LOFT HEAVEN GRAND OPENING 佐々木亮介の夜遊び天国 @LOFT HEAVEN 7/14
- 2018/07/15
- 02:03
a flood of circleの歌詞にも出てくるライブハウス、新宿LOFTの新たな系列店、LOFT HEAVENがグランドオープン。渋谷の青山学院大学のすぐ近くにあったlast waltzというライブハウスを改装したもので、100席の椅子ありの客席、ステージにはグランドピアノも常設されているという、「新宿LOFT暗がりでロクデナシたちは叫んでいた」というLOFTのイメージとは全く違う、弾き語りがメインになるであろうライブハウス。
そんな新しいライブハウスのオープニング公演に選ばれたのが、先週ツアーファイナルを終えたばかりのa flood of circleの佐々木亮介の弾き語り。これまでにもソロや弾き語りなどをよく行ってきているが、今回はソロのバンドメンバーに名を連ねていたウエノコウジ(the HIATUSなど)がゲスト出演することがアナウンスされている。LOFT HEAVENの内装はおよそ年中革ジャンを着ているロックンローラーに似合わない、アダルトかつムーディーなものである。
18時を過ぎると、ステージに佐々木亮介が登場したのだが、革ジャンではなく通常の黒のジャケットというのはこの日の猛暑に対応してのものなのか。
椅子に座ってアコギを持つと、まずは挨拶がわりにこの日の日程や会場の名前を入れた即興的な「LOFT HEAVENのブルース」でスタート。ただ、曲中にはこの日のゲストであるウエノコウジが昨日の名古屋のライブ後に飲酒した結果、2日酔い真っ只中であることが明かされる。しかしながらいきなり心配になるのは亮介の声。もともとしゃがれた声なだけにキレイに歌おうとか、自分のキーよりもはるかに高く歌うようなところはそんなにないが、明らかにキツそうな歌い方をしているし、ところどころひっくり返りそうなハラハラした空気を孕んでいる。
すると近年はバンドのライブではほとんど演奏されない「Thunderbolt」というレア曲を歌うのだが、
「ぶっ壊しにいこうぜ」
という歌詞の曲を新しくできたばかりのライブハウスで歌おうという遊び心あってのものらしい。
「天国っぽい曲がそんなにない」
とLOFT HEAVENのHEAVENの部分に合わせようとしたらしく、
「天国ではないけど、空を見上げた時に作った曲」
と紹介された「アンドロメダ」とレア曲が続くのは弾き語りならではと言ってもいいだろう。できることなら久しぶりにバンド編成のライブでもこれらの曲を聴いてみたいところではあるが。
ブルースへの愛情を語ってから歌った「コインランドリー・ブルース」、
「天国にも地獄にも興味ない」
という歌詞が天国に合わせたのかなんなのかという軽快な「YU-REI Song」、
「LOFTで初めて弾き語りした時に作った曲」
だという、確かに当時はまだバンドバージョンでは演奏されておらず、のちにカップリングにバンドバージョンが収録された「月面のプール」を歌うと、新宿LOFTが重ねてきた歴史と、そこで出会ってきたロックンローラー、ブルースとのエピソードを語り、
「社会からはだいぶはみ出てるかもしれないけど、みんな本当に優しくて。それで歌詞の中に登場人物が6人くらいいたりするブルースを歌ったりしてて。すごい発想だなって」
と言って演奏されたのは、HEATWAVEの山口洋が作り、奇しくもこの日から開催されているap bank fes.の主催バンドである、桜井和寿と小林武史のbank bandがカバーしたことで世の中に知られるようになった「トーキョー・シティー・ヒエラルキー」のカバー。佐々木亮介という男がすごいのは、こうして他の人が歌った曲であっても、その声で歌えば「佐々木亮介の曲」になるということ。それはカバー曲中心だった第2部でより一層そう思わされるのだが。
