The Mirraz RED JACKET TOUR ~独立後初!RED(赤字)覚悟の全国ツアー!2018~ @千葉LOOK 1/27
- 2018/01/28
- 00:29
2017年の自分にとってのMVPはミイラズだった。2月にEDM路線の集大成的な大傑作「ぼなぺてぃっ!!!」をリリースして、かつては「家からあんまり出たくないからツアーが好きじゃない」と語っていた畠山が、本数は少ないながらもツアーをしっかりと回り、エイプリルフールである4月1日には突如としてガレージロックに振り切れたフルアルバム「Mr. KingKong」、5月には毎週新曲を、7月にはミニアルバム「バタフライエフェクトを語るくらいの善悪と頑なに選択を拒むマエストロとMoon Song Baby」を、さらに10月にもミニアルバム「ヤグルマギク」を配信リリースするという、メジャーも事務所も離脱して独立してから畠山の楽曲制作とリリースペースは日本屈指の速さになり、しかも年末にはフルアルバム「RED JACKET」をリリースと、結果的には
フルアルバム3枚
ミニアルバム2枚
シングル4曲
をリリースするという(さらにリミックスもリリースしている)、初期のビートルズもビックリな怒涛の1年を駆け抜けるという、このバンドをMVPにせずに他に誰をMVPにできようか、という凄まじい活動だった。
その年末にリリースされた「RED JACKET」を引っ提げ、独立後初の全国ツアー(2017年はワンマンをかなり行ったが、ツアーは関東だけだった)となるのが今回のツアーであり、そのツアーの初日がこの日の千葉LOOK。もはや千葉LOOKで見るのが最も多いバンドになっている。
バンドの原点とも言える、Arctic Monkeysが場内BGMとして流れる中、18時ぴったりくらいになると、なぜか高須クリニックのCMソングであるSOFFet「Beautiful Smile ~No Music,No Life~」がSEとして流れてメンバーたちが登場。畠山は今回のツアーの物販のパーカーを着て、サングラス着用というスタイル。
「スーパーフレア」~「check it out!~」~「ふぁっきゅー」の冒頭3連打は近年のライブではすっかりおなじみだが、畠山の声と歌詞、さらには真彦のギターとケイゾーのベース、まのたかしのドラムに至るまでのメンバーそれぞれの音が今までよりもしっかりと聞こえる。音作りを変えたのかもしれないが、新作を連発するだけではなく、きちんとサウンドもアップデートされてきているというあたりに、今のミイラズのライブへの向き合い方がよくわかる。
タイトル通りに真っ赤な照明がステージを照らす「RED」からは新作曲が続くのだが、新作曲とは思えないくらいに、冒頭の代表曲と客席のリアクションが変わらない。それは「RED JACKET」自体がArctic Monkeysに影響を受けた、性急で言葉数の多い、リフ中心のギターロックという初期のミイラズを彷彿とさせるサウンドになっているからというのもあるだろうが、今や千葉LOOKすらも全然ソールドアウトしないくらいの状況になってしまったこのバンドの音楽が本当に好きで、新作が出るのを楽しみにしている人たちだけがここに集まっているということでもあるだろう。
そんな中でも特筆すべきは「るーざー」。「ぼなぺてぃっ!!!」収録の「夢見る少年は夢を見るなり」で
「負けたんだ 負けてしまったんだ
でも終わってない まだ終わってない」
とバンドの偽らざる現状を歌詞にして歌っていたが、「るーざー」では
「俺の勝ちは売れることだけど本当の成功は その裏で誰かの心を救うこと
たった一人でいい だから君が勝つまでは歌う」
と、自身が音楽を鳴らし続ける理由を歌っている。これまでも根の優しさを感じさせるような温かいラブソングはあったが、こうして自分たちの置かれている状況を包み隠さずに認めて歌うというのは、かつてのミイラズからは想像できなかったような歌詞である。
初期の「WAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!」はリズムに合わせて手拍子が起こる曲であるが、畠山は
「手拍子をやる人が少ししかいなくてリズムが狂う!やり始めた人がいたらみんなもやりなさい!盛り上がるだろうと思ってこの曲やろうってなったのに(笑)」
と、客席の微妙な空気に言及。いわく、千葉はいつもそういう感じらしいが、いつもそこまで盛り上がってない感じではないと思うのだが。ケイゾーは
「むしろ盛り上がる曲よりも「君の料理」とかの方が良かったんじゃ」
