COUNTDOWN JAPAN 17/18 day4 @幕張メッセ 12/31
- 2018/01/02
- 02:27
いよいよ最終日。ライブ納めであり、ライブ初めの日である。
この日はGALAXY STAGEが先に始まり、その後にEARTH STAGEが始まるということで、GALAXYで山崎洋一郎の前説を聞いてからEARTHへ移動。
山崎洋一郎の前説は、ロッキン、CDJ、JAPAN JAMにJAPAN'S NEXTなど、様々なフェスやイベントを企画しているのはなぜなのかと言われることに対し、
「我々は特に大変だとは思ってなくて。みんなが音楽と出会える場所をもっとたくさん作りたい。例えばこのフェスとかが毎月あったり、毎週あったりしたらどうですか?平日頑張って仕事したり勉強したりして、「今週行く?」「今週はやめとく?」みたいな感じになったらすごい楽しくないですか?そういう音楽の未来を作っていきたいんです」
と語っていた。自分自身が毎週のように、というか毎日がこういうフェスだったら本当に人生がもっと楽しいだろうな、と思うような人間なので、こういう部分が自分が山崎洋一郎をリスペクトする所以である。
15:15~ クリープハイプ [EARTH STAGE]
渋谷陽一が前説でこのフェスの15年の歴史を振り返りながら、クリープハイプの尾崎世界観のことを、
「ロックのDNAを持っている人。性格が暗くて、世界を自分だけの視点で見ている。カート・コバーンやジョン・レノンもそうだった」
と最大級の賛辞を送ってからSEもなしにステージに4人が登場。
「キレイなステージを見ると汚したくなるんで、セックスの歌を」
と尾崎が言ってから、いきなりの「HE IS MINE」で何万人もの「セックスしよう!」コールが響く。尾崎も叫ぶようにするところもあり、テンションが非常に高い。
ブラックミュージックのグルーヴを導入した「鬼」、銀杏BOYZがカバーしてからこうしてフェスのセトリに入るようになった「二十九、三十」、
「2017年の先へ」
と言って演奏された「オレンジ」と続くと、「イノチミジカシコイセヨオトメ」~「手と手」というメジャー1stアルバムと同じ流れで続けざまに演奏。近年はフェスなどではなかなか2曲続けてやることが少なくなっているが、やはりこの2曲はこうして続けて聴きたい。
「最高か、最低か、二つに一つ。どちらか叫んでください」
という「社会の窓」では観客がもちろん「最高です!」と叫び、2017年を代表する1曲になった「イト」では小川とカオナシが笑顔を見せながらステージ両サイドに展開していく。中盤はちょっと喉がキツそうだった尾崎もかなり盛り返してきていた印象。
「渋谷さんにさっき「暗い」って言われましたけど、今さら明るくなれないし、なるつもりもないからこのままで生きていきます。最後にこのステージに傷をつけて帰ります」
と尾崎が自身の生き様を語ってからアコギを爪弾くようにして演奏されたのは「傷つける」で、まさにその生き様を音楽で見せつけているかのようだった。
1.HE IS MINE
2.鬼
3.二十九、三十
4.オレンジ
5.イノチミジカシコイセヨオトメ
6.手と手
7.社会の窓
8.イト
9.傷つける
イト
https://youtu.be/cxuqBH9jOSw
16:10~ MONOEYES [EARTH STAGE]
2日目にthe HIATUSとしてはEARTH STAGEでライブ納めをした、細美武士。MONOEYESとしてはこの日がライブ納めとなる。
このフェスに写真撮影スポットが設置されている、新作が公開された「スターウォーズのテーマ」で登場すると、
「2017年、最後の大騒ぎしようぜ!」
と細美が叫んで「My Instant Song」で飛び跳ねまくる。
髪の半分くらいを金髪にした戸高がギタープレイだけでなく、「もっと来い!」と言わんばかりのアクションで煽りながら、この日は2017年リリースの「Dim The Lights」の曲よりもやや1stの曲を軸にしたような印象なのは2017年のライブ納めということで、激しい曲で大騒ぎしようという意思の表れだろうか。
そんな中にあってやはり新作収録の「Two Little Fishes」はパンク色が強いこのバンドでも大騒ぎするだけではないメロディの美しさを感じさせてくれる。
すると
「このフェスはモッシュ、ダイブが禁止だけど、最近はそれもいいなって思うようになってきた。誰も重傷を負わなくていいし、お前らの心配しなくていいから」
と細美がこのフェスのルールに初めて肯定的な意見を述べた。去年のロッキンのLAKE STAGEのトリでの、もう出禁になっても構わないような発言とパフォーマンスもあり、これまでにも毎回出演してきて幾度もそのルールに対して物議を醸すような発言をしてきた細美だったが、ついにこのフェスにおける自分の戦い方を見つけた。人によってはそれは丸くなった、と感じたり物足りなく感じたりするだろうが、
「またお前らの心配をするような場所ではそういう楽しみ方をしようぜ!」
と、ライブハウスでは変わらぬ生き方をしていくことを宣言した。個人的にはロッキンのフェスでハラハラしながら見なくていいというのは少し気が楽ではあるが。
「明日公園で」ではスコットがベースを銃に見立ててドラムの一瀬にぶっ放そうとしたりする中、
「今年最後の、スコットが決めるぜー!」
と言っての「Borders & Walls」ではそのスコットが真ん中の細美のマイクで歌う。2017年は「Dim The Lights」においてスコットが書いた曲も違和感なく共存するようになったが、それはこの先、このバンドの大きな武器になっていくはず。
そして物議を醸した去年のロッキンでアンコールに演奏された時の美しい光景が今も忘れられない「グラニート」から、
「2017年の最後の曲はこの曲しかないと思った」
と言って演奏された「3,2,1 Go」で2018年に向かっていく姿勢を見せ、バンドのスタイルがさらに強く固まった2017年のライブを締めた。
ライブハウスを生きる場所にしているパンクバンドたちにとって、ロッキンオンのフェスにはまず「普段の自分たちのスタイルを変えてまで出るかどうか」というところが問われる。若手バンドの方がそこに対する抵抗はないように感じるが、今でもダイブ禁止だから出ない、というバンドもやはりいる。そんな中でもlocofrankは出演した日の出番後に近くのライブハウスで無料ライブをやるという方法で自分たちなりの戦い方を示してきたが、細美武士のこの日の発言を聞くと、それはもう考え方次第でどうとでもなることなんだよな、とも思う。できればこのフェスに出たくない、っていうバンドがいないような、どんなバンドでも出れるようなフェスであって欲しいけれど。
1.My Instant Song
2.Free Throw
3.When I Was A King
4.Run Run
5.Two Little Fishes
6.明日公園で
7.Borders & Walls
8.グラニート
9.3,2,1 Go
Free Throw
https://youtu.be/dQVl8urlE2o
17:05~ 175R [COSMO STAGE]
かつて175Rが活動休止した際に、最後にライブを行ったのが、7年前のこのフェスのGALAXY STAGEのトリという舞台だった。
それから活動再開し、ステージは変われど、ついに175Rがこのフェスに帰還。
KAZUYAが脱退して以降の、サポートギター2人を加えた編成で登場すると、
「175RがCOUNTDOWN JAPANに帰ってきたぜー!」
とSHOGOが高らかに宣言し、
「ここから見える景色を僕は信じたい」
というフレーズが今でもこのバンドのライブの象徴のように響く大ヒットシングル「ハッピーライフ」からスタートし、かつてこのバンドで青春の日々を過ごした人たちが拳を突き上げていく。
活動休止前はパンクというスタイルから遠ざかろうとしているように感じてもいたが、活動再開後は175Rとしてやるべきことが明確になったと感じる「シャナナ」、KICK THE CAN CREWのMCUとのコラボ曲だった「ORANGE」ではSHOGOがMCUのラップパートまでをも歌い、初期のこのバンドのスタイルの一つだったスカの要素が強い「Party」と、夏フェス時からは変化を加えながらも、ずっと自分たちを応援してきてくれたファンが喜んでくれるような曲を多く演奏するという姿勢は変わらないし、「GLORY DAYS」も含めて、改めてこのバンドが作ってきた楽曲のメロディの普遍性と、青春パンクというブームに飲み込まれてしまったけれど、ちゃんと売れるべくして売れるような曲であったということがよくわかる。
そして、
「俺たちの音楽が青春だったっていう人も、そうじゃない世代の人も、この曲で大きな声で歌ってくれ!青春はまだまだ終わらないぜー!
この想いは届くかなぁ…!」
と言って最後に大合唱と最大級の盛り上がりを見せたのはもちろん「空に唄えば」。
かつて、青春パンクというブームの渦中にいたバンドたちは、自らは青春という言葉を肯定してはいなかった。むしろそこから遠ざかろうとすらしていた。それは青春パンクブームが批判されることも多かったからだが、その青春パンクブームを牽引していた175Rは、今ではそれを肯定するようになっている。結局、遠ざかろうとしても自分たちはずっと青春の中にいたというのがわかったからだろうし、そこにはかつて一緒にライブをやったりしていたバンドたちが今はほとんどいなくなってしまったというのもあるのだろう。
だがWANIMAやフォーリミがここまでの状況になってきている今、このバンドの音楽を聴いて何かを感じる若い人たちも絶対たくさんいると思う。現に自分はこのバンドの音楽を聴いて、ライブを見ると今でも飛び跳ねたり歌ったりしたくなる。このバンドの音楽が青春として刻まれている人生で本当に幸せだと思える。
1.ハッピーライフ
2.シャナナ
3.ORANGE
4.Party
5.GLORY DAYS
6.空に唄えば
空に唄えば
https://youtu.be/ThvzSZr5hsI
18:05~ POLYSICS [COSMO STAGE]
このフェスに全て出演してきた皆勤賞バンド、POLYSICS。しかし去年までと違うのは、20周年を迎えて新メンバーのナカムラリョウが加入して4人組に戻ったということである。
今年リリースの最新作「That's Fantastic!」のタイトル曲がSEとして流れると、鮮やかな黄色いツナギを着た4人がステージに登場し、そのまま「That's Fantastic!」の生演奏に移行していく。ナカムラの加入でギターが2本になったことによってやはり音が分厚く、これまでよりもロック度が強くなっている。
ハヤシによるおなじみの「トイス!」に加え、年末ならではの「シワッス!」の挨拶を挟みながら、フミによる、骨が折れる音のようなコーラスが特徴的な「CRAZY MY BONE」、ナカムラがギターソロを弾きまくる「You Talk Too Much」、ポリならではのシュールな歌詞が炸裂しまくる「Sea Foo」と、まさかの新作曲連打という内容。
しかしながらこうしてライブで改めて聴くと、本当に変な曲である。もはや「○○の要素が~」と形容できない、「POLYSICSの曲」としか言えないぐらいにもうPOLYSICSの曲である。
近年のライブの定番曲である「Tune Up!」から初期の「カジャカジャグー」という、あまり脈絡がないように感じる長い年月の飛び越えっぷりから、最後までMCを挟むことなく駆け抜けるように、今や普段のライブハウスにおけるライブでは最大の盛り上がりを見せる曲になっている(ダイバーが続出する時すらある)「SUN ELECTRIC」で記念イヤーであり大きな変化を迎えた2017年のラストライブを終え、ハヤシは何度も
「トイス!」「シワッス!」
と叫び続けていた。
「全然知ってる曲なかったね(笑)」
と自分の後ろで見ていた女性2人組が言っていたのだが、ライブは有名曲だけをやる場所ではないし、そもそもPOLYSICSはそのバンドの形態や20周年で若い新メンバーを入れるという活動からして普通のバンドではない。
しかもかつてはEARTH STAGEにも出ていたバンドがこのCOSMO STAGEの規模にまでなっているだけに、普通なら保守的なセトリを組みがちだが、POLYSICSはそうはならない。なぜなら今の4人での形態で作った「That's Fantastic!」が素晴らしいものであると信じているからである。で、その姿勢こそが20年を過ぎてもひたすらに攻めることしかしないPOLYSICSというバンドそのものである。この世代のバンドでここまでフェスで攻められるバンドは他に思い浮かばない。
1.That's Fantastic!
