リーガルリリー 「the telephone」レコ発 遠距離恋愛ツアー @渋谷CLUB QUATTRO 7/5
- 2018/07/05
- 23:49
終わっていってしまうバンドもあれば、これからさらに広いシーンへ打って出て行こうというバンドもいる。そうして音楽シーンは新陳代謝を繰り返していくのだが、ガールズバンドという存在に革命をもたらしたチャットモンチーのラストワンマンの翌日に、その遺伝子を確かに受け継いでいるリーガルリリーのワンマンがあるというのは運命めいたものを感じざるを得ない。
「the Post」「the Radio」に続く、3部作完結ミニアルバム「the Telephone」を先月リリースし、ついにワンマンライブができるくらいに曲が揃ったことにより、ファイナルとなるこの日の渋谷のQUATTROを含む東名阪のライブハウスは全てワンマンに。合間のイベントなどではライブバンドとしてさらに進化した姿を見せてくれていただけに期待は高まる。
「これで当日券出してるの?」と思わざるを得ないくらいに超満員の観客が待ち構える中、社会人に合わせてのものか、平日とはいえやや遅めの19時半を少し過ぎると場内が暗転し、たかはしほのか(ボーカル&ギター)、ゆきやま(ドラム)、そしてサポートベースのうみが登場し、いつものように両サイドにたかはしとゆきやまが向かい合うように、その間にベースのうみがいるという独特なスタイルで静謐な雰囲気の中、「the tokyo tower」からスタート。たかはしのボーカルこそ20歳になっても少女性を強く感じさせるままだが、ゆきやまのドラムを始めとした演奏はもの凄く力強くなっているのが一瞬でわかる。
デビューミニアルバム「the Post」収録の「ジョニー」のシュールというか、児童文学のようでいてリアルな悲惨さも感じさせる歌詞を響かせると、早くもこの序盤のタイミングでバンド最大のキラーチューンである「リッケンバッカー」を演奏する。通常、ワンマンツアーのファイナルとなるとこういう立ち位置の曲をアンコールの最後にして、大団円的な空気になるものなのだが、このバンドはそんなことは全く考えていない。というかそのバンドの姿勢から、計算や戦略というものを全く感じさせない。これは現代において本当に珍しいというか、完全なる天然にして天才肌のバンドである。
その「リッケンバッカー」の後半ではバンドの演奏がどんどんスピードを上げていき、ゆきやまがぶっ叩くと言ってもいいような勢いでドラムを連打する。このバンドはついついたかはしの生み出す曲と歌詞のぶっ飛び具合に注目しがちだが、ゆきやまのドラムはもしかしたらこの世代のガールズバンドの中でも屈指の超絶っぷりかもしれない。
持ち曲がまだミニアルバム3枚分しかないので、当然どのアルバムからも満遍なく演奏されるのだが、「ぶらんこ」も含め、あまりにもバンドの演奏がリリース当時よりもレベルアップし過ぎているので、もう早くも今の状態で再録した方がいいとすら思ってしまうレベル。ライブを重ねてきたこと、その重ねてきたライブのほとんどが対バンライブであり、他のバンドから刺激を受けたこと、その他のバンドがライブをやっている時にしっかり見ていたこと…そうしたここに至るまでの一つ一つが全てバンドの力に還元されている。
タイトル通りに星がきらめくような音像の「スターノイズ」からは「the Telephone」の曲へ。この曲では後半から一気にノイジーな、轟音とでもいうようなギターサウンドが会場を支配しながらテンポアップするという転調っぷりを見せ、たかはしも後ろに跳ねながらギターを弾く。
サウンドこそ淡々と進むが、歌詞は「なんだこれ?」な「いるかホテル」、カントリーチックなイントロから一気に転調する「overture」、バンド名にも入っている「リリー」が愛しい人の名前として使われるが、やはり歌詞はどうやったらこんな単語が頭に浮かんでくるんだろうか、というくらいに独自性と文学性が強い「僕のリリー」と、「一体どうやったらこんな歌詞と展開の曲が作れるのか?」と思ってしまうくらいにアバンギャルドでありながら、徹底してメロディはキャッチーかつポップ。このバランス感覚は間違いなく無意識下のものであるだろうけれど、「リッケンバッカー」みたいにわかりやすいキャッチーな曲を作ろうと思えばいくらでも作れるだろうに、あえてそうした曲は一切作らない、というあたりが「the Telephone」でより強く感じさせるようになった、たかはしの天然っぷりと天才っぷりを表している。
