SWEET LOVE SHOWER 2017 day2 @山中湖交流プラザきらら 8/26
- 2017/08/28
- 15:50
2日目。当初は雨予報であったが、朝からすっかり晴れており、この日もかなり暑い日に。昼前にほんの少しだけ雨が降ったのだが、例年のこのフェスからしたら全く降ってないと言っていいくらいのレベル。
9:25~ iri [WATERFRONT STAGE] (MORNING ACOUSTIC)
湖畔に作られたWATERFRONT STAGEで朝イチに行われるMORNING ACOUSTIC。9:25~という他のフェスではなかなかないくらいに早い時間のスタートだが、朝のこのステージならではの気持ち良さを求めてたくさんの人が詰めかけている。
この日のMORNING ACOUSTICはスペシャのライブイベントなどにもよく登場するようになっている女性シンガーのiri。アコースティックとはいえ、打ち込みと生ドラム(米津玄師でもドラムを叩いている堀正輝)を加えた編成は限りなくバンドに近いもので、iri自身もアコギを弾く曲からハンドマイクを持つ曲、サウンドもダンスミュージックからブラックミュージックの要素を持つ曲まで幅広い内容。彼女のスモーキーな声はそうしたサウンドに非常に良く似合っているが、ステージ後ろの湖畔ではカヌーに乗った人たちが観客に向かって手を振るという光景が実にこのフェスならでは。
1.フェイバリット女子
2.ナイトグルーヴ
3.Wandering
4.Never end
5.rhythm
Live SWEET LOVE SHOWER 2017
https://youtu.be/1F1dLtqWN80
10:25~ キュウソネコカミ [Mt.FUJI STAGE]
3年前の初出演はFOREST STAGE、2年前は早くもLAKESIDE STAGEに立つも、去年はなぜかFOREST STAGEに戻っていた、キュウソネコカミ。今年のMt.FUJI STAGE出演で主要3ステージを制覇である。
早い時間から本気のリハで早起きして集まった観客を喜ばせると、
「民間の駐車場2000円とか絶対足元見てるよな。普段300円くらいでやってるやろ」
とみんな気付いていながらも口に出していなかったことをハッキリと言ってしまう。
本番ではいきなりの「MEGA SHAKE IT!!」で朝早い観客の目をシャキッと目覚めさせると、「サブカル女子」では
「細美武士好きー!」
の後のフレーズを
「最近仲良くさせてもらってます!」
にセイヤが変えて歌うが、まさかこんな風に歌えるようになるとは歌詞を書いた時は思ってもいなかったであろう。
おなじみの「ファントムバイブレーション」では客席に巨大なiPhoneのボード(裏側には「スマホはもはや俺の臓器」と書いてある)を掲げた観客がおり、セイヤもその姿を見て笑ってしまっていたのだが、途中でスタッフに止められていたのはさらに笑えた。
リリース直後のタイミングとなった「NO MORE 劣化実写化」の海賊盤はダメダメダンスもすでに毎回のようにライブでやっているだけに観客も完璧に揃っている。
リハでもやっていた「家」を本編でもやって盛り上げると、セイヤは初めてこのステージに立てた喜びを語り、「DQN~」で客席に突入。しかしながら観客が前に押し寄せ過ぎたためになかなか支えが安定せず、
「下がった方が面白いぞー!」
「お前らそんなんでコムアイ(水曜日のカンパネラ)を支えられるのかー!あいつは球体に乗ってくるぞー!」
と観客をかなりの変化球で励ましながら、かなり長い時間を使っての「ヤンキー怖い」の大合唱。
「あと2曲やりたいんやー!」
と最後はかなり巻き気味で「KMTR645」(翌日出演のレキシはゲスト登場せず)、「ビビった」と連発し、最後には金髪のヨコタが
「来年はLAKESIDEで会いましょう!」
とメインステージ帰還を予告し、今年もこのフェスに確かな爪痕を残していった。
リハ.家
リハ.ハッピーポンコツ
1.MEGA SHAKE IT!!
2.サブカル女子
3.ファントムバイブレーション
4.NO MORE 劣化実写化
5.家
6.DQNなりたい、40代で死にたい
7.KMTR645
8.ビビった
Live SWEET LOVE SHOWER 2017
https://youtu.be/az70ik5EWNQ
11:10~ 10-FEET [LAKESIDE STAGE]
10年目を迎えた自身の主催フェス「京都大作戦」で新たな伝説を作りながらも他のフェスにガンガン出て行くという活動スタイルは全く変わらない10-FEET。このフェスではこのステージの火付け役というイメージが強いが、今年もトップバッターとして登場。
おなじみのSEで3人が登場すると、いきなり
「ありがとうございましたー!10-FEETでしたー!」
とまだ何もしていないのにライブを終わらせようとし、しかも普段はアンコールでの定番である「CHERRY BLOSSOM」で客席には無数のタオルが舞うという(やはり京都大作戦のタオルが非常に多いあたりにあのフェスに行っている人の多さを実感する)、締めのようなオープニング。
しかし当然これで終われるわけもなく、「RIVER」では恒例のご当地歌詞を「山中湖」に変えて歌うのだが、もはや山中湖は川ですらない。
「まだ2曲しかやってへんのにめっちゃ靴落ちてるぞー!(笑)
まだ始まったばっかりなのにお前らこれから一日靴なしでどうすんねん!(笑)」
と笑わせながらも、
「もっともっとスピード上げろ!それでもし進んだ道が間違ってたら全力で戻ってまたやり直せばええねん!
強い奴は間違えない奴じゃない!強い奴は何回でもやり直すことができる奴や!」
と自身も「根暗である」というだけに、そうした普段は大人しくてもこうしたフェスの時だけは自分を解放できるような人たちに向けて熱いメッセージを送る。
最後は最新シングルからの「太陽4号」から「ヒトリセカイ」というダイブしたりするというよりも聴き入るようなタイプの最近リリースの曲で締めたのだが、こうした曲が多く入るであろう次のアルバム(これだけシングル出したんだから次のリリースはアルバムだろう)は果たしてどんな内容になるのか。もうこれからはライブはやりまくってるけどリリースは全然ない、ということはなくなりそうではあるけれど。
1.CHERRY BLOSSOM
2.RIVER
3.1sec.
