04 Limited Sazabys 「Squall tour」 @Zepp Tokyo 1/19
- 2018/01/19
- 23:51
自分はオフの日はランニングをしているのだが、その時に音楽を聴いている。で、どんな音楽でもいいのかというとそんなことはなくて、自分の走るペースに合うようなリズムの音楽がいい。それは基本的にテンポが速くて激しいサウンドのものになっていて、そうしたランニング用のプレイリストを作っているのだが、そのプレイリストに今最も多く曲が入っているのが、フォーリミこと04 Limited Sazabysである。
2017年は武道館ワンマンを始め、2年目を迎えた主催フェスの開催、憧れのハイスタとの対バンを果たすなど、完全にWANIMAとともに新世代パンク・メロコアバンドの両翼と言っていい存在となった。
今回のツアーはアルバムのツアーではなく昨年リリースのシングル「Squall」のリリースツアーだからこそセトリも含めて、ホームであるライブハウスでどんな景色を描くのか。この日のZepp Tokyoは2daysの2日目で、後は地元であるZepp Nagoyaでの2daysを残すのみ。
18:30という平日にしては早めの開始時間だったため、入場した時にはすでにメンバーが登場しており、まさに1曲目の「Feel」が始まったところであった。ステージ背面にはいろんなものに対する壁を思わせるレンガ調のセットがあり、その上に「04 Limited Sazabys」というバンドのロゴが描かれている。
しかしながらやはりさすがに冒頭から凄まじいモッシュとダイブの嵐である。だが以前までと違うのは、いわゆるリフトという方法でダイブする人がかなり減っていること。これはフェスなどでもGENが
「もっとカッコいいダイブが見たいんだよ!自分の力で上がってこいよ!」
と、リフトしてからダイブすることに対する違和感をステージから発していたことが効果を発揮しているからだろうか。もちろんそこには今までにそうしてリフトする人が多かったことに対するファンやバンドへの批判がメンバー自身の目や耳に入ってきていたことが察せられるのだが。
序盤はGENの声、特にファルセットなどのもとよりハイトーンな歌声をさらに高く飛翔させる部分がややキツそうな印象も受けたが、
「昨日よりも暫定絶好調です!」
と問題ないことをアピール。しかしながら「swim」ではむせたのか、少し歌えていない部分があったのも確か。今までに様々な場所でクライマックスを描いてきたこの曲がこんなに前半に演奏されるようになったことにも驚きだが。
ただ、バンドの演奏やグルーヴはツアーを経てきてさらに研ぎ澄まされてきている。派手な見た目とは裏腹に多彩なテクニックでメロディを奏でるHIROKAZ、永遠のキッズかと思うくらいにステージを駆け回りながらノイジーなギターで場内を埋め尽くすRYU-TA。そしてコーラスも務めながら手数の多さと一打一打の強さを兼ね備えたバンマスKOUHEI。特にKOUHEIのドラムはこのバンドのライブを見ているとどんな状況であっても体が動いてしまう、バンド最大のエンジンである。
「スコ~ル!」「ゼップップー!」
などやたらと可愛さを前面に押し出してきたRYU-TAのコール&レスポンスからの「Chicken race」ではモッシュやダイブだけではない、自由に踊る楽しさを味あわせてくれると、そのRYU-TAが複雑なテンポの手拍子を観客に要求し、
「RYUちゃんは、素直じゃないな~」
とGENが言ってから、コンタクトレンズのCM曲として大量オンエアされた「happiness」へ。「Squall」のカップリングに収録された曲だけに、こうしてライブで聴けるのもリリースツアーならでは。
「懐かしい曲をやります!」
と言って演奏されたのは「Do it Do it」だが、こうして割とタイミング的には初期にあたる、ライブでそこまで頻繁に演奏されない曲を今になって聴くと、当時とはバンドの演奏力や音圧、説得力といった様々な要素が格段にレベルアップしているのが本当によくわかる。メロディの良さがキラリと光るというイメージだった「sonor」の曲たちが燦然と輝きを放つまでに成長している。
この日、夕方に音楽プロデューサーとして一時代を築いた小室哲哉が引退を発表したことにより、やはりMCもそのタイムリーな話題に。