2.CRAZY MY BONE
3.You Talk Too Much
4.Sea Foo
5.Tune Up!
6.カジャカジャグー
7.SUN ELECTRIC
That's Fantastic!
https://youtu.be/M8q1T0mzyCo
18:35~ 魔法少女になり隊 [MOON STAGE]
RO JACKで優勝してシーンに登場し、今ではこのフェスと夏のロッキンでもおなじみの存在になりつつある、RPG型バンド・魔法少女になり隊。前年までのASTRO ARENAではなく今回はMOON STAGEへの出演である。
魔女から呪いをかけられていて喋れないボーカリストの火寺バジルが「CDJ17/18」と書かれたスケッチブックをめくると、各メンバーも登場。VJとスクリームを担当するGARIが叫びながらはしゃぎまくる、和の要素が強いラウドロック「ヒメサマスピリッツ」でスタートすると、さすがに1stフルアルバムをリリースしたばかりということで、そこから「my!show!time!」「BA・BA・BA ばけ~しょん」と畳み掛けていくのだが、ASTRO ARENAとは違って巨大ビジョンがない(ステージ上にテレビはある)だけに、視覚面では演奏するメンバーだけに目がいくし、ラウドロックにアニソンやアイドル音楽などを詰め込んだサウンドに集中できる。
そのバンドのスタイルが最も現れているのが「おジャ魔女カーニバル!!」のカバーであり、アニソンがラウド化したこの曲でサイリウムを振る人もいる中、満員の観客は凄まじい一体感を見せる。みんながこの曲を知っているというのがまたすごいけれど。
スーパーマリオをテーマにした「MEGA DASH」では客席に超高速サークルが出現し、やはりこのバンドの核がラウドロックであることがわかる。満員の観客を見てさらに気合いが入っているのか、バジルとGARIだけでなく、ウィ・ビトンも汗を飛び散らしながらギターを弾きまくる。
アルバムのリード的な「完全無敵のぶっとバスターX」で今の自分たちの最も自信を持っているど真ん中のサウンドを鳴らすと、ラストは魔法少女になり隊という冒険の始まりを告げた曲である「冒険の書1」で
「魔法少女になりたい!」
の大合唱が響き渡った。GARIは最後にビジョンが使えなかったことをやや残念そうに語っていたが、メンバーもこれまでで最も手応えを感じた出演になったんじゃないだろうか、と思うくらいの盛り上がりであった。
構成的にドラムがいないし、バジルの声にはエフェクトがかかっているというそのサウンドと、コンセプトが強いバンド設定からはキワモノのようにも、無機質なようにも見える可能性もあるが、ライブを見ればこのバンドが他のラウドロックバンドと同じように、人間らしさや熱さを持ったバンドであることがよくわかる。だからただ楽しいというだけじゃなくて、音楽として感動できる。すでに年明けにはO-EASTでのワンマンが決まっているが、まだまだそんなところにとどまらないような可能性すら感じる。
1.ヒメサマスピリッツ
2.my!show!time!
3.BA・BA・BA ばけ~しょん
4.おジャ魔女カーニバル!!
5.MEGA DASH
6.完全無敵のぶっとバスターX
7.冒険の書1
完全無敵のぶっとバスターX
https://youtu.be/Tgn6xYv6114
19:15~ 04 Limited Sazabys [EARTH STAGE]
初出演時はCOSMO、去年まではGALAXY、そして今年ついにEARTHに進出を果たしたフォーリミ。
SEがこれまでのものからバンドのものに変わってテンション高く4人が登場すると、
「名古屋の04 Limited Sazabysです!1曲目は、midnight cruising!」
といきなりの「midnight cruising」からスタートし、これまではフェスでは最後に演奏されることが多かった「swim」も序盤に演奏されるなど、リリースを重ねてEARTHに見合うような存在に確実に進化していることをうかがわせる。
「せっかく31日に出演してるんだから、俺たちもカウントダウンしたいな~」
とGENがいたずらっ子っぽく言うと、20秒前からカウントダウンがスタートするのだが、1秒ごとにRYU-TAの変顔が映るという、本来は年越しを担当するバンドではないにもかかわらず手の込んだ演出。
そのRYU-TAが煽りまくる「Chicken race」で踊らせまくると、「Night on」からはセンターLEDに夜景の映像が映し出されるのだが、この曲ではGENの歌詞が何回か飛んでしまうところがあった。
「fiction」ではレーザー光線が、「escape」では炎が吹き上がるという特効も使いまくってEARTHに立つバンドならではの姿を見せると、この2017年は日本武道館ワンマン、2年目のYON FES、憧れだったハイスタやホルモンとの対バンを果たした、バンドとして充実した1年であったことを語り、さらに
「ちょっと前までは一緒に20人とか30人の前でやっていたWANIMAが今日紅白に出てて、俺たちはこうしてEARTH STAGEに立ってる!」
とこのステージまでたどり着けた感慨を語り、2017年に生まれた新たなアンセム「Squall」から、ラストは「monolith」で…と思いきや、
「まだ少し時間があるから、もう1曲!あの頃の気持ちを思い出せ!」
とトドメに演奏されたのは「Remember」で、ついにたどり着いたこのステージで、大きな手応えを得た2017年の最後を締めた。
GENが言っていたように、WANIMAに続いてフォーリミがこのステージに立ったことの意味は本当に大きい。それは彼らがともにパンクバンドだからである。この2組が出てくるまで、この規模でパンクバンドのライブを見れるようになるなんて思ってなかった。
初出演時のCOSMOの時に、
「僕らのライブは我慢できるような衝動しか与えられてないんですかねぇ!」
と言ってダイブを誘発していたことから考えると、無邪気なままではいられないくらいに大きなものをたくさん背負う存在になったが、だからこそこうしてこのステージに立てるようになった。その姿は、今でもパンクに夢を見させてくれる。
1.midnight cruising
2.Warp
3.swim
4.Chicken race
5.Night on
6.fiction
7.escape
8.mahoroba
9.Squall
10.monolith
11.Remember
Squall
https://youtu.be/-kB2K_4odA0
20:05~ tacica [COSMO STAGE]
tacicaは最も売れていた時期にもなかなかフェスに出てこなかったし、今でも毎回いろんなフェスに出るようなバンドではないが、こうして夏に続いて冬にも出ている姿を見ると、バンドの意識も少し変わってきているような気もする。
サポートのギターとドラムを含めた4人で登場すると(ドラムはsyrup16gの中畑大樹)、「アースコード」でじっくりと始まり、猪狩翔一の声が広いステージに響き渡っていく。
全く踊れないし、盛り上がるわけでもなければ音も大きいわけじゃない、ギターロックとしか言えないくらいにギターロック。でもだからこそ猪狩翔一の慈悲深い歌声と、歌詞の一語一語を噛みしめることができる。
インディーズ時代からの名曲「HERO」では前方に集まった、普段からこのバンドのライブを見に行っている人たちから歓声が上がり、かと思えば今年リリースの最新作「新しい森」収録の「YELLOW」と新旧の曲を交互に演奏すると、
「…楽しい…」
と全く楽しくなさそうな言い方で猪狩がつぶやき、アニメタイアップソングとして広く聴かれた「LEO」では客席から腕が上がると、
「僕らは2人組なんですけど、2017年はこうして4人でライブをやるようになって。来年からはどうなるかわからないけど、本当に楽しかったです」
と2017年に獲得した新たな形への手応えを語りながら、最後にバンド最大のヒット曲にして代表曲「人鳥哀歌」を演奏し、たくさんの人を喜ばせるとともに、小西が被っていたキャップを吹っ飛ばすほどの熱演を見せた。
冒頭に書いたように、フェスに毎回出るバンドではないだけに、いわゆるフェス用のセトリというものが決まっていないバンドである。とはいえ、ロッキンと今回で「人鳥哀歌」以外は総入れ替えというセトリの組み方はどうやって決めているんだろうか。
1.アースコード
2.HERO
3.YELLOW
4.LEO
5.人鳥哀歌
人鳥哀歌
https://youtu.be/gbDsE039990
20:35~ teto [MOON STAGE]
まだ全国流通が始まったばかりという新星4人組バンドだが、すでに銀杏BOYZのファンたちの間などでは話題になっているバンドである。
なぜそこで話題になっているのかというと、出てくるなり小池(ボーカル&ギター)をはじめとするメンバーがギターをぶん回して暴れまくるという無軌道なパフォーマンスを展開するところにある。
小池が
「あの子の体温が忘れられない、っていう曲です」
と「36.4」からスタートすると、もうこの内面に抱えた衝動を爆発させないと死んでしまうというくらいの爆裂パフォーマンスを展開。特に長髪で髭を生やした特異な風貌のギターの山崎がその暴れっぷりを牽引している。
そうしたライブのスタイルは銀杏BOYZを彷彿とさせるが、もう何を言っているのかほとんどわからないような、まくしたてるような言葉数の多い小池のボーカルと性急なサウンドは初期のandymoriを彷彿とさせる。
そんな中にあって
「僕は忘れっぽい性格なんで、今日のこともいつか忘れてしまうでしょう。でもここにこれだけたくさんの人がいてくれて、その中の誰か1人でも2017年12月31日のこのライブのことを覚えていてくれたら、それは美しいことだと思います」
とロマンチックに語ってから演奏された新曲の「忘れた」はそれまでの曲とは全く違うタイプのシンプルな歌もので、衝動というよりもメロディの良さをしっかりと感じさせ、最後にはメンバーのコーラスがメロディをさらに際立たせる「Pain Pain Pain」で終了し、終始ギターの調子が良くなさそうだった山崎もステージに伏せるようにしながら客席の端から端までを指差してから客席を去っていった。
暴れまくるだけのバンドなら誰でもできる。でもそうしたスタイルの中で人の心に刺さるようなバンドは、そのパフォーマンスに必然性があって、何よりもまず音楽そのものが良くないといけない。で、このtetoはそこをしっかりとクリアしているというのがライブを見ればわかる。
年間ベストディスクの記事内で、このバンドを2017年の新人王に選んだのは間違いではなかった。
1.36.4
2.ルサンチマン
3.高層ビルと人工衛星
4.9月になること
5.忘れた
6.Pain Pain Pain
Pain Pain Pain