4.その向こうへ
5.太陽4号
6.ヒトリセカイ
Live SWEET LOVE SHOWER 2017
https://youtu.be/4zgkOZdNbRY
11:45~ yonige [FOREST STAGE]
スペシャ列伝ツアーにも参加したyonige、それを経てこのフェスにも初出演である。
おなじみThe SALOVERS「ビオトープ」のSEでサポートドラマーのkomaki♂(ex.tricot)を加えた3人がステージに登場すると、
「大阪寝屋川、yonigeです。よろしく!」
とピンク色の髪が鮮やかな牛丸ありさが挨拶し、3人のキメのイントロがオープニングにぴったりな「さよならアイデンティティー」からスタート。ごっきんがいきなりすっ転びそうになるというアクシデントもあったが、牛丸の歌が本当に上手くなっているし、この広いステージの奥の方までしっかりと届くようになってきている。それは凄腕のkomaki♂がドラムになって演奏自体が引き締まったという要因もあるだろうが、注目度とキャパがどんどん増している中で、それに見合う力をライブを重ねることによってしっかりと獲得してきている。
少し前まではリズムが走りまくり気味だった「アボカド」も牛丸が少し歌詞を飛ばしながらも、少しテンポが速くなったというくらいでしっかりキープできており、フェスでやるのはかなり意外だった「最近のこと」から、ラストは現状の最新作「Neyagawa city pop」のリード曲である「さよならプリズナー」で、エモさを失わないままでキャッチーさを増したメロディを響かせた。
ロッキンでも満員だったらしいし、この日もたくさんの人がこのバンドのライブを見るために詰めかけていた。すでにアルバムのリリースとZepp Tokyoでのフリーライブ(女子限定)も決定しており、このバンドはこれからさらにたくさんの人の前に立つことになる。O-Crestでのワンマンの時などに感じた革命前夜感はいよいよ現実のものになろうとしている。
1.さよならアイデンティティー
2.our time city
3.センチメンタルシスター
4.アボカド
5.最近のこと
6.さよならプリズナー
Live SWEET LOVE SHOWER 2017
https://youtu.be/yKsjAZKHxxY
その後にMt.FUJI STAGEに行くと、水曜日のカンパネラが「ユタ」「一休さん」といったあたりをやっていたのだが、客席には謎の巨大風船が跳ねまわり、コムアイはステージではなくて客席に突入して歌っていた。ラストの「桃太郎」ではなぜか沖縄民謡ミックスが施されている中で、やはり巨大球体の中にコムアイが入り、ゴロゴロと観客の上を転がりながら歌ったが、ステージの上にいる時間が自分が見た間は1分くらいだった。
12:45~ 9mm Parabellum Bullet [LAKESIDE STAGE]
近年は決して毎年出ているバンドというわけではないが、山中湖で最初に開催された2007年から出演しているし、かつてはかみじょうがスペシャの番組にレギュラー出演していただけに、今でもこのフェスを代表するバンドと言っていい9mm。今回もこのLAKESIDE STAGEに出演。
ロッキン同様にこの日もサポートギターにHEREの武田とfolcaの為川を加えた5人編成、よって何回も立ってきたこのステージではあるが、かみじょうがステージ上手にいるのも初めての光景である。
キメ連発の「サクリファイス」「ガラスの街のアリス」と早くも最新作「BABEL」モード全開。先日のスタジオライブではちょっとファンを心配させる状態だった卓郎の喉もひとまずは問題なさそうである。
卓郎がその「BABEL」の告知をすると、そのタイトルトラックと言ってもいい「バベルの子どもたち」を演奏。9mmの新しい形を作ったアルバムと言ってもいい名盤なだけに、卓郎もメンバーも今よりももっと「BABEL」の内容を伝えていきたいという思いを持っていることが伝わってくる。この曲の時だけなぜかモニターに映るメンバーの映像がモノクロにアレンジされていたのは謎であるが。
卓郎がギターを置いてハンドマイクを手にすると、
「SWEETでLOVEなSHOWER。BlackでMarketなBluesで全員仲間入りさせてやるぜ!」
とかなり強引に「Black Market Blues」に突入し、卓郎はツーステを踏みながら歌詞をおなじみのご当地ネタにアレンジ。
10-FEETの後半あたりから少し天気が心配になるくらいに分厚い雲が空を包むという曇天模様になっていたのだが、卓郎が
「みんな、あれが欲しいんだろ!太陽が欲しいだけなんだろう!?」
と言って演奏された「太陽が欲しいだけ」(フェスで演奏されるのは初めてかもしれない)では、なんとこの曲を演奏している最中に空を覆っていた雲の中から太陽が現れ、会場を晴れ模様にするという奇跡のような現象が起こった。
結局、こうして言葉にしたところで、自分の目で見た方が絶対にどんなライブだったのかはわかるし、それが天候や環境などで大きく左右される野外フェスならなおさらである。だからこそこの瞬間の奇跡はこの時会場でライブを見ていた人にしかわからないかもしれないが、かつてDragon Ashも雨が降っていた時に「Run to the Sun」という曲を演奏したら雨が止むどころか太陽が出てくるという奇跡を起こしたことがある。この場所はそうしてこの場所を愛してくれているバンドが太陽の曲を演奏すると必ずその想いに応えてくれる。山の天気は変わりやすいとも言うが、ずっとこの場所に来ていると、これは偶然なんかじゃないというのがわかる。
そしてラストは「ロング・グッドバイ」から一気に人が前方に押し寄せた爆音ハードコア「Punishment」で凄まじい余韻を残した。
9mmは観覧車がある会場で「Termination」をやったりと、その場所に応じて演奏する曲を変えたりしてきたバンドだが、天候によって変えるような曲は「Waltz on Life Line」までは全くと言っていいほどなかったから、そういう要素でライブが変わるということはなかった。しかしこの日は間違いなくバンドの曲と天候によってライブが変わった。それも限りなく良い方向に。何回も立ってきたバンドだからこそ、この場所に愛されているということを示したライブだった。だからこそ、これからも毎年このステージで見たい。
リハ.Discommunication
1.サクリファイス
2.ガラスの街のアリス
3.バベルの子どもたち
4.Black Market Blues
5.太陽が欲しいだけ
6.ロング・グッドバイ
7.Punishment
Live SWEET LOVE SHOWER 2017
https://youtu.be/Ki7lilncglI
13:35~ Fear,and Loathing in Las Vegas [Mt.FUJI STAGE]
どちらかと言うと長閑な空気を感じさせるこのMt.FUJI STAGEであるが、ラウドロックバンドであるこのFear,and Loathing in Las Vegasはかつてもこのステージに立っているだけにこのステージのイメージが強い。
狂騒的なSEでメンバーが元気いっぱいに走りながらステージに登場すると、SoとMinamiが揃ったポーズを決めて「Rave-Up Tonight」からスタート。金髪のSoがステージを走り回りながらオートチューンがかかったボーカルを響かせる中、髪の色も含めて全身真っ黒のMinamiは早くも客席に突入して煽りまくっているといういきなりのトップギア状態。
イントロの爽やかなジャンプ連発の「Jump Around」では同じ曲とは思えないくらいに何回も激しい転調が行われると、「Return to Zero」ではSoとMinamiがけたたましいシンセのサウンドに合わせて懐かしのパラパラのようなダンスを披露し、これが非常にウケていた。サウンドとダンスにかなりギャップがあるからかもしれないが。
もはや見た目がツッコミどころしかないギタリストTaikiが見た目とは裏腹に力強いボーカルを響かせ、フロント2人はラジオ体操のようなダンスを踊る「Party Boys」と息つく間もないくらいにキラーチューンを畳み掛けると、
「昨日、僕らこのライブのために富士に先乗りしようとしたんですけど、車が着いたのは富山県でした(笑)」
という、よく今日ちゃんとここまで来れたな、と思わざるを得ないくらいの天然っぷりをSxunが明かし、ラストは「Virture and Vice」から「Love at First Sight」という鉄板の流れでMinamiは客席に突入してシャウトしまくり、観客も踊らせまくって、このバンドにしか描けないカオスな景色を作り出してみせた。しかし本当に演奏が上手いし、音が重く強い。
1.Rave-Up Tonight
2.Jump Around
3.Return to Zero
4.Party Boys
5.Let Me Hear
6.Virture and Vice
7.Love at First Sight
Live SWEET LOVE SHOWER 2017
https://youtu.be/NsH0-lpg-LA
14:20~ KANA-BOON [LAKESIDE STAGE]
スペシャのレギュラー番組「もぎもぎKANA-BOON」もすっかり長寿番組となり、このフェスでも完全にレギュラーになっている、KANA-BOON。Mt.FUJI STAGEのトリを務めたこともあったが、今年も去年に続いてLAKESIDE STAGEへの出演である。
