1125 / 2017 -ニコフェスト!- 出演:NICO Touches the Walls etc @幕張メッセ国際展示場 11/25
- 2017/11/26
- 00:46
毎年11月25日、すなわちイイニコの日に恒例になっている、NICO Touches the Wallsのスペシャルライブ。
去年はインディーズ時代のミニアルバム収録曲を全曲演奏するという、今となってはレア曲大放出な内容だったが、今年はバンドの地元である千葉の幕張メッセでフェス形式で開催。
かつてバンドは幕張メッセのイベントホールの方でワンマンをやったことがあるが、今回は7~8ホールを使っての開催である。
7ホールには物販やクローク、7ホールと8ホールをつなぐ屋外通路には飲食ブースも並ぶというところもフェス仕様(晴れていて本当に良かった)で、
東京スカパラダイスオーケストラ
クリープハイプ
TK from 凛として時雨
パスピエ
BLUE ENCOUNT
という出演者が揃ったからか、いつものNICOのライブに比べると参加者の幅が広いように見える。
13:20~ ACO Touches the Walls (Opening Act)
ある意味では今回の目玉と言える、NICO Touches the Wallsのアコースティック編成がオープニングアクトとして登場。
「Howdy~!」
というACO編成での挨拶を光村が発して、近年のライブではおなじみのマルチプレイヤー・浅野尚志を加えた5人編成、全員首にバンダナを巻き、完全にACOスタイルで登場。対馬の、そのまま西部劇の映画に出てきそうなハマり具合もすごい。
「僕ら1番後輩なんで、先輩たちにいいバンドを渡せるように!」
と、あくまでNICOとは別バンドであることを主張すると、思いっきりブルージーなアレンジが施された「手をたたけ」でスタートし、いつものNICOとはまた違った手拍子が響く。
これまたブルースの要素が色濃い「ニワカ雨ニモ負ケズ」と、数え切れないくらいに聴いてきた曲なのに初めて聴いたかのように聴こえるのは、よくある、バンドの曲をアコースティック楽器に変えて演奏しました、という単純なアコースティック編成のものではなく、根本的なアレンジからガラッと曲の構造を変えてしまっているから。
「僕ら3年前にNICO Touches the Wallsのパクりバンドとして結成しまして(笑)、1年間の活動を経て無期限活動休止になりまして。それぞれのスケジュールが合った時にまた活動しよう、ということになったんですけど、ついにその時が来まして。
このバンドで大きなフェスにも出てみたいっていう夢が今日叶いました!」
とあくまで別バンドであることを主張するのを忘れないが、そうなるとあなたの名前はなんなんだ、とも思ってしまう。
浅野がバイオリン、古村がバンジョーという編成で演奏された「THE BUNGY」ではラテン色が強くなり、間奏では坂倉がモニターに足を乗せてのアコースティックベースとは思えないくらいに力強いソロ、さらには古村と浅野のソロまでも繰り出され、アコースティックとは思えないくらいにバンドの演奏は熱を増していく。
そしてメンバー全員がスティックを持って対馬のドラムセットの周りに集まり、全員でドラムを打ち鳴らしまくるという、本家のワンマンでもおなじみのパフォーマンスをイントロに行ってから演奏されたのは「マシ・マシ」。通常の編成でも光村がアコギで歌ってからバンドが加わるだけに、今日演奏された曲の中で最も通常の編成のイメージに近いままで聴けた。
わずか4曲という短い時間だったが、ACO編成はNICOのポップな音楽性の奥に潜んでいるルーツや引き出しの多さを存分に感じさせてくれる。なかなかフルタイムで稼働するのは難しいだろうが、これからもたまにでいいからこの編成でのライブも見てみたい。おなじみの曲がこんなに新鮮に感じるバンドのアコースティックはそうそうない。
1.手をたたけ
2.ニワカ雨ニモ負ケズ
3.THE BUNGY
4.マシ・マシ
14:00~ BLUE ENCOUNT
ステージの巨大スクリーンにはオープニング映像が映し出され、トップバッターのBLUE ENCOUNTが元気良くステージに登場。NICOが古村の怪我でCOUNTDOWN JAPANをキャンセルした際に代わりにステージに立ったこともあるなど、NICOにとっては愛すべき後輩である。
その愛すべき後輩感はリハでNICOの「かけら」を田邊が
「いや~、良い曲だわ~」
と言って歌っていたところからもわかるが、「LAST HERO」で始まり、オリエンタルな要素の強い新曲「VS」とアッパーな曲を畳み掛けるも、やはり客席はやや大人しめ。
しかしながらそんな空気を察知してか、田邊が
「俺たち4人だけの力じゃ無理だ!力を貸してくれ、アニキ~!」
と助けを求めると、NICOの古村大介がステージに登場。古村がブルエンTシャツを着用していることで、
「これはこの後我々の物販は大賑わいですよ!」
田邊が青、古村が黄色、江口が赤というギターが並んだことで、
「なんか、THE ALFEEみたい。っていうか信号みたいになってる(笑)」
と、もはや止まらなくなりそうなくらいに喋りまくり、古村が1人でよく聴いていたという「Survivor」をコラボするのだが、古村は江口とのツインタッピングギターのみならず、サビではコーラスも務めてみせ、本当にこの曲が好きなことがわかるとともに、こうして歌う姿を見ることで、光村とまではいかないが、実に歌が上手いということがわかる。
さらに「HEEEY!」ではコーラス部分の合唱がイメージ通りに大きくならなかったため、
「この曲じゃ無理だ!でもこれやって歌えなかったら、もう今日来た意味ない!」
と「THE BUNGY」をも演奏して、大きな合唱を生み出してみせる。そのテンションのまま「HEEEY!」に戻って大きなコーラスを生み出すという上手さはもはや10-FEETを彷彿とさせるが、彼ら自身、先輩バンドのそういった部分を見て吸収してきた結果なのだろう。もちろんバンドの演奏技術があってこそできることだが。
そうしてトップバッターながら上がりまくった雰囲気の中、
「NICOが大好きです!これまでも、これからも。でもNICOが大好きなあなたたちも大好きです!だから、俺たちもカッコいい音楽をやってるから、俺たちにもついてきてください!
