a flood of circle presents ”BATTLE ROYAL 2017” GUEST:POLYSICS @新宿LOFT 11/15
- 2017/11/16
- 00:25
今年新体制では初のアルバム「NEW TRIBE」をリリースし、6月にはそのツアーも完遂したa flood of circle。様々な夏フェスやイベントなどの出演を経て、恒例の対バンイベント「BATTLE ROYAL」を開催。
以前はZeppクラスの会場でも開催されたが、今回はライブハウスでのツアー形式。東京ではこの日と翌日、さらには来月半ばにも3daysで、計5days新宿LOFTで行われるという、いくら新宿LOFTがホームとはいえ、常軌を逸したスケジュールである。
・POLYSICS
LOFTでの初日であるこの日のゲストはPOLYSICS。開演前のアナウンスで、
「対戦発表の1週間後に4人組になった」
と紹介されたが、今年20周年を迎え、先月にナカムラリョウ(科学特奏隊、ex.throwcurve)が電撃加入し、実に久しぶりに4人編成に。この編成になってからライブを見るのは初めてなだけに、果たしてどうなるのか全く予想がつかない。
おなじみの鮮やかな黄色いツナギを着てバイザーを装着した4人がステージに登場すると、新加入のナカムラは上手でギターを持ち、その横にはバンド名の由来にもなっている、シンセサイザーも置かれている。なのでハヤシは必然的にステージ真ん中に。
メンバーが音を出すと、おなじみの振り付けのある「BUGGIE TECHNICHA」でスタートするのだが、ナカムラはギターとシンセをフレーズによって弾き分けるという実に器用なプレイでバンドのサウンドに厚みをもたらすのだが、「XCT」「カジャカジャグー」、間奏でハヤシがビールを一気飲みするというパフォーマンスが健在の「ワチュワナドゥー」と初期の頃の曲を連発すると、ギターが2本になったことにより(POLYSICSのライブでギターが2本というのはあまりに新鮮過ぎる)、ニューウェーブというよりはロックさが過去最高に強くなっている。
MCではこのイベントのタイトルが「BATTLE ROYAL」だからということで、ハヤシがシャドーボクシングを繰り返すのだが、見た目からもわかる通りに全く格闘技の血が通っていない、実に弱々しいパンチ。
「ロッキーとかも見たことないから、帰りにTSUTAYAで借りてこよう(笑)」
という若干ぶっ飛び気味の発言で笑わせるが、3年前にフラッドのツアーで仙台公演のゲストで対バンした際は、打ち上げが盛り上がりすぎて普段はなかなか深夜まで3人揃わないのに、最後まで飲みまくっていた、というバンド同士の楽しい思い出を語る。
さらに今月の29日には新体制では初となる、通算15枚目のフルアルバム「That's Fantastic」をリリースすることを告知し、そのタイトル曲「That's Fantastic」を披露。どこか民族音楽的な要素すら感じる、メンバーが増えても1%足りとも普通にならないPOLYSICSらしさ全開のダンサブルな曲。
すると「Pretty Good」からは再び演奏が加速していくのだが、やはりギターが2本になったことにより、聴きなれた曲でも全くこれまでとサウンドが違う。「How are you?」でハヤシがメタル魂全開のギターソロを見せるのはこれまで同様だが、それとは全く違うタイプのギタリストのソロ(どちらかというとハヤシよりはギターロック色が強い)が聴けるというのは、見ているのはPOLYSICS以外の何物でもないくらいに見た目がPOLYSICSなのだが、まるで違うバンドのライブを見ているかのよう。
ラストの「SUN ELECTRIC」ではヴォコーダーを駆使しながらもデジタルパンク的なサウンドで暴れさせまくるのだが、その推進力が圧倒的に増しているし、ナカムラはギター、シンセを演奏できるのに加え、コーラスができるというのも本当にデカい。というか加入して一ヶ月でここまでできるようになるなんて、あまりに凄すぎやしないだろうか。