軽快な4つ打ちのリズムの「1.2. step to you」で早くも観客を踊らせまくると、一転してシリアスかつ重いサウンドの「Fighter」と両極端な面を見せ、最新シングル「バトンロード」と新旧の名曲をテンポ良く演奏していく。
KANA-BOONのこのフェスと言えば番組で毎年ターザン小泉ことドラムの小泉が中心に考案するコラボメニューであるが、今年のコラボメニューの鶏南蛮DOONを鮪が宣伝し、あまりまだみんな食べていないというリアルな声に多少ショックを受けながらも、
「鶏南蛮DOONの前にチャーハンを食べませんか!」
と「ないものねだり」で食べ物ネタを連発し、「フルドライブ」でさらにバンドサウンドは力強く加速していく。
すると鮪が
「今年の上半期は色々とお騒がせしてしまいまして。そこで色々と考えることもあったんですけど、こうしてライブが出来ることも、みんなが見に来てくれることも当たり前のことじゃないし、やっぱり俺たちには音楽しかないっていうことが改めてわかった」
と、今年前半に良くない意味で話題になってしまっためしだのことを半年近く経った今でもしっかりと自分の口で目の前にいる人たちに語るという見た目以上に本当に男らしいバンドであることを実感させてくれると(めしだは深々と頭を下げていた)、その時に出来たという新曲「それでも僕らは願っているよ」を披露。ストレートなバンドサウンドの上に乗る、葛藤を乗り越えながら前に進んでいくというバンドの意志を感じさせる歌詞は間違いなくリリースが発表されているニューアルバムの軸になる。そして歌詞の最後は
「明日には笑えますように」
と締められる。こうしてあの騒動を曲に昇華してさらに前に進めるのなら、決して悪いことばかりではなかったと思うし、音楽にしていくのがバンドとしての乗り越え方だと思う。
そんなシリアスな空気の中で最後に演奏されたのは「シルエット」。KANA-BOON屈指の名曲であるが、「バトンロード」の初回盤DVDに収録されているこの曲の新しいMV「とにかくカッコイイ小泉」を見てしまうと、小泉がドラムを叩いている姿を見るだけで笑ってしまうという状態になってしまっている。それくらいあの映像は破壊力が高い。曲のイメージが全く変わってしまうくらいに。
リハ.ウォーリーヒーロー
1.1.2.step to you
2.Fighter
3.バトンロード
4.ないものねだり
5.フルドライブ
6.それでも僕らは願っているよ
7.シルエット
Live SWEET LOVE SHOWER 2017
https://youtu.be/OuVpOu9RoNA
15:10~ フレデリック [Mt.FUJI STAGE]
4年連続出演。去年はLAKESIDE STAGEに立ったフレデリック、今年は2年ぶりにこのMt.FUJI STAGEに帰還である。
ステージに4人が登場すると、健司が
「35分、一本勝負でいきます、フレデリックです!」
とこの日のライブがMCなしのノンストップで走り抜ける内容であることを宣言し、「KITAKU BEAT」から高橋が正式加入してさらに頑丈な一枚岩になったバンドサウンドで踊らせまくっていく。
「オワラセナイト」ではやはりMVのダンスを踊る観客が大量に発生し、昼ながら「ナイトステップ」という昨年リリースの「フレデリズム」を軸にした内容で、アウトロとイントロを見事に繋げたノンストップアレンジを見せる。
最新シングルのカップリング曲である「まちがいさがしの国」はフェスでやるとは思っていなかったが、ややサイケデリックな音像にシュールな歌詞というフレデリックの持ち味そのもののような曲であるが、シュールなようでいて社会に対する強いメッセージを内包している歌詞は、このバンドがただ踊らせたいだけではなくて、ちゃんと自分たちの音楽で伝えたいことがあることを伺わせてくれる。それは「オドループ」からそうであったが。
その「オドループ」はこのタイミングで披露されたのだが、曲の途中でノンストップだった演奏を止めると、
「4年連続、俺たちがインディーズの時からずっと見ていてくれて、呼んでくれているこのフェスに特別な感情を抱かないわけがないでしょう!だから、今日は「踊ってないラブシャ気に入らない!」ってみんなで歌いませんか!」
と、このフェスを愛するからこそ歌詞をラブシャ仕様に変えて大合唱を促し、その上がり切った状態のままで「オンリーワンダー」、そして手拍子が鳴り響く「かなしいうれしい」と突っ走り、愛するこのフェスで今年も大きなインパクトを残した。
3年前、このフェスのFOREST STAGEに出演した時、この日演奏した曲はまだ1曲も世の中に出ていなかった。つまり、キラーチューンの一切ないような、ひたすらにシュールなバンドだった。その時に最後に新曲として演奏したのが、翌月のスペシャのPower Push!に選ばれた「オドループ」だった。その瞬間にこのバンドが見せていた景色、見ていた景色は全く変わった。間違いなくあの日がこのバンドにとっての大きなターニングポイントだった。健司も言っていたように、このバンドにとってこのフェスは本当に大切な場所なのである。
そして10月には早くもミニアルバムのリリースも決定。
リハ.リリリピート
リハ.愛の迷惑
1.KITAKU BEAT
2.オワラセナイト
3.ナイトステップ
4.まちがいさがしの国
5.オドループ
6.オンリーワンダー
7.かなしいうれしい
Live SWEET LOVE SHOWER 2017
https://youtu.be/9owXAIChlD8
15:55~ KICK THE CAN CREW [LAKESIDE STAGE]
本格的な活動再開前にもこのフェスのMt.FUJI STAGEに出演しているが、ロッキンに続いてこのフェスでも昔の代表曲を演奏するだけではなく、最新の姿を見せるために日比谷野音で開催されていた時代以来に登場。
トラックが流れる中にKREVA、LITTLE、MCUの3人がステージに登場すると、1曲目はその最新の姿をいきなり見せつける、すでに公開されている新曲「千%」。まだ歌詞の全てはわからないが、かつての名曲のフレーズが散りばめられているのをライブで確認できるのが楽しい。
するともはやおなじみと言ってもいいPerfumeの丸パクリのメンバー紹介から「地球ブルース」「マルシェ」という代表曲で見事なマイクリレーを見せるが、ロッキンでも聴いているとはいえ、「マルシェ」のMCUの
「来年で30です」
のフレーズが
「来年で45」
に変わっているのにはもうそんなに経ったのか…と時の流れの速さを実感させられる。
あと数日後にリリースが迫った14年ぶりの新作アルバム「KICK!」の告知をするとともに、そのアルバムのツアーに来てもらうためにその中に収録される新曲「Summer Spot」を披露。ほぼワンフレーズごとに入れ替わるという難易度の高いマイクリレーを3人がギュッと固まったフォーメーションで披露すると、サビでは一気に夏を謳歌するように弾けていく。「Summer Spot」はまさにこの日この場所のことであった。
見事にマイクリレーをやり切ると、
「もう早くドラクエやろう!」
と言いながらKREVAとMCU、さらにこの日はLITTLEまでもが楽屋に帰ろうとしてしまうのだが、ギリギリのところでLITTLEが踏みとどまり、
「まだ何も終わっちゃいないぜ!」
と「イツナロウバ」に突入すると、「sayonara sayonara」、そして夏が過ぎていくのを惜しむかのようにメンバーと観客が腕を左右に振る「アンバランス」と時代を作ったこのグループというよりは、日本のヒップホップシーンの代表曲を連発し、トラックのアウトロが流れる中で余韻を残しながら3人はステージを去っていった。
活動休止前のこのグループの活動をリアルタイムで見てきた自分のような世代の音楽好きにおいては、KICKやRIP SLYMEというヒップホップの影響を受けていない人はいないと断言してもいいような存在である。ヒップホップが日本のお茶の間まで切り込んで行って、音楽のジャンルの一つに定着していく大きな役割を果たしたグループの一つであるだけに、こうして新曲が聴けてライブが当たり前のように見れるのが本当に嬉しい。
1.千%
2.地球ブルース ~337~
3.マルシェ
4.Summer Spot
5.イツナロウバ
6.sayonara sayonara
7.アンバランス
Live SWEET LOVE SHOWER 2017
https://youtu.be/XQiUFj0EMAk
その後、FOREST STAGEにはsumikaが出演していたのだが、ロッキンでのPARK STAGE同様に超満員、その様は去年のキュウソネコカミや2年前の米津玄師がこのステージに出た時を超えているんじゃないかと思うほど。Mt.FUJIでも間違いなく超満員になっていただろうし、来年出るならその光景が実際に見れるはず。
17:10~ NICO Touches the Walls [Mt.FUJI STAGE]
出演回数ではこのフェストップクラスのNICO Touches the Walls。今年は慣れ親しんだLAKESIDE STAGEではなく、Mt.FUJI STAGEに出演。
