ヤバイTシャツ屋さん ”Galaxy of the Tank-top” TOUR 2018 @Zepp Tokyo 2/23
- 2018/02/24
- 12:16
シングル、アルバムともに並み居るバンドたちを凌ぐほどの大ヒットを記録し、完全に若手バンドの中でも頭一つ抜けた感のある、ヤバイTシャツ屋さん。その大ヒットを記録している、今年リリースのアルバム「Galaxy of the Tank-top」のリリースツアーの東京公演はZepp Tokyoでの2days(来月にはDiverCityで追加公演も決定済み)となり、その初日であるこの日は、地元の先輩であるKANA-BOONが対バンという、あまりにも豪華な一夜に。
・KANA-BOON
GOOD4NOTHINGやBUZZ THE BEARSといった、ヤバTが影響を受けてきたパンクバンドや、KEYTALKといったこれから肩を並べていくであろうバンドたちの曲が開演前BGMとして流れ、それが止まった19時過ぎ、場内が暗転すると、それまでのBGMの狂騒感が嘘のようにSEもなしにステージにメンバーが登場して楽器を構えると、そのままいきなりの「フルドライブ」でスタートした、KANA-BOON。
特になんの演出もなしに近作の「ディストラクションビートミュージック」「Fighter」とハードなサウンドの曲を連発していくのだが、去年のめしだの一件以降、さらにバンドとしての絆や意志が固く強くなってきているのがすぐにわかるくらいに演奏に力強さが増している。それにより、リリース時は「アニメの世界観に声が合わない」と一部のタイアップ先のファンからの意見が出ていた「Fighter」も本当に説得力が増しているし、それが「ディストラクションビートミュージック」にしっかりと繋がっている。
改めて自分たちとヤバTが同じ大阪は堺の三国ヶ丘FUZZというライブハウスの出身であることを紹介し、
「僕らにも後輩はたくさんいるんですけど、ヤバTみたいにメジャーでガンガン活動している後輩は他にいない」
とヤバTを称えた谷口鮪がそんなヤバTメンバーに、バンド名にちなんでヤバイTシャツのプレゼント。こやまにはダイダイのネコデザイン、しばたには裏表ともにツタンカーメンの総柄、もりもとには「なんでやねん」という文字が裏に書かれたTシャツをそれぞれ贈るが、ヤバTのメンバーは基本的にいつもライブ時は服装が同じなだけに、着たらかなりイメージが変わるようなデザインである。
去年リリースの最新作のタイトル曲である「涙」でこのバンドが持つセンチメンタルさを放出させると、「結晶星」「盛者必衰の理、お断り」というメジャー初期のシングル群で全くアウェー感がない観客を喜ばせながら、リリース当時よりもはるかにビルドアップされたバンドの進化を見せ、
「まだヤバTがこの後にヤバイライブやりますからね。でも僕らで体力使い果たしてくれていいですよ(笑)
そろそろお腹空きました?」
と鮪が問いかけてから始まった「ないものねだり」では
「そこのドーナツ屋~」
のフレーズを鮪が変えて歌おうとするのだが、結果的には何を言っているのかよくわからないことに。
「古賀とこやまくんが似ている」
というヤバTがデビューした時に騒がれていたネタも使って、ヤバTを後輩として本当に可愛がっているという姿を見せると、ラストは「シルエット」から、鮪が感極まったのか、少し歌に詰まる場面もあった(古賀はその姿を見て少し笑みを見せていた)「バトンロード」。演奏する姿からは、辛いことや逆風にさらされながらもバンドを決して辞めることも止めることもしなかった先輩としての頼もしさを感じさせてくれた。
