SWEET LOVE SHOWER 2018 day2 @山中湖交流プラザきらら 9/1
- 2018/09/03
- 15:24
2日目。もともと雨予報であり、開場前にはかなり雨が降ったみたいだが、いざ入場してみると雨は降っておらず、そこまで暑くもなく。富士山は前日よりは見えづらいけれど。
10:25〜 go! go! vanillas [Mt.FUJI STAGE]
この日のトップバッターは、go! go! vanillas。ロッキンに続いてのトップバッターであり、2番目のステージのトップという位置の1年となってきている。
おなじみ「We Are Go!」のSEでメンバーが登場すると、
「夏を感じようぜ!」
と牧が叫んで「SUMMER BREEZE」からスタート。牧は非常に歌が上手いボーカリストであるが、ロッキンでは寝坊してギリギリに会場に着いただけに、高音部がちゃんと出ていなかったが、この日はそこも非常によく出ている。これは牧が早起きできた証拠だろう。
ハイテンションなロックンロールパーティーというフェスでの戦い方をするバンドであるが、この日は牧のボーカルだけでなく、柳沢も叫びまくり、普段はそこまで声を荒げることのないプリティすらも
「もっといけんだろー!」
と「おはようカルチャー」のコーラスを煽りまくる。
ジェットセイヤもスティックを放り投げて素手でシンバルを叩きまくり、牧は3回目の出演となったこのフェスの思い出を回想し、
牧「2年前にこのステージに出た時は土砂降りだったんだよね」
柳沢「俺その時のことすごい覚えてる!あの時はこんなに人いなかった!」
と前回は雨の影響もあってか埋まらなかったこのステージが満員になったことへの感慨を語ると、平成最後の夏に平成生まれのバンドが鳴らす「平成ペイン」から、ラストは「マジック」で山中湖をロックンロールの魔法にかけた。
自分がこのバンドのライブを初めて見たのは、KANA-BOON、キュウソネコカミ、SHISHAMOという、今となっては錚々たるバンドとともに全国を回った、このフェス同様にスペシャ主催のスペシャ列伝ツアーだった。
でもあの時はこのバンドがここまで大きな存在になるなんて全く思っていなかった。音楽マニアとしてあらゆる音楽を吸収して自分たちの地肉とし、様々なバンドたちとツアーを回って鍛え上げてきた、これまでの活動の成果。なんならもう武道館くらいまでは視野に入っていると思う。
リハ.ヒンキーディンキーパーティークルー
リハ.バイリンガール
1.SUMMER BREEZE
2.エマ
3.おはようカルチャー
4.カウンターアクション
5.平成ペイン
6.マジック
11:05〜 UNISON SQUARE GARDEN [LAKESIDE STAGE]
前回も含め、Mt.FUJI STAGEのイメージが強いUNISON SQUARE GARDEN、今年はLAKESIDEのトップバッターとして登場。
おなじみ「絵の具」のSEで挙動不審な田淵を含めたメンバー3人が登場すると、鈴木がヘッドホンを着用し、「君の瞳に恋してない」からスタートというのはロッキンと同じ。斎藤はやや声が出ていない感じがしたが、それは自分がいた位置が聞こえにくかったのだろうか。
しかしここからロッキンで見たバンドとは思えないくらいの展開を見せる。今もワンマンでクライマックスを担う「シャンデリア・ワルツ」で観客が飛び跳ねまくると、「ライドオンタイム」では開放弦で弾きまくることによって田淵がステージ上をここ最近のフェスの中ではトップクラスというくらいに暴れまくり、さらに「パンデミックサドンデス」とアッパーな曲を続けていく。
MCを一切挟まずに曲を連発するというスタイルはもはやどのフェスにおいても変わらないが、時系列的には最新の曲と言っていいのにライブでおなじみの曲にはならないし、それを夏フェスという季節が過ぎ去った後にやるのか?という「春が来てぼくら」で斎藤の美しいボーカルとメロディをしっかり聴かせると、「桜のあと (all quartet lead to the?)」という夏の終わりの春フェスコンボで、
「今 目の前の君が」
というフレーズの時に鈴木はスティックを真っ直ぐに観客に向ける。
そしてラストはやはり「シュガーソングとビターステップ」で、鈴木は上着のフードを被ろうとするも諦めてそのままドラムを叩いて終了した。
基本的にフェスに出るアーティストはみんなある程度フェスセトリというものを持っていて、ほとんど同じタームの中で変わるということはないし、それは決して悪いことではない。
でもユニゾンがここまでガラッとセトリを変えていると、ユニゾンが出るんならあのフェスに行こうかな、そうすればあそこではやらなかったけど聴きたい曲を聴けるかもしれない、というような気分にもなる。そう考えると、もっともフェスに観にいくべき存在と言えるし、それができるのは全ての曲のクオリティが高いこのバンドだからこそ。
「世界中を驚かせ続けよう」
という「シュガーソングとビターステップ」のフレーズは大げさでもなんでもない、このバンドのスタイルそのものである。
1.君の瞳に恋してない
2.シャンデリア・ワルツ
3.ライドオンタイム
4.パンデミックサドンデス
5.春が来てぼくら
6.桜のあと (all quartet lead to the?)
7.シュガーソングとビターステップ
11:55〜 ORANGE RANGE [Mt.FUJI STAGE]
昨年は初出演の洗礼でFOREST STAGEのトリを務め、溢れかえるくらいの人が集まった、ORANGE RANGE。今年はMt.FUJI STAGEだが、今回も入場規制レベルの超満員。
メンバーが登場すると、「上海ハニー」からスタートし、ボーカル陣3人の華麗なマイクリレーを見せ、老若男女全ての人が歓喜。雲に覆われているが、雨が降らないのはやはり晴れバンドのイメージが強いこのバンドのおかげだろうか。
最新作収録の地元沖縄のスポーツチームの応援歌である「Ryukyu Wind」でさらに夏感を増幅させると、
「これだけたくさんの人が一つになる瞬間を見てみたくないですか?みんなが繋がっているっていう曲です」
とRYOが言って演奏されたのはもちろん「以心電信」で超満員の観客による大合唱。もう15年も前の曲とは思えないくらいにここにいる誰もが知っていて、歌うことができる。大ブレイク時にさんざん「すぐ消える」と言われていたORANGE RANGEの楽曲は今でもじゅうぶん通用するような普遍性を宿している。
しかし単なる懐メロ大合唱的なライブではなく、しっかりと最新の姿を見せて、自分たちが前に進む姿を見せる。ミクスチャー色が強い「Hopping」、少年の性的衝動を感じさせる夏ソング「センチメンタル」と、サウンドがアッパーだからというのもあるだろうが、RYOもビックリするくらいに新作モードでも盛り上がりを見せていた。
「今は雲の向こう側にいるだろうけど、俺たちの仲間のイケナイ太陽さんもきっとこっちに来たいはずだ〜」
と言って大歓声と大合唱が起こった「イケナイ太陽」でこうして夏の野外でORANGE RANGEのライブが見れることの喜びを感じさせると、ラストのメンバー全員がドラムセットに集まって演奏して歌う姿がこのバンドのミクスチャーバンドとしての強さを見せてくれる「キリキリマイ」でダイバー続出というくらいの盛り上がり。最後にはステージ前にガンガン出てきてベースを掲げたYOHの姿は確かにこの日のライブの手ごたえの大きさを感じさせた。
ロッキンでもメインステージのGRASS STAGEが超満員になっていたし、この日もMt.FUJI STAGEが入りきらないくらいの超満員。それはやはりORANGE RANGEがただ消費されて終わるようなバンドではない普遍性を備えていたこと、2005年の大ブレイク時に出演したSUMMER SONICはもちろんCOUNTDOWN JAPANですらもアウェー感が強かったにもかかわらず、そうした舞台に出続けてきたことによって、完全にロックフェスをホームに変えてきたから。当時このバンドのことをナメた目で見ていた人たちがどれだけ見る目がなかったかというのが今のライブを見れば一発でわかる。
1.上海ハニー
2.Ryukyu Wind
3.以心電信
4.Hopping
5.センチメンタル
6.イケナイ太陽
7.キリキリマイ
12:40〜 フレデリック [LAKESIDE STAGE]
インディーズ時代からこのフェスに出演し続け、今やすっかりこのメインステージが定位置になっている、フレデリック。今年もLAKESIDE STAGEの大舞台に臨む。
