amazarashi 秋田ひろむ 弾き語りライブ 「理論武装解除」 @舞浜アンフィシアター 12/7
- 2017/12/07
- 22:56
アルバムの発売を間近に控えるamazarashiが、秋田ひろむによる弾き語りライブを開催。
音源などにおいては弾き語りのものも収録されてきたし、弾き語りイメージも強いのだが、常にバンド形態で自身の音楽を武装してきただけにライブでの全編弾き語りというのは貴重だったりする。
なかなか普段のライブでは馴染みがない、舞浜アンフィシアターはイクスピアリの隣にあるホールで、中に入ると確かにシアターという名前なのも納得するような、劇場のような作りになっている。
amazarashiは普段から全席指定の会場でライブをすることが多いので、この雰囲気は実によく似合っているが、全席指定で真横からステージを見る席まであるというのはなかなかない。
円形のステージには普段のバンド形態でのライブ同様に暗幕が張られている中、19時過ぎに会場が暗転すると、暗幕の向こう側にはいつものようにハットを被ってはいるが、いつもと違って椅子に座ってアコギを持った秋田ひろむが。
ジャカジャカとアコギを弾きだすと、おなじみの「夏を待っていました」から歌い始めるのだが、いつもと違うのは暗幕にあのMVが映し出されない、ひたすらに秋田の歌う姿と声とギターの音のみと向き合うという、まさに弾き語りというもの。しかしながら秋田のギターの音とボーカルは非常に音が大きいサウンドプロダクションで、ステージを取り囲むような構図の客席の距離の近さもあり、凄い迫力である。
やはり「ジュブナイル」もおなじみのMVは流れないのだが、その後には早くも秋田が
「今年は色々なことがあった年で。ツアーもタイアップもたくさんやらせてもらいました」
と年末だからこその一年間の総括を曲間に話す。話す時間以外はギターのチューニングどころか、椅子に座りなおす音すらも聞こえるという静寂。だが距離の近さもあるのか、映像が映し出されないからか、秋田の姿がこれまでで最もよく見える。
「ナモナキヒト」では秋田の背後に煌びやかな星空のような電飾が輝くが、普段のamazarashiの映像や演出からすると非常にささやかなものに感じる。
「こうして弾き語りでライブをしていると、路上で歌っていた頃を思い出します。その時からやっていた曲を」
と言って歌い始めた「隅田川」ではいつものライブのような、隅田川に上がる大量の花火の映像が秋田の背後に映し出される。しかしこれも普段よりはあくまでも歌の支え程度に感じられるくらいに秋田の歌声は非常に良く伸びているし、いつものように歌詞が暗幕に映し出されなくても歌詞がしっかりと頭に入ってくる。
思わず「立ち上がって歌っちゃうんじゃないか?」と思うくらいの力強さを見せた「ヒーロー」、
「あなたの眠った顔見ていたら こんな僕も悪くはないなって思えたんだ」
という秋田ひろむならではのささやかな自己肯定フレーズが美しいメロディをさらに引き立てる「たられば」、さらには来るべき今月発売のアルバム「地方都市のメメント・モリ」に収録される新曲「空洞空洞」をなんの前触れもなく歌い始める。
やや速めのBPMと言葉数の多さはamazarashiならではと言える曲だが、「武装解除」というこの日のライブタイトルになっているフレーズも登場しつつ、「くどくど」と諦念で締められているように聴こえるフレーズが「空洞空洞」と歌っているという(やはり諦念が漂ってはいるが)歌詞の面白さはさすがである。
「さっき楽屋で緊張していたら、今日見に来てくれてるサポートメンバーが声をかけに来てくれて、本当に心強いな、って思って。
次にやる曲は、もう辞めてしまった音楽仲間に対して歌った曲です」
と、弾き語りだからこそのいつもより詳細な楽曲の説明をしてから歌い出したのは「ライフイズビューティフル」。
「夢を諦めた人 捨てた人 叶えられず死んだ人 覚えているか?」
「東京 青森 路上 ライブハウス きっと場所なんてどこでも良かった
