COUNTDOWN JAPAN 17/18 day2 @幕張メッセ 12/29
- 2017/12/31
- 00:23
2日目。前日もソールドアウトしていたが、始まる前の飲食ブースの混み具合は前日よりもすごい。みんな早くから来ているということなのか。
12:00~ エレファントカシマシ [EARTH STAGE]
ロッキンオン社長、渋谷陽一による、このフェスが始まった15年前を写真で振り返る(最後の写真が15年前の渋谷陽一のもので、かなりウケていた)という前説のあとに登場したのは、デビュー30年を超えた大ベテラン、エレファントカシマシ。
サポートメンバーも含め、全員が黒のフォーマルなスーツ姿で登場(宮本はいつもの白シャツ)すると、
「1曲目は、1stアルバムの最初に入ってた曲!」
と言って「ファイティングマン」からスタートすると、いきなり宮本が石森に「おら行け!」と言わんばかりに前に押し出したり、早くもステージの端から端までを歩き回ったりと、大ベテランであっても落ち着いたライブを…という雰囲気は微塵も感じさせない。ひたすらに全力、ひたすらに気合いを入れまくるというような姿勢である。
夏のロッキンではこの曲の時にマイクトラブル(宮本がステージから遠く離れ過ぎたために発生した)が発生したのを渋谷陽一にも前説で突っ込まれていた「デーデ」では今回はトラブルもなくやり切るのだが、最初はギターを弾いていた宮本はすぐさまギターを弾かなくなり、しかもギターを放り投げて歩き始め、自身を写すカメラを遮ったりするなど、宮本節は序盤から止まるところを知らない。
また近年はツアーでも宮本の喋りが面白過ぎてなかなか曲に入らない、とすら言われるくらいにMCが長くなっているが、この日もデビュー時から売れない時期のことを回想し、
「ソニーを7年でクビになりましてね。みんなバイトしてなんとか食ってて。まぁ私は実家で毎日ご飯食べてましたけどね(笑)
でもやっぱり売れないといかん。みんなの心に届くような曲を作らないといかん、と思ったらすぐにできて、あっさり届いたという私の才能の凄さ」
と自画自賛するほどの曲はやはり「悲しみの果て」「今宵の月のように」という第1のブレイクを迎えた時期の曲たち。宮本は最初はアコギを弾いているのだが、すぐさま弾かなくなるので、やはりアコギを担いだままでステージを歩き回るのなら下ろせばいいのに、と思わなくもない。
NHKみんなの歌に選ばれた自信作「風と共に」のエピソードを嬉しそうに話すとともに、NHKつながりということで2日後の紅白歌合戦に初出演することを話すと、客席からバンドを祝うかのような盛大な拍手が起こり、宮本の凄まじいボーカリストとしての実力を存分に発揮する、普通の人では絶対に歌えないくらいに難しい「RAINBOW」からはバンドの演奏もラウドバンドかと思うくらいに強力になっていく。特に富永のドラムがこの日は一音一音が重くて実にいい。
そのバンドサウンドがさらに極まったのが「ガストロンジャー」であり、長いツアーを経てさらに細かいアレンジが加わるという曲自体の進化も果たす中、宮本はステージ左右のスクリーンのところによじ登るという、紅白出演を控えたバンドとは思えないくらいに後先省みないパフォーマンスを展開。
そしてエレカシ第2の黄金期の始まりを告げた「俺たちの明日」で拳をあげる観客たちの背中を力強く押すと、最後に演奏されたのは最新シングルの「RESTART」。激しいバンドサウンドが鳴り響く中、ハンドマイク状態の宮本は変な顔を見せたりしながらも、サビでは何度も床に伏せようかというくらいに低い姿勢で絶唱。
「時に今に立ち返れ立ち向かえ ここからがRESTART」
という歌詞の通りに、エレカシは何度もRESTARTを果たしてきた。その結果が今の新たな黄金時代を迎えた姿であるだけに、その歌詞には説得力しかないのである。
基本的にエレカシは誘われたライブは全部出るんだろうな、というくらいに今も日本中の様々な場所でライブを行うという、最前線で戦い続けている。その姿を見ると、「いや、体力が…」と言ってライブを見にいくのを諦めてしまうのが死ぬほど生温く感じてしまう。だからこそ、こうして今でも最前線で戦うバンドの姿をこれからもしょっちゅう見に行きたいのだ。
デビューから30年経ったが、戦い続けるバンドからは衰えや年齢相応のものは感じない。ただただひたすらに現役感があるだけ。それはもうバンドが続く限り変わらないような気さえしてくる。もはや大ベテランというか、日本のロックの生きる宝。一度もメンバーが変わっていないという経歴からも、もう国宝に認定してもいいように思えてくる。
今年はこのエレカシや前日に出演したWANIMAが出るだけに、紅白を録画しておこうかな、とも思っている。(当然この会場にいるので、リアルタイムでは見れない)
1.ファイティングマン
2.デーデ
3.悲しみの果て
4.今宵の月のように
5.風と共に
6.RAINBOW
7.ガストロンジャー
8.俺たちの明日
9.RESTART
RESTART
https://youtu.be/VZFt3Vwq_os
13:00~ GOOD4NOTHING [COSMO STAGE]
おなじみ「河内のおっさんの唄」が流れ始めると、ステージに登場したTANNYとU-tanのボーカルコンビが「祝 11th」とマジックで書かれた段ボールを持っている。毎年のように出続けて、GOOD4NOTHINGは今年でもう11回目の出演。もはや完全にこのフェスを作ってきたバンドの一つと言っても過言ではない。
「でっかいライブハウスへようこそー!」
とあいさつして、「STOMPING STEP」から「IN THIS LIFE」とのっけからメロディックパンクで攻めまくり、早くも客席はモッシュやサークルの嵐。どんどん温度が熱くなっていくし、楽しさしかない。
「ここがParadiseじゃー!」
とおなじみの「It's My Paradise」ではなぜかTANNYが自分の乳首を弄り始めるというドMなおっさんっぷりを見せつけながら、来年でバンドが20周年を迎えることを告知。近年は地元で野外フェスを主催するようにもなってきているが、
「俺たち、普段はここよりもずっと小さいライブハウスでライブやってます。俺たちじゃなくてもいいから、もしもっとライブ見たいな、って思った人がいたら、ライブハウスにも遊びに来てください!」
と今も活動の主軸はライブハウスであることを語り、その姿勢を「RIGHT NOW」で曲として表明してみせる。
最新作「Melodic Holic」でもこれまでと全く変わらない、というかさらに増しているメロディックパンクへの愛を見せていたが、その収録曲である「FOUND」からは、U-tanが言った通りに、まだまだ若いバンドには負けない、という強い気概が感じられる。
MAKKINが前に出て行ったのを
「お前が目立とうとするな」
となぜか諌められてしまう、愛を歌った「LOVE SAVES ALL」からのラストはやはり大合唱となった「Cause You're Alive」で、こうして生きているからこのバンドのライブが見れて、この曲を聴いていられるということを噛み締めさせてくれた。20年を迎えても錆びないどころか、さらにそのメロディには磨きがかかっているし、こうした音楽をやっているからか、メンバー自身が言うほどに「おっさん」とは思えないくらいに今も見た目は若々しいままだ。いや、見た目だけじゃなくて精神もそうだな。
このフェスに出続けて11回目。フェス自体も巨大化してきたし、何よりもパンクバンドとしては避けて通れない、ダイブの禁止というルールもできた。それによってかつてはおなじみだったパンクバンドたちがこのフェスから姿を消し、周りの景色も変わる中で、このバンドとdustboxはそれまでと何も変わることなく出演し続けてきた。ただでさえ移り変わりが激しいパンクシーン。GALAXY STAGEを満員にしていたバンドですらもいつの間にかいなくなったりしている。そんな中でこのフェスからパンクの火が消えなかったのは、このバンドがずっとそれを灯し続けてきたからだ。
美学としてダイブ禁止のフェスには出ないというバンドの考えにも理解はしているが、こうしてこのバンドのライブを見ていると、ルールがあっても出続ける方がかっこいいと思うし、せっかくライブができる場所を与えてもらえるんなら、そこでライブをやらないわけにはいかないとも思う。いつ見れなくなってしまうかは誰にもわからないんだから。