オリジナルSEでメンバーが登場すると、三原健司がハンドマイクで歌う最新シングル「飄々とエモーション」で、アッパーに踊らせまくるというわけではなく、文字通り飄々と体を揺らすというスタート。それはその「飄々とエモーション」に収録されているカップリング曲「シンセンス」も同様だが、こうした大舞台でそこまで認知度がないであろうカップリング曲を普通にセトリに入れてくる攻めの姿勢は凄いし、それはこのバンドがカップリングにも自信を持っているからということに他ならない。ロッキンでは同じくカップリング曲の「まちがいさがしの国」も演奏していた。
基本的にMCはほぼ挟まず、曲と曲をつなぐようなアレンジがなされているため、フェスの短い時間でのライブとなると内容が変わらなそうなイメージを持ってしまいがちだが、冒頭よりもダンサブルにしていく「ナイトステップ」のあとに「NEON PICNIC」をつなげるように演奏するという攻めっぷり。やはり曲自体を知らないであろうリアクションの人も多かったが、かつての「作品のリード曲を連発してひたすらアッパーに踊らせまくる」という戦い方とは全く違うフェスの戦い方に転じているのがよくわかる。
「山中湖、遊ぼうぜー!」
と健司が叫んで「KITAKU BEATS」から温度を上げていく(明確に冒頭から右肩上がりにアッパーになっていくような内容になっている)と、
「インディーズの頃から出演させてもらってるこのフェスで1番取りに来ました!」
とこのフェスへの意気込みを語り、ドラムの高橋武の手数がさらに増えたように感じる「リリリピート」から、ライブではおなじみの疾走感と期待を煽るイントロのアレンジが追加された「オドループ」では健司が
「このあと先輩方がたくさん出てくるんです!負けたくないんです!」
と珍しく歌詞を飛ばしてまで叫ぶという気合いを見せ、
「あなた あなた」
のフレーズではその直後にギターソロを弾きまくる赤頭がカメラ目線であなたへアピール。やはりこの曲は今やこのフェス最大のアンセムになっているのを実感するような、踊ってない山中湖が気に入らないっぷりであった。
前日のTHE ORAL CIGARETTESもそうだが、このフレデリックも間違いなくこのフェスによって大きく変わったバンドである。初出演のFOREST STAGE、インディーズ期でまだ動員力がなかった時に、
「最後はSPACE SHOWER TVの来月のPower Push!で流れる新曲でお別れしましょう」
と言って演奏された「オドループ」の、観客の誰も知らない曲のはずなのに誰もが踊りまくっていたあの瞬間、このバンドはここまで来るだろうな、という予感を抱かせた。そしてその後もキラーチューンを連発して、見事にその予感を現実のものにしてみせた。
そこからさらに自分たちだけのスタイルを確立して進化を遂げ続けているこのバンドはこれから間違いなくこのフェスを代表するバンドになる。いや、今でもそうなっているのかもしれない。
リハ.ディスコプール
リハ.トウメイニンゲン
1.飄々とエモーション
2.シンセンス
3.ナイトステップ
4.NEON PICNIC
5.KITAKU BEATS
6.リリリピート
7.オドループ
13:15〜 フレンズ [FOREST STAGE]
このフェス初出演となる、フレンズ。すでに野音やZeppクラスでワンマンを行っているだけに、満を持しての出演である。
メンバーが賑やかに登場すると、おかもとえみとひろせひろせによる振り付け講座が始まり、そのまま「塩と砂糖」で練習した振り付けが客席中で展開される。
「俺の格好、オートバックスの店員じゃないから!(笑)」
とオレンジのツナギを着たひろせひろせが笑わせながら、
「昼だけど、夜にダンス!」
とこのバンドの名前を一躍世の中に知らしめた「夜にダンス」で関口塁と長島涼平によるリズム隊によってゆらゆらと体を揺らしていく。おかもとの歌声も実に伸びやかだ。
最新アルバム「コン・パーチ!」収録の夏曲「常夏ヴァカンス」でオシャレな空気から一気に夏の野外モードに転じると、初出演で不安が強かったというひろせは詰めかけた観客の数を見て、
「嬉し杉内!」
とコアな野球ファンにしかわからないような形で嬉しさを表現する。
「神泉系」という渋谷から微妙に外れた地名を自ら冠しているバンドであるが、おかもとのボーカリストの技量の高さとともにサポートキーボードに山本健太を加えたメンバーの演奏も熱量を増し、ひろせの先導によって手拍子やジャンプなどを起こしてどんどん楽しさも増していく「夏のSAYにしてゴメンネ」と夏の曲が続くと、
ひろせ「来年はラブシャのどこのステージに行きたい?」
おかもと「メインステージ!」
と歌詞を変えながら歌う「Love,ya!」と夏の曲を3連発するという形でラブシャ初参戦を締め、夜の都会というイメージが強いこのバンドがこうした夏の野外の景色に実によく似合う存在であるということを証明してみせた。
個人的にはthe telephonesでこのフェスでもおなじみだった涼平と、7年前にThe MirrazでこのFOREST STAGEのトリを務めたこともある塁がこの場所に戻ってこれたのが本当に嬉しいし、ひろせとおかもとが言っていたように、このバンドはもっと大きいステージにいけるんじゃないか?と思うほどに初出演にして観客をしっかり掴んでいたと思う。
1.塩と砂糖
2.夜にダンス
3.常夏ヴァカンス
4.夏のSAYにしてゴメンネ
5.Love,ya!
14:15〜 NICO Touches the Walls [LAKESIDE STAGE]
このフェスが山中湖で開催された2007年から出演を重ね、今や最多出演(THE BAWDIESと並んで10回目)というくらいにこのフェスに愛された存在である、NICO Touches the Walls。昨年はMt.FUJI STAGEへの出演だったが、今年はLAKESIDE STAGEに戻ってきた。
サウンドチェックでやたらとブルージーなアレンジの「手をたたけ」を鳴らしたりしていたが、サウンドチェックでギリギリまで曲を演奏していただけに、時間がない時のアンコールみたいに本番ですぐさまステージに戻ってくると、
「一回掃けないでそのままいれば良かったね(笑)」
とこの日も金髪にサングラスという出で立ちの光村が口にしてから、バンドが最新モードに突入していることを示すように「mujina」からスタート。間奏での手拍子のMAX回数はこの日は10回というシンプルなものに。
今やこのバンドにおいてのフェスでのアンセムの一つと言えるが、ワンマンと違ってフェスだと手拍子が表拍も多いのがちょっと気持ち悪くなってしまう「THE BUNGY」では光村が
「今年も来てくれました、オン・ヴァイオリン、浅野尚志!」
と、ヴァイオリン、ギター、キーボードとマルチプレイヤーとして今やバンドに欠かせない存在となっている浅野を紹介し、華麗なヴァイオリンソロを奏でると、観客からどよめきも含めた大歓声が上がる。その姿を見ると、これだけフェスに出ていても、まだまだ今の姿で驚かせることができる人がたくさんいるということがわかる。
最新作「TWISTER ep」からブルージーな「SHOW」をじっくりとバンドのグルーヴを積み上げていくように聴かせると、音数を絞ったアレンジから一気に爆発していくような「天地ガエシ」では待ってました!というくらいの大歓声が上がる。2014年には光村の提案で超巨大サークルモッシュを起こすという、普段のこのバンドのライブからは信じられない光景を生み出した曲であるが、そうしてこのフェスで積み上げてきたものがあるからこそ、こうしてたくさんの人に待たれるような存在になったのだろう。
光村がギターを置いてハンドマイクを持ち、体を揺らしながら歌う「Funny Side Up!!」の美しいピアノのフレーズが山中湖の景色に溶け合っていくと、ラストは今のNICOの振り切りっぷりを最も示している「VIBRIO VULNIFICUS」で光村の絶唱とともに古村のキレまくりのギターを始めとするメンバーの演奏を見せつけて終了した。
完全にフェスにおいても今自分たちがやりたいことをやるというモードに突入しているが、それが観客を置き去りにすることなく、しっかり受け止められていたのは、このバンドがこのフェスとこの場所を愛し続けてきたことによって、このフェスとこの場所からも愛され続けてきたから。ここまできたらもうこれからも毎年出続けるしかないだろう。
リハ.手をたたけ
リハ.B.C.G
リハ.ストロベリーガール
1.mujina
2.THE BUNGY
3.SHOW
4.天地ガエシ
5.Funny Side Up!!