と言っていただけに、メンバーみんなそう感じていたのだろうけれど。
なので、
「次はシンセが入ってる曲やります」
と言って、「パンドラの箱、ツンデレっすね」のタイトルを言うのだが、リアクションが全くなく、
「もう1回言うぞ(笑)」
とまさかの言い直ししてまでリアクションを求めるという事態に。しかしながら曲が始まると普通に盛り上がっていたように見えたのだが。
しかしながら「つーか、っつーか」も含めたこのEDMの要素を取り入れて、ミイラズだからこそのダークなロックになった曲たちは元輝の脱退後はDJキノイ君によるドラムレスの編成が似合っていたところもあったのだが、今はまのが超強力なドラムでもって、曲に新たな生命力と躍動感を与えている。というかこの日のツアー初日にも関わらずバンドの演奏の完成度が非常に高かったのは、このまののドラムがしっかりとミイラズのサウンドの一つとして他のメンバーの演奏と溶け合っていることが実に大きい。
そうなれたのは2017年にリリースをしまくったことで、この4人でライブをする機会が例年よりもはるかに多くて、バンドそのものが鍛えられてきたからである。そういう意味でも、2017年はミイラズにとって非常に大きな年だったと言えるだろう。
ここまではひたすらに高速BPMでMCも挟まずに突っ走ってきたが、再びの「RED JACKET」からのテンポを落としながらも重厚感のあるサウンドの「迷いなし」ではバンドがこれからも音を鳴らし続ける姿勢を改めて示し、「失敗作」「Hi!」で再びギアをトップに入れ替えて突っ走る。
するとここでこの日最初のMC。千葉はなんとなくノリがやりづらいという話に始まり、前日にリリースしたアプリゲーム「ラノベツクール」の第2弾が前作の1/10くらいしかダウンロードされていないということを嘆き、ケイゾーがそれにいちいち律儀にツッコミを入れていくという構図自体は変わらない。
MCから曲に移る時は畠山は近年よく、
「次の曲はケイゾーが1番好きな曲でしょ?」
と言うのだが、ケイゾーが
「いや、そんなに好きじゃない(笑)」
とバッサリと切り捨てられた曲「Get Money」から畠山のロマンチックサイドの最高峰ソング「観覧車に乗る君が夜景に照らされてるうちは」で徐々に終盤感を強めていき、畠山の三国志好きが高じてできた曲であろう「China Dream」、そして「イメージ」とさすがにリリースツアーであるだけに「RED JACKET」の曲がここでも中核を担うのだが、今やワンマンくらいしかライブを行なっていないだけに、ライブでやるのは初めてなこの新作曲たちの完成度がやはり高い。これには直後のMCでの、
「COUNTDOWN JAPANの映像を見たんだけど、全然ダメだった(笑)真彦がいきなりミスりまくってるし、俺は飲みすぎたからか全然高い声出てないし(笑)
だから映像で流したい2曲を決めてくれって言われたんだけど、「check~」以外選べなかった。「check~」はメロディがないからいいんだけど(笑)」
と久しぶりのフェス出演で納得のいくライブができなかったことの反省もあるんだろうか。真彦はミスっていた自覚が全くないようだったが(笑)
しかしこのMC時に畠山が時計を見て、
「ヤバい、早すぎる(笑)」
とライブの時間が短くなりすぎることを気にしながら喋っていた。かつてはマネージャーに
「もう1回ロックな感じでライブやりましょう!」
とわけのわからないことを言われた結果、ライブで喋らないようにしていた時期もあったとのことだが、今は喋る回数自体は多くないが、その喋る目的が「来てくれている人たちに楽しかったって思ってもらいたい」というものに変わっていることが見ていてよくわかる。畠山も言っていたように、喋る必要は全くないのに、なぜ喋るのかというと、その意識がバンド側にちゃんとあるからである。
そして「ミイラ」をテーマにした「ヤグルマギク」からはクライマックスへ突入していくのだが、「ラストナンバー」「僕らは」という定番曲を抑えて最後に演奏されたのは、最新作からの「DAWN」。
「さぁ夜明けだ 長い夜は終わった ここから始まるよ 始めよう この命尽きる前にね」
というフレーズでこの曲、このライブの本編は締められる。ここから再び始まっていくミイラズの物語。まさに今がミイラズの夜明けである。
アンコールで再びメンバーが登場するも、アンコールを求める拍手の小ささにやや不満げな畠山。すると、
畠山「ふと思ったんだけど、俺は何歳までこうしてバンドをやってるんだろう。60歳とかまでできんのかな?」
