My Hair is Bad ウルトラホームランツアー @Zepp Tokyo 10/21
- 2017/10/21
- 22:23
春まで前のツアーを行い、ゴールデンウィークには日比谷野音でワンマン、さらに春フェスや夏フェスに今年も出まくりという怒涛の活動を経て、じっくり制作かと思いきやすぐさま新たなツアーが始まり、さらにはシングル「運命 / 幻」をリリース、そして来月にはちょうど1年というインターバルで早くもアルバムリリースという生き急ぎまくってるとしか思えない、新潟県は上越市出身のスリーピースバンド、My Hair is Bad。
この日のZepp Tokyoワンマンはツアーのセミファイナルであり、今ツアーでの最大キャパでの会場である。(2日後のファイナルが下北沢SHELTERというキャパの差も凄いが)
18時開演にもかかわらず、17時50分くらいになってもまだ番号の呼び出しをしていたのは電子チケットにしたからなのかはわからないが、「これは開演押すだろうなぁ」と思っていたが、18時5分過ぎくらいになると会場BGMが徐々に大きくなり、場内が暗転。
SEが流れ出し、やまじゅん(ドラム)、バヤリース(ベース)、椎木(ボーカル&ギター)の順に登場したのだが、ステージ背面にバンドのロゴがそびえるだけで、いつもと全く変わらない(なんなら高田馬場CLUB PHASEの時とも変わらない)、いたってシンプルなステージの上で、
「ドキドキしようぜ!」
と椎木が叫び、おなじみ「アフターアワー」からスタート。バヤリースは早くも足を高く蹴り上げたり、ステージ中央まで出てきてベースを弾いたりと、スタートから全力なのがわかる中、
「Zepp Tokyo、よろしく!ロックバンドやりにきました!」
と曲終わりで椎木が挨拶し、「グッバイ・マイマリー」「革命はいつも」という去年の大傑作「woman's」の曲を続けるのだが、「全曲シングル級のアルバムを作ろうと思った」とインタビューで椎木が語っていた通り、改めて聴いてもこの辺りの曲がシングルになってもおかしくないクオリティだし、「革命はいつも」の歌詞は恋愛の曲のイメージが強いマイヘアのイメージを覆すように、
「革命が起きて スペードの3が死ぬだけ」
という「革命」にかけた上手い言い回しも見ることができる。
序盤こそ喉が安定しているとは言い難かったが、改めて椎木が挨拶すると、
「東京の曲を」
と言って演奏された「真赤」は「エモーショナルかつ赤裸々なラブソング」というマイヘアの軸を打ち立てたアンセムと言っていいような普遍性を備えるようになり、
「運命って信じますか?」
と観客に問いかけての最新シングル曲「運命」では、男側からの恋愛の終わりをエモーショナルに綴っていく。
「指が触れるだけで胸が高鳴ってた
そんな二人はいつが最後だったろう
今は触れるだけで 痛むほどに酷く腫れていた
そして僕はそっと目を逸らして」
というフレーズは、椎木の実体験によるものなのかはわからないが、確かにそのシーン、情景を喚起させる。それは共感とはまた違う受け取り方であると思っているが。
「せっかくの土曜日なんで」
と言って、
「せっかくの休みなのに雨 君の行いが悪いからだって
私が良い行いをたくさんして 天気すらも変えてみせようとしてたけど 君は僕のことすらも変えてみせようとしていた」
と、ギターを弾きながらこの日ずっと降っていた雨になぞらえての即興的なイントロを加えてから演奏を始めた「悪い癖」は、アドリブ的な歌唱がかつての恋人に向けて歌われているかのようだった。
代表曲の1つである「彼氏として」を演奏すると、ここまでひたすら曲を連発してきた流れに一度休憩を入れるかのようにMCを挟むのだが、天気の話しか出て来ず、
「天気の話って他に何にも話すことがない時にすることですよね(笑)」
と自虐しつつも、
「今回のツアー、男の人がすごい増えたんですよ。前からいたにはいたんだけど、今回すごい増えてる。共感してくれてるんですかね?
