COUNTDOWN JAPAN 17/18 day1 @幕張メッセ 12/28
- 2017/12/30
- 00:31
ロッキンオン主催の年末最大のフェス、COUNTDOWN JAPAN。早くも今年も1年を締めくくる祝祭の時期に。
今年はCOSMO STAGEのキャパが拡大し、各エリアの装飾も変化する中、場内に足を踏み入れると、メインステージであるEARTH STAGEの床に何やら敷き詰められているのが目を惹く。これはコンクリートによる足への負担軽減ということだろうか。
今年もステージは
EARTH STAGE
GALAXY STAGE
COSMO STAGE
MOON STAGE
ASTRO ARENA
の5つ。前述の通りにCOSMO STAGEは少しのキャパアップを果たしている。
しかしこの日、例年より入場するまでに時間がかかったのはなんだったんだろうか。
12:00~ amazarashi [COSMO STAGE]
紗幕に映像が映し出されるというライブの演出の都合上、3回目の出演全てでトップバッターでとなった、amazarashi。去年まではGALAXYだったが、今年はCOSMOである。
特に前説も何もなく、いつものようにステージ前には紗幕(いつもよりやや薄め?)が張られている中、12時ちょうどになるといきなりその紗幕に映像が投影されると同時に始まる、メンバーの演奏。リリースされたばかりのフルアルバム「地方都市のメメント・モリ」の1曲目の「ワードプロセッサー」が、タイトルの通りにワープロをタイプしながら歌詞が次々に映し出されていく。始まる前までの浮かれたような会場の空気をかき消していくくらいに強い言葉の数々を噛み締めずにはいられない。
さらに「空洞空洞」と新作からの曲が続くのだが、こちらもまた紗幕には歌詞が全編に渡って映し出される。すでに先日の秋田ひろむの弾き語りではアルバムリリース前ながらも演奏されていたが、こうしてバンド編成で演奏されるのを聴くと、改めて豊川真奈美(キーボード)のサビ全編に渡るコーラスが強くなっているのがよくわかる。秋田は時間が早いからか、いつもよりは喉が少し苦しそうで、歌を飛ばしてしまう箇所(歌詞が映し出されているだけにすぐにわかってしまう)もあった。
さらにコーヒーのCMでも大量にオンエアされている「フィロソフィー」では制服を着た少女が言葉の闇の中を駆け抜けていく映像が映し出されていくのだが、ここまで全てが新作からの曲という、完全に新作モード。ツアーはまだまだ先だし、過去2回の出演では新たなモードを見せるというよりは初見の人にもわかりやすくamazarashiの真ん中に位置する曲を演奏するというスタイルだったが、フェスに出る理由も変わりつつあるということだろうか。
映像を使うこともなく、ストレートなバンドサウンドではなく、幽玄なサウンドスケープの上に秋田の紡ぐ言葉が乗っていく「名前」は普段はワンマンでも全くと言っていいほどにやらない曲なのだが、なぜこのタイミングで演奏したのだろうか。
しかし一転してアニメタイアップとなった「空に歌えば」では晴れ渡る空の映像が映し出される中、秋田が歌い始めると同時に客席からたくさんの腕が上がる。普段、ワンマンではみんな微動だにせずに演奏と映像をじっと見ているだけに、こうした光景を見ることはない。ましてや、やはりワンマンの30分間で全てが伝わるようなアーティストでもない。でも確かにこの瞬間はフェスという場でないと見れないものだったし、amazarashiを見たい人がたくさん集まっていたというのが改めてわかり、こうしてフェスに挑んでいく姿勢が嬉しくなった。
そして秋田が言葉を並べてから演奏されたのは、同梱小説のストーリーを可視化したような、人形が次々に潰されていく映像が流れる中、
「心さえ なかったなら」
というフレーズが見ている全ての人に「人間らしさとは?」と問いかける「命にふさわしい」。
やはり、ワンマンの時のように2時間以上かけて一つのストーリーを描いていく、というわけにはいかない。でも、毎回ツアーがある度にライブに足を運んでいても、amazarashiのライブを見れるのは多くて年に3~5回というくらい。それが1回でも増えるのならば、こうしてフェスに出てくれるのも本当にありがたいし、嬉しい。今年も出てくれてありがとう。
1.ワードプロセッサー
2.空洞空洞
3.フィロソフィー
4.名前
5.空に歌えば
6.命にふさわしい
フィロソフィー
https://youtu.be/Bg_UIwjYnMQ
12:30~ フレンズ [MOON STAGE]
ボーカルが元THEラブ人間のおかもとえみ、キーボード&ボーカルがnicotenのひろせひろせ、ギターが元HOLIDAYS OF SEVENTEENの三浦太郎、ベースがthe telephonesの長島涼平、ドラムが元The Mirrazの関口塁という、かつてこのフェスに出演したメンバーがいながらも、初出演となる、フレンズ。
結成直後に一躍バンドの名前を音楽ファンの間に知らしめた「夜にダンス」でスタートし、ゆったりと踊らせる横ノリのサウンドはシティポップと括られたバンドたちにも通じるところがあるが、このバンドはもっとJ-POP的なポップさに振り切れている。それはnicotenとしてもポップな音楽を作ってきたひろせひろせ(DEBUと書いてある帽子を着用するという自虐っぷり)によるものが大きいし、THEラブ人間時代はメインボーカルですらなかった、おかもとえみのボーカリストとしての意外なほどの華やかさと歌唱力によるものも大きい。
「初出演なのにこんなにたくさん見にきて来れて、最&高にしてHIGH&LOW!」
という、きゃりーぱみゅぱみゅなんかを意識したと思わしき挨拶を「これは流行るわ~」とメンバー同士が自画自賛しながら、先月リリースの最新ミニアルバム収録の「NIGHT TOWN」ではポップなメロディの間奏で涼平がベースソロを披露し、バンド最年長者とは思えないほどに甲高い声で三浦が物販紹介をした後の「塩と砂糖」ではひろせとおかもとによる指導のあとサビで振り付けが行なわれるのだが、X JAPANなどから拝借したと思しきポイントも含めて面白い。
そしてラストは「Love,ya!」で客席中から腕が振られたのだが、たまにモニターに映る涼平と塁の笑顔を見ると、telephonesとミイラズのファンとして本当にこのバンドがあることで、こうして2人が演奏している姿が見れて嬉しくなるのだが、Zepp DiverCityすらもソールドアウトするようになり、このステージも満員になっているという状況は、もはやいろんなバンドのメンバーたちが集まったバンドという意味合いをはるかに超えてきている。そしてインタビューを読む限り、メンバーたちはすでにその先を見ている。これまでに経験したきたバンドで見てきたものよりも、もっといい景色をこのバンドは見れるようになるかもしれない。
1.夜にダンス
2.DIVER
3.NIGHT TOWN
4.塩と砂糖
5.Love,ya!
