ROCK IN JAPAN FES.2018 day1 @国営ひたち海浜公園 8/4

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今年で19年連続の開催となる、ロッキンオン主催のROCK IN JAPAN FES.。動員数や規模的には完全に日本最大級のフェスとなり、今年も1日69000人を動員。
ステージは今年も

GRASS STAGE
PARK STAGE
LAKE STAGE
Sound of Forest
BUZZ STAGE
WING TENT
Hillside Stage

の7つ。去年はWING STAGEとしてテントがなくなっていたWING TENTが1年で元どおりに。個人的にはTENTの方がライブハウス感もあるし、思い入れも強いので戻ったのは嬉しい。

この日はやはり天気が非常に暑く、快晴。ある意味では実にロッキンらしい天気と言える。


10:30~ go! go! vanillas [LAKE STAGE]

前説のrockin' on JAPAN総編集長・山崎洋一郎が、ある意味このフェスのシンボルとも言える「ROCKオブジェ」が会場の最寄りである勝田駅の近くに常設され、名実ともに勝田が「ロッキンの街」になったことを紹介すると、

「ボーカルの牧は初のLAKE STAGEで興奮し過ぎてなかなか寝れなかったらしく、大寝坊してついさっき着きました(笑)」

と暴露された、go! go! vanillas。初のLAKE STAGE出演にして、このフェスの大事なトップバッターを担う。

DVDにおいて牧の自宅で録音された様子を公開していた「We are go!」をSEにメンバーが元気良く登場。ジェットセイヤ(ドラム)はいつものように革ジャンを着てステージに現れたが、この暑さで果たして大丈夫なのかと若干心配になる。

「ロッキン!夏を感じようぜ!」

と明確に今年の夏を狙いにきたと思うが、ガンガン上げるようなタイプではなく、むしろ爽やかな風を感じさせるようなサマーチューン「SUMMER BREEZE」でスタートすると、「エマ」、さらには「アクロスザユニバーシティ」とかなり遡った曲までも連発してくる。

「リハが始まる寸前に着いた」

という牧はやはりまだ喉が開ききっていないのか、ハイトーン部分は出ていなかったものの、通常のボーカルは問題なし。それ以上に両サイドの柳沢進太郎と長谷川プリティ敬祐が、牧と3人で固まるように演奏したりとひたすらに動き回り、早くも汗だくになっているのがわかる。暑いからといっても全くペース配分は考えていないようだ。

ステージ中に大きな合唱が響き渡った「おはようカルチャー」、プリティによる回数を増していくハンドクラップも完全に定着した「おはようカルチャー」と、最新系を見せるのではなく、また夏仕様にするのでもなく、実にベスト的な内容。これはやはり初のLAKE STAGEかつ今年のトップバッターというのが影響しているのだろうか。ちょっと前までは最新アルバム「FOOLs」収録曲でバンドのサウンドが多様な広がりを持ってきていることを見せていただけに。
最初は着用していたサングラスを外したジェットセイヤが自慢の髪型を櫛で整えている前で、

「平成最後の夏、平成最後のロッキンですよ!平成と言えば俺たちだー!」

と牧が叫んで演奏されたのはもちろん、平成生まれのロックンローラーたちによる「平成ペイン」。

そして最後はこのバンドによる、ロックンロールの魔法「マジック」。この曲によって観客にかかるロックンロールの魔法。それはこのバンド自身もロックンロールの魔法の真っ只中にいるから。
まだまだ勢いのある若手バンドという立ち位置的にも、「おはようカルチャー」という午前中にうってつけの曲があること的にも、実に朝イチのLAKE STAGEが似合うバンドだということがよくわかるライブだったが、寝れなくなるほどに興奮していたこのステージから見る満員の客席の景色はどんなものだったんだろうか。


1.SUMMER BREEZE
2.エマ
3.アクロスザユニバーシティ
4.おはようカルチャー
5.カウンターアクション
6.平成ペイン
7.マジック

SUMMER BREEZE
https://youtu.be/lTYHDtukfcw


11:10~ Base Ball Bear [PARK STAGE]

初出演を果たした2006年から13年連続出演、昨年は大トリを務めたこのPARK STAGEで今年は午前中の出番となる、Base Ball Bear。紛れもなくこのフェスを代表するバンドの1組である。