https://youtu.be/mUG-sd7su8Q
21:05~ GLIM SPANKY [COSMO STAGE]
このフェスでもロックンロールを担う若手としてすっかりおなじみのGLIM SPANKY。不穏なサウンドのSEで固定のサポートメンバーたちとともに松尾レミと亀本寛貴が登場すると、「THE WALL」で髪が赤く華やかな見た目の松尾のハスキーなボーカルが轟いていく。
打ち込みも使ったダンサブルな「END ROLL」、このバンドの名前を広く世に知らしめた「怒りをくれよ」では亀本が間奏でそのブルース要素をたっぷり含んだギターソロを炸裂させ、一転して静閑なバラード「美しい棘」、音楽を志した頃の松尾の心境を曲にしたブルース「大人になったら」と続いていくのだが、このあたりのバラードを聴くと、松尾のボーカルと亀本のギターがカッコいいのはもちろん、曲のメロディが本当に美しいことがわかる。
松尾が新年明けてすぐに新木場STUDIO COASTで2daysワンマンを行うこと、さらには日本武道館でのワンマンが決まっていることを発表し、最後に演奏されたのはバンドの決意を歌ったかのような「アイスタンドアローン」で、このバンドの持つロックンロールとブルースのカッコよさを凝縮したものを見せてくれた。
THE BAWDIESはすでに日本武道館でワンマンを行なっているが、なかなかそこに続くロックンロールバンドが出てきていなかった中で、このバンドが武道館でワンマンができるようになったというのは本当に頼もしいし、このバンドがそこまで行くことによって、ロックンロールやブルースというスタイルを選ぶ女性ボーカルバンドが増えたら実に面白いと思う。松尾のような声を持つ人はなかなかいないと思うけど。
1.THE WALL
2.END ROLL
3.怒りをくれよ
4.美しい棘
5.大人になったら
6.アイスタンドアローン
美しい棘
https://youtu.be/Fssn7zCWe8c
22:00~ サンボマスター [EARTH STAGE]
2017年は初の日本武道館ワンマンも果たしたサンボマスター。近年はGALAXYに出演することも多かったが、今回は年越し直前のEARTHという重要な位置への出演。
おなじみの「モンキーマジック」のSEで登場すると、いきなりの「世界をかえさせておくれよ」でスタートし、「できっこないを やらなくちゃ」「ロックンロール イズ ノットデッド」というこれまでのクライマックスに演奏されてきた曲を序盤に一気に演奏し、EARTH STAGEは凄まじい盛り上がりに。山口もガンガン煽り、この日のテーマは「伝説の年忘れ」に。
するとここで山口の気持ちが入りまくったバラード「ラブソング」を演奏するのだが、最後のサビ前のブレイクでメンバーが演奏を止めると、ステージのみならず、客席にも静寂の瞬間が。こうしたフェスでは後ろの方で喋ったり騒いだりしている人がいることも多いが、そうした声も全く聞こえなく、このステージにいた全員がじっと山口の方を見つめていたし、その空気を作り上げたのは山口をはじめとするバンドのメンバーたちである。
すると一転して山口がMCのようにまくしたてる言葉数の多いボーカルの「stand by me & you」、さらには「ミラクルをキミとおこしたいんです」で踊らせまくり、「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」で2017年最後の「愛と平和!」コールを巻き起こすと、山口がどうだ?と言わんばかりに客席に微笑みかけ、客席からは自然発生的に
「ロックンロール!ロックンロール!」
の大合唱が巻き起こるという、まさに伝説の年忘れになっていく。
そして山口が、
「こうしてみんなでロックンロールやってるけど、1年のうちの360日がクソみたいなやつだっていっぱいいると思う。みんな、よく今日まで頑張ったね。よく今日まで生きたね」
と観客に語りかけると、客席から大きな拍手が起きる。こうした山口の語りはワンマンや対バンツアーでも行われていたが、そのリアクションがこれまでで最もダイレクトで、フェスで初めて見たような人たちにもしっかり届いたような実感があった。
「忘れんなよ!360日がクソみたいな日々でも、お前らの本当はこっちだからな!」
と山口がさらに観客の生そのものを肯定し、ここにいる人たち全ての心の中に光り続ける三文字をそのまま曲にしてさらに観客の背中を強く押す「YES」で終了。
4日連続参戦でずっとライブを見続けていると、この辺りは疲労がピークに達してきている時間である。しかしサンボマスターが出てきてロックンロールを鳴らせば、いくらでも飛び跳ねられるし、声だって出る。なんだってできる気がしてくる。2017年は武道館も含めていろんなところでサンボマスターからそうした力をもらってきた。それは2018年になってもきっと変わらず、ずっとこのバンドに力をもらい続けていくんだろう。
しかしGALAXYにはMONOEYESやでんぱ組.incがいる中でのサンボマスターのEARTH STAGE出演は、武道館が完全ソールドアウトとはいかなかっただけに少し不安であったが、蓋を開けてみれば超満員。そこにはもしかしたら年明け直前ということで、年越しアクトを見るためにちょっと早く来ていたという人もいたかもしれないが、この日のライブはそうした人たちにも確実に届いていた。そうした人をすべてかっさらっていくのがこのバンドの強さ。まさに伝説の年忘れだった。
1.世界をかえさせておくれよ
2.できっこないを やらなくちゃ
3.ロックンロール イズ ノットデッド
4.ラブソング
5.stand by me & you
6.ミラクルをキミとおこしたいんです
7.世界はそれを愛と呼ぶんだぜ
8.YES
YES
https://youtu.be/K9pgoFieO6s
23:25~ [Alexandros] [EARTH STAGE]
いよいよ年越しの瞬間がやってきた。今回のEARTH STAGEの年越しの大役を担うのは[Alexandros]。満を持してというか、2017年は幕張メッセワンマン2daysを即完させただけに、ついにこの瞬間がやってきたな、という感じである。
おなじみ「Burger Queen」のSEでサポートキーボードのROSEを含めた5人が登場するのだが、川上は腕を大きく掲げて登場という気合いの入りっぷり。そのまま「Burger Queen」の生演奏に突入すると、曲終わりで川上はギターを片手で持って高く掲げる。
するとここで早くも「ワタリドリ」へ突入し、川上はハンドマイクでステージ左右に伸びた通路を歩き回りながら歌う。もはやバンドの代名詞的な曲になりつつあるこの曲だが、先日のワンマンでは演奏されなかったため、フェスでは定番、みたいな位置になっていくのだろうか。
川上がアコギに持ち替えての「Waitress,Waitress!」で上で束ねた髪型にようやく見慣れてきた磯部が煽りまくって踊らせまくると、MCも挟むことなく次々とキラーチューンを連発していくが、この辺りは時間が過ぎることが許されない年越しアクトならではの緊迫感を孕んでいる。そういう空気を演奏からは全く感じさせないあたりはさすがだが。
歌い出しでは川上がアコギを弾くがすぐさまハンドマイク状態になってはステージ左右へ動き回り、カメラに映される自分がスクリーンに映るのをわかった上でカメラ目線で歌い、
「君を連れてくんだ」
のフレーズでその画面を客席の方に向けさせるというカメラの使い方はもはやロッキンオンのフェスにおいてはおなじみだが、ここまで上手く使える男は10年以上このフェスに来続けていても見たことがないし、その姿は素直に「カッコいいな~」と男でも思える。その辺りの自己プロデュース能力も抜群だし、やはりこのバンドは大きいステージや大事な舞台の方がより一層力を発揮できるバンドであるというのがよくわかる。
川上の弾き語り的な形となった「12/26以降の年末ソング」はこの時期ならではの選曲だが、
「あと5分で今年も終わるけど」
「汗ダクのTシャツで暴れるお前らを大いに愛してあげよう」
と、まさにこの瞬間ならではの歌詞に変えてみせ、大歓声が上がる。白井は横でその歌詞を聴いて笑っていたけど。
「それでは皆さま、次の曲で年越ししてもよろしいでしょうか!?」
と、ついにカウントダウンの瞬間へ。2017年に鳴らす最後の曲に選ばれたのは、最新シングル「明日、また」。ラストのサビ前で一度演奏を止めると、その瞬間、ステージのスクリーンには30秒前からカウントダウンが。川上が
「20秒前から一緒にカウントダウンするぞ!」
と言うと、メンバーと観客が一緒に20秒前からカウントダウンを開始し、ついに0になった瞬間にはステージから金テープが射出され、
「A HAPPY NEW YEAR!」
と年越しの開放感に包まれる中、まだ曲の途中であることを思い出させるように、ラストのサビを演奏。
メンバーもプレッシャーから解放されたような表情を見せる中、秋に新作アルバムの発売と、夏に初のスタジアムワンマンを開催することを発表し、
「こっからは激しい曲しかやらねぇぞ!」
と川上が煽ると、サンプラーを操作しながら突入した「Kaiju」からはラストスパートへ。メンバーの演奏する姿も音そのものもどんどん獰猛になっていく中、ワンマンでもやっていたハードロック色の強い新曲もこの流れで披露される。果たして秋に出るアルバムまでは新曲のままなのか、それともその前に何らかの形で音源化するのだろうか。
そしてラストの「Kick & Spin」では白井と磯部がステージ左右に展開し、川上もハンドマイクで歌いながら動き回るのだが、最後にステージ中央に戻ると、床に伏せながらカメラ目線で歌うというロックスターそのものでしかないような姿を見せる。
そして終了のはずなのに川上がギターを再び手にすると、ワンマンでは川上とサトヤスの2人で行われていたセッションを4人で展開。川上の紹介によって1人ずつソロ回しもすると、
「俺たちが[Alexandros]だ!覚えとけー!
This is rock'n roll!」
と川上が叫んでからステージを去っていった。
何度となく経験してきたEARTH STAGEの年越しの中でも、トップクラスと言っていいくらいに見事な、このバンドが1年の終わりと始まりに見れて本当に良かったと思えた。
まだアルバムの詳細はわからないが、スタジアムワンマンは「8月3週目の週末前」ということを考えると、サマソニのマリンステージのインフラを使ってワンマンをやるという、かつてBUMP OF CHICKENやビーチボーイズがやったような形になるだろう。すでにサマソニでメインステージに立っているとはいえ、ついにスタジアムワンマン。とんでもないところまで来たな、とも思うが、メンバーからしたら当たり前のことって言うんだろうな。
1.Burger Queen
2.ワタリドリ
3.Waitress,Waitress!
