[Alexandros] Tour 2017 ”NO MEANING” @Zepp Tokyo 12/20
- 2017/12/20
- 23:48
最新シングル「明日、また」も絶好調の[Alexandros]、そのレコ発ツアーはアルバム「EXIST!」のツアー「We Come In Peace」の横浜アリーナや幕張メッセとは異なり、今の規模からしたらもはや収まりきらないライブハウスを回るものとなった。
それはこの日のファイナルであるZepp Tokyoもそうであり、チケットが手に入らなくて行けないという人もたくさんいる中、こうして無事に見れるのは実に幸せなことである。
ステージ背面には「LET'S GET FUCKED UP」というバンドの姿勢そのもののような文字が描かれているが、ステージ上は楽器がセッティングされたのみという実に簡素なもの。
19時くらいになるとワンマン時にはおなじみのアナウンスが流れるのだが、ファイナルなのにもかかわらず、
「これからこのツアーに参加される方のためにもSNSなどでのネタバレは…」
と言っていたので、これは録音したものを流していた可能性が高い。
アナウンスから少し経つと場内が暗転し、おなじみ「Burger Queen」のイントロがSEとして流れ始め、サポートメンバーのRoseを含めた5人が同時にステージに登場。川上洋平は革ジャンを着用しており、出てくるなり水の入ったペットボトルを客席に投げ込む。
楽器を構えると途中から「Burger Queen」の生演奏に変わるというのはおなじみのパターンではあるが、前回のツアーではアルバムに合わせたオープニングだっただけに、少し久しぶりな感じもする。(フェスの持ち時間ではこのオープニングパターンをやらないことも多いため)
さらに「can't explain」と続くというのはシンプルな出だしではある(それでも川上と白井はほぼ1曲ごとにギターを変えているが)が、ライブハウスということもあってか、どこか地に足の着いた、落ち着いた雰囲気を感じる。とはいえテンションが低いということは全くなく、それは続く「city」でダイバーが続出したことが示している。
音源ではホーンが入っていたのをRoseがキーボードでカバーする、暴れ馬的な「Droshky!」、さらには
「東京に愛されたい~」
と歌詞を変えて、この序盤で演奏された「Dracula La」では早くもクライマックスかと思うくらいのコーラス部分での大合唱が響く。
いくらアルバムのツアーではないとはいえ、この「序盤からこんな曲を演奏するの?」という違和感。自分はここまではてっきり曲タイトルのアルファベット順に演奏しているんじゃないか?ともこの時点では勘ぐっていたのだが、特にそんなことはない、ただの偶然だったのがすぐわかってしまった。
ここで川上は革ジャンを脱いで白いTシャツという姿になり、さらにはギターも置いて壮大なサウンドとコーラスが響く「Nawe,Nawe」、川上がアコギに持ち替え、磯部が観客を煽りまくり、間奏ではRoseが流麗なピアノソロを聴かせる「Waitress,Waitress!」と前半からアッパーな曲が続いたため、客席は真冬とは思えない熱気を帯びていく。川上のボーカルもやはり絶好調で、この男にはもはや「声が出ない」という概念がないんじゃないか、とも思う。
そのまま川上がアコギで弾き語るように歌い始めたのは初期の名曲「Wet Paint」で、その日常を描写したような歌詞も相まって、どこかそれまでの熱気とは異なるほのぼのとした空気になるが、磯部のベースソロから一転して激しいバンドのセッションになだれ込み、いつものイントロだけは爽やかな部分すらなくなってそのまま繋げた「Don't Fuck With Yoohei Kawakami」では今度は白井が間奏であまりにも弾きすぎだろうと思ってしまうくらいに弾きまくるギターソロを展開。ソロを終えた白井がギターを振り下ろすようにして演奏がブレイクし、さらなる熱狂に突入していく。