1.STOMPING STEP
2.IN THIS LIFE
3.It's My Paradise
4.RIGHT NOW
5.FOUND
6.LOVE SAVES ALL
7.Cause You're Alive
FOUND
https://youtu.be/YyA_gITVyLA
14:10~ フレデリック [GALAXY STAGE]
先日、ワンマンを見たばかりのフレデリック。去年に続いてのGALAXY出演だが、もう始まる前から本当に超満員で、今このバンドがどれだけたくさんの人に求められているのかというのがよくわかる。
メンバーが登場すると、音を出しながらもすぐに曲に入るわけでもなく、観客の手拍子を煽ってアゲてからのいきなりの「オドループ」という先制攻撃で、早くも満員のGALAXYは踊ってない人がいない状態。時間を加味してか、
「踊ってない昼が気に入らない」
と健司は歌詞を変えて歌いながら、手拍子パートでは何万人もの完璧に整った手拍子に「すごい!」と驚きを隠しきれていない。
ツアーを重ねることで会得した、曲のアウトロと次の曲のイントロを繋げるようなライブアレンジはフェスでも健在で、途切れることなく「KITAKU BEATS」に突入すると、
「ベストアクト狙いにきました!」
と健司が自信に満ちた歌詞に変えて歌う。こうした部分は自分たちのライブのやり方を確立させ、こうしてたくさんの人が見にきてくれるようになり、巨大なステージに立つようにもなったからこそ芽生えたフロントマンとしての自覚だろう。
最新作「TOGENKYO」からは康司のゴリゴリのベースがリズムを牽引する「パラレルロール」が披露されたかと思いきや、少しのブレイクを置くと、健司がハンドマイク状態になり、社会に向けたメッセージ性が強い「まちがいさがしの国」へ。確かに夏フェスでもやってはいたが、あの時は収録されたシングルがリリースされたばかりというタイミングだった。しかしそれからミニアルバムが出てもこうしてキラーチューンたちを外してまでこの曲を演奏するという意味。それは楽しく踊ることもこのバンドのライブの楽しみ方だが、このバンドにはちゃんと音楽を通して言いたいメッセージがある、ということを伝えたい気がしてならないし、初めてライブを見た人が帰ってから歌詞を見ながらこの曲を聴いたらバンドのイメージは少し変わるはずだ。
そしてリズムに合わせた手拍子が鳴り響く「かなしいうれしい」からは、今年から新たに導入されたセンターLEDに映像が映し出され、もはやワンマンを見にきたのかと思うくらいの完成度の高さを見せてくれる。
もはや人が多過ぎてMVのダンスを踊るスペースすらない「オンリーワンダー」と後半にもキラーチューンを配し、ラストは赤頭のギターがまるでシンセを弾いているかのようなフレーズを奏でる、2017年にこのバンドが作り上げた「TOGENKYO」へ誘い、健司は演奏が終わると、
「2017年12月29日、COUNTDOWN JAPAN 17/18 GALAXY STAGEに確かにTOGENKYOはありました!」
と叫んだ。その桃源郷は来年もしかしたらさらに巨大なものになっているかもしれない。もはや「オドループ」を最初にやってしまい、「オワラセナイト」をやらなくても成立してしまうくらいの、多彩な手札の揃いっぷりを見るとそんな期待を持ってしまう。というか年明けのアリーナワンマンを経たら間違いなくそのキャパに手が届くバンドになっているはずだ。
リハ.ナイトステップ
1.オドループ
2.KITAKU BEATS
3.パラレルロール
4.まちがいさがしの国
5.かなしいうれしい
6.オンリーワンダー
7.TOGENKYO
TOGENKYO
https://youtu.be/OfBd8kxo4mQ
15:00~ ZAZEN BOYS [COSMO STAGE]
サウンドチェックにメンバー全員が登場し、入念に音を確かめながら「SUGAR MAN」を演奏し始めると、
「個人的な統計ですが、ロッキンオンジャパン読者の80%以上が…HENTAI!」
と歌詞を変えて歌っていた、向井秀徳率いるZAZEN BOYS。長年バンドのグルーヴを担ってきたベーシスト、吉田一郎の脱退が発表されている中での最後のライブである。
メンバー4人が登場すると、カシオマンこと吉兼、吉田、松下敦の3人がひねくり上がりまくったMATSURI SESSIONを開始する中、黒いフォーマルな衣装に身を包んだ向井はビールを飲みながら、メガネをサングラスに変えたりというわけのわからないパフォーマンスを見せている。
向井が鍵盤を弾いたりしながらの「暗黒屋」からスタートするのだが、もはやリズムが複雑過ぎて、踊るどころかリズムに合わせて乗ることすらも困難な凄まじすぎる演奏。いったいどんなリハとかをやればこうなるのだろうか。
「ずっと、永久に、本能寺で待ってる!」
と向井が独特な前口上を入れてからの「Honnouji」、さらに「Tengu」とMATSURI SESSIONは極まっていく中、おなじみの
「幕張、時には女とまぐわり」
というこのフェス初期からの向井節が何度も放たれていく。
サングラスからメガネに戻るという使い分けが全くもってよくわからない「KIMOCHI」ではメタリックなギターの音が響きまくり、向井は絶叫。さらにはメンバー全員がドラムセットの前に集まるのだが、「もっと寄れ」とばかりに向井は吉兼と吉田の頭を掴んでさらにギュッと近くに固まってキメを合わせまくる。
そしてラストは独特という言葉すら超えた歌詞も相まって、酩酊感に包まれる「Asobi」。演奏終了後にはメンバー一人一人を向井が紹介して頭を下げたが、まだまだ遊び足りない、と思うくらいに、吉田一郎が参加するラストライブとは思えないくらいにいつもと全く変わらぬMATSURI SESSIONであった。
しかしながらもう見た目からしてZAZEN BOYSのメンバーでしかないような、しかも向井がソロでイベントに出演する時には物販で売り子も務めるという、演奏以外での貢献を見せていた吉田の脱退というのは本当に大きい。
だが元々ZAZEN BOYSはドラムがアヒトイナザワ、ベースがひなっちこと日向秀和というロックシーンにおいて最強のリズム隊を擁するバンドだった。それだけにそのどちらもが抜ける時は「大丈夫か?」と心配もさせたが、その後に松下敦と吉田一郎が入ってきて今の形になったのは周知の通りである。だからきっと、次もまたとんでもないベーシストが入ってくるんだろうな。
リハ.SUGAR MAN
1.暗黒屋
2.Honnouji
3.Tengu
4.KIMOCHI
5.Asobi
Honnouji
https://youtu.be/lTDeS-PmLgY
15:45~ ヒトリエ [ASTRO ARENA]
リハからキラーチューンを惜しみなく連発し、早くから集まったファンを喜ばせていた、ヒトリエ。近年はCOSMO STAGEを中心に出演してきたが、初出演時と同じASTRO ARENAに帰還。もはやこのフェスにおいてすっかりおなじみのバンドである。
メンバーが登場すると、オープニング感が強いがやっぱり超高速ダンスチューンである「絶対的」から、直前のZAZEN BOYSとはまた違う超絶技巧の演奏を展開していくのだが、やはりこうしてフェスで見ると、他のバンドとは曲の構造そのものが全く違うということがよくわかる。
それは元々はボカロPであったwowakaの作る曲を再現するためのバンドだったという成り立ちからして他のバンドとは違うし、曲にもボカロPならではのサウンドがふんだんに入っているからなのだが、どうしても無機質にならざるを得ないボカロ的なサウンドから、どんどんライブが肉体的、感情的になってきている。
「COUNTDOWN JAPANー!○×$¥%#…」
と相変わらずシノダは何を言っているのか半分以上はわからないくらいに滑舌が悪いのだが、このシノダのジャンプ力やイガラシの音の動きとステージ上の体の動き、ゆーまおの手数のおそるべき多さ、そしてwowakaのハイトーンかつ早口なボーカルと、見た目からは運動能力が全く高そうに見えないメンバーも他の激しいバンドに負けないくらいの運動量を見せ、客席では超高速ダンスロックサウンドに合わせてツーステなどを踊りまくるライブキッズもたくさんいる。