4.Dracula La
5.Starrrrrrr
6.Adventure
7.12/26以降の年末ソング
8.明日、また (ラストサビ前でカウントダウン)
9.Kaiju
10.Girl A
11.新曲
12.Kick & Spin
セッション
明日、また
https://youtu.be/qVDgV2JQydk
24:40~ グッドモーニングアメリカ [GALAXY STAGE]
年が明けてもまだまだ続くCOUNTDOWN JAPAN。GALAXY STAGEの年明け1発目のアクトは久々にGALAXYに帰還を果たした、グッドモーニングアメリカ。サウンドチェックではたなしんが主導で、このステージで年越しを務めた、ヤバイTシャツ屋さん「あつまれ!パーティーピーポー」をやろうとしていた。
いざ本番になると、おなじみのたなしんの仮装は今回はキングオブコントで大ブレイクを果たした、にゃんこスターの縄跳びネタを完コピ。しかしながら縄跳びに引っかかったりしてしまうあたりがこのネタの難しさを実感させてくれる。
メンバーも揃うと、「アブラカタブラ」から速いビートで踊らせまくり、「空ばかり見ていた」では深夜1時近くとは思えないくらいの大きな合唱が発生。バンドも完全にこの時間ならではの、眠くなることが一切ないアッパーなセトリを持ってきたことがわかる。
ギター渡邊が来年バンドがこのメンバーになって10周年、メジャーデビューから5周年を迎えることを発表すると、その活動への感謝の気持ちを曲にしたかのような「言葉にならない」で思いっきりツービートのパンクであるにもかかわらず感動的な空気にさせる。
すでにトレードマークのサングラスも取り、海パン一丁になったたなしんが、気合いが入りすぎてその出で立ちで水を被るという、風邪を引かないか心配になるようなパフォーマンスを行ってから、おなじみの「ファイヤー!」を全員で叫ぶと、「ウォールペーパーミュージックじゃ踊りたくないぜ」でハッピーに踊らせまくり、金廣がこのステージに久しぶりに立てている喜び(前回は金廣がポリープの治療をしていて出演せず、その前はASTRO ARENAへ出演していた)を語り、最新作のリード曲「風と鳴いて融けてゆけ」で代表曲連発ばかりではない、最新系のバンドの姿もしっかり見せると、金廣がマイクから離れてサビを観客に何度も預けた「未来へのスパイラル」で終了…かと思いきや、いきなり「また会えるよね」を再会を約束するかのように鳴らしてから2018年最初のライブを清々しく終えた。
音響のせいなのか、このステージに出演した他のバンドに比べると金廣の声が聞き取りにくく感じるところも多々あったが、ライブの凄さはまだまだ健在。記念イヤーにまたデカい動きを見せてもらって、これからも憧れ続けたこのステージに立ち続けて欲しい。
リハ.イチ、ニッ、サンでジャンプ
1.アブラカタブラ
2.空ばかり見ていた
3.コピペ
4.言葉にならない
5.ウォールペーパーミュージックじゃ踊りたくないぜ
6.風と鳴いて融けてゆけ
7.未来へのスパイラル
8.また会えるよね
風と鳴いて融けてゆけ
https://youtu.be/cBiS8KfLh6k
25:45~ The Mirraz [COSMO STAGE]
かつてはGALAXY STAGEの年越しという大役を担い、年越しではない年でもGALAXYを入場規制レベルの超満員にしていた、The Mirraz。しかしながら今のバンドの状況を考えると、とうていこの規模のステージに出れるようなバンドではない。(なにせ千葉LOOKすら売り切れないんだから)
だがそれでもこのバンドがこうしてこのフェスに出れるのは、この日物販で限定グッズとして山崎洋一郎Tシャツ(要は単なるおっさんの姿が描かれた、誰が買うんだ?というミイラズらしからぬデザインのもの)が販売されていたように、山崎洋一郎がこのバンドを今でも最大限に推しているからである。
かなり早い時間からサウンドチェックと称して曲を連発していたのは、短い持ち時間の中でも少しでも多くの曲を演奏したかったからだろうが、本編でも序盤はひたすらに曲を連発。こうしてデカい会場でこのバンドを見るのは久しぶりだし、ちょっと前にロッキンとかに出ていた時はドラム不在時のEDMスタイルだっただけに、サポートドラマーのまのたかしを加えた4人編成のシンプルさに改めて気づく。
中盤にはリリースしたばかりのニューアルバム「RED JACKET」からの新曲「DAWN」も披露されたが、新作が出たことに対し、
「2017年はフルアルバム3枚出したんだよ。BUMP OF CHICKENもビートルズもそんなに出してないよ。みんなもっと俺の才能にひれ伏した方がいいよ。でも才能って金にならないんだよな、っていうことをさっき崎さん(山崎洋一郎)とも話してたんだけど、山崎洋一郎Tシャツ買った人どれくらいいる?」
と客席に語りかけると、自分を含めて5人くらいしか手を挙げておらず、あまりの売れ行きの悪さに畠山もケイゾーも爆笑。畠山いわく「ファンアイテムだから」とのことだが、ケイゾーには「誰のファンアイテムなんだよ」と突っ込まれてしまう。
おなじみ「僕らは」で畠山の言葉数の非常に多いボーカルというミイラズならではのスタイルを見せると、フェスでやるのは少々意外な「プロタゴニストの一日は」から
「本当はもっと、楽屋で誰々が付き合ってる、とか話したいんだけど(笑)、時間がないから」
とラストはやはり「CANのジャケット~」で、気づけばこの時間にしてはかなりの人が入ったCOSMO STAGEを踊りまくらせ、畠山は素直に
「ありがとう!」
と何度も観客に感謝して久々のフェス出演と、2018年の初ライブを終えた。
やはりフェスだと畠山の毒付くところが目立ちがちだが、ミイラズは変わった。かつてGALAXYの年越しで満員になってた頃よりも、ちゃんと観客やフェスそのものに向き合うようになった。メンバーも変わって、これは新しいミイラズとしての初出演である。
だが、今やフェスにも全く呼ばれず、ミイラズを非常に可愛がってくれていたN'夙川BOYSが活動休止し、ミイラズに憧れてきたキュウソネコカミがあまりに遠くに行ってしまった結果、近年はワンマンしかやっていなかっただけに、いつもワンマンを見ている側としては、フェスの30分で持ち味全てが伝わるかと言われると、ちょっと疑問符がつくようになってしまった。それくらい今のミイラズはワンマンを見てこそ伝わるものが確かにあるし、「フェスで盛り上がればいいバンド」ではなくなった(そもそもフェスに出てないからだけど)ということでもあるけれど、やはり今のミイラズのライブを少しでも多くの人に見てもらうにはフェスに出るのが最も手っ取り早いと思うだけに、ロッキンも絶対呼んでくれ、山崎洋一郎!
リハ1.ふぁっきゅー
リハ2.WAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!!!
リハ3.ヤグルマギク
リハ4.観覧車に乗る君が夜景に照らされてるうちは
1.スーパーフレア
2.check it out! check it out! check it out! check it out!
3.ラストナンバー
4.DAWN
5.僕らは
6.プロタゴニストの一日は
7.CANのジャケットのモンスターみたいのが現れて世界壊しちゃえばいい
DAWN
https://youtu.be/VeBPczlytB8
28:10~ DJ 柴田隆浩 (忘れらんねえよ) [ASTRO ARENA]
ASTRO ARENAの大トリは忘れらんねえよのボーカルの柴田隆浩によるDJという暴挙である。これまでの出演でも様々な小ネタを使いまくってフェスを盛り上げてきただけに、今回はどんなネタで来るのかと思っていたら、いきなりブルゾンちえみのコスプレで登場するというDJでもなんでもない飛び道具っぷり。
一応DJとついてはいるが、柴田はDJらしいことは当然のように一切やらず、「ワタリドリ」をかけて脚立の上から飛び降りたり、チャゲアスのコスプレをして風を浴びながら歌ったり、「真赤」で赤い全身タイツを、「キセキ」で緑の全身タイツを着たりというやりたい放題っぷり。
かと思えば、
「2017年は悲しい別れがたくさんあった」
とちょっとしんみりした空気にしながら、最上もがの脱退を惜しんでの「でんでんぱっしょん」、完結を発表したチャットモンチーへの想いを、
「えっちゃん、結婚してくれー!」
と歪んだ形で叫んだり(橋本絵莉子は既婚者である)し、中盤にはゲストとして、ドラムが叩けるゆるキャラこと、にゃんごスターも登場して得意のドラムで参戦。
また、28歳フリーターであるというスタッフが柴田の相方的な存在として様々な場面で登場したのだが、マイヘアやハイスタなどではギターを持って出て来るときに、本人と同じギターを持ってくるという、何の意味もないような忠実さを見せる。
岡田准一の結婚を祝してのV6「WAになって踊ろう」では客席に超巨大なサークルがいくつも出現して、観客が肩を組んで踊り、MV再現シリーズの「オドループ」では柴田も観客もサビでMVのダンスを踊るのだが、全員がダンスを踊れるという浸透度の高さに改めて驚かされる。
しかしながら最もキツかったのは、
「みんなに強くなって帰って欲しい」
と、サビが来るまでひたすら観客にスクワットをすることを強要してきた、長渕剛の「とんぼ」。サビに入るまでがかなり長いため、早朝5時の疲労度MAXの状態で何度もスクワットをするのはもはや罰ゲームである。柴田はスクワットではなくてワンダーコアをやって腹筋を鍛えていたが。
そんな小ネタ連発の楽しいひと時もついに終わりの時間に。ということはこのフェス自体の終わりでもあるということ。最後は忘れらんねえよが生み出した至上の名曲「この高鳴りをなんと呼ぶ」で、見事にASTRO ARENAの大トリをやり切り過ぎなくらいの勢いでやり切ってみせた。
結局のところ、忘れらんねえよのライブも、このDJも、柴田がやりたいのは「来てくれるみんなを楽しませたい」ということ。そのために自分ができることはなんでも全力でやる。その姿勢がこうしてたくさんの人に響いているから、何度もDJとしてこのステージに立っている。ロッキンとCDJの年2回だけしか見れないけど、たまにはこういうのも悪くない。
1.ダーティー・ワーク / オースティン・マホーン
2.ワタリドリ / [Alexandros]
3.FLY AGAIN / MAN WITH A MISSION
4.やってみよう / WANIMA
5.Ultra Soul / B'z
6.フルドライブ / KANA-BOON
7.YAH YAH YAH / CHAGE & ASKA
8.真赤 / My Hair is Bad
9.キセキ / GReeeeN
10.でんでんぱっしょん / でんぱ組.inc
11.シャングリラ / チャットモンチー
12.紅 / X JAPAN
13.あつまれ!パーティーピーポー / ヤバイTシャツ屋さん
14.日本の米は世界一 / 打首獄門同好会
15.STAY GOLD / HI-STANDARD
16.ファントムバイブレーション / キュウソネコカミ
17.WAになっておどろう / V6
18.You're my sunshine / 安室奈美恵
19.オドループ / フレデリック
20.とんぼ / 長渕剛
21.この高鳴りをなんと呼ぶ / 忘れらんねえよ
全アクト終了後、飲食エリアには最後の瞬間を見届けるため、渋谷陽一をはじめとした、このフェスを作っている人たちが集結していた。なので山崎洋一郎に、ミイラズの物販で山崎洋一郎Tシャツを買ったことを報告したら、
「あはは!被害者だ!」
とめちゃ笑われた。本人的にもそんな感じ!?