6.VIBRIO VULNIFICUS
15:05〜 KANA-BOON [Mt.FUJI STAGE]
昨年もそうだったが、基本的にはLAKESIDE STAGEに毎年出演してきた、KANA-BOON。今年は2015年にトリを務めたこともある、Mt.FUJI STAGEへの出演。
登場こそいつものようにSEもなくふらっと出てくるものだし、谷口鮪による挨拶も
「KANA-BOONです、よろしくお願いします」
という軽めのものだったが、メンバーの表情やいきなり「シルエット」から始まるという飛ばしっぷりから、明らかにいつもとは気合いが違うことが伺いしれるし、そこからも全く間を置くことなく、アッパーな曲を連発していく。
とはいえ大ブレイクした初期の曲ばかりというわけではなく、「ディストラクションビートミュージック」や「Fighter」、「彷徨う日々とファンファーレ」と軸にあるのは近年の曲たちであり、そうした曲が入場規制レベルの超満員の観客を激しく盛り上げていっているのは実に心強い。
で、古賀もめしだもガンガンステージ前に出てきて観客の方に体を傾けながら演奏するというそのいつにも増した気合いの入りっぷりはなんだったのか、というと、その一つの理由は鮪が
「まだホルモンに行くなよ〜(笑)」
と観客を牽制していた通り、この直後にマキシマム ザ ホルモンが控えており、途中でホルモンへ抜けさせることなく最後まで自分たちのライブを見せてやるというものだったことは間違いないだろう。
実際に途中で抜けて行く人はほとんどおらず、最後まで満員をキープしていたが、いつもよりも曲の前フリがあっさりしていてすぐに曲が始まった「ないものねだり」から、MCの時間を取ることなく「フルドライブ」と走り抜けると、最後の「バトンロード」も言葉ではなく、その曲とバンドの演奏の力のみでこれからのバンドの覚悟と決意を示した。
ホルモンが次に控えていたというのがこのライブの気合いの漲りっぷりの一つではあったかもしれないが、それは決して全てではないと思う。バンド自身が曲と演奏のみでこれだけたくさんの人を熱狂させ、結果的に最後まで離すことはなかったというレベルまでライブの力を高めてきたということ。最近は大きな会場でドカンとやるのではなく、地方の小さい会場にもくまなく足を運ぶという地道に見える活動方向にシフトしているように見えるが、そこで培ったものはこうした大舞台でしっかりと還元されている。
演奏が終わった後に
「じゃあ、もうみんな好きなところに散ってください(笑)」
と言った鮪の表情は自分たちが思い描いた景色をしっかりと描けたというようなやり切った感が出ていた。
このフェスは動線的に、セカンドステージであるMt.FUJI STAGEが終わってからでもメインステージのLAKESIDE STAGEにじゅうぶん間に合う。だからKANA-BOONを見てからでもホルモンに行けるわけだし、どちらもちゃんと見れるという動線を生かしたタイムテーブルにもなっているのだが、そう考えると同じように直後にホルモンが控えていたVIVA LA ROCKでキュウソネコカミがかなり厳しい結果になってしまったのは、やはり動線や運営のやり方のマズさによるところも大きい。キュウソネコカミがこのフェスで同じようにホルモンの直前だったら絶対あんなことにはなってない。
リハ.ウォーリーヒーロー
リハ.結晶星
1.シルエット
2.ディストラクションビートミュージック
3.Fighter
4.彷徨う日々とファンファーレ
5.ないものねだり
6.フルドライブ
7.バトンロード
15:50〜 マキシマム ザ ホルモン [LAKESIDE STAGE]
かつてはスペシャの看板番組「MONSTER ROCK」のMCを務めているにもかかわらずなかなかこのフェスには出ないというスタイルだった、マキシマム ザ ホルモン。去年に続いて今年も出演。
オープニングからして独自の映像が流れるというトリでもないのに特別感を出してメンバーが登場すると、いきなりの「恋のメガラバ」から砂埃が舞い上がり、地面が揺れているのがわかるくらいの盛り上がりっぷり。スクリーンにはライブ中の姿だけでなく、MVなど様々な映像が加工されて流れている。
このバンドの演奏のキレ味と音の重さを発揮する「What's up people?!」では最後の高速パートで曲のスピードに合わせるように超高速サークルが発生。こうしてこの大きい会場で見ると、改めてホルモンがこのキャパですら収まりきらないくらいの巨大な存在のバンドであることに気づかされる。
「去年、このステージで歌い上げたら、CMが決まりました!」
とナヲが去年のこのフェスで歌ったことによってテレビでナヲが歌うCMが流れることになった「いすずのトラック」の曲を今年も歌い上げたが、もはやドラマーであるということすら忘れるような貫禄すら感じさせる。
袖でDragon Ashのkj(この日はソロで出演していた)が見ているのを見かけると、
ナヲ「kjとはもう20回くらい寝てます。今日はサカナクションを狙ってます」
ダイスケはん「サカナクションのドラムね!」
ナヲ「江島!?(笑)」
というホルモンならではのネタで笑わせると、サカナクションの大ファンであるダイスケはんがサカナクションのマネをしてサングラスをかけ、マックを用意して操作しようとするも、そのマックはマクドナルドのマックであるという、仕込みが大層だった割には微妙なウケ具合のネタを経て、「「F」」ではスクリーンに空を駆け回るフリーザ(一部伏字になっていたけど)の映像が映し出され、「爪爪爪」では復活後のおなじみになっているダイスケはんのパーカッション連打という、音楽面でのパワーアップっぷりも見せる。
「ぶっ生き返す!!」でダイバーが続出し、それに応えるようにメンバーの演奏と亮君の歌も熱量を増すと、やはり喋りすぎたのか、時間がなくなってきたので「恋のおまじない」を練習なしの一発本番で決めると、ラストは「フェスでの楽しみ方講座」の一部がスクリーンに映し出されながらの「恋のスペルマ」で踊らせまくり、ホルモンの凄さを改めて示してみせた。
スペシャ随一の人気番組の司会という立場でありながらも、このフェスに出ると
「縁もゆかりもない」
とうそぶいてみせるあたりも実にホルモンらしいが、もはやスペシャの最大の顔はホルモンと言っても過言ではないはず。
1.恋のメガラバ
2.What's up,people?!
3.「F」
4.爪爪爪
5.ぶっ生き返す!!
6.恋のスペルマ
17:05〜 sumika [Mt.FUJI STAGE]
昨年はFOREST STAGEに収まりきらないくらいの人を集めた、sumika。今年はMt.FUJI STAGEに出演となったが、始まる前から超満員。
サウンドチェックに出てきた片岡健太がNICO Touches the Wallsの「手をたたけ」のサビを歌い上げ、
「いや〜いい曲ですよね〜。NICOのライブすごい良かったな〜」
とこの日の出番前から観客としてこのフェスを楽しんでいることを明かしてから本気のリハを見せると、本番では「フィクション」からスタートするのだが、このロケーションで聴くsumikaのサウンドは実に気持ちいい。片岡をはじめとしたメンバーも客席が埋め尽くされた光景を見て実に満足そうだ。
その満員の観客がタオルを回しまくる「マイリッチサマーブルース」で一気に夏フェス感を増していくと、ライブ感を意識して作られたという「ペルソナ・プロムナード」と続いたアッパーな流れは、映画のタイアップとなった最新シングル「ファンファーレ」でピークに達する。前身バンドのbanbi時代を彷彿とさせる、パンク要素の強いサウンドとリズム。でもその時と違うのは、このメンバーで作った曲だから。黒田の弾きまくっているのに歌を引き立たせるギターが、小川の美しいピアノの旋律がsumikaのものでしかない曲にさせている。この曲を引っさげてバンドはミュージックステーションにも出演する。本格的に国民的バンドへの道を歩み始めた。
片岡がハンドマイクになり、ステージに腰かけてカメラ目線で歌う「Summer Vacation」はアッパーではないが、夕方になってさらに涼しさを増したこのシチュエーションに実によく似合う。
すると
「僕、どう見てもゴリゴリの文化系じゃないですか?でも入学した高校がバリバリの体育会系で。当然、運動全然できないんですけど、今だから言うけど、お前はなんでそんなに走るのが遅いんだ!って先生に殴られたりもして。そんな学校に僕の居場所なんかあるわけなくて。本当にキツい3年間だったんですけど、その時に毎週楽しみにしていたテレビ番組があって。それがスペシャで放送してた「熱血!スペシャ中学」で。いとうせいこうさんが先生役の番組だったんだけど、せいこうさんって文系の人をすごく受け止めてくれる人で。あの番組を見ながらギターをポロポロ部屋で弾いて、音楽をやっていこうって思えたんです」
と、片岡が音楽に向かうことになったきっかけがスペシャであるということを明かす。初日に出ていた、ヤバイTシャツ屋さんのこやまや、シリアにいた時代にスペシャをずっと見ていたという[ALEXANDROS]の川上洋平など、スペシャが音楽の原体験であるというアーティストも多い。そしてアーティストになった今、かつて見ていたスペシャが主催するフェスのステージに立っている。もしスペシャがなかったら、彼らがバンドを始めることすらなかったかもしれないし、こうして彼らの音楽を聴くこともなかったかもしれない。
そんなスペシャへの愛と、ここに集まってくれた人たちへの愛を伝えるための「「伝言歌」」で大合唱を巻き起こしたが、その声には笑いと涙の両方が宿っていた。ついに「Lovers」がセトリから抜けたという衝撃すらも忘れてしまうくらいの素晴らしいライブだった。
そしてこの日、雨予報だった会場はsumikaのライブの途中から青空をのぞかせた。今年、出演した全ての夏フェスで晴れているということからも、新たな晴れバンドが誕生したのかもしれないし、それはこのバンドが持つ陽性のエネルギーによるものであるということも無関係ではないはず。
リハ.カルチャーショッカー
リハ.MAGIC
1.フィクション
2.マイリッチサマーブルース
3.ペルソナ・プロムナード
4.ファンファーレ
5.Summer Vacation
6.「伝言歌」
17:50〜 Superfly [LAKESIDE STAGE]
このフェスが初開催された2007年に、まだ2人組として出演していた、Superfly。出演キャンセルした年もあったが、久しぶりにこのフェスに帰還。
蔦谷好位置(キーボード)、須藤優(ベース)ら凄腕メンバーに加え、コーラスやホーン隊などを含めた大人数バンドが先に登場して演奏を開始すると、ショートヘアの越智志帆がステージに登場し、「Beautiful」からスタートするのだが、もう歌い始めただけで会場の空気が一変するくらいのとんでもない歌唱力。サビを歌い終わるたびに拍手と歓声が起こるというのはなかなか見れるものじゃないし、デビュー時から卓越した歌唱力を持っていたが、それは経験を重ねてさらに進化しているということがよくわかる。
かつては越智志帆がアコギを弾きながら歌っていた名曲「愛を込めて花束を」もボーカルのみに専念することによってその圧倒的な歌唱力を堪能できるようになり、それはバラードから一気にアッパーに突き抜ける「Alright!!」や越智が口に手を当てて「アワワワワワ」と声を上げた「タマシイレボリューション」ではロックシンガーとしての力強さも感じさせてくれる。
そうして誰もが知るSuperflyの代表曲の後には、現在の姿であり、こうして今年フェスに打って出てきた理由である新曲「Bloom」を披露。作曲が蔦谷好位置、作詞がいしわたり淳治という、関ジャムでもおなじみの日本を代表するプロデューサーによって手がけられたポップソング。
初出演時にもSuperflyのブルース伝道者としての決意表明として演奏されていた「マニフェスト」は現在の編成によってさらに超濃厚なブルースに変化を遂げ、ラストの新曲「Fall」は昭和歌謡的なテイストが強い曲。そうした幅広い音楽性を圧倒的な歌唱力で乗りこなして見せる姿は、歌が上手いシンガーならいくらでもいる中でこの人がこんなに突き抜けた存在になれたのは、もはや上手いという形容すら野暮に感じてしまうくらい、神聖な力すら感じるボーカリストであることを証明していた。
このステージでここまで堂々としたパフォーマンスを見ると、2007年のまだ愛媛から出てきたばかりの初々しい姿が実に懐かしく思えるし、10年以上経って揺るぐことのない自信を手に入れたことを実感させる。
1.Beautiful
2.愛を込めて花束を
3.Alright!!