リハでは小出がサングラスをかけた状態で「祭りのあと」をフル尺で演奏すると、本番では小出はサングラスなしで登場し、おなじみの堀之内会議をしてからの、小出と関根が向かい合って間奏を演奏する「真夏の条件」、歌い出しで大歓声があがった「BREEEEZE GIRL」という夏曲の連打で、これだけ暑くなっている天候に逆に感謝したくなるくらいに、こうして雲ひとつない青空の下で聴けることが嬉しい。

「もう今年ヤバいじゃないですか?2020年のオリンピックも暑さで時期をずらそうか、っていう話が出てるくらいなんで、JAPANも8月にできなくなるかもしれないですよ(笑)
そうなる前に、是非楽しんで帰ってください!」

と小出が前向きなのか後ろ向きなのかよくわからない暑さへの気合いを語ると、

「そんな感じで今日は暑すぎるので、爽やかな曲しかやりません!結成17年目の我々の曲!」

と宣言して17年目のバンドの「17才」へ。決して夏の曲というわけではないが、今年このステージでこの曲をやる理由が確かにあった。

13年連続ではあれど、昨年の出演時はサポートギターの弓木英梨乃を加えた4人編成だっただけに、3人だけでこのステージに立つのは実は初めて。そのライブで、最近はフェスでは演奏されていなかった「PERFECT BLUE」「LOVE MATHEMATICS」を3人バージョンでの実にタイトかつソリッドな演奏で披露。
関根はステージ両サイドの花道を走り回りながらベースを弾くが、そうしたパフォーマンスはかつてこのフェスのステージで湯浅が担っていたもの。それを関根がカバーし、小出も決してスカスカな演奏にならないように、湯浅が弾いていたギターと自身が弾いていたギターを上手くミックスしたギターを弾く。そして堀之内も手数を大幅に増したドラムで支える。3人それぞれの確かかつ飛躍的な技術の向上。過去12年全ての出演を見てきたが、どの年とも違う、新しいBase Ball Bearのロッキンの戦い方。

小出が観客にヒップホップ流のコールアンドレスポンスをしてからマイクを手に持ってラップし始めた3人バージョンの「The CUT」でバンドのグルーヴがどんどん向上していくと、

「まだJAPANは始まったばかりです。みなさんにとって素敵な夏になりますように。こんな風に」

と最後に演奏されたのは「ドラマチック」。我々の世代にとっての夏バンドはこのバンドだった。そしてそれは形が変わった今でも決して変わってない。今年もこうしてこのフェスでライブを見れることが本当に幸せだ。

このフェスは基本的にものすごく暑いというのが当たり前になっているフェスだし、ベボベもロック界きっての晴れバンドとして認知されてきた。それはずっと出続けてきた(以外にも他に毎年出ているフェスはない)このフェスのライブによって定着したと言っても過言ではない。初出演の時の屋根があったWING TENTを除き、このバンドがこのフェスに出ている時は常に真上に突き抜けるような青空があった。それはどれだけバンドの形やステージが変わってもずっと変わらない。今までも、これからも。


リハ.祭りのあと
1.真夏の条件
2.BREEEEZE GIRL
3.17才
4.PERFECT BLUE
5.LOVE MATHEMATICS
6.The CUT
7.ドラマチック

ドラマチック
https://youtu.be/Og0nJf6cIhw


12:35~ め組 [BUZZ STAGE]

昨年はHILLSIDE STAGEへ出演した、め組。ボーカルの菅原達也は前にやっていたバンド、さよなら、また今度ね。時代から毎年出演している。

おなじみ「め組の人」のSEで登場すると、菅原と富山(ギター)は揃いっぽい紫のジャージを履いている。紅一点メンバーの出嶋(キーボード)は鮮やかな衣装で存在感を放っている。

キャッチーかつポップなんだけど、どこか捻くれているというか、菅原の天然っぷりがそのまま曲に現れているだけでこのバンド特有の音楽になっているキラーチューン「マイ・パルプフィクション」「お化けだぞっておどかして」という2連発でスタートすると、

「今日やこのROCK IN JAPANの4日間で1番、いや、今年の夏フェスで1番のライブをしにやってきました!」

と言う通りに気合いが入りまくりの、屋根があるにもかかわらず序盤から汗が飛び散る熱演を見せると、新曲「Amenity」を披露。タイトルフレーズが印象的ではあるが、まだ曲全体としてはそこまでのインパクトは感じないだけに、実際に歌詞を見ながら聴いてどう思うか。

新作のリリースとツアーが開催されることを告知し、

「去年よりも大きいステージに立たせてもらってます!ロッキンオンの関係者の方々や、こうして見に来てくれるみんなに期待してもらってるのをすごく感じています!それに応えられるようにこれからも頑張ります!」