第1部最後に演奏された「Wink Song」ではまさかの亮介がピアノをたどたどしく弾きながら歌うという、この機会でなければ絶対見られないであろうピアノ弾き語り。これはグランドピアノが常設してあるこの会場だからこそであったはずだが、亮介がピアノを弾く姿を見れるなんて誰が想像しただろうか。
休憩を挟んでの第2部ではウエノコウジ(the HIATUS、武藤昭平 with ウエノコウジ、ex.ミッシェル・ガン・エレファント)を伴って登場。
ウエノコウジ「武藤昭平 with ウエノコウジのワンマンは3時間半くらいあるんだけど、通し稽古をやったら曲自体は1時間ないくらいだった(笑)あとは俺が喋ってるっていう(笑)もう、さだまさしか俺か、っていうくらい(笑)俺たちはアコースティックだから通し稽古をカラオケでやってるんだけど(笑)」
佐々木亮介「そもそもリハを通し稽古って呼んでるんですか?(笑)」
という通りにウエノコウジが言った通りに、まぁウエノコウジが喋りまくる。1曲終わる度に喋りまくるのだが、バンドではない弾き語りだからこそのテンポの良さ(メンバーのアウトロ演奏などがないから)を見事にそのトークで相殺してくれる。
「武藤昭平 with ウエノコウジの新作のタイトルは細美武士に英語を教えてもらって作った(笑)」
「武藤昭平 with ウエノコウジのレコーディングに参加してくれた堀江博久は前にthe HIATUSで一緒にやってたんだけど、あいつはビッグマックに強いこだわりを持っていて、マクドナルド用賀店のビッグマックが1番美味い、油が違う!っていう頭がおかしいことを言ってくる(笑)」
と、the HIATUSのメンバー関連の普段は聞けない話を聞けるのはファンとしては実に嬉しい。そもそもウエノコウジ自身がthe HIATUSのライブではほとんど喋らないため、武藤昭平 with ウエノコウジのライブやこうした自由時間が多いライブだと、ウエノコウジの面白さや人間らしさを実感させてくれる。ちなみに佐々木亮介もウエノコウジも前日の名古屋のライブ後に朝まで飲んでいたのだが、亮介は2日酔いはほとんどないが、ウエノコウジはゴリゴリに酒が残った状態でのライブだったらしい。なのに普通にステージ上でビールを飲んでいる姿はさすが「酒飲みのプロ」である。
そんな2人でのライブはおなじみの日本語バージョンの「Got My Mojo Workin'」からスタートすると、現在癌で闘病中の武藤昭平に変わり、亮介がボーカルを務めた、武藤昭平 with ウエノコウジの新作アルバムからの曲(ウエノコウジは「アルバム」と言わずに「レコード」というあたりがさすが50歳オーバー)、武藤昭平にエールを送るために武藤昭平のバンドである勝手にしやがれの曲など、カバー曲が中心。これらの曲ではウエノコウジがカズーを吹きながらベースを弾くのだが、亮介に
「カズーのプロ演奏者になりましょうよ(笑)」
というわけのわからないアドバイスをもらう。
そんな中に、新宿LOFTで初めてフラッドがRadio Caroline(ウエノコウジかミッシェル解散後にやっていたバンド)と対バンした時の話や、宇都宮でまだ20歳だったフラッドのメンバーと対バンした時に、ウエノコウジが打ち上げに呼んでくれた話など、この機会だからこそ聞けるようなレアな話が次々に開陳される。どれも爆笑を巻き起こすのはさすがにワンマンで2時間以上喋っているというウエノコウジならではである。
「ソロのアルバム出したツアーでもウエノさんに参加してもらったんだけど、この曲をウエノさんが弾いてくれるとは思わなくて。でもアコースティックならアリかな、って」
と言ってソロアルバムに収録されていた「Blanket Song」を披露したのだが、ウエノコウジのイメージに合わないというのは、この曲がロックンロールというよりもブルースっぽい曲だからだろうか。
亮介「この曲を、MVでひたすら飲み屋をはしごしてる映像を使った酒飲みのプロである、ウエノさんと一緒にやりたかった」