未だにメンバーの佇まいからは大学生、というよりは浪人生かのようなイメージが消えないだけに、まだまだ若手バンドだと思ってしまいがちなのだが、今やKANA-BOONはたくさんの後輩バンドたちの前を、先を走るようなバンドになっていた。そしてその姿を見てバンドに向かっていく若者はこれからもっと増えていくはず。それくらいに今のKANA-BOONにはロックバンドとしてのオーラを感じている。
1.フルドライブ
2.ディストラクションビートミュージック
3.Fighter
4.涙
5.結晶星
6.盛者必衰の理、お断り
7.ないものねだり
8.シルエット
9.バトンロード
涙
https://youtu.be/MWCEmiecS1E
・ヤバイTシャツ屋さん
先輩であるKANA-BOONとは対照的に「はじまるよ~」というSEで賑々しく登場した、ヤバイTシャツ屋さん。
「ヤバイTシャツ屋さん、始まるよ~!」
とこやまが元気よく挨拶すると、「Galaxy of the Tank-top」のオープニング曲である、ツービートのパンクバンドナンバー「Tank-top in your heart」からスタートし、こやまはまるでマキシマム ザ ホルモンのダイスケはんのようなデスボイスを使いこなしながら歌っていく。
「Tank-topの力でさあ、Punk Rockを越えれるか」
というフレーズが曲の終盤に出てくるが、MUSICAのインタビューでの
「なぜタンクトップにこだわるのか」
という問いに対してこやまは
「タンクトップとパンクロックって語感が似てるじゃないですか。だからパンクロックって素直に言わないでパンクロックへの愛を示したいんです。つまり僕らの曲のタンクトップはパンクロックのことなんです」
と自身が聴いて、影響を受けてきたパンクロックへの愛情を語っていたが、本当にこの曲には様々なパンクバンドへのリスペクトが込められているし、ヤバTがどんなマインドでこのサウンドを鳴らしているのかというのが実によくわかるし、ダイバーがいきなり続出するのも納得である。
かと思えば「タンスの上でダンス」という、完全に語感だけで書いたと思われるシュールな歌詞の「DANCE ON TANSU」ではミラーボールが回り出してタンスの上ではないがダンスフロアを生み出し、ライブではおなじみの「メロコアバンド~」では観客をいったん座らせてから一斉にジャンプさせるだが、前方があまりにも詰まりすぎていて全員は座れず。
「さぁさぁ、セキュリティの人たちが暇そうにしてますよー!」
とこやまが煽ると「Tank-top of the world」ではさらに激しくダイブの嵐となるのだが、間奏などではこやまとしばたがそれぞれステージ両端まで展開して演奏し、しかもその演奏が前回のツアーまでとは比べものにならないくらいに安定感と力強さを増している。
この日でツアーも21本目、出まくっているフェスでは大事な時間を任されることばかりになった。そうした経験が確実にバンドとしての力量そのものの底上げにしっかり繋がっている。
「次はこのツアーで全然やってない曲をやります。なんでやらなかったかって言うと、盛り上がらない曲だから(笑)
10-FEETがよく「みんなが知らん昔の曲だから盛り上がらないだろう」って言ってめちゃ盛り上げてるけど、その方法論を使えばキッズたちが刺激されて盛り上がるかなって(笑)
でも10-FEETは本当に盛り上がる曲をやるけど、次の曲は本当に盛り上がらない曲(笑)」
と、ヤバTのライブは大阪の愉快な若者たちのノリをそのままステージに持ち込んだかのようなMCも楽しみの一つだが、この日もこやまは曲間にはマシンガンのように喋りまくる。
そうして演奏された「眠いオブザイヤー受賞」はどことなくオシャレさを感じるコード進行で、最後のサビ前にもりもとが
「今年度最高のミルフィーユ」