この曲だけでいいから覚えて帰って、ニワカでもいいから大きな声で歌ってください!」
と言って最後に演奏された「もっと光を」ではもはやアウェー感は一切ないというくらいの大合唱を起こしてみせた。
冒頭から詰め込みすぎなくらいに色々やりまくったが、ブルエンがNICOを好きすぎるという想いは間違いなくNICOのファンにも伝わっている。
ブルエンはロックシーンど真ん中のフェスにも出れるし、ラウド・パンクバンドが集うフェスにも出れるし、こうしたポップ寄りなフェスにも出れる。それはバンドが様々な音楽を聴いてきており、(メンバーはビックリするくらい、いろんなバンドに「ずっと大好きで聴いてました!」というコメントをする)それを自分たちのバンドの音楽としてアウトプットできているから。この立ち位置まで来れるようなバンドはそうはいない。
リハ.かけら
リハ.LOVE
1.LAST HERO
2.VS
3.Survivor w/ 古村大介
4.HEEEY! ~ THE BUNGY
5.ロストジンクス
6.DAY × DAY
7.もっと光を
VS
https://youtu.be/4iylZd1XEc4
15:05~ パスピエ
やおたくや脱退後はサポートドラマーを加えて活動している、パスピエ。
暗闇の中にメンバーが登場すると、普段のサポートドラマー(踊ってばかりの国の佐藤謙介が務めることが多い)ならば最初に出てくるはずなのに、ドラマーが最後にステージに登場し、しかもその男はよく見たことがあるハットを被っている。
ステージが明るくなり、大胡田なつきが紹介したそのドラマーはNICOの対馬祥太郎であり、今回のライブは全編に渡って対馬を加えた編成で行なわれることが告げられる。
音出し的なセッションが追加されたライブバージョンがおなじみの「チャイナタウン」でスタートすると、さすがにしっかりと練習、リハーサルをしてきたのであろう対馬のドラムは、細かいオカズ部分こそやおがいた時代ほどの手数の多さを見ることはできないが、これっきりとは思えないくらいにしっかりとバンドのリズムを支えている。
「フィーバー」と代表曲でありライブにおける定番曲が続いたので、まぁやはりできる曲はそういう曲になるよなぁと思っていたら、次に演奏された曲はフェスなどではほとんど全くと言っていいくらいにやらない「名前のない鳥」であり、これにはビックリ。てっきり代表曲をとりあえず抑えるという内容になるのかと思っていたが、そうはしなかったのはバンド側の意向か、それとも対馬のミュージシャンシップによるものか。
さらに成田ハネダの美しいピアノの音色が大胡田の文学的な歌詞を包み込むバラード「花」と、通常の編成でもフェスではまずやらないような曲が続けて演奏される。
ややしっとりとした流れになりつつあったのを軽快な4つ打ちのリズムで踊らせる方向に転換してみせた「シネマ」、露崎のゴリゴリのベースがダンサブルな流れをさらに加速させていく「MATATABISTEP」と盛り上がりを増していく中、最後に演奏されたのは最新作収録曲の「正しいままではいられない」で、三澤が対馬と向かい合って笑顔で演奏し合い、最後には必殺の背面奏法でギターを弾き倒した。
それまでに演奏された曲はやはり、正確無比にもかかわらずエモーショナルという超絶ドラマーのやおがいた時代のものに比べると、シンプルに感じざるを得なかったし、それが新鮮でもあったのだが、この曲はライブで聴くのが初めてなので、これからはこのライブのバージョンが基準になっていく。
パスピエの技術を持ってすればその基準は軽々と飛び越していくだろうが、こうして他のドラマーと一緒にライブができるようになったのは4人編成になったからこそ。それが新たな刺激になるのだろうし、それは参加した対馬も同じだろう。
1.チャイナタウン
2.フィーバー
3.名前のない鳥
4.花
5.シネマ
6.MATATABISTEP
7.正しいままではいられない
MATATABISTEP
https://youtu.be/v4P1JsHOe88
16:10~ TK from 凛として時雨
本隊である凛として時雨のライブもようやく決まって本格的な活動に期待が高まる中、今回はもはや凛として時雨よりも活動している、TK from 凛として時雨として出演。
BOBO(ドラム)、TOKIE(ベース)という強力過ぎるリズム隊に、ヴァイオリンとピアノを加えた5人編成で登場すると、スクリーンには曲のイメージを視覚化したような映像が映し出される。
TKのハイトーンボーカルこそ凛として時雨と変わらないが、やはりヴァイオリンとピアノ(曲によってはピアノとキーボード)というその編成により、何度聴いても「何をどうやったらこんな曲ができるんだ」と思わずにはいられないくらいに難解な曲の軸にある、TKの紡ぐメロディとサウンドの美しさが浮かび上がってくる。
「10年以上前に凛として時雨とNICO Touches the Wallsで下北沢にあるQueっていう小さいライブハウスで対バンして。その後にはフェリーに乗って一緒にツアーを回ったりして…。それがこんな大きいところで一緒にできるようになるとは思いませんでした。呼んでくれてありがとうございます」
とTKが歌声とはまるっきり異なる低い声でかつてのNICOとの思い出を語ると、すでにライブでは何度か演奏されている、
「人の愛し方を歌だけで伝えないで」
という歌い出しで始まる壮大なバラードの新曲も挟みながら、スクリーンには映像ではなくメンバーの演奏している姿が映るのだが、「unravel」や「Fantastic Magic」あたりでは、およそ人間のレベルをはるかに超越しているTKの恐ろしい速さでの指の動きすらもしっかりスクリーンに映し出されていく。
するとTK以外のメンバーが楽器を置いてステージを去ったので、これで終わりかな?と思っていたら、
「スペシャルゲストをお呼びします。光村龍哉」
と、なんと光村をステージに招く。
「北嶋くんが男性ボーカルと一緒に歌うのは初めてなんだよね?」
と、本名で呼び合うあたりに昔からの付き合いであることを感じさせるが、TKがピアノ、光村がTKのギターを手渡しで受け取って、2人だけで演奏されたのは、今やすっかりレア曲と化した、NICOの「Aurora」。
TKと光村がボーカルを分け合って歌う中、TKのピアノの音色がこの曲の持つメロディの美しさを際立たせていく。久しぶりにライブで聴けたというのもあるが、この非常にシンプルな編成で聴くことによって、実に良い曲だな、と改めて実感させられた。
曲が終わると2人は向かい合ってガッチリと握手したのちに抱き合った。おそらくもう2度とは見れないであろう、全くタイプの異なる同世代ボーカリスト同士の、あまりに美しいコラボだった。
1.subliminal
2.flower
3.Dramatic Slowmotion
4.contrast
5.新曲
6.unravel
7.Fantastic Magic
8.Aurora (Prelude) w/ 光村龍哉
unravel
https://youtu.be/y_UNGdpcYH4
17:15~ クリープハイプ
ここまでNICOのメンバーとのコラボ(まさかTKがコラボするなんて全く想像していなかった)が続いただけに、ハードルが上がりまくっている中で登場した、クリープハイプ。
「やります」
と尾崎世界観が一言だけ言って、銀杏BOYZがカバーしたことによってライブ定番曲になった(と自分は思っている)「二十九、三十」でスタートすると、まさかこの曲をフェスでやるのか!と思わずにはいられない「君の部屋」から4つ打ちのリズムで踊らせる「オレンジ」につながり、さらに小川とカオナシがステージ左右まで展開して演奏する「イノチミジカシコイセヨオトメ」で大きな歓声が上がるのだが、どこかメンバーの表情に違和感を感じた理由は、
「ちょっと変な空気になったのは、曲順を間違えたからです(笑)」
とのこと。しかし、
「ミスは怖いですが、鬼はもっと怖いですね」
と「鬼」に繋げるあたり、わざと間違えたんじゃないかという気すらする上手さ。
同期のサウンドが華々しい「イト」はもはやクリープハイプの中でも屈指の名曲と言ってもいい位置まで成長してきているが、カオナシがベースを置いてキーボードの前に座ると、
「ゲストを呼びます。みっちゃん…なんでギター持って来てんの(笑)」
と、光村を招き(手持ち無沙汰だからギターを持ってきたらしい)、「5%」をデュエットするのだが、直前までどの部分をどう歌い分けるのかを全く決めていなかったらしく、途中ではどっちが歌うのか、みたいな空気になる部分もあったが、
「お前のミスは俺のミスだ」
と年上らしい責任の取り方を尾崎が見せてNICOのファンからも大歓声を浴びた。
しかしながらクリープハイプの曲というのは尾崎以外の人が歌うと全く違う曲にすら聴こえる。それはどちらがいいとか悪いとかではなく、「普通の声で歌えばいいのに」とも言われた尾崎のボーカルが唯一無二のものであることの証。
「前に僕らがレーベル移籍でゴタゴタしてる時に、他のバンドとかから色々言われまくってたんだけど、そんな時にみっちゃんがたった一言「飲みに行こう」って言ってくれて。
