KANA-BOON KANA-BOONのGO! GO! 5周年! シーズン4 ワンマンツアー「Let's go 55 ONE-MAAN!!」 @Zepp Tokyo 10/4
- 2018/10/04
- 23:34
前日に続き、KANA-BOONの全都道府県55公演ツアー、Zepp Tokyo2daysの2日目。前日のライブが実に良かったし、その中で鮪が「セトリ変わります」と言っていたので、この日も当日券を買って急遽参加。
しかしながらやはり開演前に周りを見ると、恵比寿リキッドルームとかですらようやく満員なんじゃないか、と思うくらいにスカスカ。前日も6割くらいの埋まり具合かな?と思っていたが、それよりもさらに少なく感じる。かつてはこの規模ではチケットが取れないくらいだったし、今でもフェスではメインステージを満員にしているこのバンドがこうした状況になった個人的な考察は後ほど。
かつてないほどに長いツアーなだけに全体の流れ自体は初日のレポ(http://rocknrollisnotdead.jp/blog-entry-548.html?sp)も見ていただきたいし、今回は前日と変わった部分や印象的だった部分に絞って触れていきたい。
郷ひろみのSEで1人ずつ登場し、「1.2. step to you」でスタートするというのも前日通り。メンバーの衣装も特に変わりなく、何より鮪の声は2daysの2日目とは思えないくらいに冒頭から伸びやかだ。前日は少し感じられた緊張も全然感じられない。
しかし前日も参加しているがゆえの焦点は、かつてスペシャの特番でのファンとの対話会みたいな企画で
「ツアー中にセトリをちょっとでもいいから変えて欲しい」
と言われるくらいにツアー中にセトリが変わらなかったこのバンドが、前日に鮪が「セトリ変わります」と言った上でどれくらい変えてくるのか、というところである。
(ちなみにそのファンの意見に対して古賀は
「俺たちは常にその時に1番良いと思うセトリで挑んでる」
とかなり熱めに答えていた)
で実際はどうだったかというと、2曲目が前日の「タイムアウト」から「机上、綴る、思想」に早くも変わっていて、「言っても1曲どこかが変わればいいんじゃないか」と思っていた自分の予想は早くも良い意味で裏切られる。もちろん同じようなタイプの曲と入れ替えているだけに流れ自体が大きく変わるようなことはないが、この位置から変えてくるということが2日連続で来て良かったんじゃないか、と期待を高まらせていく。
最初のMCでは鮪が
「昨日ライブ終わって寝たら変な夢を見て。今日ステージに出てきたら、最前にいるお客さんがみんな古賀(笑)もちろん古賀も古賀(笑)飯田は飯田だったけど、こいちゃんも古賀やった(笑)悪夢やった(笑)」
と早くも古賀いじりをして笑わせると、前日は「クラクション」「talking」という鮪のボーカルと、ソロ回しも入れてバンドの演奏力の進化を示していたパートが「LOL」「ロックンロールスター」というカップリング曲2曲にガラッと入れ替わっている。
これは間違いなく5周年を迎えた今年に2枚のカップリング集をリリースしているからこその選曲だと思われるが、こうしてライブで聴くとシングル曲やアルバム曲に負けず劣らず良い曲であり、常にシングルにタイトル曲含めて3曲を収録してきたKANA-BOONがカップリングにも全く手を抜くことなく向き合ってきたことがよくわかる。こうした曲を「シングルを毎作買っているファンだけが知っている隠れた名曲」的な位置にしておくのは実にもったいないと思うだけに、カップリング集のリリースは非常に理にかなっているし、シングルのタイトル曲しか聴いたことがないという人たちにも是非手にとって聴いてもらいたいと思う。
今度は飯田が
「今日は朝からツイてなくて。普通に家のとこに停めてた自転車を撤去されてるし、バスは乗り遅れるし、コーヒーは全部こぼすし。
蕎麦を食べに行ったら先に呼ばれたやつが、肉うどんと豚丼を頼んでて。肉ばっかりで頭悪そうな頼み方してるやついるな、と思ったら鮪だった(笑)」