開演前からメンバー全員でサウンドチェックをしていたのだが、そこで光村がアコギ、サポートの浅野尚志がピアノという極限まで削ぎ落とされた形で演奏されていたのは、ジャズバージョンと言ってもいいアレンジが施された「Broken Youth」。このバンドはアコースティック編成でもライブを行ってCDも出しているが、それとも全く違う、あまりに渋すぎるこのアレンジは果たして今後何らかの形でちゃんと聴くことができるのだろうか。
本編は手拍子が鳴り響く「THE BUNGY」でスタートしたのだが、心なしかアレンジがかなり削ぎ落とされてシンプルになったようなイメージ。「手をたたけ」でもMt.FUJI STAGEの後ろの方まで手拍子が鳴り響くのだが、客席後ろの方から前にいくに従って低くなっていくこのステージでは手拍子が本当によく響く。
ステージの後ろでは富士山と山中湖が夕焼けに染まっていくというシチュエーションで演奏された「夏の大三角形」ではイントロが鳴っただけで「この曲をこのシチュエーションで聴けるなんて!」という観客の喜びが溢れていたし、この曲を聴くと光村は本当に歌が上手いし、近年は安定感がさらに増していることも実感する。
すると浅野も含めたメンバー全員がスティックを持って対馬のドラムを叩きまくるという見ていて楽しくなるし、あれ1回でいいからやってみたいな~と思うパフォーマンスから、光村の歌だけでの始まりから徐々に音が重なっていく「マシ・マシ」ではメンバーのコーラスワークの強さも存分に堪能できる。
バンドの音がぶつかり合いながらも調和していくカップリング曲「MOROHA IROHA」では光村がロッキンではあまりちゃんと鳴っていなかったような気がする手回しサイレンを鳴らし、ドラム連打に続いて通常のバンドのフォーマットには収まらない演奏を次々に見せていく。
そして最後はかつてこのフェスで超巨大サークルを発生させるというもう2度と見れないんじゃないかという景色を作り上げた「天地ガエシ」でリベンジを果たす必要も全くないくらいに今年も見事なパフォーマンスを見せ、改めてこのバンドがこのフェスに欠かせない存在であることをしっかりと証明した。欲を言うならもうちょっと長い時間、多くの曲数を聴きたかったけど。
ただ、前日の待ち時間に「去年なんでNICOってLAKESIDEだったの?」「Superflyの代わりだったからだろ」という会話をしているのが聞こえた。NICOはずっと代役じゃなくてもずっとLAKESIDE STAGEに立ってきたバンドだし、そのスケールに見合ったバンドであるということも普段からライブを見に行っているファンはよくわかっている。
でもやはりまだこうして舐められているというか、甘く見られていると感じることがたくさんある。そうした声をなくすために、もう1段階、いや3段階くらいは上に行かなくてはならないし、そこに行くべきバンドだと思っている。そのために、まずは11月の主催フェスに出てくれるバンドのファンの前で納得させるような姿を見せなくてはならない。もう立ち位置的には中堅の域に入ってきたけど、まだまだガッついて行って欲しいのである。
リハ.エーキューライセンス
リハ.Broken Youth (ジャズver)
1.THE BUNGY
2.手をたたけ
3.夏の大三角形
4.マシ・マシ
5.MOROHA IROHA
6.天地ガエシ
Live SWEET LOVE SHOWER 2017
https://youtu.be/XQiUFj0EMAk
18:30~ 銀杏BOYZ [FOREST STAGE]
自分はこのフェスのチケットを、出演者が1組も発表されていない段階で毎年取っている。それは誰が出ようともこの場所で音楽が聴ければ楽しめるという思いがあるからだが、それでもやはりこのバンドが出ると発表された時は信じられなかった。このフェスで、この場所で見れるなんて全く想像していなかったから。というわけで銀杏BOYZ、ついに初出演である。
上半身裸にオーバーオールという出で立ちの峯田和伸を中心に、山本幹宗、藤原寛、岡山健二、加藤綾太という先日のツアーと同じサポートメンバーたちが脇を固める中、1曲目は轟音ギターが鳴りまくる「若者たち」でスタートし、峯田もステージから飛び降りて客席に突入していくが、観客も次々にステージに向かってダイブしていく。相変わらず峯田はマイクをガンガン自分の額に打ち付けまくっている。
そのまま「駆け抜けて性春」でさらにバンドの演奏はパンクに振り切れていくのだが、CDではYUKIが歌っていたパートの部分では峯田はマイクを客席に向けて観客は大合唱で応えてみせる。短い持ち時間なだけに、まさかこの曲をやるなんて思っていなかった。
「こんな夏の終わりに綺麗な山中湖まで来て銀杏BOYZのライブ見てる人たちなんて、人生終わってる人たちばっかりですよ!俺も人生終わってるからな、今日は人生終わってるもの同士のポップさを出していきましょう!」
と挨拶。人生終わってるからここでこうして銀杏BOYZのライブが見れているんなら、自分は人生が終わっていて良かった、と思っている中で披露されたのは来月リリースされるシングルのタイトル曲「恋は永遠」。愛ではなくてあくまで恋というのが峯田らしいが、それが実にポップな形に昇華されている。「骨」も「円光」も既発曲なだけに、待望の真っさらな新曲である。
「夏の終わりが君をさらっていく」
と峯田が弾き語りするようにして歌い出したのは、まさに夏の終わりにこうして野外で聴くというシチュエーションが似合い過ぎる「夢で逢えたら」。かつての日比谷野音ワンマンでもそうだったが、この曲はこうした状況で聴くと他のどの曲よりも強い余韻を残していく。
3ヶ月連続リリースの第1弾であった「エンジェルベイビー」もすっかり過去の代表曲に並んでも違和感がなくなってきている中、
「普段俺もだらしない生活をしてるよ。でもこうしてあなたたちの前に立って音楽をやってる時だけは真っ直ぐでいられるの。いくらでもタダでライブが見れる時代にわざわざチケット買ってこんなところまでライブ見に来てくれてるあなたたちが真っ直ぐだから、真っ直ぐにならざるを得ないわけですよ!」
という言葉の後に演奏された「BABY BABY」ではそんな銀杏BOYZを真っ直ぐに好きな人たちの大合唱。これで泣くなというのが無理な話だが、気付けば本当に客席の1番後ろの方まで人で埋まっていた。それは峯田が朝ドラに出演していて、ちょっと見てみたいという人もいたからかもしれない。
「アイデン&ティティ」などで映画やドラマに出始めた時は、銀杏のファンはみんな「そんなの出ないで曲作れ、音楽やれ」と言っていたし、自分もそう思っていた。でも、今はちょっと違う。そうした朝ドラや、去年の「奇跡の人」など、峯田が俳優としてテレビに出ることによって、銀杏BOYZの音楽を聴いてみようと思う人が増えてくれるんなら、それは決して悪いことじゃない。それこそ「BABY BABY」とかは、パンクとかの激しい音楽が好きな人だけじゃなくて、もっともっとたくさんの人に聴かれてもおかしくないくらいに素晴らしい曲だと思っているから。
そして峯田がタンバリンを手にすると、
「1番じゃなくていいよ~。銀杏BOYZは2番でいいからね~。セフレでいいんだよ。ずっと一緒にいなくていいから、でも会いたくなったらちゃんと会いに来てね」
と、実に峯田らしい言い方で観客に再会を約束した。でも、2番なんかじゃない。初めて峯田和伸の作った音楽を聴いた時から、ずっと自分の中では1番だったし、それは今でもそう。この人の作った音楽を聴いて、ライブを見たからこんなに音楽が好きになってしまった。夏の終わりにこんなところまでライブを見に来るような人生になってしまった。だからこうしてライブをやってくれるんなら、どこまでだって観に行く。2番じゃなくて1番だから。
そしてラストには飛び切りポップな「ぽあだむ」を鳴らし、初めての山中湖でのライブを終えた。
何回も言うけど、このフェスで銀杏BOYZを見たいと思ったことはなかった。出ることはないって勝手に思ってたから。でもやはりこの大好きな場所で見た銀杏BOYZのライブはここにいれて本当に幸せだと思わせてくれた。一カ月もすれば、これもやるとは全く思ってなかった日本武道館ワンマンだ。それを見た後に自分はどんなことを思うんだろうか。
1.若者たち
2.駆け抜けて性春
3.恋は永遠
4.夢で逢えたら
5.エンジェルベイビー
6.BABY BABY
7.ぽあだむ
Live SWEET LOVE SHOWER 2017
https://youtu.be/opsDkSPoN4s
19:35~ サカナクション [LAKESIDE STAGE]
スペシャの中で最も攻めている番組とも言われている「NF パンチ」も放送するなど、年々スペシャとの関わりが深くなってきている、サカナクション。今年もやはりトリという真価を最大限に発揮できる位置での出演である。
完全に暗くなったステージにメンバー5人が登場すると、
「僕たち、私たち、サカナクションです」
と山口一郎が挨拶し、ステージ左右のスクリーンにタイトルがレーザー光線で映し出された「新宝島」。さらに「アルクアラウンド」と序盤からアッパーに踊らせまくり、
「みんなまだまだ踊れる?」
と山口が煽ったので、これは「夜の踊り子」だろうと思っていたら、この尺の中に入ってくるとは思っていなかった「三日月サンセット」。しかしこの日ステージの後ろには細い三日月が夜空に輝いていただけに、こっちの選曲の方が合っていたかもしれない。
「もっと自由に踊ろう!」
と言う山口が1番自由に踊りまくる中、スクリーンには宇宙を思わせる映像が映し出され、メンバーがサングラスをかけてラップトップ横並びの編成に。そのままじっくりと躍らせると、「ミュージック」のラストのサビで再びバンド編成に戻り、そのまま「アイデンティティ」からラストは最新シングル「多分、風。」といつにも増して走り抜けるかのような速さでライブが終わっていった。