そういうところあるんだな、ってみっちゃんのことが大好きになりました」
と、あえて光村がステージを去ってから光村への思いを語るあたりが実に尾崎らしいが、そう喋りながらアコギを手にし、
「人を傷つけるよりは傷つけられたい」
と言って最後に演奏したのは「傷つける」。
光村と尾崎はお互いに傷つけ合うような関係にはならないだろうが、この曲は間違いなくNICOに捧げるべく演奏されたのだろうし、この曲を聴くといつも池松壮亮が出演した、クリープハイプの短編映画のことを思い出して、自分は人を傷つけずに生きていけているだろうか、と胸が切なくなる。
そういう意味でもクリープハイプのファンにとっては特別な曲だが、「HE IS MINE」や「社会の窓」というライブ鉄板曲をやらなくても大丈夫なようになったというところにこのバンドの新たなフェスでの戦い方を感じるし、
「こんな俺と友達でいてくれてありがとう」
という尾崎と光村の絆を感じたライブであった。
リハ.愛の標識
1.二十九、三十
2.君の部屋
3.オレンジ
4.イノチミジカシコイセヨオトメ
5.鬼
6.イト
7.5% w/ 光村龍哉
8.傷つける
イト
https://youtu.be/cxuqBH9jOSw
18:20~ 東京スカパラダイスオーケストラ
NICOと同世代のUNISON SQUARE GARDEN・斎藤宏介とのコラボ曲もリリース間近ではあるが、特にNICOとコラボもしていないどころか、親しいイメージしかないスカパラの面々が、この日一番のベテランということもあり、トリ前の大事なポジションで登場。
谷中敦が挨拶すると、冒頭から華々しいホーンが鳴り響く、CMのタイアップでおなじみの「Paradise Has No Border」、谷中らメンバーがスカダンスをしながら踊りまくる「DOWN BEAT STOMP」と、スカパラのライブを見るのは初めてであっても、どこかで一度は聴いたことがあるような曲を演奏して、誰しもが楽しいと感じるような空間を作り上げてしまう様は本当に見事。さすが近年は南米でもライブをガンガンやりまくっているバンドである。
谷中が以前、クリープハイプの尾崎世界観とコラボしたことを紹介すると、実に久しぶりだというその尾崎とのコラボが実現。(クリープハイプ主催のBowline以来?)
尾崎がピンマイクで歌うというのはもはやバンドの「5%」でも見れるだけにレアな光景というわけではないが、やはりこうしてホーン隊の音が響く中で聴く尾崎の声の唯一無二さが光る。
コラボ曲2曲を披露するという贅沢な時間の後は、再び谷中らメンバーがボーカルを取るスカナンバーが続いてさらに踊らせまくるが、
「NICOの新曲みんな聴いたよね!?「Funny Side Up!」すごいいいよね!曲も良いけど、録音が本当に良い!NICOのこと本当に大好きになっちゃった!」
と谷中が評したNICOから光村がステージに登場し、かつてNICOがカバーした「ラッパと娘」をスカパラバージョンで演奏するというスペシャルコラボを展開。
光村が間奏でスキャットを入れると、そのフレーズをNARGOがトランペットで吹くという、本当にコラボするのが初めてなのか?と思う息のピッタリ合った演奏を見せ、何よりもそのサウンドがもともとは昭和歌謡であるこの曲にピッタリであり、是非ともこのバージョンのレコーディングとリリースをお願いしたいくらい。
そうしてNICOファンも完全にスカパラの虜になったところで、運動会の曲としておなじみの「ペドラーズ」から、ラストは谷中が
「いつもスカパラのライブでお客さんにお願いしてることなんだけど、みんな両手を挙げてくれ!そしてそのまま手を下げずに隣の人と肩を組んでくれ!」
と言うと、客席にいる全ての人が肩を組むという凄まじい景色が生まれ、みんなで「All Good Ska is One」を合唱して終わるという大団円。最後に去り際に谷中が客席を背にして自撮りをしまくっていたが、自身のツイッターでしっかりと使っていた。
一昨日のSAIではACIDMANが「バンドを救ってくれた先輩」とスカパラを紹介していたが、スカパラと関わっているバンドは、曲でコラボしていないバンドも加えると、もはや数え切れないくらいいる。そういうバンドたちは決してスカパラに影響されて自分たちの音楽にスカを取り入れたりはしないが、バンドとしての在り方、バンドの続け方という精神的な面でスカパラに影響されたり救われてるバンドは本当に多い。もしかしたら、日本のロックシーンを影で最も支えてきたバンドなのかもしれない。
1.Paradise Has No Border
2.DOWN BEAT STOMP
3.爆音ラブソング w/尾崎世界観
4.めくったオレンジ w/尾崎世界観
5.Samurai Dreamer~サビレルナ和ヨ~
6.スキャラバン
7.ラッパと娘 w/ 光村龍哉
8.ペドラーズ
9.All Good Ska is One
爆音ラブソング
https://youtu.be/bUcqb23mMQ4
19:20~ NICO Touches the Walls
そしてここまでの全出演者とコラボを果たした、NICO Touches the Wallsがそのバンドたちから受け取ったバトンを持ってステージに登場。
SEなしで浅野尚志を加えた5人編成というのはいつもと変わらないが、この日のテーマソングである、ストレートなギターロック曲「イイニコのテーマ」でスタートし、
「幕張メッセまで!」
という歌詞に変えて(未リリースなので本当の歌詞があるのかもわからないが)歌って、2017年のイイニコの日であることを実感させてくれるが、さすがにイイニコの日ライブも毎年の恒例となり、この曲も毎年演奏されているだけに、この曲をしっかりと知っている人が本当に増えてきたな、という印象。
さらにいきなり新曲「mujina」と続くが、この曲は春のツアーで謎の新曲として演奏されていた曲だ。おそらく歌詞は少し変わっていると思うが、ストレートかつシンプルなロックサウンドとリズムにシュールな歌詞が乗るというのはインディーズ期の曲を彷彿とさせるが、当時と違うのは、今はいくらでも難しい展開にできるのに敢えてストレートにしているという点と、対馬のみならず古村と坂倉(今日1人だけ他の出演者とコラボしてないのはツイッター係だったから?)もがガンガンコーラスしているという、楽器だけでなく声でサウンドの厚みと変化をもたらせるようになった部分。だがストレートかと思いきや、曲中には光村の指揮の元でキメが何連発も行われ、
「1,1,2,5,2,0,1,7…なんちゃって」
とこの日の日付けに合わせたキメ連発をしておどけてみせる。
「今日たくさん聴いたと思うけど、これが本家だー!」
と言って浅野のヴァイオリンがリフを奏でたのは、もちろんACOとブルエンがすでに演奏した「THE BUNGY」だが、さすがNICOのフェスだけあって、裏拍での手拍子がしっかり揃っており、それがこれだけたくさんの人で鳴らされるというのは壮観である。
スペシャなどでこのフェスのCMスポットで使用されていた「ホログラム」で王道感を出したのも束の間、
「なんかこのライブでは毎回普段あんまりやらない曲をやる、みたいなルールがあって(笑)
ここからはそのブロックです!」
と言うと、「ストロベリーガール」からはレア曲ゾーンに突入。だが「ストロベリーガール」はこの日スペシャルドリンクブースに同名のドリンクが出ていたので、やるんじゃないかと思っていたし、次の「ブギウギルディ」もまだリリースからそんなに時間が経っていないので、そんなにレア曲というイメージはない。
むしろこの日のポイントは次の「梨の花」。これも同名のスペシャルドリンクが販売されており、演奏される予感はしていたが、そのアレンジは従来のものとは全く変わり、光村のギターと古村のコーラスが、まるで夕暮れの海辺で聴いているかのような、サーフミュージック的なアレンジに聴こえる。海辺に梨の花は咲かないだろうけど。
「千葉県は実は梨の名産地なんですよ」
とこの曲のエピソードを語りながら、
「ヘンテコなバンドであることを悩んだこともあったけど…これからはとことんヘンテコなバンドとして突き進んでいきたいと思います!」
と決意を新たにして演奏されたのは、すでに公開されたMVがヘンテコなバンドらしさに拍車をかけている新曲「Funny Side Up!」。タイトルから察せられるようにかなりハジけた曲で、やはり大事になっているのはメンバーのコーラスと、浅野のピアノの音。もとから5人編成で演奏するのを念頭に置いて作ったかのようで、ということはこの編成はこれからも当分続くということだろうか。
さらに「天地ガエシ」「バイシクル」という定番の王道曲でクライマックスに突き進むと、
「本当は何気ない1日なんだけど、イイニコの日って勝手に言い出してライブを始めたら、この日が大事な記念日になっていった。始まる前は不安だったけど、こうしてみんなの顔を見たら、お世辞じゃなくて本当に不安が吹っ飛びました!