しかしながら無自覚な天才ほど怖いものはない。だからなのか、基本的にMCも声が小さいのもあるが、何を言っているのかよくわからないし、やはり常人とは異なる感覚を持っている人なのであろう。おそらく生きていこうとすれば、小説家や詩人としても生きていけるような人だとも思うが、
「20年生きてきて、目に止まったり、興味を持ったものが音楽しかない」
というあたり、彼女はこれからも音楽でしか生きていけないのかもしれない。
メンバーによる口笛のイントロが印象的な「こんにちは。」から、もはや形容不可能な曲だが、タイトル通りにメロディの美しさだけは誰にでもわかる「うつくしいひと」と続くと、曲タイトルの説明(「しかく」は「死角」のつもりとのこと)をしてから演奏された「教室のしかく」ではイントロが合わずにやり直すというハプニングに。
たかはしにピンスポットが当たる中、
「発展都市は何10億年も輝き続けた者たちを 一瞬で殺しました」
という、歌詞だけ見ると完全に意味不明だが、曲として聴くと確かに頭の中にイメージが浮かぶ「高速道路」を演奏すると、たかはしが
「ワンマンの日だけは雨が降る」
と話しながら、
「まだマネージャーにも言ってないことを言います。2人で決めました。青木ツトム(P青木)っていう人にだけは言いました(笑)
リーガルリリー、2人でやってきましたが、2日前に、うみちゃんが正式にメンバーになってくれました!」
といきなり、うみの正式加入により、ついにスリーピースバンドに戻ったことを発表。ただ単に弾ける人や上手い人をとりあえず入れるのではなく、ツアーを一緒に廻って、人間性もしっかり把握して、この人と一緒にバンドをやりたい!と思える人に入ってもらう。最も真っ当な形であるように感じるが、この言い方からすると、彼女たちは全ての活動を自分たちの意志のみで決めているということがわかる。そりゃあそうだろう、じゃないとここまで普通の展開通りにいかない曲ばかりのミニアルバムをリリースすることなどできないだろうから。
ついにスリーピースバンドに戻り、初めて正式メンバーとしてのこの3人で「トランジスタラジオ」を演奏すると、ラストは荒廃した終わりではなく、光に包まれた中で世界が終わっていくかのようなイメージが頭の中に浮かぶ「せかいのおわり」。リーガルリリーの曲は基本的に歌詞の意味を全て理解して汲み取るのはほぼ不可能だし、それはもしかしたら作詞しているたかはし自身も全てを説明することはできないかもしれない、だけど聴いていると明確にそれぞれが景色を思い描くことができる。それができるバンドって実はそんなに多くない。そうした歌詞を書けるバンド自体がそうそういないし、わかりやすく結果が出せるような手法ではないから。でも、リーガルリリーはそれをやる。というかそれしかやりたくないのだ。
チャットモンチーは2人になって以降、最も求められていたであろうスリーピースバンドとしての姿を最後の日になるまで見せなかったが、リーガルリリーはスリーピースバンドでありながら、全く無自覚にそうして求められているであろうものをなぞったり焼き直したりすることはしない。だからこそ、爆発的に売れることはないかもしれないが、他のガールズバンドよりも圧倒的に存在感は頭抜けている。だから埋もれることなく、流行に流されることもなく、長くライブハウスのステージに立ち続けることと思う。
アンコールではゆきやまとうみが先に出てきて少し話すと、遅れてたかはしが登場。このQUATTROは何度もライブを見に来ている思い入れのある会場らしく、
「大きなところでやるよりも、ここで4daysとかやりたい」
というとんでもない目標を口にし、
「名古屋のQUATTROとかも行こう!」
とゆきやまが言うと、
「あ、QUATTROってチェーン店なのか…」
と、常人では絶対に口から出てこないであろうブッ飛んだことがあっさり口から出てくる。天然っぷりではもしかしたら橋本絵莉子すらも上回っているかもしれない。
しかし、
「忘れて欲しくないんですよね、私は。例えば死んだりしても」
