9mm Parabellum Bullet TOUR 2017 ”BABEL on Life Line” @Zepp Tokyo 11/3
- 2017/11/03
- 21:55
今年、アルバム「BABEL」をリリースし、ギターの滝がライブに参加できないという状態(モバイル会員限定の昭和女子大学人見記念講堂でのライブのアンコールのみ滝も出演した)で廻ったホールツアーによって、これからもバンドが続いていくということを改めて提示した9mm。
早くも次なるツアーが開催されたが、ツアータイトルからもわかる通りに、滝の負傷によってライブでは不完全燃焼になってしまった前作「Waltz on Life Line」でアコースティックでライブをした会場へのリベンジと最新作の「BABEL」の両方を軸に据えたもの。個人的にも「Waltz~」の曲はライブで全てを聴いていない(滝が負傷した野音ワンマンが予定通りに無事に完遂できていたら全曲聴けたのかもしれないが)だけに、非常に楽しみである。それは「BABEL」ツアーを見たことで、これからの9mmに対する不安がなくなったからというのもあるが。
開演前の場内には近年対バンをしたバンドたちの曲がBGMとして流れる中、17時を少し過ぎたあたりでいきなり場内が暗転し、おなじみAtari Teenage Riot「Digital Hardcore」のSEが流れると、バンドのロゴがステージ背面に現れ、卓郎を先頭にメンバーたちが登場。今回のサポートギターには9mmの救世主的な存在であるHEREの武田将幸はおらず、folcaの為川裕也のみの4人編成。しかしながら「BABEL」ツアー時から「髪が長すぎる」と言われまくっていたベースの和彦はさらに髪が長くなっており、この期間内に全く髪を切っていないことをうかがわせる。
「9mm Parabellum Bulletです」
といつものように卓郎が挨拶すると、打ち込みの爆音イントロが響く(滝がいないと打ち込みになるというのも新たな発見である)、先行シングルでありながら「Waltz on Life Line」の核を担うことになった「生命のワルツ」からスタートするのだが、久々のライブハウスでのワンマンということもあってか、「こんなに凄まじかったっけ!?」といきなり音でぶん殴られたかのような衝撃。それを担うのはデビュー時から超人ドラマーと言われていたかみじょうのドラムだが、その超人ぶりがさらに増している。それはやはり滝がいなくなったことが、個々のメンバーのさらなるレベルアップを促したということなのだろうが、和彦もいきなりブレイク部分でベースを抱えてジャンプをするなど暴れ放題。
最新シングルである「サクリファイス」で最新系の力強いストレートなロックサウンドを見せると、前半は完全に「Waltz~」を中心とした選曲。和彦が作曲した「湖」「ロンリーボーイ」はメタル要素がほとんどないストレートなギターロックというこれまでの自身の手がけた曲に連なる部分があり、「Lost!!」「モーニングベル」という滝が作曲した曲は従来の9mmの要素が強いメタリックなギターリフの応酬、かみじょうが作曲のみならず作詞も手がけた「Kaleidoscope」はイントロからキメの連打と、滝の不調を4人それぞれが作った曲を持ち寄るという新たな手法で乗り越えてアルバムにした「Waltz~」は曲ごとの振れ幅が大きいだけに、初めにCDで聴いた時は戸惑いもあったし、ライブでの形をほとんど見れていない曲も多いだけに未だにその戸惑いを引きずっている部分もあるのだが、ライブでこうして続けざまに聴くと、確かに振れ幅は大きいけれども、どれもがちゃんと「9mmの曲」として、「Black Market Blues」という代表曲(今回は4人編成なので、5人編成時に見せた卓郎のハンドマイクボーカルとあまりに慣れてないツーステはなし)を挟んでも違和感がない。
それはやはりライブというある意味では完成形を見ることによって改めて思うところでもあるのだが、そこへの為川の貢献度の大きさは単なる滝の穴埋めのギターとしてではなく、和彦でもかみじょうでもなく、彼がコーラスを務めているというところからもわかる。卓郎は序盤は少しボーカルがキツそうな部分もあったが。