ケイゾー「絶対無理。「WAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!」とかその歳でできないでしょ(笑)
我々が「ワー!」って言いながら倒れますよ(笑)」
畠山「そもそもその歳までやってても誰も見に来なくなってるよね(笑)」
という自虐的なやり取りがあったのだが、その時に観客の何人かが
「行くよ」
と、決して大きな声ではなかったからメンバーには聞こえなかったかもしれないが、はっきりとそう言っていた。かつてライブに来ていた人の大半がいなくなっても、まだミイラズのライブに来ることをやめられない人たち。(自分を含めて)
それはつまり、ミイラズが続いている限りはずっとライブに来続ける人たちである。メンバーが60歳になるまであと20年ちょっと。そこまでずっと見続けることができたなら、どれだけ幸せなことだろうか。願わくば、「夢見る少年は夢を見るなり」で描いたような、デカいステージにもう一度辿り着いていて欲しいけれど。
去年の関東ツアーに続き、今回のツアーでも採用されているツアー全通特典についての話もするも、
「全通するやつなんて絶対いないでしょ。ここにいる人たちが札幌とか福岡まで来るわけないもん(笑)全通するのは俺たちだけだよ(笑)」
と元から全通する人がいない想定で作ったシステムであることを語り、すでに酒をかなり飲んでいる畠山はライブが終わってしまうのが惜しいのか、COUNTDOWN JAPANの会場で限定販売されたものの全く売れなかった、ロッキンオンジャパン総編集長・山崎洋一郎の似顔絵Tシャツが残り2枚で売り切れることを告知すると、
「山崎さんってフェスでジャージみたいなの着て前説やってるイメージしかないでしょ?裏ではめちゃくちゃ高い服着てオシャレな格好してるからね。高い車乗り回してるし(笑)」
と今でも見捨てることなくバンドのことを応援してくれている山崎洋一郎のことをひたすら語りまくる。ロッキンオンジャパンを読まない人からしたら何の話か全然わからないだろうが、このMCからは畠山が山崎洋一郎のことを本当に信頼していることがすごく伝わってきた。そして畠山が
「このTシャツ買ってるのはエレファントカシマシのファンだけかもしれない(笑)エレカシのファンの人たちは、山崎さんがずっと応援してくれたからエレカシが売れたってわかってるから、山崎さんのことも大好きだから」
と言っていたように、ミイラズもエレカシのように奇跡的なV字回復を期待してしまう。
そうして話しまくった果てで締めに演奏されたのは、EDMを取り入れた「マジか。~」から、CDJでも演奏され、真彦がミスりまくっていたという「プロタゴニストの一日は」、そしてラストはやはり「CANのジャケット~」。この並びを見るに、アンコールは曲が決めてあるとはいえ、本当にファンサービス以外の何物でもないだろう。本人たちはそうは言わないけれど、みんなが聴きたい盛り上がれる曲という意味ではこの3曲は同じである。
演奏が終わると畠山は、
「じゃあ、全国に行ってきます!」
と言ってステージから去って行った。昔は絶対こんなことは言わなかった。
ミイラズはひたすらに我々がボールを取ろうとしているのに、わざと目の前でワンバウンドしたり、曲がりすぎるスライダーを投げては、「こんな球取れないって!」と言っている我々の姿を見て笑うようなバンドだった。でも今は、我々の胸を目掛けて渾身のボールを投げ込んでくれる。だからこそ我々はそのボールを両手で大事にキャッチして、
「行ってらっしゃい!」
とバンドに投げ返すことができる。ロッキンオンジャパンのインタビューで畠山は「RED JACKET」について、
「今はファンの人たちと一緒にやっていけるっていう感じがしていて、今はそれがすごく楽しいです」
と話していた。コピーにもあったように、このアルバムはみんなの愛が作らせたアルバムだ。ミイラズの我々に対する愛と、我々のミイラズに対する愛が。
1.スーパーフレア
2.check it out! check it out! check it out! check it out!
3.ふぁっきゅー
4.RED
5.バタフライエフェクトを語るくらいの善悪と頑なに選択を拒むマエストロのとある一日
6.るーざー
7.WAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!
8.パンドラの箱、ツンデレっすね
9.つーか、っつーか
10.迷いなし
11.失敗作
12.Hi!