というフレーズを発すると、客席からは「お~!」という感嘆の声が上がる。
カッコいい英語歌詞のようでいてひたすらにUSBの説明をしているだけという「Universal Serial Bus」からは再びメロコア魂に火をつけるかのように高速ナンバーを連発していくのだが、新作に収録された、しばたが手がけた「ベストジーニスト賞」を聴いていると、しばたのベーシストとして、そしてボーカルとしてのレベルアップっぷりに驚かされる。
特に新作曲においてはヤバTの曲は普通にラウド・パンクバンドが作っていてもおかしくないような曲ばかりだが、こやまとしばたという声質的にそれらのバンドとは全く違う、ポップかつコミカルな声で歌うことによって、それがヤバTの音楽になっている。
こやま「KANA-BOONのことを「ブーンの兄やん」と呼んでいるから、今日はヤバブーンや」
もりもと「ツアーのセミファイナルだから、カナブンなのにセミやで!(笑)」
という上手いのかなんなのかよくわからないMCもありつつ、
「今日はブーンの兄やんと一緒だから、三国ヶ丘FUZZでやっていた、CDにも入ってないくらいのレア曲をやります」
と言って演奏された「I wanna go home」はタイトルのままに、ひたすらに家に帰りたいという願望を曲にしたかのような歌詞。サウンドも今のヤバTと比べると圧倒的にシンプルなロックサウンドである。それだけにこの曲を作った当時からはるかにバンドの演奏がレベルアップしているのがわかる。
「ウェイウェイ大学生」ではおなじみの、しばたのボーカルパートでこやまがしばたの前に立ちふさがるようにしてギターを弾くと、
「邪魔!」「邪魔やわ~」
としばたが口に出し、それに引っ張られたのか、歌詞もその部分だけ飛んでしまう。こやまの存在の破壊力たるや実に恐ろしい。
その歌詞を飛ばしたしばたが前作で手がけた「L・O・V・E タオル」ではタオルが客席でぐるぐる回るというライブにおけるキラーチューンっぷりを見せ、ロッテのガムのタイアップソングとなった「とりあえず噛む」では
「考えすぎるのはやめろって
悩みすぎるのはやめろって」
と、さりげなく「ロッテ」というタイアップ先のフレーズを歌詞に入れるというこやまの天才的とも言える作詞家っぷりを味あわせてくれる。
「俺、古賀さんやし」
と古賀になりきって「ないものねだり」のイントロを弾きながら、しばたともりもとに対しては
「このブスが!」「なんやこのロン毛!」
と「古賀さんが絶対に言わない」ようなことをメンバーに浴びせながら、しばたによるKANA-BOONのあいうえお作文もやはりこやまと古賀が似ていることをネタにしたもの。
そんな爆笑MCもありながらも、この日の最大のライブの終盤を貫いていたムードは、
「堺の150人キャパの三国ヶ丘FUZZでライブしてた俺たちとKANA-BOONがZepp Tokyoの2700人の前でライブをしている。FUZZで10人くらいの観客の前で「ネコ飼いたい!」って言ってた頃の自分たちでは全く想像できなかったし、今日見に来てくれてるFUZZで一緒にやってたバンドたちも絶対想像してなかったと思う」
という、ロックバンドとして実にまっとうな感情で、実際に
「その頃の悔しさを思い出して書いた曲」
と言って演奏された「サークルバンドに光を」は、大学の軽音サークルで結成された当時のままのマインドをこれからも忘れることなく突き進んでいくというバンドの姿勢をありのままに歌った、ヤバT史上最もストレートかつまっとうな曲であり、最も泣けてしまう曲。
今まであれだけ「絶対に他の人では書くことはおろか思いつくことすらできない」という歌詞を綴ってきたこやまなだけに、こうしたまっとうな歌詞の曲を書いても「サークルバンド」という単語を使ったりと、やはりまっとうではあってもありふれた表現には全くならない。