その為川の紹介を経ると、「Waltz~」から一気に「BABEL」モードに転換。美しいバラード調すらも轟音になるという9mmらしさ全開の「眠り姫」から、ステージ上で炎が吹き上がる「火の鳥」、アルバムのタイトルトラック的な立ち位置であるだけにライブで演奏しまくったことによってさらに凄みを増した「バベルのこどもたち」、前回のツアーのような演出は一切なしでバンドサウンドのみを聴かせた「ホワイトアウト」と、「Waltz~」が4人が持ち寄った曲で作ったアルバムだからこそ、「BABEL」はその反動とでもいうように、作曲:滝、作詞:卓郎という最も9mmらしい形で作られたアルバムであるが、こうして「Waltz~」の後に続けて演奏されることにより、ある意味ではコンセプチュアルと言っていいくらいに非常にアルバムとしての芯が通った、改めて「9mmとは?」というところにメンバー自身が向き合って作ったアルバムであるということがわかる。
そして「BABEL」の最後を飾る曲である、不穏な空気を纏った「それから」。この曲ではこれまでの曲とは違い、為川はコーラスに参加していない。しかしサビでは卓郎の声に明らかにCDの同期ではないコーラスが重ねられている。前回のツアーでも話題になっていたが、これは間違いなく滝の声によるものだろう。なぜこの曲でだけこうしたアレンジにしているのかはわからないが、ステージに立ってギターは弾けなくても、9mmのメンバーとしてやらなくてはならないことをやり、ライブでの楽曲のクオリティを最大限まで高めてみせるという滝の意志と9mmを続けるという執念を感じさせる。
「俺が歌詞を書く時は、もらった曲を聴くと浮かんでくるものがあって。楽しい曲だなとか、悲しい曲だなとか。凄い頭悪そうなこと言ってるけど(笑)
でも次にやる曲は曲をもらった時から、歌詞にあるように空に虹がかかるようなイメージがあって」
と卓郎による解説を経て演奏されたのは、「Waltz~」収録の「スタンドバイミー」。卓郎の言うように
「日曜日の虹を見よう」
という、9mmには珍しい情景描写的な歌詞の曲だが、序盤のキツさはどこへやら、この曲の時の卓郎のボーカルは聴き手や周りの景色を包むような包容力や、優しさ、慈悲深さを感じさせた。これは間違いなく10年の活動を経て卓郎が会得した技術である。
和彦の元にウッドベースが届けられた段階で大きな歓声が上がったのは「キャンドルの灯を」。ツアーの特性上、「Waltz~」以前の過去曲の比率は少なかったが、そんな中でもこの曲をこうして聴けるのは実に嬉しいところである。
「俺たちがこうしてツアーをやってる間に、アルカラやHEREっていう仲間のバンドたちに色々あって。どこかで聞いた話だな、と思いながら、アルカラの稲村さんにメールを送ったんだ。そしたら翌日に返信が来て。
「ありがとうニャ!続けることを選んだバンド同士、これからもよろしくニャ!」
って(笑)
そのアルカラもツアーをやってるんだけど、サポートが裕也(為川)っていう、実に近いところで9mmとHEREとアルカラは回していて(笑)
今年でデビューから10年経って、10年前は9mmみたいな変なバンドが10年も活動するなんてみんな思ってなかっただろうけど、こうして続けてこれて本当に嬉しいです」
と図らずも同じ境遇に陥ってしまった盟友バンドたちとこれからも助け合いながら共に歩んでいくという姿勢を見せると、おなじみのライブアレンジから突入した「Discommunication」ではサビで卓郎がマイクから離れ、
「東京!歌ってくれ!」
と叫び、
「朝までかけて近づいても 最後の最後ですれ違う」
というフレーズを観客が大合唱するのだが、「新しい光」はあれど、ちょっと前まではこの曲でライブでこうして卓郎が合唱を促し、観客がそれに応えるという構図は全く想像できないものだった。
