The Mirraz presents Pyramid de 427 part11 @新宿MARZ 4/29
- 2018/04/30
- 22:48
The Mirrazの毎年恒例の4月27日ワンマン、今年は大阪と東京の2会場、
「みんなもう歳だから土日じゃないと来れないだろう」
という畠山承平の優しい(?)配慮にて、4月28日(土)に大阪、4月29日(日)に東京という2daysで開催。
かつては対バンを招いたイベントだったが、近年はワンマンになり、開演前のメンバーのガチ演技が見られる有名映画のパロディ映像など、徐々にメンバーのやりたい放題的な内容になってきているが、去年はファンが全て決めたセトリでライブをやるなど、ファン感謝祭的な側面が強くなってきている。
開演時間の18時を少し過ぎた頃、場内が暗転すると、ステージに貼られた紗幕に映像が映し出され、Underworld「Born Slippy」が流れ始める。今回の映像は「T2 Spospospotting」という「トレインスポッティング」のパロディで、
ケイゾー=いつでもどこでもAVを見ているAVオタク
真彦=ガリガリなのに食事制限のみでさらに痩せようとするダイエットオタク
畠山=ゲームの課金がやめられないゲームオタク
真野(サポートドラマー)=死後にミイラになることを望むミイラオタク
というオタク4人が、これまでの自分たちから生まれ変わるべく、社会的かつ健康的なものにハマろう!とマラソンや野球、ボーリングなど様々なものに挑むも全くハマれず、最後に真野が
「バンドやればいいんじゃん?バンド名はThe Mirraz!」
と提案するも、畠山に
「そのバンド名はない!」
と却下される。その「The Mirraz」というバンド名が書かれた紙を、若かりし頃の畠山(さっきまでの畠山とは別人)が拾い、自分たちがこれから始めるバンドのバンド名を
「決めた、バンド名はThe Mirrazだ!」
と電話する(関口塁あたりに?)という、ミイラズの結成前夜談的な内容に落とし込んで映像は終了。これをほぼ全て1人でやってしまう(脚本はもちろん、カメラなども全て)畠山は確実にバンドじゃなくても食べていくことができるだろう。
紗幕が開くと、映像の中で熱演を見せていたメンバーたちがステージに登場。畠山はサングラス着用で、なぜか花を持っている。その花を腰のあたりに差すと、「NEW WORLD」からライブがスタート。この曲から始まるというあたりが普段のライブとこのイベントが全く違うということを示しているが、畠山がこれまでに影響を受けてきたアーティストたちの名前が並ぶ部分のフレーズを聞くたびに、ミイラズが様々な音楽の影響を受けて成り立っているバンドであると実感できる。
序盤はリフ主体のアッパーなギターロックというミイラズのど真ん中的な曲で押しまくるが、「Ningenno Switch」からは雰囲気が変わる。もちろん「Nintendo Switch」から取った曲のタイトルだが、この曲の歌詞はオープニング映像と通じるところもあるし、ここまでで最もラウドなこの曲を演奏することで、それまではややくぐもったように聞こえていたボーカルがハッキリと聞こえるようになるなど、バンドとしてもスイッチが入ったような印象。
近年のミイラズはMCをあまり挟まずにひたすら曲を連発していくというライブの形を取っているが、この日はさらにそれが突き詰められ、曲タイトルを口にするくらいで曲間をほとんど取らずにひたすら曲を連発。映像で時間を使っているぶん、他の部分の時間を削って曲をたくさんやる時間を作っているのかもしれないが、かつてのグダグダMCを見てきた身からすると、このテンポの速さは信じられないレベルである。
「もっと盛り上がれよ!」
と畠山が煽っての「WAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!!!