と鮪いじりで笑いを巻き起こすと、オリエンタルなサウンドの「アスター」から聴かせるタイプに入るような曲たちで中盤の空気を変えていく。ひたすらにアッパーなビートに合わせて踊らせていくのも楽しいが、こうした曲たちからはKANA-BOONの持つメロディの良さが過不足なくしっかりと伝わってくる。
それをこの日最も感じさせたのは前日には「スノーグローブ」を演奏していた位置で変わって演奏された「かけぬけて」。古賀のクリアなギターサウンドの上を、
「立ち向かえ、立ち向かえ
立ち向かってゆけ
勇気もある覚悟もある
あとは君だけ」
と、これからもこのバンドで生きていくという意志が強く固まった今だからこそより一層響くフレーズが乗る。まさに音楽シーンを駆け抜けてきたバンドの5年間。きっと、これからもスピードを落とすことなくこのバンドはこの先の長い人生を駆け抜けていく。
最近ルンバを買ったという古賀は「人をダメにするクッション」を2個所有しており、頭と足をV字型にクッションに乗せている、というダメっぷりを自身のインスタに載せることを約束すると、なんと小泉もすでにそのクッションを1つ持っており(破れているらしいが)、もう1つ購入したので、古賀と2人でV字型に寝れるという謎のグルーヴが発生。
鮪は
「4人中2人がダメ人間なバンドはアカンやろ!」
とクッションからの自立を2人に促していたが。
アウトロとイントロが繋がる「Fighter」「ワールド」という流れからは怒涛の後半戦に突入。「盛者必衰の理、お断り」では鮪が歌詞を飛ばすという場面もあったが、声の伸びは初日の千葉LOOKが鮪の声の不調で完遂しながらも振替開催となったのが嘘のように素晴らしく、やはり前日同様に鮪は本当に歌が上手いボーカリストである、と思うし、「フルドライブ」では観客の合唱も鮪に負けないくらいの大きさで響く。
この後半戦こそセトリは変わらなかったが、KANA-BOONの5年間を担ってきた曲ばかりが演奏されていることを考えるとそれも納得であるし、やはり「シルエット」はどれだけ聴いてきたとしてもこのバンドのライブに来たからには聴きたくなる。
そして鮪が前日同様に日本を悩ませる台風などの様々な天災に触れながら、ようやく自分たちの音楽でそうしたことに向き合えるようになったこと、
「きっと台風とかの天災以外にも、嫌なことや辛いことはたくさんあると思う。そういう時に、僕らが活動を続けている姿を見て、少しでも元気付けられたらいいな、って思いながら僕らはこれからもこのバンドを続けていきます」
と改めてKANA-BOONとしてこの4人がこれからもずっと生きていくことを語り、そうした天災への自身の思いや覚悟を音楽にした最新曲「夜の窓辺から」を最後に演奏。決して盛り上がるような曲ではないけれど、ただのこれまでの総括ではなく、過去を見つめた上でバンドはすでにもっと先を見ている。その思いが伝わってきたのが本当に頼もしかったし、感動的だった。
アンコールでは前日同様にメンバーがツアーTシャツを着て登場したのだが、この日は古賀がニット帽を被っている。全然被りきれていないが、それを鮪に渡すと、髪の毛の量が多い鮪もやはり被りきれず。飯田が被ると「かわいい〜」という声が飛ぶが、小泉はあまりにも普通に似合いすぎていたため、そのまま被ってアンコールを演奏することに。
観客の合唱を響かせた「ないものねだり」では鮪が古賀と向き合って2人でギターを演奏したりと、今こうしてバンドをやれていることが楽しくて仕方がないという姿を見せると、
「このバンドを好きで良かった、って思ってもらえる自信があります。だからこのバンドが寿命を迎えるまで、最期の時まで10年でも、100年でもよろしくお願いします」
と、改めてこのバンドを死ぬまで続けていくこと、自分たちの音楽とライブに心から自信を持っていることを語り、「バトンロード」を演奏した。
この日ここにいた人たちはみんな「KANA-BOONを好きで良かった」って思っているし、2日ともこうしてライブを見れて本当に良かったと心から思っている。
しかし、なぜKANA-BOONは今
「フェスの動員>ワンマンの動員=CDの売り上げ」
という図式のバンドになってしまったのか。
