P青木ひとり生誕祭 ~P52祭(ポンコツまつり)~ @TSUTAYA O-EAST 6/3
- 2018/06/04
- 21:34
ライブ制作会社「AT-FIELD」の代表として、夏と冬にBAYCAMPを主催し、キュウソネコカミや水曜日のカンパネラのライブの前説、プロデューサーを務める、P青木が52歳の誕生日を迎え、「P」の起源となった「ポンコツ」に合わせて「P52祭(ポンコツまつり)」と題した、フェス的なイベントを開催。
P青木
フレンズ
Creepy Nuts
teto
リーガルリリー
Helsinki Lamda Club
神聖かまってちゃん
新しい学校のリーダーズ
愛はズボーン
忘れらんねえよ柴田 with タナカヒロキ(LEGO BIG MORL)
imai (group_inou)
SPARK!!SOUND!!SHOW!!
超能力者戦士ドリアン
ケンモチヒデフミ (水曜日のカンパネラ)
という若手を主体とした出演者たち。やはりBAYCAMPでおなじみの名前も多い。
場内に入ると、すでにWelcome actである、ケンモチヒデフミ(水曜日のカンパネラ)のDJが始まっている。さすがに水曜日のカンパネラの音楽面を担う男なだけあり、様々なダンスミュージックをかけていくのだが、合間にP青木のインタビューなどの映像を挟むのが実に面白く、のっけからP青木のポンコツっぷりを遺憾なく発揮するインタビュー内容になっている。
(例「好きなからあげクンの味は?」「あれって、味あったっけ?)
その後には今日の主役であるP青木がステージに。一応出演者の1人なだけに、何をやるのかと思っていたら、
「今日のために1曲作ろうとしたんですけど、間に合いませんでした(笑)」
というポンコツの極みっぷりなので、結局キュウソネコカミ「ウィーアーインディーズバンド!!」を替え歌にして歌う。当然歌唱力はこの日の出演者たちとは比べられるものではない。
・超能力戦士ドリアン [KOTSU STAGE]
最近、大きなフェスにも出演するようになっている、大阪の3人組、超能力戦士ドリアン。小さいKOTSU STAGEへの出演とはいえ、この日のトップバッターという抜擢っぷり。
メンバー3人が登場すると、
「青木さんの誕生日を祝うために、よくやる明かりを消すやつやりましょう!」
とやっさん(ギター&ボーカル)が言い、ステージが暗くなると、次の瞬間にはけつぷり(ギター)がギターに刺された状態で倒れているという寸劇が始まる。おーちくん(ボーカル&ダンス)もステージにいないこの状況を打破すべく、やっさんが
「声出してもらってもいいですか!?」
というように「○○いいですか!?」と問いかけると観客が
「興味ある!」
と返すというこのバンド特有のコール&レスポンスを展開し、おーちくんが恐竜の着ぐるみ(かなり本格的なやつ)を着て再登場、けつぷりも復活という寸劇でのっけから笑わせまくる。
彼らの地元の大阪にある地名だという「天保山」では、その「天保山」の中に「海遊館」というスポットがあり、「海遊館」の頭文字である「KYK」を客席を左右と中央にわけて人文字させるという観客巻き込み型のパフォーマンスを展開していく。
そうしたパフォーマンスは面白いだろうけど、肝心の音楽はどうなの?というと、基本的に楽器がギターしかいないため、打ち込みを使っているのだが、実にポップかつキャッチー。
「僕らは第2のキュウソネコカミになりたい!」
という野望をあっさり口にすると、そのキュウソの影響が実に強い(というかほぼキュウソのいろんな曲の組み合わせで作られている)、男性応援ソング「ヤマサキセイヤと同じ性別」というとんでもない武器を披露。
さらにタイトルそのままにバンドの編成紹介と自己紹介を兼ねた「いきものがかりと同じ編成」ではメンバー3人がヲタ芸までも繰り広げ、さらにはP青木をステージに呼び込んで一緒に踊らせるというやりたい放題っぷり。ちなみにこの曲は全然いきものがかりっぽくない。
そしてラストは「3人組である」ということだけを執拗に歌う、歌詞に全く意味がない「WANIMAと同じ人数」。サウンドも陽性のストレートなパンクというWANIMAに通じるものだが、こうして幅広いサウンドの曲を作れる自由度はギターしか楽器がいないことを完全に逆手にとっているし、それぞれの曲のキャッチーさは、第2のキュウソという目標ももしかしたら達成できるんじゃないか?とすら思えてくる。今はまだパフォーマンスと面白いMCの方がインパクトが強いが、面白いバンド百花繚乱時代の現代で突き抜けることができるだろうか。
ちなみに10月には大阪のBIG CATという大きなライブハウスでワンマンをやるという攻めっぷりだが、
「チケット買ってから行けなくても財布へのダメージが少ないように」
という理由でチケ代は1004円という破格の値段。
1.恐竜博士は恐竜見たことないでしょ
2.天保山
3.ヤマサキセイヤと同じ性別
4.いきものがかりと同じ編成
5.WANIMAと同じ人数
いきものがかりと同じ編成
https://youtu.be/bDGzj6MnskU
・teto [PON STAGE]
今やツアーは即完連発、とブレイク街道に乗りつつある、teto。自分が2017年の新人王に選出したバンドである。
山崎陸(ギター)がアフロっぽい髪型になってさらにジャンク感が出ているが、「拝啓」からもう爆音をかき鳴らしながらメンバー全員暴れまくり、小池(ボーカル&ギター)はもう歌うというよりも叫んでいる、というような感じで、口に含んだ水を上に噴射したり、ギターを抱えたまま客席に飛び込んだりとやりたい放題。このとにかくロックへの衝動をピュアにぶつけまくるというライブの仕方は、ロックが衝動の音楽であるとするならば、今はこのバンドの右に出るバンドはいないかもしれない、と思うほど。
しかしながらただ暴れて叫んでいるだけだったらここまでブレイクを期待できるような存在にはなっていない。そこにはやはり音楽が良いからという大前提があるわけで、前半の衝動むき出しの曲たちは、先日対バンしたミイラズにも通じるような言葉数の多いロック。それを全部言い切るためのスピードなのである。
しかしながら新曲「溶けた銃口」では一気にテンポも音量も落とし、小池の歌とメロディをしっかり聴かせる。こうした曲であらわになるのはメロディそのものの美しさ。そう、このバンドがこれだけ注目されている最大の理由はやはり曲が良いからということに尽きるのである。
「高層ビルと人工衛星」で再び加速するも、それまでの歌っている表情とは一変して柔和な表情となった小池が、
「次で最後の曲なんですけど、次にやる曲を初めてライブでやった時、今でも覚えてるんですけど、下北沢のBasement Barで。その時に青木さんが「この曲は大事にしないといけない曲だね」って言ってくれて。だから10年後も20年後も大事に歌えるように」
と言って演奏されたのは「忘れた」。テンポも遅い、演奏自体も難しいことは何もやっていない。でも間違いなくこのバンドにしか作れない曲。そこを小池が意識してやっているのかはわからないが、こうして衝動をむき出しにしたライブをやるバンドは10年、20年と続かなかった。(近年ではandymoriや銀杏BOYZがそうだったように)
果たしてこのバンドはその定説を覆すことができるだろうか。「忘れた」「溶けた銃口」と、直近の新曲がテンポが遅い曲ばかりというのは少し変化を感じるところではあるが。
1.拝啓
2.Pain Pain Pain
3.暖かい都会から
4.溶けた銃口
5.高層ビルと人工衛星
6.忘れた
暖かい都会から
https://youtu.be/0xPGHz7GJB8
・SPARK!!SOUND!!SHOW!! [KOTSU STAGE]
BAYCAMPなどのP青木主催イベントではおなじみの存在である、スサシことSPARK!!SOUND!!SHOW!!。紅一点メンバーのミカテラが脱退してからライブを見るのは初めてだが、男4人になったことにより、衣装も統一され、悪ガキ4人組というような様相に。
「どうも、クリープハイプです」
というタナカユーキ(ボーカル&ギター)のよくわからない挨拶から、序盤はヒップホップ色の強い曲で押しまくっていくのだが、かつて見た時よりも、チヨチヨイヤマ(ベース)とイチロー(ドラム)によるリズムが明らかに強くなっており、これはこうしたビート主体の音楽においては間違いなく大きな武器になっている。
「ゴジラのテーマ」をサンプリングした「かいじゅうのうた」ではタナカが客席に飛び降りて観客に囲まれながら歌い、中盤以降はファストなパンク曲が増えていくと再びタナカが客席に飛び降り、イヤマはすでにHelsinki Lambda ClubのメンバーがスタンバっているPON STAGEに乱入するというやりたい放題っぷりで、序盤はアウェー感が強かった空気も、ヒップホップにパンクにファンクをミックスさせたミクスチャーロックでラストにはしっかりと掴んでいた。