」からはさらに客席は激しさを増し、ダイバーも次々に発生するというレベルに。
さらに大歓声が上がったのは「CLove GAME」。確かになかなか演奏されない曲ではあるが、なぜこんなに!?と思うくらいにファン人気がある曲であり、決してそういうタイプの曲ではないのにダイバーが発生しまくる。最近、ミイラズはツイッターやインスタなどで聴きたい曲を募ったりしているだけに、これはそうした声に応えた選曲だと言える。
さらに「オーライオーライ」とレア曲を続けるが、聴けないと思っていた曲をこうして聴けるのは実に嬉しいし、畠山をはじめとする、演奏するメンバーに今まで感じたことのない躍動感を感じる。正直、今までのミイラズのライブに躍動感という単語はめちゃくちゃ似合わないものであったが、この日のミイラズのライブで最も強く感じたのはそれだった。それは物理的にメンバーが動いていたということではもちろんなく、音そのものに躍動感が宿っていたということである。
「パンドラの箱、ツンデレっすね。」からは真野が参加する前のダークなEDM曲も。リリース時は賛否で言えば否の声の方が強かったこれらの曲も、今では完全にライブでのキラーチューンとなっているし、「オーライオーライ」らのレア曲と同じ温度で迎えられている。このサウンドのミイラズも今のファンは最大限に愛しているし、このサウンドを選んだのは決して間違いではなかった。
真彦がイントロのギターを刻み始めると、それを打ち消すように「ラストダンスとファンデーション」を演奏し始める畠山ら。しかし歌い始めることはなく、真彦のギターのイントロが奏でられた通りに「あーあ」へ。浮遊感の強いサウンドはダークなEDMやガレージ的なロックンロールとは全く異なるものだが、
「難解な知恵の輪みたいだ チカラ任せじゃ外れないね」
というフレーズなどは、このメロディにこれほどまでにガッチリとハマる言葉はないな、と思わされるし、改めて畠山の歌詞を描く能力の高さに唸らされる。
するとここで「ただいま、おかえり」「君の料理 (レシピNo.2027)」という、「TOP OF THE FUCKIN' WORLD」収録の、バラードと言ってもいい曲を続ける。まさかこの曲たちをこうしてライブでまた聴けるとは思っていなかったが、こうしたタイプの曲だと名パンチライン連発というか、歌詞全てが名言な畠山の作詞能力をしっかり堪能できる。サウンドもCDではややラウドなギターサウンドだったのが、どこか優しさを感じるようにも聴こえる。これはバンドの状態がそのまま音に出ていると言っても決して間違いではないはず。
自分がミイラズやフラッドが好きなのは、激しい曲がカッコいいのはもちろん、こうしたバラードって言ってもいいようなタイプの曲が本当に良い曲だから。その中でも特に好きなこの2曲が久しぶりに聴けたのは本当に嬉しかった。暴れるだけじゃない、ミイラズは良い曲を書くバンドなんだ。それがもっと多くの人にちゃんと伝わって欲しいと心から思う。
真彦が
「自分のギターから始まる曲が続いてるのは嫌がらせだ(笑)」
と緊張感を口にしたのは、かつてN'夙川BOYSのリンダとマーヤが「ミイラズで1番好きな曲」と語っていた「らぶりー」。レア度という意味ではカップリング曲という立ち位置も含めてこの日屈指と言える。
すでに17曲も演奏しているため、そろそろ終わってもおかしくないくらいだが、まだまだ手を緩める雰囲気はなく、むしろ「観覧車に乗る君が~」「ラストナンバー」と続くと、バンドも観客もさらに熱量と楽しさが増しているように感じる。とりわけ
「ふざけんなってんだ!」
の大合唱が響いた「ラストナンバー」は、畠山が
「TOKIOの山口メンバーの状況みたいな歌詞なんだよ、この曲。
「キスしたあとの笑顔 泣きながら怒る君の横顔」
だよ?(笑)
ふざけんなってんだ!(笑)」
と、世間を賑わせまくっている、山口達也の事件に言及して客席は爆笑。
しかしそれもそこまで長いMCにはならず、EDMの「マジかー~」からはクライマックスへ。畠山の歌声はさらに力強さと迫力を増し、
「アウトです!」
のフレーズのなんと力強いことか。
そして最新作からの「DAWN」も演奏してバンドの現在の姿を見せ、ラストは名曲「僕らは」。この曲をライブで聴くたびに、なんでもっと売れなかったんだろうか、と思う。いつまでもミイラズのライブに来て、この曲で「悲しみが消える日まで踊り続け」たいと心から思う。