演奏が終わるとハヤシがおなじみの「ありがトイス!」を発して、汗だくになりながら笑顔でステージを去って行った。
20周年を迎えたバンドともなると、ついつい守りに入りがちになってしまう。大きな変化をすることなく、バンドのイメージを守るような曲を作ったり、ライブでも絶頂期の曲ばかりを演奏したり。
しかしPOLYSICSは20年経っても全く安定したりしない。カヨ脱退以降はずっと3人で活動してきたし、試行錯誤の末(3人になった当初はライブで新曲ばかりをやったりしていた)、それがちゃんと形になっていたし、POLYSICSはこのまま続いていくと思っていた。
しかし、20年経ってもさらなる変化と進化を目指し、普通のベテランバンドなら絶対やらないであろう新メンバー加入ということすらやってしまう。その姿勢は本当に素晴らしいの一言しかないし、その姿に今でもこうしてワクワクできる。
自分は30年以上メンバーが変わることなくバンドを続けているエレファントカシマシを国宝に認定すべきバンドだと思っているが、POLYSICSも見た目の飛び道具的なバンドのイメージ以上にそう思われて然るべきバンド。だって20年以上活動してるのにこんなにこれからが楽しみなバンドってなかなかいないから。
1.BUGGIE TECHNICHA
2.XCT
3.カジャカジャグー
4.ワチュワナドゥー
5.That's Fantastic
6.Pretty Good
7.シーラカンスイズアンドロイド
8.Funny Attitude
9.How are you?
10.SUN ELECTRIC
SUN ELECTRIC
https://youtu.be/3W8aYXztWmQ
・a flood of circle
そして後攻のフラッド。おなじみのSEで4人が登場すると、全員が赤い衣装を着ている。これは今回のBATTLE ROYALは毎回こうして統一しているのか、それとも黄色いツナギで統一しているPOLYSICSに合わせてこうしているのか。
亮介が気合いたっぷりに挨拶的な言葉を発すると、1曲目からまさかの「Buffalo Dance」でスタートするという不意打ちっぷり。最近はあまり演奏されていなかったが、やはりこの曲が演奏されるとLOFTの客席は早くも戦うもののダンスフロアに。髪の色が金なのは変わっていないが、耳がはっきり見えるくらいに短く髪を切ったテツのギターはさらに鋭さを増し、「アワワワワワ…」というこの曲を象徴するインディアン的なコーラスも務める。
そのままアウトロとイントロを繋げるように「KIDS」に突入すると、さらに客席は激しさを増していくが、「Buffalo Dance」とともに最近は決して定番曲とは言えなくもなってきているが、そうした曲と最新アルバムの「Dirty Pretty Carnival Night」が全く違和感なくつながるのは曲間もほぼなし、楽器も変えずに演奏するという駆けつけ3杯スタイルによる部分だろうか。
HISAYOのベースのイントロで歓声が上がったのは、「Buffalo Soul」収録のレア曲「僕を問う」で、この辺りからだいぶ「今日のセトリはいったいどうなってるんだ?」と思わざるを得ない感じになってきているが、「Buffalo Dance」と「僕を問う」を聴くと、この2曲が収録されている「Buffalo Soul」はメジャー1stフルアルバムというそれまでの集大成的な内容だったこともあるが、本当に名盤であることを改めて思い知らされる。そのリリースツアーのファイナルで初めてバンドにとって試練の時期を迎えたために、聴いているとどうしてもその当時のことを思い返してしまうが、当時はこんなにも試練の時期が何度も訪れることになるなんて全く想像していなかった。