4.タマシイレボリューション
5.Bloom
6.マニフェスト
7.Fall
18:45〜 THE BAWDIES [Mt.FUJI STAGE]
今年で10年連続出演。NICO Touches the Wallsと並んで最多出演であり、今でも各シーズンに1回はスペシャで特番が放送されている、このフェスの顔である、THE BAWDIES。昨年はFOREST STAGEのトリとして出演したが、今年はMt.FUJI STAGEのトリとして出演。
結成15周年、メジャーデビュー10周年という節目の年だからこその原点回帰的な「Soul Man」のSEで黒いスーツに身を包んだ4人がステージに登場すると、
「飛べー!」
とROYが叫んで「NO WAY」からスタート。乗り遅れないように、と「IT'S TOO LATE」ではROYの超ロングシャウトが響き渡る。いつもよりも長いシャウトからはこの日のライブへの気合いを感じさせる。
周年イヤーであることを語り、
「この曲から始まったと思っております!」
とメジャーデビュー時にスペシャのPower Push!に選ばれた「EMOTION POTION」、
「10周年を迎えました、で終わりじゃなくて、これからも先に進み続けるという意思表示!」
とベストアルバムに収録された新曲「FEELIN' FREE」で原点と最新の姿を一直線に繋いで見せると、おなじみの小芝居からの「HOT DOG」へ。今回はロッキンの時と同じ(ちょっとブラッシュアップしたのか、長くなっていた)スターウォーズのものだったが、これは今年の夏フェスシーズンはこれで統一されていたのだろうか。
JIMのギターもさらに唸りを上げるくらいのキレ味の鋭さを見せると、「JUST BE COOL」で飛び跳ねさせまくって終了…かと思いきや、
「もう1曲だけやっていいですか!」
と、これからもロックンロールに進み続けるという意思を示す「KEEP ON ROCKIN'」で最初は声が小さくてやり直したりもしながらも最後には大合唱を巻き起こして、10年目のロックンロールパーティーを終え、締めはやはり大将ことTAXMANによる、このフェスの時だけの
「SWEET LOVE シャワッショイ」
で締めた。演奏の気合いの漲りっぷりとそもそもの地力の高さ…やはりこの日のベストはこのバンドか。
スペシャはレギュラー番組が定期的に入れ替わるし、THE BAWDIESの番組も今はレギュラー番組ではない。そうして番組が入れ替わることによってこのフェスの出演者も新たなレギュラー番組の担当アーティストに入れ替わっていくが、そんな中でTHE BAWDIESが10年連続でこのフェスに出演し続けてきた理由は、このフェスを愛し、このフェスとスペシャに愛されてきたことはもちろん、このバンドのライブには今でもロックンロールの魔法が宿り続けているから。
「10年連続で終わりじゃないですよ!11年目も我々は出ますからね!追い出されても絶対来ますから!」
とROYはこのフェスへの並々ならぬ思いを口にしていただけに、来年以降もまたこの会場で会えますように。
1.NO WAY
2.IT'S TOO LATE
3.EMOTION POTION
4.KEEP YOU HAPPY
5.FEELIN' FREE
6.HOT DOG
7.JUST BE COOL
8.KEEP ON ROCKIN'
19:35〜 サカナクション [LAKESIDE STAGE]
まだ若手であった2010年には昼間の時間帯のこのステージに出演したこともあったが、それ以降はこのフェスの夜王的な存在であり続けている、サカナクション。今年は2日目のトリとして出演。
白いシャツに黒いパンツという衣装で統一したと思しきメンバーが登場すると、エフェクティブかつ幻想的なサウンドの中からうっすらと山口一郎の歌声が浮かび上がってくる「サンプル」からスタートすると、
「みんな準備はいいかー!」
と「アイデンティティ」で一気にレーザー光線が飛び交うという夜だからこその演出を生かしたサカナクションワールドへ。
「夜の踊り子」では踊り子こそステージに現れなかったものの、スクリーンにはMVの踊り子が映し出される。
草刈と岡崎の女性メンバー2人がサビのボーカルを担う「表参道26時」ではその2人(特に草刈)の演奏の安定感の高さを発揮し、そのまま「ルーキー」に繋がっていく。この日もMCは挟まずに曲を繋げていくというサカナクションのライブならではのアレンジは健在である。
そして「ミュージック」では先ほどマキシマム ザ ホルモンのダイスケはんが真似しようとしたラップトップ横並びの体制に。去年までは「SORATO」などのインストのダンスミュージック的な要素が強い曲で自由に踊らせる時間を作ってからこの曲に繋がることが多かったが、今回はラップトップ横並びはこの曲のみ。
一度聴いたら誰もが忘れられないイントロの「新宝島」ももはやバンドのアンセムになっていることを証明する盛り上がりを見せると(リリース時は山口は以前より売上が下がったことを気にしていた)、
「今日、会場でNFパンチっていう番組の収録を行なったんで…みんな見てないから知らないと思うけど(笑)」
と、かつて山口が会場の交通整理のバイトや物販の売り子に扮してもバレなかった企画を実施していたことを匂わせると、最後は最新曲「陽炎」で山口がハンドマイクで拳の効いたボーカルをカメラ目線で轟かせ、間奏ではマイクのコードで縄跳びを始めるも、引っかかってしまいコードを叩きつけるという小学生のような姿が、完璧だったこの日のライブでの唯一のミスとして観客の目に刻まれると、
「サカナクションでした、ありがとうございました!」
と山口が言った瞬間にステージ裏から花火が上がった。まるで花火もこのライブの一つかのような完璧なタイミングだった。
サカナクションはこの会場の夜の時間に最も多くライブを行なっているバンドであるし、だからこそこの景色が最も似合うバンドと言っていい存在である。それを可能にしているのはやはり完璧な構成と、思考だけでなくて肉体性も伴ったライブパフォーマンス。もはや山中湖のヌシと言ってもいいバンドだ。
1.サンプル
2.アイデンティティ
3.夜の踊り子
4.表参道26時
5.ルーキー
6.ミュージック
7.新宝島
8.陽炎
20:25〜 DJ 石毛&ノブ (Party Set) [SPACE SHOWER STUDIO]
昼間にはトークショーも行われているSPACE SHOWER STUDIOでこの日のクロージングDJを務めるのは、4年連続登板となるこのフェスの守護神こと、the telephonesの石毛とノブ。
おなじみのサンタクロースの格好をした2人が登場して「サンタが街にやってくる」のダンスミュージック的なリミックスをかけ始めると、石毛が唇サングラスをかけ、the telephones「A.B.C.DISCO」からは一気にパーティーへ。
かつてこのフェスに何度も出演していたBOOM BOOM SATELLITES「KICK IT OUT」や石毛の師匠であるナカコーがいたSUPERCAR「STROBOLIGHTS」と、今はもう見ることができない偉大な先輩たちのダンスミュージックで踊らせまくり、最後はフレンズとして出演していた長島涼平も登場しての「Love & DISCO」でノブはDJブームを飛び出して客席を走り回り、誰のものかわからない麦茶を持ち帰ってくるという意味不明なパフォーマンスを見せながら、愛とディスコの大合唱を巻き起こし、今年も全盛期の大魔神・佐々木ばりの安定感の守護神っぷりで2日目のラブシャを締めくくった。
石毛はUKFCの時に発表した、the telephonesの2月のツアーの告知もしていたが、またこのフェスのステージでもあの4人でのライブをいつか見てみたい。
THE BAWDIES→サカナクション→the telephonesの石毛とノブという流れは昔「version21.1」や「KINGS」で同世代のバンドたちが自分たちのシーンを作ろうとしてた頃を思い出した。あの頃とは違うこともたくさんあるけれど、自分は今も彼らが作る音楽やライブにずっとワクワクしている。
結局、終わってみれば雨予報だったのがなんだったのかというくらいに雨具もいれないくらいの天候だった。サカナクションという雨バンドもいたが、それ以上に晴れバンドもたくさんいたし、会場の空気がそうした方向に持っていったんじゃないか、と思わせた1日だった。