アンコールを待つ間には再び紗幕に映像が。メンバー主演でストリートファイター2を実写化しました、というくらいにゲームの画面や波動拳などのエフェクトが完璧に再現される(ハメキック的な動きも含めて)映像とともに流れのが、新曲「格闘ゲーム」。サウンドはリフ主体のロックンロールというミイラズの王道的なものだが、あまりに映像が凄すぎてそのイメージと
「まるでクソゲー まさにクソゲー」
というインパクトの強い歌詞ばかり頭に残っている。オープニング映像も含め、畠山はマジで映像の道に進んでもちゃんと評価されると思う。
映像が終わってメンバーが登場すると、前日の大阪では畠山がツアーで着ていたジャケットが9万円まで跳ね上がった、というオークションが開催。「観覧車~」のMVで使われた模型や、畠山がツアーで着用した衣装などをまとめてオークション形式で買い手を決めるのだが、1円から始まっても手を挙げない(最初は全員手を挙げ、畠山の言う金額をもう出せないと思ったら降ろす方式)人がおり、
「1円でもいらないとか全員殺すぞ!(笑)」
となぜか観客全員が巻き込まれる。
結果、なんと12万5000円まで攻防は続いたのだが(「家賃までなら出せるのかな?」といちいちツッコミを入れるケイゾーがめちゃ面白かった)、前日の大阪では「特別に1万円でいい」というオチだったらしく、最終的にどうなったのかが気になるところ。畠山は最後の方まで挙げてたやつは前日の大阪にも来ていたからその金額を取られないと思って挙げていたのだろう、と推察していたが。
オークションが終わると、先ほどの「格闘ゲーム」が早くもこの日から配信されることと、リリースツアーの開催を発表し、
「アンコールはみんなの好きな曲しかやらないから」
と言って「この惑星のすべて」からライブでのキラーチューンを連発。とりわけ最後に演奏された「CANのジャケット~」は、ちょうど1年前のこのイベントの最後の最後に、
「もう今から新しい人と関係性を築けない」
と言ってドラマーを入れなかったミイラズがサポートドラマーに真野を迎えて初めて演奏された曲。
それから1年経って、今までとは比べものにならない数のライブを重ね、ファンとともに作品を作り、ミイラズはドラムレスのバンドからしっかりとした4人のバンドになった。しかも今の姿は今までのどの体制よりもはるかにカッコよくてライブが感動するくらいに素晴らしい。そのバンドの姿に応えるくらいに、近年のミイラズのライブでは最も熱い空間だった。そうした、ミイラズがちゃんとバンドになるまでの過程をずっと見ていることができた。だからこそ、ミイラズはまだ「上を目指せる」。
そんな充実しきったライブだったので、さすがにもう終わりかと思いきや、再度メンバーが登場。
「ここってミラーボールあるよね?ちょっと回してもらっていいですか?」
と言ってミラーボールが回る中で演奏されたのはもちろん「ミラーボールが回りだしたら」。ミイラズの始まりの曲であり、「Arctic Monkeysのパクリ」と言われることになったきっかけの曲であったが、今のミイラズはもうそんなくだらないレッテルを貼られるようなバンドではない。世界で間違いなく一組しかいない、最高にカッコいいロックバンドだ。
全28曲。間違いなく過去最多クラスの曲数。面白い映像もあれど、核にあったのはミイラズの音楽と楽曲。ファンが何をミイラズに求めているのかをメンバーは今はしっかりとわかっているし、そのための準備をしっかりして臨んでいる。その結果、この日も過去最高を更新するような素晴らしいライブを見せてくれた。サポートにもかかわらずここまでしてくれた、ミイラズの救世主と呼んでも差し支えないほどの活躍を見せた、マノログこと真野には本当に感謝してもしきれない。
畠山はこの日何度も「楽しい!」と叫び、最後にも
「本当に楽しかった!またツアーで!」
と言ってステージを去った。昔のミイラズのライブは、見ている方は楽しいんだけど、本人たちが楽しいのかわからないくらいに波が激しかった。というか明らかに楽しくないというか、ブチギレモードの時すら多々あった。
ある意味、それもファンが離れていってしまった要因の一つなんじゃないか、とも思うだけに、この日何度も畠山が「楽しい」と口にしていたのは本当に嬉しかった。我々ファンは、畠山がその言葉を口にする瞬間をずっと待っていたのだ。だからこそ、一方通行ではなくて、こっちもちゃんと言わなくてはいけない。
「本当に楽しかった!またツアーで!」
と。
1.NEW WORLD
2.レディース&ジェントルメン
3.Get Money
4.ふぁっきゅー
5.Ningenno Switch
6.バタフライエフェクトを語るくらいの善悪と頑なに選択を探すマエストロ
7.Hi!