「次はサザンオールスターズ!」
という締めの一言も含めて。
見た目的にも、サウンド的にも華やかな部分をになっていたミカテラが脱退して以降は、BAYCAMPのオープニングアクトになった時の期待感からすると若干停滞してしまっている感は否めないが、この形になってライブを重ねてきた成果はしっかりと出ている。何よりも2年前までは歌が下手にしか聞こえなかったタナカのボーカルが、こうしたサウンドにしっかりと合うようなものに進化している。
かいじゅうのうた
https://youtu.be/Vv6ycXQQ7jA
・Helsinki Lambda Club [PON STAGE]
先にこのステージに出たtetoとはスプリット盤もリリースしている、Helsinki Lambda Club。その2バンドが並んでこのO-EASTに揃い踏み。
「ドーム以外でのライブは久しぶりです。茅ヶ崎から来ました、サザンオールスターズです」
という、スサシの紹介を受けて橋本が嘘でしかない自己紹介をするが、見るたびに橋本のビジュアルが変化しているのと同じく、ゆったりとした「しゃれこうべ しゃれこうべ」から始まり、アッパーに押していくのではなくて好きに体を揺らせるという楽しみ方にライブそのものが変化している。
UKFCのオーディションで受かってUK PROJECTからデビューした時はややシュールなギターロックバンドというイメージが強かったが、「King Of White Chip」「Boys Will Be Boys」というあたりの曲を聴いていると、ドリームポップやチルウェイヴと称されるUSインディロック的な方向に足を向けている現状がよくわかる。
6月6日に配信リリースされる「PIZZASHAKE」も同様だが、ベース稲葉の白目などの変顔ベースプレイは変わらない一方、熊谷のギターはやはり繊細さを感じさせるものに変化してきている。
その稲葉の変態的なベースプレイを堪能できる「Lost in the Supermarket」からはテンポ良く後半へ。
橋本「僕らは音楽業界の偉い人たちに気に入られたりすることができない、世渡り下手なバンドなんですけど、青木さんはそんな僕らみたいなバンドをずっと見てくれていて、感謝しかありません。…って言えば次のBAYCAMPにも呼んでもらえるかな(笑)」
稲葉「世渡り上手じゃん!(笑)」
とP青木への感謝を告げると、橋本のボーカルを前面に押し出したミドルテンポの名曲「シンセミア」からラストは
「スキンして」と「好きにして」
というこのバンドらしいシュールな言葉遊びが面白い「Skin」。面白いパフォーマンスを持ってアッパーにブチ上がるバンドが多い中にあって、この完全に世界中の音楽を聴き漁った上で自分たちの音楽に還元するという、音楽マニアでしかないメンバーによって生み出されている音楽は純音楽的と言っていいかもしれないし、それが強い個性としてインパクトを放っている。稲葉氏の存在そのものも他のバンドの飛び道具的なパフォーマンスと同じくらいにインパクトが強いかもしれないが。
ちなみにスサシからの流れなのか、橋本の最後の一言は
「次はMr.Children!」
だった。
リハ.ユアンと踊れ
1.しゃれこうべ しゃれこうべ
2.King Of White Chip
3.Boys Will Be Boys
4.PIZZASHAKE
5.Lost in the Supermarket
6.Time,Time,Time
7.シンセミア
8.Skin
PIZZASHAKE
https://youtu.be/ISu55y0Hdew
・愛はズボーン [KOTSU STAGE]
なぜか関西の飛び道具的なバンドが続くKOTSU STAGE。ギマケンタ(ギター)が上半身裸で登場した、この愛はズボーンも間違いなく存在としてはそうした方向のバンドと言っていいだろう。
「何がMr.Childrenやねん!関東のバンドのセンスしんどいわ~(笑)」
と、Helsinki Lambda Clubのネタには乗っからずに演奏を始めると、そのメンバーのキャラのように明るいロックサウンドに、やはりこの手のバンドらしいシュールな歌詞が乗る。特にやたらと展開が多い「ニャロメ!」はなんでこんな歌詞に?と思ってしまうレベル。
カネシロ「いやー、青木さんの誕生日っていうことでおめでたいですね~」
ギマ「今日、もう一つおめでたいことがあるんですよ。私の姉に子供が生まれました!」
カネシロ「じゃあ今日は青木さんと、あんたの姪っ子がI was bornした日やな!」
と、基本的に漫才のように進行していくMCだが、いきなりバンド名を絡めたりというあたりは実に上手い。
バンドの自己紹介的なセルフタイトル曲「愛はズボーン」ではギマが風船を客席にばら撒く中、シライタツヤ(ベース)とトミナガリョウスケ(ドラム)のソロも披露し、ただの面白いバンドではない、音楽的なスキルを有していることをしっかりと示すと、
カネシロ「青木さんってみんなにポンコツ、ポンコツって言われてるけど、音楽関係者が聞いたらビックリするようなすごい仕事をたくさんやってきてる人で。だから青木さんのやってるデカいフェスに俺たちを出して欲しいっていう気持ちもあるけど、それよりもこの人についていったら、音楽人として、人としてもっと成長できるんじゃないかと思っています」
というMCはこのバンドが面白いにいちゃん達でありながらも、物事の本質を掴む力があることを示している。それは四星球に通じる部分であるが、このバンドはその境地まで達することができるのだろうか。
1.MAJIMEチャンネル
2.ニャロメ!
3.愛はズボーン
4.どれじんてえぜ
MAJIMEチャンネル
https://youtu.be/ZJf5tWG-tIk
・リーガルリリー [PON STAGE]
2年前の「50歳生誕祭」に出演した時はまだ無名だった、リーガルリリー。P青木も
「2年前はみんなに紹介したいバンドだったのが、今年はこっちの大きなステージに出てくれます」
とその成長っぷりを認めている。
「ぶらんこ」で演奏が始まると、完全に空気が一変。ファルセットを多用するたかはしほのかのボーカルとギター、朗らかな見た目からは想像できないくらいにさらに力強さを増し続けるゆきやまのドラム。サポートベーシストのコーラスも曲を構成する重要な要素だ。
3日後に新作ミニアルバムがリリースされるだけに、その中から新曲が披露されるであろうことは予想していたが(前作リリース前も新曲をかなりやっていたし)、そこから披露した曲はまさかの全曲新曲というとんでもない攻めっぷり。なので現状このバンド最大のキラーチューンである「リッケンバッカー」すらやらない。
その新曲群、「ほうき星」というフレーズが印象的な「スターノイズ」、シャープなギターロックというイメージの「overture」、バンド名にもある「リリー」がタイトルに入っているのが気になる「僕のリリー」とどれも全くタイプが違う曲ではあるが、歌詞の構成も、いきなり轟音に急展開したりする曲も、本来なら難解に感じてしまいそうなのだが、どれもがキャッチーにしか聞こえない。しかもおそらくたかはしはそれを意識的にそうしているのではなく、曲を作ると自然にそうなってしまう。
だからこの日、神聖かまってちゃんのの子、tetoの小池、Creepy NutsのR-指定という天才的なセンスを持ったアーティストがいるが、彼らは自分が他の人にはないものを持っていることを少なからず意識して音楽を作っているはずなのだが、たかはしは一切その意識がない。狙おうとすればいくらでもヒット曲、アンセム的な曲を作れるのに、それを1%も狙おうともしていない、完全に無自覚な天才。こうしたタイプが1番恐ろしい。だからなのか、どっからどう見ても普通の女子にしか見えない出で立ちをしているのに、演奏している姿からはとてつもないオーラを感じるし、その姿から一瞬たりとも目が離せない。
ラストのシューゲイザー的なギターノイズにたかはしのファルセットが絡む「うつくしいひと」はもはや神々しさすら感じた。一体これからどんなバンドになっていくのだろうか。その秘めたる力は今こうしてライブを見ているバンドの中でも最も大きいと思う。
リハ.ジョニー
1.ぶらんこ
2.スターノイズ
3.overture
4.僕のリリー
5.うつくしいひと
僕のリリー
https://youtu.be/VcfznNXZQf0
・imai (group_inou)