と実に素直な心境を打ち明けると、

「ちゅるりらら」

という他のどんなアーティストの曲でもまずないであろうフレーズを大合唱する「悪魔の証明」からラストは「ぼくらの匙加減」という、結果的には先月のJAPAN'S NEXTの時と変わらない内容。(持ち時間が同じだから仕方ないけれど)

菅原はこの日はMCではまともなことを言っているのに、叩くために持ったタンバリンをすぐさま投げ捨てるという挙動の不審さを相変わらず見せていた。そしてそうしてライブをする様子を、ロッキンオン社長の渋谷陽一がずっと客席で見ていた。菅原が言ったように、本当に期待されているし、このフェスでライブを見ると、デカいステージの方が似合うバンドなんじゃないかとも思う。


1.マイ・パルプフィクション
2.お化けだぞっておどかして
3.Amenity
4.悪魔の証明
5.ぼくらの匙加減

悪魔の証明
https://youtu.be/m0Zmnnm9AOw


13:25~ SPECIAL OTHERS [SOUND OF FOREST]

かつてはGRASS STAGEにも立ったことのある、SPECIAL OTHERS。去年のPARK STAGEを経て、久しぶりにSOUND OF FORESTに帰還。

いつものように4人がフラッとステージに現れると、曲に入る前に顔を見合わせながらセッション的に音で会話。セッションのサウンドからしてゆったりと始まるのかと思いきや、このバンドの中で最もノリが激しい「PB」で始まるという先制攻撃。宮原と又吉のリズム隊がしっかりとボトムをキープしているからこそ、芹澤と柳下の美麗なメロディがよりフリーキーに生きてくる。

やはりとんでもなく暑いのか、曲中であっても自身のキーボードの音が入らない部分では芹澤は水を飲んで暑さ対策。続く

「Rainbow,Shooting Star」

という宮原と芹澤のハーモニーが森の中に爽やかに響く「Good Luck」は横揺れの長尺曲。どことなくいつもとサウンドのアレンジを変えている?と思っていたらMCで、

芹澤「緊急事態。あまりに暑すぎて、キーボードの黒鍵がフライパンみたいになってるから火傷しそうで弾けない(笑)だから今日は白鍵多めのアレンジで演奏しております」

宮原「それはお得なことなのか?(笑)」

という事実が明かされる。確かにステージには真正面から日差しが当たるが、これは予期していなかった事態であろう。

宮原「芹澤がこんな暑いのに黒い服着てるからじゃない?(笑)」

芹澤「サカナクションとかみたいに売れてるバンドは黒い服着てるじゃん!(笑)
似合ってるって言ってよ!(笑)」

と観客に無理矢理「似合ってる」と言わせるMCで和ませると、いきなり演奏に入るのだが、明らかに普段フェスではやらない曲のイントロが鳴らされる。

「あれ?このイントロって…」

と思っていると、ステージには自身の出番を終えたばかりのMONGOL800のキヨサクが登場。もちろんかつてコラボした「空っぽ」を歌い始めるというサプライズ。時には観客に合唱を求めたりしながら、

「日々と共に進み 月と歩く
日々と共に進み 君と歩く」

というフレーズがバンドと観客の絆のように森の中に広がっていく。

この曲も長尺であるが故にフェスでもかなり異例の3曲という曲数の少なさではあったが、同じ日に出演し、近すぎず遠すぎずなタイムテーブルのこの日、この場所だからこそ実現した、超レアなコラボ。キヨサクとSPECIAL OTHERSのメンバーたちも演奏が終わってから一緒に写真を撮って、忘れられない夏の思い出になっていたようだが、それは見ていた我々もそう。普段のライブでは見れないことだからこそ、ずっと忘れないと思う。


1.PB
2.Good Luck
3.空っぽ feat.キヨサク (MONGOL800)

空っぽ
https://youtu.be/cXMaplY9Hv0


14:15~ キュウソネコカミ [GRASS STAGE]

5年連続出演にして、初のGRASS STAGEにたどり着いた、キュウソネコカミ。動員的には2~3年前からGRASSでもいけると言われていたし、CDJや他のフェスではメインステージに立っていたが、ようやくこのステージに立つ瞬間がやってきた。