NIGHT TOWN
https://youtu.be/85SlK77zW3g
13:15~ KEYTALK [EARTH STAGE]
本番よりかなり前からすでにメンバーがステージに現れ、サウンドチェックとして曲を連発してファンを喜ばせていた、KEYTALK。2年連続でEARTH STAGEへの出演である。
NEXT ARTISTの文字がスクリーンに映った直後に演奏が始まったのは、「まだ時間あるんじゃない?」と言って開演ギリギリまでサウンドチェックをやり、そのままステージにいたからという登場の時間の無駄を省いたからこそであるが、小野武正の髪が金髪のかなりモジャっとしたものになっているのが目を惹く中、「桜花爛漫」「Love me」というラブソングの系統にあたる曲をまずは続けると、「YURAMEKI SUMMER」で熱気に満ちた会場は真冬であるということを忘れて真夏になったかのようですらある。
「初めてこのフェスに出た後に作った曲」
と武正が紹介しての「fiction escape」からは徐々に踊らせる方向へ移行していくが、前半のラブソングの存在によって、ただ踊らせるだけのバンドではないというところを見せているから、バンドの懐の深さがよくわかる。
サビでは観客が独特のダンスを踊る「MABOROSHI SUMMER」ではなぜか首藤義勝と寺中友将のボーカル2人が演奏中に肩を組むというシーンもありつつ、来年リリース予定の新曲「ロトカ・ヴォルテラ」も披露。踊れて楽しめるという意味では確かにKEYTALK的なイメージ線上のものだが、今までの曲とは少し違った要素も感じるのはやはりその独特なタイトルもあるからだろうか。
するとここで武正がアルバムリリースや横浜アリーナワンマンもあった2017年を振り返ると、なんと早くも3月にニューアルバム「Rainbow」をリリースすることを発表。すでに日程が出ていたツアーはそのアルバムのツアーになることも合わせて発表されたが、このあまりのハイペースさはなんなんだろうか。アルバムを出してツアーもたくさんの本数を行い、さらにフェスやイベントだけでなくテレビにも出ている。いったいいつアルバムほどのボリュームを作る時間があったんだろうか。メンバーそれぞれの生活リズムすらも気になってくる。
そしてメンバーの名前も含んだコール&レスポンスを経た「MATSURI BAYASHI」ではラストサビの前で4人がぴたっとマネキンのごとくに制止。したのだが、寺中の手が徐々に動き始めると、その手にはスタッフからの缶ビールが握られ、「よいお年を」と書かれたその缶ビールを一気飲みするというパフォーマンス。逆サイドに「もっともっと!」と書かれていたことにより、一気飲みした寺中への歓声がさらに大きくなって、最高潮に達したところでサビに入るという見せ方も実に上手い。
結果的には真冬に夏の曲を連発することになった「Summer Venus」では武正以外の3人がEDM的な電子音が鳴り響くパートでパリピのごときサングラスを着用してパーティー感をさらに増幅させ、トドメに放たれたダンスアンセム「MONSTER DANCE」では八木が笛を吹く部分で武正も八木の真横のカメラに寄っていって、ちゃっかり写りまくるというお茶目さを発揮していた。
去年はまだこのEARTH STAGEは抜擢感が強かった。しかしツアーと横浜アリーナでのワンマンを経験してきたことにより、メンバーそれぞれとバンドそのものは大きな筋力アップを果たした。同じステージで見るからこそ、その一年間の成長ぶりが本当によくわかる。というかここまで一年で進化したということは、またアルバムを出してツアーを終えた来年の今頃にはどうなっているのだろうか。このキャパでトリをやっていてもおかしくないかもしれない。
リハ1.HELLO WONDERLAND
リハ2.S.H.S.S.
リハ3.太陽系リフレイン
1.桜花爛漫
2.Love me
3.YURAMEKI SUMMER
4.fiction escape
5.MABOROSHI SUMMER
6.ロトカ・ヴォルテラ
7.MATSURI BAYASHI
8.Summer Venus
9.MONSTER DANCE
MATSURI BAYASHI
https://youtu.be/VK7y85uNevg
14:00~ SKY-HI & THE SUPER FLYERS [COSMO STAGE]
夏のロッキンにも出演し、Czecho No Rebuplicともコライトシングルをリリースするなど、ロックシーンへと打って出てきている、SKY-HI。AAAのメンバーでもある日高光啓のヒップホップアーティストとしてのソロである。
ホーン隊やコーラス隊など、総勢10名の大所帯バンド、THE SUPER FLYERSを従えて、スーツに身を包んだ日高が登場すると、まずはラップというよりも歌に主軸を置いた「愛ブルーム」「Seaside Bound」でその歌唱力の高さを遺憾なく発揮していく。THE SUPER FLYERSのゴージャスな演奏も実にファンキーである。
「スマイルドロップ」からはさらに4人の男性ダンサーたちも登場し、日高は歌いながらダンサーたちとともに踊るという、歌以外の武器も見せつける。汗でびしょ濡れになりながらも、それでもスーツは脱がないというあたりは彼なりの美学なんだろうか。
「Double Down」からは徐々にラップの割合が増えて行くが、この人の最大の武器にして、ヒップホップアーティストとして活動できてきた理由は、やはり超高速ラップ。ということでこの日もしっかりそのラッパーとしてのスキルをフルに見せつけるような超高速ラップを展開するのだが、
「やっぱり30分では短い。もっとラップする曲もやってから最後の曲に行きたかった。でも次は40分できるステージで待ってるからな。
そしてもう2017年も終わりだけど、みんな2017年はどんな年だった?良かった人?良くなかった人?まぁそういう人もいるよな。
俺たちミュージシャンはよく夢を見せる人、って言われるけど、俺は今日みんなに夢を見せにきたんじゃない。みんなの現実が夢を追い越すために来たんだ!」
とあまりにもカッコよすぎるだろう、というSKY-HIとしての決意と生き様を見せつけるかのようなMCの後に演奏されたのは、まさにその言葉を曲にしたかのような「ナナイロホリデー」。
歌い終わると、
「THE SUPER FLYERSに大きな拍手を!できれば俺にも拍手を!(笑)
そしてこの時間、ここに来てくれたみんなに賛辞を!」
と言ってステージから去った。当然、会場からおきた大きな拍手はSKY-HI本人に向けられていた。
KREVAらとともに「PROPS」に参加した際にラッパーとしてのスキルの高さは重々承知していたが、それだけではない、歌唱力やダンス、さらにはメッセージと、自分の持ちうる全てのものをこの30分に凝縮してきた。
その持ちうる能力が全て一級品であるのはもちろん、国会で共謀罪が成立した直後に「キョウボウザイ」という曲をネットにアップし、
「ヒップホップアーティストとして、社会のことに知らぬ存ぜぬではいられない」
と語る、とてもアイドル的なグループの一員とは思えないくらいの芯の強さ。
それは今のロックバンドたちにはできていないことである。でもこの男はなんのしがらみも恐れずにそれをやってのける。
ヒップホップミュージシャンとしても、表現者としても、男としても惚れた。顔がイケメンとかはどうでもいい。中身がカッコいいかどうかだ。
1.愛ブルーム
2.Seaside Bound
3.スマイルドロップ
4.Double Down
5.カミツレベルベット
6.Tyrant Island
7.Turn Up
8.ナナイロホリデー
Double Down
https://youtu.be/bhk5XxE9BzM
15:00~ SPECIAL OTHERS [COSMO STAGE]
かつてはインストバンドとしては異例のメインステージ出演も果たしたことのある、SPECIAL OTHERS。前回の年明け直後のGALAXYを経て、今年はCOSMOに登場。
時間前からまさに「サウンドチェック」とばかりに曲をやるわけではなく、メンバー同士がジャムったりしていたが、本番で登場すると、ゆったりとそれぞれが音を奏でて行く。近年はフェスではレア曲はほとんどやらないだけに、最初の聞き覚えの薄さには「ん?」と思ったし、やはり周りもぽかーんとしていたが、途中でハッと気づいた。これはストレイテナーのトリビュートに参加した「TRAVELING GARGOYLE」のインストカバーであった。なんの前触れもなく、ましてやテナーと同じ日でもないのにこの曲をやったというのは、今年はこのバンドにとってこのトリビュートへの参加が大きな出来事だったということだろうか。