まずはこの2daysが平日だった、ということは、ファンの平均年齢がまだ若いこのバンドにはほとんど影響はないだろう。(9mmとかの世代になるとファンが社会人ばかりなためにダイレクトに響いてくる)
また、2daysじゃなくて1日だけならもうちょっと埋まってたかもしれないが、「5周年に55公演」という語呂合わせをしているだけに、東京を1公演だけというわけにはいかないし、逆に初日なら行ける、2日目なら行ける、という人も少なからずいたはずで、そうした人たちからしたら2daysで開催してくれたのは嬉しいことだったはず。
では「フェスだけで満足する人が多い、フェスの弊害?」かというと、自分はそうは思わない。というのもオリコン2位を獲得し、ツアーでは武道館を即完させたことによってバンドの立ち位置を決定づけた2ndアルバム「TIME」までは、KANA-BOONは
「フェスの動員=ワンマンの動員=CDの売り上げ」
という、全てがしっかり噛み合った活動をしていた。
これがthe telephonesみたいに元から
「フェスの動員>ワンマンの動員=CDの売り上げ」
という図式だったバンドだったのならフェスの弊害と思われても仕方がないが、KANA-BOONはそうしたいわゆる「フェスだけ人がたくさん集まる」というバンドだったわけではないし、今のロックシーンにおいては、ワンマンの動員やCDの売り上げが低迷すると、すぐさまフェスの動員やステージの大きさに繋がるだけに、実はKANA-BOONはなかなか前例がない稀有な位置にいるバンドなのである。
(飯田の騒動もあっただけに難しいが、それでも騒動直後のライブでの観客のリアクションを見るとそこまで影響があった感じはしない)
で、こうなってしまったのはやはり「TIME」の後の「Origin」から売り上げが右肩下がりとなり、ツアーの幕張メッセも全く売り切れないという状況になってしまったのが続いた結果である。だからといって「Origin」以降の曲や作品が良くないのか、というと全くそんなことはないというのがこうしてライブを見るとよくわかる。
ただ、「僕がCDを出したら」や「DOPPEL」の曲など、いわゆる「ないものねだり」や「シルエット」のイメージを塗り替えるようなインパクトを与えるような曲は生まれていないというのは事実。だが鮪のメロディーセンスは全く錆びついていないし、何よりもバンドの演奏と鮪の歌をひたすらに見せる、ライブの力は目に見えて強くなってきている。
一気に駆け上がるのではなく、これからは地道に一歩ずつまた進んでいく活動をしていくことになるが、バンドをずっと続けていく決意を持っているだけに、それは望むところだろうし、今こうしてこのツアーに参加している人たちは今後も決して離れることはないだろう。自分も含めて、KANA-BOONが人生の中で大事な位置にいるバンドになっているのだから。
と言いながらもこのツアーは47全都道府県を廻るが、まだこの日までは千葉と東京のみ。残りの45都道府県、52公演のツアーを終えた時にはさらに強いバンドになっているのは間違いないだけに、追加公演で春に東京でワンマンをやってくれないものだろうか。
自分は割と前から、満員のSTUDIO COASTやこのZepp、さらに武道館など、いろんなとこでKANA-BOONのツアーを見てきたが、「格付けチェック」的な企画のことは覚えていても、ライブの内容自体はそこまで覚えていない。でもこの2daysのことはずっと覚えている気がする。それくらい、今のKANA-BOONは過去最高に音楽だけで心から観客を満足させることができる、強いライブバンドになっている。それを確かに、心にインプットした。こちらこそ最期までよろしく。
1.1.2. step to you
2.机上、綴る、思想
3.ディストラクションビートミュージック
4.ウォーリーヒーロー
5.LOL
6.ロックンロールスター
7.MUSIC
8.アスター
9.結晶星
10.涙
11.かけぬけて
12.Fighter
13.ワールド
14.盛者必衰の理、お断り
15.フルドライブ
16.羽虫と自販機
17.彷徨う日々とファンファーレ