ウエノ「40歳を過ぎるとカッコつけることがなくなる。むしろ昔のカッコつけてる自分を見るとめちゃくちゃ恥ずかしくなる(笑)」
というやり取りのあとに演奏されたのは、河島英五の大ヒット曲「酒と泪と男と女」。いわゆる昭和の匂いが強い曲だが、それすらも亮介が歌えば、現代を生きるものが歌うブルースになる。武藤昭平の代わりに中津川ソーラー武道館に出演するというのも実に納得できる話だ。ちなみにウエノコウジは突如として汗をタオルで拭いながら、
「このタオル、めちゃ汗を吸うなぁ。なんだ、このタオル?こ、これは物販で売ってるタオルじゃないか!(笑)」
とベテランらしすぎるMCで亮介の物販を後押しする。ウエノコウジが言うところによると、バンドマンが1番嫌いな言葉は「在庫」であるらしい。そのあたりは我々一般人との数少ない共通点であるとも。
再び武藤昭平 with ウエノコウジの乾杯曲である「サルー」で、すでにステージ上でビールを飲みまくっている2人が観客とも乾杯を交わすと、最後は
「みんな、最初から最後まで歌ってくれ!」
という亮介の言葉で大合唱が発生した、フラッドの「I LOVE YOU」で終了。ワンマンでも演奏されていた曲だが、空気感はまるっきり違う。それこそが弾き語りライブの醍醐味でもあると思う。
アンコールでは亮介が1人で登場し、なんの曲をやるか悩みながら、観客の顔を見渡して、フラッドの「ベストライド」を選択。「I LOVE YOU」同様、いやそれ以上に大合唱が巻き起こると、
「今日、後ろの方の人の顔を全然見てないから、そっちまで行くわ!」
と亮介が最前列の観客にマイクスタンドを持ってもらい、ウエノコウジもコーラスでステージに登場しながら、客席の間の通路で熱唱。そのあまりの熱量の高さに、さらなるアンコールを求める声が続いていたが、さすがにこれ以上はやらなかった。おそらくこの段階で2人はもう楽屋で飲み始めていただろうから。
1部ではフラッドのレア曲、2部ではウエノコウジとの微笑ましいトークを中心にしたカバー曲と、この日、この場所で、この2人でライブをやる理由しか見当たらないような内容だった。しかしながらやはり心配なのは亮介の声。明らかに中日の浅尾や、巨人の山口鉄也のように酷使し過ぎである。声が潰れることでそこまでライブに影響が出るタイプではないが、ワンマンの時と比べたら明らかに状態は違っていた。だからといってよくないライブだったのか、と言われると全くそんなことはないが、もし仮に喉を手術するような事態にまでなってしまうと、これまでいくらメンバーが変わっても立ち止まらなかったフラッドが止まらないといけないことになる。それだけに、休む時はしっかり休んで欲しいのだ。すでにシングルとアルバムのリリースも決まっているだけに休む暇がないかもしれないが。
とはいえ、記念すべきこけら落とし公演でこのライブハウスの歴史に「佐々木亮介」という名前をしっかりと刻みつけた。これからも亮介はきっとこの会場でライブをやるだろうし、「ウエノコウジのおしゃべり天国」も是非見てみたい。泥酔ジャーナリストである百々和宏(MO'SOME TONEBENDER)とウエノコウジがステージ上で飲みながら一緒に酒を飲めるなんて、酒飲みとしてそんなに幸せそうなことは他になかなかないだろうから。
第1部
1.LOFT HEAVENのブルース
2.Thunderbolt
3.アンドロメダ
4.コインランドリー・ブルース
5.YU-REI Song
6.月面のプール
7.トーキョー・シティー・ヒエラルキー (HEATWAVEのカバー)
8.ジュテームアデューベルジャンブルース
9.Wink Song (亮介ピアノ弾き語り)
第2部 with ウエノコウジ
10.Got My Mojo Workin' (Muddy Waters)
11.ローリン・サーカス (武藤昭平 with ウエノコウジ)
12.ウェイブ (武藤昭平 with ウエノコウジ)
13.デヴィッドスター (勝手にしやがれ)
14.Blanket Song