川上がマイクスタンドの脇にあるサンプラー(最初は何に使うのかと思っていた)を操作しながらハンドマイクで歌うのは、最新シングルのカップリング曲である「I Don't Believe In You」。川上の言葉数の多いメロディ部分はダークなポストロック要素も感じさせるが、サビで突き抜けるようなスケールになるあたりはさすが[Alexandros]である。
近年は曲間をほとんど設けずにひたすら曲を連発する、というスタイルになっているが、それだけにこの日もMCらしい部分はここのみ。磯部が倒れた観客を発見してスタッフにすぐに駆けつけてもらう、という
「我々のライブは結構激しいんで、こうして一息つくと倒れる人がいるんですが、長くやってるとちゃんとやっててわかるんですよ(笑)」
との言葉が本当であることを見せつけると、
「次にやる曲はもうやらなくなるかもしれない。フェスでやれる曲じゃないし、年単位でやる曲でもないから。でも夢の国も近いということでね」
とまさかの封印宣言の後に披露されたのはディズニーコンピに収録されていた「Supercailifragilisticexpialidocious」。川上は観客に
「ちょっと難しいけど歌えるかー!?」
と問いかけていたが、やはり難しいのはこのやたらと長いタイトルフレーズが合唱パートになるから。ディズニーに全く関心がないものとしては、この曲やthe band apart「when you wish upon a star」のように、カバーバージョンが基準であり原曲になってしまっている。
雷の音が鳴り響いて観客をビックリさせてから演奏された「Thunder」、
「東京のキッズに捧げます!」
と言って演奏された「Kids」と、ワンマンでないとなかなか聴けない(ましてやアルバムリリースツアーではないライブじゃないと)曲の後に披露されたのは、夏フェスでも演奏されていた、
「月明かりに誘われて~」
という歌い出しと、
「あなたに出会ったら 心がざわつくでしょう」
というようなサビのフレーズが印象的な新曲。夏フェス時はややエレクトロっぽいイメージだったが、「Aoyama」などを思わせる洗練さを感じさせるアレンジになっている。てっきり「明日、また」のカップリングになると思っていたのだが、果たして音源化はいつどんな形になるのだろうか。
アリーナクラスでは映像やストリングス隊との見事なコラボを見せていた「NEW WALL」をバンドの演奏と観客の合唱のみで鳴らしてからはクライマックスへ。
月から星という繋げっぷりがニクい「ムーンソング」「Starrrrrrr」でバンドの演奏と川上の歌唱が一段と凄みを増し、さらにダイバーの数が増えていくと、川上の弾き語りのように始まった「12/26以降の年末ソング」では
「あと2曲でこのライブもツアーも終わるけれど
汗まみれのTシャツで暴れた自分を心から愛してやろう」
と2コーラス目の歌詞を変えて歌い、もうライブが終わってしまうことに対する絶叫と、歌詞を変えて歌ったことによる歓声が上がる。
この曲はなかなかライブでは聴くことができない、まさにこの時期ならではの曲であるが、それだけにこうしてライブで聴くと一年がもう終わってしまうということを実感せざるを得ない。今年もたくさんこのバンドのライブが観れたのは幸せな限り。
川上がハンドマイクでステージを歩き回りながら歌う「Adventure」で再び大合唱を起こすと、最後に演奏されたのはやはり最新シングル「明日、また」。メロディ部分のEDMさを感じさせるサウンドはこれまでになかったものではあるが、そうした新しい要素(これまでもアルバムごとに本当にたくさんの音楽性を取り入れてきたバンドだ)で今までとは違うように感じさせながらも、フルに聴くとやっぱり[Alexandros]の曲だな、と思えるのは結局は川上の作るメロディの素晴らしさがこのバンド最大の武器であり、どんなサウンドになってもそこが揺らぐようなことはない。だからこそ[Alexandros]は変化しながらさらに巨大な、もはや日本を代表するようなバンドにまで成長している。