さらに特徴的な芹澤のキーボードのフレーズで大歓声があがった「AIMS」で踊らせまくり、ウッドベースからエレキに持ち替えた又吉が体を激しく揺すりながらリズムを刻んで行く「PB」と代表曲にしてキラーチューンを連発していくと、MCでは芹澤と宮原が3日早いカウントダウンを敢行してしまい、
宮原「いやー、明けましたね」
芹澤「今年は年越しの瞬間という大役を任されましてね」
宮原「このバンドはツッコミの人がいないんで、これだとこのまま続いてしまいますよ(笑)
そんなことよりもね、春に東京と大阪の野音でのワンマンが決まったんですよ。野音は抽選が全然当たらないんで久しぶりなんですよ」
芹澤「まるでフェスに行ったかのような満足感がフェスよりはるかに安い値段で得られるという我々の野音ワンマンですからね(笑)」
ととても止まりそうにない暴走気味のMCがなんとか終わると、最後に演奏されたのは「IDOL」。徐々に温度が上がっていき、ブレイク部分ではそれぞれの楽器の音がこの日最も大きくぶつかり合い、芹澤はピアニカの演奏部分でアレンジを加えながら、最後には他のメンバーとしっかりと顔を見合わせながらカウントを取っていく。ずっと4人でやってきたからこそ、クリックも同期も必要ない、顔を見るだけで合わせることができる。
やっぱりライブが本当に素晴らしいバンドなだけに、せっかくの日比谷野音ワンマンは久しぶりに行きたい。1曲が長いだけにフェスだとどうしても4曲くらいしかできないし。
1.TRAVELING GARGOYLE
2.AIMS
3.PB
4.IDOL
AIMS
https://youtu.be/Wt6Xkp-8mNY
15:30~ Gotch & The Good New Times [MOON STAGE]
この日はアジカンでEARTHのトリも務めるゴッチ。ソロことGotch & The Good New Timesとのダブルヘッダーであり、ソロで先に出演。
揃いのオシャレな衣装を見にまとい、ゴッチはキャップを被る中、井上陽介(Turntable Films)がバンジョーを弾く「Tokyo Bay」からスタートするのだが、やはりソロではアジカンとは違う言葉遊び的な歌詞がライブで聴くとより目立つ。
ヒップホップ的なサウンドアプローチの「Wonderland」ではアジカンのサポートメンバーでもあるシモリョーの貢献度が、
「時計はいつか止まってしまう この恋もいつか終わってしまう
世間を呪う暇なんてないさ 命を燃やしたいだけ」
という歌詞が大好きな「Can't Be Forever Young」ではハープを吹く井上と手拍子を煽るYeYeの存在感が強いが、そんな個性的なメンバーの中にあって、mabanuaの手数の多さと音の重さを兼ね備えた、3割30本30盗塁できる選手のごときドラムはさすがゴッチに「スーパードラマー」と形容されるだけはある。
そのゴッチがハンドマイクでステージを歩きながら歌うのは今年リリースの最新曲である「TAXI DRIVER」だが、ゴッチはほぼ満員と言っていいような客席の埋まり具合にもかかわらず、
「俺、人気ないからスペースに余裕があって踊りやすいでしょ(笑)」
と自虐しつつ、英語歌詞の割合が増えた2ndアルバムにおいてゴッチの日本語の歌詞の面白さが光るタイトル曲「Good New Times」を演奏すると、やはり
「出演する度に持ち時間が短くなってる(笑)」
「毎回俺の物販はガラガラなんだよ(笑)」
と自虐は止まらないが、このメンバーでのテーマ曲のような(かつてまだバンド名がない状態のツアーでは2回演奏されたりしていた)、「A Girl in Love」を終えると、
「今日は最後に1番デカいステージでまた会いましょう」
と珍しくソロでアジカンへの意気込みを感じさせる言葉を発していた。
ゴッチが言う通りにソロだと持ち時間はかなり短いが、春フェスの時とやる曲がほとんど変わらないのはそういう理由もあるのだろうか。あまりにも自虐し過ぎなのでもうちょっと自信を持っても欲しいところではあるけれど。
1.Tokyo Bay
2.Wonderland
3.Can't Be Forever Young
4.TAXI DRIVER
5.Good New Times
6.A Girl in Love
TAXI DRIVER
https://youtu.be/QH2xYbpk5ps
16:00~ さユり [COSMO STAGE]
完全に甘く見ていた。Gotchが終わった直後に始まる、酸欠少女・さユり。今年リリースした1stフルアルバム「ミカヅキの航海」はオリコンデイリーチャートで1位を獲得したが、その勢いそのままに、入り口が大行列になるくらいの大混雑と超満員。結局、中に入れたのは新曲が終わってからであり、頭の3曲は外で並びながら音漏れを聴くというもったいない結果になってしまった。
中に入ると、いつもの戦闘服であるポンチョを羽織ってアコギを手にしたさユりが、
「次の曲はRADWIMPSの野田洋次郎さんに書いてもらった曲。こっぴどくフラれた女の子の歌」
と言って「フラレガイガール」のいかにも洋次郎らしいフレーズに満ちた女々しい言葉たちが、さユりの透明感がありながらも力強く伸びのある声で放たれていく。最近は喉の調子があまり良くないライブがあることもたまに聞いているが、この日はとりあえずは問題はなさそうである。
前半を全く見れなかったので、あっという間のラストは
「ここに戦線布告の光を灯すよ」
と告げる「アノニマス」。タイアップ効果だからか、「フラレガイガール」に負けず劣らずな歓声が上がっていたが、この人は洋次郎や梶浦由記が提供してる曲を歌うシンガーという持ち味もあるが、何よりも自分自身が素晴らしいメロディメーカーである。それだけに全曲自分で作った方がいいんじゃないか、という感じすらするが、そうして素晴らしい作曲者の曲を歌うことで掴めるものもあったりするのだろうか。
全くと言っていいほどに踊ったり歌ったりせず、じっと微動だにせずにステージを凝視するだけというスタイルでここまで来れたのは本当に凄いことである。それを可能にしているのはやはりさユりの声と曲の力。それさえあれば、どこまででもいけるような予感すらしている。
1.十億年
2.ミカヅキ
3.月と花束
4.フラレガイガール
5.アノニマス
十億年
https://youtu.be/CUnIza2lr90
17:00~ KANA-BOON [EARTH STAGE]
初出演時のGALAXY以降は常にEARTHに出演し続けてきた、KANA-BOON。
サウンドチェックからメンバーが出てきて曲を演奏すると、いったん掃けてからの本番ではMCもなしに登場し、いきなりの「フルドライブ」で疾走感に溢れていく。
続く今年リリースの最新作「NAMiDA」からの「ディストラクションビートミュージック」もリリース前からフェスなどでやり続けてきただけはあり、すっかりおなじみの曲になってきていると同時に、サウンドの力強さに驚かされる。特に小泉のドラムは頼もしさすら感じるようになってきている。
今までのKANA-BOONのイメージを覆すようなシリアスなムードと歌詞の「Fighter」はアニメタイアップがあったからこそ生まれた曲かもしれないが、改めて谷口鮪の作家性の高さを知らしめる結果となった。
「この会場入る時、「ROCK STAR」っていう看板の下を通ってくるんで、俺たち止められたりせんかな?ってちょっと不安だったんやけど、無事に入れて(笑)
ROCK STARって言われてもさ、今日この後ガス代と水道代払いに行かないといけないし(笑)」
という妙にリアルな話で笑わせながら、タイトル通りに思わず涙が出そうになるほどに切ない「涙」はこのバンドのメロディの美しさを改めて実感させられるし、「結晶星」「盛者必衰の理、お断り」という初期の曲たちはバンドが変わろうとしてきた歩みを知ることができる。
「今年は色々なことがあった1年でした」
と波乱や試練が訪れた1年だったことを振り返りながら、
「レアな曲をやります。ステージで演奏するのは高校の文化祭の時以来かな?」