Next→ 9/2 SWEET LOVE SHOWER 2018 day3 @山中湖交流プラザきらら
10:25〜 go! go! vanillas [Mt.FUJI STAGE]
この日のトップバッターは、go! go! vanillas。ロッキンに続いてのトップバッターであり、2番目のステージのトップという位置の1年となってきている。
おなじみ「We Are Go!」のSEでメンバーが登場すると、
「夏を感じようぜ!」
と牧が叫んで「SUMMER BREEZE」からスタート。牧は非常に歌が上手いボーカリストであるが、ロッキンでは寝坊してギリギリに会場に着いただけに、高音部がちゃんと出ていなかったが、この日はそこも非常によく出ている。これは牧が早起きできた証拠だろう。
ハイテンションなロックンロールパーティーというフェスでの戦い方をするバンドであるが、この日は牧のボーカルだけでなく、柳沢も叫びまくり、普段はそこまで声を荒げることのないプリティすらも
「もっといけんだろー!」
と「おはようカルチャー」のコーラスを煽りまくる。
ジェットセイヤもスティックを放り投げて素手でシンバルを叩きまくり、牧は3回目の出演となったこのフェスの思い出を回想し、
牧「2年前にこのステージに出た時は土砂降りだったんだよね」
柳沢「俺その時のことすごい覚えてる!あの時はこんなに人いなかった!」
と前回は雨の影響もあってか埋まらなかったこのステージが満員になったことへの感慨を語ると、平成最後の夏に平成生まれのバンドが鳴らす「平成ペイン」から、ラストは「マジック」で山中湖をロックンロールの魔法にかけた。
自分がこのバンドのライブを初めて見たのは、KANA-BOON、キュウソネコカミ、SHISHAMOという、今となっては錚々たるバンドとともに全国を回った、このフェス同様にスペシャ主催のスペシャ列伝ツアーだった。
でもあの時はこのバンドがここまで大きな存在になるなんて全く思っていなかった。音楽マニアとしてあらゆる音楽を吸収して自分たちの地肉とし、様々なバンドたちとツアーを回って鍛え上げてきた、これまでの活動の成果。なんならもう武道館くらいまでは視野に入っていると思う。
リハ.ヒンキーディンキーパーティークルー
リハ.バイリンガール
1.SUMMER BREEZE
2.エマ
3.おはようカルチャー
4.カウンターアクション
5.平成ペイン
6.マジック
11:05〜 UNISON SQUARE GARDEN [LAKESIDE STAGE]
前回も含め、Mt.FUJI STAGEのイメージが強いUNISON SQUARE GARDEN、今年はLAKESIDEのトップバッターとして登場。
おなじみ「絵の具」のSEで挙動不審な田淵を含めたメンバー3人が登場すると、鈴木がヘッドホンを着用し、「君の瞳に恋してない」からスタートというのはロッキンと同じ。斎藤はやや声が出ていない感じがしたが、それは自分がいた位置が聞こえにくかったのだろうか。
しかしここからロッキンで見たバンドとは思えないくらいの展開を見せる。今もワンマンでクライマックスを担う「シャンデリア・ワルツ」で観客が飛び跳ねまくると、「ライドオンタイム」では開放弦で弾きまくることによって田淵がステージ上をここ最近のフェスの中ではトップクラスというくらいに暴れまくり、さらに「パンデミックサドンデス」とアッパーな曲を続けていく。
MCを一切挟まずに曲を連発するというスタイルはもはやどのフェスにおいても変わらないが、時系列的には最新の曲と言っていいのにライブでおなじみの曲にはならないし、それを夏フェスという季節が過ぎ去った後にやるのか?という「春が来てぼくら」で斎藤の美しいボーカルとメロディをしっかり聴かせると、「桜のあと (all quartet lead to the?)」という夏の終わりの春フェスコンボで、
「今 目の前の君が」
というフレーズの時に鈴木はスティックを真っ直ぐに観客に向ける。
そしてラストはやはり「シュガーソングとビターステップ」で、鈴木は上着のフードを被ろうとするも諦めてそのままドラムを叩いて終了した。
基本的にフェスに出るアーティストはみんなある程度フェスセトリというものを持っていて、ほとんど同じタームの中で変わるということはないし、それは決して悪いことではない。
でもユニゾンがここまでガラッとセトリを変えていると、ユニゾンが出るんならあのフェスに行こうかな、そうすればあそこではやらなかったけど聴きたい曲を聴けるかもしれない、というような気分にもなる。そう考えると、もっともフェスに観にいくべき存在と言えるし、それができるのは全ての曲のクオリティが高いこのバンドだからこそ。
「世界中を驚かせ続けよう」
という「シュガーソングとビターステップ」のフレーズは大げさでもなんでもない、このバンドのスタイルそのものである。
1.君の瞳に恋してない
2.シャンデリア・ワルツ
3.ライドオンタイム
4.パンデミックサドンデス
5.春が来てぼくら
6.桜のあと (all quartet lead to the?)
7.シュガーソングとビターステップ
11:55〜 ORANGE RANGE [Mt.FUJI STAGE]
昨年は初出演の洗礼でFOREST STAGEのトリを務め、溢れかえるくらいの人が集まった、ORANGE RANGE。今年はMt.FUJI STAGEだが、今回も入場規制レベルの超満員。
メンバーが登場すると、「上海ハニー」からスタートし、ボーカル陣3人の華麗なマイクリレーを見せ、老若男女全ての人が歓喜。雲に覆われているが、雨が降らないのはやはり晴れバンドのイメージが強いこのバンドのおかげだろうか。
最新作収録の地元沖縄のスポーツチームの応援歌である「Ryukyu Wind」でさらに夏感を増幅させると、
「これだけたくさんの人が一つになる瞬間を見てみたくないですか?みんなが繋がっているっていう曲です」
とRYOが言って演奏されたのはもちろん「以心電信」で超満員の観客による大合唱。もう15年も前の曲とは思えないくらいにここにいる誰もが知っていて、歌うことができる。大ブレイク時にさんざん「すぐ消える」と言われていたORANGE RANGEの楽曲は今でもじゅうぶん通用するような普遍性を宿している。
しかし単なる懐メロ大合唱的なライブではなく、しっかりと最新の姿を見せて、自分たちが前に進む姿を見せる。ミクスチャー色が強い「Hopping」、少年の性的衝動を感じさせる夏ソング「センチメンタル」と、サウンドがアッパーだからというのもあるだろうが、RYOもビックリするくらいに新作モードでも盛り上がりを見せていた。
「今は雲の向こう側にいるだろうけど、俺たちの仲間のイケナイ太陽さんもきっとこっちに来たいはずだ〜」
と言って大歓声と大合唱が起こった「イケナイ太陽」でこうして夏の野外でORANGE RANGEのライブが見れることの喜びを感じさせると、ラストのメンバー全員がドラムセットに集まって演奏して歌う姿がこのバンドのミクスチャーバンドとしての強さを見せてくれる「キリキリマイ」でダイバー続出というくらいの盛り上がり。最後にはステージ前にガンガン出てきてベースを掲げたYOHの姿は確かにこの日のライブの手ごたえの大きさを感じさせた。
ロッキンでもメインステージのGRASS STAGEが超満員になっていたし、この日もMt.FUJI STAGEが入りきらないくらいの超満員。それはやはりORANGE RANGEがただ消費されて終わるようなバンドではない普遍性を備えていたこと、2005年の大ブレイク時に出演したSUMMER SONICはもちろんCOUNTDOWN JAPANですらもアウェー感が強かったにもかかわらず、そうした舞台に出続けてきたことによって、完全にロックフェスをホームに変えてきたから。当時このバンドのことをナメた目で見ていた人たちがどれだけ見る目がなかったかというのが今のライブを見れば一発でわかる。
1.上海ハニー
2.Ryukyu Wind
3.以心電信
4.Hopping
5.センチメンタル
6.イケナイ太陽
7.キリキリマイ
12:40〜 フレデリック [LAKESIDE STAGE]
インディーズ時代からこのフェスに出演し続け、今やすっかりこのメインステージが定位置になっている、フレデリック。今年もLAKESIDE STAGEの大舞台に臨む。
