いつまでも笑ってほしい もう2度と叶わない?
- 2018/11/23
- 12:17
近年、バンドマンやミュージシャンがワイドショーやネットニュースなどを賑わすことが多い。それは芸能人となんやかんや男女のもつれやら何かと入り混じった複雑な関係になっているからということで取り上げられてしまうのだが、女性芸能人とお付き合いできるようになれるとは、バンドマンも夢を持たせてくれるな〜とも思うし、ある意味では浅はかだな〜とも思う。
そうして取り上げられたり炎上したりするのは、バンドマンも相手の方も芸能というか、メディアや人前に出るような人であるからで、川谷絵音も相手がベッキーじゃない一般の方ならあんなに炎上したり(名前が広がったり)しないだろうし、KANA-BOONのめしだも相手が清水富美加じゃない一般の方ならメンバーがわざわざステージ上でファンに頭を下げて自分たちの音楽への気持ちを表明したりすることもなかっただろう。
先日、かねてから謹慎状態であった、RIP SLYMEのSUと大塚愛の離婚が報じられた。RIP SLYMEは公式ホームページまで閉鎖され、メンバーすらもグループがどうなるのかわからないという泥沼の中にいるかのような状態になってしまっているが、今回の本題は、ある意味ではその両者の離婚のきっかけになってしまった、モデルの江夏詩織についてである。
なぜ江夏詩織を取り上げるかというと、彼女はモデルでありながら、lovefilmというバンドのボーカリストであり、そのlovefilmはthe telephones活動休止後の石毛輝がノブとともに始動した、2人の新しい音楽人生のスタートの場所と言っていいバンドだったからだ。
2000年代後半から2010年代中盤までの、フェスを中心としたロックシーンの牽引者であり、ダンスロックというサウンドを日本のロックのど真ん中に浸透させた偉大なバンド、the telephones。そんなバンドを活動休止させてまで、石毛がやりたかったことはなんなのか。
それはthe telephonesとは全く違う、ギターロック。the telephonesでは狂騒的なシンセを鳴らしていたノブはlovefilmでは安定感のあるベーシストに転向(ノブは石毛輝のソロにはギタリストとして参加しており、実はマルチプレイヤーである)し、石毛もまた自身がメインボーカルではなく、あくまで「ギタリストでありもう1人のボーカル」という立ち位置で、the telephonesの代名詞でもあったハイトーンボイスを封印し、地声と言ってもいいキーで低い方の歌声を担うことを選んだ。
そうした自身の役割や立ち位置の変化は、石毛自身が
「インスタでピアノを弾きながら歌ってるのを見て、ビビビっと来てすぐコンタクトを取った」
というくらいにボーカリストとしての可能性を感じさせた、江夏の歌声を真ん中にした、男女ツインボーカルのバンドをやりたいと思っていたからだ。
まだ誰も曲を聴いたことがないどころか、バンド名も発表されていない状態だった、2016年3月14日、lovefilmは初ライブを行った。石毛の師匠と言っていい存在であるナカコーがKoji Nakamura名義でゲスト出演し、
「石毛、ノブ、再デビューおめでとう」
と言うと、自身がおよそ20年前にlovefilmと同じく「男女ツインボーカルのギターロックバンド」としてデビューした曲であるSUPERCARの「cream soda」をおそらくバンド解散以降初めて演奏して、弟子というよりももはや年の離れた仲間というような2人の新たな門出を祝した。
そして誰もが初めて聴いたlovefilmの音楽は、本当に瑞々しかった。ここからまた新しい物語が始まるということを予感させるには充分すぎるくらいに。何よりもthe telephonesの時はしっかり伝わっていなかった、石毛輝のメロディメーカーとしての才能に改めて驚かされた。自分はthe telephonesが正当な評価を受けていたとは思えなかったし、フェスで見れればいい、と思われていたことが悔しくて仕方がなかった。でも、このバンドのこの音楽なら、そうしてthe telephonesをスルーしていた人たちにも届くはずだ、と思うくらいに大きな可能性を感じていた。
そこで大事になるのが江夏のボーカリストとしての成長である。百戦錬磨と言っていい石毛とノブが両サイドにいて、真ん中にはバンド未経験の女性ボーカル。石毛の美学としてただ単に「ビジュアルがいい女性を選んだ」ということは絶対にしないし、そこは自身の声と重なった時の化学反応が起こる存在として彼女の声を選んだのは明白であり、実際に「Alien」などの曲でそれは実を結んでいることをしっかりと示している。
