるからね」
と言い、ミネタに
「早く死んでくださいよ(笑)」
と返されていたが、まだまだAVはあげられないよな。
Next→ 12/28〜31 COUNTDOWN JAPAN 18/19 @幕張メッセ
GOING STEADYから銀杏BOYZにバンドが変わってもそれは続いているのだが、今回は相方であるオナニーマシーンのイノマーが癌闘病中ということで、対バンライブではなくてトークライブという形に。
会場の渋谷ラママには椅子が置かれており、整理番号の早い人は椅子に座れ、遅い人はその後ろで立ち見。ステージには殴り書きというか落書きみたいなクリスマスツリーの絵が描かれた幕がかかっており、ステージにも椅子が置かれている。
19時になるとまずはライターのフジシュンが司会進行役としてステージに登場して、2人を呼び込むと、サンタ姿の2人がステージに現れるのだが、癌の手術を終えたばかりのイノマーは杖をついてステージに現れ、
「やはり歩くのすらギリギリなのか…」
と客席には悲壮感のようなものも漂うが、ミネタとフジシュンから
「楽屋では普通だったじゃん!」
と突っ込まれる。
とはいえやはりイノマーは元から痩せていたのがさらに痩せているように感じられたし、井の頭線に乗ってこの会場に来るのもかなりキツかった模様。
何よりもイノマーの椅子の前にパソコンが置いてあったのは何故だろうか?と思っていたのだが、喉頭底癌という症状だったことによって、イノマーは舌を切除しており、喋ることができない状態であった。なのでもともとはオリコンの編集長であり、STREET ROCK FILEという青春パンクを主体にした雑誌の発行人としてGOING STEADYをずっとプッシュし続けてきた存在でもあるので、パソコンによる筆談というスタイルもお手の物なはずなのだが、ビックリするくらいに変換ミスや誤字を連発し、
「あなた本職それでしょ!?」
とまたしても突っ込まれる。
とはいえこうして喋れない状態ではトークライブどころではないのでは?ということで、かつて2人がSTREET ROCK FILEで連載していた「真夜中のふたりごと」のDVDの上映会に。
このDVDは普段の2人の雑談というかほぼ下ネタ的な与太話の出張編として、2人にお宅訪問されたい女性を募集し、その人の家に押しかけるという企画なのだが(DVDを所有しているのですでに見たことはあるが、もう10年以上前の話)、2人ともに
「今では絶対できないどころか、オンエアすることすらできない」
というくらいにヒドイ内容なため、SNSに内容を公開するのを止められるレベル。NHKのドラマにも出るようになった今の状態のミネタがこんなことをしたら大問題になるだろうし、GOING STEADYのラストライブがこのイベントだったことによって
「GOING STEADYを解散させた張本人」
として叩かれまくっていたイノマーは今なら当時とは比べ物にならないくらいに叩かれていただろうし、なんなら逮捕されてしまう可能性すらあるレベル。
そんな中でもみうらじゅんとの3人での対談の中の
「みうらじゅんが仕事仲間とナンパ目的で沖縄に行ったらナンパ未経験過ぎて何一つうまくいかなかった」
というエピソードの一つ一つには大爆笑の嵐が起こるというのはさすがだし、みうらじゅんのトークスキルはいつの時代でも最大限に有効であるということを示している。
映像の最後にはミネタとイノマーによる弾き語り(最後に訪ねた静岡の女性の家のベランダで録音されたもの)が流れるのだが、銀杏BOYZの「なんとなく僕らは大人になるんだ」のミネタによる弾き語りを聴いていたら、もうこのDVDの発売、つまりはこうしてミネタとイノマーがバカみたいなことをやりまくっていた頃から12年も経っていることに気づいて、当時は学生だった自分が完全に大人になってしまったことに気付かされた。このDVDに出ていた女性たちももうみんな30代から40代になっている。みんな、どこで何をしているのだろうか。今でも銀杏BOYZの音楽を聴いたり、ライブに行ったりしているのだろうか。荒い歌唱とギターによる「なんとなく僕らは大人になるんだ」はそんなことを感じさせ、思わず感傷的な気持ちになってしまった。全然知らない人たちだけど、きっと同じようにGOING STEADYや銀杏BOYZに人生を救われた人たちだから、幸せになっていて欲しいな。
映像が終わると再び2人がステージに登場し、映像などへの質疑応答タイム。ミネタが質問がある人を募集するのだが、緊張によるものなのかなかなかみんな手を上げず、最前列にいる人に「なんかありますか?」と聞いていくことに。
「お互いの曲で好きな曲はありますか?」
という問いにはイノマーは
「「若者たち」か「NO FUTURE NO CRY」。「NO FUTURE NO CRY」は歌詞が好き」
という、銀杏BOYZのライブを普通に見にくるファンとしての視点を見せ、ミネタは
「昔、付き合ってた女の人の家に行った時に、オナニーマシーンのCDがあって。俺はその時はイノマーさんと全然知り合いじゃなかったんだけど、「恋のABC」を聴いた時に、なんてカッコいいんだ、って思った」
というエピソードを開陳。
ほかの質問としては
「クリスマスは何をする予定ですか?」
に対し、ミネタは「東京スカパラダイスオーケストラのライブにゲスト参加」、イノマーは「病院」というリアル過ぎる自虐に思わず会場も笑ってしまう。
さらに
「今までに自分が作った曲の中で1番好きな曲は?」
という問いに対してはイノマーは「ない」と即答。ミネタは
「好きな曲っていうのはないけど、ライブで主人公にする曲っていうのはある。今日は「光」を主役にして、そこに至るまでの流れをどう作るか、みたいな」
と語っていたが、ファンそれぞれに思い入れが強い曲がありすぎる銀杏BOYZなだけに、全員が納得するセトリを作るのは実に難しいと思われるが、そこにはしっかりとしたミネタの意志が込められていることを語ってくれた。