バンドを始めた時はこんなに大きなところでできるようになるって全く思ってなかったし、目標にすらしてなかった。でも趣味だった音楽がいつしか人生になって、自分の人生がみんなの人生になっていった。それを重く感じてしまうこともあるんだけど、こうしてみんなと音楽で遊べて感無量です!」
と光村が素直な自分の中の気持ちを打ち明けると、最後に演奏された新曲の「Ginger lily」が本当に素晴らしかった。このMCの流れを汲んだ曲でもあるのだが、そのメロディの美しさと、目の前の視界が一気に拓けていくかのようなアンセム的な強度を持ったこの曲は、なぜシングルのタイトル曲にして出さなかったんだろうか、と一聴しただけで思ってしまう曲ですらあるのだが、こんな素晴らしい曲が新たに生まれてくるということは、これからもNICOはさらに先を、さらに上を目指せるということ。
アンコールでは光村がこのイベントを作り上げてくれたスタッフと出演してくれたアーティストに感謝を告げ、
「ミュージシャンやってて良かったー!」
とあまりにも素直すぎる言葉を叫ぶと、
「初めてやることを今からやって、盛大に終わりたいと思います!」
と言ってステージに招かれたのは、スカパラホーンズの面々。
そしてその4人を加えて演奏されたのは、もともとホーンのアレンジがあった「手をたたけ」。つまり、スカパラのメンバーの力によって、今まで何度となくライブのハイライトを描いてきたこの曲はついに最大の真価を発揮したのである。これもまたスカパラと光村のコラボに続いてこれっきりにするにはあまりにもったいないだけに、スカパラの次のコラボシリーズは光村龍哉にしてみてはいかがでしょうか、と谷中敦と、演奏後に「サンキュー!」とダンディに挨拶していた北原雅彦にお願いしたいくらいだ。
演奏が終わると、出演者全員を呼んでの写真撮影。真っ先にステージに現れたブルエンのメンバーを
「やっぱり最初に出てきたよ(笑)」
と先輩だからこそのかわいがり感を出しながら、姿を見せなかったTKはアルバム制作に追われていて先に帰ったらしく、
「卒業アルバムで欠席した生徒みたいに端っこにTKの写真を載せておく(笑)」
とのこと。ちなみに写真撮影のあとのオールアップで偶然隣同士になった対馬とクリープハイプ小川の、ハットを被って髭が生えている2人のシンクロ具合にも笑いが起こっていた。
アーティストの主催フェスが増えまくっている昨今、どうやってフェスの色を出していくかというのは本当に難しいところだが、今日のNICOは自分たちが出演者とコラボすることで特別感を出した。もちろんそれができるのはNICOと出演者の技術の高さと信頼があるからこそであることはライブを見ればすぐにわかる。
1.イイニコのテーマ
2.mujina
3.THE BUNGY
4.ホログラム
5.ストロベリーガール
6.ブギウギルディ
7.梨の花
8.Funny Side Up!
9.天地ガエシ
10.バイシクル
11.Ginger lily
encore
12.手をたたけ w/ スカパラホーンズ
Funny Side Up!
https://youtu.be/lAJWx1aMO40
そして、ライブ発表時から言われていた、「なぜ今までのようにワンマンではなくフェス形式なのか?」ということを自分なりに考えてみようと思う。
昨今のNICOはツアーで東京公演をやればZeppやNHKホールクラスは満員になるし、たまに武道館でやってもちゃんと埋まる。かといってチケットが取りづらいわけでもない、という普段からワンマンに行く我々からしたらなんの問題もない、現状維持で大丈夫です、という状況が続いている。
しかし、本人たちは決して今の状況を良しとは思っていないだろう。例えば今日出演したブルエンを始め、後輩バンドたちはどんどんこの幕張メッセクラスでワンマンをできるくらいに急速に動員力も売り上げも伸ばしてきている。
かつてイベントホールでワンマンをやっているとはいえ、NICOだって千葉県出身バンドとして、他のバンドと同じ9~11ホールを使ってワンマンをやりたいと思っているだろうし、そこに立ってもおかしくないポテンシャルをこれまでの活動の中で見せてきた。
だが今の活動サイクルを続けていては、現状維持はできても今より上のところまではいけない。フェスでメインステージに出るのが当たり前になっている現在でもそうなのだから、このままでは変わらないだろう。
だから今回のこのフェスである。普段NICOのワンマンに来ないような他のバンドのファンにもNICOのライブをじっくり見てもらう。(普通のフェスだとメインステージに出ていても「見ない」という選択肢もあるだけに)
見てもらえれば、自分たちがどれだけカッコいいバンドであるかわかってもらえる自信がある。そしてそうした人たちにNICOのワンマンに来てもらえるようになる。そうして今よりもさらに上へ行く。自分はNICOが今回フェス形式にした理由をそう解釈していた。
しかしながら今回のフェスを全部見終わった今、それは少し変わった。そういう部分もあれど、ただただ自分たちが大好きなアーティストたちと一緒に音を出したり、好きな曲を演奏したりしたい。そうした音楽に対する無垢な感情がこのフェスを作ったのではないだろうか。そして全編に渡ってNICOのメンバーが出演したことにより、それは「今日しか見ることのできない」特別なものになった。
だからこそ参加した人も、「やっぱりワンマンの方が良かったな~」って思う人はほとんどいないはずだ。その裏には想像をはるかに上回る努力があるはずだが、NICOは自分たちの力でこのお祭りをワンマンを上回る大成功まで導いてみせた。まだまだもっと大きいところで見たいという願望はあるが、これからも少しずつ、一歩ずつ一緒に階段を登っていければ。本当にもどかしいくらいに今までもそうやって歩んできたバンドなのだから。
Next→ 11/26 THE BAWDIES × ドレスコーズ with B × 9mm Parabellum Bullet @新木場STUDIO COAST