それがこうしてライブでできるようになったのは、普通なら活動休止したりするような状況になっても9mmが止まらずに活動を続け、そうした不完全な状態であっても、バンドを続けてくれていることを支持し、こうしてライブを見にきてくれている人たち、ただただ9mmのことが大好きであるという理由だけで助けてくれるバンド仲間がいる、つまりもはや9mmはメンバー自身だけのものではないということに気づいたから。そしてこの日の合唱は、ある意味では9mmがずっと避けていた「ライブでの一体感」をこの上なく感じさせてくれるものだったし、時には批判されることも多いその一体感も、バンドがなくなってしまったら2度と味わうことができなくなってしまうものであるということを改めて実感させてくれた。
そんなハイライトを生み出しながらも、ライブはまだ続く。ザ・9mm的なイントロのリフが新たな9mmの代表曲の誕生を予感させる「ロング・グッドバイ」から、再びステージに火が噴き上がる、かみじょうの手がけた「火祭り」と「Waltz~」「BABEL」も完全に一緒くたになり、和彦が初めて作った曲である「Cold Edge」と、4人がそれぞれが作った曲たちによってクライマックスを描き出すと、ラストは去年のツアータイトルであり、「Waltz~」の最後を飾る「太陽が欲しいだけ」。
「さぁ両手を広げて すべてを受け止めろ」
というフレーズでは文字通りに観客が両手を広げ、9mmの音や感情すべてを受け止めるのだが、このラストの「Cold Edge」からの「太陽が欲しいだけ」という流れの爆裂っぷりには、9mmが9mmであり続けることがどれだけカッコいいことかというのが全て詰まっていた。この、めちゃくちゃ激しくて重いサウンドを鳴らしているのに、終わった後には爽快感しかないというのは9mmのライブでしか味わうことができない。
割とすぐにアンコールでメンバーが登場し、
「まだどうなるかわからないけど、裕也も武田君も自分たちのバンドがある。いつまでも他のバンドに助けられてるままじゃいられないと思ってる。来年に向けて色々と企んでるから、これからも9mmをよろしく!」
と激動の時期を経て、来年はまた新たなフェーズに突入することを卓郎がうかがわせると、かみじょうが手がけた、間違いなく卓郎からは出てこないような歌詞の「Mad Pierrot」で本当にピエロのようにスティックをくるくると回しながらドラムを叩きまくると、トドメとばかりに最後に「Punishment」をぶっ放す。やはり滝がいる時とも5人編成のものとも違うだけに、何故だか笑ってしまうような感覚すらあったが、そのめちゃくちゃカッコいいし凄まじいからこそ笑えてくる、というのは最初に9mmを見た時から全く変わっていない要素である。
いつものように丁寧に卓郎と和彦が観客にピックを投げたりして感謝の意を示してステージを去っても、さらなるアンコールを求める声は止まなかった。それくらいに、まだまだ聴きたい曲がみんなたくさんあった。
来年のことについて卓郎が語っていたことは、もしかしたらすでに卓郎とのユニット「キツネツキ」としてはステージに立っている滝が復帰できる目処がついたのかもしれない。
もしそうして完全体に戻れたのなら、同じようにメンバーがいなくなったバンドたちに、そうした危機を乗り越えたバンドとして力になれるようなことがたくさんあるはず。(アルカラは先輩だけど)
そうして後輩たちに対して、先輩としての力強い背中を見せられるような存在になれば、この危機的状況の経験は決して無駄ではないし、こうしてライブで改めて曲をやることによって、卓郎が
「できた時は失敗かな、とも思った」
と語っていた「Waltz~」も決して失敗でも無駄でもなく、バンドがこれからも続いていくための大事なピースの一つになっていく。
こうして演奏するメンバーが変わると、ライブそのものも全く変わる。それは良い方にも悪い方にも転ぶが、メンバーが実際に音を出すというバンドだからこそ。それは残酷でもあるし、面白いことでもある。9mmのこの経験もバンドだから訪れたことであるというのを改めて教えてくれたし、だからこそバンドという形態が最も好きだ。そしてやっぱりバンドが続く限りはライブに行くのがやめられない。
1.生命のワルツ
2.サクリファイス
3.Lost!!
