バンドの超絶進化にして、ついに覚醒した一夜だった。沖縄出身の5人組、Hello Sleepwalkers、2ndアルバム「Masked Monkey Awaykening」リリースツアーにして、初のワンマンツアーファイナル。
ソールドアウトを記録し、満員のフロアに、このツアーのために作ったと思われるSEが流れてメンバーが登場すると、冒頭からダンサブルなギターロックを放ち、シュンタロウ(ボーカル&ギター)がガンガン観客を煽って、みるみるうちにフロアは熱狂の渦になっていく。
「Masked Monkey Awakening」はイギリスのバンド、Hard-Fiのボーカルであるリチャード・アーチャーが共同プロデューサーに名を連ねているので、その影響もあるのか、これまでの「複雑すぎる曲の展開なのになぜかポップ」な曲から、「複雑だけどポップ」という感じにだいぶ整理された印象。
そして何よりも、EDMを中心としたダンスミュージックの大幅な導入ぶり。もともと以前からSkrillexの曲をSEにしたりしていたが、この方向性の変化により、曲に享楽性と破壊力が増した。そしてバンドの演奏とグルーヴが曲に追いついているどころか、はるかに上回っている。
さらにそのバンドの演奏とグルーヴの大幅な向上が、「惑星Qのランドマーク」のアウトロと「月面歩行」のイントロを繋げるように演奏するなど、1stアルバムの曲にもさらなる肉体性をもたらしている。
このバンドはこれまではあまり楽曲以外に観客とコミュニケーションを取らないイメージのバンドだったが、この日はシュンタロウとナルミ(ギター&ボーカル)が自信に満ち溢れながら饒舌に観客とコミュニケーションを取るようになっていた。中でも、
「このバンドの生い立ちをちょっと話しておこうかと思って。俺とナルミとマコト(ベース)は高校の同級生で、見るからに暇そうなやつを誘おうと思って誘って(笑)
タソコ(ギター)は俺と大学で同じゼミだったんだけど、怖いくらいに暗いやつがいると思って(笑)で、音楽好きって言ってたから俺が作った曲を聴かせたら、ギターやってるから入りたいって言ってきて。でも、もうギター2人いるから3人もいらねえだろって思って断って(笑)でもあまりにもしつこくて、俺の家に入り浸って曲を覚えようとしてくるから結局熱意に負けて入ることにして。
で、後はドラムだなと思ってたらナルミの後輩にめちゃドラムが上手いやつがいるって紹介されたのがユウキで」
とこのメンバーが揃った経緯を面白おかしくシュンタロウが話したのは、このバンドのライブで始めて笑った瞬間だったかもしれない。
またワンマンということで他の3人も珍しくMCをし、ユウキはシュンタロウの紹介通りに凄まじいドラムソロも見せつけるというメンバー個々の存在感もしっかりとアピール。
後半は新作の曲を続け、コーラスでは大合唱が起きるほどの熱気が満ちる中、
「この曲をシングルにするのは、バンド側がよっぽどワガママなのか、レーベル側がよっぽど寛容なのか」
と某音楽雑誌のレビューで評された「円盤飛来」で本編は終了した。
アンコールでは、
「本当は着替えるつもりはなかったんだけど、今日はあまりにもみんなが熱すぎたから、着替えて来ました!」
とナルミが言う通りに、ナルミとマコトとタソコがツアーTシャツに着替えて登場し、
「朝までやって!」「最初からもう一回やって!」
という歓声に応えながら、1stの「ミッドナイトにグッドナイト」の浮遊感のあるサウンドスケープに包まれて終了。最後には客席をバックに写真撮影も行い、Hello Sleepwalkersの初のワンマンツアーは幕を閉じた。
自分はかつてThe FlickersとこのQUATTROで対バンツアーをした時のライブを見に来たが、その時は客席はガラガラだった。しかし、今日はHello Sleepwalkersのライブがこんなに満員なのは初めてなんじゃないかというくらいの満員ぶりだった。そして満員の観客によりさらなる熱狂が生み出されていた。その熱狂がこのバンドはさらに大きなとこへ行くと確信させてくれた。すでに出演が決定している各地の夏フェスも期待大。
1.Bloody Mary
2.猿は木から何処へ落ちる
3.五次元少女リア
4.越境
5.センチメンタル症候群
6.惑星Qのランドマーク
7.月面歩行
8.23
9.天地創造
10.Comic Relief
11.砂漠
12.午夜の待ち合わせ
13.円盤飛来
encore
14.ミッドナイトにグッドナイト
午夜の待ち合わせ
http://youtu.be/J69oCCM1EcI
猿は木から何処へ落ちる
http://youtu.be/5dPpdvPM2FM
写真は、ゲットしたのはいいものの、なんも書いてないから誰のかわからなくなりそうなシュンタロウのピック。