去年はインディーズ時代のミニアルバム収録曲を全曲演奏するという、今となってはレア曲大放出な内容だったが、今年はバンドの地元である千葉の幕張メッセでフェス形式で開催。
かつてバンドは幕張メッセのイベントホールの方でワンマンをやったことがあるが、今回は7~8ホールを使っての開催である。
7ホールには物販やクローク、7ホールと8ホールをつなぐ屋外通路には飲食ブースも並ぶというところもフェス仕様(晴れていて本当に良かった)で、
東京スカパラダイスオーケストラ
クリープハイプ
TK from 凛として時雨
パスピエ
BLUE ENCOUNT
という出演者が揃ったからか、いつものNICOのライブに比べると参加者の幅が広いように見える。
13:20~ ACO Touches the Walls (Opening Act)
ある意味では今回の目玉と言える、NICO Touches the Wallsのアコースティック編成がオープニングアクトとして登場。
「Howdy~!」
というACO編成での挨拶を光村が発して、近年のライブではおなじみのマルチプレイヤー・浅野尚志を加えた5人編成、全員首にバンダナを巻き、完全にACOスタイルで登場。対馬の、そのまま西部劇の映画に出てきそうなハマり具合もすごい。
「僕ら1番後輩なんで、先輩たちにいいバンドを渡せるように!」
と、あくまでNICOとは別バンドであることを主張すると、思いっきりブルージーなアレンジが施された「手をたたけ」でスタートし、いつものNICOとはまた違った手拍子が響く。
これまたブルースの要素が色濃い「ニワカ雨ニモ負ケズ」と、数え切れないくらいに聴いてきた曲なのに初めて聴いたかのように聴こえるのは、よくある、バンドの曲をアコースティック楽器に変えて演奏しました、という単純なアコースティック編成のものではなく、根本的なアレンジからガラッと曲の構造を変えてしまっているから。
「僕ら3年前にNICO Touches the Wallsのパクりバンドとして結成しまして(笑)、1年間の活動を経て無期限活動休止になりまして。それぞれのスケジュールが合った時にまた活動しよう、ということになったんですけど、ついにその時が来まして。
このバンドで大きなフェスにも出てみたいっていう夢が今日叶いました!」
とあくまで別バンドであることを主張するのを忘れないが、そうなるとあなたの名前はなんなんだ、とも思ってしまう。
浅野がバイオリン、古村がバンジョーという編成で演奏された「THE BUNGY」ではラテン色が強くなり、間奏では坂倉がモニターに足を乗せてのアコースティックベースとは思えないくらいに力強いソロ、さらには古村と浅野のソロまでも繰り出され、アコースティックとは思えないくらいにバンドの演奏は熱を増していく。
そしてメンバー全員がスティックを持って対馬のドラムセットの周りに集まり、全員でドラムを打ち鳴らしまくるという、本家のワンマンでもおなじみのパフォーマンスをイントロに行ってから演奏されたのは「マシ・マシ」。通常の編成でも光村がアコギで歌ってからバンドが加わるだけに、今日演奏された曲の中で最も通常の編成のイメージに近いままで聴けた。
わずか4曲という短い時間だったが、ACO編成はNICOのポップな音楽性の奥に潜んでいるルーツや引き出しの多さを存分に感じさせてくれる。なかなかフルタイムで稼働するのは難しいだろうが、これからもたまにでいいからこの編成でのライブも見てみたい。おなじみの曲がこんなに新鮮に感じるバンドのアコースティックはそうそうない。
1.手をたたけ
2.ニワカ雨ニモ負ケズ
3.THE BUNGY
4.マシ・マシ
14:00~ BLUE ENCOUNT
ステージの巨大スクリーンにはオープニング映像が映し出され、トップバッターのBLUE ENCOUNTが元気良くステージに登場。NICOが古村の怪我でCOUNTDOWN JAPANをキャンセルした際に代わりにステージに立ったこともあるなど、NICOにとっては愛すべき後輩である。
その愛すべき後輩感はリハでNICOの「かけら」を田邊が
「いや~、良い曲だわ~」
と言って歌っていたところからもわかるが、「LAST HERO」で始まり、オリエンタルな要素の強い新曲「VS」とアッパーな曲を畳み掛けるも、やはり客席はやや大人しめ。
しかしながらそんな空気を察知してか、田邊が
「俺たち4人だけの力じゃ無理だ!力を貸してくれ、アニキ~!」
と助けを求めると、NICOの古村大介がステージに登場。古村がブルエンTシャツを着用していることで、
「これはこの後我々の物販は大賑わいですよ!」
田邊が青、古村が黄色、江口が赤というギターが並んだことで、
「なんか、THE ALFEEみたい。っていうか信号みたいになってる(笑)」
と、もはや止まらなくなりそうなくらいに喋りまくり、古村が1人でよく聴いていたという「Survivor」をコラボするのだが、古村は江口とのツインタッピングギターのみならず、サビではコーラスも務めてみせ、本当にこの曲が好きなことがわかるとともに、こうして歌う姿を見ることで、光村とまではいかないが、実に歌が上手いということがわかる。
さらに「HEEEY!」ではコーラス部分の合唱がイメージ通りに大きくならなかったため、
「この曲じゃ無理だ!でもこれやって歌えなかったら、もう今日来た意味ない!」
と「THE BUNGY」をも演奏して、大きな合唱を生み出してみせる。そのテンションのまま「HEEEY!」に戻って大きなコーラスを生み出すという上手さはもはや10-FEETを彷彿とさせるが、彼ら自身、先輩バンドのそういった部分を見て吸収してきた結果なのだろう。もちろんバンドの演奏技術があってこそできることだが。
そうしてトップバッターながら上がりまくった雰囲気の中、
「NICOが大好きです!これまでも、これからも。でもNICOが大好きなあなたたちも大好きです!だから、俺たちもカッコいい音楽をやってるから、俺たちにもついてきてください!