アンコールを待つ観客が「Adventure」を合唱していると、突然警報のような音が鳴り始めてビックリさせる中、再びメンバーが登場。その警報音をイントロにしながら「Girl A」に突入し、
「アンコールは盛り上がる曲しかやらねえぞ!」
と川上が叫んだのにもかかわらず、次に演奏されたのはまさかの新曲。全英語歌詞、ハードロックそのものでしかないというようなサウンドはストレートでありながらも今までになかったようなタイプ。そもそもがUKロックの要素が強く、USらしさを感じるのはヒップホップが多かっただけに、こんなどストレートなハードロックが来るとは。確かに新曲とはいえども完全に盛り上がり曲である。
そして普段はどちらかというと前半から中盤までの着火剤的な「Kick & Spin」もここで演奏されるのだが、サトヤスがバスドラの4つ打ちを加えたアレンジを施しており、従来よりもさらにダンサブルに。「Run Away」も最近は同様のアレンジがされているが、ライブで何度も聴いてきた曲もこうして新たな姿を見せることにより実に新鮮に感じる。
川上は熱狂が極まってこの日最大のダイバーが続出した客席に乗り出すように歌い、最後にはマイクスタンドを叩きつけるようなアクションすらも見せる。実際に叩きつけてはいないが。
そして川上のマシンガンのような英語歌詞の連射と、不穏なサウンドを切り裂くような大コーラスの「Kaiju」がこの日の締め。巨大なアリーナとかではやはり壮大な曲を最後に演奏するのが似合うが、それだけにこうしたタイプの曲でアゲまくりで終わるというのは実に新鮮だった。
「ありがとうございました、[Alexandros]でした!」
と川上が告げて磯部と白井がステージから去ったにもかかわらず、川上はなぜか再びギターを担ぐと、サトヤスもドラムを叩き始める。これは前回のツアーでやっていた、「Kaiju」の2人バージョンか?とも思ったが、川上とサトヤスによるセッションに展開していく。もう最後の力を使い果たすかのように2人の演奏はどんどん激しくなり、川上はギターをステージに置いてノイズサウンドを発しまくると、そのノイズが徐々に「Burger Queen」のアウトロに変化していく。熱狂が冷めることはないが、このアウトロは夢のような時間の終わりを告げるアラームのようなものだ。川上が先にステージから去った後に飛び切りの笑顔を見せながら珍しくマイクに向かって、
「本当に今日は楽しかったです。ありがとうございました!」
と挨拶したサトヤスによって、まるでファンクラブ限定ライブかのような濃密な時間のツアーは幕を閉じたのだった。
前回のツアーの幕張メッセや横浜アリーナとは異なり、一切の演出のない完全なライブハウス仕様。それは「NO MEANING」と銘打ちながらも、[Alexandros]の初期から最新までの音楽性の幅の広さとバンドとしての地力の強さを示す意味があった。しかし幕張メッセの時もそうだったが、このボリューム2daysでも全く声に不安も揺らぎも感じさせない川上の喉は一体どんな構造をしているのだろうか。もちろんそこには本人の多大な努力があってこそのものだが。
このツアー中、観客がステージに向かってブラジャーを投げ込み、それを川上がマイクスタンドに飾ったりしたもんだから、ちょっとした騒ぎになった。(なんであそこまで騒ぎになるのかわからないけれど)
でもこうしてライブを見ると、やっぱりそんなことは単なるその日だけの演出だな、とどうでもよくなるくらいにこのバンドは見た目ではなく、音楽そのものがカッコいい。
そんなバンドのライブで一年の終わりと新年の瞬間を過ごせるというのは至上の幸せ。
1.Burger Queen
2.can't explain
3.city
4.Droshky!
5.Dracula La
6.Nawe,Nawe
7.She's Very
8.Waitress,Waitress!
