Base Ball Bear Tour 「LIVE IN LIVE」 @渋谷CLUB QUATTRO 5/25
- 2018/05/25
- 23:30
今年の3月から、サポートメンバーなしの3人編成での新たな形でライブをするようになった、Base Ball Bear。春フェスでもその3人編成ならではのタイトになったアレンジでのライブを見せてくれていたが、いよいよワンマンでそれをたっぷりと味わえる時がきた。
今回のツアーは特定のリリースツアーというものではなく、過去作に焦点を当てたシリーズ「LIVE IN LIVE」。そのために過去の曲たちがスリーピースでアレンジされているのをたっぷりと味わえるということ。
以前もこのシリーズは渋谷QUATTROで開催されたが、今回もQUATTROということで、普段はZeppが主戦場であるだけに開演前から客席は超満員。もはやフェスに出演すると1番キャリアが長い、という領域に突入してきているが、まだまだ平日でもこのキャパでは収まりきらないという集客力はキープしている。
19時ちょうどくらいになるとおなじみXTCのSEで3人が登場。フェスの時と同様に小出が下手、関根が上手という三角形を形成するという立ち位置だが、関根の服が銀色に輝いているのが目を惹く。
堀之内のドラムセットの前に3人が集まるおなじみの光景から、小出と関根が向かい合うようにしながら小出のギターが「真夏の条件」のイントロを奏で始めると、いきなり湧きまくる客席。間奏ではいきなり、
「ギター俺!」
と小出が真ん中に出てきてギターソロを決めるという3人になったからこその変化が早くも見える。
「祭りのあと」では関根が間奏で真ん中に出てきて力強いベースを弾くという、メンバーそれぞれの演奏力を序盤からふんだんに見せつけると、挨拶がてらのメンバー紹介。この日、このツアーでは3人編成で映える曲を演奏していく、ということで、この日はインスタのハッシュタグを「3人映え」にして投稿するように、という小出からのお達しが出る。
「続いても3人映えする曲を」
と紹介された「そんなに好きじゃなかった」まではフェスで披露していた曲が続いたが、小出の刻むギターのイントロから始まった「ファンファーレが聴こえる」からは、フェスではやっていなかった、つまり3人で演奏するのを初めて聴く曲が披露されていくが、この曲は正直イントロだけではなんの曲なのかわからないくらいにアレンジが施されていた。
真っ赤な照明がメンバーを照らす「Ghost Town」は、この曲までも3人でやるのか!という「LIVE IN LIVE」ならではの意外性も感じさせてくれ、「逆バタフライ・エフェクト」では堀之内がバスドラのリズムに合わせて手拍子を観客に煽るのだが、観客だけでなくステージ両サイドにいるスタッフにも煽っているのが実に微笑ましい。
するとステージを暗闇が覆ってインターバルを挟むのだが、関根がどう見てもベースではない楽器を手にしている。ギターのボディがなくなったような、ベースより明らかに弦の本数が多いその楽器は「チャップマン・スティック」(開発者の名前に由来するネーミングらしい)という楽器であり、両手でタッピング奏法のようにして弾くことにより、左手でベースのリズムを、右手でギターのメロディを奏でることができるという新兵器。それにより、「Kodoku no synthesizer」を3人だけで、しかも打ち込みを一切使わないというこのバンドのルールに則って演奏することができる。
「4人で演奏していたのを3人で演奏するためには新しい工夫が必要」
と関根本人も言っていたが、まさかこんな飛び道具が出てくるとは全く予想だにしなかった。どうやら関根は2年くらい前からこの楽器の練習をしていたらしいが、さぞや弾きこなすのが難しい楽器であろうことは演奏している姿を見ると本当によくわかる。
ロックバンドで使っている人はほとんどいないという、そのチャップマン・スティックへの熱量がすごすぎて、今までにないくらいに関根が楽器の説明やら、
「ギターマガジン、ベースマガジン、ドラムマガジンとあるけど、チャップマン・スティックマガジンがあったら創刊号の表紙になれる(笑)」
という愛情の深さを語ると(ちなみに関根が喋りたおしている間に小出はジャケットの中に装着していたサスペンダーを外すために一瞬楽屋に戻る)、もう1曲そのチャップマン・スティックを使用する「ラブ&ポップ」。ある意味では1人二役を関根が担っているからこそ、久しぶりに聴けるという意味では関根の貢献度、ミュージシャンとしての進化がとてつもなく大きい。基本的にずっと左右の手の動きを見ていないと弾けないというあたりがこの楽器の難しさを物語っているが、ベースですら4人編成の時よりも音数や音階的な動きが多くなっているのに、まさか他の楽器まで(しかも相当特殊な)弾けるようになるとは。しかも関根がそうした奏法でコーラスができないぶん、この楽器の時は堀之内が全編でドラムを叩きながらコーラスを務めている。やはり3人になってからメンバー1人1人の技術はさらに進化している。ということは、すでにデビューから10年以上経ち、30代を超えているこのバンドがこれからもさらに進化していくのは間違いないということである。