このフェスに来ると、いろんな出演者が
「今年はどんな年だった?」
と観客に問いかける。自分はたくさん音楽を聴けて、たくさんライブに行けて、一年の最後と最初をこのフェスで迎えられれば、それだけで良い年だったと思える。だから2017年は良い年だったし、2018年もそう思えるように、またこの会場で年越しの瞬間と新年の始まりを迎えるために生きていこうと思いながら帰路につくのである。
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この日はGALAXY STAGEが先に始まり、その後にEARTH STAGEが始まるということで、GALAXYで山崎洋一郎の前説を聞いてからEARTHへ移動。
山崎洋一郎の前説は、ロッキン、CDJ、JAPAN JAMにJAPAN'S NEXTなど、様々なフェスやイベントを企画しているのはなぜなのかと言われることに対し、
「我々は特に大変だとは思ってなくて。みんなが音楽と出会える場所をもっとたくさん作りたい。例えばこのフェスとかが毎月あったり、毎週あったりしたらどうですか?平日頑張って仕事したり勉強したりして、「今週行く?」「今週はやめとく?」みたいな感じになったらすごい楽しくないですか?そういう音楽の未来を作っていきたいんです」
と語っていた。自分自身が毎週のように、というか毎日がこういうフェスだったら本当に人生がもっと楽しいだろうな、と思うような人間なので、こういう部分が自分が山崎洋一郎をリスペクトする所以である。
15:15~ クリープハイプ [EARTH STAGE]
渋谷陽一が前説でこのフェスの15年の歴史を振り返りながら、クリープハイプの尾崎世界観のことを、
「ロックのDNAを持っている人。性格が暗くて、世界を自分だけの視点で見ている。カート・コバーンやジョン・レノンもそうだった」
と最大級の賛辞を送ってからSEもなしにステージに4人が登場。
「キレイなステージを見ると汚したくなるんで、セックスの歌を」
と尾崎が言ってから、いきなりの「HE IS MINE」で何万人もの「セックスしよう!」コールが響く。尾崎も叫ぶようにするところもあり、テンションが非常に高い。
ブラックミュージックのグルーヴを導入した「鬼」、銀杏BOYZがカバーしてからこうしてフェスのセトリに入るようになった「二十九、三十」、
「2017年の先へ」
と言って演奏された「オレンジ」と続くと、「イノチミジカシコイセヨオトメ」~「手と手」というメジャー1stアルバムと同じ流れで続けざまに演奏。近年はフェスなどではなかなか2曲続けてやることが少なくなっているが、やはりこの2曲はこうして続けて聴きたい。
「最高か、最低か、二つに一つ。どちらか叫んでください」
という「社会の窓」では観客がもちろん「最高です!」と叫び、2017年を代表する1曲になった「イト」では小川とカオナシが笑顔を見せながらステージ両サイドに展開していく。中盤はちょっと喉がキツそうだった尾崎もかなり盛り返してきていた印象。
「渋谷さんにさっき「暗い」って言われましたけど、今さら明るくなれないし、なるつもりもないからこのままで生きていきます。最後にこのステージに傷をつけて帰ります」
と尾崎が自身の生き様を語ってからアコギを爪弾くようにして演奏されたのは「傷つける」で、まさにその生き様を音楽で見せつけているかのようだった。
1.HE IS MINE
2.鬼
3.二十九、三十
4.オレンジ
5.イノチミジカシコイセヨオトメ
6.手と手
7.社会の窓
8.イト
9.傷つける
イト
https://youtu.be/cxuqBH9jOSw
16:10~ MONOEYES [EARTH STAGE]
2日目にthe HIATUSとしてはEARTH STAGEでライブ納めをした、細美武士。MONOEYESとしてはこの日がライブ納めとなる。
このフェスに写真撮影スポットが設置されている、新作が公開された「スターウォーズのテーマ」で登場すると、
「2017年、最後の大騒ぎしようぜ!」
と細美が叫んで「My Instant Song」で飛び跳ねまくる。
髪の半分くらいを金髪にした戸高がギタープレイだけでなく、「もっと来い!」と言わんばかりのアクションで煽りながら、この日は2017年リリースの「Dim The Lights」の曲よりもやや1stの曲を軸にしたような印象なのは2017年のライブ納めということで、激しい曲で大騒ぎしようという意思の表れだろうか。
そんな中にあってやはり新作収録の「Two Little Fishes」はパンク色が強いこのバンドでも大騒ぎするだけではないメロディの美しさを感じさせてくれる。
すると
「このフェスはモッシュ、ダイブが禁止だけど、最近はそれもいいなって思うようになってきた。誰も重傷を負わなくていいし、お前らの心配しなくていいから」
と細美がこのフェスのルールに初めて肯定的な意見を述べた。去年のロッキンのLAKE STAGEのトリでの、もう出禁になっても構わないような発言とパフォーマンスもあり、これまでにも毎回出演してきて幾度もそのルールに対して物議を醸すような発言をしてきた細美だったが、ついにこのフェスにおける自分の戦い方を見つけた。人によってはそれは丸くなった、と感じたり物足りなく感じたりするだろうが、
「またお前らの心配をするような場所ではそういう楽しみ方をしようぜ!」
と、ライブハウスでは変わらぬ生き方をしていくことを宣言した。個人的にはロッキンのフェスでハラハラしながら見なくていいというのは少し気が楽ではあるが。
「明日公園で」ではスコットがベースを銃に見立ててドラムの一瀬にぶっ放そうとしたりする中、
「今年最後の、スコットが決めるぜー!」
と言っての「Borders & Walls」ではそのスコットが真ん中の細美のマイクで歌う。2017年は「Dim The Lights」においてスコットが書いた曲も違和感なく共存するようになったが、それはこの先、このバンドの大きな武器になっていくはず。
そして物議を醸した去年のロッキンでアンコールに演奏された時の美しい光景が今も忘れられない「グラニート」から、
「2017年の最後の曲はこの曲しかないと思った」
と言って演奏された「3,2,1 Go」で2018年に向かっていく姿勢を見せ、バンドのスタイルがさらに強く固まった2017年のライブを締めた。
ライブハウスを生きる場所にしているパンクバンドたちにとって、ロッキンオンのフェスにはまず「普段の自分たちのスタイルを変えてまで出るかどうか」というところが問われる。若手バンドの方がそこに対する抵抗はないように感じるが、今でもダイブ禁止だから出ない、というバンドもやはりいる。そんな中でもlocofrankは出演した日の出番後に近くのライブハウスで無料ライブをやるという方法で自分たちなりの戦い方を示してきたが、細美武士のこの日の発言を聞くと、それはもう考え方次第でどうとでもなることなんだよな、とも思う。できればこのフェスに出たくない、っていうバンドがいないような、どんなバンドでも出れるようなフェスであって欲しいけれど。
1.My Instant Song
2.Free Throw
3.When I Was A King
4.Run Run
5.Two Little Fishes
6.明日公園で
7.Borders & Walls
8.グラニート
9.3,2,1 Go
Free Throw
https://youtu.be/dQVl8urlE2o
17:05~ 175R [COSMO STAGE]
かつて175Rが活動休止した際に、最後にライブを行ったのが、7年前のこのフェスのGALAXY STAGEのトリという舞台だった。
それから活動再開し、ステージは変われど、ついに175Rがこのフェスに帰還。
KAZUYAが脱退して以降の、サポートギター2人を加えた編成で登場すると、
「175RがCOUNTDOWN JAPANに帰ってきたぜー!」
とSHOGOが高らかに宣言し、
「ここから見える景色を僕は信じたい」
というフレーズが今でもこのバンドのライブの象徴のように響く大ヒットシングル「ハッピーライフ」からスタートし、かつてこのバンドで青春の日々を過ごした人たちが拳を突き上げていく。
活動休止前はパンクというスタイルから遠ざかろうとしているように感じてもいたが、活動再開後は175Rとしてやるべきことが明確になったと感じる「シャナナ」、KICK THE CAN CREWのMCUとのコラボ曲だった「ORANGE」ではSHOGOがMCUのラップパートまでをも歌い、初期のこのバンドのスタイルの一つだったスカの要素が強い「Party」と、夏フェス時からは変化を加えながらも、ずっと自分たちを応援してきてくれたファンが喜んでくれるような曲を多く演奏するという姿勢は変わらないし、「GLORY DAYS」も含めて、改めてこのバンドが作ってきた楽曲のメロディの普遍性と、青春パンクというブームに飲み込まれてしまったけれど、ちゃんと売れるべくして売れるような曲であったということがよくわかる。
そして、
「俺たちの音楽が青春だったっていう人も、そうじゃない世代の人も、この曲で大きな声で歌ってくれ!青春はまだまだ終わらないぜー!
この想いは届くかなぁ…!」
と言って最後に大合唱と最大級の盛り上がりを見せたのはもちろん「空に唄えば」。
かつて、青春パンクというブームの渦中にいたバンドたちは、自らは青春という言葉を肯定してはいなかった。むしろそこから遠ざかろうとすらしていた。それは青春パンクブームが批判されることも多かったからだが、その青春パンクブームを牽引していた175Rは、今ではそれを肯定するようになっている。結局、遠ざかろうとしても自分たちはずっと青春の中にいたというのがわかったからだろうし、そこにはかつて一緒にライブをやったりしていたバンドたちが今はほとんどいなくなってしまったというのもあるのだろう。
だがWANIMAやフォーリミがここまでの状況になってきている今、このバンドの音楽を聴いて何かを感じる若い人たちも絶対たくさんいると思う。現に自分はこのバンドの音楽を聴いて、ライブを見ると今でも飛び跳ねたり歌ったりしたくなる。このバンドの音楽が青春として刻まれている人生で本当に幸せだと思える。
1.ハッピーライフ
2.シャナナ
3.ORANGE
4.Party
5.GLORY DAYS
6.空に唄えば
空に唄えば
https://youtu.be/ThvzSZr5hsI
18:05~ POLYSICS [COSMO STAGE]
このフェスに全て出演してきた皆勤賞バンド、POLYSICS。しかし去年までと違うのは、20周年を迎えて新メンバーのナカムラリョウが加入して4人組に戻ったということである。
今年リリースの最新作「That's Fantastic!」のタイトル曲がSEとして流れると、鮮やかな黄色いツナギを着た4人がステージに登場し、そのまま「That's Fantastic!」の生演奏に移行していく。ナカムラの加入でギターが2本になったことによってやはり音が分厚く、これまでよりもロック度が強くなっている。
ハヤシによるおなじみの「トイス!」に加え、年末ならではの「シワッス!」の挨拶を挟みながら、フミによる、骨が折れる音のようなコーラスが特徴的な「CRAZY MY BONE」、ナカムラがギターソロを弾きまくる「You Talk Too Much」、ポリならではのシュールな歌詞が炸裂しまくる「Sea Foo」と、まさかの新作曲連打という内容。
しかしながらこうしてライブで改めて聴くと、本当に変な曲である。もはや「○○の要素が~」と形容できない、「POLYSICSの曲」としか言えないぐらいにもうPOLYSICSの曲である。
近年のライブの定番曲である「Tune Up!」から初期の「カジャカジャグー」という、あまり脈絡がないように感じる長い年月の飛び越えっぷりから、最後までMCを挟むことなく駆け抜けるように、今や普段のライブハウスにおけるライブでは最大の盛り上がりを見せる曲になっている(ダイバーが続出する時すらある)「SUN ELECTRIC」で記念イヤーであり大きな変化を迎えた2017年のラストライブを終え、ハヤシは何度も
「トイス!」「シワッス!」
と叫び続けていた。
「全然知ってる曲なかったね(笑)」
と自分の後ろで見ていた女性2人組が言っていたのだが、ライブは有名曲だけをやる場所ではないし、そもそもPOLYSICSはそのバンドの形態や20周年で若い新メンバーを入れるという活動からして普通のバンドではない。
しかもかつてはEARTH STAGEにも出ていたバンドがこのCOSMO STAGEの規模にまでなっているだけに、普通なら保守的なセトリを組みがちだが、POLYSICSはそうはならない。なぜなら今の4人での形態で作った「That's Fantastic!」が素晴らしいものであると信じているからである。で、その姿勢こそが20年を過ぎてもひたすらに攻めることしかしないPOLYSICSというバンドそのものである。この世代のバンドでここまでフェスで攻められるバンドは他に思い浮かばない。
1.That's Fantastic!