そこからはヤバTが最初に作った曲という「ネコ飼いたい」、
「虹のゲートを作ろうぜー!」
とこやまが煽った「スプラッピスプラッパ」とサークル発生しまくり(「サークルバンド」という単語の後にサークルと言うと実にややこしい)の曲を連発し、そのまま止まることなく「ヤバみ」に突入していくのだが、この「ヤバみ」がBPMがさらに速くなりまくりで、バンドの衝動がダイレクトに伝わってくる。本当にライブがすごいバンドになってきている。
そしてラストはオリコン初登場2位という大ヒットを記録(本当にRADWIMPSとかUNISON SQUARE GARDENレベル)した「ハッピーウェディング前ソング」なのだが、
「キッス!キッス!キッス!キッス!キッス!キッス!キッス!」
の大合唱っぷりに思わずビックリして、後ろを振り返ってしまった。そうしたら、最後方ブロックの人から二階席までの全ての人が叫んでいた。ヤバTはヤバTでしかないやり方で、とんでもない景色を生み出してしまったし、それはこれから確実にさらに大きくなっていく。
アンコールでは3人がまさかのKANA-BOONからプレゼントされたTシャツに着替えて登場し(こやまが黒以外、しばたが道重Tシャツ以外を着ているのは実にレア)、ブーンの兄やんもステージに招いて写真撮影をすると、5月に「げんきいっぱい」というバカそうでしかないタイトルのシングルをリリースすることを発表。(今回も「げんきいっぱい」という曲自体は収録されていない)
本編ではレア曲をかなりやったので、アンコールでは定番曲を、ということでこやまがアコギを弾きながら歌い始めたのは全然定番曲ではないどころかこのツアーでまだ演奏されていない「ドローン買ったのに」だが、ワンフレーズだけで歌うのをやめ、気を取り直して、亀田誠治がプロデュースしたことにより、ストリングスの同期までも取り入れて、まるでoasisのアンセムのように壮大化した「肩 have a good day」を熱唱するのだが、最後の最後にはマイクから離れてステージ中央でオフマイクで絶唱。その姿を見た観客もこやまにあわせて合唱するのだが、こやまがタメまくったせいで合わずにこやまがうなだれ、しばたともりもとに励まされ、拳を突き合わせるようにして再び歌い出すという茶番もあったが、まさかこの曲がこんなに大事な位置を占める曲になるとは、カップリングとして収録された時点では全く想像できなかった。それは亀田誠治のプロデュースが大きいが、そうして曲の力を120%にまで引き出してくれる存在に委ねるという選択肢を選ぶことができるというのもヤバTの強みである。特にスリーピースのバンドだとプロデュースはもちろん、なかなかメンバー以外の人間の音を入れるという選択肢を選ぶことができないだけに。
そしてブーンの兄やんことKANA-BOONに間奏で媚を売りまくる「喜志駅周辺なんもない」から、ラストはやはり「あつまれ!パーティーピーポー」で大合唱、ダンス、さらにはモッシュとダイブなんでもありの狂騒を生み出して、真冬とは思えないくらいの暑さと熱さに満ち溢れたまま、3人はやりきったような表情でステージを去っていった。
前回のツアーでは割りと面白い演出をふんだんに使ったような内容になっていたが、今回はそうした要素はメンバーによるMCのみで、ひたすらに曲の力で勝負するという内容になっていたし、それによってヤバTのバンドとしての地力が劇的に向上していた。それは地元の先輩であるKANA-BOONとついに2マンを果たせたという要素も大きいのだろうが、面白さじゃなくて、ヤバTのカッコいいバンドとしてのヤバみが深み。
果たして今日はどうなる?