13.Get Money
14.観覧車に乗る君が夜景に照らされてるうちは
15.China Dream
16.イメージ
17.ヤグルマギク
18.ラストナンバー
19.僕らは
20.DAWN
encore
21.マジか。そう来たか、やっぱそう来ますよね。はいはい、ですよね、知ってます。
22.プロタゴニストの一日は
23.CANのジャケットのモンスターみたいのが現れて世界壊しちゃえばいい
DAWN
https://youtu.be/VeBPczlytB8
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フルアルバム3枚
ミニアルバム2枚
シングル4曲
をリリースするという(さらにリミックスもリリースしている)、初期のビートルズもビックリな怒涛の1年を駆け抜けるという、このバンドをMVPにせずに他に誰をMVPにできようか、という凄まじい活動だった。
その年末にリリースされた「RED JACKET」を引っ提げ、独立後初の全国ツアー(2017年はワンマンをかなり行ったが、ツアーは関東だけだった)となるのが今回のツアーであり、そのツアーの初日がこの日の千葉LOOK。もはや千葉LOOKで見るのが最も多いバンドになっている。
バンドの原点とも言える、Arctic Monkeysが場内BGMとして流れる中、18時ぴったりくらいになると、なぜか高須クリニックのCMソングであるSOFFet「Beautiful Smile ~No Music,No Life~」がSEとして流れてメンバーたちが登場。畠山は今回のツアーの物販のパーカーを着て、サングラス着用というスタイル。
「スーパーフレア」~「check it out!~」~「ふぁっきゅー」の冒頭3連打は近年のライブではすっかりおなじみだが、畠山の声と歌詞、さらには真彦のギターとケイゾーのベース、まのたかしのドラムに至るまでのメンバーそれぞれの音が今までよりもしっかりと聞こえる。音作りを変えたのかもしれないが、新作を連発するだけではなく、きちんとサウンドもアップデートされてきているというあたりに、今のミイラズのライブへの向き合い方がよくわかる。
タイトル通りに真っ赤な照明がステージを照らす「RED」からは新作曲が続くのだが、新作曲とは思えないくらいに、冒頭の代表曲と客席のリアクションが変わらない。それは「RED JACKET」自体がArctic Monkeysに影響を受けた、性急で言葉数の多い、リフ中心のギターロックという初期のミイラズを彷彿とさせるサウンドになっているからというのもあるだろうが、今や千葉LOOKすらも全然ソールドアウトしないくらいの状況になってしまったこのバンドの音楽が本当に好きで、新作が出るのを楽しみにしている人たちだけがここに集まっているということでもあるだろう。
そんな中でも特筆すべきは「るーざー」。「ぼなぺてぃっ!!!」収録の「夢見る少年は夢を見るなり」で
「負けたんだ 負けてしまったんだ
でも終わってない まだ終わってない」
とバンドの偽らざる現状を歌詞にして歌っていたが、「るーざー」では
「俺の勝ちは売れることだけど本当の成功は その裏で誰かの心を救うこと
たった一人でいい だから君が勝つまでは歌う」
と、自身が音楽を鳴らし続ける理由を歌っている。これまでも根の優しさを感じさせるような温かいラブソングはあったが、こうして自分たちの置かれている状況を包み隠さずに認めて歌うというのは、かつてのミイラズからは想像できなかったような歌詞である。
初期の「WAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!」はリズムに合わせて手拍子が起こる曲であるが、畠山は
「手拍子をやる人が少ししかいなくてリズムが狂う!やり始めた人がいたらみんなもやりなさい!盛り上がるだろうと思ってこの曲やろうってなったのに(笑)」
と、客席の微妙な空気に言及。いわく、千葉はいつもそういう感じらしいが、いつもそこまで盛り上がってない感じではないと思うのだが。ケイゾーは
「むしろ盛り上がる曲よりも「君の料理」とかの方が良かったんじゃ」
と言っていただけに、メンバーみんなそう感じていたのだろうけれど。
なので、
「次はシンセが入ってる曲やります」
と言って、「パンドラの箱、ツンデレっすね」のタイトルを言うのだが、リアクションが全くなく、
「もう1回言うぞ(笑)」
とまさかの言い直ししてまでリアクションを求めるという事態に。しかしながら曲が始まると普通に盛り上がっていたように見えたのだが。