18.シルエット
19.夜の窓辺から
encore
20.ないものねだり
21.バトンロード
夜の窓辺から
https://youtu.be/UIoxbD5HgA4
Next→ 10/6 パスピエ @日比谷野外音楽堂
しかしながらやはり開演前に周りを見ると、恵比寿リキッドルームとかですらようやく満員なんじゃないか、と思うくらいにスカスカ。前日も6割くらいの埋まり具合かな?と思っていたが、それよりもさらに少なく感じる。かつてはこの規模ではチケットが取れないくらいだったし、今でもフェスではメインステージを満員にしているこのバンドがこうした状況になった個人的な考察は後ほど。
かつてないほどに長いツアーなだけに全体の流れ自体は初日のレポ(http://rocknrollisnotdead.jp/blog-entry-548.html?sp)も見ていただきたいし、今回は前日と変わった部分や印象的だった部分に絞って触れていきたい。
郷ひろみのSEで1人ずつ登場し、「1.2. step to you」でスタートするというのも前日通り。メンバーの衣装も特に変わりなく、何より鮪の声は2daysの2日目とは思えないくらいに冒頭から伸びやかだ。前日は少し感じられた緊張も全然感じられない。
しかし前日も参加しているがゆえの焦点は、かつてスペシャの特番でのファンとの対話会みたいな企画で
「ツアー中にセトリをちょっとでもいいから変えて欲しい」
と言われるくらいにツアー中にセトリが変わらなかったこのバンドが、前日に鮪が「セトリ変わります」と言った上でどれくらい変えてくるのか、というところである。
(ちなみにそのファンの意見に対して古賀は
「俺たちは常にその時に1番良いと思うセトリで挑んでる」
とかなり熱めに答えていた)
で実際はどうだったかというと、2曲目が前日の「タイムアウト」から「机上、綴る、思想」に早くも変わっていて、「言っても1曲どこかが変わればいいんじゃないか」と思っていた自分の予想は早くも良い意味で裏切られる。もちろん同じようなタイプの曲と入れ替えているだけに流れ自体が大きく変わるようなことはないが、この位置から変えてくるということが2日連続で来て良かったんじゃないか、と期待を高まらせていく。
最初のMCでは鮪が
「昨日ライブ終わって寝たら変な夢を見て。今日ステージに出てきたら、最前にいるお客さんがみんな古賀(笑)もちろん古賀も古賀(笑)飯田は飯田だったけど、こいちゃんも古賀やった(笑)悪夢やった(笑)」
と早くも古賀いじりをして笑わせると、前日は「クラクション」「talking」という鮪のボーカルと、ソロ回しも入れてバンドの演奏力の進化を示していたパートが「LOL」「ロックンロールスター」というカップリング曲2曲にガラッと入れ替わっている。
これは間違いなく5周年を迎えた今年に2枚のカップリング集をリリースしているからこその選曲だと思われるが、こうしてライブで聴くとシングル曲やアルバム曲に負けず劣らず良い曲であり、常にシングルにタイトル曲含めて3曲を収録してきたKANA-BOONがカップリングにも全く手を抜くことなく向き合ってきたことがよくわかる。こうした曲を「シングルを毎作買っているファンだけが知っている隠れた名曲」的な位置にしておくのは実にもったいないと思うだけに、カップリング集のリリースは非常に理にかなっているし、シングルのタイトル曲しか聴いたことがないという人たちにも是非手にとって聴いてもらいたいと思う。
今度は飯田が
「今日は朝からツイてなくて。普通に家のとこに停めてた自転車を撤去されてるし、バスは乗り遅れるし、コーヒーは全部こぼすし。
蕎麦を食べに行ったら先に呼ばれたやつが、肉うどんと豚丼を頼んでて。肉ばっかりで頭悪そうな頼み方してるやついるな、と思ったら鮪だった(笑)」
と鮪いじりで笑いを巻き起こすと、オリエンタルなサウンドの「アスター」から聴かせるタイプに入るような曲たちで中盤の空気を変えていく。ひたすらにアッパーなビートに合わせて踊らせていくのも楽しいが、こうした曲たちからはKANA-BOONの持つメロディの良さが過不足なくしっかりと伝わってくる。