この曲だけでいいから覚えて帰って、ニワカでもいいから大きな声で歌ってください!」
と言って最後に演奏された「もっと光を」ではもはやアウェー感は一切ないというくらいの大合唱を起こしてみせた。
冒頭から詰め込みすぎなくらいに色々やりまくったが、ブルエンがNICOを好きすぎるという想いは間違いなくNICOのファンにも伝わっている。
ブルエンはロックシーンど真ん中のフェスにも出れるし、ラウド・パンクバンドが集うフェスにも出れるし、こうしたポップ寄りなフェスにも出れる。それはバンドが様々な音楽を聴いてきており、(メンバーはビックリするくらい、いろんなバンドに「ずっと大好きで聴いてました!」というコメントをする)それを自分たちのバンドの音楽としてアウトプットできているから。この立ち位置まで来れるようなバンドはそうはいない。
リハ.かけら
リハ.LOVE
1.LAST HERO
2.VS
3.Survivor w/ 古村大介
4.HEEEY! ~ THE BUNGY
5.ロストジンクス
6.DAY × DAY
7.もっと光を
VS
https://youtu.be/4iylZd1XEc4
15:05~ パスピエ
やおたくや脱退後はサポートドラマーを加えて活動している、パスピエ。
暗闇の中にメンバーが登場すると、普段のサポートドラマー(踊ってばかりの国の佐藤謙介が務めることが多い)ならば最初に出てくるはずなのに、ドラマーが最後にステージに登場し、しかもその男はよく見たことがあるハットを被っている。
ステージが明るくなり、大胡田なつきが紹介したそのドラマーはNICOの対馬祥太郎であり、今回のライブは全編に渡って対馬を加えた編成で行なわれることが告げられる。
音出し的なセッションが追加されたライブバージョンがおなじみの「チャイナタウン」でスタートすると、さすがにしっかりと練習、リハーサルをしてきたのであろう対馬のドラムは、細かいオカズ部分こそやおがいた時代ほどの手数の多さを見ることはできないが、これっきりとは思えないくらいにしっかりとバンドのリズムを支えている。
「フィーバー」と代表曲でありライブにおける定番曲が続いたので、まぁやはりできる曲はそういう曲になるよなぁと思っていたら、次に演奏された曲はフェスなどではほとんど全くと言っていいくらいにやらない「名前のない鳥」であり、これにはビックリ。てっきり代表曲をとりあえず抑えるという内容になるのかと思っていたが、そうはしなかったのはバンド側の意向か、それとも対馬のミュージシャンシップによるものか。
さらに成田ハネダの美しいピアノの音色が大胡田の文学的な歌詞を包み込むバラード「花」と、通常の編成でもフェスではまずやらないような曲が続けて演奏される。
ややしっとりとした流れになりつつあったのを軽快な4つ打ちのリズムで踊らせる方向に転換してみせた「シネマ」、露崎のゴリゴリのベースがダンサブルな流れをさらに加速させていく「MATATABISTEP」と盛り上がりを増していく中、最後に演奏されたのは最新作収録曲の「正しいままではいられない」で、三澤が対馬と向かい合って笑顔で演奏し合い、最後には必殺の背面奏法でギターを弾き倒した。
それまでに演奏された曲はやはり、正確無比にもかかわらずエモーショナルという超絶ドラマーのやおがいた時代のものに比べると、シンプルに感じざるを得なかったし、それが新鮮でもあったのだが、この曲はライブで聴くのが初めてなので、これからはこのライブのバージョンが基準になっていく。
パスピエの技術を持ってすればその基準は軽々と飛び越していくだろうが、こうして他のドラマーと一緒にライブができるようになったのは4人編成になったからこそ。それが新たな刺激になるのだろうし、それは参加した対馬も同じだろう。
1.チャイナタウン
2.フィーバー
3.名前のない鳥
4.花
5.シネマ
6.MATATABISTEP
7.正しいままではいられない
MATATABISTEP
https://youtu.be/v4P1JsHOe88
16:10~ TK from 凛として時雨
本隊である凛として時雨のライブもようやく決まって本格的な活動に期待が高まる中、今回はもはや凛として時雨よりも活動している、TK from 凛として時雨として出演。
BOBO(ドラム)、TOKIE(ベース)という強力過ぎるリズム隊に、ヴァイオリンとピアノを加えた5人編成で登場すると、スクリーンには曲のイメージを視覚化したような映像が映し出される。
TKのハイトーンボーカルこそ凛として時雨と変わらないが、やはりヴァイオリンとピアノ(曲によってはピアノとキーボード)というその編成により、何度聴いても「何をどうやったらこんな曲ができるんだ」と思わずにはいられないくらいに難解な曲の軸にある、TKの紡ぐメロディとサウンドの美しさが浮かび上がってくる。
「10年以上前に凛として時雨とNICO Touches the Wallsで下北沢にあるQueっていう小さいライブハウスで対バンして。その後にはフェリーに乗って一緒にツアーを回ったりして…。それがこんな大きいところで一緒にできるようになるとは思いませんでした。呼んでくれてありがとうございます」
とTKが歌声とはまるっきり異なる低い声でかつてのNICOとの思い出を語ると、すでにライブでは何度か演奏されている、
「人の愛し方を歌だけで伝えないで」
という歌い出しで始まる壮大なバラードの新曲も挟みながら、スクリーンには映像ではなくメンバーの演奏している姿が映るのだが、「unravel」や「Fantastic Magic」あたりでは、およそ人間のレベルをはるかに超越しているTKの恐ろしい速さでの指の動きすらもしっかりスクリーンに映し出されていく。
するとTK以外のメンバーが楽器を置いてステージを去ったので、これで終わりかな?と思っていたら、
「スペシャルゲストをお呼びします。光村龍哉」
と、なんと光村をステージに招く。
「北嶋くんが男性ボーカルと一緒に歌うのは初めてなんだよね?」
と、本名で呼び合うあたりに昔からの付き合いであることを感じさせるが、TKがピアノ、光村がTKのギターを手渡しで受け取って、2人だけで演奏されたのは、今やすっかりレア曲と化した、NICOの「Aurora」。
TKと光村がボーカルを分け合って歌う中、TKのピアノの音色がこの曲の持つメロディの美しさを際立たせていく。久しぶりにライブで聴けたというのもあるが、この非常にシンプルな編成で聴くことによって、実に良い曲だな、と改めて実感させられた。
曲が終わると2人は向かい合ってガッチリと握手したのちに抱き合った。おそらくもう2度とは見れないであろう、全くタイプの異なる同世代ボーカリスト同士の、あまりに美しいコラボだった。
1.subliminal
2.flower
3.Dramatic Slowmotion
4.contrast
5.新曲
6.unravel
7.Fantastic Magic
8.Aurora (Prelude) w/ 光村龍哉
unravel
https://youtu.be/y_UNGdpcYH4
17:15~ クリープハイプ
ここまでNICOのメンバーとのコラボ(まさかTKがコラボするなんて全く想像していなかった)が続いただけに、ハードルが上がりまくっている中で登場した、クリープハイプ。
「やります」
と尾崎世界観が一言だけ言って、銀杏BOYZがカバーしたことによってライブ定番曲になった(と自分は思っている)「二十九、三十」でスタートすると、まさかこの曲をフェスでやるのか!と思わずにはいられない「君の部屋」から4つ打ちのリズムで踊らせる「オレンジ」につながり、さらに小川とカオナシがステージ左右まで展開して演奏する「イノチミジカシコイセヨオトメ」で大きな歓声が上がるのだが、どこかメンバーの表情に違和感を感じた理由は、
「ちょっと変な空気になったのは、曲順を間違えたからです(笑)」
とのこと。しかし、
「ミスは怖いですが、鬼はもっと怖いですね」
と「鬼」に繋げるあたり、わざと間違えたんじゃないかという気すらする上手さ。
同期のサウンドが華々しい「イト」はもはやクリープハイプの中でも屈指の名曲と言ってもいい位置まで成長してきているが、カオナシがベースを置いてキーボードの前に座ると、
「ゲストを呼びます。みっちゃん…なんでギター持って来てんの(笑)」
と、光村を招き(手持ち無沙汰だからギターを持ってきたらしい)、「5%」をデュエットするのだが、直前までどの部分をどう歌い分けるのかを全く決めていなかったらしく、途中ではどっちが歌うのか、みたいな空気になる部分もあったが、
「お前のミスは俺のミスだ」
と年上らしい責任の取り方を尾崎が見せてNICOのファンからも大歓声を浴びた。
しかしながらクリープハイプの曲というのは尾崎以外の人が歌うと全く違う曲にすら聴こえる。それはどちらがいいとか悪いとかではなく、「普通の声で歌えばいいのに」とも言われた尾崎のボーカルが唯一無二のものであることの証。
「前に僕らがレーベル移籍でゴタゴタしてる時に、他のバンドとかから色々言われまくってたんだけど、そんな時にみっちゃんがたった一言「飲みに行こう」って言ってくれて。