15.酒と泪と男と女 (河島英五)
16.サルー (武藤昭平 with ウエノコウジ)
17.I LOVE YOU
encore
18.ベストライド
ベストライド
https://youtu.be/zEcR2IXerA0
Next→ 7/15 JAPAN'S NEXT @渋谷O-EASTなど
そんな新しいライブハウスのオープニング公演に選ばれたのが、先週ツアーファイナルを終えたばかりのa flood of circleの佐々木亮介の弾き語り。これまでにもソロや弾き語りなどをよく行ってきているが、今回はソロのバンドメンバーに名を連ねていたウエノコウジ(the HIATUSなど)がゲスト出演することがアナウンスされている。LOFT HEAVENの内装はおよそ年中革ジャンを着ているロックンローラーに似合わない、アダルトかつムーディーなものである。
18時を過ぎると、ステージに佐々木亮介が登場したのだが、革ジャンではなく通常の黒のジャケットというのはこの日の猛暑に対応してのものなのか。
椅子に座ってアコギを持つと、まずは挨拶がわりにこの日の日程や会場の名前を入れた即興的な「LOFT HEAVENのブルース」でスタート。ただ、曲中にはこの日のゲストであるウエノコウジが昨日の名古屋のライブ後に飲酒した結果、2日酔い真っ只中であることが明かされる。しかしながらいきなり心配になるのは亮介の声。もともとしゃがれた声なだけにキレイに歌おうとか、自分のキーよりもはるかに高く歌うようなところはそんなにないが、明らかにキツそうな歌い方をしているし、ところどころひっくり返りそうなハラハラした空気を孕んでいる。
すると近年はバンドのライブではほとんど演奏されない「Thunderbolt」というレア曲を歌うのだが、
「ぶっ壊しにいこうぜ」
という歌詞の曲を新しくできたばかりのライブハウスで歌おうという遊び心あってのものらしい。
「天国っぽい曲がそんなにない」
とLOFT HEAVENのHEAVENの部分に合わせようとしたらしく、
「天国ではないけど、空を見上げた時に作った曲」
と紹介された「アンドロメダ」とレア曲が続くのは弾き語りならではと言ってもいいだろう。できることなら久しぶりにバンド編成のライブでもこれらの曲を聴いてみたいところではあるが。
ブルースへの愛情を語ってから歌った「コインランドリー・ブルース」、
「天国にも地獄にも興味ない」
という歌詞が天国に合わせたのかなんなのかという軽快な「YU-REI Song」、
「LOFTで初めて弾き語りした時に作った曲」
だという、確かに当時はまだバンドバージョンでは演奏されておらず、のちにカップリングにバンドバージョンが収録された「月面のプール」を歌うと、新宿LOFTが重ねてきた歴史と、そこで出会ってきたロックンローラー、ブルースとのエピソードを語り、
「社会からはだいぶはみ出てるかもしれないけど、みんな本当に優しくて。それで歌詞の中に登場人物が6人くらいいたりするブルースを歌ったりしてて。すごい発想だなって」
と言って演奏されたのは、HEATWAVEの山口洋が作り、奇しくもこの日から開催されているap bank fes.の主催バンドである、桜井和寿と小林武史のbank bandがカバーしたことで世の中に知られるようになった「トーキョー・シティー・ヒエラルキー」のカバー。佐々木亮介という男がすごいのは、こうして他の人が歌った曲であっても、その声で歌えば「佐々木亮介の曲」になるということ。それはカバー曲中心だった第2部でより一層そう思わされるのだが。
第1部最後に演奏された「Wink Song」ではまさかの亮介がピアノをたどたどしく弾きながら歌うという、この機会でなければ絶対見られないであろうピアノ弾き語り。これはグランドピアノが常設してあるこの会場だからこそであったはずだが、亮介がピアノを弾く姿を見れるなんて誰が想像しただろうか。
休憩を挟んでの第2部ではウエノコウジ(the HIATUS、武藤昭平 with ウエノコウジ、ex.ミッシェル・ガン・エレファント)を伴って登場。