1.Tank-top in your heart
2.DANCE ON TANSU
3.メロコアバンドのアルバムの3曲目ぐらいによく収録されている感じの曲
4.Tank-top of the world
5.眠いオブザイヤー受賞
6.Universal Serial Bus
7.ベストジーニスト賞
8.無線LANばり便利
9.I wanna go home
10.ウェイウェイ大学生
11.L・O・V・E タオル
12.とりあえず噛む
13.サークルバンドに光を
14.ネコ飼いたい
15.スプラッピスプラッパ
16.ヤバみ
17.ハッピーウェディング前ソング
encore
18.肩 have a good day -2018 ver.-
19.喜志駅周辺なんもない
20.あつまれ!パーティーピーポー
ヤバみ
https://youtu.be/329F4L9ATcw
Next→ 2/24 ヤバイTシャツ屋さん × ROTTENGRAFFTY @Zepp Tokyo
・KANA-BOON
GOOD4NOTHINGやBUZZ THE BEARSといった、ヤバTが影響を受けてきたパンクバンドや、KEYTALKといったこれから肩を並べていくであろうバンドたちの曲が開演前BGMとして流れ、それが止まった19時過ぎ、場内が暗転すると、それまでのBGMの狂騒感が嘘のようにSEもなしにステージにメンバーが登場して楽器を構えると、そのままいきなりの「フルドライブ」でスタートした、KANA-BOON。
特になんの演出もなしに近作の「ディストラクションビートミュージック」「Fighter」とハードなサウンドの曲を連発していくのだが、去年のめしだの一件以降、さらにバンドとしての絆や意志が固く強くなってきているのがすぐにわかるくらいに演奏に力強さが増している。それにより、リリース時は「アニメの世界観に声が合わない」と一部のタイアップ先のファンからの意見が出ていた「Fighter」も本当に説得力が増しているし、それが「ディストラクションビートミュージック」にしっかりと繋がっている。
改めて自分たちとヤバTが同じ大阪は堺の三国ヶ丘FUZZというライブハウスの出身であることを紹介し、
「僕らにも後輩はたくさんいるんですけど、ヤバTみたいにメジャーでガンガン活動している後輩は他にいない」
とヤバTを称えた谷口鮪がそんなヤバTメンバーに、バンド名にちなんでヤバイTシャツのプレゼント。こやまにはダイダイのネコデザイン、しばたには裏表ともにツタンカーメンの総柄、もりもとには「なんでやねん」という文字が裏に書かれたTシャツをそれぞれ贈るが、ヤバTのメンバーは基本的にいつもライブ時は服装が同じなだけに、着たらかなりイメージが変わるようなデザインである。
去年リリースの最新作のタイトル曲である「涙」でこのバンドが持つセンチメンタルさを放出させると、「結晶星」「盛者必衰の理、お断り」というメジャー初期のシングル群で全くアウェー感がない観客を喜ばせながら、リリース当時よりもはるかにビルドアップされたバンドの進化を見せ、
「まだヤバTがこの後にヤバイライブやりますからね。でも僕らで体力使い果たしてくれていいですよ(笑)
そろそろお腹空きました?」
と鮪が問いかけてから始まった「ないものねだり」では
「そこのドーナツ屋~」
のフレーズを鮪が変えて歌おうとするのだが、結果的には何を言っているのかよくわからないことに。
「古賀とこやまくんが似ている」
というヤバTがデビューした時に騒がれていたネタも使って、ヤバTを後輩として本当に可愛がっているという姿を見せると、ラストは「シルエット」から、鮪が感極まったのか、少し歌に詰まる場面もあった(古賀はその姿を見て少し笑みを見せていた)「バトンロード」。演奏する姿からは、辛いことや逆風にさらされながらもバンドを決して辞めることも止めることもしなかった先輩としての頼もしさを感じさせてくれた。