「4年前ですか、初めてこのフェスに出た時もこのASTRO ARENAで。その時は本当に人が全然いなかったんですけど…今はこうしてたくさんの人が見にきてくれるようになって…。よくやってきたなぁと思います」
とwowakaは数えられるほどしか観客がいなかったという初出演時のことを思い返しながら感慨深げに話していたが、ボカロPからロックバンドに転身し、ロックシーンに攻勢をかけていこうとする中での初出演時の客席の様子は、もしかしたらバンド初の挫折であり、「本当にこれで良かったんだろうか?」と思うことだったかもしれない。
しかし今こうして4年前と比べ物にならないくらいにたくさんの人が見にきてくれるようになったのは、それからバンドがひたすらに自らを研ぎ澄ませながらロックバンドとして成長していたからである。
だからこそシノダだけでなく、イガラシとゆーまおまでもがコーラスをする「アンノウン・マザーグース」ではwowakaは
「2017年、初めて愛についての曲を作った」
とも話していた。他のバンドとは全く違う特異なサウンドはそのままに、wowaka自身と彼の作る曲はどんどん人間らしさを増してきている。
だからただただ良いライブだった、というだけでなく、どこか感動にも似た清々しさすらあった。ラストの「センスレス・ワンダー」の時にはシノダが
「よいお年をー!」
と叫び、イガラシはベースを膝立ちで弾きながら後ろにそのまま倒れこむという圧巻のパフォーマンスを見せた。それはもはやヒトリエがただwowakaの作る曲を再現するのではなく、この4人だからこそこのバンドになっていることの証明でもあった。
リハ1.カラノワレモノ
リハ2.ワールズエンドダンスホール
1.絶対的
2.シャッタードール
3.踊るマネキン、唄う阿呆
4.トーキーダンス
5.アンノウン・マザーグース
6.センスレス・ワンダー
絶対的
https://youtu.be/nAFHg1_6rDM
16:20~ go! go! vanillas [GALAXY STAGE]
もはやすっかりGALAXYでもおかしくないところまで成長を果たした、go! go! vanillas。最新アルバム「FOOLs」のイントロ的な曲である「We are go!」のSEで元気いっぱいに登場すると、ロックンロールの魔法にかけるかのように「マジック」からスタートするのだが、牧の男前さを上回る歌唱力はもちろん、いきなりステージを走り回る柳沢と立ち上がりながらドラムを叩くジェット・セイヤものっけから超ハイテンション。
ストレイテナーのホリエアツシがプロデュースした「おはようカルチャー」ではコーラス部分で大合唱を巻き起こし、ベースのプリティが手がけた「デッドマンズチェイス」ではメンバーそれぞれが順番に歌うのだが、ジェット・セイヤはもう上手く歌おうという気はさらさらないとばかりに、
「ロックンロール!!!」
と叫ぶ一方、加入前はボーカルもやっていたという柳沢の歌唱力の高さにはこのバンドのさらなる可能性を感じさせる。(実際に柳沢が作って本人が歌う曲も増えてきている)
そして最後には牧、柳沢、プリティの3人がセンターマイクに集まって一つのマイクで歌うという、楽しくもカッコいいパフォーマンスを展開。
最新作のピアノのサウンドが入り、牧がハンドマイクで歌う、ダンスミュージックの要素も色濃い「バイバイカラー」など、そもそもが音楽マニアであるメンバーの幅広い音楽性を消化していることにより、近年はロックンロールにとどまらないような曲も増えているが、こうしてライブを見るとこのバンドはやはりロックンロールバンドとしてのカッコよさと楽しさをしっかり備えているバンドであることがよくわかる。それは先輩のTHE BAWDIESから受け継いでいるものかもしれないが。
来年が戌年ということで、柳沢による犬の鳴き声コール&レスポンスもすると、「カウンターアクション」で熱さが最高潮に達したと思いきや、
「僕らが生きてきた、平成っていう時代もあと2年で終わってしまう」
という、平成生まれだからこそ平成という時代に強いこだわりを持つ牧の一言には思わずハッとさせられる中で演奏されたのは、平成を生きる我々全員のための「平成ペイン」。
自分たちの核にあるロックンロールを大事にしながらも、時代にしっかり向き合う。だからこそこのバンドはこの規模まで来れた。最初にスペシャ列伝ツアー(KANA-BOON、キュウソネコカミ、SHISHAMOという今となってはとんでもないバンドたちと一緒だった)でライブを見た時はここまで来るなんて全く想像していなかっただけに、この進化のスピードは凄まじいものがある。
1.マジック
2.おはようカルチャー
3.デッドマンズチェイス
4.エマ
5.バイバイカラー
6.カウンターアクション
7.平成ペイン
平成ペイン
https://youtu.be/JsnxgOXXwhA
17:25~ Mrs. GREEN APPLE [GALAXY STAGE]
昨年に続くGALAXY STAGE出演だが、今やメインステージ候補最有力と言ってもいい存在となった、Mrs. GREEN APPLE。
EDM色の強いSEで相変わらず華やかな見た目のメンバーが登場すると、打ち込みのサウンドが流れ出して始まったのは、タイアップもあってさらにこのバンドの音楽を広い世代にアピールした「WanteD! WanteD!」。
続く「REVERSE」も含めて高野がシンセを弾いたり、藤澤が舞うようにステージを動き回ったり、大森がハンドマイクで歌ったりと、もはやバンドという編成から完全に解き放たれている。
「Mrs. GREEN APPLEのライブ見るの初めてな人~?」
「みなさん、今年はどんな年でしたか?」
など、やたらと普通なことばかり大森が聞くことにどこか違和感を覚えていたら、やはり機材トラブルが発生したらしく、それが修復されるのを待っていたらしい。
「我々、ロッキン系どうなってるんですか!?」
と言っていたが、去年の夏にも最後の「サママ・フェスティバル!」で機材トラブルとなり、同期なしバージョンで演奏したこともある。
機材が復旧してから演奏されたのは、先ほどまでの「非バンド化」をさらに推し進めた、もはやUSボーイズポップのごときサウンドと、哲学的だったり達観的な歌詞が多いこのバンドにしてはビックリするくらいに意味のない歌詞の最新曲「WHOO WHOO WHOO」。こうした曲が新曲として出てくるということは完全にバンドの意識はそちらに向かっているのだろうし、メンバーの出で立ちもそうしたグループを意識したようなものになってきている。
かと思えば、音楽プロデューサーの蔦屋好位置が「車を運転していて、ラジオで初めて聴いた時に衝撃的過ぎて車を路肩に停車させた」というエピソードを開陳した壮大なバラード「鯨の唄」と音楽性の幅広さを見せるのだが、まさに鯨が回遊するような映像が流れる中で歌う大森の歌唱力がとんでもなく高い。ただ上手いというだけでなく、こうした巨大な会場で遠くまで飛ばせるような声をしている。
さらに2017年だからということで演奏された「No.7」で初期のギターロックに回帰すると、最後は「StaRt」「Speaking」という、今となればバンドの変化の前触れとも取れる2曲で大合唱を巻き起こし、大森はやや声色を変えたりしながら歌うというエンターテイナーっぷりも見せた。
自分の好み、趣味としては完全に初期のギターロックなのだが、今でもMrs. GREEN APPLEのライブを見ると感動してしまうのは、大森元貴のメロディと歌はもちろん、他のバンドでは見たことない景色をミセスが見せてくれるから。それは10代くらいの人たちがこのバンドに夢を見たり、救われたりしている理由そのもの。そういうバンドと一緒に成長していけるのがうらやましくすら感じる。
去年はPerfumeの真裏で超満員、今年はホルモンの裏でさすがに超満員にはならなかったが、ホルモンが終わった後の時間から一気に人が増えた。他のバンドならガラガラになってもおかしくないポジション。このメッセでワンマンを行なった後の来年のミセスは間違いなくEARTHに立ってるはず。
リハ.SimPle
1.WanteD! WanteD!