関根がベースに戻ると、
「つまりは、あいしてる!」
と小出が言った時は「愛してる」なのか「曖してる」なのかわからなかったし、イントロだけだと判別がつきにくいが、ここで演奏されたのは「愛してる」の方。最後のサビ前には小出が合唱を促すが、
「ギターロックを!」「ギターポップを!」「ヒップホップを!」「ハードロックを!」「シティポップも!」「AORも!」「メタルも!」
と音楽のジャンルを挙げた上で「愛してる」と合唱させることで、一対一のラブソングではなく、音楽と人間とのラブソングに昇華してみせると、
「すなわち全ての音楽を!」
とひときわ大きな合唱を起こすが、最後に
「Base Ball Bearを!」
と言うと、一瞬でわかるくらい最大の「愛してる」の大合唱が起こった。やっぱり、ここにいる人たちは何よりもベボベのことを最も愛しているのだ。
すると関根が歌い始めたのは、関根がメインボーカルである「WINK SNIPER」。小出と堀之内の男コンビはコーラスも担当しているが、メインボーカルではないだけに小出がマイクスタンドから離れてギターを弾きまくり、しかも途中では堀之内と向かい合って演奏している。かつては何度となく大喧嘩をしてきたというエピソードをライブのMCでも話していたし、ということはライブの時はそうは見えなくても、険悪な関係性だった時だってあったはず。そんな2人が、今まで見たこともないような笑顔でお互いの顔を見ながら演奏している。3人になったからこそ、今まで見ることができなかったものを見ることができるようになったが、このシーンはその最たるもの。(4人の時は小出の真後ろに堀之内がいただけに)
その奥には、それぞれの他のメンバーに対する信頼を感じ取ることができる。もう単なる同級生や先輩・後輩という関係性ではないが、厳しい試練を乗り越えたことで、このメンバーでバンドをやれている喜びを改めて感じているだろうし、我々もこのメンバーでバンドをやっている姿を見ることができる喜びを感じることができる。
ヒップホップ的なコール&レスポンスをしてから小出がRHYMESTERのラップパートも含めて1人で歌い切る「The Cut」では前半はほとんどギターレスで、ドラムとベースだけでキメを連発するという演奏がグルーヴをさらに増幅させていくと、最後のサビ前ではブレイクを入れて小出が煽りまくり、天井から水滴が落ちてくるほどの熱気に包まれていく。
正直、「ベボベのライブでこんなに盛り上がって、こんなに暑いと思うことってあっただろうか?」というくらいのレベルの熱さだったが、それはバンドの演奏によってもたらされているものだった。それは小出も
「今日、ツアー2本目なんだけど、この前にツアー初日やった時、初めてライブしてる、くらいの感覚だった。だから荒さに満ちてたし、聞き返してみて「若いな!」と思った」
と言っていた、衝動によるものだろう。
それを証明するかのようにテンポが速くなりまくっていた「曖してる」、
「騒げパーティーピーポー!」
という小出の言葉に合わせて場内のミラーボールがキラキラと輝きだした「十字架You and I」と、後半でさらにグルーヴを増していくような曲を連発すると、
「まるで3人になった我々のように!」
と、このバンドの今に至るまでのストーリーすらも「ドラマチック」にしてみせると、最後は「BREEEEZE GIRL」で夏の到来を感じさせるとともに、灼熱の場内に爽やかな風を吹かせた。このラスト2曲は春フェスでも演奏されていたし、きっと夏フェスという最も似合う舞台でも演奏されるはず。それはこのバンドの中で最も知名度のある曲たちであるというのもあるだろうが、3人になったことによって、自分たちがやりたいこととファンが求めていることのバランスも非常に良くなったような気がしている。
アンコールでは3人がツアーTシャツに着替えて登場し、
「あー!生きてるっていう感じがする!これが「LIVE IN LIVE」か!堀之内さん!この感情を叫びにしてください!」
と小出が堀之内に振ると、
「ぅああああああ!!!サンセット!」
と、呻き声から「SUNSET-KI・RE・I」のイントロのコールにつなげてみせる。