「いい辞めどきだと思ったのかな。でも俺が小室哲哉だったらもうとっくに辞めてる。俺がONE PIECEの作者でもとっくに辞めてる。もう一生遊んで暮らせるもん(笑)」
と、同じ音楽家として、しかも世代的に間違いなくTKサウンドを触れてきたと思われる感傷に浸ることもない視点からコメントするあたりが実にGENらしい。
そしていきなりステージ上に雷雨の音が鳴り響くと、
GEN「布団、トゥルースリーパー取り込まなきゃ!」
KOUHEI「小室哲哉を説得してくる(笑)」
とそれぞれの理由でステージからいなくなる4人。何が始まるのかと思いきや、法被を着たKOUHEIが1人でステージに現れると、
「第04回 スコール早飲み選手権」
という、観客をステージに上げてジュースの一気飲みを競うイベントを開催。
ステージから4人の観客を選び、一人一人に「部活は何部ですか?」など少し掘り下げたことを聞きながら進行していく様はさすがバンマス、バンドのサウンドやグルーヴだけでなくトークすらも回している。
お台場だからということで、めざましテレビのキャラクターの格好(ダンボールで自作したらしい)をしたHIROKAZも早飲み選手権に参加するが、結局優勝したのは大きなハンデを貰った女性で、見事にツアーTシャツをゲット。(参加者は全員缶バッジがもらえる)
フォーリミはこれまでにもワンマンでは映像を使ったりして、こうして演奏中のカッコいい姿だけではない部分も見せてきたが、こうした演出は賛否両論あるだろう。KOUHEIのトーク力の高さやHIROKAZのお茶目さを感じさせてくれるものではあるが、やはりライブ全体のテンポとしては少しダレてしまう。とはいえそもそもがショートチューンも多く、曲そのもののテンポも速い曲が非常に多いバンドなだけに、こうした演出がないとせっかくのワンマンもすぐに終わってしまう。ただ単に曲を増やすのではこうして様々な時期、タイプの曲を演奏できるシングルリリースのツアーの意味も薄れてしまう。きっとこのバンドはそうした様々な要素を加味した上でこうした演出を行なっていると自分は考えている。
再び場内に雷雨の音が鳴り響く中、KOUHEIとHIROKAZに変わって登場したのは、リバイアサン・オガタことRYU-TA。ハードロック色の強いギターソロでメンバーが揃うまでの場を繋ぐと、後半戦は「monolith」からスタートし、再びいきなりトップギアに入れ替えたかのようにモッシュとダイブの嵐に。
「フォーリミ史上1番速い曲ができました!」
と言って演奏された「capture」からは、フォーリミのライブではフェスなどでもおなじみのレーザー光線が飛び交うのだが、壁のオブジェも発光し出し、普段よりもさらに鮮やかに光が飛び交っていく。パンク・メロコアというジャンルに属するバンドは得てして派手な演出や特効は一切なし、ひたすら曲を演奏するのみ。というタイプがほとんどだが、フォーリミは積極的にそうした演出も使う。それは自分たちの曲をさらに輝かせてくれる力を持ったスタッフとの出会いによるものだろう。
RYU-TAとGENによるツインボーカルとそれぞれのボーカル部分で全く違う曲のようなハードな「discord」を終えると、
「東京に出てきて。嫌いだった街が大好きな街になったのは、この街に住んでいる仲間や皆さんがいてくれるからです。そんな親愛なる皆様に会いたくて会いたくて、お手紙をしたためてきました!」
と名古屋から東京に居を移したことに絡めての「Letter」からはロマンチックなラブソングが続く。こうしてワンマンでセクションごとにいろんなタイプの曲を聴くと、フォーリミはもはやパンク・メロコアという枠にはもうとどまらないバンドであることがわかるし、どのタイプの曲であってもメロディの良さという最も大事な部分が共通しているからこそ、こうしてバラバラな曲たちが同じように愛されている。
サビでGENがマイクを観客に預けると大きな合唱が起きた「hello」の後には
「今回、セトリをどうしようかな、ってツイートしたら、今日は「hello」が凄い多くて。イヤモニしてるから普段はあんまり聴こえないみんなの声が本当によく聴こえたし、俺以上に歌詞をちゃんと覚えてる人がたくさんいて(笑)
こうして僕らが生み出した子供みたいな曲たちを育ててくれたみんなに希望の歌を贈ります!」
と自分たちの成長を支えてきてくれたファンに感謝の言葉を述べて「Horizon」をもはや全く不安のなくなったGENの伸びやかなボーカルでもって響かせると、GENが自身の心境を吐露しながら、