2.REVERSE
3.WHOO WHOO WHOO
4.鯨の唄
5.No.7
6.StaRt
7.Speaking
WanteD! WanteD!
https://youtu.be/PbISczErpKY
18:15~ the HIATUS [EARTH STAGE]
いつものようにサウンドチェックで「Silver Birch」を演奏するというサービス精神を見せてくれた、the HIATUS。今年はリリースがないにもかかわらずツアーを行ったりしたことにより、なかなかレアな曲を久しぶりにライブで聴いたりすることもできたが、そんな2017年のライブ納めがこのステージである。
メンバーが登場するといきなりメンバーそれぞれの凄まじく主張の強い音がぶつかり合いながらも一つに調和していく「The Flare」から始まるというのは近年はもはやおなじみ。
近作のエレクトロ色の強い「Clone」ではセンターLEDに美しい映像が映し出され、細美武士の歌声も広い会場いっぱいを包み込むように響き渡っていく。
細美がハンドマイクで自由に動きまくる「Thirst」、masasucksが前半でギターを全然弾かないという極限まで削ぎ落とされたサウンドの「Bonfire」と様々な時期の曲を満遍なく披露していくと、
「来年はレコードを作らないつもりなんだけど、新曲を作ったんでみんなに聞いてもらおうかと。まだフルバンド編成ではやるの初めてなんだけど、良い曲だと思うよ」
と言って演奏されたのは、すでにブルーノートでのアコースティック編成、通称大人エイタスでも披露されていたという新曲「Life in Technicolor」。細美がハンドマイク、masasucksがアコギという「A World of Pandemonium」期を彷彿とさせる形態とサウンドで、ひたすらにメロディの良さが際立った曲なのだが、近年はthe HIATUSで新曲をやる時は細美は
「1回聴いただけでは良さがわからないような~」
と言っているが、この曲に関しては「良い曲だと思うよ」と言っていただけに、自信があるのだろう。これから生まれる曲がこの曲の路線になるのかは今はまだわからないが。
細美がひたすらに歌に向き合う「Radio」の後は、
「俺にはできないことがある。ワーッてみんなを盛り上げたり、ニコニコしてみんなを安心させたり、愛想笑いをするようなことはできない。でも一生このままでいるからよろしく」
と自身の生き方を語った。愛想笑いができないということは、嘘がつけないということ。それは音楽においてもそう。ひたすらに自分がやりたいことを追求して、納得がいくものだけを出す。だからHIATUSの曲はどこまでも尊いし、HIATUSだけではなくて、細美武士の音楽には嘘がない。それはこれからもずっとそう。
そして細美が内なる思いを爆発させる「Insomnia」から手拍子が鳴り響く「紺碧の夜に」でバンドの演奏がピークを迎えて終了…かと思いきや、最後の最後に演奏されたのは、ツアーと同じく「Sunburn」で、どこか夏の到来を待ち望むかのような気分にさせた。
正直言って、ロッキンでもCDJでももはやthe HIATUSはメインステージが埋まるバンドではなくなってきている。細美的にはGALAXYの方がやりやすいというのもあるだろうが、やはりバンドの曲のスケールと細美の歌唱力を考えると、いつまでもこのキャパで鳴り響いて欲しい音楽だと思える。来年も、これからもどうかよろしく。
リハ.Silver Birch
1.The Flare
2.Clone
3.Thirst
4.Bonfire
5.Life in Technicolor
6.Radio
7.Insomnia
8.紺碧の夜に
9.Sunburn
Insomnia
https://youtu.be/IiZ1rKMJynI
19:00~ 忘れらんねえよ [COSMO STAGE]
去年はこのステージで年越しを務めた、忘れらんねえよ。今年は2日目のトリという、完全に大事なポジションを任せられるバンドになった。
時間になると、会場に[Alexandros]「ワタリドリ」が流れ始め、ステージにサポートのマシータとタナカヒロキ(LEGO BIG MORL)を含む4人が登場するのだが、柴田が「ワタリドリ」を普通に曲に合わせて歌いまくるため、なかなか演奏に入ろうとせず、梅津をはじめメンバーに諌められてようやく歌うのをやめ、4人で「SEXY」ジャンプを決めてからそれぞれの持ち場に。
「今年はヒルクライムとか、日馬富士とかいろんな事件があったけど、最大の事件といえばこれでしょう!」
と言って、曲に入る前に
「チャットモンチー!」「ありがとう!」
といきなり胸が熱くなるコール&レスポンスを展開し、タナカヒロキのギターがノイジーに唸りまくる「スマートなんかなりたくない」でスタート。さらに「この高鳴りをなんと呼ぶ」とキラーチューンを続けると、「ばかばっか」では間奏で恒例のビール一気飲みを行うのだが、
「みんなの今年一年の嫌なことを全部このビールに送ってくれ!俺がそれを飲み干してやる!」
と言い、観客の一年間の嫌なことを全て受け止める。
そうこうしてるうちにいつの間にかCOSMO STAGEは超満員になっており、
「すごいよ。俺夢見てるみたいだよ。こんなにたくさん見にきてくれて、本当に嬉しい。ロックンロールってなんか不思議な力があるんだよな。俺、よくわかんないけど、チャットモンチーのライブを見て本当に救われたんだよ」
と、バンドに挫折した自身が再びこうして音楽に向かうきっかけになったチャットモンチーへの感謝をここでも語り、
「絶対 俺変わったりしないから 俺変わったりしないから」
と決意をエモーショナルにぶちまける「俺よ届け」、「いい人どまり」と近年のリード曲を連発するのだが、面白いパフォーマンスも未だにあれど、こうして巨大化したステージが超満員になるようになったのは、結局のところ楽曲の力によるものである。というか曲が良くなかったらもうとっくに消えているくらいの年数をこのバンドはサバイブしてきている。
そして観客にスマホライトを点灯させて、「忘れらんねえよ」を大合唱させるという感動的なフィナーレ…かと思いきや、
「アンコールすぐ出てくるからな!待ってろ!」
と言うと、本当に1分経たずに再登場(捌ける意味すらあったのか)し、
「来年戌年じゃないですか。俺たち、「犬にしてくれ」っていうアルバムを出して、その時に柴犬のグッズを作ったんだけど、可愛くて売れるからそのままずっとそのグッズを売ってたら、今年のCDJのオフィシャルの物販とデザインがモロ被りした(笑)」
と笑わせながらも、「犬にしてくれ」を柴田が絶唱するかのようなエモさを見せ、柴田と梅津が演奏しながら何回も床に倒れこむ。そうして全ての力を出しきりながらも、最後はみんなでジャンプしてこの重要な位置でのライブを見事にやりきった。
面白いのも当たり前だが、この日のライブには忘れらんねえよがれっきとしたロックバンドであることの理由が詰まっていた。願わくば、そのきっかけを与えてくれたチャットモンチーが完結してしまう前に、両者が対バンする姿を見てみたい。双方のファンとして。実現したら、柴田はどんなことを言うんだろうか。
SE.ワタリドリ
1.スマートなんかなりたくない
2.この高鳴りをなんと呼ぶ
3.ばかばっか
4.俺よ届け
5.いい人どまり
6.忘れらんねえよ
encore
7.犬にしてくれ
犬にしてくれ
https://youtu.be/DI-X84vkUf4
19:30~ 10-FEET [EARTH STAGE]
忘れらんねえよが終わってからEARTHに駆けつけると、すでに超満員の中、スカパラのメンバーたちがステージに登場して、コラボを展開していた。久々のアルバムに収録されたスカパラとのコラボ曲「HONE SKA」だけならず、「hammer ska」でもコラボを果たすと、KOUICHIが観客へ一年間の感謝の気持ちを伝えようとするのだが、ギターを弾くTAKUMAや勝手に歌い出すNAOKI、さらには照明さんにまで邪魔されて全然思いを伝えられない、というコントを展開。
しかしながら今までは「ライブでセトリがほとんど変わらない」と言われまくってきた10-FEETが、アルバムがリリースされたことにより(しかもこの日が年内ではラストライブとはいえツアー中)、完全にセトリが最新モードに様変わり。これはツアーに行っていない身としては実に新鮮である。
そんな楽しいこと、新鮮なこともたくさんやってくれたが、最後には
「アンコールの時間もらってるんやけど、このまま時間までにできるところまでやります。10分で3曲!」