どこかこの肌寒い時期の街並みを歩いているような絵が脳内に浮かぶポップな「ジュテームアデューベルジャンブルース」から、
「おい、LOFT!勝手にしやがれ!だって、世界は君のもの!」
と亮介がその独特のしゃがれ声で叫ぶと、渡邊一丘の軽快なドラムのリズムの「世界は君のもの」で一気にダンサブルに。この2曲の流れはこの日におけるフラッドのポップサイドを体現していると言ってもいいだろう。
「初めてCDを作った時はLOFTの人たちと一緒に作って。その時の曲をやります」
と言って演奏されたのは、亮介がかつて住んでいた部屋の番号をタイトルに冠した「308」。LOFTでライブをやる時は演奏される機会が多い曲だが、ごく初期の頃から亮介のメロディセンスはズバ抜けていたということが実によくわかるエモーショナルなバラード。
続く「The Greatest Day」は一転して最新のバラードでありラブソングだが、新旧のバラード曲をこうして聴くと、亮介の歌詞の表現がよりストレートになっていることがわかる。
「POLYSICSを見てるといつも思うんだけど、ハヤシさんって本当にハヤシさんだよね(笑)
ジョン・レノンってジョン・レノン以外の人生が絶対なさそうじゃん?ハヤシさんもそういう人だと思ってて。生まれ変わったとしても絶対POLYSICSのハヤシさんにしかならない、みたいな(笑)」
とこんなにも的確にハヤシという男を言い表した表現は聞いたことがない、というくらいのPOLYSICSへの愛を示し、変則的なリズムの「Paradox」(これも久々!)からはラストスパートに。
「次はなんでしょう!?」
と亮介が言うと、観客がサビ前の歌詞に合わせて指で10からカウントする「Quiz Show」、アウトロで亮介とテツの激しいギターソロを含めたセッションが展開された「Human License」と、やっぱりフラッドのロックンロールは最高だ、思わざるを得ない中、「Sweet Home Battle Field」では亮介が客席に突入しながら歌うのだが、持っていたタンバリンをHISAYOの首にかけ、
「ライブハウスは毎日が戦場だ!」
とこの曲がまるでBATTLE ROYALのテーマソングであるかのような圧巻のパフォーマンスを見せる。もはやロックンロールのオーラしか感じないくらいに。
そしてラストは観客がコーラス部分と、
「ざけんじゃねぇ!」
のフレーズを大合唱する「理由なき反抗 -The Rebel Age-」で、亮介とテツは中指を立てながらも、その表情は笑顔と愛情に満ち溢れていた。
アンコールでは亮介が
「「Dancing Zombiez」にはパクりじゃないか疑惑があって…。POLYSICSに「Digital Dancing Zombiez」っていう曲があるんだよね(笑)
だからパクりじゃないっていうことをこれから証明してやります!」
と言うと、なんとテツがPOLYSICSのバイザーを装着して「Dancing Zombiez」を演奏するのだが、間奏でいきなりテンポが遅くなったと思いきや、ステージにハヤシがギターを持って登場し、POLYSICS「Digital Dancing Zombiez」に曲が変わり、ハヤシがギターソロを弾きまくる。亮介はヴォコーダーボーカルがメインの原曲を自身のボーカルで完全にロックンロールナンバーに変貌させるというカバーの仕方を見せ、「Dancing Zombiez」に戻るとハヤシが客席にダイブしながらギターソロを弾くという、間違いなくこの日この場所でしか見れないスペシャルコラボを展開。ハヤシは去り際に亮介と抱き合い、
「ありがトイス!」
と言って去って行ったが、こうしてお互いの曲を演奏しあっているところを見ると、各々の演奏技術の高さと器用さがよくわかる。
「俺も後輩にギター弾いてくださいって言われた時に、ダイブしながらソロを弾ける先輩になりたいです(笑)