と鮪が言う。KANA-BOONは発表されている曲はインディーズ時代の曲も含めてライブで演奏しているだけに、そんなにやってない曲あったっけ?と思っていたら、それはこの日のトリを務めるアジカンのトリビュートに参加した「君という花」のカバーであった。
KANA-BOONはデビューしてすぐにブレイクしたが、その際に「4つ打ちバンド」と批判されることも多々あった。しかしそれは単に「盛り上がるから」とか「簡単だから」という理由ではなく(本人たちは初期のインタビューでは「あれしかできなかった」と語ってはいたが)、4つ打ちであるこの曲を自分たちで演奏していたという音楽的なバックグラウンドがしっかりあったからこそ、デビュー時にああしたスタイルであったということがよくわかるし、それは批判されるようなことでもなく、自分たちの愛する音楽へのリスペクトという結果だったのである。会場の誰よりも笑顔で楽しそうに演奏する鮪と飯田の顔がそれを物語っていた。
「アジカンには内緒やで」
と演奏後に言いながら、最後には「シルエット」「バトンロード」という決意の2曲を演奏し、様々なことがあった2017年の関東でのライブを納めた。
そのKANA-BOONの2017年にあった様々なことには、当然飯田による世間を騒がせたことも含まれている。でもあれがあったから、KANA-BOONは変わった。ただ演奏が上手くなったんじゃなくて、音楽への姿勢が変わった。もう自分たちには音楽、このバンドしかない。そうした気持ちが音からしっかり出るようになった。見た目は未だに浪人生みたいな4人だが、その中身は去年までとは比べ物にならないくらいに変わっている。来年からもきっと、もっと頼もしいバンドになっていくはずだ。
リハ.クラクション
1.フルドライブ
2.ディストラクションビートミュージック
3.Fighter
4.涙
5.結晶星
6.盛者必衰の理、お断り
7.君という花
8.シルエット
9.バトンロード
涙
https://youtu.be/MWCEmiecS1E
18:15~ WANIMA [EARTH STAGE]
例年、初日の28日というのはチケットが売れ切れないこともあるし、他の日に比べると空いている。
だが今年は全くそんなことがなく、この時間のEARTH STAGEが端から端まで超満員という状況になったのは、このWANIMAがいるからである、というのが非常によくわかるくらいのとんでもない人である。
「JUICE UP!のテーマ」がけたたましく流れる中、KENTAをはじめとするメンバーが元気良く登場し、KENTAはカメラをゆすりまくったりしてから、
「熊本県出身、東京都在住、WANIMA!」
と挨拶しようとすると、
「開催しまーす!!」
のセリフからもはや何万人もの人が大合唱している。まだ曲が始まる前にもかかわらず、観客の期待が溢れまくっている。
いざ「オドルヨル」でスタートすると、まさにこの時間のこのステージの状況は「オドルヨル」そのものであるというくらいの凄まじい熱狂ぶりで、KENTAはラストサビ突入前にベースを置いてステージを端から端まで走り回りまくり、
「オドル オドル オドル オドル…」
と何度も繰り返してなかなかサビに入らずに煽りまくる。
さらに「つづくもの」でもKENTAはベースを置いて両サイドを走り回りながら歌うという凄まじい運動量。そうしたパフォーマンスの一つ一つが超満員の会場をさらに熱くしていく。
いったんブレイクして、「中盤戦、開催しまーす!」を再び大合唱させてから突入した「いいから」はバンドの持ち味の一つであるエロさを前面に押し出した曲であるが、そうした曲が
「THANX」のようなストレートな名曲と同じように大合唱アンセムとなってしまうというこのバンドの恐ろしさ。どんな人気バンドでもここまで大合唱できるのは2~3曲くらいである、というのを考えると驚異的ですらある。
年明けにリリースされるアルバムからの先行曲としてドラマ主題歌になった「ヒューマン」でKENTAが心からの叫びを響かせると、
「今年はいろんなテレビにもたくさん出ました。そこでアイドルの人とか、すごい足の長いモデルの人とかとも一緒になったんですけど、それでわかったことがあって。やっぱりロックバンドが1番カッコいい!」
とKENTAは叫んだ。大ブレイクし、この後に紅白歌合戦にも出演するバンドがこうして言い切れることの頼もしさ。もはや日本におけるロックバンドの「これから」を最も背負っているバンドなのかもしれない。
そしてこの日終始笑顔を見せながらギターを弾いていたKO-SHINのなんて言ってるか全くわからない叫びから、
「来年からも、みんなとともに生きていきたい!」
と言って演奏された「ともに」はもはやパンクシーンどころか、日本の音楽シーン全体におけるアンセムとして鳴り響き、「これだけは」で締めかと思いきや、
「まだ時間あるって!今年最後の!」
と「Hey Lady」で最後の最後に大爆発させて終了した。
この日最も多い、何万人もの人が集まり、そして曲をみんなで歌っている。その景色を作っているのがパンクバンドであるという事実。
誰にでもできるくらいにシンプルなことをやっているのに、誰も真似できないし、誰も同じ位置まではいけない。このバンドをそんなところまで導いたのはメロディの力によるものだが、インタビューで
「実はどの曲も最初はスローテンポなんです。それをアレンジして速くしていったりしてる」
と言っていた曲の作り方にもしかしたらヒントはあるのかもしれない。
しかしながらもうパンクやロックというシーンを超越した、我々が少年時代のGLAYやL'Arc~en~Ciel、さらにはミスチルみたいな国民的バンドのポジションすらももはや手中に収めつつある。それくらいのオーラや空気がこの日のライブからは感じられた。
1.オドルヨル
2.つづくもの
3.いいから
4.THANX
5.ヒューマン
6.ともに
7.これだけは
8.Hey Lady
ヒューマン
https://youtu.be/MqfNcXPse6w
19:30~ ASIAN KUNG-FU GENERATION [EARTH STAGE]
この日のトリはすでにゴッチがソロとして出演している、アジカン。
先日のFEEDERとの対バンの時と同様にゴッチがクリスマスツリーを彷彿とさせる、緑色のセーターを着て登場し、「サイレン」~「Re:Re:」と続く序盤も同様だが、「Standard」はその時はやっていなかっただけに、軸は変えずにセトリを変えてくるあたりはさすがというところだが、近年のアジカンはゴッチのテンション如何でライブの出来そのものがかなり左右されるところがあるので、その辺りはどうかと思っていたら、非常にテンションが高く、
「おかしいよ!俺のソロの時はこんなに人いなかったじゃん!(笑)」
とソロの時の自虐さを引きずって笑いを取っていた。
こちらも一目見ただけでテンションが高いのがよくわかる喜多のギターソロが炸裂する、2017年の最新のアジカンの名曲「荒野を歩け」からは「ループ&ループ」「リライト」と「ソルファ」期のヒットシングルを連発。「リライト」ではおなじみの間奏でのダブ的なアレンジのコール&レスポンスもあるのだが、それ以上にゴッチがサビを観客に合唱させるべく煽りまくる。声が出ない時にマイクから離れて、結果的に観客が歌うというパターンも昔はよくあったが、この日はゴッチの声もよく出ており、観客としっかり音楽で会話するための手段であるということがよくわかるし、この辺りも本当にテンションが高く、それが伊地知や山田、さらにはサポートとしてキーボードを弾いたり手拍子を煽るシモリョーら他のメンバーにも伝播しており、バンドそのものが本当にテンションが高い。
「もうわかったよ、クリスマスツリーだよ。メリークリスマス!」
と自らの出で立ちをネタにするくらいに上機嫌なゴッチは続けて、
「若い頃はこういうフェスでレア曲っていうか、あんまり有名じゃない曲を、ナニクソとばかりにやってて。やっぱりあんまり盛り上がらなかったり、シーンとしちゃってたんだけど(笑)
最近フェスではそういうのやってなかったから、久しぶりにフェスで新曲をやってみようかな、って」
と話して演奏したのは、先日も演奏していた新曲「生者の行進」。淡々と歌われていく、決して盛り上がるような曲ではないが、聴くのがこれで2回目なのにもかかわらず、もうある程度メロディを覚えてしまっているくらいに曲の力が強い。「聖者」ではなくて「生者」であることが重要な曲だと思うが、どこかクリスマスから年末にかけての空気を感じさせてくれる。