とTAKUMAが言うと、歌詞を「利根川」と千葉バージョンに変えた「RIVER」から「goes on」、さらには「CHERRY BLOSSOM」をめちゃテンポを速くして連発することにより、本当に時間オーバーすることなくキラーチューンを全てやりきった。こういうサービス精神(しかもそれを実際にできる技術をしっかり持っている)こそが10-FEETがたくさんの人から愛され、リスペクトされ続ける由縁。
今年はサカナクションやRADWIMPSが出ないということで大物不在と言われていたが、このバンドがちゃんと毎年のようにいてくれてるじゃないか。
1.蜃気楼
2.1sec
3.HONE SKA feat.東京スカパラダイスオーケストラ
4.hammer ska feat.東京スカパラダイスオーケストラ
5.VIBES BY VIBES
6.1 size FITS ALL
7.太陽4号
8.ヒトリセカイ
9.その向こうへ
10.RIVER
11.goes on
12.CHERRY BLOSSOM
1 size FITS ALL
https://youtu.be/WEpoc6bvuAk
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12:00~ エレファントカシマシ [EARTH STAGE]
ロッキンオン社長、渋谷陽一による、このフェスが始まった15年前を写真で振り返る(最後の写真が15年前の渋谷陽一のもので、かなりウケていた)という前説のあとに登場したのは、デビュー30年を超えた大ベテラン、エレファントカシマシ。
サポートメンバーも含め、全員が黒のフォーマルなスーツ姿で登場(宮本はいつもの白シャツ)すると、
「1曲目は、1stアルバムの最初に入ってた曲!」
と言って「ファイティングマン」からスタートすると、いきなり宮本が石森に「おら行け!」と言わんばかりに前に押し出したり、早くもステージの端から端までを歩き回ったりと、大ベテランであっても落ち着いたライブを…という雰囲気は微塵も感じさせない。ひたすらに全力、ひたすらに気合いを入れまくるというような姿勢である。
夏のロッキンではこの曲の時にマイクトラブル(宮本がステージから遠く離れ過ぎたために発生した)が発生したのを渋谷陽一にも前説で突っ込まれていた「デーデ」では今回はトラブルもなくやり切るのだが、最初はギターを弾いていた宮本はすぐさまギターを弾かなくなり、しかもギターを放り投げて歩き始め、自身を写すカメラを遮ったりするなど、宮本節は序盤から止まるところを知らない。
また近年はツアーでも宮本の喋りが面白過ぎてなかなか曲に入らない、とすら言われるくらいにMCが長くなっているが、この日もデビュー時から売れない時期のことを回想し、
「ソニーを7年でクビになりましてね。みんなバイトしてなんとか食ってて。まぁ私は実家で毎日ご飯食べてましたけどね(笑)
でもやっぱり売れないといかん。みんなの心に届くような曲を作らないといかん、と思ったらすぐにできて、あっさり届いたという私の才能の凄さ」
と自画自賛するほどの曲はやはり「悲しみの果て」「今宵の月のように」という第1のブレイクを迎えた時期の曲たち。宮本は最初はアコギを弾いているのだが、すぐさま弾かなくなるので、やはりアコギを担いだままでステージを歩き回るのなら下ろせばいいのに、と思わなくもない。
NHKみんなの歌に選ばれた自信作「風と共に」のエピソードを嬉しそうに話すとともに、NHKつながりということで2日後の紅白歌合戦に初出演することを話すと、客席からバンドを祝うかのような盛大な拍手が起こり、宮本の凄まじいボーカリストとしての実力を存分に発揮する、普通の人では絶対に歌えないくらいに難しい「RAINBOW」からはバンドの演奏もラウドバンドかと思うくらいに強力になっていく。特に富永のドラムがこの日は一音一音が重くて実にいい。
そのバンドサウンドがさらに極まったのが「ガストロンジャー」であり、長いツアーを経てさらに細かいアレンジが加わるという曲自体の進化も果たす中、宮本はステージ左右のスクリーンのところによじ登るという、紅白出演を控えたバンドとは思えないくらいに後先省みないパフォーマンスを展開。
そしてエレカシ第2の黄金期の始まりを告げた「俺たちの明日」で拳をあげる観客たちの背中を力強く押すと、最後に演奏されたのは最新シングルの「RESTART」。激しいバンドサウンドが鳴り響く中、ハンドマイク状態の宮本は変な顔を見せたりしながらも、サビでは何度も床に伏せようかというくらいに低い姿勢で絶唱。
「時に今に立ち返れ立ち向かえ ここからがRESTART」
という歌詞の通りに、エレカシは何度もRESTARTを果たしてきた。その結果が今の新たな黄金時代を迎えた姿であるだけに、その歌詞には説得力しかないのである。
基本的にエレカシは誘われたライブは全部出るんだろうな、というくらいに今も日本中の様々な場所でライブを行うという、最前線で戦い続けている。その姿を見ると、「いや、体力が…」と言ってライブを見にいくのを諦めてしまうのが死ぬほど生温く感じてしまう。だからこそ、こうして今でも最前線で戦うバンドの姿をこれからもしょっちゅう見に行きたいのだ。
デビューから30年経ったが、戦い続けるバンドからは衰えや年齢相応のものは感じない。ただただひたすらに現役感があるだけ。それはもうバンドが続く限り変わらないような気さえしてくる。もはや大ベテランというか、日本のロックの生きる宝。一度もメンバーが変わっていないという経歴からも、もう国宝に認定してもいいように思えてくる。
今年はこのエレカシや前日に出演したWANIMAが出るだけに、紅白を録画しておこうかな、とも思っている。(当然この会場にいるので、リアルタイムでは見れない)
1.ファイティングマン
2.デーデ
3.悲しみの果て
4.今宵の月のように
5.風と共に
6.RAINBOW
7.ガストロンジャー
8.俺たちの明日
9.RESTART
RESTART
https://youtu.be/VZFt3Vwq_os
13:00~ GOOD4NOTHING [COSMO STAGE]
おなじみ「河内のおっさんの唄」が流れ始めると、ステージに登場したTANNYとU-tanのボーカルコンビが「祝 11th」とマジックで書かれた段ボールを持っている。毎年のように出続けて、GOOD4NOTHINGは今年でもう11回目の出演。もはや完全にこのフェスを作ってきたバンドの一つと言っても過言ではない。
「でっかいライブハウスへようこそー!」
とあいさつして、「STOMPING STEP」から「IN THIS LIFE」とのっけからメロディックパンクで攻めまくり、早くも客席はモッシュやサークルの嵐。どんどん温度が熱くなっていくし、楽しさしかない。
「ここがParadiseじゃー!」
とおなじみの「It's My Paradise」ではなぜかTANNYが自分の乳首を弄り始めるというドMなおっさんっぷりを見せつけながら、来年でバンドが20周年を迎えることを告知。近年は地元で野外フェスを主催するようにもなってきているが、
「俺たち、普段はここよりもずっと小さいライブハウスでライブやってます。俺たちじゃなくてもいいから、もしもっとライブ見たいな、って思った人がいたら、ライブハウスにも遊びに来てください!」
と今も活動の主軸はライブハウスであることを語り、その姿勢を「RIGHT NOW」で曲として表明してみせる。
最新作「Melodic Holic」でもこれまでと全く変わらない、というかさらに増しているメロディックパンクへの愛を見せていたが、その収録曲である「FOUND」からは、U-tanが言った通りに、まだまだ若いバンドには負けない、という強い気概が感じられる。
MAKKINが前に出て行ったのを
「お前が目立とうとするな」
となぜか諌められてしまう、愛を歌った「LOVE SAVES ALL」からのラストはやはり大合唱となった「Cause You're Alive」で、こうして生きているからこのバンドのライブが見れて、この曲を聴いていられるということを噛み締めさせてくれた。20年を迎えても錆びないどころか、さらにそのメロディには磨きがかかっているし、こうした音楽をやっているからか、メンバー自身が言うほどに「おっさん」とは思えないくらいに今も見た目は若々しいままだ。いや、見た目だけじゃなくて精神もそうだな。