と言ってから演奏された森田童子のカバー「例えば僕が死んだら」は「the Telephone」の独特過ぎる曲の構成とは打って変わり、ストレートなスリーピースサウンドで、まるでリーガルリリーが作った曲であるかのような、でもやっぱり今のたかはしから出てくるような歌詞ではないよな、という絶妙なところを突くアレンジで鳴らされ、最後は10代の頃だからこその可愛らしさすら感じさせる歌詞の「好きでよかった。」でこのツアーを締め、ピックやセトリの紙を投げ入れまくるも、客席まで届かずに落下する、という最後の最後まで天然っぷりを炸裂させながら、2人ではなく3人でステージを去っていった。
リーガルリリーのメンバーは、新たに加わったうみも含めて、フェスの会場で客席を歩いていても全く気付かれないであろうくらいに、至って普通の見た目の女子たちである。しかし一度ステージに立つと、あまりの演奏力の凄まじさと轟音っぷり、そして演奏している姿から発せられるオーラに体が震えてしまう。実際、自分はただ見ているだけで鳥肌が立ったり、涙が出そうになる瞬間がいくつもあった。
「普通の女の子がロックバンドをやることで宿る魔法」
とは、かつていしわたり淳治がチャットモンチーを発掘した時に語った言葉であるが、リーガルリリーも間違いなくその魔法を体現している。あまりにも無自覚な天才過ぎるために、チャットモンチーほど巨大な存在になれるかどうかはまだわからないが、彼女たちはあくまでスリーピースバンドでい続けることを選んだ。その形で、リーガルリリーはガールズバンドの在るべき形を更新していく。
自分がこの世で1番好きなミュージシャンは、リッケンバッカーを抱えて客席に飛び込む。リーガルリリーは客席に飛び込んだりはしないが、彼女たちのリッケンバッカーはこれからも「僕だけのロックンロール」を鳴らす。これからが本当に楽しみなバンドだ。
1.the tokyo tower
2.ジョニー
3.リッケンバッカー
4.ぶらんこ
5.スターノイズ
6.いるかホテル
7.overture
8.僕のリリー
9.こんにちは。
10.うつくしいひと
11.教室のしかく
12.高速道路
13.トランジスタラジオ
14.せかいのおわり
encore
15.例えば僕が死んだら (森田童子のカバー)
16.好きでよかった。
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「the Post」「the Radio」に続く、3部作完結ミニアルバム「the Telephone」を先月リリースし、ついにワンマンライブができるくらいに曲が揃ったことにより、ファイナルとなるこの日の渋谷のQUATTROを含む東名阪のライブハウスは全てワンマンに。合間のイベントなどではライブバンドとしてさらに進化した姿を見せてくれていただけに期待は高まる。
「これで当日券出してるの?」と思わざるを得ないくらいに超満員の観客が待ち構える中、社会人に合わせてのものか、平日とはいえやや遅めの19時半を少し過ぎると場内が暗転し、たかはしほのか(ボーカル&ギター)、ゆきやま(ドラム)、そしてサポートベースのうみが登場し、いつものように両サイドにたかはしとゆきやまが向かい合うように、その間にベースのうみがいるという独特なスタイルで静謐な雰囲気の中、「the tokyo tower」からスタート。たかはしのボーカルこそ20歳になっても少女性を強く感じさせるままだが、ゆきやまのドラムを始めとした演奏はもの凄く力強くなっているのが一瞬でわかる。
デビューミニアルバム「the Post」収録の「ジョニー」のシュールというか、児童文学のようでいてリアルな悲惨さも感じさせる歌詞を響かせると、早くもこの序盤のタイミングでバンド最大のキラーチューンである「リッケンバッカー」を演奏する。通常、ワンマンツアーのファイナルとなるとこういう立ち位置の曲をアンコールの最後にして、大団円的な空気になるものなのだが、このバンドはそんなことは全く考えていない。というかそのバンドの姿勢から、計算や戦略というものを全く感じさせない。これは現代において本当に珍しいというか、完全なる天然にして天才肌のバンドである。