9.Wet Paint
10.Don't Fuck With Yoohei Kawakami
11.I Don't Believe In You
12.Supercailifragilisticexpialidocious
13.Thunder
14.Kiss The Damage
15.Kids
16.新曲
17.NEW WALL
18.ムーンソング
19.Starrrrrrr
20.12/26以降の年末ソング
21.Adventure
22.明日、また
encore
23.Girl A
24.新曲
25.Kick & Spin
26.Kaiju
川上×サトヤス セッション
明日、また
https://youtu.be/qVDgV2JQydk
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それはこの日のファイナルであるZepp Tokyoもそうであり、チケットが手に入らなくて行けないという人もたくさんいる中、こうして無事に見れるのは実に幸せなことである。
ステージ背面には「LET'S GET FUCKED UP」というバンドの姿勢そのもののような文字が描かれているが、ステージ上は楽器がセッティングされたのみという実に簡素なもの。
19時くらいになるとワンマン時にはおなじみのアナウンスが流れるのだが、ファイナルなのにもかかわらず、
「これからこのツアーに参加される方のためにもSNSなどでのネタバレは…」
と言っていたので、これは録音したものを流していた可能性が高い。
アナウンスから少し経つと場内が暗転し、おなじみ「Burger Queen」のイントロがSEとして流れ始め、サポートメンバーのRoseを含めた5人が同時にステージに登場。川上洋平は革ジャンを着用しており、出てくるなり水の入ったペットボトルを客席に投げ込む。
楽器を構えると途中から「Burger Queen」の生演奏に変わるというのはおなじみのパターンではあるが、前回のツアーではアルバムに合わせたオープニングだっただけに、少し久しぶりな感じもする。(フェスの持ち時間ではこのオープニングパターンをやらないことも多いため)
さらに「can't explain」と続くというのはシンプルな出だしではある(それでも川上と白井はほぼ1曲ごとにギターを変えているが)が、ライブハウスということもあってか、どこか地に足の着いた、落ち着いた雰囲気を感じる。とはいえテンションが低いということは全くなく、それは続く「city」でダイバーが続出したことが示している。
音源ではホーンが入っていたのをRoseがキーボードでカバーする、暴れ馬的な「Droshky!」、さらには
「東京に愛されたい~」
と歌詞を変えて、この序盤で演奏された「Dracula La」では早くもクライマックスかと思うくらいのコーラス部分での大合唱が響く。
いくらアルバムのツアーではないとはいえ、この「序盤からこんな曲を演奏するの?」という違和感。自分はここまではてっきり曲タイトルのアルファベット順に演奏しているんじゃないか?ともこの時点では勘ぐっていたのだが、特にそんなことはない、ただの偶然だったのがすぐわかってしまった。
ここで川上は革ジャンを脱いで白いTシャツという姿になり、さらにはギターも置いて壮大なサウンドとコーラスが響く「Nawe,Nawe」、川上がアコギに持ち替え、磯部が観客を煽りまくり、間奏ではRoseが流麗なピアノソロを聴かせる「Waitress,Waitress!」と前半からアッパーな曲が続いたため、客席は真冬とは思えない熱気を帯びていく。川上のボーカルもやはり絶好調で、この男にはもはや「声が出ない」という概念がないんじゃないか、とも思う。
そのまま川上がアコギで弾き語るように歌い始めたのは初期の名曲「Wet Paint」で、その日常を描写したような歌詞も相まって、どこかそれまでの熱気とは異なるほのぼのとした空気になるが、磯部のベースソロから一転して激しいバンドのセッションになだれ込み、いつものイントロだけは爽やかな部分すらなくなってそのまま繋げた「Don't Fuck With Yoohei Kawakami」では今度は白井が間奏であまりにも弾きすぎだろうと思ってしまうくらいに弾きまくるギターソロを展開。ソロを終えた白井がギターを振り下ろすようにして演奏がブレイクし、さらなる熱狂に突入していく。
