黒木渚 ONEMAN LIVE 2014 @渋谷公会堂 6/1
- 2014/06/01
- 20:58
昨年をもって、それまで活動していたスリーピースのバンド形態から、ボーカル黒木渚のソロに変更されることが発表された黒木渚。
そもそもバンド名=ボーカルの名前であることから、いずれはそうなるんだろうなという感じはしていたが、ミニアルバムとシングルしか出ていない状況という、あまりにも早い決断であった。
そんな中、今年リリースされた、ソロになってからの初めての音源となるアルバム「標本箱」が、ことCDで聴くぶんには形態が変わったことに対する不安な印象を100%吹き飛ばすほどの名盤ぶりだったので、果たしてライブではどうなのか確かめるためにこの日の渋谷公会堂ワンマンに参戦。
ステージ中央に置かれた真っ赤なギターにピンスポットが当たり、こちらも真っ赤な旗が置かれていたりと、これまでに何度もライブを見てきた渋谷公会堂のステージとはかなり異なる、演劇の舞台のようなステージ。
客席は2階の上段こそ空いているが、全体で9割方は埋まっているといった感じ。
早めの開演時間17時を15分ほど過ぎた頃、ゆっくりと会場が暗転し、鮮やかな金髪にドレスを纏った黒木渚が1人で登場。ステージ中央に置かれたギターを肩にかけて鳴らすと、「はさみ」を歌いはじめる。曲の途中でギタリスト井手上誠が登場し、原曲の美しいメロディのバラードというイメージを覆すような轟音ギターノイズが会場を支配すると、ベースの佐藤研二(マルコシアス・バンプ)、ドラムのマシータ(ex.BEAT CRUSADERS)も加わる。しかしながら、メンバーの演奏はどこのノイズバンドかと思うくらいに井手上のギターノイズに合わせている。
そんな不穏なイメージの「はさみ」を終えると、
「ようこそ!黒木渚です!今日は楽しみましょう!」
と挨拶し、CDJ13/14でバンドでの最後の曲として演奏した「骨」へ。「フラフープ」では黒木渚がギターを置いてステージを駆け回りながら歌い、井手上が演奏後に倒れるぐらいの熱量でギターを弾き倒す。
「クマリ」「あしながおじさん」は、黒木渚の曲の中でも昭和歌謡やジャズの影響を感じさせる曲。個人的にドラムのマシータはビークル時代に何度となく見ていて、スネア連打するパワータイプのドラマーというイメージがついているのだが、こういう曲でもしっかりバンドのボトムを支え、独特の雰囲気を作り出しているあたりは本当に上手いドラマーだと思う。
「うすはりの少女」では黒木渚がステージ向かって右側の花道のような場所に座り、メンバー3人は左側に集まって演奏。井手上はアコギを弾き、自身のバンド、マルコシアス・バンプでは、手袋をはめたベーシストとしてかつてイカ天で話題を集めた佐藤はベースではなくチェロを弾くというマルチプレイヤーぶり。ちなみにマルコシアス・バンプは今で言うビジュアル系と言っていいバンドなので、この日ノーメイクで演奏していた時は、後でメンバー紹介するまで全然誰だかわからなかった。
続く「あしかせ」もしっとりと聴き入らせると、黒木渚が「ストーカーの曲って言われる(笑)」という「窓」からは再び立ち上がって力強い歌声を響かせる。
「二ヶ月前 手首を切りました
直前に彼氏を刺しました」
という衝撃的な歌い出しの「ウエット」からは赤い照明同様に燃え上がるようなバンドの演奏と、
「だめ だめ」
の歌詞を観客にコール&レスポンスさせる「プラナリア」、黒木渚が激しく踊りながら歌う「マトリョーシカ」と、アッパーか流れに、それまで座って見ていた観客も一斉に立ち上がっていた。
するとやたらと長いアウトロのバンドのセッションの間、黒木渚が髪に何かしているな、と思っていたら、なんと髪の色が金髪から赤に変わっている。そしてドレスを脱ぎ、赤いタンクトップと黒の短パンという出で立ちに。後で本人は、「ファイナルだから特別なことをしただけで、特に意味はない」と語っていたが、これはなかなか衝撃的な演出だった。
赤いギターを持ち、真っ赤に染まった状態で「カルデラ」を歌うと、
「黒木渚は太平洋に面した、ペンキ屋に生まれました。音楽だけを頼りにペンキ屋を飛び出し、最高と最低の間を引きずりなわされながらこれまで生きてきました」
という詩の朗読から、「標本箱」のリード曲である「革命」へ。朗読が完全に会場中の人すべてを引き込み、真っ赤な旗を前にして「革命」を歌う黒木渚はジャンヌダルクのようなカリスマ性を放っていた。
アルバムの曲順通りに「金魚姫」を続けると、
「最後の曲です!」
と言い、
「最高過ぎて苦しいねー!」