するとメンバーがステージから去らずに、
「今日はアンコールの時間を貰ってるんですけど、一回捌けちゃうと時間が足りなくなっちゃうからこのままでやります」
と言って、メンバーが捌けないアンコールで演奏されたのは壮大なロックオペラ「目が明く藍色」。かなり飛ばし気味にライブをやっていたのも、全てはこの曲をこうして最後に演奏するためだったのだ、と思うとともに、この会場でこの曲が最初に演奏された時は昼の時間に出演していた時だったことを思い出していた。
音と光と自然の融合というのは野外フェスでこのバンドがトリとして出るときのテーマだが、タイムテーブルが発表されると常にトリというのは代わり映えがしないようにも感じてしまう。だがこうして実際にライブを見ると、やっぱりこのバンドが出るんならトリだよなぁと思ってしまうし、それはこのバンドが必死に戦って自分たちの力で勝ち取った位置なのだ。
1.新宝島
2.アルクアラウンド
3.三日月サンセット
4.SORATO
5.ミュージック
6.アイデンティティ
7.多分、風。
encore
8.目が明く藍色
多分、風。
https://youtu.be/8lx0vLTH_yg
富士山こそ初日のようにはっきりとは見えなかったが、結果的にはこの日も雨が全く降らないという、去年とは正反対(去年は2日目が豪雨だった)の天候になった。その天候が様々な奇跡を生んだのを見れた2日目だった。
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9:25~ iri [WATERFRONT STAGE] (MORNING ACOUSTIC)
湖畔に作られたWATERFRONT STAGEで朝イチに行われるMORNING ACOUSTIC。9:25~という他のフェスではなかなかないくらいに早い時間のスタートだが、朝のこのステージならではの気持ち良さを求めてたくさんの人が詰めかけている。
この日のMORNING ACOUSTICはスペシャのライブイベントなどにもよく登場するようになっている女性シンガーのiri。アコースティックとはいえ、打ち込みと生ドラム(米津玄師でもドラムを叩いている堀正輝)を加えた編成は限りなくバンドに近いもので、iri自身もアコギを弾く曲からハンドマイクを持つ曲、サウンドもダンスミュージックからブラックミュージックの要素を持つ曲まで幅広い内容。彼女のスモーキーな声はそうしたサウンドに非常に良く似合っているが、ステージ後ろの湖畔ではカヌーに乗った人たちが観客に向かって手を振るという光景が実にこのフェスならでは。
1.フェイバリット女子
2.ナイトグルーヴ
3.Wandering
4.Never end
5.rhythm
Live SWEET LOVE SHOWER 2017
https://youtu.be/1F1dLtqWN80
10:25~ キュウソネコカミ [Mt.FUJI STAGE]
3年前の初出演はFOREST STAGE、2年前は早くもLAKESIDE STAGEに立つも、去年はなぜかFOREST STAGEに戻っていた、キュウソネコカミ。今年のMt.FUJI STAGE出演で主要3ステージを制覇である。
早い時間から本気のリハで早起きして集まった観客を喜ばせると、
「民間の駐車場2000円とか絶対足元見てるよな。普段300円くらいでやってるやろ」
とみんな気付いていながらも口に出していなかったことをハッキリと言ってしまう。
本番ではいきなりの「MEGA SHAKE IT!!」で朝早い観客の目をシャキッと目覚めさせると、「サブカル女子」では
「細美武士好きー!」
の後のフレーズを
「最近仲良くさせてもらってます!」
にセイヤが変えて歌うが、まさかこんな風に歌えるようになるとは歌詞を書いた時は思ってもいなかったであろう。
おなじみの「ファントムバイブレーション」では客席に巨大なiPhoneのボード(裏側には「スマホはもはや俺の臓器」と書いてある)を掲げた観客がおり、セイヤもその姿を見て笑ってしまっていたのだが、途中でスタッフに止められていたのはさらに笑えた。
リリース直後のタイミングとなった「NO MORE 劣化実写化」の海賊盤はダメダメダンスもすでに毎回のようにライブでやっているだけに観客も完璧に揃っている。
リハでもやっていた「家」を本編でもやって盛り上げると、セイヤは初めてこのステージに立てた喜びを語り、「DQN~」で客席に突入。しかしながら観客が前に押し寄せ過ぎたためになかなか支えが安定せず、
「下がった方が面白いぞー!」
「お前らそんなんでコムアイ(水曜日のカンパネラ)を支えられるのかー!あいつは球体に乗ってくるぞー!」
と観客をかなりの変化球で励ましながら、かなり長い時間を使っての「ヤンキー怖い」の大合唱。
「あと2曲やりたいんやー!」
と最後はかなり巻き気味で「KMTR645」(翌日出演のレキシはゲスト登場せず)、「ビビった」と連発し、最後には金髪のヨコタが
「来年はLAKESIDEで会いましょう!」
とメインステージ帰還を予告し、今年もこのフェスに確かな爪痕を残していった。
リハ.家
リハ.ハッピーポンコツ
1.MEGA SHAKE IT!!
2.サブカル女子
3.ファントムバイブレーション
4.NO MORE 劣化実写化
5.家
6.DQNなりたい、40代で死にたい
7.KMTR645
8.ビビった
Live SWEET LOVE SHOWER 2017
https://youtu.be/az70ik5EWNQ
11:10~ 10-FEET [LAKESIDE STAGE]
10年目を迎えた自身の主催フェス「京都大作戦」で新たな伝説を作りながらも他のフェスにガンガン出て行くという活動スタイルは全く変わらない10-FEET。このフェスではこのステージの火付け役というイメージが強いが、今年もトップバッターとして登場。
おなじみのSEで3人が登場すると、いきなり
「ありがとうございましたー!10-FEETでしたー!」
とまだ何もしていないのにライブを終わらせようとし、しかも普段はアンコールでの定番である「CHERRY BLOSSOM」で客席には無数のタオルが舞うという(やはり京都大作戦のタオルが非常に多いあたりにあのフェスに行っている人の多さを実感する)、締めのようなオープニング。
しかし当然これで終われるわけもなく、「RIVER」では恒例のご当地歌詞を「山中湖」に変えて歌うのだが、もはや山中湖は川ですらない。
「まだ2曲しかやってへんのにめっちゃ靴落ちてるぞー!(笑)
まだ始まったばっかりなのにお前らこれから一日靴なしでどうすんねん!(笑)」
と笑わせながらも、
「もっともっとスピード上げろ!それでもし進んだ道が間違ってたら全力で戻ってまたやり直せばええねん!
強い奴は間違えない奴じゃない!強い奴は何回でもやり直すことができる奴や!」
と自身も「根暗である」というだけに、そうした普段は大人しくてもこうしたフェスの時だけは自分を解放できるような人たちに向けて熱いメッセージを送る。
最後は最新シングルからの「太陽4号」から「ヒトリセカイ」というダイブしたりするというよりも聴き入るようなタイプの最近リリースの曲で締めたのだが、こうした曲が多く入るであろう次のアルバム(これだけシングル出したんだから次のリリースはアルバムだろう)は果たしてどんな内容になるのか。もうこれからはライブはやりまくってるけどリリースは全然ない、ということはなくなりそうではあるけれど。
1.CHERRY BLOSSOM
2.RIVER
3.1sec.
4.その向こうへ
5.太陽4号
6.ヒトリセカイ
Live SWEET LOVE SHOWER 2017
https://youtu.be/4zgkOZdNbRY
11:45~ yonige [FOREST STAGE]
スペシャ列伝ツアーにも参加したyonige、それを経てこのフェスにも初出演である。
おなじみThe SALOVERS「ビオトープ」のSEでサポートドラマーのkomaki♂(ex.tricot)を加えた3人がステージに登場すると、
「大阪寝屋川、yonigeです。よろしく!」
とピンク色の髪が鮮やかな牛丸ありさが挨拶し、3人のキメのイントロがオープニングにぴったりな「さよならアイデンティティー」からスタート。ごっきんがいきなりすっ転びそうになるというアクシデントもあったが、牛丸の歌が本当に上手くなっているし、この広いステージの奥の方までしっかりと届くようになってきている。それは凄腕のkomaki♂がドラムになって演奏自体が引き締まったという要因もあるだろうが、注目度とキャパがどんどん増している中で、それに見合う力をライブを重ねることによってしっかりと獲得してきている。
少し前まではリズムが走りまくり気味だった「アボカド」も牛丸が少し歌詞を飛ばしながらも、少しテンポが速くなったというくらいでしっかりキープできており、フェスでやるのはかなり意外だった「最近のこと」から、ラストは現状の最新作「Neyagawa city pop」のリード曲である「さよならプリズナー」で、エモさを失わないままでキャッチーさを増したメロディを響かせた。