「俺たちもこれからもっともっとカッコよくなるから!みんなも次に会うときはもっとカッコよくなっていてください!自分自身に!生まれ変われ!」
と自身の決意を音楽に乗せるようにして、最後に演奏されたのはやはりツアータイトルである「Squall」。リリース前に夏フェスで聴いた時には、蒼さを孕んだストレートでシンプルな曲だと思った。でもCDで何度も聴いてからこうしてライブで聴くとそのストレートさ、シンプルさが、これ以上音数を増やしたらきっとうるさくなるし、これ以上音数を減らしたら隙間が出来てしまうという絶妙なバランスの上で成り立っているということが実感できる。ただメロディが美しいだけではなく、そのメロディを最大限に活かす方法をこのバンドのメンバーたちは知っている。
そしてこの「Squall」と、カップリングに入った「happiness」「capture」という全く異なるタイプの曲を1枚にまとめるバランス。これから先、フォーリミはもっと我々を驚かせるような曲も出すだろうし、素直に良い曲だな、って思える曲もたくさん出してくるだろうと思う。ただ良い曲が並んだシングルというだけではなく、その先の未来すらもさらに楽しみになる。「Squall」はフォーリミのだけではなく、日本のロックの未来すらも明るく照らした名シングル盤である。
アンコールではなぜかRYU-TAがHIROKAZのめざまし君の扮装を褒めちぎりまくり、「再会の歌」こと「Terminal」を演奏すると、
「この曲でみんなの声が聴きたい!ワンマンでしかやらない曲!」
と言って最後に演奏されたのは、武道館ワンマンでもクライマックスを担った、もはやバンドにとって本当に大事な曲になった「Give me」。しかしながらこの曲でダイブが起こったことに対してか、
「空気読めないダイバーはもっとカッコよくなって、下手なダイバーはもっと上手くなってから帰ってこいよ!」
と言って演奏されたトドメの「Remember」ではやはりダイバーの嵐となった。
かつてはバンド自身が最もやりたい放題なライブをしていたが(プロフィールにもそんなようなことが書いてあった)、今はもうそのままではいられない。武道館が即完し、巨大なフェスを主催するという日本のロックシーンを引っ張っている存在のバンドになった。だからこそ芽生えた責任や新たな自分たちの役割。バンドがリスペクトし、アーティスト主催フェスの先駆け的な存在となったアジカンや10-FEETもそうした部分と向き合いながらずっと止まることなくバンドを続けてきた。
そうした意味では、今フォーリミは大きな岐路に立っている。これからライブでそうしたモラルやルールのようなことを言い続けると、そうした楽しみ方をしている人は離れていかざるを得なくなる。(9mmなんかはダイブやサークルに関して否定的な意見を発していたため、あれだけ激しいバンドなのにそうした楽しみ方をする人がいなくなった)
でもできれば全員をGENが言っていたように「30年後までも一緒に」連れて行きたい。そのためにバンドがどんな選択や発言をするのか。もう無邪気に音を鳴らすのが楽しい、と言うだけのポジションではない。いろんなものがこのバンドの背中には乗っているし、それを背負うことをバンドは選んだのだ。
ライブが終わると「Squall」が流れる中、写真撮影。
「東京!」「狂った街!」
という懐かしのSADSの「TOKYO」のシャッタータイミングは世代が異なるためか完全に滑ってしまい、結局いつもの合言葉で写真を撮って終了。終わった後もメンバーはピックを投げたりして、初めて2daysワンマンを敢行した、Zeppのステージから名残惜しそうに去って行った。
フォーリミのライブを見ていると、いつも感じることがある。それは「このバンドはどこまでだって行けるな」ということ。
それはフォーリミを聴きながら走っていても思うことでもある。「このバンドの曲を聴いていればどこまでだって行けるな」と。
そう思えるのは、彼らが他の何よりもロックバンドがカッコいいと思っていて、それがステージ上から伝わってくるから。高校生の時にパンクの洗礼を受けてからもう10年以上とっくに経った。でもまだまだ、その灯は消えずに灯り続けている。
1.Feel
2.knife
3.escape
4.Warp
5.swim
6.medley
7.Chicken race
8.days
9.Now here, No where
10.happiness
11.me?