今回のセットリストの中では最も古い、インディーズ時代の曲であるというのは「LIVE IN LIVE」だからこそという感じであるが、間奏で小出と関根が揃って前に出てきて演奏するという姿はかつてこの曲を演奏していた時は間違いなく見れなかったもの。スリーピースで演奏されることによって、サウンドも実にシャープかつタイトに、しかし強い衝動を感じさせるものになっている。
そして最後にこの日最大の盛り上がりを生み出すかのように「LOVE MATHEMATICS」を演奏すると、告知するのを完全に忘れていたかのように小出がもはや毎年恒例となってきている日比谷野音のライブが10月に行われることを告げると、終演SEとして流れた「愛はおしゃれじゃない」でも全編通して大合唱。完璧に歌詞を覚えているという観客の姿に無上の愛を感じざるを得なかった。
でも、湯浅が抜けてすぐには絶対にこの編成は形にならなかったはず。そうすることを選んでいたら、今までと同じようなペースで活動することはできなかった。そこを弓木英梨乃を始め、フルカワユタカらサポートギターを務めてくれた人たちのおかげでこの編成に至るまでの準備と確認をしっかりとすることができた。
だからこそ今は3人でライブができているとはいえ、サポートを務めてくれたメンバーたちには感謝しかないが、それを経ての3人でのライブで、
「このおじさんになってからの初めてライブをやるかのようなフレッシュさって本当にときめくからな!」
と小出が言っていたように、まだインディーズ時代にこのバンドに出会った頃のようなときめきを持って見ることができる。それはただ単に編成が変わったからというだけでなく、演奏しているバンドから確かな衝動と、バンドをやれている楽しさを感じることができるから。12年くらいずっと見続けてきた中で、お世辞抜きで今が1番カッコいいし、ライブが良いと言ってもいいかもしれない。
つまり、
「一言で言うならば愛してるのさ」
今のBase Ball Bearというバンドを。
1.真夏の条件
2.祭りのあと
3.そんなに好きじゃなかった
4.ファンファーレが聴こえる
5.Ghost Town
6.逆バタフライ・エフェクト
7.Kodoku no synthesizer
8.ラブ&ポップ
9.愛してる
10.WINK SNIPER
11.The Cut
12.曖してる
13.十字架You and I
14.ドラマチック
15.BREEEEZE GIRL
encore
16.SUNSET-KI・RE・I
17.LOVE MATHEMATICS
BREEEEZE GIRL
https://youtu.be/bLnRythb-pw
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今回のツアーは特定のリリースツアーというものではなく、過去作に焦点を当てたシリーズ「LIVE IN LIVE」。そのために過去の曲たちがスリーピースでアレンジされているのをたっぷりと味わえるということ。
以前もこのシリーズは渋谷QUATTROで開催されたが、今回もQUATTROということで、普段はZeppが主戦場であるだけに開演前から客席は超満員。もはやフェスに出演すると1番キャリアが長い、という領域に突入してきているが、まだまだ平日でもこのキャパでは収まりきらないという集客力はキープしている。
19時ちょうどくらいになるとおなじみXTCのSEで3人が登場。フェスの時と同様に小出が下手、関根が上手という三角形を形成するという立ち位置だが、関根の服が銀色に輝いているのが目を惹く。
堀之内のドラムセットの前に3人が集まるおなじみの光景から、小出と関根が向かい合うようにしながら小出のギターが「真夏の条件」のイントロを奏で始めると、いきなり湧きまくる客席。間奏ではいきなり、
「ギター俺!」
と小出が真ん中に出てきてギターソロを決めるという3人になったからこその変化が早くも見える。
「祭りのあと」では関根が間奏で真ん中に出てきて力強いベースを弾くという、メンバーそれぞれの演奏力を序盤からふんだんに見せつけると、挨拶がてらのメンバー紹介。この日、このツアーでは3人編成で映える曲を演奏していく、ということで、この日はインスタのハッシュタグを「3人映え」にして投稿するように、という小出からのお達しが出る。
「続いても3人映えする曲を」
と紹介された「そんなに好きじゃなかった」まではフェスで披露していた曲が続いたが、小出の刻むギターのイントロから始まった「ファンファーレが聴こえる」からは、フェスではやっていなかった、つまり3人で演奏するのを初めて聴く曲が披露されていくが、この曲は正直イントロだけではなんの曲なのかわからないくらいにアレンジが施されていた。