group_inouとしてBAYCAMPなどのP青木主催イベントにはおなじみの存在であった、imai。group_inouは活動休止してしまったが、ソロで出演。
「俺、今日の出演者の中では1番青木さんと付き合いが長いんですよ。だからチョイ足しアクトっていう立ち位置なのが納得いかないんですよ!」
とDJ卓から身を乗り出しながら喋ると、EDMでもテクノでもない、独特の浮遊感を持ったimaiのものでしかないダンスミュージックで会場を満たしていく。imaiは例によって身を乗り出して煽りながら、音をチョップしたりブレイクを入れたりと、さらにライブ向けのアレンジを施していく。
「せっかくだから青木さんのエピソードを一つ話しておこうかな。前にinouが名古屋でキュウソネコカミと一緒にライブしたことがあって。始まる前にキュウソのみんなと「今日は見にきてくれてる人がおとなしいかもしれない」っていう話をしてたら青木さんが珍しく「俺に任せとけ!前説で温めてやるから!」って頼もしい感じになって。いざ出てったら第一声が「広島のみなさん!」で大ブーイング(笑)俺たちマイナス50くらいのところから始める羽目になった(笑)」
とP青木とのエピソードで爆笑を巻き起こしながら、
「でも普通は1人になった俺なんか誰も呼ばないですよ。でも青木さんだけは「こいつなら1人でも面白いことやってくれるだろう」って思ってくれてるのかな、って」
とそのP青木への長い付き合いだからこその信頼を口にした。
やはりボーカル(というかラップ)がないのは少し寂しさを感じるが、1人になったということは自由になったということ。group_inouの時にはできなかったようなことだって、これからはできる。
PSEP release oneman live
https://youtu.be/3ddZQpyF-E4
そのあと、DJブースにP青木が登場し、この日は参加できなかったが、普段からP青木とともに活動している人たちからメッセージビデオが。キュウソネコカミはもちろん、なぜかTWICEというポップシーンのスターまでもがコメントを寄せており、P青木が実は凄い人であるということを少しうかがわせる。が、1番凄かったのはこの映像のために3人が揃ったダンスを披露するというネタを仕込んできた、SHISHAMOであった。
・神聖かまってちゃん [PON STAGE]
長い1日のイベントももう後半戦へ。もしかしたらこの日の出演者の中で最も知名度があるかもしれない、神聖かまってちゃんの登場。
リハの段階ではしっかり演奏をしていたメンバー(主にの子)だが、本番になると
「青木ー!」
となぜか情緒不安定になり、若干不安がよぎる。(昔はグダグダのライブをやることもよくあったため)
しかし初期の曲に比べるとはるかにロマンチックに、詩的になっている「ズッ友」からスタートすると、バンドのサウンドの力強さにびっくりしてしまう。ちばぎん(ベース)は昔からコーラスも含めて安定感があったが、みさこのドラムはこんなに凄かったっけ!?と思うほど。ついつい「何をやってるんだろうなぁ」と思ってしまう、バンドじゃないもん!の活動からも神聖かまってちゃん自体にしっかり持って帰ってきているものがあるんだな、と思わされる。
最大のキラーチューンにもかかわらず、あっさりと「ロックンロールは鳴り止まないっ」を演奏すると、華麗なピアノの旋律を奏でていたmonoがバンダナを巻いていることにの子が反応し、
の子「なんでそんなの巻いてんだ!運動会か!」
mono「確かに運動会の紅組っぽくなってるけど!」
の子「運動会ってどこでやるんだよ!」
mono「学校だ!」
とちょっと無理矢理な感じもしなくもないが、かといって不自然ではない形で「学校へ行きたくない」へつなげると、の子が何度も客席にダイブしまくり、なかなか曲が終わらないという展開に。
なんとか曲が終わると、ただいま公開中の映画の宣伝。なぜその映画をこのバンドが宣伝するのかというと、その映画の主題歌である「フロントメモリー」はこのバンドの曲だからである。やりたい放題やっているように見えて、しっかり求められているものも見せる。見た目以上に、このバンドは大人になっていた。
かと思いきや、曲が終わったにもかかわらず、の子が
「時間押したっていーじゃねーかよ!」
となぜか駄々をこね始め、ちばぎんに抱き抱えられて強制終了。と思ったら転換が始まったステージに再びの子が飛び出し、転換の準備をしていたP青木にキスするという衝撃のシーン。ある意味では最もわかりやすい形でP青木への愛を伝えたのだが。
「ロックンロールは鳴り止まないっ」はどう考えても素晴らしい名曲である。そして「フロントメモリー」も今になって脚光を浴びている。事件性によって有名になってしまったところもあるが、そうしたこのバンドの音楽や楽曲は、今せっかく映画の主題歌に起用されている今だからこそしっかり評価されて欲しいと、同い年、同じ地元という、彼らをヒーローだと思っている身としては心から願う。
リハ.知恵ちゃんの聖書
1.ズッ友
2.僕のブルース
3.ゆーれいみマン
4.ロックンロールは鳴り止まないっ
5.学校に行きたくない
6.フロントメモリー
フロントメモリー
https://youtu.be/b-bW5PFtQgU
・新しい学校のリーダーズ [KOTSU STAGE]
正直、全くどういう人たち、どういう音楽なのか知らなかった出演者。しかしステージに楽器はおろかDJ卓すらもないことからも、パフォーマンスグループかと予想していたのだが、いざステージに出てきたのは腕章をつけたセーラー服を着た女性4人組。
「起立!休め!気をつけ!」
という号令をSUZUKAがかけると、突如としてダークなロックサウンドに合わせて4人がガンガン頭を振ったりという激しいダンスを見せ、初見の人がほとんどであろう客席を「!?」の海に叩き込んでいく。
合間には
「マラソン大会で「一緒に走ろうね」って言ってたのに裏切られた心境を必要以上に壮大に表現してみました」
「52組の青木くんが好きだから協力して!」
「うん!わかった!」
「でもこいつ、裏切るんです!」
などの寸劇が展開されていき、「遮断機」では昭和歌謡的なサウンドの曲をSUZUKAが歌いあげるのだが、意外なほどに歌唱力が高い。非常に運動量の多いダンスも含め、各々が高い能力を持ったメンバーであるということはすぐにわかる。
これだけ濃いバンドやアーティストが揃っているこの日のイベントにあって、このシュールかつ強烈な世界観は最大級のインパクトを誇っている。サウンドもロックファンに受け入れられそうではあるが、だからこそ生演奏じゃないというのが少し残念。ステージの狭さとダンスの激しさを考えるとバックバンドは入れられないけど。
1.毒花
2.キミワイナ
3.遮断機
4.最終人類
毒花
https://youtu.be/pSGXzFTHI_s
・Creepy Nuts [PON STAGE]
2年前にこのイベントに出演した時はまだ無名の存在だった、Creepy Nuts。今や日本のヒップホップシーンの急先鋒どころか、ロックシーン、お茶の間にまでも侵攻している。
序盤からR-指定が「ポンコツ祭り」「P青木」というこの日ならではのフレーズをさりげなく入れながらキレッキレのラップを展開していくと、リリースされたばかりの最新アルバム「クリープ・ショー」から、ギターロックサウンドの「ぬえの泣く夜は」、金に支配された社会を皮肉る「紙様」と新曲を連発。もとからヒップホップ的なサウンド以外にも果敢に挑んできたグループだが、さらに音楽性の幅を広げている。
すると中盤にはライブでは恒例のR-指定による聖徳太子スタイル。テーマを募集する際にステージに出てきたのは、フレンズのひろせひろせで、「ひろせ」というテーマを提供。さらには「万引き家族」というタイムリーなテーマや、「ハッピーポンコツ」「バースデーケーキ」というこの日ならではのテーマ、「日大」という日本を席巻しているパワーワードに加え、2人がやっているラジオのネタまで出てくるなど、この日はこのグループを目当てに来た人も多かったイメージ。
そのテーマを駆使してR-指定がフリースタイルをキメると、松永もターンテーブルのテクニックを存分に見せつける。
そして代表曲「合法的トビ方ノススメ」で盛り上がりはピークを迎えると、
「普段から青木さんはポンコツって呼ばれてて。俺の地元の仲間もポンコツなやつばっかり。でもそういうやつらが大好きやねん。だから青木さんに、そういう大好きなやつらを思って書いた曲を捧げます」
と言って最後に披露されたのは、R-指定のソロとして書かれたメロウな「使えない奴ら」。決してR-指定のスキルを見せつけるようなタイプの曲ではないが、だからこそ己のアピールよりもP青木へのリスペクトが滲み出ていた。