ゴッチのギターのイントロでやはり大歓声があがった「ソラニン」の圧倒的な名曲感から、シモリョーに導かれるように観客がコーラスを歌う、多幸感に溢れた「今を生きて」でこの日も終了…かと思いきや、伊地知が4つ打ちのドラムを刻み始めると…
「今日2回目のこの曲。あいつら勝手にやりやがって(笑)」
と言って演奏されたのは、この日KANA-BOONが先にカバーした「君という花」の本家バージョン。鮪は演奏後に
「アジカンには内緒やで」
と言っていたが、ゴッチはその演奏をちゃんと見ていたのである。それを見てこの曲を追加したのかどうかまではわからないが、そうして自分たちの曲が若いバンドたちによって継承されていく瞬間を見るのは、この上なく嬉しいことだと思うし、この日ゴッチがテンションが高かったのはそうした理由もあったんじゃないだろうか。
曲が終わると、メンバーが前に出てきて一礼。アンコールはなしで、メンバーが捌けるとすぐにビートルズ「Here Comes The Sun」が流れ出した。アンコールがないのはちょっと残念ではあったけど(時間的には確かにアンコール含めたくらいやっていた)、やはりアジカンは最高だった。また早く、もっと長い時間のライブが見たくなる。
1.サイレン
2.Re:Re:
3.Standard
4.荒野を歩け
5.ループ&ループ
6.リライト
7.Easter
8.生者の行進
9.ソラニン
10.今を生きて
11.君という花
荒野を歩け
https://youtu.be/AbaGY7TWq8A
この日は本当にWANIMAの力に改めて驚かされた1日だった。もはや4日間全てでもトップクラスの集客力を誇るバンドになったのかもしれない、と思うほどに。
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今年はCOSMO STAGEのキャパが拡大し、各エリアの装飾も変化する中、場内に足を踏み入れると、メインステージであるEARTH STAGEの床に何やら敷き詰められているのが目を惹く。これはコンクリートによる足への負担軽減ということだろうか。
今年もステージは
EARTH STAGE
GALAXY STAGE
COSMO STAGE
MOON STAGE
ASTRO ARENA
の5つ。前述の通りにCOSMO STAGEは少しのキャパアップを果たしている。
しかしこの日、例年より入場するまでに時間がかかったのはなんだったんだろうか。
12:00~ amazarashi [COSMO STAGE]
紗幕に映像が映し出されるというライブの演出の都合上、3回目の出演全てでトップバッターでとなった、amazarashi。去年まではGALAXYだったが、今年はCOSMOである。
特に前説も何もなく、いつものようにステージ前には紗幕(いつもよりやや薄め?)が張られている中、12時ちょうどになるといきなりその紗幕に映像が投影されると同時に始まる、メンバーの演奏。リリースされたばかりのフルアルバム「地方都市のメメント・モリ」の1曲目の「ワードプロセッサー」が、タイトルの通りにワープロをタイプしながら歌詞が次々に映し出されていく。始まる前までの浮かれたような会場の空気をかき消していくくらいに強い言葉の数々を噛み締めずにはいられない。
さらに「空洞空洞」と新作からの曲が続くのだが、こちらもまた紗幕には歌詞が全編に渡って映し出される。すでに先日の秋田ひろむの弾き語りではアルバムリリース前ながらも演奏されていたが、こうしてバンド編成で演奏されるのを聴くと、改めて豊川真奈美(キーボード)のサビ全編に渡るコーラスが強くなっているのがよくわかる。秋田は時間が早いからか、いつもよりは喉が少し苦しそうで、歌を飛ばしてしまう箇所(歌詞が映し出されているだけにすぐにわかってしまう)もあった。
さらにコーヒーのCMでも大量にオンエアされている「フィロソフィー」では制服を着た少女が言葉の闇の中を駆け抜けていく映像が映し出されていくのだが、ここまで全てが新作からの曲という、完全に新作モード。ツアーはまだまだ先だし、過去2回の出演では新たなモードを見せるというよりは初見の人にもわかりやすくamazarashiの真ん中に位置する曲を演奏するというスタイルだったが、フェスに出る理由も変わりつつあるということだろうか。
映像を使うこともなく、ストレートなバンドサウンドではなく、幽玄なサウンドスケープの上に秋田の紡ぐ言葉が乗っていく「名前」は普段はワンマンでも全くと言っていいほどにやらない曲なのだが、なぜこのタイミングで演奏したのだろうか。
しかし一転してアニメタイアップとなった「空に歌えば」では晴れ渡る空の映像が映し出される中、秋田が歌い始めると同時に客席からたくさんの腕が上がる。普段、ワンマンではみんな微動だにせずに演奏と映像をじっと見ているだけに、こうした光景を見ることはない。ましてや、やはりワンマンの30分間で全てが伝わるようなアーティストでもない。でも確かにこの瞬間はフェスという場でないと見れないものだったし、amazarashiを見たい人がたくさん集まっていたというのが改めてわかり、こうしてフェスに挑んでいく姿勢が嬉しくなった。
そして秋田が言葉を並べてから演奏されたのは、同梱小説のストーリーを可視化したような、人形が次々に潰されていく映像が流れる中、
「心さえ なかったなら」
というフレーズが見ている全ての人に「人間らしさとは?」と問いかける「命にふさわしい」。
やはり、ワンマンの時のように2時間以上かけて一つのストーリーを描いていく、というわけにはいかない。でも、毎回ツアーがある度にライブに足を運んでいても、amazarashiのライブを見れるのは多くて年に3~5回というくらい。それが1回でも増えるのならば、こうしてフェスに出てくれるのも本当にありがたいし、嬉しい。今年も出てくれてありがとう。
1.ワードプロセッサー
2.空洞空洞
3.フィロソフィー
4.名前
5.空に歌えば
6.命にふさわしい
フィロソフィー
https://youtu.be/Bg_UIwjYnMQ
12:30~ フレンズ [MOON STAGE]
ボーカルが元THEラブ人間のおかもとえみ、キーボード&ボーカルがnicotenのひろせひろせ、ギターが元HOLIDAYS OF SEVENTEENの三浦太郎、ベースがthe telephonesの長島涼平、ドラムが元The Mirrazの関口塁という、かつてこのフェスに出演したメンバーがいながらも、初出演となる、フレンズ。
結成直後に一躍バンドの名前を音楽ファンの間に知らしめた「夜にダンス」でスタートし、ゆったりと踊らせる横ノリのサウンドはシティポップと括られたバンドたちにも通じるところがあるが、このバンドはもっとJ-POP的なポップさに振り切れている。それはnicotenとしてもポップな音楽を作ってきたひろせひろせ(DEBUと書いてある帽子を着用するという自虐っぷり)によるものが大きいし、THEラブ人間時代はメインボーカルですらなかった、おかもとえみのボーカリストとしての意外なほどの華やかさと歌唱力によるものも大きい。
「初出演なのにこんなにたくさん見にきて来れて、最&高にしてHIGH&LOW!」
という、きゃりーぱみゅぱみゅなんかを意識したと思わしき挨拶を「これは流行るわ~」とメンバー同士が自画自賛しながら、先月リリースの最新ミニアルバム収録の「NIGHT TOWN」ではポップなメロディの間奏で涼平がベースソロを披露し、バンド最年長者とは思えないほどに甲高い声で三浦が物販紹介をした後の「塩と砂糖」ではひろせとおかもとによる指導のあとサビで振り付けが行なわれるのだが、X JAPANなどから拝借したと思しきポイントも含めて面白い。
そしてラストは「Love,ya!」で客席中から腕が振られたのだが、たまにモニターに映る涼平と塁の笑顔を見ると、telephonesとミイラズのファンとして本当にこのバンドがあることで、こうして2人が演奏している姿が見れて嬉しくなるのだが、Zepp DiverCityすらもソールドアウトするようになり、このステージも満員になっているという状況は、もはやいろんなバンドのメンバーたちが集まったバンドという意味合いをはるかに超えてきている。そしてインタビューを読む限り、メンバーたちはすでにその先を見ている。これまでに経験したきたバンドで見てきたものよりも、もっといい景色をこのバンドは見れるようになるかもしれない。
1.夜にダンス
2.DIVER
3.NIGHT TOWN
4.塩と砂糖
5.Love,ya!