8.WAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!!!
9.DOG is GOD
10.CLove GAME
11.オーライオーライ
12.パンドラの箱、ツンデレっすね。
13.つーか、っつーか
14.あーあ
15.ただいま、おかえり
16.君の料理 (レシピNo.2027)
17.らぶりー
18.観覧車に乗る君が夜景に照らされてるうちは
19.ラストナンバー
20.マジかーそうきたか、やっぱそうきますよね。はいはい、ですよね知ってます。
21.DAWN
22.スーパーフレア
23.僕らは
encore1
24.この惑星のすべて
25.check it out! check it out! check it out! check it out!
26.プロタゴニストの一日は
27.CANのジャケットのモンスターみたいのが現れて世界壊しちゃえばいい
encore2
28.ミラーボールが回りだしたら
君の料理 (レシピNo.2027)
https://youtu.be/dDDtW4JqJl0
Next→ 5/4 VIVA LA ROCK 2018 @さいたまスーパーアリーナ
「みんなもう歳だから土日じゃないと来れないだろう」
という畠山承平の優しい(?)配慮にて、4月28日(土)に大阪、4月29日(日)に東京という2daysで開催。
かつては対バンを招いたイベントだったが、近年はワンマンになり、開演前のメンバーのガチ演技が見られる有名映画のパロディ映像など、徐々にメンバーのやりたい放題的な内容になってきているが、去年はファンが全て決めたセトリでライブをやるなど、ファン感謝祭的な側面が強くなってきている。
開演時間の18時を少し過ぎた頃、場内が暗転すると、ステージに貼られた紗幕に映像が映し出され、Underworld「Born Slippy」が流れ始める。今回の映像は「T2 Spospospotting」という「トレインスポッティング」のパロディで、
ケイゾー=いつでもどこでもAVを見ているAVオタク
真彦=ガリガリなのに食事制限のみでさらに痩せようとするダイエットオタク
畠山=ゲームの課金がやめられないゲームオタク
真野(サポートドラマー)=死後にミイラになることを望むミイラオタク
というオタク4人が、これまでの自分たちから生まれ変わるべく、社会的かつ健康的なものにハマろう!とマラソンや野球、ボーリングなど様々なものに挑むも全くハマれず、最後に真野が
「バンドやればいいんじゃん?バンド名はThe Mirraz!」
と提案するも、畠山に
「そのバンド名はない!」
と却下される。その「The Mirraz」というバンド名が書かれた紙を、若かりし頃の畠山(さっきまでの畠山とは別人)が拾い、自分たちがこれから始めるバンドのバンド名を
「決めた、バンド名はThe Mirrazだ!」
と電話する(関口塁あたりに?)という、ミイラズの結成前夜談的な内容に落とし込んで映像は終了。これをほぼ全て1人でやってしまう(脚本はもちろん、カメラなども全て)畠山は確実にバンドじゃなくても食べていくことができるだろう。
紗幕が開くと、映像の中で熱演を見せていたメンバーたちがステージに登場。畠山はサングラス着用で、なぜか花を持っている。その花を腰のあたりに差すと、「NEW WORLD」からライブがスタート。この曲から始まるというあたりが普段のライブとこのイベントが全く違うということを示しているが、畠山がこれまでに影響を受けてきたアーティストたちの名前が並ぶ部分のフレーズを聞くたびに、ミイラズが様々な音楽の影響を受けて成り立っているバンドであると実感できる。