そういうところあるんだな、ってみっちゃんのことが大好きになりました」
と、あえて光村がステージを去ってから光村への思いを語るあたりが実に尾崎らしいが、そう喋りながらアコギを手にし、
「人を傷つけるよりは傷つけられたい」
と言って最後に演奏したのは「傷つける」。
光村と尾崎はお互いに傷つけ合うような関係にはならないだろうが、この曲は間違いなくNICOに捧げるべく演奏されたのだろうし、この曲を聴くといつも池松壮亮が出演した、クリープハイプの短編映画のことを思い出して、自分は人を傷つけずに生きていけているだろうか、と胸が切なくなる。
そういう意味でもクリープハイプのファンにとっては特別な曲だが、「HE IS MINE」や「社会の窓」というライブ鉄板曲をやらなくても大丈夫なようになったというところにこのバンドの新たなフェスでの戦い方を感じるし、
「こんな俺と友達でいてくれてありがとう」
という尾崎と光村の絆を感じたライブであった。
リハ.愛の標識
1.二十九、三十
2.君の部屋
3.オレンジ
4.イノチミジカシコイセヨオトメ
5.鬼
6.イト
7.5% w/ 光村龍哉
8.傷つける
イト
https://youtu.be/cxuqBH9jOSw
18:20~ 東京スカパラダイスオーケストラ
NICOと同世代のUNISON SQUARE GARDEN・斎藤宏介とのコラボ曲もリリース間近ではあるが、特にNICOとコラボもしていないどころか、親しいイメージしかないスカパラの面々が、この日一番のベテランということもあり、トリ前の大事なポジションで登場。
谷中敦が挨拶すると、冒頭から華々しいホーンが鳴り響く、CMのタイアップでおなじみの「Paradise Has No Border」、谷中らメンバーがスカダンスをしながら踊りまくる「DOWN BEAT STOMP」と、スカパラのライブを見るのは初めてであっても、どこかで一度は聴いたことがあるような曲を演奏して、誰しもが楽しいと感じるような空間を作り上げてしまう様は本当に見事。さすが近年は南米でもライブをガンガンやりまくっているバンドである。
谷中が以前、クリープハイプの尾崎世界観とコラボしたことを紹介すると、実に久しぶりだというその尾崎とのコラボが実現。(クリープハイプ主催のBowline以来?)
尾崎がピンマイクで歌うというのはもはやバンドの「5%」でも見れるだけにレアな光景というわけではないが、やはりこうしてホーン隊の音が響く中で聴く尾崎の声の唯一無二さが光る。
コラボ曲2曲を披露するという贅沢な時間の後は、再び谷中らメンバーがボーカルを取るスカナンバーが続いてさらに踊らせまくるが、
「NICOの新曲みんな聴いたよね!?「Funny Side Up!」すごいいいよね!曲も良いけど、録音が本当に良い!NICOのこと本当に大好きになっちゃった!」
と谷中が評したNICOから光村がステージに登場し、かつてNICOがカバーした「ラッパと娘」をスカパラバージョンで演奏するというスペシャルコラボを展開。
光村が間奏でスキャットを入れると、そのフレーズをNARGOがトランペットで吹くという、本当にコラボするのが初めてなのか?と思う息のピッタリ合った演奏を見せ、何よりもそのサウンドがもともとは昭和歌謡であるこの曲にピッタリであり、是非ともこのバージョンのレコーディングとリリースをお願いしたいくらい。
そうしてNICOファンも完全にスカパラの虜になったところで、運動会の曲としておなじみの「ペドラーズ」から、ラストは谷中が
「いつもスカパラのライブでお客さんにお願いしてることなんだけど、みんな両手を挙げてくれ!そしてそのまま手を下げずに隣の人と肩を組んでくれ!」
と言うと、客席にいる全ての人が肩を組むという凄まじい景色が生まれ、みんなで「All Good Ska is One」を合唱して終わるという大団円。最後に去り際に谷中が客席を背にして自撮りをしまくっていたが、自身のツイッターでしっかりと使っていた。
一昨日のSAIではACIDMANが「バンドを救ってくれた先輩」とスカパラを紹介していたが、スカパラと関わっているバンドは、曲でコラボしていないバンドも加えると、もはや数え切れないくらいいる。そういうバンドたちは決してスカパラに影響されて自分たちの音楽にスカを取り入れたりはしないが、バンドとしての在り方、バンドの続け方という精神的な面でスカパラに影響されたり救われてるバンドは本当に多い。もしかしたら、日本のロックシーンを影で最も支えてきたバンドなのかもしれない。
1.Paradise Has No Border
2.DOWN BEAT STOMP
3.爆音ラブソング w/尾崎世界観
4.めくったオレンジ w/尾崎世界観
5.Samurai Dreamer~サビレルナ和ヨ~
6.スキャラバン
7.ラッパと娘 w/ 光村龍哉
8.ペドラーズ
9.All Good Ska is One
爆音ラブソング
https://youtu.be/bUcqb23mMQ4
19:20~ NICO Touches the Walls
そしてここまでの全出演者とコラボを果たした、NICO Touches the Wallsがそのバンドたちから受け取ったバトンを持ってステージに登場。
SEなしで浅野尚志を加えた5人編成というのはいつもと変わらないが、この日のテーマソングである、ストレートなギターロック曲「イイニコのテーマ」でスタートし、
「幕張メッセまで!」
という歌詞に変えて(未リリースなので本当の歌詞があるのかもわからないが)歌って、2017年のイイニコの日であることを実感させてくれるが、さすがにイイニコの日ライブも毎年の恒例となり、この曲も毎年演奏されているだけに、この曲をしっかりと知っている人が本当に増えてきたな、という印象。
さらにいきなり新曲「mujina」と続くが、この曲は春のツアーで謎の新曲として演奏されていた曲だ。おそらく歌詞は少し変わっていると思うが、ストレートかつシンプルなロックサウンドとリズムにシュールな歌詞が乗るというのはインディーズ期の曲を彷彿とさせるが、当時と違うのは、今はいくらでも難しい展開にできるのに敢えてストレートにしているという点と、対馬のみならず古村と坂倉(今日1人だけ他の出演者とコラボしてないのはツイッター係だったから?)もがガンガンコーラスしているという、楽器だけでなく声でサウンドの厚みと変化をもたらせるようになった部分。だがストレートかと思いきや、曲中には光村の指揮の元でキメが何連発も行われ、
「1,1,2,5,2,0,1,7…なんちゃって」
とこの日の日付けに合わせたキメ連発をしておどけてみせる。
「今日たくさん聴いたと思うけど、これが本家だー!」
と言って浅野のヴァイオリンがリフを奏でたのは、もちろんACOとブルエンがすでに演奏した「THE BUNGY」だが、さすがNICOのフェスだけあって、裏拍での手拍子がしっかり揃っており、それがこれだけたくさんの人で鳴らされるというのは壮観である。
スペシャなどでこのフェスのCMスポットで使用されていた「ホログラム」で王道感を出したのも束の間、
「なんかこのライブでは毎回普段あんまりやらない曲をやる、みたいなルールがあって(笑)
ここからはそのブロックです!」
と言うと、「ストロベリーガール」からはレア曲ゾーンに突入。だが「ストロベリーガール」はこの日スペシャルドリンクブースに同名のドリンクが出ていたので、やるんじゃないかと思っていたし、次の「ブギウギルディ」もまだリリースからそんなに時間が経っていないので、そんなにレア曲というイメージはない。
むしろこの日のポイントは次の「梨の花」。これも同名のスペシャルドリンクが販売されており、演奏される予感はしていたが、そのアレンジは従来のものとは全く変わり、光村のギターと古村のコーラスが、まるで夕暮れの海辺で聴いているかのような、サーフミュージック的なアレンジに聴こえる。海辺に梨の花は咲かないだろうけど。
「千葉県は実は梨の名産地なんですよ」
とこの曲のエピソードを語りながら、
「ヘンテコなバンドであることを悩んだこともあったけど…これからはとことんヘンテコなバンドとして突き進んでいきたいと思います!」
と決意を新たにして演奏されたのは、すでに公開されたMVがヘンテコなバンドらしさに拍車をかけている新曲「Funny Side Up!」。タイトルから察せられるようにかなりハジけた曲で、やはり大事になっているのはメンバーのコーラスと、浅野のピアノの音。もとから5人編成で演奏するのを念頭に置いて作ったかのようで、ということはこの編成はこれからも当分続くということだろうか。
さらに「天地ガエシ」「バイシクル」という定番の王道曲でクライマックスに突き進むと、
「本当は何気ない1日なんだけど、イイニコの日って勝手に言い出してライブを始めたら、この日が大事な記念日になっていった。始まる前は不安だったけど、こうしてみんなの顔を見たら、お世辞じゃなくて本当に不安が吹っ飛びました!