4.湖
5.モーニングベル
6.Black Market Blues
7.ロンリーボーイ
8.Kaleidoscope
9.眠り姫
10.火の鳥
11.バベルのこどもたち
12.ホワイトアウト
13.それから
14.スタンドバイミー
15.キャンドルの灯を
16.Discommunication
17.ロング・グッドバイ
18.火祭り
19.Cold Edge
20.太陽が欲しいだけ
encore
21.Mad Pierrot
22.Punishment
太陽が欲しいだけ
https://youtu.be/gmYqnA1Qwmo
Next→ 11/11 サンボマスター × 銀杏BOYZ @なんばHatch
早くも次なるツアーが開催されたが、ツアータイトルからもわかる通りに、滝の負傷によってライブでは不完全燃焼になってしまった前作「Waltz on Life Line」でアコースティックでライブをした会場へのリベンジと最新作の「BABEL」の両方を軸に据えたもの。個人的にも「Waltz~」の曲はライブで全てを聴いていない(滝が負傷した野音ワンマンが予定通りに無事に完遂できていたら全曲聴けたのかもしれないが)だけに、非常に楽しみである。それは「BABEL」ツアーを見たことで、これからの9mmに対する不安がなくなったからというのもあるが。
開演前の場内には近年対バンをしたバンドたちの曲がBGMとして流れる中、17時を少し過ぎたあたりでいきなり場内が暗転し、おなじみAtari Teenage Riot「Digital Hardcore」のSEが流れると、バンドのロゴがステージ背面に現れ、卓郎を先頭にメンバーたちが登場。今回のサポートギターには9mmの救世主的な存在であるHEREの武田将幸はおらず、folcaの為川裕也のみの4人編成。しかしながら「BABEL」ツアー時から「髪が長すぎる」と言われまくっていたベースの和彦はさらに髪が長くなっており、この期間内に全く髪を切っていないことをうかがわせる。
「9mm Parabellum Bulletです」
といつものように卓郎が挨拶すると、打ち込みの爆音イントロが響く(滝がいないと打ち込みになるというのも新たな発見である)、先行シングルでありながら「Waltz on Life Line」の核を担うことになった「生命のワルツ」からスタートするのだが、久々のライブハウスでのワンマンということもあってか、「こんなに凄まじかったっけ!?」といきなり音でぶん殴られたかのような衝撃。それを担うのはデビュー時から超人ドラマーと言われていたかみじょうのドラムだが、その超人ぶりがさらに増している。それはやはり滝がいなくなったことが、個々のメンバーのさらなるレベルアップを促したということなのだろうが、和彦もいきなりブレイク部分でベースを抱えてジャンプをするなど暴れ放題。
最新シングルである「サクリファイス」で最新系の力強いストレートなロックサウンドを見せると、前半は完全に「Waltz~」を中心とした選曲。和彦が作曲した「湖」「ロンリーボーイ」はメタル要素がほとんどないストレートなギターロックというこれまでの自身の手がけた曲に連なる部分があり、「Lost!!」「モーニングベル」という滝が作曲した曲は従来の9mmの要素が強いメタリックなギターリフの応酬、かみじょうが作曲のみならず作詞も手がけた「Kaleidoscope」はイントロからキメの連打と、滝の不調を4人それぞれが作った曲を持ち寄るという新たな手法で乗り越えてアルバムにした「Waltz~」は曲ごとの振れ幅が大きいだけに、初めにCDで聴いた時は戸惑いもあったし、ライブでの形をほとんど見れていない曲も多いだけに未だにその戸惑いを引きずっている部分もあるのだが、ライブでこうして続けざまに聴くと、確かに振れ幅は大きいけれども、どれもがちゃんと「9mmの曲」として、「Black Market Blues」という代表曲(今回は4人編成なので、5人編成時に見せた卓郎のハンドマイクボーカルとあまりに慣れてないツーステはなし)を挟んでも違和感がない。
それはやはりライブというある意味では完成形を見ることによって改めて思うところでもあるのだが、そこへの為川の貢献度の大きさは単なる滝の穴埋めのギターとしてではなく、和彦でもかみじょうでもなく、彼がコーラスを務めているというところからもわかる。卓郎は序盤は少しボーカルがキツそうな部分もあったが。