メンバー全員での恒例の本気のリハをすると、そのまま捌けることなくステージに居座り、

セイヤ「俺たち感動的なMCをすることはできないし、今日はあんまし喋らないで曲をたくさんやるから!」

と宣言すると、

「ついにGRASS STAGEに立つことができました!」

と曲中で宣言する自己紹介的な「ウィーワーインディーズバンド!!」からスタート。さすがに初のGRASSということで気合いも充分、バンドの演奏も浮き足立ったり緊張感を感じることはなく、全員がこのステージに立っていることを楽しんでいるのが伝わってくる。

セイヤの宣言通りに曲のイントロにライブアレンジを加えた「ファントムバイブレーション」、

「ヒット曲はないけど、キラーチューンはあります!」

という言葉が最も似合う「ビビった」と、ひたすらに曲を連発していくというスタイルはツアーのみならずフェスでもこのバンドの最大の核である「音楽と楽曲」の魅力を伝える意味で実に大きな効果を発揮している。

新曲「推しのいる生活」ではステージ後ろのスクリーンに歌詞が映し出されるが、アイドルファンの人たちにとっての「あるある」というよりは、もはや真理を射抜いたようなフレーズの応酬。前作シングルがバンドの熱い部分を最大限に見せるような内容だったが、この曲はある意味では実にキュウソらしい曲と言える。

これだけの規模であってももはや盆踊りサークルが説明不要なくらいに浸透している「KMDT25」から、

「この人数で歴史を勉強しましょう!」

と言っての「KMTR645」では「ペディグリー」の代わりにヨコタがこのフェスのスポンサードリンクである「ポカリ」をカメラ目線で突き出して、熱中症対策をアピールし、オカザワのギターソロではバンドのマスコットキャラクターであるネズミくんもステージに登場。この暑さで着ぐるみを着るとは自殺行為のように見えてしまうが、ネズミくんの可愛い姿を見るとそんな思考は消えていく。

「このステージでこの曲をやれば、奴らにもそろそろ届くんじゃないかと思ってます!」

という「DQNなりたい、40代で死にたい」ではこのフェスのルール上、普段のライブのようにセイヤは客席に突入することはできない。だからこそステージに立ったまま、

「ヤンキー怖い」

の大合唱をさせるのだが、それがしっかり返ってくると、

「こんな変なコール&レスポンスでここまで来れたよー!」

とセイヤがヨコタに抱きつく。自分たちのスタイルを曲げたり、流行に合わせたりすることをしないで、キュウソのままでこのステージに立てた。それは

「バンドやってて良かったー!」

「今までの悔しさが全て報われました!」

というヨコタの言葉通り、批判されることも多かった自分たちの活動が間違っていなかったという肯定につながっている。だからこそ「ハッピーポンコツ」では自信を持って

「一生懸命やってきましたよ!」

と歌詞に合わせて言えるし、ラストの「The band」ではカッコいいロックバンドとしてこのステージに立っていることを証明しているような熱いパフォーマンスを見せた。まるでこの曲はこの日、このステージで鳴らされるために作られた曲であるかのように。

キュウソがこのフェスのPARK STAGE(まだ今のキャパに広がる前)に初出演した時、フェスの増刊号で、同じく初出演を果たしたグッドモーニングアメリカ、KEYTALKの3組で「次代を担うバンド」として対談をしたのだが、その時にセイヤは

「3年後にあの芝生の上に立ってるのは俺たちかもしれないですよ」

と自信を見せていた。そしてそれをちゃんと現実にして、3組の中で1番早くこのステージに立った。(翌週にはKEYTALKも初めてGRASS STAGEに出演する)

その有言実行っぷりを見せてくれたのが、インディーズ時代に

「ロキノン系にはなれそうもない」

と歌っていたこのバンドなんだから、こうしてGRASSに立った姿はたくさんの人に力や勇気を与えているはず。

去年のPARK STAGEでは

「GRASSに立てなかったのがめちゃくちゃ悔しいー!」

と叫び、VIVA LA ROCKでも悔しい姿を見てきたからこそ、この日のキュウソのライブは本当に感動的だった。

自分自身、キュウソがこのフェスに出始めた時は、カウンター的なスタイルであるが故にメインに出るイメージが湧かないと思っていた。ましてや普段ライブハウスでやるパフォーマンスができないのがこのフェスだ。

でもそれは違っていた。このフェスのステージは「キュウソの持ち味を最大限に発揮できない場所」じゃなくて「キュウソの持っている最も熱いバンドの部分を見ることができる場所」だったのだ。

来年以降もこのステージで、音楽を鳴らし続けてくれ。


1.ウィーワーインディーズバンド!!
2.MEGA SHAKE IT!!
3.ファントムバイブレーション
4.メンヘラちゃん
5.ビビった
6.推しのいる生活 (新曲)
7.KMDT25
8.KMTR645
9.DQNなりたい、40代で死にたい
10.ハッピーポンコツ
11.The band