序盤はリフ主体のアッパーなギターロックというミイラズのど真ん中的な曲で押しまくるが、「Ningenno Switch」からは雰囲気が変わる。もちろん「Nintendo Switch」から取った曲のタイトルだが、この曲の歌詞はオープニング映像と通じるところもあるし、ここまでで最もラウドなこの曲を演奏することで、それまではややくぐもったように聞こえていたボーカルがハッキリと聞こえるようになるなど、バンドとしてもスイッチが入ったような印象。
近年のミイラズはMCをあまり挟まずにひたすら曲を連発していくというライブの形を取っているが、この日はさらにそれが突き詰められ、曲タイトルを口にするくらいで曲間をほとんど取らずにひたすら曲を連発。映像で時間を使っているぶん、他の部分の時間を削って曲をたくさんやる時間を作っているのかもしれないが、かつてのグダグダMCを見てきた身からすると、このテンポの速さは信じられないレベルである。
「もっと盛り上がれよ!」
と畠山が煽っての「WAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!!!
」からはさらに客席は激しさを増し、ダイバーも次々に発生するというレベルに。
さらに大歓声が上がったのは「CLove GAME」。確かになかなか演奏されない曲ではあるが、なぜこんなに!?と思うくらいにファン人気がある曲であり、決してそういうタイプの曲ではないのにダイバーが発生しまくる。最近、ミイラズはツイッターやインスタなどで聴きたい曲を募ったりしているだけに、これはそうした声に応えた選曲だと言える。
さらに「オーライオーライ」とレア曲を続けるが、聴けないと思っていた曲をこうして聴けるのは実に嬉しいし、畠山をはじめとする、演奏するメンバーに今まで感じたことのない躍動感を感じる。正直、今までのミイラズのライブに躍動感という単語はめちゃくちゃ似合わないものであったが、この日のミイラズのライブで最も強く感じたのはそれだった。それは物理的にメンバーが動いていたということではもちろんなく、音そのものに躍動感が宿っていたということである。
「パンドラの箱、ツンデレっすね。」からは真野が参加する前のダークなEDM曲も。リリース時は賛否で言えば否の声の方が強かったこれらの曲も、今では完全にライブでのキラーチューンとなっているし、「オーライオーライ」らのレア曲と同じ温度で迎えられている。このサウンドのミイラズも今のファンは最大限に愛しているし、このサウンドを選んだのは決して間違いではなかった。
真彦がイントロのギターを刻み始めると、それを打ち消すように「ラストダンスとファンデーション」を演奏し始める畠山ら。しかし歌い始めることはなく、真彦のギターのイントロが奏でられた通りに「あーあ」へ。浮遊感の強いサウンドはダークなEDMやガレージ的なロックンロールとは全く異なるものだが、
「難解な知恵の輪みたいだ チカラ任せじゃ外れないね」
というフレーズなどは、このメロディにこれほどまでにガッチリとハマる言葉はないな、と思わされるし、改めて畠山の歌詞を描く能力の高さに唸らされる。
するとここで「ただいま、おかえり」「君の料理 (レシピNo.2027)」という、「TOP OF THE FUCKIN' WORLD」収録の、バラードと言ってもいい曲を続ける。まさかこの曲たちをこうしてライブでまた聴けるとは思っていなかったが、こうしたタイプの曲だと名パンチライン連発というか、歌詞全てが名言な畠山の作詞能力をしっかり堪能できる。サウンドもCDではややラウドなギターサウンドだったのが、どこか優しさを感じるようにも聴こえる。これはバンドの状態がそのまま音に出ていると言っても決して間違いではないはず。