歌う場所はどこでもいいぜ 歌う歌がわいの歌なら」
と、音楽を辞めていったたくさんの人たちの姿を見ながらも、自身は音楽を諦めることができなかった秋田の生き様を感じさせるが、曲の説明があったとはいえ、バンド形態でのライブとは全く違う聴こえ方がする。
チューニングをする秋田の後ろでスタッフがガサゴソと何やら機材をセッティングすると、特に何の紹介もなく、相棒である豊川真奈美がピアノの前に座っており、すでにCMタイアップで大量にオンエアされている「フィロソフィー」を披露するのだが、この曲や「空に歌えば」はサビでコーラスだけでなく、豊川が歌う部分もあるだけに、弾き語りとはいえど豊川の存在なくしては成立しない曲と言えるし、そうした曲が近年になって生まれてきているというのがamazarashiのユニットとしての進化と、秋田だけでなく豊川のレベルアップを感じさせる。
それが極まっていたのが、
「2,3年前に作った曲なんだけど、音源にも入ってないし、次のアルバムにも入ってなくて。でもこの2人でやるのにピッタリな曲だと思って」
と言って演奏された、未発表曲の「夕立旅立ち」。そのストレートなタイトルの情景を想起させるようなアコギとピアノのメロディの美しさと切なさだが、常にバンドサウンドで世に送り出されてきたこれまでのamazarashiの曲とは違い、この2人だけの編成で演奏する前提で作られたかのよう。それは
「この2人で最後にやるのは、わいたちの始まりの歌」
と紹介された「光、再考」もそうだが、この2人でamazarashiである以上、音源でもこうした2人だけの演奏で完成とされた曲が収録されるようになる日が来るのもそう遠くはないと思う。
豊川がピアノセットとともにステージから去ると、
「みんなが大事にしてくれる曲なので、わいにとっても大事な曲になりました」
と、そもそもは中島美嘉への提供曲として世に出て、後にファンからの「秋田ひろむが歌うバージョンが聴きたい」という望みが叶った「僕が死のうと思ったのは」。そうした経緯も含めて、この曲はamazarashiの中で世に出てから最も育った曲だと言える。
そして最後に演奏されたのは、
「別れの曲」
と紹介され、背後の明かりが点き、シアターの裏側の倉庫的な武装解除した光景の中で演奏された「地方都市のメメント・モリ」に収録される新曲「悲しみ一つも残さないで」。
タイトルだけを見ると、実に暗そうなイメージを持つのだが、弾き語りという形態だからか、別れを告げながらも、ここからまた先へ進んで行こうという前向きな意志を感じる。確かに、悲しみ一つも残さないで別れたのなら、後悔もない。だからサビの最後のタイトルフレーズの歌唱と、秋田の
「また会いましょう」
という言葉からは希望しか感じられない。新たなamazarashiの名曲の誕生にして、アルバムへの期待がさらに高まった。
amazarashiのライブではおなじみの映像や演出、バンドサウンドといった武装を解除した状態だからこそ、メロディと歌詞の美しさがこれまでで最も浮かび上がってきた弾き語りライブだった。
新曲も本当に素晴らしい曲だったが、これらの曲がアルバムではどんなアレンジを施されて演奏されるのか、これらの曲が「地方都市のメメント・モリ」という例作通りにコンセプトの強そうな作品の中でどんな役割を担うのか。それは来週自分の耳で聴いてみないとわからないが、一つだけ今の段階ではっきりとわかっていることは、「地方都市のメメント・モリ」は2017年最後の大傑作アルバムになるということ。そしてそのアルバムを引っさげてのツアーではどんな物語を描くのだろうか。
1.夏を待っていました
2.ジュブナイル
3.ナモナキヒト
4.ラブソング
5.隅田川
6.ヒーロー
7.たられば
8.空洞空洞
9.ライフイズビューティフル
10.フィロソフィー
11.夕立旅立ち
12.空に歌えば
13.光、再考
14.僕が死のうと思ったのは
15.悲しみ一つも残さないで
フィロソフィー
https://youtu.be/Bg_UIwjYnMQ