12.Do it Do it
スコール早飲み選手権
13.monolith
14.capture
15.fiction
16.discord
17.Letter
18.fog
19.milk
20.hello
21.Horizon
22.Squall
encore
23.Terminal
24.Give me
25.Remember
Squall
https://youtu.be/-kB2K_4odA0
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2017年は武道館ワンマンを始め、2年目を迎えた主催フェスの開催、憧れのハイスタとの対バンを果たすなど、完全にWANIMAとともに新世代パンク・メロコアバンドの両翼と言っていい存在となった。
今回のツアーはアルバムのツアーではなく昨年リリースのシングル「Squall」のリリースツアーだからこそセトリも含めて、ホームであるライブハウスでどんな景色を描くのか。この日のZepp Tokyoは2daysの2日目で、後は地元であるZepp Nagoyaでの2daysを残すのみ。
18:30という平日にしては早めの開始時間だったため、入場した時にはすでにメンバーが登場しており、まさに1曲目の「Feel」が始まったところであった。ステージ背面にはいろんなものに対する壁を思わせるレンガ調のセットがあり、その上に「04 Limited Sazabys」というバンドのロゴが描かれている。
しかしながらやはりさすがに冒頭から凄まじいモッシュとダイブの嵐である。だが以前までと違うのは、いわゆるリフトという方法でダイブする人がかなり減っていること。これはフェスなどでもGENが
「もっとカッコいいダイブが見たいんだよ!自分の力で上がってこいよ!」
と、リフトしてからダイブすることに対する違和感をステージから発していたことが効果を発揮しているからだろうか。もちろんそこには今までにそうしてリフトする人が多かったことに対するファンやバンドへの批判がメンバー自身の目や耳に入ってきていたことが察せられるのだが。
序盤はGENの声、特にファルセットなどのもとよりハイトーンな歌声をさらに高く飛翔させる部分がややキツそうな印象も受けたが、
「昨日よりも暫定絶好調です!」
と問題ないことをアピール。しかしながら「swim」ではむせたのか、少し歌えていない部分があったのも確か。今までに様々な場所でクライマックスを描いてきたこの曲がこんなに前半に演奏されるようになったことにも驚きだが。
ただ、バンドの演奏やグルーヴはツアーを経てきてさらに研ぎ澄まされてきている。派手な見た目とは裏腹に多彩なテクニックでメロディを奏でるHIROKAZ、永遠のキッズかと思うくらいにステージを駆け回りながらノイジーなギターで場内を埋め尽くすRYU-TA。そしてコーラスも務めながら手数の多さと一打一打の強さを兼ね備えたバンマスKOUHEI。特にKOUHEIのドラムはこのバンドのライブを見ているとどんな状況であっても体が動いてしまう、バンド最大のエンジンである。
「スコ~ル!」「ゼップップー!」
などやたらと可愛さを前面に押し出してきたRYU-TAのコール&レスポンスからの「Chicken race」ではモッシュやダイブだけではない、自由に踊る楽しさを味あわせてくれると、そのRYU-TAが複雑なテンポの手拍子を観客に要求し、
「RYUちゃんは、素直じゃないな~」
とGENが言ってから、コンタクトレンズのCM曲として大量オンエアされた「happiness」へ。「Squall」のカップリングに収録された曲だけに、こうしてライブで聴けるのもリリースツアーならでは。
「懐かしい曲をやります!」
と言って演奏されたのは「Do it Do it」だが、こうして割とタイミング的には初期にあたる、ライブでそこまで頻繁に演奏されない曲を今になって聴くと、当時とはバンドの演奏力や音圧、説得力といった様々な要素が格段にレベルアップしているのが本当によくわかる。メロディの良さがキラリと光るというイメージだった「sonor」の曲たちが燦然と輝きを放つまでに成長している。
この日、夕方に音楽プロデューサーとして一時代を築いた小室哲哉が引退を発表したことにより、やはりMCもそのタイムリーな話題に。
「いい辞めどきだと思ったのかな。でも俺が小室哲哉だったらもうとっくに辞めてる。俺がONE PIECEの作者でもとっくに辞めてる。もう一生遊んで暮らせるもん(笑)」
と、同じ音楽家として、しかも世代的に間違いなくTKサウンドを触れてきたと思われる感傷に浸ることもない視点からコメントするあたりが実にGENらしい。