2.CRAZY MY BONE
3.You Talk Too Much
4.Sea Foo
5.Tune Up!
6.カジャカジャグー
7.SUN ELECTRIC
That's Fantastic!
https://youtu.be/M8q1T0mzyCo
18:35~ 魔法少女になり隊 [MOON STAGE]
RO JACKで優勝してシーンに登場し、今ではこのフェスと夏のロッキンでもおなじみの存在になりつつある、RPG型バンド・魔法少女になり隊。前年までのASTRO ARENAではなく今回はMOON STAGEへの出演である。
魔女から呪いをかけられていて喋れないボーカリストの火寺バジルが「CDJ17/18」と書かれたスケッチブックをめくると、各メンバーも登場。VJとスクリームを担当するGARIが叫びながらはしゃぎまくる、和の要素が強いラウドロック「ヒメサマスピリッツ」でスタートすると、さすがに1stフルアルバムをリリースしたばかりということで、そこから「my!show!time!」「BA・BA・BA ばけ~しょん」と畳み掛けていくのだが、ASTRO ARENAとは違って巨大ビジョンがない(ステージ上にテレビはある)だけに、視覚面では演奏するメンバーだけに目がいくし、ラウドロックにアニソンやアイドル音楽などを詰め込んだサウンドに集中できる。
そのバンドのスタイルが最も現れているのが「おジャ魔女カーニバル!!」のカバーであり、アニソンがラウド化したこの曲でサイリウムを振る人もいる中、満員の観客は凄まじい一体感を見せる。みんながこの曲を知っているというのがまたすごいけれど。
スーパーマリオをテーマにした「MEGA DASH」では客席に超高速サークルが出現し、やはりこのバンドの核がラウドロックであることがわかる。満員の観客を見てさらに気合いが入っているのか、バジルとGARIだけでなく、ウィ・ビトンも汗を飛び散らしながらギターを弾きまくる。
アルバムのリード的な「完全無敵のぶっとバスターX」で今の自分たちの最も自信を持っているど真ん中のサウンドを鳴らすと、ラストは魔法少女になり隊という冒険の始まりを告げた曲である「冒険の書1」で
「魔法少女になりたい!」
の大合唱が響き渡った。GARIは最後にビジョンが使えなかったことをやや残念そうに語っていたが、メンバーもこれまでで最も手応えを感じた出演になったんじゃないだろうか、と思うくらいの盛り上がりであった。
構成的にドラムがいないし、バジルの声にはエフェクトがかかっているというそのサウンドと、コンセプトが強いバンド設定からはキワモノのようにも、無機質なようにも見える可能性もあるが、ライブを見ればこのバンドが他のラウドロックバンドと同じように、人間らしさや熱さを持ったバンドであることがよくわかる。だからただ楽しいというだけじゃなくて、音楽として感動できる。すでに年明けにはO-EASTでのワンマンが決まっているが、まだまだそんなところにとどまらないような可能性すら感じる。
1.ヒメサマスピリッツ
2.my!show!time!
3.BA・BA・BA ばけ~しょん
4.おジャ魔女カーニバル!!
5.MEGA DASH
6.完全無敵のぶっとバスターX
7.冒険の書1
完全無敵のぶっとバスターX
https://youtu.be/Tgn6xYv6114
19:15~ 04 Limited Sazabys [EARTH STAGE]
初出演時はCOSMO、去年まではGALAXY、そして今年ついにEARTHに進出を果たしたフォーリミ。
SEがこれまでのものからバンドのものに変わってテンション高く4人が登場すると、
「名古屋の04 Limited Sazabysです!1曲目は、midnight cruising!」
といきなりの「midnight cruising」からスタートし、これまではフェスでは最後に演奏されることが多かった「swim」も序盤に演奏されるなど、リリースを重ねてEARTHに見合うような存在に確実に進化していることをうかがわせる。
「せっかく31日に出演してるんだから、俺たちもカウントダウンしたいな~」
とGENがいたずらっ子っぽく言うと、20秒前からカウントダウンがスタートするのだが、1秒ごとにRYU-TAの変顔が映るという、本来は年越しを担当するバンドではないにもかかわらず手の込んだ演出。
そのRYU-TAが煽りまくる「Chicken race」で踊らせまくると、「Night on」からはセンターLEDに夜景の映像が映し出されるのだが、この曲ではGENの歌詞が何回か飛んでしまうところがあった。
「fiction」ではレーザー光線が、「escape」では炎が吹き上がるという特効も使いまくってEARTHに立つバンドならではの姿を見せると、この2017年は日本武道館ワンマン、2年目のYON FES、憧れだったハイスタやホルモンとの対バンを果たした、バンドとして充実した1年であったことを語り、さらに
「ちょっと前までは一緒に20人とか30人の前でやっていたWANIMAが今日紅白に出てて、俺たちはこうしてEARTH STAGEに立ってる!」
とこのステージまでたどり着けた感慨を語り、2017年に生まれた新たなアンセム「Squall」から、ラストは「monolith」で…と思いきや、
「まだ少し時間があるから、もう1曲!あの頃の気持ちを思い出せ!」
とトドメに演奏されたのは「Remember」で、ついにたどり着いたこのステージで、大きな手応えを得た2017年の最後を締めた。
GENが言っていたように、WANIMAに続いてフォーリミがこのステージに立ったことの意味は本当に大きい。それは彼らがともにパンクバンドだからである。この2組が出てくるまで、この規模でパンクバンドのライブを見れるようになるなんて思ってなかった。
初出演時のCOSMOの時に、
「僕らのライブは我慢できるような衝動しか与えられてないんですかねぇ!」
と言ってダイブを誘発していたことから考えると、無邪気なままではいられないくらいに大きなものをたくさん背負う存在になったが、だからこそこうしてこのステージに立てるようになった。その姿は、今でもパンクに夢を見させてくれる。
1.midnight cruising
2.Warp
3.swim
4.Chicken race
5.Night on
6.fiction
7.escape
8.mahoroba
9.Squall
10.monolith
11.Remember
Squall
https://youtu.be/-kB2K_4odA0
20:05~ tacica [COSMO STAGE]
tacicaは最も売れていた時期にもなかなかフェスに出てこなかったし、今でも毎回いろんなフェスに出るようなバンドではないが、こうして夏に続いて冬にも出ている姿を見ると、バンドの意識も少し変わってきているような気もする。
サポートのギターとドラムを含めた4人で登場すると(ドラムはsyrup16gの中畑大樹)、「アースコード」でじっくりと始まり、猪狩翔一の声が広いステージに響き渡っていく。
全く踊れないし、盛り上がるわけでもなければ音も大きいわけじゃない、ギターロックとしか言えないくらいにギターロック。でもだからこそ猪狩翔一の慈悲深い歌声と、歌詞の一語一語を噛みしめることができる。
インディーズ時代からの名曲「HERO」では前方に集まった、普段からこのバンドのライブを見に行っている人たちから歓声が上がり、かと思えば今年リリースの最新作「新しい森」収録の「YELLOW」と新旧の曲を交互に演奏すると、
「…楽しい…」
と全く楽しくなさそうな言い方で猪狩がつぶやき、アニメタイアップソングとして広く聴かれた「LEO」では客席から腕が上がると、
「僕らは2人組なんですけど、2017年はこうして4人でライブをやるようになって。来年からはどうなるかわからないけど、本当に楽しかったです」
と2017年に獲得した新たな形への手応えを語りながら、最後にバンド最大のヒット曲にして代表曲「人鳥哀歌」を演奏し、たくさんの人を喜ばせるとともに、小西が被っていたキャップを吹っ飛ばすほどの熱演を見せた。
冒頭に書いたように、フェスに毎回出るバンドではないだけに、いわゆるフェス用のセトリというものが決まっていないバンドである。とはいえ、ロッキンと今回で「人鳥哀歌」以外は総入れ替えというセトリの組み方はどうやって決めているんだろうか。
1.アースコード
2.HERO
3.YELLOW
4.LEO
5.人鳥哀歌
人鳥哀歌
https://youtu.be/gbDsE039990
20:35~ teto [MOON STAGE]
まだ全国流通が始まったばかりという新星4人組バンドだが、すでに銀杏BOYZのファンたちの間などでは話題になっているバンドである。
なぜそこで話題になっているのかというと、出てくるなり小池(ボーカル&ギター)をはじめとするメンバーがギターをぶん回して暴れまくるという無軌道なパフォーマンスを展開するところにある。
小池が
「あの子の体温が忘れられない、っていう曲です」
と「36.4」からスタートすると、もうこの内面に抱えた衝動を爆発させないと死んでしまうというくらいの爆裂パフォーマンスを展開。特に長髪で髭を生やした特異な風貌のギターの山崎がその暴れっぷりを牽引している。
そうしたライブのスタイルは銀杏BOYZを彷彿とさせるが、もう何を言っているのかほとんどわからないような、まくしたてるような言葉数の多い小池のボーカルと性急なサウンドは初期のandymoriを彷彿とさせる。
そんな中にあって
「僕は忘れっぽい性格なんで、今日のこともいつか忘れてしまうでしょう。でもここにこれだけたくさんの人がいてくれて、その中の誰か1人でも2017年12月31日のこのライブのことを覚えていてくれたら、それは美しいことだと思います」
とロマンチックに語ってから演奏された新曲の「忘れた」はそれまでの曲とは全く違うタイプのシンプルな歌もので、衝動というよりもメロディの良さをしっかりと感じさせ、最後にはメンバーのコーラスがメロディをさらに際立たせる「Pain Pain Pain」で終了し、終始ギターの調子が良くなさそうだった山崎もステージに伏せるようにしながら客席の端から端までを指差してから客席を去っていった。
暴れまくるだけのバンドなら誰でもできる。でもそうしたスタイルの中で人の心に刺さるようなバンドは、そのパフォーマンスに必然性があって、何よりもまず音楽そのものが良くないといけない。で、このtetoはそこをしっかりとクリアしているというのがライブを見ればわかる。
年間ベストディスクの記事内で、このバンドを2017年の新人王に選んだのは間違いではなかった。
1.36.4
2.ルサンチマン
3.高層ビルと人工衛星
4.9月になること
5.忘れた
6.Pain Pain Pain
Pain Pain Pain