その為川の紹介を経ると、「Waltz~」から一気に「BABEL」モードに転換。美しいバラード調すらも轟音になるという9mmらしさ全開の「眠り姫」から、ステージ上で炎が吹き上がる「火の鳥」、アルバムのタイトルトラック的な立ち位置であるだけにライブで演奏しまくったことによってさらに凄みを増した「バベルのこどもたち」、前回のツアーのような演出は一切なしでバンドサウンドのみを聴かせた「ホワイトアウト」と、「Waltz~」が4人が持ち寄った曲で作ったアルバムだからこそ、「BABEL」はその反動とでもいうように、作曲:滝、作詞:卓郎という最も9mmらしい形で作られたアルバムであるが、こうして「Waltz~」の後に続けて演奏されることにより、ある意味ではコンセプチュアルと言っていいくらいに非常にアルバムとしての芯が通った、改めて「9mmとは?」というところにメンバー自身が向き合って作ったアルバムであるということがわかる。
そして「BABEL」の最後を飾る曲である、不穏な空気を纏った「それから」。この曲ではこれまでの曲とは違い、為川はコーラスに参加していない。しかしサビでは卓郎の声に明らかにCDの同期ではないコーラスが重ねられている。前回のツアーでも話題になっていたが、これは間違いなく滝の声によるものだろう。なぜこの曲でだけこうしたアレンジにしているのかはわからないが、ステージに立ってギターは弾けなくても、9mmのメンバーとしてやらなくてはならないことをやり、ライブでの楽曲のクオリティを最大限まで高めてみせるという滝の意志と9mmを続けるという執念を感じさせる。
「俺が歌詞を書く時は、もらった曲を聴くと浮かんでくるものがあって。楽しい曲だなとか、悲しい曲だなとか。凄い頭悪そうなこと言ってるけど(笑)
でも次にやる曲は曲をもらった時から、歌詞にあるように空に虹がかかるようなイメージがあって」
と卓郎による解説を経て演奏されたのは、「Waltz~」収録の「スタンドバイミー」。卓郎の言うように
「日曜日の虹を見よう」
という、9mmには珍しい情景描写的な歌詞の曲だが、序盤のキツさはどこへやら、この曲の時の卓郎のボーカルは聴き手や周りの景色を包むような包容力や、優しさ、慈悲深さを感じさせた。これは間違いなく10年の活動を経て卓郎が会得した技術である。
和彦の元にウッドベースが届けられた段階で大きな歓声が上がったのは「キャンドルの灯を」。ツアーの特性上、「Waltz~」以前の過去曲の比率は少なかったが、そんな中でもこの曲をこうして聴けるのは実に嬉しいところである。
「俺たちがこうしてツアーをやってる間に、アルカラやHEREっていう仲間のバンドたちに色々あって。どこかで聞いた話だな、と思いながら、アルカラの稲村さんにメールを送ったんだ。そしたら翌日に返信が来て。
「ありがとうニャ!続けることを選んだバンド同士、これからもよろしくニャ!」
って(笑)
そのアルカラもツアーをやってるんだけど、サポートが裕也(為川)っていう、実に近いところで9mmとHEREとアルカラは回していて(笑)
今年でデビューから10年経って、10年前は9mmみたいな変なバンドが10年も活動するなんてみんな思ってなかっただろうけど、こうして続けてこれて本当に嬉しいです」
と図らずも同じ境遇に陥ってしまった盟友バンドたちとこれからも助け合いながら共に歩んでいくという姿勢を見せると、おなじみのライブアレンジから突入した「Discommunication」ではサビで卓郎がマイクから離れ、
「東京!歌ってくれ!」
と叫び、
「朝までかけて近づいても 最後の最後ですれ違う」
というフレーズを観客が大合唱するのだが、「新しい光」はあれど、ちょっと前まではこの曲でライブでこうして卓郎が合唱を促し、観客がそれに応えるという構図は全く想像できないものだった。
それがこうしてライブでできるようになったのは、普通なら活動休止したりするような状況になっても9mmが止まらずに活動を続け、そうした不完全な状態であっても、バンドを続けてくれていることを支持し、こうしてライブを見にきてくれている人たち、ただただ9mmのことが大好きであるという理由だけで助けてくれるバンド仲間がいる、つまりもはや9mmはメンバー自身だけのものではないということに気づいたから。そしてこの日の合唱は、ある意味では9mmがずっと避けていた「ライブでの一体感」をこの上なく感じさせてくれるものだったし、時には批判されることも多いその一体感も、バンドがなくなってしまったら2度と味わうことができなくなってしまうものであるということを改めて実感させてくれた。