バンドを始めた時はこんなに大きなところでできるようになるって全く思ってなかったし、目標にすらしてなかった。でも趣味だった音楽がいつしか人生になって、自分の人生がみんなの人生になっていった。それを重く感じてしまうこともあるんだけど、こうしてみんなと音楽で遊べて感無量です!」
と光村が素直な自分の中の気持ちを打ち明けると、最後に演奏された新曲の「Ginger lily」が本当に素晴らしかった。このMCの流れを汲んだ曲でもあるのだが、そのメロディの美しさと、目の前の視界が一気に拓けていくかのようなアンセム的な強度を持ったこの曲は、なぜシングルのタイトル曲にして出さなかったんだろうか、と一聴しただけで思ってしまう曲ですらあるのだが、こんな素晴らしい曲が新たに生まれてくるということは、これからもNICOはさらに先を、さらに上を目指せるということ。
アンコールでは光村がこのイベントを作り上げてくれたスタッフと出演してくれたアーティストに感謝を告げ、
「ミュージシャンやってて良かったー!」
とあまりにも素直すぎる言葉を叫ぶと、
「初めてやることを今からやって、盛大に終わりたいと思います!」
と言ってステージに招かれたのは、スカパラホーンズの面々。
そしてその4人を加えて演奏されたのは、もともとホーンのアレンジがあった「手をたたけ」。つまり、スカパラのメンバーの力によって、今まで何度となくライブのハイライトを描いてきたこの曲はついに最大の真価を発揮したのである。これもまたスカパラと光村のコラボに続いてこれっきりにするにはあまりにもったいないだけに、スカパラの次のコラボシリーズは光村龍哉にしてみてはいかがでしょうか、と谷中敦と、演奏後に「サンキュー!」とダンディに挨拶していた北原雅彦にお願いしたいくらいだ。
演奏が終わると、出演者全員を呼んでの写真撮影。真っ先にステージに現れたブルエンのメンバーを
「やっぱり最初に出てきたよ(笑)」
と先輩だからこそのかわいがり感を出しながら、姿を見せなかったTKはアルバム制作に追われていて先に帰ったらしく、
「卒業アルバムで欠席した生徒みたいに端っこにTKの写真を載せておく(笑)」
とのこと。ちなみに写真撮影のあとのオールアップで偶然隣同士になった対馬とクリープハイプ小川の、ハットを被って髭が生えている2人のシンクロ具合にも笑いが起こっていた。
アーティストの主催フェスが増えまくっている昨今、どうやってフェスの色を出していくかというのは本当に難しいところだが、今日のNICOは自分たちが出演者とコラボすることで特別感を出した。もちろんそれができるのはNICOと出演者の技術の高さと信頼があるからこそであることはライブを見ればすぐにわかる。
1.イイニコのテーマ
2.mujina
3.THE BUNGY
4.ホログラム
5.ストロベリーガール
6.ブギウギルディ
7.梨の花
8.Funny Side Up!
9.天地ガエシ
10.バイシクル
11.Ginger lily
encore
12.手をたたけ w/ スカパラホーンズ
Funny Side Up!
https://youtu.be/lAJWx1aMO40
そして、ライブ発表時から言われていた、「なぜ今までのようにワンマンではなくフェス形式なのか?」ということを自分なりに考えてみようと思う。
昨今のNICOはツアーで東京公演をやればZeppやNHKホールクラスは満員になるし、たまに武道館でやってもちゃんと埋まる。かといってチケットが取りづらいわけでもない、という普段からワンマンに行く我々からしたらなんの問題もない、現状維持で大丈夫です、という状況が続いている。
しかし、本人たちは決して今の状況を良しとは思っていないだろう。例えば今日出演したブルエンを始め、後輩バンドたちはどんどんこの幕張メッセクラスでワンマンをできるくらいに急速に動員力も売り上げも伸ばしてきている。
かつてイベントホールでワンマンをやっているとはいえ、NICOだって千葉県出身バンドとして、他のバンドと同じ9~11ホールを使ってワンマンをやりたいと思っているだろうし、そこに立ってもおかしくないポテンシャルをこれまでの活動の中で見せてきた。
だが今の活動サイクルを続けていては、現状維持はできても今より上のところまではいけない。フェスでメインステージに出るのが当たり前になっている現在でもそうなのだから、このままでは変わらないだろう。
だから今回のこのフェスである。普段NICOのワンマンに来ないような他のバンドのファンにもNICOのライブをじっくり見てもらう。(普通のフェスだとメインステージに出ていても「見ない」という選択肢もあるだけに)
見てもらえれば、自分たちがどれだけカッコいいバンドであるかわかってもらえる自信がある。そしてそうした人たちにNICOのワンマンに来てもらえるようになる。そうして今よりもさらに上へ行く。自分はNICOが今回フェス形式にした理由をそう解釈していた。
しかしながら今回のフェスを全部見終わった今、それは少し変わった。そういう部分もあれど、ただただ自分たちが大好きなアーティストたちと一緒に音を出したり、好きな曲を演奏したりしたい。そうした音楽に対する無垢な感情がこのフェスを作ったのではないだろうか。そして全編に渡ってNICOのメンバーが出演したことにより、それは「今日しか見ることのできない」特別なものになった。
だからこそ参加した人も、「やっぱりワンマンの方が良かったな~」って思う人はほとんどいないはずだ。その裏には想像をはるかに上回る努力があるはずだが、NICOは自分たちの力でこのお祭りをワンマンを上回る大成功まで導いてみせた。まだまだもっと大きいところで見たいという願望はあるが、これからも少しずつ、一歩ずつ一緒に階段を登っていければ。本当にもどかしいくらいに今までもそうやって歩んできたバンドなのだから。
Next→ 11/26 THE BAWDIES × ドレスコーズ with B × 9mm Parabellum Bullet @新木場STUDIO COAST

「EXPLOSION OF MUSIC MONSTERS」 出演:THE BAWDIES / 9mm Parabellum Bullet / the dresscodes with B @新木場STUDIO COAST 11/26 ホーム
足を引っぱらずに 手を引っぱって ーチャットモンチー完結ー