Next→ 12/8 ASIAN KUNG-FU GENERATION × FEEDER × ART-SCHOOL @豊洲PIT


音源などにおいては弾き語りのものも収録されてきたし、弾き語りイメージも強いのだが、常にバンド形態で自身の音楽を武装してきただけにライブでの全編弾き語りというのは貴重だったりする。
なかなか普段のライブでは馴染みがない、舞浜アンフィシアターはイクスピアリの隣にあるホールで、中に入ると確かにシアターという名前なのも納得するような、劇場のような作りになっている。
amazarashiは普段から全席指定の会場でライブをすることが多いので、この雰囲気は実によく似合っているが、全席指定で真横からステージを見る席まであるというのはなかなかない。
円形のステージには普段のバンド形態でのライブ同様に暗幕が張られている中、19時過ぎに会場が暗転すると、暗幕の向こう側にはいつものようにハットを被ってはいるが、いつもと違って椅子に座ってアコギを持った秋田ひろむが。
ジャカジャカとアコギを弾きだすと、おなじみの「夏を待っていました」から歌い始めるのだが、いつもと違うのは暗幕にあのMVが映し出されない、ひたすらに秋田の歌う姿と声とギターの音のみと向き合うという、まさに弾き語りというもの。しかしながら秋田のギターの音とボーカルは非常に音が大きいサウンドプロダクションで、ステージを取り囲むような構図の客席の距離の近さもあり、凄い迫力である。
やはり「ジュブナイル」もおなじみのMVは流れないのだが、その後には早くも秋田が
「今年は色々なことがあった年で。ツアーもタイアップもたくさんやらせてもらいました」
と年末だからこその一年間の総括を曲間に話す。話す時間以外はギターのチューニングどころか、椅子に座りなおす音すらも聞こえるという静寂。だが距離の近さもあるのか、映像が映し出されないからか、秋田の姿がこれまでで最もよく見える。
「ナモナキヒト」では秋田の背後に煌びやかな星空のような電飾が輝くが、普段のamazarashiの映像や演出からすると非常にささやかなものに感じる。
「こうして弾き語りでライブをしていると、路上で歌っていた頃を思い出します。その時からやっていた曲を」
と言って歌い始めた「隅田川」ではいつものライブのような、隅田川に上がる大量の花火の映像が秋田の背後に映し出される。しかしこれも普段よりはあくまでも歌の支え程度に感じられるくらいに秋田の歌声は非常に良く伸びているし、いつものように歌詞が暗幕に映し出されなくても歌詞がしっかりと頭に入ってくる。
思わず「立ち上がって歌っちゃうんじゃないか?」と思うくらいの力強さを見せた「ヒーロー」、
「あなたの眠った顔見ていたら こんな僕も悪くはないなって思えたんだ」
という秋田ひろむならではのささやかな自己肯定フレーズが美しいメロディをさらに引き立てる「たられば」、さらには来るべき今月発売のアルバム「地方都市のメメント・モリ」に収録される新曲「空洞空洞」をなんの前触れもなく歌い始める。
やや速めのBPMと言葉数の多さはamazarashiならではと言える曲だが、「武装解除」というこの日のライブタイトルになっているフレーズも登場しつつ、「くどくど」と諦念で締められているように聴こえるフレーズが「空洞空洞」と歌っているという(やはり諦念が漂ってはいるが)歌詞の面白さはさすがである。
「さっき楽屋で緊張していたら、今日見に来てくれてるサポートメンバーが声をかけに来てくれて、本当に心強いな、って思って。
次にやる曲は、もう辞めてしまった音楽仲間に対して歌った曲です」
と、弾き語りだからこそのいつもより詳細な楽曲の説明をしてから歌い出したのは「ライフイズビューティフル」。
「夢を諦めた人 捨てた人 叶えられず死んだ人 覚えているか?」
「東京 青森 路上 ライブハウス きっと場所なんてどこでも良かった
歌う場所はどこでもいいぜ 歌う歌がわいの歌なら」