その「リッケンバッカー」の後半ではバンドの演奏がどんどんスピードを上げていき、ゆきやまがぶっ叩くと言ってもいいような勢いでドラムを連打する。このバンドはついついたかはしの生み出す曲と歌詞のぶっ飛び具合に注目しがちだが、ゆきやまのドラムはもしかしたらこの世代のガールズバンドの中でも屈指の超絶っぷりかもしれない。
持ち曲がまだミニアルバム3枚分しかないので、当然どのアルバムからも満遍なく演奏されるのだが、「ぶらんこ」も含め、あまりにもバンドの演奏がリリース当時よりもレベルアップし過ぎているので、もう早くも今の状態で再録した方がいいとすら思ってしまうレベル。ライブを重ねてきたこと、その重ねてきたライブのほとんどが対バンライブであり、他のバンドから刺激を受けたこと、その他のバンドがライブをやっている時にしっかり見ていたこと…そうしたここに至るまでの一つ一つが全てバンドの力に還元されている。
タイトル通りに星がきらめくような音像の「スターノイズ」からは「the Telephone」の曲へ。この曲では後半から一気にノイジーな、轟音とでもいうようなギターサウンドが会場を支配しながらテンポアップするという転調っぷりを見せ、たかはしも後ろに跳ねながらギターを弾く。
サウンドこそ淡々と進むが、歌詞は「なんだこれ?」な「いるかホテル」、カントリーチックなイントロから一気に転調する「overture」、バンド名にも入っている「リリー」が愛しい人の名前として使われるが、やはり歌詞はどうやったらこんな単語が頭に浮かんでくるんだろうか、というくらいに独自性と文学性が強い「僕のリリー」と、「一体どうやったらこんな歌詞と展開の曲が作れるのか?」と思ってしまうくらいにアバンギャルドでありながら、徹底してメロディはキャッチーかつポップ。このバランス感覚は間違いなく無意識下のものであるだろうけれど、「リッケンバッカー」みたいにわかりやすいキャッチーな曲を作ろうと思えばいくらでも作れるだろうに、あえてそうした曲は一切作らない、というあたりが「the Telephone」でより強く感じさせるようになった、たかはしの天然っぷりと天才っぷりを表している。
しかしながら無自覚な天才ほど怖いものはない。だからなのか、基本的にMCも声が小さいのもあるが、何を言っているのかよくわからないし、やはり常人とは異なる感覚を持っている人なのであろう。おそらく生きていこうとすれば、小説家や詩人としても生きていけるような人だとも思うが、
「20年生きてきて、目に止まったり、興味を持ったものが音楽しかない」
というあたり、彼女はこれからも音楽でしか生きていけないのかもしれない。
メンバーによる口笛のイントロが印象的な「こんにちは。」から、もはや形容不可能な曲だが、タイトル通りにメロディの美しさだけは誰にでもわかる「うつくしいひと」と続くと、曲タイトルの説明(「しかく」は「死角」のつもりとのこと)をしてから演奏された「教室のしかく」ではイントロが合わずにやり直すというハプニングに。
たかはしにピンスポットが当たる中、
「発展都市は何10億年も輝き続けた者たちを 一瞬で殺しました」
という、歌詞だけ見ると完全に意味不明だが、曲として聴くと確かに頭の中にイメージが浮かぶ「高速道路」を演奏すると、たかはしが
「ワンマンの日だけは雨が降る」
と話しながら、
「まだマネージャーにも言ってないことを言います。2人で決めました。青木ツトム(P青木)っていう人にだけは言いました(笑)
リーガルリリー、2人でやってきましたが、2日前に、うみちゃんが正式にメンバーになってくれました!」
といきなり、うみの正式加入により、ついにスリーピースバンドに戻ったことを発表。ただ単に弾ける人や上手い人をとりあえず入れるのではなく、ツアーを一緒に廻って、人間性もしっかり把握して、この人と一緒にバンドをやりたい!と思える人に入ってもらう。最も真っ当な形であるように感じるが、この言い方からすると、彼女たちは全ての活動を自分たちの意志のみで決めているということがわかる。そりゃあそうだろう、じゃないとここまで普通の展開通りにいかない曲ばかりのミニアルバムをリリースすることなどできないだろうから。