The band
https://youtu.be/cP-ycyKl888


15:10~ THE BAWDIES [PARK STAGE]

まだ日差しはかなり厳しい中で、原点回帰的な黒のスーツに身を包んで登場した、THE BAWDIES。去年は2日目のLAKE STAGEのトリだったが、8年前にトリを務めたこのステージに帰還。

「お祭り大好きおじさんこと、THE BAWDIESでーす!乗り遅れないでしっかりついてきてくださいね!」

とROYが自己紹介すると、「IT'S TOO LATE」でスタートし、ROYがいつにもまして長い超ロングシャウトを炸裂させる。

早くもコール&レスポンスを巻き起こした「SING YOUR SONG」、花火のように飛び上がらせまくった「YOU GOTTA DANCE」とさすがにベストアルバムリリースのツアーを行っているだけに、フェスでの内容もそうしたものになっている。

そんな中でそのベストアルバムに収録された新曲「FEELIN' FREE」でバンドがこれから先も変わらずに進み続けるという意志を示すと、

ROY=ルーク・スカイウォーカー
TAXMAN=ダース・ベイダー
JIM=ヨーダ
MARCY=姫?

という配役での小芝居が展開。髪をばっさりと切ったJIMのヨーダのモノマネの上手さに爆笑が起こり、最後はROYがパンでTAXMANのライトセーバーを挟んで受け止め、

「これはまるで、HOT DOG、召し上がれ!」

と「HOT DOG」に突入。序盤から踊りまくっていたJIMはステージから落ちるんじゃないかと心配になってしまうくらいにギリギリまで客席に近づいてギターを弾きまくる。

それでもまだまだ手を緩めることはせず、「NO WAY」、8年前にこのステージに出演した時はリリース前の新曲だったことが年月の経過を感じさせる、ライブならではの溜めまくったブレイクから一気に爆発するアレンジの「JUST BE COOL」と一層盛り上がりと熱さを増し、ラストは曲のタイトルがバンドのメッセージそのものである「KEEP ON ROCKIN'」で締め、TAXMANのわっしょいも行い、来年1月の日本武道館ワンマンでの再会を約束してステージから去っていった。

去年のLAKE STAGEのトリは、桑田佳祐の真裏ということもあり、かなり厳しい集客だった。春のフェスでももうメインステージに立つのは厳しい現実を知らされたが、ライブそのものは今でもこのバンドがロックンロールの魔法にかかっていることを実感させてくれるくらいに素晴らしい。
自分はこのフェスに来て15年目だが、8年前のこのステージのトリでのこのバンドのライブは、15年間の中でもTOP3に入るくらいに伝説的なライブだったと思っているし、それ以降も出るたびにその日のベストアクト候補になるくらいの素晴らしいライブを見せてくれる。それはこの日ももちろんそうだった。


1.IT'S TOO LATE
2.SING YOUR SONG
3.YOU GOTTA DANCE
4.FEELIN' FREE
5.HOT DOG
6.NO WAY
7.JUST BE COOL
8.KEEP ON ROCKIN'

FEELIN' FREE
https://youtu.be/9QPYXir2gmk


15:45~ 筋肉少女帯 [SOUND OF FOREST]

橘高文彦の後ろの要塞のようなマーシャルアンプを見ると、このバンドがこのフェスに帰ってきたんだなぁと実感する。かつてはLAKE STAGEを入場規制にしたこともある大槻ケンヂ率いる筋肉少女帯、5年ぶりのひたちなか帰還である。

いきなりの代表曲「踊るダメ人間」からスタートするという飛ばしっぷりには、おそらくメンバーたちと同世代くらいと思われる、通路に立っている警備員のおじさんすらも曲を口ずさむ中、X JAPANのライブのごときダメジャンプが客席に展開される。

さらに「ワインライダー・フォーエバー」では曲途中の会話のようなメンバー同士のセリフ回し部分で、それまでのハードロックな演奏がカラオケになり、大槻ケンヂ、橘高、内田、本城の4人が全員ハンドマイクになってセリフを展開するというシュールな場面に。