NIGHT TOWN
https://youtu.be/85SlK77zW3g
13:15~ KEYTALK [EARTH STAGE]
本番よりかなり前からすでにメンバーがステージに現れ、サウンドチェックとして曲を連発してファンを喜ばせていた、KEYTALK。2年連続でEARTH STAGEへの出演である。
NEXT ARTISTの文字がスクリーンに映った直後に演奏が始まったのは、「まだ時間あるんじゃない?」と言って開演ギリギリまでサウンドチェックをやり、そのままステージにいたからという登場の時間の無駄を省いたからこそであるが、小野武正の髪が金髪のかなりモジャっとしたものになっているのが目を惹く中、「桜花爛漫」「Love me」というラブソングの系統にあたる曲をまずは続けると、「YURAMEKI SUMMER」で熱気に満ちた会場は真冬であるということを忘れて真夏になったかのようですらある。
「初めてこのフェスに出た後に作った曲」
と武正が紹介しての「fiction escape」からは徐々に踊らせる方向へ移行していくが、前半のラブソングの存在によって、ただ踊らせるだけのバンドではないというところを見せているから、バンドの懐の深さがよくわかる。
サビでは観客が独特のダンスを踊る「MABOROSHI SUMMER」ではなぜか首藤義勝と寺中友将のボーカル2人が演奏中に肩を組むというシーンもありつつ、来年リリース予定の新曲「ロトカ・ヴォルテラ」も披露。踊れて楽しめるという意味では確かにKEYTALK的なイメージ線上のものだが、今までの曲とは少し違った要素も感じるのはやはりその独特なタイトルもあるからだろうか。
するとここで武正がアルバムリリースや横浜アリーナワンマンもあった2017年を振り返ると、なんと早くも3月にニューアルバム「Rainbow」をリリースすることを発表。すでに日程が出ていたツアーはそのアルバムのツアーになることも合わせて発表されたが、このあまりのハイペースさはなんなんだろうか。アルバムを出してツアーもたくさんの本数を行い、さらにフェスやイベントだけでなくテレビにも出ている。いったいいつアルバムほどのボリュームを作る時間があったんだろうか。メンバーそれぞれの生活リズムすらも気になってくる。
そしてメンバーの名前も含んだコール&レスポンスを経た「MATSURI BAYASHI」ではラストサビの前で4人がぴたっとマネキンのごとくに制止。したのだが、寺中の手が徐々に動き始めると、その手にはスタッフからの缶ビールが握られ、「よいお年を」と書かれたその缶ビールを一気飲みするというパフォーマンス。逆サイドに「もっともっと!」と書かれていたことにより、一気飲みした寺中への歓声がさらに大きくなって、最高潮に達したところでサビに入るという見せ方も実に上手い。
結果的には真冬に夏の曲を連発することになった「Summer Venus」では武正以外の3人がEDM的な電子音が鳴り響くパートでパリピのごときサングラスを着用してパーティー感をさらに増幅させ、トドメに放たれたダンスアンセム「MONSTER DANCE」では八木が笛を吹く部分で武正も八木の真横のカメラに寄っていって、ちゃっかり写りまくるというお茶目さを発揮していた。
去年はまだこのEARTH STAGEは抜擢感が強かった。しかしツアーと横浜アリーナでのワンマンを経験してきたことにより、メンバーそれぞれとバンドそのものは大きな筋力アップを果たした。同じステージで見るからこそ、その一年間の成長ぶりが本当によくわかる。というかここまで一年で進化したということは、またアルバムを出してツアーを終えた来年の今頃にはどうなっているのだろうか。このキャパでトリをやっていてもおかしくないかもしれない。
リハ1.HELLO WONDERLAND
リハ2.S.H.S.S.
リハ3.太陽系リフレイン
1.桜花爛漫
2.Love me
3.YURAMEKI SUMMER
4.fiction escape
5.MABOROSHI SUMMER
6.ロトカ・ヴォルテラ
7.MATSURI BAYASHI
8.Summer Venus
9.MONSTER DANCE
MATSURI BAYASHI
https://youtu.be/VK7y85uNevg
14:00~ SKY-HI & THE SUPER FLYERS [COSMO STAGE]
夏のロッキンにも出演し、Czecho No Rebuplicともコライトシングルをリリースするなど、ロックシーンへと打って出てきている、SKY-HI。AAAのメンバーでもある日高光啓のヒップホップアーティストとしてのソロである。
ホーン隊やコーラス隊など、総勢10名の大所帯バンド、THE SUPER FLYERSを従えて、スーツに身を包んだ日高が登場すると、まずはラップというよりも歌に主軸を置いた「愛ブルーム」「Seaside Bound」でその歌唱力の高さを遺憾なく発揮していく。THE SUPER FLYERSのゴージャスな演奏も実にファンキーである。
「スマイルドロップ」からはさらに4人の男性ダンサーたちも登場し、日高は歌いながらダンサーたちとともに踊るという、歌以外の武器も見せつける。汗でびしょ濡れになりながらも、それでもスーツは脱がないというあたりは彼なりの美学なんだろうか。
「Double Down」からは徐々にラップの割合が増えて行くが、この人の最大の武器にして、ヒップホップアーティストとして活動できてきた理由は、やはり超高速ラップ。ということでこの日もしっかりそのラッパーとしてのスキルをフルに見せつけるような超高速ラップを展開するのだが、
「やっぱり30分では短い。もっとラップする曲もやってから最後の曲に行きたかった。でも次は40分できるステージで待ってるからな。
そしてもう2017年も終わりだけど、みんな2017年はどんな年だった?良かった人?良くなかった人?まぁそういう人もいるよな。
俺たちミュージシャンはよく夢を見せる人、って言われるけど、俺は今日みんなに夢を見せにきたんじゃない。みんなの現実が夢を追い越すために来たんだ!」
とあまりにもカッコよすぎるだろう、というSKY-HIとしての決意と生き様を見せつけるかのようなMCの後に演奏されたのは、まさにその言葉を曲にしたかのような「ナナイロホリデー」。
歌い終わると、
「THE SUPER FLYERSに大きな拍手を!できれば俺にも拍手を!(笑)
そしてこの時間、ここに来てくれたみんなに賛辞を!」
と言ってステージから去った。当然、会場からおきた大きな拍手はSKY-HI本人に向けられていた。
KREVAらとともに「PROPS」に参加した際にラッパーとしてのスキルの高さは重々承知していたが、それだけではない、歌唱力やダンス、さらにはメッセージと、自分の持ちうる全てのものをこの30分に凝縮してきた。
その持ちうる能力が全て一級品であるのはもちろん、国会で共謀罪が成立した直後に「キョウボウザイ」という曲をネットにアップし、
「ヒップホップアーティストとして、社会のことに知らぬ存ぜぬではいられない」
と語る、とてもアイドル的なグループの一員とは思えないくらいの芯の強さ。
それは今のロックバンドたちにはできていないことである。でもこの男はなんのしがらみも恐れずにそれをやってのける。
ヒップホップミュージシャンとしても、表現者としても、男としても惚れた。顔がイケメンとかはどうでもいい。中身がカッコいいかどうかだ。
1.愛ブルーム
2.Seaside Bound
3.スマイルドロップ
4.Double Down
5.カミツレベルベット
6.Tyrant Island
7.Turn Up
8.ナナイロホリデー
Double Down
https://youtu.be/bhk5XxE9BzM
15:00~ SPECIAL OTHERS [COSMO STAGE]
かつてはインストバンドとしては異例のメインステージ出演も果たしたことのある、SPECIAL OTHERS。前回の年明け直後のGALAXYを経て、今年はCOSMOに登場。
時間前からまさに「サウンドチェック」とばかりに曲をやるわけではなく、メンバー同士がジャムったりしていたが、本番で登場すると、ゆったりとそれぞれが音を奏でて行く。近年はフェスではレア曲はほとんどやらないだけに、最初の聞き覚えの薄さには「ん?」と思ったし、やはり周りもぽかーんとしていたが、途中でハッと気づいた。これはストレイテナーのトリビュートに参加した「TRAVELING GARGOYLE」のインストカバーであった。なんの前触れもなく、ましてやテナーと同じ日でもないのにこの曲をやったというのは、今年はこのバンドにとってこのトリビュートへの参加が大きな出来事だったということだろうか。
さらに特徴的な芹澤のキーボードのフレーズで大歓声があがった「AIMS」で踊らせまくり、ウッドベースからエレキに持ち替えた又吉が体を激しく揺すりながらリズムを刻んで行く「PB」と代表曲にしてキラーチューンを連発していくと、MCでは芹澤と宮原が3日早いカウントダウンを敢行してしまい、