ついにスリーピースバンドに戻り、初めて正式メンバーとしてのこの3人で「トランジスタラジオ」を演奏すると、ラストは荒廃した終わりではなく、光に包まれた中で世界が終わっていくかのようなイメージが頭の中に浮かぶ「せかいのおわり」。リーガルリリーの曲は基本的に歌詞の意味を全て理解して汲み取るのはほぼ不可能だし、それはもしかしたら作詞しているたかはし自身も全てを説明することはできないかもしれない、だけど聴いていると明確にそれぞれが景色を思い描くことができる。それができるバンドって実はそんなに多くない。そうした歌詞を書けるバンド自体がそうそういないし、わかりやすく結果が出せるような手法ではないから。でも、リーガルリリーはそれをやる。というかそれしかやりたくないのだ。
チャットモンチーは2人になって以降、最も求められていたであろうスリーピースバンドとしての姿を最後の日になるまで見せなかったが、リーガルリリーはスリーピースバンドでありながら、全く無自覚にそうして求められているであろうものをなぞったり焼き直したりすることはしない。だからこそ、爆発的に売れることはないかもしれないが、他のガールズバンドよりも圧倒的に存在感は頭抜けている。だから埋もれることなく、流行に流されることもなく、長くライブハウスのステージに立ち続けることと思う。
アンコールではゆきやまとうみが先に出てきて少し話すと、遅れてたかはしが登場。このQUATTROは何度もライブを見に来ている思い入れのある会場らしく、
「大きなところでやるよりも、ここで4daysとかやりたい」
というとんでもない目標を口にし、
「名古屋のQUATTROとかも行こう!」
とゆきやまが言うと、
「あ、QUATTROってチェーン店なのか…」
と、常人では絶対に口から出てこないであろうブッ飛んだことがあっさり口から出てくる。天然っぷりではもしかしたら橋本絵莉子すらも上回っているかもしれない。
しかし、
「忘れて欲しくないんですよね、私は。例えば死んだりしても」
と言ってから演奏された森田童子のカバー「例えば僕が死んだら」は「the Telephone」の独特過ぎる曲の構成とは打って変わり、ストレートなスリーピースサウンドで、まるでリーガルリリーが作った曲であるかのような、でもやっぱり今のたかはしから出てくるような歌詞ではないよな、という絶妙なところを突くアレンジで鳴らされ、最後は10代の頃だからこその可愛らしさすら感じさせる歌詞の「好きでよかった。」でこのツアーを締め、ピックやセトリの紙を投げ入れまくるも、客席まで届かずに落下する、という最後の最後まで天然っぷりを炸裂させながら、2人ではなく3人でステージを去っていった。
リーガルリリーのメンバーは、新たに加わったうみも含めて、フェスの会場で客席を歩いていても全く気付かれないであろうくらいに、至って普通の見た目の女子たちである。しかし一度ステージに立つと、あまりの演奏力の凄まじさと轟音っぷり、そして演奏している姿から発せられるオーラに体が震えてしまう。実際、自分はただ見ているだけで鳥肌が立ったり、涙が出そうになる瞬間がいくつもあった。
「普通の女の子がロックバンドをやることで宿る魔法」
とは、かつていしわたり淳治がチャットモンチーを発掘した時に語った言葉であるが、リーガルリリーも間違いなくその魔法を体現している。あまりにも無自覚な天才過ぎるために、チャットモンチーほど巨大な存在になれるかどうかはまだわからないが、彼女たちはあくまでスリーピースバンドでい続けることを選んだ。その形で、リーガルリリーはガールズバンドの在るべき形を更新していく。
自分がこの世で1番好きなミュージシャンは、リッケンバッカーを抱えて客席に飛び込む。リーガルリリーは客席に飛び込んだりはしないが、彼女たちのリッケンバッカーはこれからも「僕だけのロックンロール」を鳴らす。これからが本当に楽しみなバンドだ。
1.the tokyo tower
2.ジョニー
3.リッケンバッカー
4.ぶらんこ
5.スターノイズ
6.いるかホテル
7.overture
8.僕のリリー
9.こんにちは。
10.うつくしいひと
11.教室のしかく
12.高速道路
13.トランジスタラジオ
14.せかいのおわり
encore
15.例えば僕が死んだら (森田童子のカバー)
16.好きでよかった。
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チャットモンチー CHATMONCHY LAST ONEMAN LIVE ~I Love CHATMONCHY~ @日本武道館 7/4