1.助演男優賞
2.ぬえの鳴く夜は
3.紙様
聖徳太子スタイル
4.合法的トビ方ノススメ
5.使えない奴ら
ぬえの泣く夜は
https://youtu.be/TucoE8VLYBA
・忘れらんねえよ柴田 with タナカヒロキ(LEGO BIG MORL)
梅津の脱退により、アラバキなども含めて、忘れらんねえよのサポートギタリストであるタナカヒロキとの2人でライブを重ねている柴田。リハから銀杏BOYZ「BABY BABY」というサプライズをかまし、さらにはアラバキで何度も歌っていた華原朋美「I'm Proud」を熱唱するなど、この日も早くも絶好調である。
本番では客席の後ろから登場し、[ALEXANDROS]「ワタリドリ」が流れる中で渡り鳥のように運ばれてステージまで到達。ひとしきりサビを歌ってから、タナカヒロキがアコギ、柴田がエレキという編成で、忘れらんねえよの「この高鳴りをなんと呼ぶ」「花火」と心を揺さぶるエモーショナルな曲を弾き語り。
「青木さん、このイベントのためにTシャツ何種類も作ってたけど、絶対赤字だと思うんだよね。みんなあんまり着てないもん(笑)
あと、青木さんのツイッター、最近どんなこと呟いてるのかな?って思って見てみたら、プロフィールに担当してるアーティストの名前が書いてあって。キュウソネコカミ、水曜日のカンパネラ、リーガルリリー、Czecho No Republic、Creepy Nuts…あれぇ!?俺たちの名前がないぞ!?(笑)
だから青木さんは今日中にプロフィールに絶対俺たちの名前を入れろ!(笑)」
と自虐ネタで爆笑を巻き起こし、
柴田「今、若干メンバーが脱退していて…」
タナカ「若干じゃねぇよ(笑)完全に脱退してるよ(笑)」
柴田「その脱退した彼がDJ活動を活発に行っていて。そんなにベース弾くの嫌だったのかと(笑)」
と梅津の近況も話すと、「涙が出てしまう名バラード」と紹介された「ハッピーバースデーとはいえ俺は誕生会に呼ばれていない」は「夜間飛行」のプロトタイプバージョンだが、アラバキの時もやっていただけに、弾き語りではこっちのバージョンで披露するのだろうか。
「新曲できたんですよ。すごい良い曲なんで、今日やってみようかと。「愛、愛、そして愛」っていう曲です」
と柴田が新曲の紹介をしたのだが、
「ねぇどうして すごくすごく好きなこと」
と、完全に聴いたことのあるフレーズで始まったのはドリカムの「LOVE LOVE LOVE」。柴田はあくまでも自身の新曲と言い張るが、華原朋美やドリカムの曲を普通に歌いこなせるくらいに柴田は今になって急激に歌が上手くなってきている。これは今後の忘れらんねえよにとってものすごく大きなプラス要素になるはずだし、自身の曲のメロディをしっかりと伝えられるようになるはず。
「LOVE LOVE 叫ぼう愛を」
というコーラスパートでは
「新曲とは思えないくらいにみんなが歌ってくれてる!」
と言いながら、DJブースに引っ張り出したP青木にまで歌わせるという荒技に出るが、やはり「ツイッターのプロフィール直せ!」と自身がスルーされているのが気に入らない様子。
そしてラストは「Cから始まるABC」を客席に突入しながら歌い、観客に支えられて立つというキュウソスタイルで歌いながら、最後にはメインステージに運ばれていった。
この編成でのライブが見れるのもあと数回あるかないか。新体制でのスタートが決まっているだけに、それがお披露目されれば今後はその編成でライブを行っていくのだろう。もはやサポートという枠には収まりきっていないくらいに以心伝心の中となったタナカヒロキと一緒にステージに立つのもあとわずかだ。
リハ.BABY BABY
リハ.I'm Proud
1.この高鳴りをなんと呼ぶ
2.花火
3.ハッピーバースデーとはいえ俺は誕生会に呼ばれていない
4.LOVE LOVE LOVE (ドリカム)
5.Cから始まるABC
花火
https://youtu.be/1fhToc5E0Kg
・フレンズ
この日のトリを任されたのは、今や野音やZeppですらソールドアウトするくらいの存在になったフレンズ。メンバーの中にはこのバンドを始める前からP青木とつながりのあるメンバーもいる。
白い衣装を見にまとい、ポップかつしとやかにおかもとえみが歌い上げる「夜にダンス」でスタートすると、「NIGHT TOWN」「ベッドサイドミュージック」とこの時間によく似合う夜がテーマになっている曲を連発。基本的にひろせひろせとともにステージを左右に動きながら歌うおかもとも「ベッドサイドミュージック」ではマイクスタンドを使って歌唱に専念する。
「6/3はP青木だけじゃなくて、長澤まさみさんの誕生日。さらにはペリーが来航した記念日でもあります!」
とひろせが豆知識を披露すると、独特の振り付けが楽しい「塩と砂糖」では長島涼平がthe telephonesとはまた違うタイプのベースソロを展開するのだが、曲終わりでメンバーがプレゼントを渡すべくP青木を招くと、原曲では三浦太郎を元気付けるべく演奏される「元気D.C.T ~プロローグ~」をP青木を元気付けるために演奏するという寸劇に突入。魔法の言葉をメンバーと観客が言っても元気が出ないP青木のために、AT FIELDのスタッフまでもがステージに登場して魔法の言葉をかけるという身内ネタ満載。しかしP青木は台本をちゃんと覚えておらず、案の定グダグダになっていたが、メンバーはその姿を見て爆笑。
そしてラストの「Love,ya!」で来るべき夏フェスの時期にまた野外でこのバンドのライブが見れることを楽しみに思っていると、アウトロでCreepy NutsのR-指定が登場してフリースタイルをかまし、さっきまでのグダグダな寸劇とは打って変わってビシッとライブを締めたのはさすがだ。
しかしここでサプライズとしてP青木へケーキのプレゼント。ケーキを持ってきたのはCreepy Nutsの松永なのだが、P青木がロウソクに息を吹く前に火が消えるというポンコツっぷりも見せながら、愛に溢れたP青木の52歳の生誕祭は幕を閉じた。
1.夜にダンス
2.NIGHT TOWN
3.ベッドサイドミュージック
4.塩と砂糖
5.元気D.C.T ~プロローグ~ feat.P青木
6.Love,ya! feat.R-指定
ベッドサイドミュージック
https://youtu.be/z1KePDT50i8
かと思いきや、まだ終わらず。P青木が用意したVTRには先ほどひろせが紹介した長澤まさみや、音楽プロデューサーの亀田誠治、野球界からは川崎宗則ら、この日が誕生日である著名人が紹介されるが、日本記念日協会から、この日が正式に「ポンコツの日」に認定されたというとんでもない事態に。
おかもとえみによる授与式も行われると、
「本当は今年だけのつもりだったんですけど、6/3がポンコツの日になったからには、これからは毎年このイベントをやります!」
とP青木が宣言し、出演者全員で写真撮影。P青木に文句を言っていた忘れらんねえよ柴田は楽屋で酒を飲んでいて出遅れて登場したが、ほぼ全員が最後まで残っていたのはP青木の人徳によるものなのだろう。最後にはこのイベントのテーマソングである「ハッピーポンコツ」が流れていただけに、来年以降はまたキュウソネコカミもこのイベントに出ていただきたい。
この日もほとんどの出演者から「ポンコツ」と呼ばれたり、そのポンコツっぷりを示すようなエピソードを紹介されていたP青木だが、もし本当にただ単にダメなやつなら、BAYCAMPにBRAHMANやらDragon Ashやら細美武士やら[ALEXANDROS]やらMAN WITH A MISSIONやら銀杏BOYZやらストレイテナーやら、自らの意識をしっかり持ったアーティストは集まらない。そこにはやはりP青木のポンコツでない部分の力があるし、何よりも
「これからも、死ぬまでロックのために頑張ります!」
と宣言できる、ロックへの愛がある。それこそがこれだけたくさんのアーティストたちから愛される理由なんだと思う。それをまた感じられるように、また来年、あるいはBAYCAMPで。
ハッピーポンコツ
https://youtu.be/_ZEGUfWSgls
Next→ 6/6 NICO Touches the Walls @Zepp Tokyo

P青木
フレンズ
Creepy Nuts
teto
リーガルリリー
Helsinki Lamda Club
神聖かまってちゃん
新しい学校のリーダーズ
愛はズボーン
忘れらんねえよ柴田 with タナカヒロキ(LEGO BIG MORL)
imai (group_inou)
SPARK!!SOUND!!SHOW!!