未だにメンバーの佇まいからは大学生、というよりは浪人生かのようなイメージが消えないだけに、まだまだ若手バンドだと思ってしまいがちなのだが、今やKANA-BOONはたくさんの後輩バンドたちの前を、先を走るようなバンドになっていた。そしてその姿を見てバンドに向かっていく若者はこれからもっと増えていくはず。それくらいに今のKANA-BOONにはロックバンドとしてのオーラを感じている。
1.フルドライブ
2.ディストラクションビートミュージック
3.Fighter
4.涙
5.結晶星
6.盛者必衰の理、お断り
7.ないものねだり
8.シルエット
9.バトンロード
涙
https://youtu.be/MWCEmiecS1E
・ヤバイTシャツ屋さん
先輩であるKANA-BOONとは対照的に「はじまるよ~」というSEで賑々しく登場した、ヤバイTシャツ屋さん。
「ヤバイTシャツ屋さん、始まるよ~!」
とこやまが元気よく挨拶すると、「Galaxy of the Tank-top」のオープニング曲である、ツービートのパンクバンドナンバー「Tank-top in your heart」からスタートし、こやまはまるでマキシマム ザ ホルモンのダイスケはんのようなデスボイスを使いこなしながら歌っていく。
「Tank-topの力でさあ、Punk Rockを越えれるか」
というフレーズが曲の終盤に出てくるが、MUSICAのインタビューでの
「なぜタンクトップにこだわるのか」
という問いに対してこやまは
「タンクトップとパンクロックって語感が似てるじゃないですか。だからパンクロックって素直に言わないでパンクロックへの愛を示したいんです。つまり僕らの曲のタンクトップはパンクロックのことなんです」
と自身が聴いて、影響を受けてきたパンクロックへの愛情を語っていたが、本当にこの曲には様々なパンクバンドへのリスペクトが込められているし、ヤバTがどんなマインドでこのサウンドを鳴らしているのかというのが実によくわかるし、ダイバーがいきなり続出するのも納得である。
かと思えば「タンスの上でダンス」という、完全に語感だけで書いたと思われるシュールな歌詞の「DANCE ON TANSU」ではミラーボールが回り出してタンスの上ではないがダンスフロアを生み出し、ライブではおなじみの「メロコアバンド~」では観客をいったん座らせてから一斉にジャンプさせるだが、前方があまりにも詰まりすぎていて全員は座れず。
「さぁさぁ、セキュリティの人たちが暇そうにしてますよー!」
とこやまが煽ると「Tank-top of the world」ではさらに激しくダイブの嵐となるのだが、間奏などではこやまとしばたがそれぞれステージ両端まで展開して演奏し、しかもその演奏が前回のツアーまでとは比べものにならないくらいに安定感と力強さを増している。
この日でツアーも21本目、出まくっているフェスでは大事な時間を任されることばかりになった。そうした経験が確実にバンドとしての力量そのものの底上げにしっかり繋がっている。
「次はこのツアーで全然やってない曲をやります。なんでやらなかったかって言うと、盛り上がらない曲だから(笑)
10-FEETがよく「みんなが知らん昔の曲だから盛り上がらないだろう」って言ってめちゃ盛り上げてるけど、その方法論を使えばキッズたちが刺激されて盛り上がるかなって(笑)
でも10-FEETは本当に盛り上がる曲をやるけど、次の曲は本当に盛り上がらない曲(笑)」
と、ヤバTのライブは大阪の愉快な若者たちのノリをそのままステージに持ち込んだかのようなMCも楽しみの一つだが、この日もこやまは曲間にはマシンガンのように喋りまくる。
そうして演奏された「眠いオブザイヤー受賞」はどことなくオシャレさを感じるコード進行で、最後のサビ前にもりもとが
「今年度最高のミルフィーユ」
というフレーズを発すると、客席からは「お~!」という感嘆の声が上がる。
カッコいい英語歌詞のようでいてひたすらにUSBの説明をしているだけという「Universal Serial Bus」からは再びメロコア魂に火をつけるかのように高速ナンバーを連発していくのだが、新作に収録された、しばたが手がけた「ベストジーニスト賞」を聴いていると、しばたのベーシストとして、そしてボーカルとしてのレベルアップっぷりに驚かされる。