ロッキンでも満員だったらしいし、この日もたくさんの人がこのバンドのライブを見るために詰めかけていた。すでにアルバムのリリースとZepp Tokyoでのフリーライブ(女子限定)も決定しており、このバンドはこれからさらにたくさんの人の前に立つことになる。O-Crestでのワンマンの時などに感じた革命前夜感はいよいよ現実のものになろうとしている。
1.さよならアイデンティティー
2.our time city
3.センチメンタルシスター
4.アボカド
5.最近のこと
6.さよならプリズナー
Live SWEET LOVE SHOWER 2017
https://youtu.be/yKsjAZKHxxY
その後にMt.FUJI STAGEに行くと、水曜日のカンパネラが「ユタ」「一休さん」といったあたりをやっていたのだが、客席には謎の巨大風船が跳ねまわり、コムアイはステージではなくて客席に突入して歌っていた。ラストの「桃太郎」ではなぜか沖縄民謡ミックスが施されている中で、やはり巨大球体の中にコムアイが入り、ゴロゴロと観客の上を転がりながら歌ったが、ステージの上にいる時間が自分が見た間は1分くらいだった。
12:45~ 9mm Parabellum Bullet [LAKESIDE STAGE]
近年は決して毎年出ているバンドというわけではないが、山中湖で最初に開催された2007年から出演しているし、かつてはかみじょうがスペシャの番組にレギュラー出演していただけに、今でもこのフェスを代表するバンドと言っていい9mm。今回もこのLAKESIDE STAGEに出演。
ロッキン同様にこの日もサポートギターにHEREの武田とfolcaの為川を加えた5人編成、よって何回も立ってきたこのステージではあるが、かみじょうがステージ上手にいるのも初めての光景である。
キメ連発の「サクリファイス」「ガラスの街のアリス」と早くも最新作「BABEL」モード全開。先日のスタジオライブではちょっとファンを心配させる状態だった卓郎の喉もひとまずは問題なさそうである。
卓郎がその「BABEL」の告知をすると、そのタイトルトラックと言ってもいい「バベルの子どもたち」を演奏。9mmの新しい形を作ったアルバムと言ってもいい名盤なだけに、卓郎もメンバーも今よりももっと「BABEL」の内容を伝えていきたいという思いを持っていることが伝わってくる。この曲の時だけなぜかモニターに映るメンバーの映像がモノクロにアレンジされていたのは謎であるが。
卓郎がギターを置いてハンドマイクを手にすると、
「SWEETでLOVEなSHOWER。BlackでMarketなBluesで全員仲間入りさせてやるぜ!」
とかなり強引に「Black Market Blues」に突入し、卓郎はツーステを踏みながら歌詞をおなじみのご当地ネタにアレンジ。
10-FEETの後半あたりから少し天気が心配になるくらいに分厚い雲が空を包むという曇天模様になっていたのだが、卓郎が
「みんな、あれが欲しいんだろ!太陽が欲しいだけなんだろう!?」
と言って演奏された「太陽が欲しいだけ」(フェスで演奏されるのは初めてかもしれない)では、なんとこの曲を演奏している最中に空を覆っていた雲の中から太陽が現れ、会場を晴れ模様にするという奇跡のような現象が起こった。
結局、こうして言葉にしたところで、自分の目で見た方が絶対にどんなライブだったのかはわかるし、それが天候や環境などで大きく左右される野外フェスならなおさらである。だからこそこの瞬間の奇跡はこの時会場でライブを見ていた人にしかわからないかもしれないが、かつてDragon Ashも雨が降っていた時に「Run to the Sun」という曲を演奏したら雨が止むどころか太陽が出てくるという奇跡を起こしたことがある。この場所はそうしてこの場所を愛してくれているバンドが太陽の曲を演奏すると必ずその想いに応えてくれる。山の天気は変わりやすいとも言うが、ずっとこの場所に来ていると、これは偶然なんかじゃないというのがわかる。
そしてラストは「ロング・グッドバイ」から一気に人が前方に押し寄せた爆音ハードコア「Punishment」で凄まじい余韻を残した。
9mmは観覧車がある会場で「Termination」をやったりと、その場所に応じて演奏する曲を変えたりしてきたバンドだが、天候によって変えるような曲は「Waltz on Life Line」までは全くと言っていいほどなかったから、そういう要素でライブが変わるということはなかった。しかしこの日は間違いなくバンドの曲と天候によってライブが変わった。それも限りなく良い方向に。何回も立ってきたバンドだからこそ、この場所に愛されているということを示したライブだった。だからこそ、これからも毎年このステージで見たい。
リハ.Discommunication
1.サクリファイス
2.ガラスの街のアリス
3.バベルの子どもたち
4.Black Market Blues
5.太陽が欲しいだけ
6.ロング・グッドバイ
7.Punishment
Live SWEET LOVE SHOWER 2017
https://youtu.be/Ki7lilncglI
13:35~ Fear,and Loathing in Las Vegas [Mt.FUJI STAGE]
どちらかと言うと長閑な空気を感じさせるこのMt.FUJI STAGEであるが、ラウドロックバンドであるこのFear,and Loathing in Las Vegasはかつてもこのステージに立っているだけにこのステージのイメージが強い。
狂騒的なSEでメンバーが元気いっぱいに走りながらステージに登場すると、SoとMinamiが揃ったポーズを決めて「Rave-Up Tonight」からスタート。金髪のSoがステージを走り回りながらオートチューンがかかったボーカルを響かせる中、髪の色も含めて全身真っ黒のMinamiは早くも客席に突入して煽りまくっているといういきなりのトップギア状態。
イントロの爽やかなジャンプ連発の「Jump Around」では同じ曲とは思えないくらいに何回も激しい転調が行われると、「Return to Zero」ではSoとMinamiがけたたましいシンセのサウンドに合わせて懐かしのパラパラのようなダンスを披露し、これが非常にウケていた。サウンドとダンスにかなりギャップがあるからかもしれないが。
もはや見た目がツッコミどころしかないギタリストTaikiが見た目とは裏腹に力強いボーカルを響かせ、フロント2人はラジオ体操のようなダンスを踊る「Party Boys」と息つく間もないくらいにキラーチューンを畳み掛けると、
「昨日、僕らこのライブのために富士に先乗りしようとしたんですけど、車が着いたのは富山県でした(笑)」
という、よく今日ちゃんとここまで来れたな、と思わざるを得ないくらいの天然っぷりをSxunが明かし、ラストは「Virture and Vice」から「Love at First Sight」という鉄板の流れでMinamiは客席に突入してシャウトしまくり、観客も踊らせまくって、このバンドにしか描けないカオスな景色を作り出してみせた。しかし本当に演奏が上手いし、音が重く強い。
1.Rave-Up Tonight
2.Jump Around
3.Return to Zero
4.Party Boys
5.Let Me Hear
6.Virture and Vice
7.Love at First Sight
Live SWEET LOVE SHOWER 2017
https://youtu.be/NsH0-lpg-LA
14:20~ KANA-BOON [LAKESIDE STAGE]
スペシャのレギュラー番組「もぎもぎKANA-BOON」もすっかり長寿番組となり、このフェスでも完全にレギュラーになっている、KANA-BOON。Mt.FUJI STAGEのトリを務めたこともあったが、今年も去年に続いてLAKESIDE STAGEへの出演である。
軽快な4つ打ちのリズムの「1.2. step to you」で早くも観客を踊らせまくると、一転してシリアスかつ重いサウンドの「Fighter」と両極端な面を見せ、最新シングル「バトンロード」と新旧の名曲をテンポ良く演奏していく。
KANA-BOONのこのフェスと言えば番組で毎年ターザン小泉ことドラムの小泉が中心に考案するコラボメニューであるが、今年のコラボメニューの鶏南蛮DOONを鮪が宣伝し、あまりまだみんな食べていないというリアルな声に多少ショックを受けながらも、
「鶏南蛮DOONの前にチャーハンを食べませんか!」
と「ないものねだり」で食べ物ネタを連発し、「フルドライブ」でさらにバンドサウンドは力強く加速していく。
すると鮪が
「今年の上半期は色々とお騒がせしてしまいまして。そこで色々と考えることもあったんですけど、こうしてライブが出来ることも、みんなが見に来てくれることも当たり前のことじゃないし、やっぱり俺たちには音楽しかないっていうことが改めてわかった」
と、今年前半に良くない意味で話題になってしまっためしだのことを半年近く経った今でもしっかりと自分の口で目の前にいる人たちに語るという見た目以上に本当に男らしいバンドであることを実感させてくれると(めしだは深々と頭を下げていた)、その時に出来たという新曲「それでも僕らは願っているよ」を披露。ストレートなバンドサウンドの上に乗る、葛藤を乗り越えながら前に進んでいくというバンドの意志を感じさせる歌詞は間違いなくリリースが発表されているニューアルバムの軸になる。そして歌詞の最後は
「明日には笑えますように」