「思ってるよ 見てるよ ずっと見てるよ」
みたいな歌詞に共感してくれてるんですかね?(笑)
だとしたら嬉しいけど、そういう男ばっかり集まってるってヤバいな(笑)」
と、確かにこの日は周りにも男性の観客が多かったな、という実感を椎木が言葉にするのだが、正直言って自分はマイヘアの歌詞にはほとんど全くと言っていいほど共感はしてないというか、ラブソングというものにそもそも共感することができない人間である。
それなのに何故マイヘアの曲を聴いて、こうしてライブにまで来ているのかというと、それはやはりメロディの良さ、サウンドのカッコよさ、そして歌詞においては、共感ではないが、「このメロディにこの単語を乗せるのか!」という言葉の使い方の面白さと、ラブソング以外の面で見せる言葉の鋭さがあるから。
だから自分のように決して共感してる男ばかりではないと思うが、こうして男がたくさん来ているという現実は、マイヘアが椎木自身がよく言う「カッコいいバンド」になってきているという証明であるし、例えば仮に椎木が結婚したりとかしても、音楽のクオリティとバンドとしてのカッコよささえ失われなければ、このバンドは長く愛されていく未来が見えてくる。
「行きますよ?いいですか?」
と椎木がその客席にいる男たちを煽ってからの「告白」からは、まさにマイヘアがライブがカッコいいバンドであるというのを客席側が証明するかのようにダイバーが続出。
超ショートナンバー「クリサンセマム」もこの中盤であっさり演奏されると、椎木が共感の例に出した「元彼氏として」のリズムが客席を踊らせ、「mendo_931」ではまさかの椎木が歌詞を飛ばすというハプニングも発生し、曲終わりで椎木はステージに倒れこむ。
社会的なメッセージが強い「ディアウェンディ」「ワーカーインザダークネス」という曲を続けて少し会場の空気も変わってくると(自分はこうした曲の方が少しは共感できる)、
「今日はフェスでも対バンでもねぇ、ワンマンだ!みんなMy Hair is Badだけを見にきてる!関係者席にいる人たちもそうだ!ここにいる俺たち全員はMy Hair is Badで繋がっている!」
と熱く言葉を放ち続け、
「Zeppまで来れた!誰に連れてきてもらったわけでもなければ、誰かを連れてきたわけでもない!でもここは通過点だ!デカい会場でやりたいなんて思ったこともない!そこを目指してもいない!ただ、俺たちはカッコいいロックバンドになりたいだけだ!」
と「ワンマンのZeppだからこそ」の「from now on」へ突入していくのだが、カッコいいバンドであれば、そのバンドは本人たちの意思に関わらず、必ずデカいステージの上に立つことになる。もちろんデカいステージを目指して実際にそこに辿り着くバンドの物語は実に美しいものであるが、狙いや作為のないままにデカいステージに立つようになるバンドは、得てして時代や世代や社会に呼ばれるようにしてそのステージに辿り着く。椎木が強い影響を受けている、ELLEGARDENなどがそうだったように。
そうしてエモーションを放出しまくり、会場には汗による湿気を感じると、その湿気をスモークにするかのように、最新シングルのうち、「運命」とは内容も曲調も対極の「女性側からの恋愛の終わり」を歌った「幻」を、じっくりと、でも確かな熱量を宿しながら歌い鳴らしていく。
「こうして二人でいるとさ
時間が戻っていくみたいだね
「もしもあなたが嫌じゃなきゃもう一度」
そう言うと笑ってた
ねぇまさか また夢だ」
という最後のフレーズは、この恋がもう戻ってこないということをこの上なく切なく綴っているが、やはり女性からするとこうした歌詞に共感するものなのだろうか。だとしたらそれを男性として描ける椎木は女性の気持ちや心情もリアルに綴れる作家という、ロックバンドとしてはかなり稀有な存在になるのだが。
さらに「戦争を知らない大人たち」で、決してテンポは速くないが、その演奏と歌には確かな熱量と感情が宿っているという、マイヘアのライブバンドとしての懐の深さを見せると、
「昔の友達と会ったり、飲んだりするのもいい。昔の曲を」
と言って「ふたり」を演奏。なんというか、実に女々しさを感じるような曲なのだが、それは次に演奏された、ミドルテンポの新曲「いつか結婚しても」にも通じるものであり、それが椎木という男がずっと変わらずに持っているものなのかもしれない。
そして最後は
「MUSICAで表紙を飾れるようになった!」