自分がミイラズやフラッドが好きなのは、激しい曲がカッコいいのはもちろん、こうしたバラードって言ってもいいようなタイプの曲が本当に良い曲だから。その中でも特に好きなこの2曲が久しぶりに聴けたのは本当に嬉しかった。暴れるだけじゃない、ミイラズは良い曲を書くバンドなんだ。それがもっと多くの人にちゃんと伝わって欲しいと心から思う。
真彦が
「自分のギターから始まる曲が続いてるのは嫌がらせだ(笑)」
と緊張感を口にしたのは、かつてN'夙川BOYSのリンダとマーヤが「ミイラズで1番好きな曲」と語っていた「らぶりー」。レア度という意味ではカップリング曲という立ち位置も含めてこの日屈指と言える。
すでに17曲も演奏しているため、そろそろ終わってもおかしくないくらいだが、まだまだ手を緩める雰囲気はなく、むしろ「観覧車に乗る君が~」「ラストナンバー」と続くと、バンドも観客もさらに熱量と楽しさが増しているように感じる。とりわけ
「ふざけんなってんだ!」
の大合唱が響いた「ラストナンバー」は、畠山が
「TOKIOの山口メンバーの状況みたいな歌詞なんだよ、この曲。
「キスしたあとの笑顔 泣きながら怒る君の横顔」
だよ?(笑)
ふざけんなってんだ!(笑)」
と、世間を賑わせまくっている、山口達也の事件に言及して客席は爆笑。
しかしそれもそこまで長いMCにはならず、EDMの「マジかー~」からはクライマックスへ。畠山の歌声はさらに力強さと迫力を増し、
「アウトです!」
のフレーズのなんと力強いことか。
そして最新作からの「DAWN」も演奏してバンドの現在の姿を見せ、ラストは名曲「僕らは」。この曲をライブで聴くたびに、なんでもっと売れなかったんだろうか、と思う。いつまでもミイラズのライブに来て、この曲で「悲しみが消える日まで踊り続け」たいと心から思う。
アンコールを待つ間には再び紗幕に映像が。メンバー主演でストリートファイター2を実写化しました、というくらいにゲームの画面や波動拳などのエフェクトが完璧に再現される(ハメキック的な動きも含めて)映像とともに流れのが、新曲「格闘ゲーム」。サウンドはリフ主体のロックンロールというミイラズの王道的なものだが、あまりに映像が凄すぎてそのイメージと
「まるでクソゲー まさにクソゲー」
というインパクトの強い歌詞ばかり頭に残っている。オープニング映像も含め、畠山はマジで映像の道に進んでもちゃんと評価されると思う。
映像が終わってメンバーが登場すると、前日の大阪では畠山がツアーで着ていたジャケットが9万円まで跳ね上がった、というオークションが開催。「観覧車~」のMVで使われた模型や、畠山がツアーで着用した衣装などをまとめてオークション形式で買い手を決めるのだが、1円から始まっても手を挙げない(最初は全員手を挙げ、畠山の言う金額をもう出せないと思ったら降ろす方式)人がおり、
「1円でもいらないとか全員殺すぞ!(笑)」
となぜか観客全員が巻き込まれる。
結果、なんと12万5000円まで攻防は続いたのだが(「家賃までなら出せるのかな?」といちいちツッコミを入れるケイゾーがめちゃ面白かった)、前日の大阪では「特別に1万円でいい」というオチだったらしく、最終的にどうなったのかが気になるところ。畠山は最後の方まで挙げてたやつは前日の大阪にも来ていたからその金額を取られないと思って挙げていたのだろう、と推察していたが。
オークションが終わると、先ほどの「格闘ゲーム」が早くもこの日から配信されることと、リリースツアーの開催を発表し、
「アンコールはみんなの好きな曲しかやらないから」
と言って「この惑星のすべて」からライブでのキラーチューンを連発。とりわけ最後に演奏された「CANのジャケット~」は、ちょうど1年前のこのイベントの最後の最後に、
「もう今から新しい人と関係性を築けない」
と言ってドラマーを入れなかったミイラズがサポートドラマーに真野を迎えて初めて演奏された曲。