しかしながら「つーか、っつーか」も含めたこのEDMの要素を取り入れて、ミイラズだからこそのダークなロックになった曲たちは元輝の脱退後はDJキノイ君によるドラムレスの編成が似合っていたところもあったのだが、今はまのが超強力なドラムでもって、曲に新たな生命力と躍動感を与えている。というかこの日のツアー初日にも関わらずバンドの演奏の完成度が非常に高かったのは、このまののドラムがしっかりとミイラズのサウンドの一つとして他のメンバーの演奏と溶け合っていることが実に大きい。
そうなれたのは2017年にリリースをしまくったことで、この4人でライブをする機会が例年よりもはるかに多くて、バンドそのものが鍛えられてきたからである。そういう意味でも、2017年はミイラズにとって非常に大きな年だったと言えるだろう。
ここまではひたすらに高速BPMでMCも挟まずに突っ走ってきたが、再びの「RED JACKET」からのテンポを落としながらも重厚感のあるサウンドの「迷いなし」ではバンドがこれからも音を鳴らし続ける姿勢を改めて示し、「失敗作」「Hi!」で再びギアをトップに入れ替えて突っ走る。
するとここでこの日最初のMC。千葉はなんとなくノリがやりづらいという話に始まり、前日にリリースしたアプリゲーム「ラノベツクール」の第2弾が前作の1/10くらいしかダウンロードされていないということを嘆き、ケイゾーがそれにいちいち律儀にツッコミを入れていくという構図自体は変わらない。
MCから曲に移る時は畠山は近年よく、
「次の曲はケイゾーが1番好きな曲でしょ?」
と言うのだが、ケイゾーが
「いや、そんなに好きじゃない(笑)」
とバッサリと切り捨てられた曲「Get Money」から畠山のロマンチックサイドの最高峰ソング「観覧車に乗る君が夜景に照らされてるうちは」で徐々に終盤感を強めていき、畠山の三国志好きが高じてできた曲であろう「China Dream」、そして「イメージ」とさすがにリリースツアーであるだけに「RED JACKET」の曲がここでも中核を担うのだが、今やワンマンくらいしかライブを行なっていないだけに、ライブでやるのは初めてなこの新作曲たちの完成度がやはり高い。これには直後のMCでの、
「COUNTDOWN JAPANの映像を見たんだけど、全然ダメだった(笑)真彦がいきなりミスりまくってるし、俺は飲みすぎたからか全然高い声出てないし(笑)
だから映像で流したい2曲を決めてくれって言われたんだけど、「check~」以外選べなかった。「check~」はメロディがないからいいんだけど(笑)」
と久しぶりのフェス出演で納得のいくライブができなかったことの反省もあるんだろうか。真彦はミスっていた自覚が全くないようだったが(笑)
しかしこのMC時に畠山が時計を見て、
「ヤバい、早すぎる(笑)」
とライブの時間が短くなりすぎることを気にしながら喋っていた。かつてはマネージャーに
「もう1回ロックな感じでライブやりましょう!」
とわけのわからないことを言われた結果、ライブで喋らないようにしていた時期もあったとのことだが、今は喋る回数自体は多くないが、その喋る目的が「来てくれている人たちに楽しかったって思ってもらいたい」というものに変わっていることが見ていてよくわかる。畠山も言っていたように、喋る必要は全くないのに、なぜ喋るのかというと、その意識がバンド側にちゃんとあるからである。
そして「ミイラ」をテーマにした「ヤグルマギク」からはクライマックスへ突入していくのだが、「ラストナンバー」「僕らは」という定番曲を抑えて最後に演奏されたのは、最新作からの「DAWN」。
「さぁ夜明けだ 長い夜は終わった ここから始まるよ 始めよう この命尽きる前にね」
というフレーズでこの曲、このライブの本編は締められる。ここから再び始まっていくミイラズの物語。まさに今がミイラズの夜明けである。
アンコールで再びメンバーが登場するも、アンコールを求める拍手の小ささにやや不満げな畠山。すると、
畠山「ふと思ったんだけど、俺は何歳までこうしてバンドをやってるんだろう。60歳とかまでできんのかな?」
ケイゾー「絶対無理。「WAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!」とかその歳でできないでしょ(笑)
我々が「ワー!」って言いながら倒れますよ(笑)」
畠山「そもそもその歳までやってても誰も見に来なくなってるよね(笑)」
という自虐的なやり取りがあったのだが、その時に観客の何人かが
「行くよ」
と、決して大きな声ではなかったからメンバーには聞こえなかったかもしれないが、はっきりとそう言っていた。かつてライブに来ていた人の大半がいなくなっても、まだミイラズのライブに来ることをやめられない人たち。(自分を含めて)