と、今の心境そのもののような歌い出しのフレーズを叫んだ「テーマ」。ラストのサビ前のブレイクがたまらなくエモーショナルなのだが、予想通りに井手上がそこで大ジャンプを見せ、最後に最高沸点を迎える見事な本編の締め方であった。
アンコールではツアーTシャツにジーンズというラフな出で立ちで登場し、物販紹介から、メンバーを1人ずつ呼び込み、一言ずつ感想をもらうと、
「去年、黒木渚っていうバンドを解散して。自分で決めたことなのに、引きずってる自分がずっといて。昔から応援してくれてる人にとっては今日ここに来るのは本当に勇気がいることだったと思うし。
でも、今日ようやく、自分の選択が正しかったんだって思うことができました。
ずっと言ってるんだけど、2年以内に武道館でやるって。まぁ現実的に見たら次はNHKホールで、とかいろいろあるけど。でも夢っていうか目標って半分しか叶わなくて。だからもし武道館まで行っても、きっとすぐもっと大きいとこ、大きいとこって思うんだろうなって。
でも、私はもっと大きい景色が見たいし、みんなにも見て欲しい!だから、これからもついてきて下さい!」
という、これから先の決意を語ったMCは、黒木渚に賭けるには充分すぎるほどの理由になった。
そしてサイケデリックさも感じる「エスパー」を演奏すると、
「私たちの関係ってドライだよね。私が寂しい時にみんなは側に来てくれないし、焼肉行きたい時にも来てくれないし(笑)
それはみんなにとっての私もそうで。でもそれがちょうどいいんだよね。だからこれからも大人な関係でいて下さい!とりあえず次の曲終わったら、一ヶ月ぶりにビール飲める!(笑)
最後に、黒木渚の始まりの歌を」
と言って、「あたしの心臓あげる」。最後の最後まで声に力強さが失われることはない圧巻の2時間。この日の公演はDVDになるらしいが、もうこれは買うしかないだろうというくらいに素晴らしいライブだった。今年は各地の夏フェスにも勢力的に出演するらしいが、2年以内に武道館、絶対行きましょう。
1.はさみ
2.骨
3.フラフープ
4.クマリ
5.あしながおじさん
6.赤紙
7.うすはりの少女
8.あしかせ
9.窓
10.ウエット
11.プラナリア
12.マトリョーシカ
13.カルデラ
14.革命
15.金魚姫
16.テーマ
encore
17.エスパー
18.あたしの心臓あげる
革命(short ver.) / 黒木渚
http://youtu.be/BbTQt3URwZQ
そもそもバンド名=ボーカルの名前であることから、いずれはそうなるんだろうなという感じはしていたが、ミニアルバムとシングルしか出ていない状況という、あまりにも早い決断であった。
そんな中、今年リリースされた、ソロになってからの初めての音源となるアルバム「標本箱」が、ことCDで聴くぶんには形態が変わったことに対する不安な印象を100%吹き飛ばすほどの名盤ぶりだったので、果たしてライブではどうなのか確かめるためにこの日の渋谷公会堂ワンマンに参戦。
ステージ中央に置かれた真っ赤なギターにピンスポットが当たり、こちらも真っ赤な旗が置かれていたりと、これまでに何度もライブを見てきた渋谷公会堂のステージとはかなり異なる、演劇の舞台のようなステージ。
客席は2階の上段こそ空いているが、全体で9割方は埋まっているといった感じ。
早めの開演時間17時を15分ほど過ぎた頃、ゆっくりと会場が暗転し、鮮やかな金髪にドレスを纏った黒木渚が1人で登場。ステージ中央に置かれたギターを肩にかけて鳴らすと、「はさみ」を歌いはじめる。曲の途中でギタリスト井手上誠が登場し、原曲の美しいメロディのバラードというイメージを覆すような轟音ギターノイズが会場を支配すると、ベースの佐藤研二(マルコシアス・バンプ)、ドラムのマシータ(ex.BEAT CRUSADERS)も加わる。しかしながら、メンバーの演奏はどこのノイズバンドかと思うくらいに井手上のギターノイズに合わせている。
そんな不穏なイメージの「はさみ」を終えると、
「ようこそ!黒木渚です!今日は楽しみましょう!」
と挨拶し、CDJ13/14でバンドでの最後の曲として演奏した「骨」へ。「フラフープ」では黒木渚がギターを置いてステージを駆け回りながら歌い、井手上が演奏後に倒れるぐらいの熱量でギターを弾き倒す。
「クマリ」「あしながおじさん」は、黒木渚の曲の中でも昭和歌謡やジャズの影響を感じさせる曲。個人的にドラムのマシータはビークル時代に何度となく見ていて、スネア連打するパワータイプのドラマーというイメージがついているのだが、こういう曲でもしっかりバンドのボトムを支え、独特の雰囲気を作り出しているあたりは本当に上手いドラマーだと思う。