質疑応答タイムが終わると、続いてはクリスマスイベントらしく、2人から観客へのプレゼントコーナー。ジャンケンの勝者1人ずつにプレゼントを渡すというものであるが、2人ともサイン入りのアコギを選ぶという被りっぷり。イノマーはそれにサイン入りAV5本を付けたが、そのうちの1本はミネタが先にもらったらしく、4本に。
ちなみにミネタのギターは10年以上使っていた、ミネタが大ファンであるグラビアアイドルの杏さゆりのシールが貼られており、イノマーもそのギターのことをよく覚えているという。
ジャンケン大会はともに女性が勝利してギターをゲットすると、ステージにはおもむろに譜面台が置かれ、ミネタの新しいアコギとイノマーのベースも持ち込まれると、ミネタがボーカル&アコギ、イノマーが癌の手術後初となるベースの演奏で銀杏BOYZ「BABY BABY」を演奏。
出てくる時はあんなにフラフラしていたイノマーが、しっかりと立ってベースを演奏している。そこにはイノマーの「絶対このラママのステージにまた帰ってきてライブをやるんだ」という強い意志が感じられたし、ミネタも
「イノマーさん、ベース弾けるじゃん!これならすぐにまたライブできるよ!またラママで一緒にライブやろう!」
とイノマーを称えた。そのミネタの言葉と観客の拍手の温かさが、イノマーの人間性を何よりも示していた。それはこれからも長い闘病生活を続けていかなければならないイノマーにとって何よりも強い力になるはず。
そして演奏が終わると、最後のプレゼントとして、なんと観客1人1人との写真撮影タイムへ。イノマーとミネタの間に座って写真を撮るという、信じられない状態。前列から順番なので、立ち見で見ていた自分は最後の方の順番だったのだが、近くなるにつれてどんどん緊張が増してきて、「え?本当にミネタさんと一緒に写真撮るの?」という心境になってきた。
しかも自分が椅子に座ろうとした寸前にイノマーが咳き込んでしまうという心配な瞬間もあったのだが、本当に2人の間に座って写真を撮ってしまった。
決してこうやって一緒に写真を撮ったり、話したりすることを求めていたわけじゃない。ただただミネタの作る音楽を聴いて、ライブを見ていたかった、それだけ。なのになぜか写真を撮る順番が来る直前になったらいろんなものが込み上げてきた。出会って17年くらい経って、こんな日が来るとは。
写真を撮った時に2人に
「STREET ROCK FILEも、オフステも、今でも全部大事にとってあります」
と言ったら、ミネタは
「オフステ!(笑)2号しか出ないで廃刊になったやつ(笑)懐かしいなぁ。またやりたいね」
と言ってくれた。自分でもう100人以上は対応していただろうに、ミネタはずっと笑顔でファンに対応していたし、自分のちょっと前の順番だった子連れの方の子供をめちゃくちゃ可愛がっていた。その姿や対応からは、ミネタの本質的な人間としての優しさを感じたし、なぜ我々がミネタの作る音楽に心を動かされ、人生すらも救われた感覚になったのか、という答えがあるような感じがした。ただ良い曲であっただけじゃなくて、そこから滲み出る人間らしさ。それこそがGOING STEADYの、銀杏BOYZの魅力そのものだった。あまりに緊張し過ぎて握手してもらうのを忘れてしまったのだけど、それはまたいつか、生きてるうちにこうやって会える日が来る時のためにとっておこうと思う。
途中で上映会になった時は「これだけで終わったらちょっとさすがにキツいな…」と思ってしまった。でも終わった時にはいつものライブとはまた違う充実感が芽生えていた。
銀杏BOYZがHEY! HEY! HEY!に出た時にダウンタウンを「好き過ぎて会いたくない存在」と言っていたのだが、自分にとっては峯田和伸が間違いなくそういう存在だったので、GOING STEADYに出会ってから17年、こういう機会が来るのが怖かったところがあった。緊張し過ぎて何も喋れないだろうし、どれだけ自分があなたの作ってきた音楽に救われてきたか、ということを伝えたくても絶対に伝えられないし、後悔するだけなんじゃないかと。でもやっぱり写真を一緒に撮れて嬉しかったし、狂ったようにGOING STEADYばかり聴いていた高校生の頃の自分にこの写真を見せてやりたくなった。GOING STEADYが解散したり、なかなかライブが見れなかったり、銀杏BOYZのメンバーはみんないなくなったりとツラいこともたくさん待ち構えているけれど、それでもずっとこの人のことを信じて追い続けていればこういう瞬間が来るから、って。
そして何よりも、NHKの朝ドラに出演したり、石原さとみの相手役としてドラマのみならず情報番組にも出まくるようになって、もうミネタはイノマーとかとこうして絡んだりすることはないんじゃないかと思っていた。関わったり、一緒に何かやることに意味はないんじゃないかと。
いや、確かに意味はないのかもしれない。ただただ「この人が好きで、一緒にいるのが楽しいから」というそれだけなのかもしれない。でも芸能界という損得感情が先行してしまうようなイメージがある場所に片足どころか全身が浸かっているようにも見えるミネタは、そうした打算や計算で一切生きていない。それは昔から何も変わっていないし、イノマーとの関係性も同じなのだ。それが確かに感じることができたのが、かつて「ふたりごと」を始めとした2人のバカ話を読み耽っていた身として本当に嬉しかった。
イノマーは昔「ふたりごと」内で
「オイラが死んだら秘蔵AVコレクションを全部ミネタ君にあげるからね」
と言い、ミネタに
「早く死んでくださいよ(笑)」
と返されていたが、まだまだAVはあげられないよな。
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