https://youtu.be/mUG-sd7su8Q
21:05~ GLIM SPANKY [COSMO STAGE]
このフェスでもロックンロールを担う若手としてすっかりおなじみのGLIM SPANKY。不穏なサウンドのSEで固定のサポートメンバーたちとともに松尾レミと亀本寛貴が登場すると、「THE WALL」で髪が赤く華やかな見た目の松尾のハスキーなボーカルが轟いていく。
打ち込みも使ったダンサブルな「END ROLL」、このバンドの名前を広く世に知らしめた「怒りをくれよ」では亀本が間奏でそのブルース要素をたっぷり含んだギターソロを炸裂させ、一転して静閑なバラード「美しい棘」、音楽を志した頃の松尾の心境を曲にしたブルース「大人になったら」と続いていくのだが、このあたりのバラードを聴くと、松尾のボーカルと亀本のギターがカッコいいのはもちろん、曲のメロディが本当に美しいことがわかる。
松尾が新年明けてすぐに新木場STUDIO COASTで2daysワンマンを行うこと、さらには日本武道館でのワンマンが決まっていることを発表し、最後に演奏されたのはバンドの決意を歌ったかのような「アイスタンドアローン」で、このバンドの持つロックンロールとブルースのカッコよさを凝縮したものを見せてくれた。
THE BAWDIESはすでに日本武道館でワンマンを行なっているが、なかなかそこに続くロックンロールバンドが出てきていなかった中で、このバンドが武道館でワンマンができるようになったというのは本当に頼もしいし、このバンドがそこまで行くことによって、ロックンロールやブルースというスタイルを選ぶ女性ボーカルバンドが増えたら実に面白いと思う。松尾のような声を持つ人はなかなかいないと思うけど。
1.THE WALL
2.END ROLL
3.怒りをくれよ
4.美しい棘
5.大人になったら
6.アイスタンドアローン
美しい棘
https://youtu.be/Fssn7zCWe8c
22:00~ サンボマスター [EARTH STAGE]
2017年は初の日本武道館ワンマンも果たしたサンボマスター。近年はGALAXYに出演することも多かったが、今回は年越し直前のEARTHという重要な位置への出演。
おなじみの「モンキーマジック」のSEで登場すると、いきなりの「世界をかえさせておくれよ」でスタートし、「できっこないを やらなくちゃ」「ロックンロール イズ ノットデッド」というこれまでのクライマックスに演奏されてきた曲を序盤に一気に演奏し、EARTH STAGEは凄まじい盛り上がりに。山口もガンガン煽り、この日のテーマは「伝説の年忘れ」に。
するとここで山口の気持ちが入りまくったバラード「ラブソング」を演奏するのだが、最後のサビ前のブレイクでメンバーが演奏を止めると、ステージのみならず、客席にも静寂の瞬間が。こうしたフェスでは後ろの方で喋ったり騒いだりしている人がいることも多いが、そうした声も全く聞こえなく、このステージにいた全員がじっと山口の方を見つめていたし、その空気を作り上げたのは山口をはじめとするバンドのメンバーたちである。
すると一転して山口がMCのようにまくしたてる言葉数の多いボーカルの「stand by me & you」、さらには「ミラクルをキミとおこしたいんです」で踊らせまくり、「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」で2017年最後の「愛と平和!」コールを巻き起こすと、山口がどうだ?と言わんばかりに客席に微笑みかけ、客席からは自然発生的に
「ロックンロール!ロックンロール!」
の大合唱が巻き起こるという、まさに伝説の年忘れになっていく。
そして山口が、
「こうしてみんなでロックンロールやってるけど、1年のうちの360日がクソみたいなやつだっていっぱいいると思う。みんな、よく今日まで頑張ったね。よく今日まで生きたね」
と観客に語りかけると、客席から大きな拍手が起きる。こうした山口の語りはワンマンや対バンツアーでも行われていたが、そのリアクションがこれまでで最もダイレクトで、フェスで初めて見たような人たちにもしっかり届いたような実感があった。
「忘れんなよ!360日がクソみたいな日々でも、お前らの本当はこっちだからな!」
と山口がさらに観客の生そのものを肯定し、ここにいる人たち全ての心の中に光り続ける三文字をそのまま曲にしてさらに観客の背中を強く押す「YES」で終了。
4日連続参戦でずっとライブを見続けていると、この辺りは疲労がピークに達してきている時間である。しかしサンボマスターが出てきてロックンロールを鳴らせば、いくらでも飛び跳ねられるし、声だって出る。なんだってできる気がしてくる。2017年は武道館も含めていろんなところでサンボマスターからそうした力をもらってきた。それは2018年になってもきっと変わらず、ずっとこのバンドに力をもらい続けていくんだろう。
しかしGALAXYにはMONOEYESやでんぱ組.incがいる中でのサンボマスターのEARTH STAGE出演は、武道館が完全ソールドアウトとはいかなかっただけに少し不安であったが、蓋を開けてみれば超満員。そこにはもしかしたら年明け直前ということで、年越しアクトを見るためにちょっと早く来ていたという人もいたかもしれないが、この日のライブはそうした人たちにも確実に届いていた。そうした人をすべてかっさらっていくのがこのバンドの強さ。まさに伝説の年忘れだった。
1.世界をかえさせておくれよ
2.できっこないを やらなくちゃ
3.ロックンロール イズ ノットデッド
4.ラブソング
5.stand by me & you
6.ミラクルをキミとおこしたいんです
7.世界はそれを愛と呼ぶんだぜ
8.YES
YES
https://youtu.be/K9pgoFieO6s
23:25~ [Alexandros] [EARTH STAGE]
いよいよ年越しの瞬間がやってきた。今回のEARTH STAGEの年越しの大役を担うのは[Alexandros]。満を持してというか、2017年は幕張メッセワンマン2daysを即完させただけに、ついにこの瞬間がやってきたな、という感じである。
おなじみ「Burger Queen」のSEでサポートキーボードのROSEを含めた5人が登場するのだが、川上は腕を大きく掲げて登場という気合いの入りっぷり。そのまま「Burger Queen」の生演奏に突入すると、曲終わりで川上はギターを片手で持って高く掲げる。
するとここで早くも「ワタリドリ」へ突入し、川上はハンドマイクでステージ左右に伸びた通路を歩き回りながら歌う。もはやバンドの代名詞的な曲になりつつあるこの曲だが、先日のワンマンでは演奏されなかったため、フェスでは定番、みたいな位置になっていくのだろうか。
川上がアコギに持ち替えての「Waitress,Waitress!」で上で束ねた髪型にようやく見慣れてきた磯部が煽りまくって踊らせまくると、MCも挟むことなく次々とキラーチューンを連発していくが、この辺りは時間が過ぎることが許されない年越しアクトならではの緊迫感を孕んでいる。そういう空気を演奏からは全く感じさせないあたりはさすがだが。
歌い出しでは川上がアコギを弾くがすぐさまハンドマイク状態になってはステージ左右へ動き回り、カメラに映される自分がスクリーンに映るのをわかった上でカメラ目線で歌い、
「君を連れてくんだ」
のフレーズでその画面を客席の方に向けさせるというカメラの使い方はもはやロッキンオンのフェスにおいてはおなじみだが、ここまで上手く使える男は10年以上このフェスに来続けていても見たことがないし、その姿は素直に「カッコいいな~」と男でも思える。その辺りの自己プロデュース能力も抜群だし、やはりこのバンドは大きいステージや大事な舞台の方がより一層力を発揮できるバンドであるというのがよくわかる。
川上の弾き語り的な形となった「12/26以降の年末ソング」はこの時期ならではの選曲だが、
「あと5分で今年も終わるけど」
「汗ダクのTシャツで暴れるお前らを大いに愛してあげよう」
と、まさにこの瞬間ならではの歌詞に変えてみせ、大歓声が上がる。白井は横でその歌詞を聴いて笑っていたけど。
「それでは皆さま、次の曲で年越ししてもよろしいでしょうか!?」
と、ついにカウントダウンの瞬間へ。2017年に鳴らす最後の曲に選ばれたのは、最新シングル「明日、また」。ラストのサビ前で一度演奏を止めると、その瞬間、ステージのスクリーンには30秒前からカウントダウンが。川上が
「20秒前から一緒にカウントダウンするぞ!」
と言うと、メンバーと観客が一緒に20秒前からカウントダウンを開始し、ついに0になった瞬間にはステージから金テープが射出され、
「A HAPPY NEW YEAR!」
と年越しの開放感に包まれる中、まだ曲の途中であることを思い出させるように、ラストのサビを演奏。
メンバーもプレッシャーから解放されたような表情を見せる中、秋に新作アルバムの発売と、夏に初のスタジアムワンマンを開催することを発表し、
「こっからは激しい曲しかやらねぇぞ!」
と川上が煽ると、サンプラーを操作しながら突入した「Kaiju」からはラストスパートへ。メンバーの演奏する姿も音そのものもどんどん獰猛になっていく中、ワンマンでもやっていたハードロック色の強い新曲もこの流れで披露される。果たして秋に出るアルバムまでは新曲のままなのか、それともその前に何らかの形で音源化するのだろうか。
そしてラストの「Kick & Spin」では白井と磯部がステージ左右に展開し、川上もハンドマイクで歌いながら動き回るのだが、最後にステージ中央に戻ると、床に伏せながらカメラ目線で歌うというロックスターそのものでしかないような姿を見せる。
そして終了のはずなのに川上がギターを再び手にすると、ワンマンでは川上とサトヤスの2人で行われていたセッションを4人で展開。川上の紹介によって1人ずつソロ回しもすると、
「俺たちが[Alexandros]だ!覚えとけー!
This is rock'n roll!」
と川上が叫んでからステージを去っていった。
何度となく経験してきたEARTH STAGEの年越しの中でも、トップクラスと言っていいくらいに見事な、このバンドが1年の終わりと始まりに見れて本当に良かったと思えた。
まだアルバムの詳細はわからないが、スタジアムワンマンは「8月3週目の週末前」ということを考えると、サマソニのマリンステージのインフラを使ってワンマンをやるという、かつてBUMP OF CHICKENやビーチボーイズがやったような形になるだろう。すでにサマソニでメインステージに立っているとはいえ、ついにスタジアムワンマン。とんでもないところまで来たな、とも思うが、メンバーからしたら当たり前のことって言うんだろうな。
1.Burger Queen
2.ワタリドリ
3.Waitress,Waitress!