とバンドのリアルな状況を歌詞に入れながら、ライブバンドとしてまた次の街へ向かっていくことを歌った「音楽家になりたくて」で終了。前回のツアーもこの曲を最後に演奏していたが、マイヘアがライブバンドである限り、この曲はこうしてワンマンの最後を締める、大切な曲であり続けるのかもしれない。
アンコールにまずは椎木が一人で登場するも、特に告知したりすることもなく、二人を呼び込む。もはや喋ることはないのであろう。言いたいことは曲の中や「from now on」に込めまくったのだから。
そして「ドラマみたいだ」から、椎木が
「大きな声で歌ってもいいんだぞ!」
と言うと、「優しさの行方」ではこの日最大の合唱が発生した。そのスピード感や言葉数の多さから、なかなかマイヘアの曲は合唱が起こらない。それは椎木の声をしっかり聴きたいという人にとってはありがたいことだろうけれど、この日の「優しさの行方」はその合唱によって確かに「みんなの歌」になっていたし、そのことがマイヘアの曲の普遍性の強さを証明していた。
Zeppまで来ても、マイヘアのライブはまるでパンクバンドのライブやザ・クロマニヨンズのライブを見ているかのように、長々としたMCもないし、派手な演出もない、特別なことをしない、ただひたすらに曲を全力で鳴らし、言葉を全力で発していくだけ。その姿はまるで、あれこれ考えずに思いっきりスイングするだけの方がホームランをかっとばせるというのを身体がわかってるかのようだが、このマイヘアやSUPER BEAVERのような、シンプルに曲と言葉のみをステージから放つエモーショナルなバンドが同時期にシーンに浮上してきたのは決して偶然ではない。彼らはこの時代に呼ばれたのである。今こそ君らのような、熱くストレートなバンドが響くような時代だ、と言われているかのように。
終演アナウンスが流れて、観客が帰路につく中、そんなことを考えていたのだが、どうやらその後にほとんど客がいない中でダブルアンコールまでやっていたらしい。いやいや、そんなところまでELLEGARDENの影響を受けなくていいんですけど。(ELLEGARDENはラストライブで終演アナウンスの後に「The Autumn Song」をやった)
1.アフターアワー
2.グッバイ・マイマリー
3.革命はいつも
4.マイハッピーウエディング
5.真赤
6.接吻とフレンド
7.運命
8.悪い癖
9.彼氏として
10.告白
11.クリサンセマム
12.元彼氏として
13.mendo_931
14.ディアウェンディ
15.ワーカーインザダークネス
16.from now on
17.幻
18.戦争を知らない大人たち
19.ふたり
20.いつか結婚しても
21.音楽家になりたくて
encore
22.ドラマみたいだ
23.優しさの行方
運命 / 幻
https://youtu.be/oWwH6DxFglQ
Next→ 10/25 フレデリック @渋谷CLUB QUATTRO
この日のZepp Tokyoワンマンはツアーのセミファイナルであり、今ツアーでの最大キャパでの会場である。(2日後のファイナルが下北沢SHELTERというキャパの差も凄いが)
18時開演にもかかわらず、17時50分くらいになってもまだ番号の呼び出しをしていたのは電子チケットにしたからなのかはわからないが、「これは開演押すだろうなぁ」と思っていたが、18時5分過ぎくらいになると会場BGMが徐々に大きくなり、場内が暗転。
SEが流れ出し、やまじゅん(ドラム)、バヤリース(ベース)、椎木(ボーカル&ギター)の順に登場したのだが、ステージ背面にバンドのロゴがそびえるだけで、いつもと全く変わらない(なんなら高田馬場CLUB PHASEの時とも変わらない)、いたってシンプルなステージの上で、
「ドキドキしようぜ!」
と椎木が叫び、おなじみ「アフターアワー」からスタート。バヤリースは早くも足を高く蹴り上げたり、ステージ中央まで出てきてベースを弾いたりと、スタートから全力なのがわかる中、
「Zepp Tokyo、よろしく!ロックバンドやりにきました!」
と曲終わりで椎木が挨拶し、「グッバイ・マイマリー」「革命はいつも」という去年の大傑作「woman's」の曲を続けるのだが、「全曲シングル級のアルバムを作ろうと思った」とインタビューで椎木が語っていた通り、改めて聴いてもこの辺りの曲がシングルになってもおかしくないクオリティだし、「革命はいつも」の歌詞は恋愛の曲のイメージが強いマイヘアのイメージを覆すように、
「革命が起きて スペードの3が死ぬだけ」
という「革命」にかけた上手い言い回しも見ることができる。