でも俺たちがギターが抜けたりすると、いつも「フラッド大丈夫なの?」っていう、ガチの時のハヤシさんからメールが来る(笑)」
と亮介は本編に続いてハヤシへの愛と、ハヤシからの愛を語っていたが、POLYSICSも何度もメンバーが入れ替わりながら20年続いてきただけに、そうしてメンバーが抜けてしまったフラッドの気持ちが誰よりも理解できるのだろう。そういう先輩がいてくれることは、フラッドにとって本当に心強いはず。
そしてラストは文字どおりにテツがその場をぴょんぴょんと飛び跳ねながらギターを弾くのが実に可愛らしい「見る前に跳べ」で、手拍子と大合唱が響く幸福な空気に包まれながらLOFTでの初日は終了したが、明日の2日目以降にこれを上回れるのか?と心配になってしまうくらいに最高にカッコよくて楽しい一夜だった。
フラッドはメンバーの入れ替わりが激しすぎたから、定番曲以外をできるようになるくらいまでメンバーが定着しなかった。だがこの日の選曲、ハヤシを加えてのPOLYSICSカバーを見ると、今の編成はそこを完全にクリアしている。自分は今までのサポートギタリストの中では爆弾ジョニーのキョウスケが最強だと思っていたが、そこをクリアできた最大の原動力であるテツはフラッド歴代最強ギタリストかもしれない。
つまり、フラッドもPOLYSICSもメンバーや体制が何度も変わってきたバンドだが、それでもお互いに一切辞めるどころか止まりそうな気配すら感じさせないバンドだし、これからの活動がさらに楽しみな2組だということ。
しかし、こんなセトリのライブを見せられたら、5days全て行きたくなってしまうじゃないか。おそらく12月の3daysでは、この日亮介が「すでにレコーディングしている」と言っていた新曲もライブで聴けるようになっているはず。
1.Buffalo Dance
2.KIDS
3.Dirty Pretty Carnival Night
4.僕を問う
5.ジュテームアデューベルジャンブルース
6.世界は君のもの
7.308
8.The Greatest Day
9.Paradox
10.Quiz Show
11.Human License
12.Sweet Home Battle Field
13.理由なき反抗 -The Rebel Age-
encore
14.Dancing Zombiez ~ Digital Dancing Zombiez ~ Dancing Zombiez /w ハヤシヒロユキ (POLYSICS)
15.見る前に跳べ
Dancing Zombiez
https://youtu.be/7Hu2E1_4FSo
Next→ 11/23 ACIDMAN presents 「SAI」 @さいたまスーパーアリーナ
以前はZeppクラスの会場でも開催されたが、今回はライブハウスでのツアー形式。東京ではこの日と翌日、さらには来月半ばにも3daysで、計5days新宿LOFTで行われるという、いくら新宿LOFTがホームとはいえ、常軌を逸したスケジュールである。
・POLYSICS
LOFTでの初日であるこの日のゲストはPOLYSICS。開演前のアナウンスで、
「対戦発表の1週間後に4人組になった」
と紹介されたが、今年20周年を迎え、先月にナカムラリョウ(科学特奏隊、ex.throwcurve)が電撃加入し、実に久しぶりに4人編成に。この編成になってからライブを見るのは初めてなだけに、果たしてどうなるのか全く予想がつかない。
おなじみの鮮やかな黄色いツナギを着てバイザーを装着した4人がステージに登場すると、新加入のナカムラは上手でギターを持ち、その横にはバンド名の由来にもなっている、シンセサイザーも置かれている。なのでハヤシは必然的にステージ真ん中に。