このフェスに出続けて11回目。フェス自体も巨大化してきたし、何よりもパンクバンドとしては避けて通れない、ダイブの禁止というルールもできた。それによってかつてはおなじみだったパンクバンドたちがこのフェスから姿を消し、周りの景色も変わる中で、このバンドとdustboxはそれまでと何も変わることなく出演し続けてきた。ただでさえ移り変わりが激しいパンクシーン。GALAXY STAGEを満員にしていたバンドですらもいつの間にかいなくなったりしている。そんな中でこのフェスからパンクの火が消えなかったのは、このバンドがずっとそれを灯し続けてきたからだ。
美学としてダイブ禁止のフェスには出ないというバンドの考えにも理解はしているが、こうしてこのバンドのライブを見ていると、ルールがあっても出続ける方がかっこいいと思うし、せっかくライブができる場所を与えてもらえるんなら、そこでライブをやらないわけにはいかないとも思う。いつ見れなくなってしまうかは誰にもわからないんだから。
1.STOMPING STEP
2.IN THIS LIFE
3.It's My Paradise
4.RIGHT NOW
5.FOUND
6.LOVE SAVES ALL
7.Cause You're Alive
FOUND
https://youtu.be/YyA_gITVyLA
14:10~ フレデリック [GALAXY STAGE]
先日、ワンマンを見たばかりのフレデリック。去年に続いてのGALAXY出演だが、もう始まる前から本当に超満員で、今このバンドがどれだけたくさんの人に求められているのかというのがよくわかる。
メンバーが登場すると、音を出しながらもすぐに曲に入るわけでもなく、観客の手拍子を煽ってアゲてからのいきなりの「オドループ」という先制攻撃で、早くも満員のGALAXYは踊ってない人がいない状態。時間を加味してか、
「踊ってない昼が気に入らない」
と健司は歌詞を変えて歌いながら、手拍子パートでは何万人もの完璧に整った手拍子に「すごい!」と驚きを隠しきれていない。
ツアーを重ねることで会得した、曲のアウトロと次の曲のイントロを繋げるようなライブアレンジはフェスでも健在で、途切れることなく「KITAKU BEATS」に突入すると、
「ベストアクト狙いにきました!」
と健司が自信に満ちた歌詞に変えて歌う。こうした部分は自分たちのライブのやり方を確立させ、こうしてたくさんの人が見にきてくれるようになり、巨大なステージに立つようにもなったからこそ芽生えたフロントマンとしての自覚だろう。
最新作「TOGENKYO」からは康司のゴリゴリのベースがリズムを牽引する「パラレルロール」が披露されたかと思いきや、少しのブレイクを置くと、健司がハンドマイク状態になり、社会に向けたメッセージ性が強い「まちがいさがしの国」へ。確かに夏フェスでもやってはいたが、あの時は収録されたシングルがリリースされたばかりというタイミングだった。しかしそれからミニアルバムが出てもこうしてキラーチューンたちを外してまでこの曲を演奏するという意味。それは楽しく踊ることもこのバンドのライブの楽しみ方だが、このバンドにはちゃんと音楽を通して言いたいメッセージがある、ということを伝えたい気がしてならないし、初めてライブを見た人が帰ってから歌詞を見ながらこの曲を聴いたらバンドのイメージは少し変わるはずだ。
そしてリズムに合わせた手拍子が鳴り響く「かなしいうれしい」からは、今年から新たに導入されたセンターLEDに映像が映し出され、もはやワンマンを見にきたのかと思うくらいの完成度の高さを見せてくれる。
もはや人が多過ぎてMVのダンスを踊るスペースすらない「オンリーワンダー」と後半にもキラーチューンを配し、ラストは赤頭のギターがまるでシンセを弾いているかのようなフレーズを奏でる、2017年にこのバンドが作り上げた「TOGENKYO」へ誘い、健司は演奏が終わると、
「2017年12月29日、COUNTDOWN JAPAN 17/18 GALAXY STAGEに確かにTOGENKYOはありました!」
と叫んだ。その桃源郷は来年もしかしたらさらに巨大なものになっているかもしれない。もはや「オドループ」を最初にやってしまい、「オワラセナイト」をやらなくても成立してしまうくらいの、多彩な手札の揃いっぷりを見るとそんな期待を持ってしまう。というか年明けのアリーナワンマンを経たら間違いなくそのキャパに手が届くバンドになっているはずだ。
リハ.ナイトステップ
1.オドループ
2.KITAKU BEATS
3.パラレルロール
4.まちがいさがしの国
5.かなしいうれしい
6.オンリーワンダー
7.TOGENKYO
TOGENKYO
https://youtu.be/OfBd8kxo4mQ
15:00~ ZAZEN BOYS [COSMO STAGE]
サウンドチェックにメンバー全員が登場し、入念に音を確かめながら「SUGAR MAN」を演奏し始めると、
「個人的な統計ですが、ロッキンオンジャパン読者の80%以上が…HENTAI!」
と歌詞を変えて歌っていた、向井秀徳率いるZAZEN BOYS。長年バンドのグルーヴを担ってきたベーシスト、吉田一郎の脱退が発表されている中での最後のライブである。
メンバー4人が登場すると、カシオマンこと吉兼、吉田、松下敦の3人がひねくり上がりまくったMATSURI SESSIONを開始する中、黒いフォーマルな衣装に身を包んだ向井はビールを飲みながら、メガネをサングラスに変えたりというわけのわからないパフォーマンスを見せている。
向井が鍵盤を弾いたりしながらの「暗黒屋」からスタートするのだが、もはやリズムが複雑過ぎて、踊るどころかリズムに合わせて乗ることすらも困難な凄まじすぎる演奏。いったいどんなリハとかをやればこうなるのだろうか。
「ずっと、永久に、本能寺で待ってる!」
と向井が独特な前口上を入れてからの「Honnouji」、さらに「Tengu」とMATSURI SESSIONは極まっていく中、おなじみの
「幕張、時には女とまぐわり」
というこのフェス初期からの向井節が何度も放たれていく。
サングラスからメガネに戻るという使い分けが全くもってよくわからない「KIMOCHI」ではメタリックなギターの音が響きまくり、向井は絶叫。さらにはメンバー全員がドラムセットの前に集まるのだが、「もっと寄れ」とばかりに向井は吉兼と吉田の頭を掴んでさらにギュッと近くに固まってキメを合わせまくる。
そしてラストは独特という言葉すら超えた歌詞も相まって、酩酊感に包まれる「Asobi」。演奏終了後にはメンバー一人一人を向井が紹介して頭を下げたが、まだまだ遊び足りない、と思うくらいに、吉田一郎が参加するラストライブとは思えないくらいにいつもと全く変わらぬMATSURI SESSIONであった。
しかしながらもう見た目からしてZAZEN BOYSのメンバーでしかないような、しかも向井がソロでイベントに出演する時には物販で売り子も務めるという、演奏以外での貢献を見せていた吉田の脱退というのは本当に大きい。
だが元々ZAZEN BOYSはドラムがアヒトイナザワ、ベースがひなっちこと日向秀和というロックシーンにおいて最強のリズム隊を擁するバンドだった。それだけにそのどちらもが抜ける時は「大丈夫か?」と心配もさせたが、その後に松下敦と吉田一郎が入ってきて今の形になったのは周知の通りである。だからきっと、次もまたとんでもないベーシストが入ってくるんだろうな。
リハ.SUGAR MAN
1.暗黒屋
2.Honnouji
3.Tengu
4.KIMOCHI
5.Asobi
Honnouji
https://youtu.be/lTDeS-PmLgY
15:45~ ヒトリエ [ASTRO ARENA]
リハからキラーチューンを惜しみなく連発し、早くから集まったファンを喜ばせていた、ヒトリエ。近年はCOSMO STAGEを中心に出演してきたが、初出演時と同じASTRO ARENAに帰還。もはやこのフェスにおいてすっかりおなじみのバンドである。
メンバーが登場すると、オープニング感が強いがやっぱり超高速ダンスチューンである「絶対的」から、直前のZAZEN BOYSとはまた違う超絶技巧の演奏を展開していくのだが、やはりこうしてフェスで見ると、他のバンドとは曲の構造そのものが全く違うということがよくわかる。
それは元々はボカロPであったwowakaの作る曲を再現するためのバンドだったという成り立ちからして他のバンドとは違うし、曲にもボカロPならではのサウンドがふんだんに入っているからなのだが、どうしても無機質にならざるを得ないボカロ的なサウンドから、どんどんライブが肉体的、感情的になってきている。
「COUNTDOWN JAPANー!○×$¥%#…」