それはつまり、ミイラズが続いている限りはずっとライブに来続ける人たちである。メンバーが60歳になるまであと20年ちょっと。そこまでずっと見続けることができたなら、どれだけ幸せなことだろうか。願わくば、「夢見る少年は夢を見るなり」で描いたような、デカいステージにもう一度辿り着いていて欲しいけれど。
去年の関東ツアーに続き、今回のツアーでも採用されているツアー全通特典についての話もするも、
「全通するやつなんて絶対いないでしょ。ここにいる人たちが札幌とか福岡まで来るわけないもん(笑)全通するのは俺たちだけだよ(笑)」
と元から全通する人がいない想定で作ったシステムであることを語り、すでに酒をかなり飲んでいる畠山はライブが終わってしまうのが惜しいのか、COUNTDOWN JAPANの会場で限定販売されたものの全く売れなかった、ロッキンオンジャパン総編集長・山崎洋一郎の似顔絵Tシャツが残り2枚で売り切れることを告知すると、
「山崎さんってフェスでジャージみたいなの着て前説やってるイメージしかないでしょ?裏ではめちゃくちゃ高い服着てオシャレな格好してるからね。高い車乗り回してるし(笑)」
と今でも見捨てることなくバンドのことを応援してくれている山崎洋一郎のことをひたすら語りまくる。ロッキンオンジャパンを読まない人からしたら何の話か全然わからないだろうが、このMCからは畠山が山崎洋一郎のことを本当に信頼していることがすごく伝わってきた。そして畠山が
「このTシャツ買ってるのはエレファントカシマシのファンだけかもしれない(笑)エレカシのファンの人たちは、山崎さんがずっと応援してくれたからエレカシが売れたってわかってるから、山崎さんのことも大好きだから」
と言っていたように、ミイラズもエレカシのように奇跡的なV字回復を期待してしまう。
そうして話しまくった果てで締めに演奏されたのは、EDMを取り入れた「マジか。~」から、CDJでも演奏され、真彦がミスりまくっていたという「プロタゴニストの一日は」、そしてラストはやはり「CANのジャケット~」。この並びを見るに、アンコールは曲が決めてあるとはいえ、本当にファンサービス以外の何物でもないだろう。本人たちはそうは言わないけれど、みんなが聴きたい盛り上がれる曲という意味ではこの3曲は同じである。
演奏が終わると畠山は、
「じゃあ、全国に行ってきます!」
と言ってステージから去って行った。昔は絶対こんなことは言わなかった。
ミイラズはひたすらに我々がボールを取ろうとしているのに、わざと目の前でワンバウンドしたり、曲がりすぎるスライダーを投げては、「こんな球取れないって!」と言っている我々の姿を見て笑うようなバンドだった。でも今は、我々の胸を目掛けて渾身のボールを投げ込んでくれる。だからこそ我々はそのボールを両手で大事にキャッチして、
「行ってらっしゃい!」
とバンドに投げ返すことができる。ロッキンオンジャパンのインタビューで畠山は「RED JACKET」について、
「今はファンの人たちと一緒にやっていけるっていう感じがしていて、今はそれがすごく楽しいです」
と話していた。コピーにもあったように、このアルバムはみんなの愛が作らせたアルバムだ。ミイラズの我々に対する愛と、我々のミイラズに対する愛が。
1.スーパーフレア
2.check it out! check it out! check it out! check it out!
3.ふぁっきゅー
4.RED
5.バタフライエフェクトを語るくらいの善悪と頑なに選択を拒むマエストロのとある一日
6.るーざー
7.WAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!
8.パンドラの箱、ツンデレっすね
9.つーか、っつーか
10.迷いなし
11.失敗作
12.Hi!
13.Get Money
14.観覧車に乗る君が夜景に照らされてるうちは
15.China Dream
16.イメージ
17.ヤグルマギク
18.ラストナンバー
19.僕らは
20.DAWN
encore
21.マジか。そう来たか、やっぱそう来ますよね。はいはい、ですよね、知ってます。
22.プロタゴニストの一日は
23.CANのジャケットのモンスターみたいのが現れて世界壊しちゃえばいい
DAWN
https://youtu.be/VeBPczlytB8
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