ウエノコウジ「武藤昭平 with ウエノコウジのワンマンは3時間半くらいあるんだけど、通し稽古をやったら曲自体は1時間ないくらいだった(笑)あとは俺が喋ってるっていう(笑)もう、さだまさしか俺か、っていうくらい(笑)俺たちはアコースティックだから通し稽古をカラオケでやってるんだけど(笑)」
佐々木亮介「そもそもリハを通し稽古って呼んでるんですか?(笑)」
という通りにウエノコウジが言った通りに、まぁウエノコウジが喋りまくる。1曲終わる度に喋りまくるのだが、バンドではない弾き語りだからこそのテンポの良さ(メンバーのアウトロ演奏などがないから)を見事にそのトークで相殺してくれる。
「武藤昭平 with ウエノコウジの新作のタイトルは細美武士に英語を教えてもらって作った(笑)」
「武藤昭平 with ウエノコウジのレコーディングに参加してくれた堀江博久は前にthe HIATUSで一緒にやってたんだけど、あいつはビッグマックに強いこだわりを持っていて、マクドナルド用賀店のビッグマックが1番美味い、油が違う!っていう頭がおかしいことを言ってくる(笑)」
と、the HIATUSのメンバー関連の普段は聞けない話を聞けるのはファンとしては実に嬉しい。そもそもウエノコウジ自身がthe HIATUSのライブではほとんど喋らないため、武藤昭平 with ウエノコウジのライブやこうした自由時間が多いライブだと、ウエノコウジの面白さや人間らしさを実感させてくれる。ちなみに佐々木亮介もウエノコウジも前日の名古屋のライブ後に朝まで飲んでいたのだが、亮介は2日酔いはほとんどないが、ウエノコウジはゴリゴリに酒が残った状態でのライブだったらしい。なのに普通にステージ上でビールを飲んでいる姿はさすが「酒飲みのプロ」である。
そんな2人でのライブはおなじみの日本語バージョンの「Got My Mojo Workin'」からスタートすると、現在癌で闘病中の武藤昭平に変わり、亮介がボーカルを務めた、武藤昭平 with ウエノコウジの新作アルバムからの曲(ウエノコウジは「アルバム」と言わずに「レコード」というあたりがさすが50歳オーバー)、武藤昭平にエールを送るために武藤昭平のバンドである勝手にしやがれの曲など、カバー曲が中心。これらの曲ではウエノコウジがカズーを吹きながらベースを弾くのだが、亮介に
「カズーのプロ演奏者になりましょうよ(笑)」
というわけのわからないアドバイスをもらう。
そんな中に、新宿LOFTで初めてフラッドがRadio Caroline(ウエノコウジかミッシェル解散後にやっていたバンド)と対バンした時の話や、宇都宮でまだ20歳だったフラッドのメンバーと対バンした時に、ウエノコウジが打ち上げに呼んでくれた話など、この機会だからこそ聞けるようなレアな話が次々に開陳される。どれも爆笑を巻き起こすのはさすがにワンマンで2時間以上喋っているというウエノコウジならではである。
「ソロのアルバム出したツアーでもウエノさんに参加してもらったんだけど、この曲をウエノさんが弾いてくれるとは思わなくて。でもアコースティックならアリかな、って」
と言ってソロアルバムに収録されていた「Blanket Song」を披露したのだが、ウエノコウジのイメージに合わないというのは、この曲がロックンロールというよりもブルースっぽい曲だからだろうか。
亮介「この曲を、MVでひたすら飲み屋をはしごしてる映像を使った酒飲みのプロである、ウエノさんと一緒にやりたかった」
ウエノ「40歳を過ぎるとカッコつけることがなくなる。むしろ昔のカッコつけてる自分を見るとめちゃくちゃ恥ずかしくなる(笑)」
というやり取りのあとに演奏されたのは、河島英五の大ヒット曲「酒と泪と男と女」。いわゆる昭和の匂いが強い曲だが、それすらも亮介が歌えば、現代を生きるものが歌うブルースになる。武藤昭平の代わりに中津川ソーラー武道館に出演するというのも実に納得できる話だ。ちなみにウエノコウジは突如として汗をタオルで拭いながら、