真っ赤な照明がメンバーを照らす「Ghost Town」は、この曲までも3人でやるのか!という「LIVE IN LIVE」ならではの意外性も感じさせてくれ、「逆バタフライ・エフェクト」では堀之内がバスドラのリズムに合わせて手拍子を観客に煽るのだが、観客だけでなくステージ両サイドにいるスタッフにも煽っているのが実に微笑ましい。
するとステージを暗闇が覆ってインターバルを挟むのだが、関根がどう見てもベースではない楽器を手にしている。ギターのボディがなくなったような、ベースより明らかに弦の本数が多いその楽器は「チャップマン・スティック」(開発者の名前に由来するネーミングらしい)という楽器であり、両手でタッピング奏法のようにして弾くことにより、左手でベースのリズムを、右手でギターのメロディを奏でることができるという新兵器。それにより、「Kodoku no synthesizer」を3人だけで、しかも打ち込みを一切使わないというこのバンドのルールに則って演奏することができる。
「4人で演奏していたのを3人で演奏するためには新しい工夫が必要」
と関根本人も言っていたが、まさかこんな飛び道具が出てくるとは全く予想だにしなかった。どうやら関根は2年くらい前からこの楽器の練習をしていたらしいが、さぞや弾きこなすのが難しい楽器であろうことは演奏している姿を見ると本当によくわかる。
ロックバンドで使っている人はほとんどいないという、そのチャップマン・スティックへの熱量がすごすぎて、今までにないくらいに関根が楽器の説明やら、
「ギターマガジン、ベースマガジン、ドラムマガジンとあるけど、チャップマン・スティックマガジンがあったら創刊号の表紙になれる(笑)」
という愛情の深さを語ると(ちなみに関根が喋りたおしている間に小出はジャケットの中に装着していたサスペンダーを外すために一瞬楽屋に戻る)、もう1曲そのチャップマン・スティックを使用する「ラブ&ポップ」。ある意味では1人二役を関根が担っているからこそ、久しぶりに聴けるという意味では関根の貢献度、ミュージシャンとしての進化がとてつもなく大きい。基本的にずっと左右の手の動きを見ていないと弾けないというあたりがこの楽器の難しさを物語っているが、ベースですら4人編成の時よりも音数や音階的な動きが多くなっているのに、まさか他の楽器まで(しかも相当特殊な)弾けるようになるとは。しかも関根がそうした奏法でコーラスができないぶん、この楽器の時は堀之内が全編でドラムを叩きながらコーラスを務めている。やはり3人になってからメンバー1人1人の技術はさらに進化している。ということは、すでにデビューから10年以上経ち、30代を超えているこのバンドがこれからもさらに進化していくのは間違いないということである。
関根がベースに戻ると、
「つまりは、あいしてる!」
と小出が言った時は「愛してる」なのか「曖してる」なのかわからなかったし、イントロだけだと判別がつきにくいが、ここで演奏されたのは「愛してる」の方。最後のサビ前には小出が合唱を促すが、
「ギターロックを!」「ギターポップを!」「ヒップホップを!」「ハードロックを!」「シティポップも!」「AORも!」「メタルも!」
と音楽のジャンルを挙げた上で「愛してる」と合唱させることで、一対一のラブソングではなく、音楽と人間とのラブソングに昇華してみせると、
「すなわち全ての音楽を!」
とひときわ大きな合唱を起こすが、最後に
「Base Ball Bearを!」
と言うと、一瞬でわかるくらい最大の「愛してる」の大合唱が起こった。やっぱり、ここにいる人たちは何よりもベボベのことを最も愛しているのだ。
すると関根が歌い始めたのは、関根がメインボーカルである「WINK SNIPER」。小出と堀之内の男コンビはコーラスも担当しているが、メインボーカルではないだけに小出がマイクスタンドから離れてギターを弾きまくり、しかも途中では堀之内と向かい合って演奏している。かつては何度となく大喧嘩をしてきたというエピソードをライブのMCでも話していたし、ということはライブの時はそうは見えなくても、険悪な関係性だった時だってあったはず。そんな2人が、今まで見たこともないような笑顔でお互いの顔を見ながら演奏している。3人になったからこそ、今まで見ることができなかったものを見ることができるようになったが、このシーンはその最たるもの。(4人の時は小出の真後ろに堀之内がいただけに)
その奥には、それぞれの他のメンバーに対する信頼を感じ取ることができる。もう単なる同級生や先輩・後輩という関係性ではないが、厳しい試練を乗り越えたことで、このメンバーでバンドをやれている喜びを改めて感じているだろうし、我々もこのメンバーでバンドをやっている姿を見ることができる喜びを感じることができる。