超能力者戦士ドリアン
ケンモチヒデフミ (水曜日のカンパネラ)
という若手を主体とした出演者たち。やはりBAYCAMPでおなじみの名前も多い。
場内に入ると、すでにWelcome actである、ケンモチヒデフミ(水曜日のカンパネラ)のDJが始まっている。さすがに水曜日のカンパネラの音楽面を担う男なだけあり、様々なダンスミュージックをかけていくのだが、合間にP青木のインタビューなどの映像を挟むのが実に面白く、のっけからP青木のポンコツっぷりを遺憾なく発揮するインタビュー内容になっている。
(例「好きなからあげクンの味は?」「あれって、味あったっけ?)
その後には今日の主役であるP青木がステージに。一応出演者の1人なだけに、何をやるのかと思っていたら、
「今日のために1曲作ろうとしたんですけど、間に合いませんでした(笑)」
というポンコツの極みっぷりなので、結局キュウソネコカミ「ウィーアーインディーズバンド!!」を替え歌にして歌う。当然歌唱力はこの日の出演者たちとは比べられるものではない。
・超能力戦士ドリアン [KOTSU STAGE]
最近、大きなフェスにも出演するようになっている、大阪の3人組、超能力戦士ドリアン。小さいKOTSU STAGEへの出演とはいえ、この日のトップバッターという抜擢っぷり。
メンバー3人が登場すると、
「青木さんの誕生日を祝うために、よくやる明かりを消すやつやりましょう!」
とやっさん(ギター&ボーカル)が言い、ステージが暗くなると、次の瞬間にはけつぷり(ギター)がギターに刺された状態で倒れているという寸劇が始まる。おーちくん(ボーカル&ダンス)もステージにいないこの状況を打破すべく、やっさんが
「声出してもらってもいいですか!?」
というように「○○いいですか!?」と問いかけると観客が
「興味ある!」
と返すというこのバンド特有のコール&レスポンスを展開し、おーちくんが恐竜の着ぐるみ(かなり本格的なやつ)を着て再登場、けつぷりも復活という寸劇でのっけから笑わせまくる。
彼らの地元の大阪にある地名だという「天保山」では、その「天保山」の中に「海遊館」というスポットがあり、「海遊館」の頭文字である「KYK」を客席を左右と中央にわけて人文字させるという観客巻き込み型のパフォーマンスを展開していく。
そうしたパフォーマンスは面白いだろうけど、肝心の音楽はどうなの?というと、基本的に楽器がギターしかいないため、打ち込みを使っているのだが、実にポップかつキャッチー。
「僕らは第2のキュウソネコカミになりたい!」
という野望をあっさり口にすると、そのキュウソの影響が実に強い(というかほぼキュウソのいろんな曲の組み合わせで作られている)、男性応援ソング「ヤマサキセイヤと同じ性別」というとんでもない武器を披露。
さらにタイトルそのままにバンドの編成紹介と自己紹介を兼ねた「いきものがかりと同じ編成」ではメンバー3人がヲタ芸までも繰り広げ、さらにはP青木をステージに呼び込んで一緒に踊らせるというやりたい放題っぷり。ちなみにこの曲は全然いきものがかりっぽくない。
そしてラストは「3人組である」ということだけを執拗に歌う、歌詞に全く意味がない「WANIMAと同じ人数」。サウンドも陽性のストレートなパンクというWANIMAに通じるものだが、こうして幅広いサウンドの曲を作れる自由度はギターしか楽器がいないことを完全に逆手にとっているし、それぞれの曲のキャッチーさは、第2のキュウソという目標ももしかしたら達成できるんじゃないか?とすら思えてくる。今はまだパフォーマンスと面白いMCの方がインパクトが強いが、面白いバンド百花繚乱時代の現代で突き抜けることができるだろうか。
ちなみに10月には大阪のBIG CATという大きなライブハウスでワンマンをやるという攻めっぷりだが、
「チケット買ってから行けなくても財布へのダメージが少ないように」
という理由でチケ代は1004円という破格の値段。
1.恐竜博士は恐竜見たことないでしょ
2.天保山
3.ヤマサキセイヤと同じ性別
4.いきものがかりと同じ編成
5.WANIMAと同じ人数
いきものがかりと同じ編成
https://youtu.be/bDGzj6MnskU
・teto [PON STAGE]
今やツアーは即完連発、とブレイク街道に乗りつつある、teto。自分が2017年の新人王に選出したバンドである。
山崎陸(ギター)がアフロっぽい髪型になってさらにジャンク感が出ているが、「拝啓」からもう爆音をかき鳴らしながらメンバー全員暴れまくり、小池(ボーカル&ギター)はもう歌うというよりも叫んでいる、というような感じで、口に含んだ水を上に噴射したり、ギターを抱えたまま客席に飛び込んだりとやりたい放題。このとにかくロックへの衝動をピュアにぶつけまくるというライブの仕方は、ロックが衝動の音楽であるとするならば、今はこのバンドの右に出るバンドはいないかもしれない、と思うほど。
しかしながらただ暴れて叫んでいるだけだったらここまでブレイクを期待できるような存在にはなっていない。そこにはやはり音楽が良いからという大前提があるわけで、前半の衝動むき出しの曲たちは、先日対バンしたミイラズにも通じるような言葉数の多いロック。それを全部言い切るためのスピードなのである。
しかしながら新曲「溶けた銃口」では一気にテンポも音量も落とし、小池の歌とメロディをしっかり聴かせる。こうした曲であらわになるのはメロディそのものの美しさ。そう、このバンドがこれだけ注目されている最大の理由はやはり曲が良いからということに尽きるのである。
「高層ビルと人工衛星」で再び加速するも、それまでの歌っている表情とは一変して柔和な表情となった小池が、
「次で最後の曲なんですけど、次にやる曲を初めてライブでやった時、今でも覚えてるんですけど、下北沢のBasement Barで。その時に青木さんが「この曲は大事にしないといけない曲だね」って言ってくれて。だから10年後も20年後も大事に歌えるように」
と言って演奏されたのは「忘れた」。テンポも遅い、演奏自体も難しいことは何もやっていない。でも間違いなくこのバンドにしか作れない曲。そこを小池が意識してやっているのかはわからないが、こうして衝動をむき出しにしたライブをやるバンドは10年、20年と続かなかった。(近年ではandymoriや銀杏BOYZがそうだったように)
果たしてこのバンドはその定説を覆すことができるだろうか。「忘れた」「溶けた銃口」と、直近の新曲がテンポが遅い曲ばかりというのは少し変化を感じるところではあるが。
1.拝啓
2.Pain Pain Pain
3.暖かい都会から
4.溶けた銃口
5.高層ビルと人工衛星
6.忘れた
暖かい都会から
https://youtu.be/0xPGHz7GJB8
・SPARK!!SOUND!!SHOW!! [KOTSU STAGE]
BAYCAMPなどのP青木主催イベントではおなじみの存在である、スサシことSPARK!!SOUND!!SHOW!!。紅一点メンバーのミカテラが脱退してからライブを見るのは初めてだが、男4人になったことにより、衣装も統一され、悪ガキ4人組というような様相に。
「どうも、クリープハイプです」
というタナカユーキ(ボーカル&ギター)のよくわからない挨拶から、序盤はヒップホップ色の強い曲で押しまくっていくのだが、かつて見た時よりも、チヨチヨイヤマ(ベース)とイチロー(ドラム)によるリズムが明らかに強くなっており、これはこうしたビート主体の音楽においては間違いなく大きな武器になっている。
「ゴジラのテーマ」をサンプリングした「かいじゅうのうた」ではタナカが客席に飛び降りて観客に囲まれながら歌い、中盤以降はファストなパンク曲が増えていくと再びタナカが客席に飛び降り、イヤマはすでにHelsinki Lambda ClubのメンバーがスタンバっているPON STAGEに乱入するというやりたい放題っぷりで、序盤はアウェー感が強かった空気も、ヒップホップにパンクにファンクをミックスさせたミクスチャーロックでラストにはしっかりと掴んでいた。
「次はサザンオールスターズ!」
という締めの一言も含めて。
見た目的にも、サウンド的にも華やかな部分をになっていたミカテラが脱退して以降は、BAYCAMPのオープニングアクトになった時の期待感からすると若干停滞してしまっている感は否めないが、この形になってライブを重ねてきた成果はしっかりと出ている。何よりも2年前までは歌が下手にしか聞こえなかったタナカのボーカルが、こうしたサウンドにしっかりと合うようなものに進化している。