宮原「いやー、明けましたね」
芹澤「今年は年越しの瞬間という大役を任されましてね」
宮原「このバンドはツッコミの人がいないんで、これだとこのまま続いてしまいますよ(笑)
そんなことよりもね、春に東京と大阪の野音でのワンマンが決まったんですよ。野音は抽選が全然当たらないんで久しぶりなんですよ」
芹澤「まるでフェスに行ったかのような満足感がフェスよりはるかに安い値段で得られるという我々の野音ワンマンですからね(笑)」
ととても止まりそうにない暴走気味のMCがなんとか終わると、最後に演奏されたのは「IDOL」。徐々に温度が上がっていき、ブレイク部分ではそれぞれの楽器の音がこの日最も大きくぶつかり合い、芹澤はピアニカの演奏部分でアレンジを加えながら、最後には他のメンバーとしっかりと顔を見合わせながらカウントを取っていく。ずっと4人でやってきたからこそ、クリックも同期も必要ない、顔を見るだけで合わせることができる。
やっぱりライブが本当に素晴らしいバンドなだけに、せっかくの日比谷野音ワンマンは久しぶりに行きたい。1曲が長いだけにフェスだとどうしても4曲くらいしかできないし。
1.TRAVELING GARGOYLE
2.AIMS
3.PB
4.IDOL
AIMS
https://youtu.be/Wt6Xkp-8mNY
15:30~ Gotch & The Good New Times [MOON STAGE]
この日はアジカンでEARTHのトリも務めるゴッチ。ソロことGotch & The Good New Timesとのダブルヘッダーであり、ソロで先に出演。
揃いのオシャレな衣装を見にまとい、ゴッチはキャップを被る中、井上陽介(Turntable Films)がバンジョーを弾く「Tokyo Bay」からスタートするのだが、やはりソロではアジカンとは違う言葉遊び的な歌詞がライブで聴くとより目立つ。
ヒップホップ的なサウンドアプローチの「Wonderland」ではアジカンのサポートメンバーでもあるシモリョーの貢献度が、
「時計はいつか止まってしまう この恋もいつか終わってしまう
世間を呪う暇なんてないさ 命を燃やしたいだけ」
という歌詞が大好きな「Can't Be Forever Young」ではハープを吹く井上と手拍子を煽るYeYeの存在感が強いが、そんな個性的なメンバーの中にあって、mabanuaの手数の多さと音の重さを兼ね備えた、3割30本30盗塁できる選手のごときドラムはさすがゴッチに「スーパードラマー」と形容されるだけはある。
そのゴッチがハンドマイクでステージを歩きながら歌うのは今年リリースの最新曲である「TAXI DRIVER」だが、ゴッチはほぼ満員と言っていいような客席の埋まり具合にもかかわらず、
「俺、人気ないからスペースに余裕があって踊りやすいでしょ(笑)」
と自虐しつつ、英語歌詞の割合が増えた2ndアルバムにおいてゴッチの日本語の歌詞の面白さが光るタイトル曲「Good New Times」を演奏すると、やはり
「出演する度に持ち時間が短くなってる(笑)」
「毎回俺の物販はガラガラなんだよ(笑)」
と自虐は止まらないが、このメンバーでのテーマ曲のような(かつてまだバンド名がない状態のツアーでは2回演奏されたりしていた)、「A Girl in Love」を終えると、
「今日は最後に1番デカいステージでまた会いましょう」
と珍しくソロでアジカンへの意気込みを感じさせる言葉を発していた。
ゴッチが言う通りにソロだと持ち時間はかなり短いが、春フェスの時とやる曲がほとんど変わらないのはそういう理由もあるのだろうか。あまりにも自虐し過ぎなのでもうちょっと自信を持っても欲しいところではあるけれど。
1.Tokyo Bay
2.Wonderland
3.Can't Be Forever Young
4.TAXI DRIVER
5.Good New Times
6.A Girl in Love
TAXI DRIVER
https://youtu.be/QH2xYbpk5ps
16:00~ さユり [COSMO STAGE]
完全に甘く見ていた。Gotchが終わった直後に始まる、酸欠少女・さユり。今年リリースした1stフルアルバム「ミカヅキの航海」はオリコンデイリーチャートで1位を獲得したが、その勢いそのままに、入り口が大行列になるくらいの大混雑と超満員。結局、中に入れたのは新曲が終わってからであり、頭の3曲は外で並びながら音漏れを聴くというもったいない結果になってしまった。
中に入ると、いつもの戦闘服であるポンチョを羽織ってアコギを手にしたさユりが、
「次の曲はRADWIMPSの野田洋次郎さんに書いてもらった曲。こっぴどくフラれた女の子の歌」
と言って「フラレガイガール」のいかにも洋次郎らしいフレーズに満ちた女々しい言葉たちが、さユりの透明感がありながらも力強く伸びのある声で放たれていく。最近は喉の調子があまり良くないライブがあることもたまに聞いているが、この日はとりあえずは問題はなさそうである。
前半を全く見れなかったので、あっという間のラストは
「ここに戦線布告の光を灯すよ」
と告げる「アノニマス」。タイアップ効果だからか、「フラレガイガール」に負けず劣らずな歓声が上がっていたが、この人は洋次郎や梶浦由記が提供してる曲を歌うシンガーという持ち味もあるが、何よりも自分自身が素晴らしいメロディメーカーである。それだけに全曲自分で作った方がいいんじゃないか、という感じすらするが、そうして素晴らしい作曲者の曲を歌うことで掴めるものもあったりするのだろうか。
全くと言っていいほどに踊ったり歌ったりせず、じっと微動だにせずにステージを凝視するだけというスタイルでここまで来れたのは本当に凄いことである。それを可能にしているのはやはりさユりの声と曲の力。それさえあれば、どこまででもいけるような予感すらしている。
1.十億年
2.ミカヅキ
3.月と花束
4.フラレガイガール
5.アノニマス
十億年
https://youtu.be/CUnIza2lr90
17:00~ KANA-BOON [EARTH STAGE]
初出演時のGALAXY以降は常にEARTHに出演し続けてきた、KANA-BOON。
サウンドチェックからメンバーが出てきて曲を演奏すると、いったん掃けてからの本番ではMCもなしに登場し、いきなりの「フルドライブ」で疾走感に溢れていく。
続く今年リリースの最新作「NAMiDA」からの「ディストラクションビートミュージック」もリリース前からフェスなどでやり続けてきただけはあり、すっかりおなじみの曲になってきていると同時に、サウンドの力強さに驚かされる。特に小泉のドラムは頼もしさすら感じるようになってきている。
今までのKANA-BOONのイメージを覆すようなシリアスなムードと歌詞の「Fighter」はアニメタイアップがあったからこそ生まれた曲かもしれないが、改めて谷口鮪の作家性の高さを知らしめる結果となった。
「この会場入る時、「ROCK STAR」っていう看板の下を通ってくるんで、俺たち止められたりせんかな?ってちょっと不安だったんやけど、無事に入れて(笑)
ROCK STARって言われてもさ、今日この後ガス代と水道代払いに行かないといけないし(笑)」
という妙にリアルな話で笑わせながら、タイトル通りに思わず涙が出そうになるほどに切ない「涙」はこのバンドのメロディの美しさを改めて実感させられるし、「結晶星」「盛者必衰の理、お断り」という初期の曲たちはバンドが変わろうとしてきた歩みを知ることができる。
「今年は色々なことがあった1年でした」
と波乱や試練が訪れた1年だったことを振り返りながら、
「レアな曲をやります。ステージで演奏するのは高校の文化祭の時以来かな?」
と鮪が言う。KANA-BOONは発表されている曲はインディーズ時代の曲も含めてライブで演奏しているだけに、そんなにやってない曲あったっけ?と思っていたら、それはこの日のトリを務めるアジカンのトリビュートに参加した「君という花」のカバーであった。
KANA-BOONはデビューしてすぐにブレイクしたが、その際に「4つ打ちバンド」と批判されることも多々あった。しかしそれは単に「盛り上がるから」とか「簡単だから」という理由ではなく(本人たちは初期のインタビューでは「あれしかできなかった」と語ってはいたが)、4つ打ちであるこの曲を自分たちで演奏していたという音楽的なバックグラウンドがしっかりあったからこそ、デビュー時にああしたスタイルであったということがよくわかるし、それは批判されるようなことでもなく、自分たちの愛する音楽へのリスペクトという結果だったのである。会場の誰よりも笑顔で楽しそうに演奏する鮪と飯田の顔がそれを物語っていた。
「アジカンには内緒やで」
と演奏後に言いながら、最後には「シルエット」「バトンロード」という決意の2曲を演奏し、様々なことがあった2017年の関東でのライブを納めた。