そしていきなりステージ上に雷雨の音が鳴り響くと、
GEN「布団、トゥルースリーパー取り込まなきゃ!」
KOUHEI「小室哲哉を説得してくる(笑)」
とそれぞれの理由でステージからいなくなる4人。何が始まるのかと思いきや、法被を着たKOUHEIが1人でステージに現れると、
「第04回 スコール早飲み選手権」
という、観客をステージに上げてジュースの一気飲みを競うイベントを開催。
ステージから4人の観客を選び、一人一人に「部活は何部ですか?」など少し掘り下げたことを聞きながら進行していく様はさすがバンマス、バンドのサウンドやグルーヴだけでなくトークすらも回している。
お台場だからということで、めざましテレビのキャラクターの格好(ダンボールで自作したらしい)をしたHIROKAZも早飲み選手権に参加するが、結局優勝したのは大きなハンデを貰った女性で、見事にツアーTシャツをゲット。(参加者は全員缶バッジがもらえる)
フォーリミはこれまでにもワンマンでは映像を使ったりして、こうして演奏中のカッコいい姿だけではない部分も見せてきたが、こうした演出は賛否両論あるだろう。KOUHEIのトーク力の高さやHIROKAZのお茶目さを感じさせてくれるものではあるが、やはりライブ全体のテンポとしては少しダレてしまう。とはいえそもそもがショートチューンも多く、曲そのもののテンポも速い曲が非常に多いバンドなだけに、こうした演出がないとせっかくのワンマンもすぐに終わってしまう。ただ単に曲を増やすのではこうして様々な時期、タイプの曲を演奏できるシングルリリースのツアーの意味も薄れてしまう。きっとこのバンドはそうした様々な要素を加味した上でこうした演出を行なっていると自分は考えている。
再び場内に雷雨の音が鳴り響く中、KOUHEIとHIROKAZに変わって登場したのは、リバイアサン・オガタことRYU-TA。ハードロック色の強いギターソロでメンバーが揃うまでの場を繋ぐと、後半戦は「monolith」からスタートし、再びいきなりトップギアに入れ替えたかのようにモッシュとダイブの嵐に。
「フォーリミ史上1番速い曲ができました!」
と言って演奏された「capture」からは、フォーリミのライブではフェスなどでもおなじみのレーザー光線が飛び交うのだが、壁のオブジェも発光し出し、普段よりもさらに鮮やかに光が飛び交っていく。パンク・メロコアというジャンルに属するバンドは得てして派手な演出や特効は一切なし、ひたすら曲を演奏するのみ。というタイプがほとんどだが、フォーリミは積極的にそうした演出も使う。それは自分たちの曲をさらに輝かせてくれる力を持ったスタッフとの出会いによるものだろう。
RYU-TAとGENによるツインボーカルとそれぞれのボーカル部分で全く違う曲のようなハードな「discord」を終えると、
「東京に出てきて。嫌いだった街が大好きな街になったのは、この街に住んでいる仲間や皆さんがいてくれるからです。そんな親愛なる皆様に会いたくて会いたくて、お手紙をしたためてきました!」
と名古屋から東京に居を移したことに絡めての「Letter」からはロマンチックなラブソングが続く。こうしてワンマンでセクションごとにいろんなタイプの曲を聴くと、フォーリミはもはやパンク・メロコアという枠にはもうとどまらないバンドであることがわかるし、どのタイプの曲であってもメロディの良さという最も大事な部分が共通しているからこそ、こうしてバラバラな曲たちが同じように愛されている。
サビでGENがマイクを観客に預けると大きな合唱が起きた「hello」の後には
「今回、セトリをどうしようかな、ってツイートしたら、今日は「hello」が凄い多くて。イヤモニしてるから普段はあんまり聴こえないみんなの声が本当によく聴こえたし、俺以上に歌詞をちゃんと覚えてる人がたくさんいて(笑)
こうして僕らが生み出した子供みたいな曲たちを育ててくれたみんなに希望の歌を贈ります!」
と自分たちの成長を支えてきてくれたファンに感謝の言葉を述べて「Horizon」をもはや全く不安のなくなったGENの伸びやかなボーカルでもって響かせると、GENが自身の心境を吐露しながら、
「俺たちもこれからもっともっとカッコよくなるから!みんなも次に会うときはもっとカッコよくなっていてください!自分自身に!生まれ変われ!」