かいじゅうのうた
https://youtu.be/Vv6ycXQQ7jA
・Helsinki Lambda Club [PON STAGE]
先にこのステージに出たtetoとはスプリット盤もリリースしている、Helsinki Lambda Club。その2バンドが並んでこのO-EASTに揃い踏み。
「ドーム以外でのライブは久しぶりです。茅ヶ崎から来ました、サザンオールスターズです」
という、スサシの紹介を受けて橋本が嘘でしかない自己紹介をするが、見るたびに橋本のビジュアルが変化しているのと同じく、ゆったりとした「しゃれこうべ しゃれこうべ」から始まり、アッパーに押していくのではなくて好きに体を揺らせるという楽しみ方にライブそのものが変化している。
UKFCのオーディションで受かってUK PROJECTからデビューした時はややシュールなギターロックバンドというイメージが強かったが、「King Of White Chip」「Boys Will Be Boys」というあたりの曲を聴いていると、ドリームポップやチルウェイヴと称されるUSインディロック的な方向に足を向けている現状がよくわかる。
6月6日に配信リリースされる「PIZZASHAKE」も同様だが、ベース稲葉の白目などの変顔ベースプレイは変わらない一方、熊谷のギターはやはり繊細さを感じさせるものに変化してきている。
その稲葉の変態的なベースプレイを堪能できる「Lost in the Supermarket」からはテンポ良く後半へ。
橋本「僕らは音楽業界の偉い人たちに気に入られたりすることができない、世渡り下手なバンドなんですけど、青木さんはそんな僕らみたいなバンドをずっと見てくれていて、感謝しかありません。…って言えば次のBAYCAMPにも呼んでもらえるかな(笑)」
稲葉「世渡り上手じゃん!(笑)」
とP青木への感謝を告げると、橋本のボーカルを前面に押し出したミドルテンポの名曲「シンセミア」からラストは
「スキンして」と「好きにして」
というこのバンドらしいシュールな言葉遊びが面白い「Skin」。面白いパフォーマンスを持ってアッパーにブチ上がるバンドが多い中にあって、この完全に世界中の音楽を聴き漁った上で自分たちの音楽に還元するという、音楽マニアでしかないメンバーによって生み出されている音楽は純音楽的と言っていいかもしれないし、それが強い個性としてインパクトを放っている。稲葉氏の存在そのものも他のバンドの飛び道具的なパフォーマンスと同じくらいにインパクトが強いかもしれないが。
ちなみにスサシからの流れなのか、橋本の最後の一言は
「次はMr.Children!」
だった。
リハ.ユアンと踊れ
1.しゃれこうべ しゃれこうべ
2.King Of White Chip
3.Boys Will Be Boys
4.PIZZASHAKE
5.Lost in the Supermarket
6.Time,Time,Time
7.シンセミア
8.Skin
PIZZASHAKE
https://youtu.be/ISu55y0Hdew
・愛はズボーン [KOTSU STAGE]
なぜか関西の飛び道具的なバンドが続くKOTSU STAGE。ギマケンタ(ギター)が上半身裸で登場した、この愛はズボーンも間違いなく存在としてはそうした方向のバンドと言っていいだろう。
「何がMr.Childrenやねん!関東のバンドのセンスしんどいわ~(笑)」
と、Helsinki Lambda Clubのネタには乗っからずに演奏を始めると、そのメンバーのキャラのように明るいロックサウンドに、やはりこの手のバンドらしいシュールな歌詞が乗る。特にやたらと展開が多い「ニャロメ!」はなんでこんな歌詞に?と思ってしまうレベル。
カネシロ「いやー、青木さんの誕生日っていうことでおめでたいですね~」
ギマ「今日、もう一つおめでたいことがあるんですよ。私の姉に子供が生まれました!」
カネシロ「じゃあ今日は青木さんと、あんたの姪っ子がI was bornした日やな!」
と、基本的に漫才のように進行していくMCだが、いきなりバンド名を絡めたりというあたりは実に上手い。
バンドの自己紹介的なセルフタイトル曲「愛はズボーン」ではギマが風船を客席にばら撒く中、シライタツヤ(ベース)とトミナガリョウスケ(ドラム)のソロも披露し、ただの面白いバンドではない、音楽的なスキルを有していることをしっかりと示すと、
カネシロ「青木さんってみんなにポンコツ、ポンコツって言われてるけど、音楽関係者が聞いたらビックリするようなすごい仕事をたくさんやってきてる人で。だから青木さんのやってるデカいフェスに俺たちを出して欲しいっていう気持ちもあるけど、それよりもこの人についていったら、音楽人として、人としてもっと成長できるんじゃないかと思っています」
というMCはこのバンドが面白いにいちゃん達でありながらも、物事の本質を掴む力があることを示している。それは四星球に通じる部分であるが、このバンドはその境地まで達することができるのだろうか。
1.MAJIMEチャンネル
2.ニャロメ!
3.愛はズボーン
4.どれじんてえぜ
MAJIMEチャンネル
https://youtu.be/ZJf5tWG-tIk
・リーガルリリー [PON STAGE]
2年前の「50歳生誕祭」に出演した時はまだ無名だった、リーガルリリー。P青木も
「2年前はみんなに紹介したいバンドだったのが、今年はこっちの大きなステージに出てくれます」
とその成長っぷりを認めている。
「ぶらんこ」で演奏が始まると、完全に空気が一変。ファルセットを多用するたかはしほのかのボーカルとギター、朗らかな見た目からは想像できないくらいにさらに力強さを増し続けるゆきやまのドラム。サポートベーシストのコーラスも曲を構成する重要な要素だ。
3日後に新作ミニアルバムがリリースされるだけに、その中から新曲が披露されるであろうことは予想していたが(前作リリース前も新曲をかなりやっていたし)、そこから披露した曲はまさかの全曲新曲というとんでもない攻めっぷり。なので現状このバンド最大のキラーチューンである「リッケンバッカー」すらやらない。
その新曲群、「ほうき星」というフレーズが印象的な「スターノイズ」、シャープなギターロックというイメージの「overture」、バンド名にもある「リリー」がタイトルに入っているのが気になる「僕のリリー」とどれも全くタイプが違う曲ではあるが、歌詞の構成も、いきなり轟音に急展開したりする曲も、本来なら難解に感じてしまいそうなのだが、どれもがキャッチーにしか聞こえない。しかもおそらくたかはしはそれを意識的にそうしているのではなく、曲を作ると自然にそうなってしまう。
だからこの日、神聖かまってちゃんのの子、tetoの小池、Creepy NutsのR-指定という天才的なセンスを持ったアーティストがいるが、彼らは自分が他の人にはないものを持っていることを少なからず意識して音楽を作っているはずなのだが、たかはしは一切その意識がない。狙おうとすればいくらでもヒット曲、アンセム的な曲を作れるのに、それを1%も狙おうともしていない、完全に無自覚な天才。こうしたタイプが1番恐ろしい。だからなのか、どっからどう見ても普通の女子にしか見えない出で立ちをしているのに、演奏している姿からはとてつもないオーラを感じるし、その姿から一瞬たりとも目が離せない。
ラストのシューゲイザー的なギターノイズにたかはしのファルセットが絡む「うつくしいひと」はもはや神々しさすら感じた。一体これからどんなバンドになっていくのだろうか。その秘めたる力は今こうしてライブを見ているバンドの中でも最も大きいと思う。
リハ.ジョニー
1.ぶらんこ
2.スターノイズ
3.overture
4.僕のリリー
5.うつくしいひと
僕のリリー
https://youtu.be/VcfznNXZQf0
・imai (group_inou)
group_inouとしてBAYCAMPなどのP青木主催イベントにはおなじみの存在であった、imai。group_inouは活動休止してしまったが、ソロで出演。
「俺、今日の出演者の中では1番青木さんと付き合いが長いんですよ。だからチョイ足しアクトっていう立ち位置なのが納得いかないんですよ!」