4.Dracula La
5.Starrrrrrr
6.Adventure
7.12/26以降の年末ソング
8.明日、また (ラストサビ前でカウントダウン)
9.Kaiju
10.Girl A
11.新曲
12.Kick & Spin
セッション
明日、また
https://youtu.be/qVDgV2JQydk
24:40~ グッドモーニングアメリカ [GALAXY STAGE]
年が明けてもまだまだ続くCOUNTDOWN JAPAN。GALAXY STAGEの年明け1発目のアクトは久々にGALAXYに帰還を果たした、グッドモーニングアメリカ。サウンドチェックではたなしんが主導で、このステージで年越しを務めた、ヤバイTシャツ屋さん「あつまれ!パーティーピーポー」をやろうとしていた。
いざ本番になると、おなじみのたなしんの仮装は今回はキングオブコントで大ブレイクを果たした、にゃんこスターの縄跳びネタを完コピ。しかしながら縄跳びに引っかかったりしてしまうあたりがこのネタの難しさを実感させてくれる。
メンバーも揃うと、「アブラカタブラ」から速いビートで踊らせまくり、「空ばかり見ていた」では深夜1時近くとは思えないくらいの大きな合唱が発生。バンドも完全にこの時間ならではの、眠くなることが一切ないアッパーなセトリを持ってきたことがわかる。
ギター渡邊が来年バンドがこのメンバーになって10周年、メジャーデビューから5周年を迎えることを発表すると、その活動への感謝の気持ちを曲にしたかのような「言葉にならない」で思いっきりツービートのパンクであるにもかかわらず感動的な空気にさせる。
すでにトレードマークのサングラスも取り、海パン一丁になったたなしんが、気合いが入りすぎてその出で立ちで水を被るという、風邪を引かないか心配になるようなパフォーマンスを行ってから、おなじみの「ファイヤー!」を全員で叫ぶと、「ウォールペーパーミュージックじゃ踊りたくないぜ」でハッピーに踊らせまくり、金廣がこのステージに久しぶりに立てている喜び(前回は金廣がポリープの治療をしていて出演せず、その前はASTRO ARENAへ出演していた)を語り、最新作のリード曲「風と鳴いて融けてゆけ」で代表曲連発ばかりではない、最新系のバンドの姿もしっかり見せると、金廣がマイクから離れてサビを観客に何度も預けた「未来へのスパイラル」で終了…かと思いきや、いきなり「また会えるよね」を再会を約束するかのように鳴らしてから2018年最初のライブを清々しく終えた。
音響のせいなのか、このステージに出演した他のバンドに比べると金廣の声が聞き取りにくく感じるところも多々あったが、ライブの凄さはまだまだ健在。記念イヤーにまたデカい動きを見せてもらって、これからも憧れ続けたこのステージに立ち続けて欲しい。
リハ.イチ、ニッ、サンでジャンプ
1.アブラカタブラ
2.空ばかり見ていた
3.コピペ
4.言葉にならない
5.ウォールペーパーミュージックじゃ踊りたくないぜ
6.風と鳴いて融けてゆけ
7.未来へのスパイラル
8.また会えるよね
風と鳴いて融けてゆけ
https://youtu.be/cBiS8KfLh6k
25:45~ The Mirraz [COSMO STAGE]
かつてはGALAXY STAGEの年越しという大役を担い、年越しではない年でもGALAXYを入場規制レベルの超満員にしていた、The Mirraz。しかしながら今のバンドの状況を考えると、とうていこの規模のステージに出れるようなバンドではない。(なにせ千葉LOOKすら売り切れないんだから)
だがそれでもこのバンドがこうしてこのフェスに出れるのは、この日物販で限定グッズとして山崎洋一郎Tシャツ(要は単なるおっさんの姿が描かれた、誰が買うんだ?というミイラズらしからぬデザインのもの)が販売されていたように、山崎洋一郎がこのバンドを今でも最大限に推しているからである。
かなり早い時間からサウンドチェックと称して曲を連発していたのは、短い持ち時間の中でも少しでも多くの曲を演奏したかったからだろうが、本編でも序盤はひたすらに曲を連発。こうしてデカい会場でこのバンドを見るのは久しぶりだし、ちょっと前にロッキンとかに出ていた時はドラム不在時のEDMスタイルだっただけに、サポートドラマーのまのたかしを加えた4人編成のシンプルさに改めて気づく。
中盤にはリリースしたばかりのニューアルバム「RED JACKET」からの新曲「DAWN」も披露されたが、新作が出たことに対し、
「2017年はフルアルバム3枚出したんだよ。BUMP OF CHICKENもビートルズもそんなに出してないよ。みんなもっと俺の才能にひれ伏した方がいいよ。でも才能って金にならないんだよな、っていうことをさっき崎さん(山崎洋一郎)とも話してたんだけど、山崎洋一郎Tシャツ買った人どれくらいいる?」
と客席に語りかけると、自分を含めて5人くらいしか手を挙げておらず、あまりの売れ行きの悪さに畠山もケイゾーも爆笑。畠山いわく「ファンアイテムだから」とのことだが、ケイゾーには「誰のファンアイテムなんだよ」と突っ込まれてしまう。
おなじみ「僕らは」で畠山の言葉数の非常に多いボーカルというミイラズならではのスタイルを見せると、フェスでやるのは少々意外な「プロタゴニストの一日は」から
「本当はもっと、楽屋で誰々が付き合ってる、とか話したいんだけど(笑)、時間がないから」
とラストはやはり「CANのジャケット~」で、気づけばこの時間にしてはかなりの人が入ったCOSMO STAGEを踊りまくらせ、畠山は素直に
「ありがとう!」
と何度も観客に感謝して久々のフェス出演と、2018年の初ライブを終えた。
やはりフェスだと畠山の毒付くところが目立ちがちだが、ミイラズは変わった。かつてGALAXYの年越しで満員になってた頃よりも、ちゃんと観客やフェスそのものに向き合うようになった。メンバーも変わって、これは新しいミイラズとしての初出演である。
だが、今やフェスにも全く呼ばれず、ミイラズを非常に可愛がってくれていたN'夙川BOYSが活動休止し、ミイラズに憧れてきたキュウソネコカミがあまりに遠くに行ってしまった結果、近年はワンマンしかやっていなかっただけに、いつもワンマンを見ている側としては、フェスの30分で持ち味全てが伝わるかと言われると、ちょっと疑問符がつくようになってしまった。それくらい今のミイラズはワンマンを見てこそ伝わるものが確かにあるし、「フェスで盛り上がればいいバンド」ではなくなった(そもそもフェスに出てないからだけど)ということでもあるけれど、やはり今のミイラズのライブを少しでも多くの人に見てもらうにはフェスに出るのが最も手っ取り早いと思うだけに、ロッキンも絶対呼んでくれ、山崎洋一郎!
リハ1.ふぁっきゅー
リハ2.WAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!!!
リハ3.ヤグルマギク
リハ4.観覧車に乗る君が夜景に照らされてるうちは
1.スーパーフレア
2.check it out! check it out! check it out! check it out!
3.ラストナンバー
4.DAWN
5.僕らは
6.プロタゴニストの一日は
7.CANのジャケットのモンスターみたいのが現れて世界壊しちゃえばいい
DAWN
https://youtu.be/VeBPczlytB8
28:10~ DJ 柴田隆浩 (忘れらんねえよ) [ASTRO ARENA]
ASTRO ARENAの大トリは忘れらんねえよのボーカルの柴田隆浩によるDJという暴挙である。これまでの出演でも様々な小ネタを使いまくってフェスを盛り上げてきただけに、今回はどんなネタで来るのかと思っていたら、いきなりブルゾンちえみのコスプレで登場するというDJでもなんでもない飛び道具っぷり。
一応DJとついてはいるが、柴田はDJらしいことは当然のように一切やらず、「ワタリドリ」をかけて脚立の上から飛び降りたり、チャゲアスのコスプレをして風を浴びながら歌ったり、「真赤」で赤い全身タイツを、「キセキ」で緑の全身タイツを着たりというやりたい放題っぷり。
かと思えば、
「2017年は悲しい別れがたくさんあった」
とちょっとしんみりした空気にしながら、最上もがの脱退を惜しんでの「でんでんぱっしょん」、完結を発表したチャットモンチーへの想いを、
「えっちゃん、結婚してくれー!」
と歪んだ形で叫んだり(橋本絵莉子は既婚者である)し、中盤にはゲストとして、ドラムが叩けるゆるキャラこと、にゃんごスターも登場して得意のドラムで参戦。
また、28歳フリーターであるというスタッフが柴田の相方的な存在として様々な場面で登場したのだが、マイヘアやハイスタなどではギターを持って出て来るときに、本人と同じギターを持ってくるという、何の意味もないような忠実さを見せる。
岡田准一の結婚を祝してのV6「WAになって踊ろう」では客席に超巨大なサークルがいくつも出現して、観客が肩を組んで踊り、MV再現シリーズの「オドループ」では柴田も観客もサビでMVのダンスを踊るのだが、全員がダンスを踊れるという浸透度の高さに改めて驚かされる。
しかしながら最もキツかったのは、
「みんなに強くなって帰って欲しい」
と、サビが来るまでひたすら観客にスクワットをすることを強要してきた、長渕剛の「とんぼ」。サビに入るまでがかなり長いため、早朝5時の疲労度MAXの状態で何度もスクワットをするのはもはや罰ゲームである。柴田はスクワットではなくてワンダーコアをやって腹筋を鍛えていたが。
そんな小ネタ連発の楽しいひと時もついに終わりの時間に。ということはこのフェス自体の終わりでもあるということ。最後は忘れらんねえよが生み出した至上の名曲「この高鳴りをなんと呼ぶ」で、見事にASTRO ARENAの大トリをやり切り過ぎなくらいの勢いでやり切ってみせた。
結局のところ、忘れらんねえよのライブも、このDJも、柴田がやりたいのは「来てくれるみんなを楽しませたい」ということ。そのために自分ができることはなんでも全力でやる。その姿勢がこうしてたくさんの人に響いているから、何度もDJとしてこのステージに立っている。ロッキンとCDJの年2回だけしか見れないけど、たまにはこういうのも悪くない。
1.ダーティー・ワーク / オースティン・マホーン
2.ワタリドリ / [Alexandros]
3.FLY AGAIN / MAN WITH A MISSION
4.やってみよう / WANIMA
5.Ultra Soul / B'z
6.フルドライブ / KANA-BOON
7.YAH YAH YAH / CHAGE & ASKA
8.真赤 / My Hair is Bad
9.キセキ / GReeeeN
10.でんでんぱっしょん / でんぱ組.inc
11.シャングリラ / チャットモンチー
12.紅 / X JAPAN
13.あつまれ!パーティーピーポー / ヤバイTシャツ屋さん
14.日本の米は世界一 / 打首獄門同好会
15.STAY GOLD / HI-STANDARD
16.ファントムバイブレーション / キュウソネコカミ
17.WAになっておどろう / V6
18.You're my sunshine / 安室奈美恵
19.オドループ / フレデリック
20.とんぼ / 長渕剛
21.この高鳴りをなんと呼ぶ / 忘れらんねえよ
全アクト終了後、飲食エリアには最後の瞬間を見届けるため、渋谷陽一をはじめとした、このフェスを作っている人たちが集結していた。なので山崎洋一郎に、ミイラズの物販で山崎洋一郎Tシャツを買ったことを報告したら、
「あはは!被害者だ!」
とめちゃ笑われた。本人的にもそんな感じ!?
このフェスに来ると、いろんな出演者が
「今年はどんな年だった?」
と観客に問いかける。自分はたくさん音楽を聴けて、たくさんライブに行けて、一年の最後と最初をこのフェスで迎えられれば、それだけで良い年だったと思える。だから2017年は良い年だったし、2018年もそう思えるように、またこの会場で年越しの瞬間と新年の始まりを迎えるために生きていこうと思いながら帰路につくのである。
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