そんなハイライトを生み出しながらも、ライブはまだ続く。ザ・9mm的なイントロのリフが新たな9mmの代表曲の誕生を予感させる「ロング・グッドバイ」から、再びステージに火が噴き上がる、かみじょうの手がけた「火祭り」と「Waltz~」「BABEL」も完全に一緒くたになり、和彦が初めて作った曲である「Cold Edge」と、4人がそれぞれが作った曲たちによってクライマックスを描き出すと、ラストは去年のツアータイトルであり、「Waltz~」の最後を飾る「太陽が欲しいだけ」。
「さぁ両手を広げて すべてを受け止めろ」
というフレーズでは文字通りに観客が両手を広げ、9mmの音や感情すべてを受け止めるのだが、このラストの「Cold Edge」からの「太陽が欲しいだけ」という流れの爆裂っぷりには、9mmが9mmであり続けることがどれだけカッコいいことかというのが全て詰まっていた。この、めちゃくちゃ激しくて重いサウンドを鳴らしているのに、終わった後には爽快感しかないというのは9mmのライブでしか味わうことができない。
割とすぐにアンコールでメンバーが登場し、
「まだどうなるかわからないけど、裕也も武田君も自分たちのバンドがある。いつまでも他のバンドに助けられてるままじゃいられないと思ってる。来年に向けて色々と企んでるから、これからも9mmをよろしく!」
と激動の時期を経て、来年はまた新たなフェーズに突入することを卓郎がうかがわせると、かみじょうが手がけた、間違いなく卓郎からは出てこないような歌詞の「Mad Pierrot」で本当にピエロのようにスティックをくるくると回しながらドラムを叩きまくると、トドメとばかりに最後に「Punishment」をぶっ放す。やはり滝がいる時とも5人編成のものとも違うだけに、何故だか笑ってしまうような感覚すらあったが、そのめちゃくちゃカッコいいし凄まじいからこそ笑えてくる、というのは最初に9mmを見た時から全く変わっていない要素である。
いつものように丁寧に卓郎と和彦が観客にピックを投げたりして感謝の意を示してステージを去っても、さらなるアンコールを求める声は止まなかった。それくらいに、まだまだ聴きたい曲がみんなたくさんあった。
来年のことについて卓郎が語っていたことは、もしかしたらすでに卓郎とのユニット「キツネツキ」としてはステージに立っている滝が復帰できる目処がついたのかもしれない。
もしそうして完全体に戻れたのなら、同じようにメンバーがいなくなったバンドたちに、そうした危機を乗り越えたバンドとして力になれるようなことがたくさんあるはず。(アルカラは先輩だけど)
そうして後輩たちに対して、先輩としての力強い背中を見せられるような存在になれば、この危機的状況の経験は決して無駄ではないし、こうしてライブで改めて曲をやることによって、卓郎が
「できた時は失敗かな、とも思った」
と語っていた「Waltz~」も決して失敗でも無駄でもなく、バンドがこれからも続いていくための大事なピースの一つになっていく。
こうして演奏するメンバーが変わると、ライブそのものも全く変わる。それは良い方にも悪い方にも転ぶが、メンバーが実際に音を出すというバンドだからこそ。それは残酷でもあるし、面白いことでもある。9mmのこの経験もバンドだから訪れたことであるというのを改めて教えてくれたし、だからこそバンドという形態が最も好きだ。そしてやっぱりバンドが続く限りはライブに行くのがやめられない。
1.生命のワルツ
2.サクリファイス
3.Lost!!
4.湖
5.モーニングベル
6.Black Market Blues
7.ロンリーボーイ
8.Kaleidoscope
9.眠り姫
10.火の鳥
11.バベルのこどもたち
12.ホワイトアウト
13.それから
14.スタンドバイミー
15.キャンドルの灯を
16.Discommunication
17.ロング・グッドバイ
18.火祭り
19.Cold Edge
20.太陽が欲しいだけ
encore
21.Mad Pierrot
22.Punishment
太陽が欲しいだけ
https://youtu.be/gmYqnA1Qwmo
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サンボマスター 今年は何かとはっちゃけたい! ~2017全国ツアー~ ゲスト:銀杏BOYZ @なんばHatch 11/11 ホーム
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