それをこの日最も感じさせたのは前日には「スノーグローブ」を演奏していた位置で変わって演奏された「かけぬけて」。古賀のクリアなギターサウンドの上を、
「立ち向かえ、立ち向かえ
立ち向かってゆけ
勇気もある覚悟もある
あとは君だけ」
と、これからもこのバンドで生きていくという意志が強く固まった今だからこそより一層響くフレーズが乗る。まさに音楽シーンを駆け抜けてきたバンドの5年間。きっと、これからもスピードを落とすことなくこのバンドはこの先の長い人生を駆け抜けていく。
最近ルンバを買ったという古賀は「人をダメにするクッション」を2個所有しており、頭と足をV字型にクッションに乗せている、というダメっぷりを自身のインスタに載せることを約束すると、なんと小泉もすでにそのクッションを1つ持っており(破れているらしいが)、もう1つ購入したので、古賀と2人でV字型に寝れるという謎のグルーヴが発生。
鮪は
「4人中2人がダメ人間なバンドはアカンやろ!」
とクッションからの自立を2人に促していたが。
アウトロとイントロが繋がる「Fighter」「ワールド」という流れからは怒涛の後半戦に突入。「盛者必衰の理、お断り」では鮪が歌詞を飛ばすという場面もあったが、声の伸びは初日の千葉LOOKが鮪の声の不調で完遂しながらも振替開催となったのが嘘のように素晴らしく、やはり前日同様に鮪は本当に歌が上手いボーカリストである、と思うし、「フルドライブ」では観客の合唱も鮪に負けないくらいの大きさで響く。
この後半戦こそセトリは変わらなかったが、KANA-BOONの5年間を担ってきた曲ばかりが演奏されていることを考えるとそれも納得であるし、やはり「シルエット」はどれだけ聴いてきたとしてもこのバンドのライブに来たからには聴きたくなる。
そして鮪が前日同様に日本を悩ませる台風などの様々な天災に触れながら、ようやく自分たちの音楽でそうしたことに向き合えるようになったこと、
「きっと台風とかの天災以外にも、嫌なことや辛いことはたくさんあると思う。そういう時に、僕らが活動を続けている姿を見て、少しでも元気付けられたらいいな、って思いながら僕らはこれからもこのバンドを続けていきます」
と改めてKANA-BOONとしてこの4人がこれからもずっと生きていくことを語り、そうした天災への自身の思いや覚悟を音楽にした最新曲「夜の窓辺から」を最後に演奏。決して盛り上がるような曲ではないけれど、ただのこれまでの総括ではなく、過去を見つめた上でバンドはすでにもっと先を見ている。その思いが伝わってきたのが本当に頼もしかったし、感動的だった。
アンコールでは前日同様にメンバーがツアーTシャツを着て登場したのだが、この日は古賀がニット帽を被っている。全然被りきれていないが、それを鮪に渡すと、髪の毛の量が多い鮪もやはり被りきれず。飯田が被ると「かわいい〜」という声が飛ぶが、小泉はあまりにも普通に似合いすぎていたため、そのまま被ってアンコールを演奏することに。
観客の合唱を響かせた「ないものねだり」では鮪が古賀と向き合って2人でギターを演奏したりと、今こうしてバンドをやれていることが楽しくて仕方がないという姿を見せると、
「このバンドを好きで良かった、って思ってもらえる自信があります。だからこのバンドが寿命を迎えるまで、最期の時まで10年でも、100年でもよろしくお願いします」
と、改めてこのバンドを死ぬまで続けていくこと、自分たちの音楽とライブに心から自信を持っていることを語り、「バトンロード」を演奏した。
この日ここにいた人たちはみんな「KANA-BOONを好きで良かった」って思っているし、2日ともこうしてライブを見れて本当に良かったと心から思っている。
しかし、なぜKANA-BOONは今
「フェスの動員>ワンマンの動員=CDの売り上げ」
という図式のバンドになってしまったのか。
まずはこの2daysが平日だった、ということは、ファンの平均年齢がまだ若いこのバンドにはほとんど影響はないだろう。(9mmとかの世代になるとファンが社会人ばかりなためにダイレクトに響いてくる)