と締められる。こうしてあの騒動を曲に昇華してさらに前に進めるのなら、決して悪いことばかりではなかったと思うし、音楽にしていくのがバンドとしての乗り越え方だと思う。
そんなシリアスな空気の中で最後に演奏されたのは「シルエット」。KANA-BOON屈指の名曲であるが、「バトンロード」の初回盤DVDに収録されているこの曲の新しいMV「とにかくカッコイイ小泉」を見てしまうと、小泉がドラムを叩いている姿を見るだけで笑ってしまうという状態になってしまっている。それくらいあの映像は破壊力が高い。曲のイメージが全く変わってしまうくらいに。
リハ.ウォーリーヒーロー
1.1.2.step to you
2.Fighter
3.バトンロード
4.ないものねだり
5.フルドライブ
6.それでも僕らは願っているよ
7.シルエット
Live SWEET LOVE SHOWER 2017
https://youtu.be/OuVpOu9RoNA
15:10~ フレデリック [Mt.FUJI STAGE]
4年連続出演。去年はLAKESIDE STAGEに立ったフレデリック、今年は2年ぶりにこのMt.FUJI STAGEに帰還である。
ステージに4人が登場すると、健司が
「35分、一本勝負でいきます、フレデリックです!」
とこの日のライブがMCなしのノンストップで走り抜ける内容であることを宣言し、「KITAKU BEAT」から高橋が正式加入してさらに頑丈な一枚岩になったバンドサウンドで踊らせまくっていく。
「オワラセナイト」ではやはりMVのダンスを踊る観客が大量に発生し、昼ながら「ナイトステップ」という昨年リリースの「フレデリズム」を軸にした内容で、アウトロとイントロを見事に繋げたノンストップアレンジを見せる。
最新シングルのカップリング曲である「まちがいさがしの国」はフェスでやるとは思っていなかったが、ややサイケデリックな音像にシュールな歌詞というフレデリックの持ち味そのもののような曲であるが、シュールなようでいて社会に対する強いメッセージを内包している歌詞は、このバンドがただ踊らせたいだけではなくて、ちゃんと自分たちの音楽で伝えたいことがあることを伺わせてくれる。それは「オドループ」からそうであったが。
その「オドループ」はこのタイミングで披露されたのだが、曲の途中でノンストップだった演奏を止めると、
「4年連続、俺たちがインディーズの時からずっと見ていてくれて、呼んでくれているこのフェスに特別な感情を抱かないわけがないでしょう!だから、今日は「踊ってないラブシャ気に入らない!」ってみんなで歌いませんか!」
と、このフェスを愛するからこそ歌詞をラブシャ仕様に変えて大合唱を促し、その上がり切った状態のままで「オンリーワンダー」、そして手拍子が鳴り響く「かなしいうれしい」と突っ走り、愛するこのフェスで今年も大きなインパクトを残した。
3年前、このフェスのFOREST STAGEに出演した時、この日演奏した曲はまだ1曲も世の中に出ていなかった。つまり、キラーチューンの一切ないような、ひたすらにシュールなバンドだった。その時に最後に新曲として演奏したのが、翌月のスペシャのPower Push!に選ばれた「オドループ」だった。その瞬間にこのバンドが見せていた景色、見ていた景色は全く変わった。間違いなくあの日がこのバンドにとっての大きなターニングポイントだった。健司も言っていたように、このバンドにとってこのフェスは本当に大切な場所なのである。
そして10月には早くもミニアルバムのリリースも決定。
リハ.リリリピート
リハ.愛の迷惑
1.KITAKU BEAT
2.オワラセナイト
3.ナイトステップ
4.まちがいさがしの国
5.オドループ
6.オンリーワンダー
7.かなしいうれしい
Live SWEET LOVE SHOWER 2017
https://youtu.be/9owXAIChlD8
15:55~ KICK THE CAN CREW [LAKESIDE STAGE]
本格的な活動再開前にもこのフェスのMt.FUJI STAGEに出演しているが、ロッキンに続いてこのフェスでも昔の代表曲を演奏するだけではなく、最新の姿を見せるために日比谷野音で開催されていた時代以来に登場。
トラックが流れる中にKREVA、LITTLE、MCUの3人がステージに登場すると、1曲目はその最新の姿をいきなり見せつける、すでに公開されている新曲「千%」。まだ歌詞の全てはわからないが、かつての名曲のフレーズが散りばめられているのをライブで確認できるのが楽しい。
するともはやおなじみと言ってもいいPerfumeの丸パクリのメンバー紹介から「地球ブルース」「マルシェ」という代表曲で見事なマイクリレーを見せるが、ロッキンでも聴いているとはいえ、「マルシェ」のMCUの
「来年で30です」
のフレーズが
「来年で45」
に変わっているのにはもうそんなに経ったのか…と時の流れの速さを実感させられる。
あと数日後にリリースが迫った14年ぶりの新作アルバム「KICK!」の告知をするとともに、そのアルバムのツアーに来てもらうためにその中に収録される新曲「Summer Spot」を披露。ほぼワンフレーズごとに入れ替わるという難易度の高いマイクリレーを3人がギュッと固まったフォーメーションで披露すると、サビでは一気に夏を謳歌するように弾けていく。「Summer Spot」はまさにこの日この場所のことであった。
見事にマイクリレーをやり切ると、
「もう早くドラクエやろう!」
と言いながらKREVAとMCU、さらにこの日はLITTLEまでもが楽屋に帰ろうとしてしまうのだが、ギリギリのところでLITTLEが踏みとどまり、
「まだ何も終わっちゃいないぜ!」
と「イツナロウバ」に突入すると、「sayonara sayonara」、そして夏が過ぎていくのを惜しむかのようにメンバーと観客が腕を左右に振る「アンバランス」と時代を作ったこのグループというよりは、日本のヒップホップシーンの代表曲を連発し、トラックのアウトロが流れる中で余韻を残しながら3人はステージを去っていった。
活動休止前のこのグループの活動をリアルタイムで見てきた自分のような世代の音楽好きにおいては、KICKやRIP SLYMEというヒップホップの影響を受けていない人はいないと断言してもいいような存在である。ヒップホップが日本のお茶の間まで切り込んで行って、音楽のジャンルの一つに定着していく大きな役割を果たしたグループの一つであるだけに、こうして新曲が聴けてライブが当たり前のように見れるのが本当に嬉しい。
1.千%
2.地球ブルース ~337~
3.マルシェ
4.Summer Spot
5.イツナロウバ
6.sayonara sayonara
7.アンバランス
Live SWEET LOVE SHOWER 2017
https://youtu.be/XQiUFj0EMAk
その後、FOREST STAGEにはsumikaが出演していたのだが、ロッキンでのPARK STAGE同様に超満員、その様は去年のキュウソネコカミや2年前の米津玄師がこのステージに出た時を超えているんじゃないかと思うほど。Mt.FUJIでも間違いなく超満員になっていただろうし、来年出るならその光景が実際に見れるはず。
17:10~ NICO Touches the Walls [Mt.FUJI STAGE]
出演回数ではこのフェストップクラスのNICO Touches the Walls。今年は慣れ親しんだLAKESIDE STAGEではなく、Mt.FUJI STAGEに出演。
開演前からメンバー全員でサウンドチェックをしていたのだが、そこで光村がアコギ、サポートの浅野尚志がピアノという極限まで削ぎ落とされた形で演奏されていたのは、ジャズバージョンと言ってもいいアレンジが施された「Broken Youth」。このバンドはアコースティック編成でもライブを行ってCDも出しているが、それとも全く違う、あまりに渋すぎるこのアレンジは果たして今後何らかの形でちゃんと聴くことができるのだろうか。
本編は手拍子が鳴り響く「THE BUNGY」でスタートしたのだが、心なしかアレンジがかなり削ぎ落とされてシンプルになったようなイメージ。「手をたたけ」でもMt.FUJI STAGEの後ろの方まで手拍子が鳴り響くのだが、客席後ろの方から前にいくに従って低くなっていくこのステージでは手拍子が本当によく響く。
ステージの後ろでは富士山と山中湖が夕焼けに染まっていくというシチュエーションで演奏された「夏の大三角形」ではイントロが鳴っただけで「この曲をこのシチュエーションで聴けるなんて!」という観客の喜びが溢れていたし、この曲を聴くと光村は本当に歌が上手いし、近年は安定感がさらに増していることも実感する。
すると浅野も含めたメンバー全員がスティックを持って対馬のドラムを叩きまくるという見ていて楽しくなるし、あれ1回でいいからやってみたいな~と思うパフォーマンスから、光村の歌だけでの始まりから徐々に音が重なっていく「マシ・マシ」ではメンバーのコーラスワークの強さも存分に堪能できる。
バンドの音がぶつかり合いながらも調和していくカップリング曲「MOROHA IROHA」では光村がロッキンではあまりちゃんと鳴っていなかったような気がする手回しサイレンを鳴らし、ドラム連打に続いて通常のバンドのフォーマットには収まらない演奏を次々に見せていく。