「今日の我々の目標は生きて帰ること」

というオーバー50のハードロックバンドならではの目標を掲げると、

「5年ぶりですよ!前に出た時に渋谷陽一社長に
「大槻、お前はMCで噛みすぎなんだよ」
って言われて腹にパンチされた時以来ですよ!(笑)」

と相変わらずの達者なMCで笑わせながら、本来ならバラードをやる予定だったのに1番キツい叫びまくる曲をあえてやるという限界に挑むおじさんたちの姿を見せる「元祖 高木ブー伝説」では

大槻ケンヂ「高木と言えば!?」

観客「ブー!」

という、完全に昭和世代しか集まっていないからこそのコール&レスポンスも成立する。

「それにしてもこれは暑い!今日、自分の好きなバンドがMCで「暑い」って言ってた人~?
根性がないね!(笑)
じゃあ逆に「暑い」って言ってなかった人~?
嘘つきだね!(笑)
でもなんか、みんながクールな雰囲気で迎えてくれたから、なんかあんまり暑くないね。
(客席から「嘘つき!」という声が飛び)
ステージ上で頑張って歌ってるボーカリストに嘘つき!はないだろう!(笑)」

と見事な話術を見せながら、

「みんなはあんまり無理しないように!じゃないと、お釈迦様になっちゃいますよ~!」

と「釈迦」につなげてみせるのもまた見事だ。

「ユーミン、見たかったねぇ」

と言いながら全く似てないユーミンのモノマネをすると、最後に演奏されたのは来世での再会を約束する「ディオネア・フューチャー」。ロックには割とそのテーマ自体はよくあるものだが、やはり筋肉少女帯が歌うと通常のバンドとは全く違う内容になる。それはやはり作家としても活動する大槻ケンヂの独自の言葉の紡ぎ方によるものだし、それこそが筋肉少女帯を唯一無二の存在たらしめてきた。

最後はおなじみの橘高によるギターぶん回しや放り投げというパフォーマンスも見せ、「生きて帰る」という目標を達成した5年ぶりの出演を終えた。合間に休止期間もあったとはいえ、もはやバンド歴は30年。それでも昔からバカテクを誇っていた演奏力は全く錆びつかない。MCは前に出ていた頃の方がもっと爆笑を取っていた気もするけど。


1.踊るダメ人間
2.ワインライダー・フォーエバー
3.元祖 高木ブー伝説
4.釈迦
5.ディオネア・フューチャー

踊るダメ人間
https://youtu.be/w8rTZaS8-BY


16:20~ SUPER BEAVER [LAKE STAGE]

昨年はPARK STAGEのトリだった、SUPER BEAVER。今年はLAKE STAGEに登場。
渋谷のおなじみの挨拶的な言葉がテンポよく放たれると、手拍子が鳴り響く「美しい日」からスタート。

演奏中にメンバー紹介も挟みながら、「青い春」「正攻法」とキラーチューンを畳み掛け、「秘密」では

「声を出す、手をたたく、手をあげる。どれもが作業じゃないっていうことは知ってるよなぁ!?我々は死ぬ気でやりますんで、死ぬ気で返してください!」

という渋谷の言葉に呼応するかのような大合唱が響く。
メンバーの歌や音や歌詞の一つ一つ、どこを渋谷のみで歌ってどこをメンバー全員で歌うのかの抜き差し、手を叩いたり、合唱させるタイミング、その全てにこのバンドの意志がある。ただ盛り上げるためではなく、それがあって初めてこの曲たちは完成するかのように。

「初めてのLAKE STAGE。俺はこの時間にこのステージが人でいっぱいになればいいって思ってて。それはたくさん人がいた方が楽しいとか盛り上がるとかじゃなくて、普段は会っても挨拶をしないような人たちの人生がこのステージで交わるところが見たかったから。
もちろんそれぞれ年齢や性別や国籍や主義主張は違うわけで、そういう人たちが、一つになるっていうんじゃないんだよなぁ…。同じ方向を向くっていうのかな。そういうものになればいいかなって。
でもこの大切な1日や4日間のフェスも、大切な誰かと一緒にいる時間すらも、あっという間に終わってしまうよ」

と渋谷が独自の視線で言葉を並べてから演奏されたのは、まさに

「あっという間に終わってしまうよ」

というサビのフレーズがメンバー全員で歌われることによって、その時間の尊さを改めて実感させられる「閃光」。

そして最後はインディーズバンドである自分たちをこのステージに立たせてくれた関係者や、ここに足を運んでくれた全ての人たちへの感謝を曲にした「ありがとう」。セトリだけを見ると最近のフェスやイベントとなんら変わらないイメージを抱くかもしれない。しかしこの曲たちを選んだのには、この日この場所だからこその明確な意志と理由があった。それをしっかり感じさせてくれるからこそ、SUPER BEAVERは今やチケットが全く取れないレベルのバンドにまでなった。