また、2daysじゃなくて1日だけならもうちょっと埋まってたかもしれないが、「5周年に55公演」という語呂合わせをしているだけに、東京を1公演だけというわけにはいかないし、逆に初日なら行ける、2日目なら行ける、という人も少なからずいたはずで、そうした人たちからしたら2daysで開催してくれたのは嬉しいことだったはず。
では「フェスだけで満足する人が多い、フェスの弊害?」かというと、自分はそうは思わない。というのもオリコン2位を獲得し、ツアーでは武道館を即完させたことによってバンドの立ち位置を決定づけた2ndアルバム「TIME」までは、KANA-BOONは
「フェスの動員=ワンマンの動員=CDの売り上げ」
という、全てがしっかり噛み合った活動をしていた。
これがthe telephonesみたいに元から
「フェスの動員>ワンマンの動員=CDの売り上げ」
という図式だったバンドだったのならフェスの弊害と思われても仕方がないが、KANA-BOONはそうしたいわゆる「フェスだけ人がたくさん集まる」というバンドだったわけではないし、今のロックシーンにおいては、ワンマンの動員やCDの売り上げが低迷すると、すぐさまフェスの動員やステージの大きさに繋がるだけに、実はKANA-BOONはなかなか前例がない稀有な位置にいるバンドなのである。
(飯田の騒動もあっただけに難しいが、それでも騒動直後のライブでの観客のリアクションを見るとそこまで影響があった感じはしない)
で、こうなってしまったのはやはり「TIME」の後の「Origin」から売り上げが右肩下がりとなり、ツアーの幕張メッセも全く売り切れないという状況になってしまったのが続いた結果である。だからといって「Origin」以降の曲や作品が良くないのか、というと全くそんなことはないというのがこうしてライブを見るとよくわかる。
ただ、「僕がCDを出したら」や「DOPPEL」の曲など、いわゆる「ないものねだり」や「シルエット」のイメージを塗り替えるようなインパクトを与えるような曲は生まれていないというのは事実。だが鮪のメロディーセンスは全く錆びついていないし、何よりもバンドの演奏と鮪の歌をひたすらに見せる、ライブの力は目に見えて強くなってきている。
一気に駆け上がるのではなく、これからは地道に一歩ずつまた進んでいく活動をしていくことになるが、バンドをずっと続けていく決意を持っているだけに、それは望むところだろうし、今こうしてこのツアーに参加している人たちは今後も決して離れることはないだろう。自分も含めて、KANA-BOONが人生の中で大事な位置にいるバンドになっているのだから。
と言いながらもこのツアーは47全都道府県を廻るが、まだこの日までは千葉と東京のみ。残りの45都道府県、52公演のツアーを終えた時にはさらに強いバンドになっているのは間違いないだけに、追加公演で春に東京でワンマンをやってくれないものだろうか。
自分は割と前から、満員のSTUDIO COASTやこのZepp、さらに武道館など、いろんなとこでKANA-BOONのツアーを見てきたが、「格付けチェック」的な企画のことは覚えていても、ライブの内容自体はそこまで覚えていない。でもこの2daysのことはずっと覚えている気がする。それくらい、今のKANA-BOONは過去最高に音楽だけで心から観客を満足させることができる、強いライブバンドになっている。それを確かに、心にインプットした。こちらこそ最期までよろしく。
1.1.2. step to you
2.机上、綴る、思想
3.ディストラクションビートミュージック
4.ウォーリーヒーロー
5.LOL
6.ロックンロールスター
7.MUSIC
8.アスター
9.結晶星
10.涙
11.かけぬけて
12.Fighter
13.ワールド
14.盛者必衰の理、お断り
15.フルドライブ
16.羽虫と自販機
17.彷徨う日々とファンファーレ
18.シルエット
19.夜の窓辺から
encore
20.ないものねだり
21.バトンロード
夜の窓辺から
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