と相変わらずシノダは何を言っているのか半分以上はわからないくらいに滑舌が悪いのだが、このシノダのジャンプ力やイガラシの音の動きとステージ上の体の動き、ゆーまおの手数のおそるべき多さ、そしてwowakaのハイトーンかつ早口なボーカルと、見た目からは運動能力が全く高そうに見えないメンバーも他の激しいバンドに負けないくらいの運動量を見せ、客席では超高速ダンスロックサウンドに合わせてツーステなどを踊りまくるライブキッズもたくさんいる。
「4年前ですか、初めてこのフェスに出た時もこのASTRO ARENAで。その時は本当に人が全然いなかったんですけど…今はこうしてたくさんの人が見にきてくれるようになって…。よくやってきたなぁと思います」
とwowakaは数えられるほどしか観客がいなかったという初出演時のことを思い返しながら感慨深げに話していたが、ボカロPからロックバンドに転身し、ロックシーンに攻勢をかけていこうとする中での初出演時の客席の様子は、もしかしたらバンド初の挫折であり、「本当にこれで良かったんだろうか?」と思うことだったかもしれない。
しかし今こうして4年前と比べ物にならないくらいにたくさんの人が見にきてくれるようになったのは、それからバンドがひたすらに自らを研ぎ澄ませながらロックバンドとして成長していたからである。
だからこそシノダだけでなく、イガラシとゆーまおまでもがコーラスをする「アンノウン・マザーグース」ではwowakaは
「2017年、初めて愛についての曲を作った」
とも話していた。他のバンドとは全く違う特異なサウンドはそのままに、wowaka自身と彼の作る曲はどんどん人間らしさを増してきている。
だからただただ良いライブだった、というだけでなく、どこか感動にも似た清々しさすらあった。ラストの「センスレス・ワンダー」の時にはシノダが
「よいお年をー!」
と叫び、イガラシはベースを膝立ちで弾きながら後ろにそのまま倒れこむという圧巻のパフォーマンスを見せた。それはもはやヒトリエがただwowakaの作る曲を再現するのではなく、この4人だからこそこのバンドになっていることの証明でもあった。
リハ1.カラノワレモノ
リハ2.ワールズエンドダンスホール
1.絶対的
2.シャッタードール
3.踊るマネキン、唄う阿呆
4.トーキーダンス
5.アンノウン・マザーグース
6.センスレス・ワンダー
絶対的
https://youtu.be/nAFHg1_6rDM
16:20~ go! go! vanillas [GALAXY STAGE]
もはやすっかりGALAXYでもおかしくないところまで成長を果たした、go! go! vanillas。最新アルバム「FOOLs」のイントロ的な曲である「We are go!」のSEで元気いっぱいに登場すると、ロックンロールの魔法にかけるかのように「マジック」からスタートするのだが、牧の男前さを上回る歌唱力はもちろん、いきなりステージを走り回る柳沢と立ち上がりながらドラムを叩くジェット・セイヤものっけから超ハイテンション。
ストレイテナーのホリエアツシがプロデュースした「おはようカルチャー」ではコーラス部分で大合唱を巻き起こし、ベースのプリティが手がけた「デッドマンズチェイス」ではメンバーそれぞれが順番に歌うのだが、ジェット・セイヤはもう上手く歌おうという気はさらさらないとばかりに、
「ロックンロール!!!」
と叫ぶ一方、加入前はボーカルもやっていたという柳沢の歌唱力の高さにはこのバンドのさらなる可能性を感じさせる。(実際に柳沢が作って本人が歌う曲も増えてきている)
そして最後には牧、柳沢、プリティの3人がセンターマイクに集まって一つのマイクで歌うという、楽しくもカッコいいパフォーマンスを展開。
最新作のピアノのサウンドが入り、牧がハンドマイクで歌う、ダンスミュージックの要素も色濃い「バイバイカラー」など、そもそもが音楽マニアであるメンバーの幅広い音楽性を消化していることにより、近年はロックンロールにとどまらないような曲も増えているが、こうしてライブを見るとこのバンドはやはりロックンロールバンドとしてのカッコよさと楽しさをしっかり備えているバンドであることがよくわかる。それは先輩のTHE BAWDIESから受け継いでいるものかもしれないが。
来年が戌年ということで、柳沢による犬の鳴き声コール&レスポンスもすると、「カウンターアクション」で熱さが最高潮に達したと思いきや、
「僕らが生きてきた、平成っていう時代もあと2年で終わってしまう」
という、平成生まれだからこそ平成という時代に強いこだわりを持つ牧の一言には思わずハッとさせられる中で演奏されたのは、平成を生きる我々全員のための「平成ペイン」。
自分たちの核にあるロックンロールを大事にしながらも、時代にしっかり向き合う。だからこそこのバンドはこの規模まで来れた。最初にスペシャ列伝ツアー(KANA-BOON、キュウソネコカミ、SHISHAMOという今となってはとんでもないバンドたちと一緒だった)でライブを見た時はここまで来るなんて全く想像していなかっただけに、この進化のスピードは凄まじいものがある。
1.マジック
2.おはようカルチャー
3.デッドマンズチェイス
4.エマ
5.バイバイカラー
6.カウンターアクション
7.平成ペイン
平成ペイン
https://youtu.be/JsnxgOXXwhA
17:25~ Mrs. GREEN APPLE [GALAXY STAGE]
昨年に続くGALAXY STAGE出演だが、今やメインステージ候補最有力と言ってもいい存在となった、Mrs. GREEN APPLE。
EDM色の強いSEで相変わらず華やかな見た目のメンバーが登場すると、打ち込みのサウンドが流れ出して始まったのは、タイアップもあってさらにこのバンドの音楽を広い世代にアピールした「WanteD! WanteD!」。
続く「REVERSE」も含めて高野がシンセを弾いたり、藤澤が舞うようにステージを動き回ったり、大森がハンドマイクで歌ったりと、もはやバンドという編成から完全に解き放たれている。
「Mrs. GREEN APPLEのライブ見るの初めてな人~?」
「みなさん、今年はどんな年でしたか?」
など、やたらと普通なことばかり大森が聞くことにどこか違和感を覚えていたら、やはり機材トラブルが発生したらしく、それが修復されるのを待っていたらしい。
「我々、ロッキン系どうなってるんですか!?」
と言っていたが、去年の夏にも最後の「サママ・フェスティバル!」で機材トラブルとなり、同期なしバージョンで演奏したこともある。
機材が復旧してから演奏されたのは、先ほどまでの「非バンド化」をさらに推し進めた、もはやUSボーイズポップのごときサウンドと、哲学的だったり達観的な歌詞が多いこのバンドにしてはビックリするくらいに意味のない歌詞の最新曲「WHOO WHOO WHOO」。こうした曲が新曲として出てくるということは完全にバンドの意識はそちらに向かっているのだろうし、メンバーの出で立ちもそうしたグループを意識したようなものになってきている。
かと思えば、音楽プロデューサーの蔦屋好位置が「車を運転していて、ラジオで初めて聴いた時に衝撃的過ぎて車を路肩に停車させた」というエピソードを開陳した壮大なバラード「鯨の唄」と音楽性の幅広さを見せるのだが、まさに鯨が回遊するような映像が流れる中で歌う大森の歌唱力がとんでもなく高い。ただ上手いというだけでなく、こうした巨大な会場で遠くまで飛ばせるような声をしている。
さらに2017年だからということで演奏された「No.7」で初期のギターロックに回帰すると、最後は「StaRt」「Speaking」という、今となればバンドの変化の前触れとも取れる2曲で大合唱を巻き起こし、大森はやや声色を変えたりしながら歌うというエンターテイナーっぷりも見せた。
自分の好み、趣味としては完全に初期のギターロックなのだが、今でもMrs. GREEN APPLEのライブを見ると感動してしまうのは、大森元貴のメロディと歌はもちろん、他のバンドでは見たことない景色をミセスが見せてくれるから。それは10代くらいの人たちがこのバンドに夢を見たり、救われたりしている理由そのもの。そういうバンドと一緒に成長していけるのがうらやましくすら感じる。
去年はPerfumeの真裏で超満員、今年はホルモンの裏でさすがに超満員にはならなかったが、ホルモンが終わった後の時間から一気に人が増えた。他のバンドならガラガラになってもおかしくないポジション。このメッセでワンマンを行なった後の来年のミセスは間違いなくEARTHに立ってるはず。
リハ.SimPle
1.WanteD! WanteD!