「うすはりの少女」では黒木渚がステージ向かって右側の花道のような場所に座り、メンバー3人は左側に集まって演奏。井手上はアコギを弾き、自身のバンド、マルコシアス・バンプでは、手袋をはめたベーシストとしてかつてイカ天で話題を集めた佐藤はベースではなくチェロを弾くというマルチプレイヤーぶり。ちなみにマルコシアス・バンプは今で言うビジュアル系と言っていいバンドなので、この日ノーメイクで演奏していた時は、後でメンバー紹介するまで全然誰だかわからなかった。
続く「あしかせ」もしっとりと聴き入らせると、黒木渚が「ストーカーの曲って言われる(笑)」という「窓」からは再び立ち上がって力強い歌声を響かせる。
「二ヶ月前 手首を切りました
直前に彼氏を刺しました」
という衝撃的な歌い出しの「ウエット」からは赤い照明同様に燃え上がるようなバンドの演奏と、
「だめ だめ」
の歌詞を観客にコール&レスポンスさせる「プラナリア」、黒木渚が激しく踊りながら歌う「マトリョーシカ」と、アッパーか流れに、それまで座って見ていた観客も一斉に立ち上がっていた。
するとやたらと長いアウトロのバンドのセッションの間、黒木渚が髪に何かしているな、と思っていたら、なんと髪の色が金髪から赤に変わっている。そしてドレスを脱ぎ、赤いタンクトップと黒の短パンという出で立ちに。後で本人は、「ファイナルだから特別なことをしただけで、特に意味はない」と語っていたが、これはなかなか衝撃的な演出だった。
赤いギターを持ち、真っ赤に染まった状態で「カルデラ」を歌うと、
「黒木渚は太平洋に面した、ペンキ屋に生まれました。音楽だけを頼りにペンキ屋を飛び出し、最高と最低の間を引きずりなわされながらこれまで生きてきました」
という詩の朗読から、「標本箱」のリード曲である「革命」へ。朗読が完全に会場中の人すべてを引き込み、真っ赤な旗を前にして「革命」を歌う黒木渚はジャンヌダルクのようなカリスマ性を放っていた。
アルバムの曲順通りに「金魚姫」を続けると、
「最後の曲です!」
と言い、
「最高過ぎて苦しいねー!」
と、今の心境そのもののような歌い出しのフレーズを叫んだ「テーマ」。ラストのサビ前のブレイクがたまらなくエモーショナルなのだが、予想通りに井手上がそこで大ジャンプを見せ、最後に最高沸点を迎える見事な本編の締め方であった。
アンコールではツアーTシャツにジーンズというラフな出で立ちで登場し、物販紹介から、メンバーを1人ずつ呼び込み、一言ずつ感想をもらうと、
「去年、黒木渚っていうバンドを解散して。自分で決めたことなのに、引きずってる自分がずっといて。昔から応援してくれてる人にとっては今日ここに来るのは本当に勇気がいることだったと思うし。
でも、今日ようやく、自分の選択が正しかったんだって思うことができました。
ずっと言ってるんだけど、2年以内に武道館でやるって。まぁ現実的に見たら次はNHKホールで、とかいろいろあるけど。でも夢っていうか目標って半分しか叶わなくて。だからもし武道館まで行っても、きっとすぐもっと大きいとこ、大きいとこって思うんだろうなって。
でも、私はもっと大きい景色が見たいし、みんなにも見て欲しい!だから、これからもついてきて下さい!」
という、これから先の決意を語ったMCは、黒木渚に賭けるには充分すぎるほどの理由になった。
そしてサイケデリックさも感じる「エスパー」を演奏すると、
「私たちの関係ってドライだよね。私が寂しい時にみんなは側に来てくれないし、焼肉行きたい時にも来てくれないし(笑)
それはみんなにとっての私もそうで。でもそれがちょうどいいんだよね。だからこれからも大人な関係でいて下さい!とりあえず次の曲終わったら、一ヶ月ぶりにビール飲める!(笑)
最後に、黒木渚の始まりの歌を」
と言って、「あたしの心臓あげる」。最後の最後まで声に力強さが失われることはない圧巻の2時間。この日の公演はDVDになるらしいが、もうこれは買うしかないだろうというくらいに素晴らしいライブだった。今年は各地の夏フェスにも勢力的に出演するらしいが、2年以内に武道館、絶対行きましょう。
1.はさみ
2.骨
3.フラフープ
4.クマリ
5.あしながおじさん
6.赤紙
7.うすはりの少女
8.あしかせ
9.窓
10.ウエット
11.プラナリア
12.マトリョーシカ
13.カルデラ
14.革命
15.金魚姫
16.テーマ
encore
17.エスパー
18.あたしの心臓あげる
革命(short ver.) / 黒木渚
http://youtu.be/BbTQt3URwZQ