序盤こそ喉が安定しているとは言い難かったが、改めて椎木が挨拶すると、
「東京の曲を」
と言って演奏された「真赤」は「エモーショナルかつ赤裸々なラブソング」というマイヘアの軸を打ち立てたアンセムと言っていいような普遍性を備えるようになり、
「運命って信じますか?」
と観客に問いかけての最新シングル曲「運命」では、男側からの恋愛の終わりをエモーショナルに綴っていく。
「指が触れるだけで胸が高鳴ってた
そんな二人はいつが最後だったろう
今は触れるだけで 痛むほどに酷く腫れていた
そして僕はそっと目を逸らして」
というフレーズは、椎木の実体験によるものなのかはわからないが、確かにそのシーン、情景を喚起させる。それは共感とはまた違う受け取り方であると思っているが。
「せっかくの土曜日なんで」
と言って、
「せっかくの休みなのに雨 君の行いが悪いからだって
私が良い行いをたくさんして 天気すらも変えてみせようとしてたけど 君は僕のことすらも変えてみせようとしていた」
と、ギターを弾きながらこの日ずっと降っていた雨になぞらえての即興的なイントロを加えてから演奏を始めた「悪い癖」は、アドリブ的な歌唱がかつての恋人に向けて歌われているかのようだった。
代表曲の1つである「彼氏として」を演奏すると、ここまでひたすら曲を連発してきた流れに一度休憩を入れるかのようにMCを挟むのだが、天気の話しか出て来ず、
「天気の話って他に何にも話すことがない時にすることですよね(笑)」
と自虐しつつも、
「今回のツアー、男の人がすごい増えたんですよ。前からいたにはいたんだけど、今回すごい増えてる。共感してくれてるんですかね?
「思ってるよ 見てるよ ずっと見てるよ」
みたいな歌詞に共感してくれてるんですかね?(笑)
だとしたら嬉しいけど、そういう男ばっかり集まってるってヤバいな(笑)」
と、確かにこの日は周りにも男性の観客が多かったな、という実感を椎木が言葉にするのだが、正直言って自分はマイヘアの歌詞にはほとんど全くと言っていいほど共感はしてないというか、ラブソングというものにそもそも共感することができない人間である。
それなのに何故マイヘアの曲を聴いて、こうしてライブにまで来ているのかというと、それはやはりメロディの良さ、サウンドのカッコよさ、そして歌詞においては、共感ではないが、「このメロディにこの単語を乗せるのか!」という言葉の使い方の面白さと、ラブソング以外の面で見せる言葉の鋭さがあるから。
だから自分のように決して共感してる男ばかりではないと思うが、こうして男がたくさん来ているという現実は、マイヘアが椎木自身がよく言う「カッコいいバンド」になってきているという証明であるし、例えば仮に椎木が結婚したりとかしても、音楽のクオリティとバンドとしてのカッコよささえ失われなければ、このバンドは長く愛されていく未来が見えてくる。
「行きますよ?いいですか?」
と椎木がその客席にいる男たちを煽ってからの「告白」からは、まさにマイヘアがライブがカッコいいバンドであるというのを客席側が証明するかのようにダイバーが続出。
超ショートナンバー「クリサンセマム」もこの中盤であっさり演奏されると、椎木が共感の例に出した「元彼氏として」のリズムが客席を踊らせ、「mendo_931」ではまさかの椎木が歌詞を飛ばすというハプニングも発生し、曲終わりで椎木はステージに倒れこむ。
社会的なメッセージが強い「ディアウェンディ」「ワーカーインザダークネス」という曲を続けて少し会場の空気も変わってくると(自分はこうした曲の方が少しは共感できる)、
「今日はフェスでも対バンでもねぇ、ワンマンだ!みんなMy Hair is Badだけを見にきてる!関係者席にいる人たちもそうだ!ここにいる俺たち全員はMy Hair is Badで繋がっている!」
と熱く言葉を放ち続け、
「Zeppまで来れた!誰に連れてきてもらったわけでもなければ、誰かを連れてきたわけでもない!でもここは通過点だ!デカい会場でやりたいなんて思ったこともない!そこを目指してもいない!ただ、俺たちはカッコいいロックバンドになりたいだけだ!」
と「ワンマンのZeppだからこそ」の「from now on」へ突入していくのだが、カッコいいバンドであれば、そのバンドは本人たちの意思に関わらず、必ずデカいステージの上に立つことになる。もちろんデカいステージを目指して実際にそこに辿り着くバンドの物語は実に美しいものであるが、狙いや作為のないままにデカいステージに立つようになるバンドは、得てして時代や世代や社会に呼ばれるようにしてそのステージに辿り着く。椎木が強い影響を受けている、ELLEGARDENなどがそうだったように。