オリジナルSEでメンバーが登場すると、三原健司がハンドマイクで歌う最新シングル「飄々とエモーション」で、アッパーに踊らせまくるというわけではなく、文字通り飄々と体を揺らすというスタート。それはその「飄々とエモーション」に収録されているカップリング曲「シンセンス」も同様だが、こうした大舞台でそこまで認知度がないであろうカップリング曲を普通にセトリに入れてくる攻めの姿勢は凄いし、それはこのバンドがカップリングにも自信を持っているからということに他ならない。ロッキンでは同じくカップリング曲の「まちがいさがしの国」も演奏していた。
基本的にMCはほぼ挟まず、曲と曲をつなぐようなアレンジがなされているため、フェスの短い時間でのライブとなると内容が変わらなそうなイメージを持ってしまいがちだが、冒頭よりもダンサブルにしていく「ナイトステップ」のあとに「NEON PICNIC」をつなげるように演奏するという攻めっぷり。やはり曲自体を知らないであろうリアクションの人も多かったが、かつての「作品のリード曲を連発してひたすらアッパーに踊らせまくる」という戦い方とは全く違うフェスの戦い方に転じているのがよくわかる。
「山中湖、遊ぼうぜー!」
と健司が叫んで「KITAKU BEATS」から温度を上げていく(明確に冒頭から右肩上がりにアッパーになっていくような内容になっている)と、
「インディーズの頃から出演させてもらってるこのフェスで1番取りに来ました!」
とこのフェスへの意気込みを語り、ドラムの高橋武の手数がさらに増えたように感じる「リリリピート」から、ライブではおなじみの疾走感と期待を煽るイントロのアレンジが追加された「オドループ」では健司が
「このあと先輩方がたくさん出てくるんです!負けたくないんです!」
と珍しく歌詞を飛ばしてまで叫ぶという気合いを見せ、
「あなた あなた」
のフレーズではその直後にギターソロを弾きまくる赤頭がカメラ目線であなたへアピール。やはりこの曲は今やこのフェス最大のアンセムになっているのを実感するような、踊ってない山中湖が気に入らないっぷりであった。
前日のTHE ORAL CIGARETTESもそうだが、このフレデリックも間違いなくこのフェスによって大きく変わったバンドである。初出演のFOREST STAGE、インディーズ期でまだ動員力がなかった時に、
「最後はSPACE SHOWER TVの来月のPower Push!で流れる新曲でお別れしましょう」
と言って演奏された「オドループ」の、観客の誰も知らない曲のはずなのに誰もが踊りまくっていたあの瞬間、このバンドはここまで来るだろうな、という予感を抱かせた。そしてその後もキラーチューンを連発して、見事にその予感を現実のものにしてみせた。
そこからさらに自分たちだけのスタイルを確立して進化を遂げ続けているこのバンドはこれから間違いなくこのフェスを代表するバンドになる。いや、今でもそうなっているのかもしれない。
リハ.ディスコプール
リハ.トウメイニンゲン
1.飄々とエモーション
2.シンセンス
3.ナイトステップ
4.NEON PICNIC
5.KITAKU BEATS
6.リリリピート
7.オドループ
13:15〜 フレンズ [FOREST STAGE]
このフェス初出演となる、フレンズ。すでに野音やZeppクラスでワンマンを行っているだけに、満を持しての出演である。
メンバーが賑やかに登場すると、おかもとえみとひろせひろせによる振り付け講座が始まり、そのまま「塩と砂糖」で練習した振り付けが客席中で展開される。
「俺の格好、オートバックスの店員じゃないから!(笑)」
とオレンジのツナギを着たひろせひろせが笑わせながら、
「昼だけど、夜にダンス!」
とこのバンドの名前を一躍世の中に知らしめた「夜にダンス」で関口塁と長島涼平によるリズム隊によってゆらゆらと体を揺らしていく。おかもとの歌声も実に伸びやかだ。
最新アルバム「コン・パーチ!」収録の夏曲「常夏ヴァカンス」でオシャレな空気から一気に夏の野外モードに転じると、初出演で不安が強かったというひろせは詰めかけた観客の数を見て、
「嬉し杉内!」
とコアな野球ファンにしかわからないような形で嬉しさを表現する。
「神泉系」という渋谷から微妙に外れた地名を自ら冠しているバンドであるが、おかもとのボーカリストの技量の高さとともにサポートキーボードに山本健太を加えたメンバーの演奏も熱量を増し、ひろせの先導によって手拍子やジャンプなどを起こしてどんどん楽しさも増していく「夏のSAYにしてゴメンネ」と夏の曲が続くと、
ひろせ「来年はラブシャのどこのステージに行きたい?」
おかもと「メインステージ!」
と歌詞を変えながら歌う「Love,ya!」と夏の曲を3連発するという形でラブシャ初参戦を締め、夜の都会というイメージが強いこのバンドがこうした夏の野外の景色に実によく似合う存在であるということを証明してみせた。
個人的にはthe telephonesでこのフェスでもおなじみだった涼平と、7年前にThe MirrazでこのFOREST STAGEのトリを務めたこともある塁がこの場所に戻ってこれたのが本当に嬉しいし、ひろせとおかもとが言っていたように、このバンドはもっと大きいステージにいけるんじゃないか?と思うほどに初出演にして観客をしっかり掴んでいたと思う。
1.塩と砂糖
2.夜にダンス
3.常夏ヴァカンス
4.夏のSAYにしてゴメンネ
5.Love,ya!
14:15〜 NICO Touches the Walls [LAKESIDE STAGE]
このフェスが山中湖で開催された2007年から出演を重ね、今や最多出演(THE BAWDIESと並んで10回目)というくらいにこのフェスに愛された存在である、NICO Touches the Walls。昨年はMt.FUJI STAGEへの出演だったが、今年はLAKESIDE STAGEに戻ってきた。
サウンドチェックでやたらとブルージーなアレンジの「手をたたけ」を鳴らしたりしていたが、サウンドチェックでギリギリまで曲を演奏していただけに、時間がない時のアンコールみたいに本番ですぐさまステージに戻ってくると、
「一回掃けないでそのままいれば良かったね(笑)」
とこの日も金髪にサングラスという出で立ちの光村が口にしてから、バンドが最新モードに突入していることを示すように「mujina」からスタート。間奏での手拍子のMAX回数はこの日は10回というシンプルなものに。
今やこのバンドにおいてのフェスでのアンセムの一つと言えるが、ワンマンと違ってフェスだと手拍子が表拍も多いのがちょっと気持ち悪くなってしまう「THE BUNGY」では光村が
「今年も来てくれました、オン・ヴァイオリン、浅野尚志!」
と、ヴァイオリン、ギター、キーボードとマルチプレイヤーとして今やバンドに欠かせない存在となっている浅野を紹介し、華麗なヴァイオリンソロを奏でると、観客からどよめきも含めた大歓声が上がる。その姿を見ると、これだけフェスに出ていても、まだまだ今の姿で驚かせることができる人がたくさんいるということがわかる。
最新作「TWISTER ep」からブルージーな「SHOW」をじっくりとバンドのグルーヴを積み上げていくように聴かせると、音数を絞ったアレンジから一気に爆発していくような「天地ガエシ」では待ってました!というくらいの大歓声が上がる。2014年には光村の提案で超巨大サークルモッシュを起こすという、普段のこのバンドのライブからは信じられない光景を生み出した曲であるが、そうしてこのフェスで積み上げてきたものがあるからこそ、こうしてたくさんの人に待たれるような存在になったのだろう。
光村がギターを置いてハンドマイクを持ち、体を揺らしながら歌う「Funny Side Up!!」の美しいピアノのフレーズが山中湖の景色に溶け合っていくと、ラストは今のNICOの振り切りっぷりを最も示している「VIBRIO VULNIFICUS」で光村の絶唱とともに古村のキレまくりのギターを始めとするメンバーの演奏を見せつけて終了した。
完全にフェスにおいても今自分たちがやりたいことをやるというモードに突入しているが、それが観客を置き去りにすることなく、しっかり受け止められていたのは、このバンドがこのフェスとこの場所を愛し続けてきたことによって、このフェスとこの場所からも愛され続けてきたから。ここまできたらもうこれからも毎年出続けるしかないだろう。
リハ.手をたたけ
リハ.B.C.G
リハ.ストロベリーガール
1.mujina
2.THE BUNGY
3.SHOW
4.天地ガエシ
5.Funny Side Up!!