特に新作曲においてはヤバTの曲は普通にラウド・パンクバンドが作っていてもおかしくないような曲ばかりだが、こやまとしばたという声質的にそれらのバンドとは全く違う、ポップかつコミカルな声で歌うことによって、それがヤバTの音楽になっている。
こやま「KANA-BOONのことを「ブーンの兄やん」と呼んでいるから、今日はヤバブーンや」
もりもと「ツアーのセミファイナルだから、カナブンなのにセミやで!(笑)」
という上手いのかなんなのかよくわからないMCもありつつ、
「今日はブーンの兄やんと一緒だから、三国ヶ丘FUZZでやっていた、CDにも入ってないくらいのレア曲をやります」
と言って演奏された「I wanna go home」はタイトルのままに、ひたすらに家に帰りたいという願望を曲にしたかのような歌詞。サウンドも今のヤバTと比べると圧倒的にシンプルなロックサウンドである。それだけにこの曲を作った当時からはるかにバンドの演奏がレベルアップしているのがわかる。
「ウェイウェイ大学生」ではおなじみの、しばたのボーカルパートでこやまがしばたの前に立ちふさがるようにしてギターを弾くと、
「邪魔!」「邪魔やわ~」
としばたが口に出し、それに引っ張られたのか、歌詞もその部分だけ飛んでしまう。こやまの存在の破壊力たるや実に恐ろしい。
その歌詞を飛ばしたしばたが前作で手がけた「L・O・V・E タオル」ではタオルが客席でぐるぐる回るというライブにおけるキラーチューンっぷりを見せ、ロッテのガムのタイアップソングとなった「とりあえず噛む」では
「考えすぎるのはやめろって
悩みすぎるのはやめろって」
と、さりげなく「ロッテ」というタイアップ先のフレーズを歌詞に入れるというこやまの天才的とも言える作詞家っぷりを味あわせてくれる。
「俺、古賀さんやし」
と古賀になりきって「ないものねだり」のイントロを弾きながら、しばたともりもとに対しては
「このブスが!」「なんやこのロン毛!」
と「古賀さんが絶対に言わない」ようなことをメンバーに浴びせながら、しばたによるKANA-BOONのあいうえお作文もやはりこやまと古賀が似ていることをネタにしたもの。
そんな爆笑MCもありながらも、この日の最大のライブの終盤を貫いていたムードは、
「堺の150人キャパの三国ヶ丘FUZZでライブしてた俺たちとKANA-BOONがZepp Tokyoの2700人の前でライブをしている。FUZZで10人くらいの観客の前で「ネコ飼いたい!」って言ってた頃の自分たちでは全く想像できなかったし、今日見に来てくれてるFUZZで一緒にやってたバンドたちも絶対想像してなかったと思う」
という、ロックバンドとして実にまっとうな感情で、実際に
「その頃の悔しさを思い出して書いた曲」
と言って演奏された「サークルバンドに光を」は、大学の軽音サークルで結成された当時のままのマインドをこれからも忘れることなく突き進んでいくというバンドの姿勢をありのままに歌った、ヤバT史上最もストレートかつまっとうな曲であり、最も泣けてしまう曲。
今まであれだけ「絶対に他の人では書くことはおろか思いつくことすらできない」という歌詞を綴ってきたこやまなだけに、こうしたまっとうな歌詞の曲を書いても「サークルバンド」という単語を使ったりと、やはりまっとうではあってもありふれた表現には全くならない。
そこからはヤバTが最初に作った曲という「ネコ飼いたい」、
「虹のゲートを作ろうぜー!」
とこやまが煽った「スプラッピスプラッパ」とサークル発生しまくり(「サークルバンド」という単語の後にサークルと言うと実にややこしい)の曲を連発し、そのまま止まることなく「ヤバみ」に突入していくのだが、この「ヤバみ」がBPMがさらに速くなりまくりで、バンドの衝動がダイレクトに伝わってくる。本当にライブがすごいバンドになってきている。
そしてラストはオリコン初登場2位という大ヒットを記録(本当にRADWIMPSとかUNISON SQUARE GARDENレベル)した「ハッピーウェディング前ソング」なのだが、
「キッス!キッス!キッス!キッス!キッス!キッス!キッス!」