とDJ卓から身を乗り出しながら喋ると、EDMでもテクノでもない、独特の浮遊感を持ったimaiのものでしかないダンスミュージックで会場を満たしていく。imaiは例によって身を乗り出して煽りながら、音をチョップしたりブレイクを入れたりと、さらにライブ向けのアレンジを施していく。
「せっかくだから青木さんのエピソードを一つ話しておこうかな。前にinouが名古屋でキュウソネコカミと一緒にライブしたことがあって。始まる前にキュウソのみんなと「今日は見にきてくれてる人がおとなしいかもしれない」っていう話をしてたら青木さんが珍しく「俺に任せとけ!前説で温めてやるから!」って頼もしい感じになって。いざ出てったら第一声が「広島のみなさん!」で大ブーイング(笑)俺たちマイナス50くらいのところから始める羽目になった(笑)」
とP青木とのエピソードで爆笑を巻き起こしながら、
「でも普通は1人になった俺なんか誰も呼ばないですよ。でも青木さんだけは「こいつなら1人でも面白いことやってくれるだろう」って思ってくれてるのかな、って」
とそのP青木への長い付き合いだからこその信頼を口にした。
やはりボーカル(というかラップ)がないのは少し寂しさを感じるが、1人になったということは自由になったということ。group_inouの時にはできなかったようなことだって、これからはできる。
PSEP release oneman live
https://youtu.be/3ddZQpyF-E4
そのあと、DJブースにP青木が登場し、この日は参加できなかったが、普段からP青木とともに活動している人たちからメッセージビデオが。キュウソネコカミはもちろん、なぜかTWICEというポップシーンのスターまでもがコメントを寄せており、P青木が実は凄い人であるということを少しうかがわせる。が、1番凄かったのはこの映像のために3人が揃ったダンスを披露するというネタを仕込んできた、SHISHAMOであった。
・神聖かまってちゃん [PON STAGE]
長い1日のイベントももう後半戦へ。もしかしたらこの日の出演者の中で最も知名度があるかもしれない、神聖かまってちゃんの登場。
リハの段階ではしっかり演奏をしていたメンバー(主にの子)だが、本番になると
「青木ー!」
となぜか情緒不安定になり、若干不安がよぎる。(昔はグダグダのライブをやることもよくあったため)
しかし初期の曲に比べるとはるかにロマンチックに、詩的になっている「ズッ友」からスタートすると、バンドのサウンドの力強さにびっくりしてしまう。ちばぎん(ベース)は昔からコーラスも含めて安定感があったが、みさこのドラムはこんなに凄かったっけ!?と思うほど。ついつい「何をやってるんだろうなぁ」と思ってしまう、バンドじゃないもん!の活動からも神聖かまってちゃん自体にしっかり持って帰ってきているものがあるんだな、と思わされる。
最大のキラーチューンにもかかわらず、あっさりと「ロックンロールは鳴り止まないっ」を演奏すると、華麗なピアノの旋律を奏でていたmonoがバンダナを巻いていることにの子が反応し、
の子「なんでそんなの巻いてんだ!運動会か!」
mono「確かに運動会の紅組っぽくなってるけど!」
の子「運動会ってどこでやるんだよ!」
mono「学校だ!」
とちょっと無理矢理な感じもしなくもないが、かといって不自然ではない形で「学校へ行きたくない」へつなげると、の子が何度も客席にダイブしまくり、なかなか曲が終わらないという展開に。
なんとか曲が終わると、ただいま公開中の映画の宣伝。なぜその映画をこのバンドが宣伝するのかというと、その映画の主題歌である「フロントメモリー」はこのバンドの曲だからである。やりたい放題やっているように見えて、しっかり求められているものも見せる。見た目以上に、このバンドは大人になっていた。
かと思いきや、曲が終わったにもかかわらず、の子が
「時間押したっていーじゃねーかよ!」
となぜか駄々をこね始め、ちばぎんに抱き抱えられて強制終了。と思ったら転換が始まったステージに再びの子が飛び出し、転換の準備をしていたP青木にキスするという衝撃のシーン。ある意味では最もわかりやすい形でP青木への愛を伝えたのだが。
「ロックンロールは鳴り止まないっ」はどう考えても素晴らしい名曲である。そして「フロントメモリー」も今になって脚光を浴びている。事件性によって有名になってしまったところもあるが、そうしたこのバンドの音楽や楽曲は、今せっかく映画の主題歌に起用されている今だからこそしっかり評価されて欲しいと、同い年、同じ地元という、彼らをヒーローだと思っている身としては心から願う。
リハ.知恵ちゃんの聖書
1.ズッ友
2.僕のブルース
3.ゆーれいみマン
4.ロックンロールは鳴り止まないっ
5.学校に行きたくない
6.フロントメモリー
フロントメモリー
https://youtu.be/b-bW5PFtQgU
・新しい学校のリーダーズ [KOTSU STAGE]
正直、全くどういう人たち、どういう音楽なのか知らなかった出演者。しかしステージに楽器はおろかDJ卓すらもないことからも、パフォーマンスグループかと予想していたのだが、いざステージに出てきたのは腕章をつけたセーラー服を着た女性4人組。
「起立!休め!気をつけ!」
という号令をSUZUKAがかけると、突如としてダークなロックサウンドに合わせて4人がガンガン頭を振ったりという激しいダンスを見せ、初見の人がほとんどであろう客席を「!?」の海に叩き込んでいく。
合間には
「マラソン大会で「一緒に走ろうね」って言ってたのに裏切られた心境を必要以上に壮大に表現してみました」
「52組の青木くんが好きだから協力して!」
「うん!わかった!」
「でもこいつ、裏切るんです!」
などの寸劇が展開されていき、「遮断機」では昭和歌謡的なサウンドの曲をSUZUKAが歌いあげるのだが、意外なほどに歌唱力が高い。非常に運動量の多いダンスも含め、各々が高い能力を持ったメンバーであるということはすぐにわかる。
これだけ濃いバンドやアーティストが揃っているこの日のイベントにあって、このシュールかつ強烈な世界観は最大級のインパクトを誇っている。サウンドもロックファンに受け入れられそうではあるが、だからこそ生演奏じゃないというのが少し残念。ステージの狭さとダンスの激しさを考えるとバックバンドは入れられないけど。
1.毒花
2.キミワイナ
3.遮断機
4.最終人類
毒花
https://youtu.be/pSGXzFTHI_s
・Creepy Nuts [PON STAGE]
2年前にこのイベントに出演した時はまだ無名の存在だった、Creepy Nuts。今や日本のヒップホップシーンの急先鋒どころか、ロックシーン、お茶の間にまでも侵攻している。
序盤からR-指定が「ポンコツ祭り」「P青木」というこの日ならではのフレーズをさりげなく入れながらキレッキレのラップを展開していくと、リリースされたばかりの最新アルバム「クリープ・ショー」から、ギターロックサウンドの「ぬえの泣く夜は」、金に支配された社会を皮肉る「紙様」と新曲を連発。もとからヒップホップ的なサウンド以外にも果敢に挑んできたグループだが、さらに音楽性の幅を広げている。
すると中盤にはライブでは恒例のR-指定による聖徳太子スタイル。テーマを募集する際にステージに出てきたのは、フレンズのひろせひろせで、「ひろせ」というテーマを提供。さらには「万引き家族」というタイムリーなテーマや、「ハッピーポンコツ」「バースデーケーキ」というこの日ならではのテーマ、「日大」という日本を席巻しているパワーワードに加え、2人がやっているラジオのネタまで出てくるなど、この日はこのグループを目当てに来た人も多かったイメージ。
そのテーマを駆使してR-指定がフリースタイルをキメると、松永もターンテーブルのテクニックを存分に見せつける。
そして代表曲「合法的トビ方ノススメ」で盛り上がりはピークを迎えると、
「普段から青木さんはポンコツって呼ばれてて。俺の地元の仲間もポンコツなやつばっかり。でもそういうやつらが大好きやねん。だから青木さんに、そういう大好きなやつらを思って書いた曲を捧げます」
と言って最後に披露されたのは、R-指定のソロとして書かれたメロウな「使えない奴ら」。決してR-指定のスキルを見せつけるようなタイプの曲ではないが、だからこそ己のアピールよりもP青木へのリスペクトが滲み出ていた。
1.助演男優賞
2.ぬえの鳴く夜は
3.紙様