このライブがあっという間に終わってしまったように、この1日も、フェスの4日間も、今年の夏も。大切な、かけがえのない時間はあっという間に終わってしまうよ。


1.美しい日
2.青い春
3.正攻法
4.秘密
5.閃光
6.ありがとう

閃光
https://youtu.be/CxTtwJ2yG_E


17:00~ BURNOUT SYNDROMES [WING TENT]

リハの段階でベース兼総合司会の石川大裕がおなじみのヘッドマイクをつけて軽快な語り口を見せていた、BURNOUT SYNDROMES。以外にもこのフェス初出演である。

「数學少女」のSEで3人が登場すると、

「初めてのロッキンを、この曲で始めたかった!」

と言って「PIANOTUNE」でスタート。もちろんスリーピースバンドであるがゆえにピアノのメンバーはいないし、ピアノの音も打ち込みだが、この曲には音楽で世界が変わるという熊谷の体験による歌詞が描かれている。

最新曲「世界を回せ」ではサビで観客にタオルを振り回させ、さらには熊谷が開戦の合図として法螺貝を吹く、石川がこのフェスに出演できた喜びを言葉にしたラップを披露するなど、持てる武器を総動員して初のこのフェスのステージに爪痕を残そうとするのだが、そうした飛び道具的なパフォーマンスよりも強い印象を与えていたのはメンバーの演奏。かつて「文學少女」リリース直後にイベントで見たライブとはもう全く別のバンドと言ってもいいくらいの進化っぷり。単に演奏技術が上がっただけではなく、ステージを端から端まで走り回ったり、サビ前で大きくジャンプをしたり、煽りながら演奏したりとバンドの見せ方も本当に上手くなっている。

そのバンドの音楽面での進化は総合司会の石川のMCにも自信をもたらしていて、かつて見た時は面白いけどまだ頼りないという感じだったのが、実に堂々としている。

後半はこのバンドの代表曲である、アニメのタイアップ曲を連発していくのだが、さすがにアニメのタイアップになるだけあり、サビのメロディが実に強い。そして自分の近くには親子で来ている人がいたのだが、まだ幼稚園児くらいの子供が、この曲たちの演奏を聴いてものすごく楽しそうにしていた。(おそらくここにいた誰よりも純粋に楽しんでいた)
フェスに家族で来るとなると、子供は連れて来られるというイメージを持ちがちだが、子供も大人と一緒にライブを楽しめる。(もちろん耳とかには充分注意して欲しいけれど)
そうしてこのフェスでのライブがその子供にとって、ロックの原体験になっていく。そう考えると、今の時代にこうしてロックバンドがアニメのタイアップ曲をやるというのは、ただ多くの人に聴いてもらうということ以上に大きな意味を持っていると思う。

演奏が終わると、3人は並んでステージの前に出てきて、

「来年、ツアーをやるんです。今日、チケットが会場で売ってます。今日買うと、なんとチケットの手数料が、無料!(笑)
物販もあります。今日買うと、送料が、無料!(笑)
今日は我々は物販には立てないんですけど、今日買ってくれた方には、街中で会ったらサインします権をプレゼントします(笑)」

と、最後まで独特なMCで笑わせながらも、このバンドがどういう風にファンと向き合っているのかがよくわかる内容だった。
前にライブを見た時は「歌詞のように気難しい感じの人なのかな」と思うような表情が多かった熊谷も、とびきりの笑顔を浮かべていた。確固たる手応えを初出演にして掴んだのだろうか。


1.PIANOTUNE
2.世界を回せ
3.花一匁
4.FLY HIGH!!
5.ヒカリアレ

ヒカリアレ
https://youtu.be/msXCOUVG3lU


18:00~ 10-FEET [GRASS STAGE]

今年の夏の10-FEETは悔しい思いばかりをしてきたはずだ。主催フェスである京都大作戦は中止。出演するはずだったWILD BUNCHも中止。第一回の京都大作戦も台風で中止になっているとはいえ、改めて自然には勝てないということを我々フェスに行くロックファンも思い知らされた。

しかしながらこの日はこのトリの時間まで、雲ひとつない晴天。おなじみのドラクエのSEで登場すると、NAOKI(ベース)が中止になった京都大作戦のTシャツを着ていることに大きな歓声が上がる。