2.REVERSE
3.WHOO WHOO WHOO
4.鯨の唄
5.No.7
6.StaRt
7.Speaking
WanteD! WanteD!
https://youtu.be/PbISczErpKY
18:15~ the HIATUS [EARTH STAGE]
いつものようにサウンドチェックで「Silver Birch」を演奏するというサービス精神を見せてくれた、the HIATUS。今年はリリースがないにもかかわらずツアーを行ったりしたことにより、なかなかレアな曲を久しぶりにライブで聴いたりすることもできたが、そんな2017年のライブ納めがこのステージである。
メンバーが登場するといきなりメンバーそれぞれの凄まじく主張の強い音がぶつかり合いながらも一つに調和していく「The Flare」から始まるというのは近年はもはやおなじみ。
近作のエレクトロ色の強い「Clone」ではセンターLEDに美しい映像が映し出され、細美武士の歌声も広い会場いっぱいを包み込むように響き渡っていく。
細美がハンドマイクで自由に動きまくる「Thirst」、masasucksが前半でギターを全然弾かないという極限まで削ぎ落とされたサウンドの「Bonfire」と様々な時期の曲を満遍なく披露していくと、
「来年はレコードを作らないつもりなんだけど、新曲を作ったんでみんなに聞いてもらおうかと。まだフルバンド編成ではやるの初めてなんだけど、良い曲だと思うよ」
と言って演奏されたのは、すでにブルーノートでのアコースティック編成、通称大人エイタスでも披露されていたという新曲「Life in Technicolor」。細美がハンドマイク、masasucksがアコギという「A World of Pandemonium」期を彷彿とさせる形態とサウンドで、ひたすらにメロディの良さが際立った曲なのだが、近年はthe HIATUSで新曲をやる時は細美は
「1回聴いただけでは良さがわからないような~」
と言っているが、この曲に関しては「良い曲だと思うよ」と言っていただけに、自信があるのだろう。これから生まれる曲がこの曲の路線になるのかは今はまだわからないが。
細美がひたすらに歌に向き合う「Radio」の後は、
「俺にはできないことがある。ワーッてみんなを盛り上げたり、ニコニコしてみんなを安心させたり、愛想笑いをするようなことはできない。でも一生このままでいるからよろしく」
と自身の生き方を語った。愛想笑いができないということは、嘘がつけないということ。それは音楽においてもそう。ひたすらに自分がやりたいことを追求して、納得がいくものだけを出す。だからHIATUSの曲はどこまでも尊いし、HIATUSだけではなくて、細美武士の音楽には嘘がない。それはこれからもずっとそう。
そして細美が内なる思いを爆発させる「Insomnia」から手拍子が鳴り響く「紺碧の夜に」でバンドの演奏がピークを迎えて終了…かと思いきや、最後の最後に演奏されたのは、ツアーと同じく「Sunburn」で、どこか夏の到来を待ち望むかのような気分にさせた。
正直言って、ロッキンでもCDJでももはやthe HIATUSはメインステージが埋まるバンドではなくなってきている。細美的にはGALAXYの方がやりやすいというのもあるだろうが、やはりバンドの曲のスケールと細美の歌唱力を考えると、いつまでもこのキャパで鳴り響いて欲しい音楽だと思える。来年も、これからもどうかよろしく。
リハ.Silver Birch
1.The Flare
2.Clone
3.Thirst
4.Bonfire
5.Life in Technicolor
6.Radio
7.Insomnia
8.紺碧の夜に
9.Sunburn
Insomnia
https://youtu.be/IiZ1rKMJynI
19:00~ 忘れらんねえよ [COSMO STAGE]
去年はこのステージで年越しを務めた、忘れらんねえよ。今年は2日目のトリという、完全に大事なポジションを任せられるバンドになった。
時間になると、会場に[Alexandros]「ワタリドリ」が流れ始め、ステージにサポートのマシータとタナカヒロキ(LEGO BIG MORL)を含む4人が登場するのだが、柴田が「ワタリドリ」を普通に曲に合わせて歌いまくるため、なかなか演奏に入ろうとせず、梅津をはじめメンバーに諌められてようやく歌うのをやめ、4人で「SEXY」ジャンプを決めてからそれぞれの持ち場に。
「今年はヒルクライムとか、日馬富士とかいろんな事件があったけど、最大の事件といえばこれでしょう!」
と言って、曲に入る前に
「チャットモンチー!」「ありがとう!」
といきなり胸が熱くなるコール&レスポンスを展開し、タナカヒロキのギターがノイジーに唸りまくる「スマートなんかなりたくない」でスタート。さらに「この高鳴りをなんと呼ぶ」とキラーチューンを続けると、「ばかばっか」では間奏で恒例のビール一気飲みを行うのだが、
「みんなの今年一年の嫌なことを全部このビールに送ってくれ!俺がそれを飲み干してやる!」
と言い、観客の一年間の嫌なことを全て受け止める。
そうこうしてるうちにいつの間にかCOSMO STAGEは超満員になっており、
「すごいよ。俺夢見てるみたいだよ。こんなにたくさん見にきてくれて、本当に嬉しい。ロックンロールってなんか不思議な力があるんだよな。俺、よくわかんないけど、チャットモンチーのライブを見て本当に救われたんだよ」
と、バンドに挫折した自身が再びこうして音楽に向かうきっかけになったチャットモンチーへの感謝をここでも語り、
「絶対 俺変わったりしないから 俺変わったりしないから」
と決意をエモーショナルにぶちまける「俺よ届け」、「いい人どまり」と近年のリード曲を連発するのだが、面白いパフォーマンスも未だにあれど、こうして巨大化したステージが超満員になるようになったのは、結局のところ楽曲の力によるものである。というか曲が良くなかったらもうとっくに消えているくらいの年数をこのバンドはサバイブしてきている。
そして観客にスマホライトを点灯させて、「忘れらんねえよ」を大合唱させるという感動的なフィナーレ…かと思いきや、
「アンコールすぐ出てくるからな!待ってろ!」
と言うと、本当に1分経たずに再登場(捌ける意味すらあったのか)し、
「来年戌年じゃないですか。俺たち、「犬にしてくれ」っていうアルバムを出して、その時に柴犬のグッズを作ったんだけど、可愛くて売れるからそのままずっとそのグッズを売ってたら、今年のCDJのオフィシャルの物販とデザインがモロ被りした(笑)」
と笑わせながらも、「犬にしてくれ」を柴田が絶唱するかのようなエモさを見せ、柴田と梅津が演奏しながら何回も床に倒れこむ。そうして全ての力を出しきりながらも、最後はみんなでジャンプしてこの重要な位置でのライブを見事にやりきった。
面白いのも当たり前だが、この日のライブには忘れらんねえよがれっきとしたロックバンドであることの理由が詰まっていた。願わくば、そのきっかけを与えてくれたチャットモンチーが完結してしまう前に、両者が対バンする姿を見てみたい。双方のファンとして。実現したら、柴田はどんなことを言うんだろうか。
SE.ワタリドリ
1.スマートなんかなりたくない
2.この高鳴りをなんと呼ぶ
3.ばかばっか
4.俺よ届け
5.いい人どまり
6.忘れらんねえよ
encore
7.犬にしてくれ
犬にしてくれ
https://youtu.be/DI-X84vkUf4
19:30~ 10-FEET [EARTH STAGE]
忘れらんねえよが終わってからEARTHに駆けつけると、すでに超満員の中、スカパラのメンバーたちがステージに登場して、コラボを展開していた。久々のアルバムに収録されたスカパラとのコラボ曲「HONE SKA」だけならず、「hammer ska」でもコラボを果たすと、KOUICHIが観客へ一年間の感謝の気持ちを伝えようとするのだが、ギターを弾くTAKUMAや勝手に歌い出すNAOKI、さらには照明さんにまで邪魔されて全然思いを伝えられない、というコントを展開。
しかしながら今までは「ライブでセトリがほとんど変わらない」と言われまくってきた10-FEETが、アルバムがリリースされたことにより(しかもこの日が年内ではラストライブとはいえツアー中)、完全にセトリが最新モードに様変わり。これはツアーに行っていない身としては実に新鮮である。
そんな楽しいこと、新鮮なこともたくさんやってくれたが、最後には
「アンコールの時間もらってるんやけど、このまま時間までにできるところまでやります。10分で3曲!」
とTAKUMAが言うと、歌詞を「利根川」と千葉バージョンに変えた「RIVER」から「goes on」、さらには「CHERRY BLOSSOM」をめちゃテンポを速くして連発することにより、本当に時間オーバーすることなくキラーチューンを全てやりきった。こういうサービス精神(しかもそれを実際にできる技術をしっかり持っている)こそが10-FEETがたくさんの人から愛され、リスペクトされ続ける由縁。
今年はサカナクションやRADWIMPSが出ないということで大物不在と言われていたが、このバンドがちゃんと毎年のようにいてくれてるじゃないか。
1.蜃気楼
2.1sec
3.HONE SKA feat.東京スカパラダイスオーケストラ
4.hammer ska feat.東京スカパラダイスオーケストラ
5.VIBES BY VIBES
6.1 size FITS ALL
7.太陽4号
8.ヒトリセカイ
9.その向こうへ
10.RIVER
11.goes on
12.CHERRY BLOSSOM
1 size FITS ALL
https://youtu.be/WEpoc6bvuAk
Next→ 12/30 COUNTDOWN JAPAN 17/18 @幕張メッセ