の大合唱っぷりに思わずビックリして、後ろを振り返ってしまった。そうしたら、最後方ブロックの人から二階席までの全ての人が叫んでいた。ヤバTはヤバTでしかないやり方で、とんでもない景色を生み出してしまったし、それはこれから確実にさらに大きくなっていく。
アンコールでは3人がまさかのKANA-BOONからプレゼントされたTシャツに着替えて登場し(こやまが黒以外、しばたが道重Tシャツ以外を着ているのは実にレア)、ブーンの兄やんもステージに招いて写真撮影をすると、5月に「げんきいっぱい」というバカそうでしかないタイトルのシングルをリリースすることを発表。(今回も「げんきいっぱい」という曲自体は収録されていない)
本編ではレア曲をかなりやったので、アンコールでは定番曲を、ということでこやまがアコギを弾きながら歌い始めたのは全然定番曲ではないどころかこのツアーでまだ演奏されていない「ドローン買ったのに」だが、ワンフレーズだけで歌うのをやめ、気を取り直して、亀田誠治がプロデュースしたことにより、ストリングスの同期までも取り入れて、まるでoasisのアンセムのように壮大化した「肩 have a good day」を熱唱するのだが、最後の最後にはマイクから離れてステージ中央でオフマイクで絶唱。その姿を見た観客もこやまにあわせて合唱するのだが、こやまがタメまくったせいで合わずにこやまがうなだれ、しばたともりもとに励まされ、拳を突き合わせるようにして再び歌い出すという茶番もあったが、まさかこの曲がこんなに大事な位置を占める曲になるとは、カップリングとして収録された時点では全く想像できなかった。それは亀田誠治のプロデュースが大きいが、そうして曲の力を120%にまで引き出してくれる存在に委ねるという選択肢を選ぶことができるというのもヤバTの強みである。特にスリーピースのバンドだとプロデュースはもちろん、なかなかメンバー以外の人間の音を入れるという選択肢を選ぶことができないだけに。
そしてブーンの兄やんことKANA-BOONに間奏で媚を売りまくる「喜志駅周辺なんもない」から、ラストはやはり「あつまれ!パーティーピーポー」で大合唱、ダンス、さらにはモッシュとダイブなんでもありの狂騒を生み出して、真冬とは思えないくらいの暑さと熱さに満ち溢れたまま、3人はやりきったような表情でステージを去っていった。
前回のツアーでは割りと面白い演出をふんだんに使ったような内容になっていたが、今回はそうした要素はメンバーによるMCのみで、ひたすらに曲の力で勝負するという内容になっていたし、それによってヤバTのバンドとしての地力が劇的に向上していた。それは地元の先輩であるKANA-BOONとついに2マンを果たせたという要素も大きいのだろうが、面白さじゃなくて、ヤバTのカッコいいバンドとしてのヤバみが深み。
果たして今日はどうなる?
1.Tank-top in your heart
2.DANCE ON TANSU
3.メロコアバンドのアルバムの3曲目ぐらいによく収録されている感じの曲
4.Tank-top of the world
5.眠いオブザイヤー受賞
6.Universal Serial Bus
7.ベストジーニスト賞
8.無線LANばり便利
9.I wanna go home
10.ウェイウェイ大学生
11.L・O・V・E タオル
12.とりあえず噛む
13.サークルバンドに光を
14.ネコ飼いたい
15.スプラッピスプラッパ
16.ヤバみ
17.ハッピーウェディング前ソング
encore
18.肩 have a good day -2018 ver.-
19.喜志駅周辺なんもない
20.あつまれ!パーティーピーポー
ヤバみ
https://youtu.be/329F4L9ATcw
Next→ 2/24 ヤバイTシャツ屋さん × ROTTENGRAFFTY @Zepp Tokyo
ヤバイTシャツ屋さん ”Galaxy of the Tank-top” TOUR 2018 @Zepp Tokyo 2/24 ホーム
yonige girls like girls tour @TSUTAYA O-EAST 2/18