「このタオル、めちゃ汗を吸うなぁ。なんだ、このタオル?こ、これは物販で売ってるタオルじゃないか!(笑)」
とベテランらしすぎるMCで亮介の物販を後押しする。ウエノコウジが言うところによると、バンドマンが1番嫌いな言葉は「在庫」であるらしい。そのあたりは我々一般人との数少ない共通点であるとも。
再び武藤昭平 with ウエノコウジの乾杯曲である「サルー」で、すでにステージ上でビールを飲みまくっている2人が観客とも乾杯を交わすと、最後は
「みんな、最初から最後まで歌ってくれ!」
という亮介の言葉で大合唱が発生した、フラッドの「I LOVE YOU」で終了。ワンマンでも演奏されていた曲だが、空気感はまるっきり違う。それこそが弾き語りライブの醍醐味でもあると思う。
アンコールでは亮介が1人で登場し、なんの曲をやるか悩みながら、観客の顔を見渡して、フラッドの「ベストライド」を選択。「I LOVE YOU」同様、いやそれ以上に大合唱が巻き起こると、
「今日、後ろの方の人の顔を全然見てないから、そっちまで行くわ!」
と亮介が最前列の観客にマイクスタンドを持ってもらい、ウエノコウジもコーラスでステージに登場しながら、客席の間の通路で熱唱。そのあまりの熱量の高さに、さらなるアンコールを求める声が続いていたが、さすがにこれ以上はやらなかった。おそらくこの段階で2人はもう楽屋で飲み始めていただろうから。
1部ではフラッドのレア曲、2部ではウエノコウジとの微笑ましいトークを中心にしたカバー曲と、この日、この場所で、この2人でライブをやる理由しか見当たらないような内容だった。しかしながらやはり心配なのは亮介の声。明らかに中日の浅尾や、巨人の山口鉄也のように酷使し過ぎである。声が潰れることでそこまでライブに影響が出るタイプではないが、ワンマンの時と比べたら明らかに状態は違っていた。だからといってよくないライブだったのか、と言われると全くそんなことはないが、もし仮に喉を手術するような事態にまでなってしまうと、これまでいくらメンバーが変わっても立ち止まらなかったフラッドが止まらないといけないことになる。それだけに、休む時はしっかり休んで欲しいのだ。すでにシングルとアルバムのリリースも決まっているだけに休む暇がないかもしれないが。
とはいえ、記念すべきこけら落とし公演でこのライブハウスの歴史に「佐々木亮介」という名前をしっかりと刻みつけた。これからも亮介はきっとこの会場でライブをやるだろうし、「ウエノコウジのおしゃべり天国」も是非見てみたい。泥酔ジャーナリストである百々和宏(MO'SOME TONEBENDER)とウエノコウジがステージ上で飲みながら一緒に酒を飲めるなんて、酒飲みとしてそんなに幸せそうなことは他になかなかないだろうから。
第1部
1.LOFT HEAVENのブルース
2.Thunderbolt
3.アンドロメダ
4.コインランドリー・ブルース
5.YU-REI Song
6.月面のプール
7.トーキョー・シティー・ヒエラルキー (HEATWAVEのカバー)
8.ジュテームアデューベルジャンブルース
9.Wink Song (亮介ピアノ弾き語り)
第2部 with ウエノコウジ
10.Got My Mojo Workin' (Muddy Waters)
11.ローリン・サーカス (武藤昭平 with ウエノコウジ)
12.ウェイブ (武藤昭平 with ウエノコウジ)
13.デヴィッドスター (勝手にしやがれ)
14.Blanket Song
15.酒と泪と男と女 (河島英五)
16.サルー (武藤昭平 with ウエノコウジ)
17.I LOVE YOU
encore
18.ベストライド
ベストライド
https://youtu.be/zEcR2IXerA0
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