そして最後はかつてこのフェスで超巨大サークルを発生させるというもう2度と見れないんじゃないかという景色を作り上げた「天地ガエシ」でリベンジを果たす必要も全くないくらいに今年も見事なパフォーマンスを見せ、改めてこのバンドがこのフェスに欠かせない存在であることをしっかりと証明した。欲を言うならもうちょっと長い時間、多くの曲数を聴きたかったけど。
ただ、前日の待ち時間に「去年なんでNICOってLAKESIDEだったの?」「Superflyの代わりだったからだろ」という会話をしているのが聞こえた。NICOはずっと代役じゃなくてもずっとLAKESIDE STAGEに立ってきたバンドだし、そのスケールに見合ったバンドであるということも普段からライブを見に行っているファンはよくわかっている。
でもやはりまだこうして舐められているというか、甘く見られていると感じることがたくさんある。そうした声をなくすために、もう1段階、いや3段階くらいは上に行かなくてはならないし、そこに行くべきバンドだと思っている。そのために、まずは11月の主催フェスに出てくれるバンドのファンの前で納得させるような姿を見せなくてはならない。もう立ち位置的には中堅の域に入ってきたけど、まだまだガッついて行って欲しいのである。
リハ.エーキューライセンス
リハ.Broken Youth (ジャズver)
1.THE BUNGY
2.手をたたけ
3.夏の大三角形
4.マシ・マシ
5.MOROHA IROHA
6.天地ガエシ
Live SWEET LOVE SHOWER 2017
https://youtu.be/XQiUFj0EMAk
18:30~ 銀杏BOYZ [FOREST STAGE]
自分はこのフェスのチケットを、出演者が1組も発表されていない段階で毎年取っている。それは誰が出ようともこの場所で音楽が聴ければ楽しめるという思いがあるからだが、それでもやはりこのバンドが出ると発表された時は信じられなかった。このフェスで、この場所で見れるなんて全く想像していなかったから。というわけで銀杏BOYZ、ついに初出演である。
上半身裸にオーバーオールという出で立ちの峯田和伸を中心に、山本幹宗、藤原寛、岡山健二、加藤綾太という先日のツアーと同じサポートメンバーたちが脇を固める中、1曲目は轟音ギターが鳴りまくる「若者たち」でスタートし、峯田もステージから飛び降りて客席に突入していくが、観客も次々にステージに向かってダイブしていく。相変わらず峯田はマイクをガンガン自分の額に打ち付けまくっている。
そのまま「駆け抜けて性春」でさらにバンドの演奏はパンクに振り切れていくのだが、CDではYUKIが歌っていたパートの部分では峯田はマイクを客席に向けて観客は大合唱で応えてみせる。短い持ち時間なだけに、まさかこの曲をやるなんて思っていなかった。
「こんな夏の終わりに綺麗な山中湖まで来て銀杏BOYZのライブ見てる人たちなんて、人生終わってる人たちばっかりですよ!俺も人生終わってるからな、今日は人生終わってるもの同士のポップさを出していきましょう!」
と挨拶。人生終わってるからここでこうして銀杏BOYZのライブが見れているんなら、自分は人生が終わっていて良かった、と思っている中で披露されたのは来月リリースされるシングルのタイトル曲「恋は永遠」。愛ではなくてあくまで恋というのが峯田らしいが、それが実にポップな形に昇華されている。「骨」も「円光」も既発曲なだけに、待望の真っさらな新曲である。
「夏の終わりが君をさらっていく」
と峯田が弾き語りするようにして歌い出したのは、まさに夏の終わりにこうして野外で聴くというシチュエーションが似合い過ぎる「夢で逢えたら」。かつての日比谷野音ワンマンでもそうだったが、この曲はこうした状況で聴くと他のどの曲よりも強い余韻を残していく。
3ヶ月連続リリースの第1弾であった「エンジェルベイビー」もすっかり過去の代表曲に並んでも違和感がなくなってきている中、
「普段俺もだらしない生活をしてるよ。でもこうしてあなたたちの前に立って音楽をやってる時だけは真っ直ぐでいられるの。いくらでもタダでライブが見れる時代にわざわざチケット買ってこんなところまでライブ見に来てくれてるあなたたちが真っ直ぐだから、真っ直ぐにならざるを得ないわけですよ!」
という言葉の後に演奏された「BABY BABY」ではそんな銀杏BOYZを真っ直ぐに好きな人たちの大合唱。これで泣くなというのが無理な話だが、気付けば本当に客席の1番後ろの方まで人で埋まっていた。それは峯田が朝ドラに出演していて、ちょっと見てみたいという人もいたからかもしれない。
「アイデン&ティティ」などで映画やドラマに出始めた時は、銀杏のファンはみんな「そんなの出ないで曲作れ、音楽やれ」と言っていたし、自分もそう思っていた。でも、今はちょっと違う。そうした朝ドラや、去年の「奇跡の人」など、峯田が俳優としてテレビに出ることによって、銀杏BOYZの音楽を聴いてみようと思う人が増えてくれるんなら、それは決して悪いことじゃない。それこそ「BABY BABY」とかは、パンクとかの激しい音楽が好きな人だけじゃなくて、もっともっとたくさんの人に聴かれてもおかしくないくらいに素晴らしい曲だと思っているから。
そして峯田がタンバリンを手にすると、
「1番じゃなくていいよ~。銀杏BOYZは2番でいいからね~。セフレでいいんだよ。ずっと一緒にいなくていいから、でも会いたくなったらちゃんと会いに来てね」
と、実に峯田らしい言い方で観客に再会を約束した。でも、2番なんかじゃない。初めて峯田和伸の作った音楽を聴いた時から、ずっと自分の中では1番だったし、それは今でもそう。この人の作った音楽を聴いて、ライブを見たからこんなに音楽が好きになってしまった。夏の終わりにこんなところまでライブを見に来るような人生になってしまった。だからこうしてライブをやってくれるんなら、どこまでだって観に行く。2番じゃなくて1番だから。
そしてラストには飛び切りポップな「ぽあだむ」を鳴らし、初めての山中湖でのライブを終えた。
何回も言うけど、このフェスで銀杏BOYZを見たいと思ったことはなかった。出ることはないって勝手に思ってたから。でもやはりこの大好きな場所で見た銀杏BOYZのライブはここにいれて本当に幸せだと思わせてくれた。一カ月もすれば、これもやるとは全く思ってなかった日本武道館ワンマンだ。それを見た後に自分はどんなことを思うんだろうか。
1.若者たち
2.駆け抜けて性春
3.恋は永遠
4.夢で逢えたら
5.エンジェルベイビー
6.BABY BABY
7.ぽあだむ
Live SWEET LOVE SHOWER 2017
https://youtu.be/opsDkSPoN4s
19:35~ サカナクション [LAKESIDE STAGE]
スペシャの中で最も攻めている番組とも言われている「NF パンチ」も放送するなど、年々スペシャとの関わりが深くなってきている、サカナクション。今年もやはりトリという真価を最大限に発揮できる位置での出演である。
完全に暗くなったステージにメンバー5人が登場すると、
「僕たち、私たち、サカナクションです」
と山口一郎が挨拶し、ステージ左右のスクリーンにタイトルがレーザー光線で映し出された「新宝島」。さらに「アルクアラウンド」と序盤からアッパーに踊らせまくり、
「みんなまだまだ踊れる?」
と山口が煽ったので、これは「夜の踊り子」だろうと思っていたら、この尺の中に入ってくるとは思っていなかった「三日月サンセット」。しかしこの日ステージの後ろには細い三日月が夜空に輝いていただけに、こっちの選曲の方が合っていたかもしれない。
「もっと自由に踊ろう!」
と言う山口が1番自由に踊りまくる中、スクリーンには宇宙を思わせる映像が映し出され、メンバーがサングラスをかけてラップトップ横並びの編成に。そのままじっくりと躍らせると、「ミュージック」のラストのサビで再びバンド編成に戻り、そのまま「アイデンティティ」からラストは最新シングル「多分、風。」といつにも増して走り抜けるかのような速さでライブが終わっていった。
するとメンバーがステージから去らずに、
「今日はアンコールの時間を貰ってるんですけど、一回捌けちゃうと時間が足りなくなっちゃうからこのままでやります」
と言って、メンバーが捌けないアンコールで演奏されたのは壮大なロックオペラ「目が明く藍色」。かなり飛ばし気味にライブをやっていたのも、全てはこの曲をこうして最後に演奏するためだったのだ、と思うとともに、この会場でこの曲が最初に演奏された時は昼の時間に出演していた時だったことを思い出していた。
音と光と自然の融合というのは野外フェスでこのバンドがトリとして出るときのテーマだが、タイムテーブルが発表されると常にトリというのは代わり映えがしないようにも感じてしまう。だがこうして実際にライブを見ると、やっぱりこのバンドが出るんならトリだよなぁと思ってしまうし、それはこのバンドが必死に戦って自分たちの力で勝ち取った位置なのだ。
1.新宝島
2.アルクアラウンド
3.三日月サンセット
4.SORATO
5.ミュージック
6.アイデンティティ
7.多分、風。
encore
8.目が明く藍色
多分、風。
https://youtu.be/8lx0vLTH_yg
富士山こそ初日のようにはっきりとは見えなかったが、結果的にはこの日も雨が全く降らないという、去年とは正反対(去年は2日目が豪雨だった)の天候になった。その天候が様々な奇跡を生んだのを見れた2日目だった。
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