その化学反応は江夏がボーカリストとして成長するにつれてさらに高い次元で発揮されていくことになるだろうし、実際にlovefilmがどんなバンドになっていくかというのは彼女がどういうボーカリストになっていくか、ということとイコールであった。石毛としてもそうした部分への挑戦や実験という側面もあったと思う。
初ライブの時は緊張を隠しきれていなかった江夏はライブを重ね、結成直後からフェスの大きなステージに立つことで、少しずつボーカリストらしくなっていった。とりわけ彼女の出身地であるひたちなか市でのROCK IN JAPAN FES.のステージに立った時はその無垢な歌声がさらに嬉しそうだったし、「MONSTER BASHで食べたうどんが本当に美味しかった」と、日本各地を旅しながら音楽を奏でていくバンドマンという生き方に彼女は確かな喜びや生き甲斐を見出したように感じていた。
しかし、エレクトロな要素を強め、lovefilmとして向かう音楽がさらに明確化してきた2017年のシングル「Haruka」のリリース後、例の騒動が表沙汰になり、RIP SLYMEはSU以外の4人でライブを行うようになり、当然そんな中で江夏が1人だけ平気な顔で活動できるわけもなく、バンドは公式発表なしの活動休止状態に突入し、石毛輝はさらなる新バンド、Yap!!!を結成して、lovefilmとはまた違う形でバンドマンとしてまた1からスタートすることを選択した。
SUと大塚愛の離婚発表後、大塚愛の最新曲の生々しい歌詞が取り上げられたり、江夏のSNSのアカウントには誹謗の嵐が向けられている。それに関してはどうしようもない。もうリセットすることも、取り戻すこともできないのだから。
ただ、どんなにそうした不倫であったり、大塚愛の歌詞に書かれたことが事実であったとしても、自分が江夏の歌声から感じた可能性や、lovefilmの音楽の素晴らしさやきらめきは一生消えることはない。曲や音楽には罪はないし、それはそのまま、無垢な歌声のままで残っていく。
もしかしたらもう彼女はステージに戻ってこれないかもしれないし、lovefilmというバンドのライブを見ることはできないかもしれない。それを許すことができない人がたくさんいることだってわかっている。でも自分が石毛輝というアーティストのことをさらに好きになったlovefilmのライブをいつかまた見てみたいし、
「2000光年先から君に会いにきたよ」
と、あの無垢な、一切の曇りのない伸びやかな声でまた歌って欲しいのだ。
Kiss
https://youtu.be/YsopBGIO2Bg
Next→ 11/23 The Mirraz @club sonic mito
そうして取り上げられたり炎上したりするのは、バンドマンも相手の方も芸能というか、メディアや人前に出るような人であるからで、川谷絵音も相手がベッキーじゃない一般の方ならあんなに炎上したり(名前が広がったり)しないだろうし、KANA-BOONのめしだも相手が清水富美加じゃない一般の方ならメンバーがわざわざステージ上でファンに頭を下げて自分たちの音楽への気持ちを表明したりすることもなかっただろう。
先日、かねてから謹慎状態であった、RIP SLYMEのSUと大塚愛の離婚が報じられた。RIP SLYMEは公式ホームページまで閉鎖され、メンバーすらもグループがどうなるのかわからないという泥沼の中にいるかのような状態になってしまっているが、今回の本題は、ある意味ではその両者の離婚のきっかけになってしまった、モデルの江夏詩織についてである。
なぜ江夏詩織を取り上げるかというと、彼女はモデルでありながら、lovefilmというバンドのボーカリストであり、そのlovefilmはthe telephones活動休止後の石毛輝がノブとともに始動した、2人の新しい音楽人生のスタートの場所と言っていいバンドだったからだ。
2000年代後半から2010年代中盤までの、フェスを中心としたロックシーンの牽引者であり、ダンスロックというサウンドを日本のロックのど真ん中に浸透させた偉大なバンド、the telephones。そんなバンドを活動休止させてまで、石毛がやりたかったことはなんなのか。
それはthe telephonesとは全く違う、ギターロック。the telephonesでは狂騒的なシンセを鳴らしていたノブはlovefilmでは安定感のあるベーシストに転向(ノブは石毛輝のソロにはギタリストとして参加しており、実はマルチプレイヤーである)し、石毛もまた自身がメインボーカルではなく、あくまで「ギタリストでありもう1人のボーカル」という立ち位置で、the telephonesの代名詞でもあったハイトーンボイスを封印し、地声と言ってもいいキーで低い方の歌声を担うことを選んだ。