6.VIBRIO VULNIFICUS
15:05〜 KANA-BOON [Mt.FUJI STAGE]
昨年もそうだったが、基本的にはLAKESIDE STAGEに毎年出演してきた、KANA-BOON。今年は2015年にトリを務めたこともある、Mt.FUJI STAGEへの出演。
登場こそいつものようにSEもなくふらっと出てくるものだし、谷口鮪による挨拶も
「KANA-BOONです、よろしくお願いします」
という軽めのものだったが、メンバーの表情やいきなり「シルエット」から始まるという飛ばしっぷりから、明らかにいつもとは気合いが違うことが伺いしれるし、そこからも全く間を置くことなく、アッパーな曲を連発していく。
とはいえ大ブレイクした初期の曲ばかりというわけではなく、「ディストラクションビートミュージック」や「Fighter」、「彷徨う日々とファンファーレ」と軸にあるのは近年の曲たちであり、そうした曲が入場規制レベルの超満員の観客を激しく盛り上げていっているのは実に心強い。
で、古賀もめしだもガンガンステージ前に出てきて観客の方に体を傾けながら演奏するというそのいつにも増した気合いの入りっぷりはなんだったのか、というと、その一つの理由は鮪が
「まだホルモンに行くなよ〜(笑)」
と観客を牽制していた通り、この直後にマキシマム ザ ホルモンが控えており、途中でホルモンへ抜けさせることなく最後まで自分たちのライブを見せてやるというものだったことは間違いないだろう。
実際に途中で抜けて行く人はほとんどおらず、最後まで満員をキープしていたが、いつもよりも曲の前フリがあっさりしていてすぐに曲が始まった「ないものねだり」から、MCの時間を取ることなく「フルドライブ」と走り抜けると、最後の「バトンロード」も言葉ではなく、その曲とバンドの演奏の力のみでこれからのバンドの覚悟と決意を示した。
ホルモンが次に控えていたというのがこのライブの気合いの漲りっぷりの一つではあったかもしれないが、それは決して全てではないと思う。バンド自身が曲と演奏のみでこれだけたくさんの人を熱狂させ、結果的に最後まで離すことはなかったというレベルまでライブの力を高めてきたということ。最近は大きな会場でドカンとやるのではなく、地方の小さい会場にもくまなく足を運ぶという地道に見える活動方向にシフトしているように見えるが、そこで培ったものはこうした大舞台でしっかりと還元されている。
演奏が終わった後に
「じゃあ、もうみんな好きなところに散ってください(笑)」
と言った鮪の表情は自分たちが思い描いた景色をしっかりと描けたというようなやり切った感が出ていた。
このフェスは動線的に、セカンドステージであるMt.FUJI STAGEが終わってからでもメインステージのLAKESIDE STAGEにじゅうぶん間に合う。だからKANA-BOONを見てからでもホルモンに行けるわけだし、どちらもちゃんと見れるという動線を生かしたタイムテーブルにもなっているのだが、そう考えると同じように直後にホルモンが控えていたVIVA LA ROCKでキュウソネコカミがかなり厳しい結果になってしまったのは、やはり動線や運営のやり方のマズさによるところも大きい。キュウソネコカミがこのフェスで同じようにホルモンの直前だったら絶対あんなことにはなってない。
リハ.ウォーリーヒーロー
リハ.結晶星
1.シルエット
2.ディストラクションビートミュージック
3.Fighter
4.彷徨う日々とファンファーレ
5.ないものねだり
6.フルドライブ
7.バトンロード
15:50〜 マキシマム ザ ホルモン [LAKESIDE STAGE]
かつてはスペシャの看板番組「MONSTER ROCK」のMCを務めているにもかかわらずなかなかこのフェスには出ないというスタイルだった、マキシマム ザ ホルモン。去年に続いて今年も出演。
オープニングからして独自の映像が流れるというトリでもないのに特別感を出してメンバーが登場すると、いきなりの「恋のメガラバ」から砂埃が舞い上がり、地面が揺れているのがわかるくらいの盛り上がりっぷり。スクリーンにはライブ中の姿だけでなく、MVなど様々な映像が加工されて流れている。
このバンドの演奏のキレ味と音の重さを発揮する「What's up people?!」では最後の高速パートで曲のスピードに合わせるように超高速サークルが発生。こうしてこの大きい会場で見ると、改めてホルモンがこのキャパですら収まりきらないくらいの巨大な存在のバンドであることに気づかされる。
「去年、このステージで歌い上げたら、CMが決まりました!」
とナヲが去年のこのフェスで歌ったことによってテレビでナヲが歌うCMが流れることになった「いすずのトラック」の曲を今年も歌い上げたが、もはやドラマーであるということすら忘れるような貫禄すら感じさせる。
袖でDragon Ashのkj(この日はソロで出演していた)が見ているのを見かけると、
ナヲ「kjとはもう20回くらい寝てます。今日はサカナクションを狙ってます」
ダイスケはん「サカナクションのドラムね!」
ナヲ「江島!?(笑)」
というホルモンならではのネタで笑わせると、サカナクションの大ファンであるダイスケはんがサカナクションのマネをしてサングラスをかけ、マックを用意して操作しようとするも、そのマックはマクドナルドのマックであるという、仕込みが大層だった割には微妙なウケ具合のネタを経て、「「F」」ではスクリーンに空を駆け回るフリーザ(一部伏字になっていたけど)の映像が映し出され、「爪爪爪」では復活後のおなじみになっているダイスケはんのパーカッション連打という、音楽面でのパワーアップっぷりも見せる。
「ぶっ生き返す!!」でダイバーが続出し、それに応えるようにメンバーの演奏と亮君の歌も熱量を増すと、やはり喋りすぎたのか、時間がなくなってきたので「恋のおまじない」を練習なしの一発本番で決めると、ラストは「フェスでの楽しみ方講座」の一部がスクリーンに映し出されながらの「恋のスペルマ」で踊らせまくり、ホルモンの凄さを改めて示してみせた。
スペシャ随一の人気番組の司会という立場でありながらも、このフェスに出ると
「縁もゆかりもない」
とうそぶいてみせるあたりも実にホルモンらしいが、もはやスペシャの最大の顔はホルモンと言っても過言ではないはず。
1.恋のメガラバ
2.What's up,people?!
3.「F」
4.爪爪爪
5.ぶっ生き返す!!
6.恋のスペルマ
17:05〜 sumika [Mt.FUJI STAGE]
昨年はFOREST STAGEに収まりきらないくらいの人を集めた、sumika。今年はMt.FUJI STAGEに出演となったが、始まる前から超満員。
サウンドチェックに出てきた片岡健太がNICO Touches the Wallsの「手をたたけ」のサビを歌い上げ、
「いや〜いい曲ですよね〜。NICOのライブすごい良かったな〜」
とこの日の出番前から観客としてこのフェスを楽しんでいることを明かしてから本気のリハを見せると、本番では「フィクション」からスタートするのだが、このロケーションで聴くsumikaのサウンドは実に気持ちいい。片岡をはじめとしたメンバーも客席が埋め尽くされた光景を見て実に満足そうだ。
その満員の観客がタオルを回しまくる「マイリッチサマーブルース」で一気に夏フェス感を増していくと、ライブ感を意識して作られたという「ペルソナ・プロムナード」と続いたアッパーな流れは、映画のタイアップとなった最新シングル「ファンファーレ」でピークに達する。前身バンドのbanbi時代を彷彿とさせる、パンク要素の強いサウンドとリズム。でもその時と違うのは、このメンバーで作った曲だから。黒田の弾きまくっているのに歌を引き立たせるギターが、小川の美しいピアノの旋律がsumikaのものでしかない曲にさせている。この曲を引っさげてバンドはミュージックステーションにも出演する。本格的に国民的バンドへの道を歩み始めた。
片岡がハンドマイクになり、ステージに腰かけてカメラ目線で歌う「Summer Vacation」はアッパーではないが、夕方になってさらに涼しさを増したこのシチュエーションに実によく似合う。
すると
「僕、どう見てもゴリゴリの文化系じゃないですか?でも入学した高校がバリバリの体育会系で。当然、運動全然できないんですけど、今だから言うけど、お前はなんでそんなに走るのが遅いんだ!って先生に殴られたりもして。そんな学校に僕の居場所なんかあるわけなくて。本当にキツい3年間だったんですけど、その時に毎週楽しみにしていたテレビ番組があって。それがスペシャで放送してた「熱血!スペシャ中学」で。いとうせいこうさんが先生役の番組だったんだけど、せいこうさんって文系の人をすごく受け止めてくれる人で。あの番組を見ながらギターをポロポロ部屋で弾いて、音楽をやっていこうって思えたんです」
と、片岡が音楽に向かうことになったきっかけがスペシャであるということを明かす。初日に出ていた、ヤバイTシャツ屋さんのこやまや、シリアにいた時代にスペシャをずっと見ていたという[ALEXANDROS]の川上洋平など、スペシャが音楽の原体験であるというアーティストも多い。そしてアーティストになった今、かつて見ていたスペシャが主催するフェスのステージに立っている。もしスペシャがなかったら、彼らがバンドを始めることすらなかったかもしれないし、こうして彼らの音楽を聴くこともなかったかもしれない。
そんなスペシャへの愛と、ここに集まってくれた人たちへの愛を伝えるための「「伝言歌」」で大合唱を巻き起こしたが、その声には笑いと涙の両方が宿っていた。ついに「Lovers」がセトリから抜けたという衝撃すらも忘れてしまうくらいの素晴らしいライブだった。
そしてこの日、雨予報だった会場はsumikaのライブの途中から青空をのぞかせた。今年、出演した全ての夏フェスで晴れているということからも、新たな晴れバンドが誕生したのかもしれないし、それはこのバンドが持つ陽性のエネルギーによるものであるということも無関係ではないはず。
リハ.カルチャーショッカー
リハ.MAGIC
1.フィクション
2.マイリッチサマーブルース
3.ペルソナ・プロムナード
4.ファンファーレ
5.Summer Vacation
6.「伝言歌」
17:50〜 Superfly [LAKESIDE STAGE]
このフェスが初開催された2007年に、まだ2人組として出演していた、Superfly。出演キャンセルした年もあったが、久しぶりにこのフェスに帰還。
蔦谷好位置(キーボード)、須藤優(ベース)ら凄腕メンバーに加え、コーラスやホーン隊などを含めた大人数バンドが先に登場して演奏を開始すると、ショートヘアの越智志帆がステージに登場し、「Beautiful」からスタートするのだが、もう歌い始めただけで会場の空気が一変するくらいのとんでもない歌唱力。サビを歌い終わるたびに拍手と歓声が起こるというのはなかなか見れるものじゃないし、デビュー時から卓越した歌唱力を持っていたが、それは経験を重ねてさらに進化しているということがよくわかる。
かつては越智志帆がアコギを弾きながら歌っていた名曲「愛を込めて花束を」もボーカルのみに専念することによってその圧倒的な歌唱力を堪能できるようになり、それはバラードから一気にアッパーに突き抜ける「Alright!!」や越智が口に手を当てて「アワワワワワ」と声を上げた「タマシイレボリューション」ではロックシンガーとしての力強さも感じさせてくれる。
そうして誰もが知るSuperflyの代表曲の後には、現在の姿であり、こうして今年フェスに打って出てきた理由である新曲「Bloom」を披露。作曲が蔦谷好位置、作詞がいしわたり淳治という、関ジャムでもおなじみの日本を代表するプロデューサーによって手がけられたポップソング。
初出演時にもSuperflyのブルース伝道者としての決意表明として演奏されていた「マニフェスト」は現在の編成によってさらに超濃厚なブルースに変化を遂げ、ラストの新曲「Fall」は昭和歌謡的なテイストが強い曲。そうした幅広い音楽性を圧倒的な歌唱力で乗りこなして見せる姿は、歌が上手いシンガーならいくらでもいる中でこの人がこんなに突き抜けた存在になれたのは、もはや上手いという形容すら野暮に感じてしまうくらい、神聖な力すら感じるボーカリストであることを証明していた。
このステージでここまで堂々としたパフォーマンスを見ると、2007年のまだ愛媛から出てきたばかりの初々しい姿が実に懐かしく思えるし、10年以上経って揺るぐことのない自信を手に入れたことを実感させる。
1.Beautiful
2.愛を込めて花束を
3.Alright!!