川上がマイクスタンドの脇にあるサンプラー(最初は何に使うのかと思っていた)を操作しながらハンドマイクで歌うのは、最新シングルのカップリング曲である「I Don't Believe In You」。川上の言葉数の多いメロディ部分はダークなポストロック要素も感じさせるが、サビで突き抜けるようなスケールになるあたりはさすが[Alexandros]である。
近年は曲間をほとんど設けずにひたすら曲を連発する、というスタイルになっているが、それだけにこの日もMCらしい部分はここのみ。磯部が倒れた観客を発見してスタッフにすぐに駆けつけてもらう、という
「我々のライブは結構激しいんで、こうして一息つくと倒れる人がいるんですが、長くやってるとちゃんとやっててわかるんですよ(笑)」
との言葉が本当であることを見せつけると、
「次にやる曲はもうやらなくなるかもしれない。フェスでやれる曲じゃないし、年単位でやる曲でもないから。でも夢の国も近いということでね」
とまさかの封印宣言の後に披露されたのはディズニーコンピに収録されていた「Supercailifragilisticexpialidocious」。川上は観客に
「ちょっと難しいけど歌えるかー!?」
と問いかけていたが、やはり難しいのはこのやたらと長いタイトルフレーズが合唱パートになるから。ディズニーに全く関心がないものとしては、この曲やthe band apart「when you wish upon a star」のように、カバーバージョンが基準であり原曲になってしまっている。
雷の音が鳴り響いて観客をビックリさせてから演奏された「Thunder」、
「東京のキッズに捧げます!」
と言って演奏された「Kids」と、ワンマンでないとなかなか聴けない(ましてやアルバムリリースツアーではないライブじゃないと)曲の後に披露されたのは、夏フェスでも演奏されていた、
「月明かりに誘われて~」
という歌い出しと、
「あなたに出会ったら 心がざわつくでしょう」
というようなサビのフレーズが印象的な新曲。夏フェス時はややエレクトロっぽいイメージだったが、「Aoyama」などを思わせる洗練さを感じさせるアレンジになっている。てっきり「明日、また」のカップリングになると思っていたのだが、果たして音源化はいつどんな形になるのだろうか。
アリーナクラスでは映像やストリングス隊との見事なコラボを見せていた「NEW WALL」をバンドの演奏と観客の合唱のみで鳴らしてからはクライマックスへ。
月から星という繋げっぷりがニクい「ムーンソング」「Starrrrrrr」でバンドの演奏と川上の歌唱が一段と凄みを増し、さらにダイバーの数が増えていくと、川上の弾き語りのように始まった「12/26以降の年末ソング」では
「あと2曲でこのライブもツアーも終わるけれど
汗まみれのTシャツで暴れた自分を心から愛してやろう」
と2コーラス目の歌詞を変えて歌い、もうライブが終わってしまうことに対する絶叫と、歌詞を変えて歌ったことによる歓声が上がる。
この曲はなかなかライブでは聴くことができない、まさにこの時期ならではの曲であるが、それだけにこうしてライブで聴くと一年がもう終わってしまうということを実感せざるを得ない。今年もたくさんこのバンドのライブが観れたのは幸せな限り。
川上がハンドマイクでステージを歩き回りながら歌う「Adventure」で再び大合唱を起こすと、最後に演奏されたのはやはり最新シングル「明日、また」。メロディ部分のEDMさを感じさせるサウンドはこれまでになかったものではあるが、そうした新しい要素(これまでもアルバムごとに本当にたくさんの音楽性を取り入れてきたバンドだ)で今までとは違うように感じさせながらも、フルに聴くとやっぱり[Alexandros]の曲だな、と思えるのは結局は川上の作るメロディの素晴らしさがこのバンド最大の武器であり、どんなサウンドになってもそこが揺らぐようなことはない。だからこそ[Alexandros]は変化しながらさらに巨大な、もはや日本を代表するようなバンドにまで成長している。
アンコールを待つ観客が「Adventure」を合唱していると、突然警報のような音が鳴り始めてビックリさせる中、再びメンバーが登場。その警報音をイントロにしながら「Girl A」に突入し、
「アンコールは盛り上がる曲しかやらねえぞ!」