「10-FEETでした!ありがとうございました!最後の曲です!」

とおなじみのTAKUMAの悪ふざけ的な挨拶から「VIBES BY VIBES」でスタートすると、フェスでおなじみの代表曲に、昨年リリースされた久しぶりのフルアルバム「Fin」の収録曲を交えていく。
今までの10-FEETならば割と定番曲をひたすら演奏して終わるという感じになりがちだったが、そこに「Fin」収録のシングル曲だけでなく、アルバム曲すらも何曲も演奏できたのは、今年からこのGRASS STAGEのトリを務めるバンドは90分というワンマン並みの持ち時間を与えられているからである。

だからこそ「夢の泥舟」のような緩急で言うならば「緩」の部分に当たるようなアルバム曲も演奏することができるようになるし、それによってスカパラホーンズが登場した「hammer ska」はさらなる盛り上がりを生み出していた。曲が終わると谷中敦が記念撮影をしだしたので、ライブが終わったかのような雰囲気になってもいたが。

そして10-FEETのロッキンといえば、

「笑い話にできないくらいにめちゃくちゃ怒られた」

というかつての「靴だけダイブ」や「人間ピラミッド」など、ダイブ禁止のこのフェスのギリギリで戦おうという姿勢。
この日も

「大ケガするのは嫌やけど、かすり傷や青アザくらいならええんちゃうんか」

と、

「バッターの内角ギリギリをえぐるような」

という言葉通りに、直接的な言及はしないが、大人しく見てろというのとは全く真逆の言葉を客席に向けて放っていく。

ちなみにTAKUMAの「セーフかアウトか」の判断基準は
「客席がモニターに映らなくなったらアウト」
ということ。なので、

「アウトっぽかったらもうスタッフに聞こうや(笑)ホウレンソウが大事や。
「報告・連絡・そうしよう」や(笑)」

という誤ったホウレンソウを掲げることに。

さらには
「KOUICHIがAVをELLEGARDENのライブDVDのパッケージの中に隠してたら嫁にバレて怒られた」
「KOUICHIが兄の500円貯金箱から毎日500円を1枚ずつ抜いていた」
というエピソードで爆笑を巻き起こすのだが、ひとしきり喋り終わると、

「もうこっからはどこまで曲ができるかのチキンレースや。今日はアンコールの時間までもらってるけど、一旦捌けてまた出てきてっていうのがムダやから、そのままギリギリまで曲をやります」

と言ってラストスパートへ。何の曲をやるのかをどこまで決めていたのかはわからないが、「RIVER」ではおなじみのご当地ネタを
「那珂川」「利根川」
の2パターンに変えて歌い、「その向こうへ」「ヒトリセカイ」と終盤に相応しい曲を演奏してもまだ攻めるべく、

「ギリギリまでテンポ速くすればいける!」

とテンポを速めた「CHERRY BLOSSOM」でタオルが飛び交いまくり、まさにワンマンレベルの満足感を与えてくれた。

てっきり、京都大作戦が中止になったことなどに言及するのかと思いきや、そんなことは一言もTAKUMAは言わなかったし、そんな素振りも見せなかった。それはそうだ、自分たちのフェスのことをこのフェスのトリという場所に持ち込んだって仕方がないんだから。
だからこそ、京都大作戦の鬱憤を晴らすというような内容ではなく、10-FEETはもっと大きな視点で、「こうして様々なルールや考え方がある中で、自分たちらしくあり続けるにはどうしたらいいのか」という意識を持っているように見えた。それはもはや10-FEETが京都大作戦だけではなく、日本の様々なフェスや日本のロックシーンを背負う存在になったことの証明でもある。
そんなバンドが、多種多様な人たちが7万人近くも集まっているこのフェスのステージで最後に口にした言葉が

「今日だけは周りの人と仲良くやれよ」

だったのは、他のどんな言葉よりも10-FEETの3人の人間性を表していた。


1.VIBES BY VIBES
2.1size FITS ALL
3.1sec.
4.goes on
5.Super Stomper
6.火とリズム
7.Fin
8.2%
9.夢の泥舟
10.hammer ska w/ スカパラホーンズ
11.アンテナラスト
12.太陽4号
13.蜃気楼
14.RIVER
15.その向こうへ
16.ヒトリセカイ
17.CHERRY BLOSSOM

Fin
https://youtu.be/Ezmt3MVmH94


10-FEETがステージから去ると、夜空に花火が上がった。雲ひとつないくらいの快晴、それは昼には炎天下という過酷な状態を生み出していたが、夜にはこの上なく花火がキレイに見える舞台になっていた。


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