4.タマシイレボリューション
5.Bloom
6.マニフェスト
7.Fall
18:45〜 THE BAWDIES [Mt.FUJI STAGE]
今年で10年連続出演。NICO Touches the Wallsと並んで最多出演であり、今でも各シーズンに1回はスペシャで特番が放送されている、このフェスの顔である、THE BAWDIES。昨年はFOREST STAGEのトリとして出演したが、今年はMt.FUJI STAGEのトリとして出演。
結成15周年、メジャーデビュー10周年という節目の年だからこその原点回帰的な「Soul Man」のSEで黒いスーツに身を包んだ4人がステージに登場すると、
「飛べー!」
とROYが叫んで「NO WAY」からスタート。乗り遅れないように、と「IT'S TOO LATE」ではROYの超ロングシャウトが響き渡る。いつもよりも長いシャウトからはこの日のライブへの気合いを感じさせる。
周年イヤーであることを語り、
「この曲から始まったと思っております!」
とメジャーデビュー時にスペシャのPower Push!に選ばれた「EMOTION POTION」、
「10周年を迎えました、で終わりじゃなくて、これからも先に進み続けるという意思表示!」
とベストアルバムに収録された新曲「FEELIN' FREE」で原点と最新の姿を一直線に繋いで見せると、おなじみの小芝居からの「HOT DOG」へ。今回はロッキンの時と同じ(ちょっとブラッシュアップしたのか、長くなっていた)スターウォーズのものだったが、これは今年の夏フェスシーズンはこれで統一されていたのだろうか。
JIMのギターもさらに唸りを上げるくらいのキレ味の鋭さを見せると、「JUST BE COOL」で飛び跳ねさせまくって終了…かと思いきや、
「もう1曲だけやっていいですか!」
と、これからもロックンロールに進み続けるという意思を示す「KEEP ON ROCKIN'」で最初は声が小さくてやり直したりもしながらも最後には大合唱を巻き起こして、10年目のロックンロールパーティーを終え、締めはやはり大将ことTAXMANによる、このフェスの時だけの
「SWEET LOVE シャワッショイ」
で締めた。演奏の気合いの漲りっぷりとそもそもの地力の高さ…やはりこの日のベストはこのバンドか。
スペシャはレギュラー番組が定期的に入れ替わるし、THE BAWDIESの番組も今はレギュラー番組ではない。そうして番組が入れ替わることによってこのフェスの出演者も新たなレギュラー番組の担当アーティストに入れ替わっていくが、そんな中でTHE BAWDIESが10年連続でこのフェスに出演し続けてきた理由は、このフェスを愛し、このフェスとスペシャに愛されてきたことはもちろん、このバンドのライブには今でもロックンロールの魔法が宿り続けているから。
「10年連続で終わりじゃないですよ!11年目も我々は出ますからね!追い出されても絶対来ますから!」
とROYはこのフェスへの並々ならぬ思いを口にしていただけに、来年以降もまたこの会場で会えますように。
1.NO WAY
2.IT'S TOO LATE
3.EMOTION POTION
4.KEEP YOU HAPPY
5.FEELIN' FREE
6.HOT DOG
7.JUST BE COOL
8.KEEP ON ROCKIN'
19:35〜 サカナクション [LAKESIDE STAGE]
まだ若手であった2010年には昼間の時間帯のこのステージに出演したこともあったが、それ以降はこのフェスの夜王的な存在であり続けている、サカナクション。今年は2日目のトリとして出演。
白いシャツに黒いパンツという衣装で統一したと思しきメンバーが登場すると、エフェクティブかつ幻想的なサウンドの中からうっすらと山口一郎の歌声が浮かび上がってくる「サンプル」からスタートすると、
「みんな準備はいいかー!」
と「アイデンティティ」で一気にレーザー光線が飛び交うという夜だからこその演出を生かしたサカナクションワールドへ。
「夜の踊り子」では踊り子こそステージに現れなかったものの、スクリーンにはMVの踊り子が映し出される。
草刈と岡崎の女性メンバー2人がサビのボーカルを担う「表参道26時」ではその2人(特に草刈)の演奏の安定感の高さを発揮し、そのまま「ルーキー」に繋がっていく。この日もMCは挟まずに曲を繋げていくというサカナクションのライブならではのアレンジは健在である。
そして「ミュージック」では先ほどマキシマム ザ ホルモンのダイスケはんが真似しようとしたラップトップ横並びの体制に。去年までは「SORATO」などのインストのダンスミュージック的な要素が強い曲で自由に踊らせる時間を作ってからこの曲に繋がることが多かったが、今回はラップトップ横並びはこの曲のみ。
一度聴いたら誰もが忘れられないイントロの「新宝島」ももはやバンドのアンセムになっていることを証明する盛り上がりを見せると(リリース時は山口は以前より売上が下がったことを気にしていた)、
「今日、会場でNFパンチっていう番組の収録を行なったんで…みんな見てないから知らないと思うけど(笑)」
と、かつて山口が会場の交通整理のバイトや物販の売り子に扮してもバレなかった企画を実施していたことを匂わせると、最後は最新曲「陽炎」で山口がハンドマイクで拳の効いたボーカルをカメラ目線で轟かせ、間奏ではマイクのコードで縄跳びを始めるも、引っかかってしまいコードを叩きつけるという小学生のような姿が、完璧だったこの日のライブでの唯一のミスとして観客の目に刻まれると、
「サカナクションでした、ありがとうございました!」
と山口が言った瞬間にステージ裏から花火が上がった。まるで花火もこのライブの一つかのような完璧なタイミングだった。
サカナクションはこの会場の夜の時間に最も多くライブを行なっているバンドであるし、だからこそこの景色が最も似合うバンドと言っていい存在である。それを可能にしているのはやはり完璧な構成と、思考だけでなくて肉体性も伴ったライブパフォーマンス。もはや山中湖のヌシと言ってもいいバンドだ。
1.サンプル
2.アイデンティティ
3.夜の踊り子
4.表参道26時
5.ルーキー
6.ミュージック
7.新宝島
8.陽炎
20:25〜 DJ 石毛&ノブ (Party Set) [SPACE SHOWER STUDIO]
昼間にはトークショーも行われているSPACE SHOWER STUDIOでこの日のクロージングDJを務めるのは、4年連続登板となるこのフェスの守護神こと、the telephonesの石毛とノブ。
おなじみのサンタクロースの格好をした2人が登場して「サンタが街にやってくる」のダンスミュージック的なリミックスをかけ始めると、石毛が唇サングラスをかけ、the telephones「A.B.C.DISCO」からは一気にパーティーへ。
かつてこのフェスに何度も出演していたBOOM BOOM SATELLITES「KICK IT OUT」や石毛の師匠であるナカコーがいたSUPERCAR「STROBOLIGHTS」と、今はもう見ることができない偉大な先輩たちのダンスミュージックで踊らせまくり、最後はフレンズとして出演していた長島涼平も登場しての「Love & DISCO」でノブはDJブームを飛び出して客席を走り回り、誰のものかわからない麦茶を持ち帰ってくるという意味不明なパフォーマンスを見せながら、愛とディスコの大合唱を巻き起こし、今年も全盛期の大魔神・佐々木ばりの安定感の守護神っぷりで2日目のラブシャを締めくくった。
石毛はUKFCの時に発表した、the telephonesの2月のツアーの告知もしていたが、またこのフェスのステージでもあの4人でのライブをいつか見てみたい。
THE BAWDIES→サカナクション→the telephonesの石毛とノブという流れは昔「version21.1」や「KINGS」で同世代のバンドたちが自分たちのシーンを作ろうとしてた頃を思い出した。あの頃とは違うこともたくさんあるけれど、自分は今も彼らが作る音楽やライブにずっとワクワクしている。
結局、終わってみれば雨予報だったのがなんだったのかというくらいに雨具もいれないくらいの天候だった。サカナクションという雨バンドもいたが、それ以上に晴れバンドもたくさんいたし、会場の空気がそうした方向に持っていったんじゃないか、と思わせた1日だった。
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