メンバーが音を出すと、おなじみの振り付けのある「BUGGIE TECHNICHA」でスタートするのだが、ナカムラはギターとシンセをフレーズによって弾き分けるという実に器用なプレイでバンドのサウンドに厚みをもたらすのだが、「XCT」「カジャカジャグー」、間奏でハヤシがビールを一気飲みするというパフォーマンスが健在の「ワチュワナドゥー」と初期の頃の曲を連発すると、ギターが2本になったことにより(POLYSICSのライブでギターが2本というのはあまりに新鮮過ぎる)、ニューウェーブというよりはロックさが過去最高に強くなっている。
MCではこのイベントのタイトルが「BATTLE ROYAL」だからということで、ハヤシがシャドーボクシングを繰り返すのだが、見た目からもわかる通りに全く格闘技の血が通っていない、実に弱々しいパンチ。
「ロッキーとかも見たことないから、帰りにTSUTAYAで借りてこよう(笑)」
という若干ぶっ飛び気味の発言で笑わせるが、3年前にフラッドのツアーで仙台公演のゲストで対バンした際は、打ち上げが盛り上がりすぎて普段はなかなか深夜まで3人揃わないのに、最後まで飲みまくっていた、というバンド同士の楽しい思い出を語る。
さらに今月の29日には新体制では初となる、通算15枚目のフルアルバム「That's Fantastic」をリリースすることを告知し、そのタイトル曲「That's Fantastic」を披露。どこか民族音楽的な要素すら感じる、メンバーが増えても1%足りとも普通にならないPOLYSICSらしさ全開のダンサブルな曲。
すると「Pretty Good」からは再び演奏が加速していくのだが、やはりギターが2本になったことにより、聴きなれた曲でも全くこれまでとサウンドが違う。「How are you?」でハヤシがメタル魂全開のギターソロを見せるのはこれまで同様だが、それとは全く違うタイプのギタリストのソロ(どちらかというとハヤシよりはギターロック色が強い)が聴けるというのは、見ているのはPOLYSICS以外の何物でもないくらいに見た目がPOLYSICSなのだが、まるで違うバンドのライブを見ているかのよう。
ラストの「SUN ELECTRIC」ではヴォコーダーを駆使しながらもデジタルパンク的なサウンドで暴れさせまくるのだが、その推進力が圧倒的に増しているし、ナカムラはギター、シンセを演奏できるのに加え、コーラスができるというのも本当にデカい。というか加入して一ヶ月でここまでできるようになるなんて、あまりに凄すぎやしないだろうか。
演奏が終わるとハヤシがおなじみの「ありがトイス!」を発して、汗だくになりながら笑顔でステージを去って行った。
20周年を迎えたバンドともなると、ついつい守りに入りがちになってしまう。大きな変化をすることなく、バンドのイメージを守るような曲を作ったり、ライブでも絶頂期の曲ばかりを演奏したり。
しかしPOLYSICSは20年経っても全く安定したりしない。カヨ脱退以降はずっと3人で活動してきたし、試行錯誤の末(3人になった当初はライブで新曲ばかりをやったりしていた)、それがちゃんと形になっていたし、POLYSICSはこのまま続いていくと思っていた。
しかし、20年経ってもさらなる変化と進化を目指し、普通のベテランバンドなら絶対やらないであろう新メンバー加入ということすらやってしまう。その姿勢は本当に素晴らしいの一言しかないし、その姿に今でもこうしてワクワクできる。
自分は30年以上メンバーが変わることなくバンドを続けているエレファントカシマシを国宝に認定すべきバンドだと思っているが、POLYSICSも見た目の飛び道具的なバンドのイメージ以上にそう思われて然るべきバンド。だって20年以上活動してるのにこんなにこれからが楽しみなバンドってなかなかいないから。
1.BUGGIE TECHNICHA
2.XCT
3.カジャカジャグー
4.ワチュワナドゥー
5.That's Fantastic
6.Pretty Good
7.シーラカンスイズアンドロイド
8.Funny Attitude
9.How are you?