と、音楽を辞めていったたくさんの人たちの姿を見ながらも、自身は音楽を諦めることができなかった秋田の生き様を感じさせるが、曲の説明があったとはいえ、バンド形態でのライブとは全く違う聴こえ方がする。
チューニングをする秋田の後ろでスタッフがガサゴソと何やら機材をセッティングすると、特に何の紹介もなく、相棒である豊川真奈美がピアノの前に座っており、すでにCMタイアップで大量にオンエアされている「フィロソフィー」を披露するのだが、この曲や「空に歌えば」はサビでコーラスだけでなく、豊川が歌う部分もあるだけに、弾き語りとはいえど豊川の存在なくしては成立しない曲と言えるし、そうした曲が近年になって生まれてきているというのがamazarashiのユニットとしての進化と、秋田だけでなく豊川のレベルアップを感じさせる。
それが極まっていたのが、
「2,3年前に作った曲なんだけど、音源にも入ってないし、次のアルバムにも入ってなくて。でもこの2人でやるのにピッタリな曲だと思って」
と言って演奏された、未発表曲の「夕立旅立ち」。そのストレートなタイトルの情景を想起させるようなアコギとピアノのメロディの美しさと切なさだが、常にバンドサウンドで世に送り出されてきたこれまでのamazarashiの曲とは違い、この2人だけの編成で演奏する前提で作られたかのよう。それは
「この2人で最後にやるのは、わいたちの始まりの歌」
と紹介された「光、再考」もそうだが、この2人でamazarashiである以上、音源でもこうした2人だけの演奏で完成とされた曲が収録されるようになる日が来るのもそう遠くはないと思う。
豊川がピアノセットとともにステージから去ると、
「みんなが大事にしてくれる曲なので、わいにとっても大事な曲になりました」
と、そもそもは中島美嘉への提供曲として世に出て、後にファンからの「秋田ひろむが歌うバージョンが聴きたい」という望みが叶った「僕が死のうと思ったのは」。そうした経緯も含めて、この曲はamazarashiの中で世に出てから最も育った曲だと言える。
そして最後に演奏されたのは、
「別れの曲」
と紹介され、背後の明かりが点き、シアターの裏側の倉庫的な武装解除した光景の中で演奏された「地方都市のメメント・モリ」に収録される新曲「悲しみ一つも残さないで」。
タイトルだけを見ると、実に暗そうなイメージを持つのだが、弾き語りという形態だからか、別れを告げながらも、ここからまた先へ進んで行こうという前向きな意志を感じる。確かに、悲しみ一つも残さないで別れたのなら、後悔もない。だからサビの最後のタイトルフレーズの歌唱と、秋田の
「また会いましょう」
という言葉からは希望しか感じられない。新たなamazarashiの名曲の誕生にして、アルバムへの期待がさらに高まった。
amazarashiのライブではおなじみの映像や演出、バンドサウンドといった武装を解除した状態だからこそ、メロディと歌詞の美しさがこれまでで最も浮かび上がってきた弾き語りライブだった。
新曲も本当に素晴らしい曲だったが、これらの曲がアルバムではどんなアレンジを施されて演奏されるのか、これらの曲が「地方都市のメメント・モリ」という例作通りにコンセプトの強そうな作品の中でどんな役割を担うのか。それは来週自分の耳で聴いてみないとわからないが、一つだけ今の段階ではっきりとわかっていることは、「地方都市のメメント・モリ」は2017年最後の大傑作アルバムになるということ。そしてそのアルバムを引っさげてのツアーではどんな物語を描くのだろうか。
1.夏を待っていました
2.ジュブナイル
3.ナモナキヒト
4.ラブソング
5.隅田川
6.ヒーロー
7.たられば
8.空洞空洞
9.ライフイズビューティフル
10.フィロソフィー
11.夕立旅立ち
12.空に歌えば
13.光、再考
14.僕が死のうと思ったのは
15.悲しみ一つも残さないで
フィロソフィー
https://youtu.be/Bg_UIwjYnMQ
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