と自身の決意を音楽に乗せるようにして、最後に演奏されたのはやはりツアータイトルである「Squall」。リリース前に夏フェスで聴いた時には、蒼さを孕んだストレートでシンプルな曲だと思った。でもCDで何度も聴いてからこうしてライブで聴くとそのストレートさ、シンプルさが、これ以上音数を増やしたらきっとうるさくなるし、これ以上音数を減らしたら隙間が出来てしまうという絶妙なバランスの上で成り立っているということが実感できる。ただメロディが美しいだけではなく、そのメロディを最大限に活かす方法をこのバンドのメンバーたちは知っている。
そしてこの「Squall」と、カップリングに入った「happiness」「capture」という全く異なるタイプの曲を1枚にまとめるバランス。これから先、フォーリミはもっと我々を驚かせるような曲も出すだろうし、素直に良い曲だな、って思える曲もたくさん出してくるだろうと思う。ただ良い曲が並んだシングルというだけではなく、その先の未来すらもさらに楽しみになる。「Squall」はフォーリミのだけではなく、日本のロックの未来すらも明るく照らした名シングル盤である。
アンコールではなぜかRYU-TAがHIROKAZのめざまし君の扮装を褒めちぎりまくり、「再会の歌」こと「Terminal」を演奏すると、
「この曲でみんなの声が聴きたい!ワンマンでしかやらない曲!」
と言って最後に演奏されたのは、武道館ワンマンでもクライマックスを担った、もはやバンドにとって本当に大事な曲になった「Give me」。しかしながらこの曲でダイブが起こったことに対してか、
「空気読めないダイバーはもっとカッコよくなって、下手なダイバーはもっと上手くなってから帰ってこいよ!」
と言って演奏されたトドメの「Remember」ではやはりダイバーの嵐となった。
かつてはバンド自身が最もやりたい放題なライブをしていたが(プロフィールにもそんなようなことが書いてあった)、今はもうそのままではいられない。武道館が即完し、巨大なフェスを主催するという日本のロックシーンを引っ張っている存在のバンドになった。だからこそ芽生えた責任や新たな自分たちの役割。バンドがリスペクトし、アーティスト主催フェスの先駆け的な存在となったアジカンや10-FEETもそうした部分と向き合いながらずっと止まることなくバンドを続けてきた。
そうした意味では、今フォーリミは大きな岐路に立っている。これからライブでそうしたモラルやルールのようなことを言い続けると、そうした楽しみ方をしている人は離れていかざるを得なくなる。(9mmなんかはダイブやサークルに関して否定的な意見を発していたため、あれだけ激しいバンドなのにそうした楽しみ方をする人がいなくなった)
でもできれば全員をGENが言っていたように「30年後までも一緒に」連れて行きたい。そのためにバンドがどんな選択や発言をするのか。もう無邪気に音を鳴らすのが楽しい、と言うだけのポジションではない。いろんなものがこのバンドの背中には乗っているし、それを背負うことをバンドは選んだのだ。
ライブが終わると「Squall」が流れる中、写真撮影。
「東京!」「狂った街!」
という懐かしのSADSの「TOKYO」のシャッタータイミングは世代が異なるためか完全に滑ってしまい、結局いつもの合言葉で写真を撮って終了。終わった後もメンバーはピックを投げたりして、初めて2daysワンマンを敢行した、Zeppのステージから名残惜しそうに去って行った。
フォーリミのライブを見ていると、いつも感じることがある。それは「このバンドはどこまでだって行けるな」ということ。
それはフォーリミを聴きながら走っていても思うことでもある。「このバンドの曲を聴いていればどこまでだって行けるな」と。
そう思えるのは、彼らが他の何よりもロックバンドがカッコいいと思っていて、それがステージ上から伝わってくるから。高校生の時にパンクの洗礼を受けてからもう10年以上とっくに経った。でもまだまだ、その灯は消えずに灯り続けている。
1.Feel
2.knife
3.escape
4.Warp
5.swim
6.medley
7.Chicken race
8.days
9.Now here, No where
10.happiness
11.me?
12.Do it Do it
スコール早飲み選手権
13.monolith
14.capture
15.fiction
16.discord
17.Letter
18.fog
19.milk
20.hello
21.Horizon
22.Squall
encore
23.Terminal
24.Give me
25.Remember
Squall
https://youtu.be/-kB2K_4odA0
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