そのKANA-BOONの2017年にあった様々なことには、当然飯田による世間を騒がせたことも含まれている。でもあれがあったから、KANA-BOONは変わった。ただ演奏が上手くなったんじゃなくて、音楽への姿勢が変わった。もう自分たちには音楽、このバンドしかない。そうした気持ちが音からしっかり出るようになった。見た目は未だに浪人生みたいな4人だが、その中身は去年までとは比べ物にならないくらいに変わっている。来年からもきっと、もっと頼もしいバンドになっていくはずだ。
リハ.クラクション
1.フルドライブ
2.ディストラクションビートミュージック
3.Fighter
4.涙
5.結晶星
6.盛者必衰の理、お断り
7.君という花
8.シルエット
9.バトンロード
涙
https://youtu.be/MWCEmiecS1E
18:15~ WANIMA [EARTH STAGE]
例年、初日の28日というのはチケットが売れ切れないこともあるし、他の日に比べると空いている。
だが今年は全くそんなことがなく、この時間のEARTH STAGEが端から端まで超満員という状況になったのは、このWANIMAがいるからである、というのが非常によくわかるくらいのとんでもない人である。
「JUICE UP!のテーマ」がけたたましく流れる中、KENTAをはじめとするメンバーが元気良く登場し、KENTAはカメラをゆすりまくったりしてから、
「熊本県出身、東京都在住、WANIMA!」
と挨拶しようとすると、
「開催しまーす!!」
のセリフからもはや何万人もの人が大合唱している。まだ曲が始まる前にもかかわらず、観客の期待が溢れまくっている。
いざ「オドルヨル」でスタートすると、まさにこの時間のこのステージの状況は「オドルヨル」そのものであるというくらいの凄まじい熱狂ぶりで、KENTAはラストサビ突入前にベースを置いてステージを端から端まで走り回りまくり、
「オドル オドル オドル オドル…」
と何度も繰り返してなかなかサビに入らずに煽りまくる。
さらに「つづくもの」でもKENTAはベースを置いて両サイドを走り回りながら歌うという凄まじい運動量。そうしたパフォーマンスの一つ一つが超満員の会場をさらに熱くしていく。
いったんブレイクして、「中盤戦、開催しまーす!」を再び大合唱させてから突入した「いいから」はバンドの持ち味の一つであるエロさを前面に押し出した曲であるが、そうした曲が
「THANX」のようなストレートな名曲と同じように大合唱アンセムとなってしまうというこのバンドの恐ろしさ。どんな人気バンドでもここまで大合唱できるのは2~3曲くらいである、というのを考えると驚異的ですらある。
年明けにリリースされるアルバムからの先行曲としてドラマ主題歌になった「ヒューマン」でKENTAが心からの叫びを響かせると、
「今年はいろんなテレビにもたくさん出ました。そこでアイドルの人とか、すごい足の長いモデルの人とかとも一緒になったんですけど、それでわかったことがあって。やっぱりロックバンドが1番カッコいい!」
とKENTAは叫んだ。大ブレイクし、この後に紅白歌合戦にも出演するバンドがこうして言い切れることの頼もしさ。もはや日本におけるロックバンドの「これから」を最も背負っているバンドなのかもしれない。
そしてこの日終始笑顔を見せながらギターを弾いていたKO-SHINのなんて言ってるか全くわからない叫びから、
「来年からも、みんなとともに生きていきたい!」
と言って演奏された「ともに」はもはやパンクシーンどころか、日本の音楽シーン全体におけるアンセムとして鳴り響き、「これだけは」で締めかと思いきや、
「まだ時間あるって!今年最後の!」
と「Hey Lady」で最後の最後に大爆発させて終了した。
この日最も多い、何万人もの人が集まり、そして曲をみんなで歌っている。その景色を作っているのがパンクバンドであるという事実。
誰にでもできるくらいにシンプルなことをやっているのに、誰も真似できないし、誰も同じ位置まではいけない。このバンドをそんなところまで導いたのはメロディの力によるものだが、インタビューで
「実はどの曲も最初はスローテンポなんです。それをアレンジして速くしていったりしてる」
と言っていた曲の作り方にもしかしたらヒントはあるのかもしれない。
しかしながらもうパンクやロックというシーンを超越した、我々が少年時代のGLAYやL'Arc~en~Ciel、さらにはミスチルみたいな国民的バンドのポジションすらももはや手中に収めつつある。それくらいのオーラや空気がこの日のライブからは感じられた。
1.オドルヨル
2.つづくもの
3.いいから
4.THANX
5.ヒューマン
6.ともに
7.これだけは
8.Hey Lady
ヒューマン
https://youtu.be/MqfNcXPse6w
19:30~ ASIAN KUNG-FU GENERATION [EARTH STAGE]
この日のトリはすでにゴッチがソロとして出演している、アジカン。
先日のFEEDERとの対バンの時と同様にゴッチがクリスマスツリーを彷彿とさせる、緑色のセーターを着て登場し、「サイレン」~「Re:Re:」と続く序盤も同様だが、「Standard」はその時はやっていなかっただけに、軸は変えずにセトリを変えてくるあたりはさすがというところだが、近年のアジカンはゴッチのテンション如何でライブの出来そのものがかなり左右されるところがあるので、その辺りはどうかと思っていたら、非常にテンションが高く、
「おかしいよ!俺のソロの時はこんなに人いなかったじゃん!(笑)」
とソロの時の自虐さを引きずって笑いを取っていた。
こちらも一目見ただけでテンションが高いのがよくわかる喜多のギターソロが炸裂する、2017年の最新のアジカンの名曲「荒野を歩け」からは「ループ&ループ」「リライト」と「ソルファ」期のヒットシングルを連発。「リライト」ではおなじみの間奏でのダブ的なアレンジのコール&レスポンスもあるのだが、それ以上にゴッチがサビを観客に合唱させるべく煽りまくる。声が出ない時にマイクから離れて、結果的に観客が歌うというパターンも昔はよくあったが、この日はゴッチの声もよく出ており、観客としっかり音楽で会話するための手段であるということがよくわかるし、この辺りも本当にテンションが高く、それが伊地知や山田、さらにはサポートとしてキーボードを弾いたり手拍子を煽るシモリョーら他のメンバーにも伝播しており、バンドそのものが本当にテンションが高い。
「もうわかったよ、クリスマスツリーだよ。メリークリスマス!」
と自らの出で立ちをネタにするくらいに上機嫌なゴッチは続けて、
「若い頃はこういうフェスでレア曲っていうか、あんまり有名じゃない曲を、ナニクソとばかりにやってて。やっぱりあんまり盛り上がらなかったり、シーンとしちゃってたんだけど(笑)
最近フェスではそういうのやってなかったから、久しぶりにフェスで新曲をやってみようかな、って」
と話して演奏したのは、先日も演奏していた新曲「生者の行進」。淡々と歌われていく、決して盛り上がるような曲ではないが、聴くのがこれで2回目なのにもかかわらず、もうある程度メロディを覚えてしまっているくらいに曲の力が強い。「聖者」ではなくて「生者」であることが重要な曲だと思うが、どこかクリスマスから年末にかけての空気を感じさせてくれる。
ゴッチのギターのイントロでやはり大歓声があがった「ソラニン」の圧倒的な名曲感から、シモリョーに導かれるように観客がコーラスを歌う、多幸感に溢れた「今を生きて」でこの日も終了…かと思いきや、伊地知が4つ打ちのドラムを刻み始めると…
「今日2回目のこの曲。あいつら勝手にやりやがって(笑)」
と言って演奏されたのは、この日KANA-BOONが先にカバーした「君という花」の本家バージョン。鮪は演奏後に
「アジカンには内緒やで」
と言っていたが、ゴッチはその演奏をちゃんと見ていたのである。それを見てこの曲を追加したのかどうかまではわからないが、そうして自分たちの曲が若いバンドたちによって継承されていく瞬間を見るのは、この上なく嬉しいことだと思うし、この日ゴッチがテンションが高かったのはそうした理由もあったんじゃないだろうか。
曲が終わると、メンバーが前に出てきて一礼。アンコールはなしで、メンバーが捌けるとすぐにビートルズ「Here Comes The Sun」が流れ出した。アンコールがないのはちょっと残念ではあったけど(時間的には確かにアンコール含めたくらいやっていた)、やはりアジカンは最高だった。また早く、もっと長い時間のライブが見たくなる。
1.サイレン
2.Re:Re:
3.Standard
4.荒野を歩け
5.ループ&ループ
6.リライト
7.Easter
8.生者の行進
9.ソラニン
10.今を生きて
11.君という花
荒野を歩け
https://youtu.be/AbaGY7TWq8A
この日は本当にWANIMAの力に改めて驚かされた1日だった。もはや4日間全てでもトップクラスの集客力を誇るバンドになったのかもしれない、と思うほどに。
Next→ 12/29 COUNTDOWN JAPAN 17/18 @幕張メッセ