そうしてエモーションを放出しまくり、会場には汗による湿気を感じると、その湿気をスモークにするかのように、最新シングルのうち、「運命」とは内容も曲調も対極の「女性側からの恋愛の終わり」を歌った「幻」を、じっくりと、でも確かな熱量を宿しながら歌い鳴らしていく。
「こうして二人でいるとさ
時間が戻っていくみたいだね
「もしもあなたが嫌じゃなきゃもう一度」
そう言うと笑ってた
ねぇまさか また夢だ」
という最後のフレーズは、この恋がもう戻ってこないということをこの上なく切なく綴っているが、やはり女性からするとこうした歌詞に共感するものなのだろうか。だとしたらそれを男性として描ける椎木は女性の気持ちや心情もリアルに綴れる作家という、ロックバンドとしてはかなり稀有な存在になるのだが。
さらに「戦争を知らない大人たち」で、決してテンポは速くないが、その演奏と歌には確かな熱量と感情が宿っているという、マイヘアのライブバンドとしての懐の深さを見せると、
「昔の友達と会ったり、飲んだりするのもいい。昔の曲を」
と言って「ふたり」を演奏。なんというか、実に女々しさを感じるような曲なのだが、それは次に演奏された、ミドルテンポの新曲「いつか結婚しても」にも通じるものであり、それが椎木という男がずっと変わらずに持っているものなのかもしれない。
そして最後は
「MUSICAで表紙を飾れるようになった!」
とバンドのリアルな状況を歌詞に入れながら、ライブバンドとしてまた次の街へ向かっていくことを歌った「音楽家になりたくて」で終了。前回のツアーもこの曲を最後に演奏していたが、マイヘアがライブバンドである限り、この曲はこうしてワンマンの最後を締める、大切な曲であり続けるのかもしれない。
アンコールにまずは椎木が一人で登場するも、特に告知したりすることもなく、二人を呼び込む。もはや喋ることはないのであろう。言いたいことは曲の中や「from now on」に込めまくったのだから。
そして「ドラマみたいだ」から、椎木が
「大きな声で歌ってもいいんだぞ!」
と言うと、「優しさの行方」ではこの日最大の合唱が発生した。そのスピード感や言葉数の多さから、なかなかマイヘアの曲は合唱が起こらない。それは椎木の声をしっかり聴きたいという人にとってはありがたいことだろうけれど、この日の「優しさの行方」はその合唱によって確かに「みんなの歌」になっていたし、そのことがマイヘアの曲の普遍性の強さを証明していた。
Zeppまで来ても、マイヘアのライブはまるでパンクバンドのライブやザ・クロマニヨンズのライブを見ているかのように、長々としたMCもないし、派手な演出もない、特別なことをしない、ただひたすらに曲を全力で鳴らし、言葉を全力で発していくだけ。その姿はまるで、あれこれ考えずに思いっきりスイングするだけの方がホームランをかっとばせるというのを身体がわかってるかのようだが、このマイヘアやSUPER BEAVERのような、シンプルに曲と言葉のみをステージから放つエモーショナルなバンドが同時期にシーンに浮上してきたのは決して偶然ではない。彼らはこの時代に呼ばれたのである。今こそ君らのような、熱くストレートなバンドが響くような時代だ、と言われているかのように。
終演アナウンスが流れて、観客が帰路につく中、そんなことを考えていたのだが、どうやらその後にほとんど客がいない中でダブルアンコールまでやっていたらしい。いやいや、そんなところまでELLEGARDENの影響を受けなくていいんですけど。(ELLEGARDENはラストライブで終演アナウンスの後に「The Autumn Song」をやった)
1.アフターアワー
2.グッバイ・マイマリー
3.革命はいつも
4.マイハッピーウエディング
5.真赤
6.接吻とフレンド
7.運命
8.悪い癖
9.彼氏として
10.告白
11.クリサンセマム
12.元彼氏として
13.mendo_931
14.ディアウェンディ
15.ワーカーインザダークネス
16.from now on
17.幻
18.戦争を知らない大人たち
19.ふたり
20.いつか結婚しても
21.音楽家になりたくて
encore
22.ドラマみたいだ
23.優しさの行方
運命 / 幻
https://youtu.be/oWwH6DxFglQ
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