10.SUN ELECTRIC
SUN ELECTRIC
https://youtu.be/3W8aYXztWmQ
・a flood of circle
そして後攻のフラッド。おなじみのSEで4人が登場すると、全員が赤い衣装を着ている。これは今回のBATTLE ROYALは毎回こうして統一しているのか、それとも黄色いツナギで統一しているPOLYSICSに合わせてこうしているのか。
亮介が気合いたっぷりに挨拶的な言葉を発すると、1曲目からまさかの「Buffalo Dance」でスタートするという不意打ちっぷり。最近はあまり演奏されていなかったが、やはりこの曲が演奏されるとLOFTの客席は早くも戦うもののダンスフロアに。髪の色が金なのは変わっていないが、耳がはっきり見えるくらいに短く髪を切ったテツのギターはさらに鋭さを増し、「アワワワワワ…」というこの曲を象徴するインディアン的なコーラスも務める。
そのままアウトロとイントロを繋げるように「KIDS」に突入すると、さらに客席は激しさを増していくが、「Buffalo Dance」とともに最近は決して定番曲とは言えなくもなってきているが、そうした曲と最新アルバムの「Dirty Pretty Carnival Night」が全く違和感なくつながるのは曲間もほぼなし、楽器も変えずに演奏するという駆けつけ3杯スタイルによる部分だろうか。
HISAYOのベースのイントロで歓声が上がったのは、「Buffalo Soul」収録のレア曲「僕を問う」で、この辺りからだいぶ「今日のセトリはいったいどうなってるんだ?」と思わざるを得ない感じになってきているが、「Buffalo Dance」と「僕を問う」を聴くと、この2曲が収録されている「Buffalo Soul」はメジャー1stフルアルバムというそれまでの集大成的な内容だったこともあるが、本当に名盤であることを改めて思い知らされる。そのリリースツアーのファイナルで初めてバンドにとって試練の時期を迎えたために、聴いているとどうしてもその当時のことを思い返してしまうが、当時はこんなにも試練の時期が何度も訪れることになるなんて全く想像していなかった。
どこかこの肌寒い時期の街並みを歩いているような絵が脳内に浮かぶポップな「ジュテームアデューベルジャンブルース」から、
「おい、LOFT!勝手にしやがれ!だって、世界は君のもの!」
と亮介がその独特のしゃがれ声で叫ぶと、渡邊一丘の軽快なドラムのリズムの「世界は君のもの」で一気にダンサブルに。この2曲の流れはこの日におけるフラッドのポップサイドを体現していると言ってもいいだろう。
「初めてCDを作った時はLOFTの人たちと一緒に作って。その時の曲をやります」
と言って演奏されたのは、亮介がかつて住んでいた部屋の番号をタイトルに冠した「308」。LOFTでライブをやる時は演奏される機会が多い曲だが、ごく初期の頃から亮介のメロディセンスはズバ抜けていたということが実によくわかるエモーショナルなバラード。
続く「The Greatest Day」は一転して最新のバラードでありラブソングだが、新旧のバラード曲をこうして聴くと、亮介の歌詞の表現がよりストレートになっていることがわかる。
「POLYSICSを見てるといつも思うんだけど、ハヤシさんって本当にハヤシさんだよね(笑)
ジョン・レノンってジョン・レノン以外の人生が絶対なさそうじゃん?ハヤシさんもそういう人だと思ってて。生まれ変わったとしても絶対POLYSICSのハヤシさんにしかならない、みたいな(笑)」
とこんなにも的確にハヤシという男を言い表した表現は聞いたことがない、というくらいのPOLYSICSへの愛を示し、変則的なリズムの「Paradox」(これも久々!)からはラストスパートに。
「次はなんでしょう!?」
と亮介が言うと、観客がサビ前の歌詞に合わせて指で10からカウントする「Quiz Show」、アウトロで亮介とテツの激しいギターソロを含めたセッションが展開された「Human License」と、やっぱりフラッドのロックンロールは最高だ、思わざるを得ない中、「Sweet Home Battle Field」では亮介が客席に突入しながら歌うのだが、持っていたタンバリンをHISAYOの首にかけ、
「ライブハウスは毎日が戦場だ!」
とこの曲がまるでBATTLE ROYALのテーマソングであるかのような圧巻のパフォーマンスを見せる。もはやロックンロールのオーラしか感じないくらいに。