それから1年経って、今までとは比べものにならない数のライブを重ね、ファンとともに作品を作り、ミイラズはドラムレスのバンドからしっかりとした4人のバンドになった。しかも今の姿は今までのどの体制よりもはるかにカッコよくてライブが感動するくらいに素晴らしい。そのバンドの姿に応えるくらいに、近年のミイラズのライブでは最も熱い空間だった。そうした、ミイラズがちゃんとバンドになるまでの過程をずっと見ていることができた。だからこそ、ミイラズはまだ「上を目指せる」。
そんな充実しきったライブだったので、さすがにもう終わりかと思いきや、再度メンバーが登場。
「ここってミラーボールあるよね?ちょっと回してもらっていいですか?」
と言ってミラーボールが回る中で演奏されたのはもちろん「ミラーボールが回りだしたら」。ミイラズの始まりの曲であり、「Arctic Monkeysのパクリ」と言われることになったきっかけの曲であったが、今のミイラズはもうそんなくだらないレッテルを貼られるようなバンドではない。世界で間違いなく一組しかいない、最高にカッコいいロックバンドだ。
全28曲。間違いなく過去最多クラスの曲数。面白い映像もあれど、核にあったのはミイラズの音楽と楽曲。ファンが何をミイラズに求めているのかをメンバーは今はしっかりとわかっているし、そのための準備をしっかりして臨んでいる。その結果、この日も過去最高を更新するような素晴らしいライブを見せてくれた。サポートにもかかわらずここまでしてくれた、ミイラズの救世主と呼んでも差し支えないほどの活躍を見せた、マノログこと真野には本当に感謝してもしきれない。
畠山はこの日何度も「楽しい!」と叫び、最後にも
「本当に楽しかった!またツアーで!」
と言ってステージを去った。昔のミイラズのライブは、見ている方は楽しいんだけど、本人たちが楽しいのかわからないくらいに波が激しかった。というか明らかに楽しくないというか、ブチギレモードの時すら多々あった。
ある意味、それもファンが離れていってしまった要因の一つなんじゃないか、とも思うだけに、この日何度も畠山が「楽しい」と口にしていたのは本当に嬉しかった。我々ファンは、畠山がその言葉を口にする瞬間をずっと待っていたのだ。だからこそ、一方通行ではなくて、こっちもちゃんと言わなくてはいけない。
「本当に楽しかった!またツアーで!」
と。
1.NEW WORLD
2.レディース&ジェントルメン
3.Get Money
4.ふぁっきゅー
5.Ningenno Switch
6.バタフライエフェクトを語るくらいの善悪と頑なに選択を探すマエストロ
7.Hi!
8.WAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!!!
9.DOG is GOD
10.CLove GAME
11.オーライオーライ
12.パンドラの箱、ツンデレっすね。
13.つーか、っつーか
14.あーあ
15.ただいま、おかえり
16.君の料理 (レシピNo.2027)
17.らぶりー
18.観覧車に乗る君が夜景に照らされてるうちは
19.ラストナンバー
20.マジかーそうきたか、やっぱそうきますよね。はいはい、ですよね知ってます。
21.DAWN
22.スーパーフレア
23.僕らは
encore1
24.この惑星のすべて
25.check it out! check it out! check it out! check it out!
26.プロタゴニストの一日は
27.CANのジャケットのモンスターみたいのが現れて世界壊しちゃえばいい
encore2
28.ミラーボールが回りだしたら
君の料理 (レシピNo.2027)
https://youtu.be/dDDtW4JqJl0
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