と川上が叫んだのにもかかわらず、次に演奏されたのはまさかの新曲。全英語歌詞、ハードロックそのものでしかないというようなサウンドはストレートでありながらも今までになかったようなタイプ。そもそもがUKロックの要素が強く、USらしさを感じるのはヒップホップが多かっただけに、こんなどストレートなハードロックが来るとは。確かに新曲とはいえども完全に盛り上がり曲である。
そして普段はどちらかというと前半から中盤までの着火剤的な「Kick & Spin」もここで演奏されるのだが、サトヤスがバスドラの4つ打ちを加えたアレンジを施しており、従来よりもさらにダンサブルに。「Run Away」も最近は同様のアレンジがされているが、ライブで何度も聴いてきた曲もこうして新たな姿を見せることにより実に新鮮に感じる。
川上は熱狂が極まってこの日最大のダイバーが続出した客席に乗り出すように歌い、最後にはマイクスタンドを叩きつけるようなアクションすらも見せる。実際に叩きつけてはいないが。
そして川上のマシンガンのような英語歌詞の連射と、不穏なサウンドを切り裂くような大コーラスの「Kaiju」がこの日の締め。巨大なアリーナとかではやはり壮大な曲を最後に演奏するのが似合うが、それだけにこうしたタイプの曲でアゲまくりで終わるというのは実に新鮮だった。
「ありがとうございました、[Alexandros]でした!」
と川上が告げて磯部と白井がステージから去ったにもかかわらず、川上はなぜか再びギターを担ぐと、サトヤスもドラムを叩き始める。これは前回のツアーでやっていた、「Kaiju」の2人バージョンか?とも思ったが、川上とサトヤスによるセッションに展開していく。もう最後の力を使い果たすかのように2人の演奏はどんどん激しくなり、川上はギターをステージに置いてノイズサウンドを発しまくると、そのノイズが徐々に「Burger Queen」のアウトロに変化していく。熱狂が冷めることはないが、このアウトロは夢のような時間の終わりを告げるアラームのようなものだ。川上が先にステージから去った後に飛び切りの笑顔を見せながら珍しくマイクに向かって、
「本当に今日は楽しかったです。ありがとうございました!」
と挨拶したサトヤスによって、まるでファンクラブ限定ライブかのような濃密な時間のツアーは幕を閉じたのだった。
前回のツアーの幕張メッセや横浜アリーナとは異なり、一切の演出のない完全なライブハウス仕様。それは「NO MEANING」と銘打ちながらも、[Alexandros]の初期から最新までの音楽性の幅の広さとバンドとしての地力の強さを示す意味があった。しかし幕張メッセの時もそうだったが、このボリューム2daysでも全く声に不安も揺らぎも感じさせない川上の喉は一体どんな構造をしているのだろうか。もちろんそこには本人の多大な努力があってこそのものだが。
このツアー中、観客がステージに向かってブラジャーを投げ込み、それを川上がマイクスタンドに飾ったりしたもんだから、ちょっとした騒ぎになった。(なんであそこまで騒ぎになるのかわからないけれど)
でもこうしてライブを見ると、やっぱりそんなことは単なるその日だけの演出だな、とどうでもよくなるくらいにこのバンドは見た目ではなく、音楽そのものがカッコいい。
そんなバンドのライブで一年の終わりと新年の瞬間を過ごせるというのは至上の幸せ。
1.Burger Queen
2.can't explain
3.city
4.Droshky!
5.Dracula La
6.Nawe,Nawe
7.She's Very
8.Waitress,Waitress!
9.Wet Paint
10.Don't Fuck With Yoohei Kawakami
11.I Don't Believe In You
12.Supercailifragilisticexpialidocious
13.Thunder
14.Kiss The Damage
15.Kids
16.新曲
17.NEW WALL
18.ムーンソング
19.Starrrrrrr
20.12/26以降の年末ソング
21.Adventure
22.明日、また
encore
23.Girl A
24.新曲
25.Kick & Spin
26.Kaiju
川上×サトヤス セッション
明日、また
https://youtu.be/qVDgV2JQydk
Next→ 12/21 フレデリック @Zepp Tokyo