ヒップホップ的なコール&レスポンスをしてから小出がRHYMESTERのラップパートも含めて1人で歌い切る「The Cut」では前半はほとんどギターレスで、ドラムとベースだけでキメを連発するという演奏がグルーヴをさらに増幅させていくと、最後のサビ前ではブレイクを入れて小出が煽りまくり、天井から水滴が落ちてくるほどの熱気に包まれていく。
正直、「ベボベのライブでこんなに盛り上がって、こんなに暑いと思うことってあっただろうか?」というくらいのレベルの熱さだったが、それはバンドの演奏によってもたらされているものだった。それは小出も
「今日、ツアー2本目なんだけど、この前にツアー初日やった時、初めてライブしてる、くらいの感覚だった。だから荒さに満ちてたし、聞き返してみて「若いな!」と思った」
と言っていた、衝動によるものだろう。
それを証明するかのようにテンポが速くなりまくっていた「曖してる」、
「騒げパーティーピーポー!」
という小出の言葉に合わせて場内のミラーボールがキラキラと輝きだした「十字架You and I」と、後半でさらにグルーヴを増していくような曲を連発すると、
「まるで3人になった我々のように!」
と、このバンドの今に至るまでのストーリーすらも「ドラマチック」にしてみせると、最後は「BREEEEZE GIRL」で夏の到来を感じさせるとともに、灼熱の場内に爽やかな風を吹かせた。このラスト2曲は春フェスでも演奏されていたし、きっと夏フェスという最も似合う舞台でも演奏されるはず。それはこのバンドの中で最も知名度のある曲たちであるというのもあるだろうが、3人になったことによって、自分たちがやりたいこととファンが求めていることのバランスも非常に良くなったような気がしている。
アンコールでは3人がツアーTシャツに着替えて登場し、
「あー!生きてるっていう感じがする!これが「LIVE IN LIVE」か!堀之内さん!この感情を叫びにしてください!」
と小出が堀之内に振ると、
「ぅああああああ!!!サンセット!」
と、呻き声から「SUNSET-KI・RE・I」のイントロのコールにつなげてみせる。
今回のセットリストの中では最も古い、インディーズ時代の曲であるというのは「LIVE IN LIVE」だからこそという感じであるが、間奏で小出と関根が揃って前に出てきて演奏するという姿はかつてこの曲を演奏していた時は間違いなく見れなかったもの。スリーピースで演奏されることによって、サウンドも実にシャープかつタイトに、しかし強い衝動を感じさせるものになっている。
そして最後にこの日最大の盛り上がりを生み出すかのように「LOVE MATHEMATICS」を演奏すると、告知するのを完全に忘れていたかのように小出がもはや毎年恒例となってきている日比谷野音のライブが10月に行われることを告げると、終演SEとして流れた「愛はおしゃれじゃない」でも全編通して大合唱。完璧に歌詞を覚えているという観客の姿に無上の愛を感じざるを得なかった。
でも、湯浅が抜けてすぐには絶対にこの編成は形にならなかったはず。そうすることを選んでいたら、今までと同じようなペースで活動することはできなかった。そこを弓木英梨乃を始め、フルカワユタカらサポートギターを務めてくれた人たちのおかげでこの編成に至るまでの準備と確認をしっかりとすることができた。
だからこそ今は3人でライブができているとはいえ、サポートを務めてくれたメンバーたちには感謝しかないが、それを経ての3人でのライブで、
「このおじさんになってからの初めてライブをやるかのようなフレッシュさって本当にときめくからな!」
と小出が言っていたように、まだインディーズ時代にこのバンドに出会った頃のようなときめきを持って見ることができる。それはただ単に編成が変わったからというだけでなく、演奏しているバンドから確かな衝動と、バンドをやれている楽しさを感じることができるから。12年くらいずっと見続けてきた中で、お世辞抜きで今が1番カッコいいし、ライブが良いと言ってもいいかもしれない。
つまり、
「一言で言うならば愛してるのさ」
今のBase Ball Bearというバンドを。
1.真夏の条件
2.祭りのあと
3.そんなに好きじゃなかった
4.ファンファーレが聴こえる
5.Ghost Town
6.逆バタフライ・エフェクト
7.Kodoku no synthesizer
8.ラブ&ポップ
9.愛してる
10.WINK SNIPER
11.The Cut
12.曖してる
13.十字架You and I
14.ドラマチック
15.BREEEEZE GIRL
encore
16.SUNSET-KI・RE・I
17.LOVE MATHEMATICS
BREEEEZE GIRL
https://youtu.be/bLnRythb-pw
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