そうした自身の役割や立ち位置の変化は、石毛自身が
「インスタでピアノを弾きながら歌ってるのを見て、ビビビっと来てすぐコンタクトを取った」
というくらいにボーカリストとしての可能性を感じさせた、江夏の歌声を真ん中にした、男女ツインボーカルのバンドをやりたいと思っていたからだ。
まだ誰も曲を聴いたことがないどころか、バンド名も発表されていない状態だった、2016年3月14日、lovefilmは初ライブを行った。石毛の師匠と言っていい存在であるナカコーがKoji Nakamura名義でゲスト出演し、
「石毛、ノブ、再デビューおめでとう」
と言うと、自身がおよそ20年前にlovefilmと同じく「男女ツインボーカルのギターロックバンド」としてデビューした曲であるSUPERCARの「cream soda」をおそらくバンド解散以降初めて演奏して、弟子というよりももはや年の離れた仲間というような2人の新たな門出を祝した。
そして誰もが初めて聴いたlovefilmの音楽は、本当に瑞々しかった。ここからまた新しい物語が始まるということを予感させるには充分すぎるくらいに。何よりもthe telephonesの時はしっかり伝わっていなかった、石毛輝のメロディメーカーとしての才能に改めて驚かされた。自分はthe telephonesが正当な評価を受けていたとは思えなかったし、フェスで見れればいい、と思われていたことが悔しくて仕方がなかった。でも、このバンドのこの音楽なら、そうしてthe telephonesをスルーしていた人たちにも届くはずだ、と思うくらいに大きな可能性を感じていた。
そこで大事になるのが江夏のボーカリストとしての成長である。百戦錬磨と言っていい石毛とノブが両サイドにいて、真ん中にはバンド未経験の女性ボーカル。石毛の美学としてただ単に「ビジュアルがいい女性を選んだ」ということは絶対にしないし、そこは自身の声と重なった時の化学反応が起こる存在として彼女の声を選んだのは明白であり、実際に「Alien」などの曲でそれは実を結んでいることをしっかりと示している。
その化学反応は江夏がボーカリストとして成長するにつれてさらに高い次元で発揮されていくことになるだろうし、実際にlovefilmがどんなバンドになっていくかというのは彼女がどういうボーカリストになっていくか、ということとイコールであった。石毛としてもそうした部分への挑戦や実験という側面もあったと思う。
初ライブの時は緊張を隠しきれていなかった江夏はライブを重ね、結成直後からフェスの大きなステージに立つことで、少しずつボーカリストらしくなっていった。とりわけ彼女の出身地であるひたちなか市でのROCK IN JAPAN FES.のステージに立った時はその無垢な歌声がさらに嬉しそうだったし、「MONSTER BASHで食べたうどんが本当に美味しかった」と、日本各地を旅しながら音楽を奏でていくバンドマンという生き方に彼女は確かな喜びや生き甲斐を見出したように感じていた。
しかし、エレクトロな要素を強め、lovefilmとして向かう音楽がさらに明確化してきた2017年のシングル「Haruka」のリリース後、例の騒動が表沙汰になり、RIP SLYMEはSU以外の4人でライブを行うようになり、当然そんな中で江夏が1人だけ平気な顔で活動できるわけもなく、バンドは公式発表なしの活動休止状態に突入し、石毛輝はさらなる新バンド、Yap!!!を結成して、lovefilmとはまた違う形でバンドマンとしてまた1からスタートすることを選択した。
SUと大塚愛の離婚発表後、大塚愛の最新曲の生々しい歌詞が取り上げられたり、江夏のSNSのアカウントには誹謗の嵐が向けられている。それに関してはどうしようもない。もうリセットすることも、取り戻すこともできないのだから。
ただ、どんなにそうした不倫であったり、大塚愛の歌詞に書かれたことが事実であったとしても、自分が江夏の歌声から感じた可能性や、lovefilmの音楽の素晴らしさやきらめきは一生消えることはない。曲や音楽には罪はないし、それはそのまま、無垢な歌声のままで残っていく。
もしかしたらもう彼女はステージに戻ってこれないかもしれないし、lovefilmというバンドのライブを見ることはできないかもしれない。それを許すことができない人がたくさんいることだってわかっている。でも自分が石毛輝というアーティストのことをさらに好きになったlovefilmのライブをいつかまた見てみたいし、
「2000光年先から君に会いにきたよ」
と、あの無垢な、一切の曇りのない伸びやかな声でまた歌って欲しいのだ。
Kiss
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