聖徳太子スタイル
4.合法的トビ方ノススメ
5.使えない奴ら
ぬえの泣く夜は
https://youtu.be/TucoE8VLYBA
・忘れらんねえよ柴田 with タナカヒロキ(LEGO BIG MORL)
梅津の脱退により、アラバキなども含めて、忘れらんねえよのサポートギタリストであるタナカヒロキとの2人でライブを重ねている柴田。リハから銀杏BOYZ「BABY BABY」というサプライズをかまし、さらにはアラバキで何度も歌っていた華原朋美「I'm Proud」を熱唱するなど、この日も早くも絶好調である。
本番では客席の後ろから登場し、[ALEXANDROS]「ワタリドリ」が流れる中で渡り鳥のように運ばれてステージまで到達。ひとしきりサビを歌ってから、タナカヒロキがアコギ、柴田がエレキという編成で、忘れらんねえよの「この高鳴りをなんと呼ぶ」「花火」と心を揺さぶるエモーショナルな曲を弾き語り。
「青木さん、このイベントのためにTシャツ何種類も作ってたけど、絶対赤字だと思うんだよね。みんなあんまり着てないもん(笑)
あと、青木さんのツイッター、最近どんなこと呟いてるのかな?って思って見てみたら、プロフィールに担当してるアーティストの名前が書いてあって。キュウソネコカミ、水曜日のカンパネラ、リーガルリリー、Czecho No Republic、Creepy Nuts…あれぇ!?俺たちの名前がないぞ!?(笑)
だから青木さんは今日中にプロフィールに絶対俺たちの名前を入れろ!(笑)」
と自虐ネタで爆笑を巻き起こし、
柴田「今、若干メンバーが脱退していて…」
タナカ「若干じゃねぇよ(笑)完全に脱退してるよ(笑)」
柴田「その脱退した彼がDJ活動を活発に行っていて。そんなにベース弾くの嫌だったのかと(笑)」
と梅津の近況も話すと、「涙が出てしまう名バラード」と紹介された「ハッピーバースデーとはいえ俺は誕生会に呼ばれていない」は「夜間飛行」のプロトタイプバージョンだが、アラバキの時もやっていただけに、弾き語りではこっちのバージョンで披露するのだろうか。
「新曲できたんですよ。すごい良い曲なんで、今日やってみようかと。「愛、愛、そして愛」っていう曲です」
と柴田が新曲の紹介をしたのだが、
「ねぇどうして すごくすごく好きなこと」
と、完全に聴いたことのあるフレーズで始まったのはドリカムの「LOVE LOVE LOVE」。柴田はあくまでも自身の新曲と言い張るが、華原朋美やドリカムの曲を普通に歌いこなせるくらいに柴田は今になって急激に歌が上手くなってきている。これは今後の忘れらんねえよにとってものすごく大きなプラス要素になるはずだし、自身の曲のメロディをしっかりと伝えられるようになるはず。
「LOVE LOVE 叫ぼう愛を」
というコーラスパートでは
「新曲とは思えないくらいにみんなが歌ってくれてる!」
と言いながら、DJブースに引っ張り出したP青木にまで歌わせるという荒技に出るが、やはり「ツイッターのプロフィール直せ!」と自身がスルーされているのが気に入らない様子。
そしてラストは「Cから始まるABC」を客席に突入しながら歌い、観客に支えられて立つというキュウソスタイルで歌いながら、最後にはメインステージに運ばれていった。
この編成でのライブが見れるのもあと数回あるかないか。新体制でのスタートが決まっているだけに、それがお披露目されれば今後はその編成でライブを行っていくのだろう。もはやサポートという枠には収まりきっていないくらいに以心伝心の中となったタナカヒロキと一緒にステージに立つのもあとわずかだ。
リハ.BABY BABY
リハ.I'm Proud
1.この高鳴りをなんと呼ぶ
2.花火
3.ハッピーバースデーとはいえ俺は誕生会に呼ばれていない
4.LOVE LOVE LOVE (ドリカム)
5.Cから始まるABC
花火
https://youtu.be/1fhToc5E0Kg
・フレンズ
この日のトリを任されたのは、今や野音やZeppですらソールドアウトするくらいの存在になったフレンズ。メンバーの中にはこのバンドを始める前からP青木とつながりのあるメンバーもいる。
白い衣装を見にまとい、ポップかつしとやかにおかもとえみが歌い上げる「夜にダンス」でスタートすると、「NIGHT TOWN」「ベッドサイドミュージック」とこの時間によく似合う夜がテーマになっている曲を連発。基本的にひろせひろせとともにステージを左右に動きながら歌うおかもとも「ベッドサイドミュージック」ではマイクスタンドを使って歌唱に専念する。
「6/3はP青木だけじゃなくて、長澤まさみさんの誕生日。さらにはペリーが来航した記念日でもあります!」
とひろせが豆知識を披露すると、独特の振り付けが楽しい「塩と砂糖」では長島涼平がthe telephonesとはまた違うタイプのベースソロを展開するのだが、曲終わりでメンバーがプレゼントを渡すべくP青木を招くと、原曲では三浦太郎を元気付けるべく演奏される「元気D.C.T ~プロローグ~」をP青木を元気付けるために演奏するという寸劇に突入。魔法の言葉をメンバーと観客が言っても元気が出ないP青木のために、AT FIELDのスタッフまでもがステージに登場して魔法の言葉をかけるという身内ネタ満載。しかしP青木は台本をちゃんと覚えておらず、案の定グダグダになっていたが、メンバーはその姿を見て爆笑。
そしてラストの「Love,ya!」で来るべき夏フェスの時期にまた野外でこのバンドのライブが見れることを楽しみに思っていると、アウトロでCreepy NutsのR-指定が登場してフリースタイルをかまし、さっきまでのグダグダな寸劇とは打って変わってビシッとライブを締めたのはさすがだ。
しかしここでサプライズとしてP青木へケーキのプレゼント。ケーキを持ってきたのはCreepy Nutsの松永なのだが、P青木がロウソクに息を吹く前に火が消えるというポンコツっぷりも見せながら、愛に溢れたP青木の52歳の生誕祭は幕を閉じた。
1.夜にダンス
2.NIGHT TOWN
3.ベッドサイドミュージック
4.塩と砂糖
5.元気D.C.T ~プロローグ~ feat.P青木
6.Love,ya! feat.R-指定
ベッドサイドミュージック
https://youtu.be/z1KePDT50i8
かと思いきや、まだ終わらず。P青木が用意したVTRには先ほどひろせが紹介した長澤まさみや、音楽プロデューサーの亀田誠治、野球界からは川崎宗則ら、この日が誕生日である著名人が紹介されるが、日本記念日協会から、この日が正式に「ポンコツの日」に認定されたというとんでもない事態に。
おかもとえみによる授与式も行われると、
「本当は今年だけのつもりだったんですけど、6/3がポンコツの日になったからには、これからは毎年このイベントをやります!」
とP青木が宣言し、出演者全員で写真撮影。P青木に文句を言っていた忘れらんねえよ柴田は楽屋で酒を飲んでいて出遅れて登場したが、ほぼ全員が最後まで残っていたのはP青木の人徳によるものなのだろう。最後にはこのイベントのテーマソングである「ハッピーポンコツ」が流れていただけに、来年以降はまたキュウソネコカミもこのイベントに出ていただきたい。
この日もほとんどの出演者から「ポンコツ」と呼ばれたり、そのポンコツっぷりを示すようなエピソードを紹介されていたP青木だが、もし本当にただ単にダメなやつなら、BAYCAMPにBRAHMANやらDragon Ashやら細美武士やら[ALEXANDROS]やらMAN WITH A MISSIONやら銀杏BOYZやらストレイテナーやら、自らの意識をしっかり持ったアーティストは集まらない。そこにはやはりP青木のポンコツでない部分の力があるし、何よりも
「これからも、死ぬまでロックのために頑張ります!」
と宣言できる、ロックへの愛がある。それこそがこれだけたくさんのアーティストたちから愛される理由なんだと思う。それをまた感じられるように、また来年、あるいはBAYCAMPで。
ハッピーポンコツ
https://youtu.be/_ZEGUfWSgls
Next→ 6/6 NICO Touches the Walls @Zepp Tokyo


NICO Touches the Walls ”N X A” TOUR -Electric Side- @Zepp Tokyo 6/6 ホーム
三度の飯より、フェス飯が好き!? ~座談会 vol.3~