そしてラストは観客がコーラス部分と、
「ざけんじゃねぇ!」
のフレーズを大合唱する「理由なき反抗 -The Rebel Age-」で、亮介とテツは中指を立てながらも、その表情は笑顔と愛情に満ち溢れていた。
アンコールでは亮介が
「「Dancing Zombiez」にはパクりじゃないか疑惑があって…。POLYSICSに「Digital Dancing Zombiez」っていう曲があるんだよね(笑)
だからパクりじゃないっていうことをこれから証明してやります!」
と言うと、なんとテツがPOLYSICSのバイザーを装着して「Dancing Zombiez」を演奏するのだが、間奏でいきなりテンポが遅くなったと思いきや、ステージにハヤシがギターを持って登場し、POLYSICS「Digital Dancing Zombiez」に曲が変わり、ハヤシがギターソロを弾きまくる。亮介はヴォコーダーボーカルがメインの原曲を自身のボーカルで完全にロックンロールナンバーに変貌させるというカバーの仕方を見せ、「Dancing Zombiez」に戻るとハヤシが客席にダイブしながらギターソロを弾くという、間違いなくこの日この場所でしか見れないスペシャルコラボを展開。ハヤシは去り際に亮介と抱き合い、
「ありがトイス!」
と言って去って行ったが、こうしてお互いの曲を演奏しあっているところを見ると、各々の演奏技術の高さと器用さがよくわかる。
「俺も後輩にギター弾いてくださいって言われた時に、ダイブしながらソロを弾ける先輩になりたいです(笑)
でも俺たちがギターが抜けたりすると、いつも「フラッド大丈夫なの?」っていう、ガチの時のハヤシさんからメールが来る(笑)」
と亮介は本編に続いてハヤシへの愛と、ハヤシからの愛を語っていたが、POLYSICSも何度もメンバーが入れ替わりながら20年続いてきただけに、そうしてメンバーが抜けてしまったフラッドの気持ちが誰よりも理解できるのだろう。そういう先輩がいてくれることは、フラッドにとって本当に心強いはず。
そしてラストは文字どおりにテツがその場をぴょんぴょんと飛び跳ねながらギターを弾くのが実に可愛らしい「見る前に跳べ」で、手拍子と大合唱が響く幸福な空気に包まれながらLOFTでの初日は終了したが、明日の2日目以降にこれを上回れるのか?と心配になってしまうくらいに最高にカッコよくて楽しい一夜だった。
フラッドはメンバーの入れ替わりが激しすぎたから、定番曲以外をできるようになるくらいまでメンバーが定着しなかった。だがこの日の選曲、ハヤシを加えてのPOLYSICSカバーを見ると、今の編成はそこを完全にクリアしている。自分は今までのサポートギタリストの中では爆弾ジョニーのキョウスケが最強だと思っていたが、そこをクリアできた最大の原動力であるテツはフラッド歴代最強ギタリストかもしれない。
つまり、フラッドもPOLYSICSもメンバーや体制が何度も変わってきたバンドだが、それでもお互いに一切辞めるどころか止まりそうな気配すら感じさせないバンドだし、これからの活動がさらに楽しみな2組だということ。
しかし、こんなセトリのライブを見せられたら、5days全て行きたくなってしまうじゃないか。おそらく12月の3daysでは、この日亮介が「すでにレコーディングしている」と言っていた新曲もライブで聴けるようになっているはず。
1.Buffalo Dance
2.KIDS
3.Dirty Pretty Carnival Night
4.僕を問う
5.ジュテームアデューベルジャンブルース
6.世界は君のもの
7.308
8.The Greatest Day
9.Paradox
10.Quiz Show
11.Human License
12.Sweet Home Battle Field
13.理由なき反抗 -The Rebel Age-
encore
14.Dancing Zombiez ~ Digital Dancing Zombiez ~ Dancing Zombiez /w ハヤシヒロユキ (POLYSICS)
15.見る前に跳べ
Dancing Zombiez
https://youtu.be/7Hu2E1_4FSo
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サンボマスター 今年は何かとはっちゃけたい! ~2017全国ツアー~ ゲスト:銀杏BOYZ @なんばHatch 11/11