SWEET LOVE SHOWER 2017 day1 @山中湖交流プラザきらら 8/25
- 2017/08/28
- 09:35
音楽専門チャンネル、SPACE SHOWER TVが主催する夏フェス、SWEET LOVE SHOWER。かつては日比谷野音で開催されていたが、2007年からは山中湖の交流プラザきららに場所を移し、富士山の麓という抜群のロケーションを誇るフェスとしてすっかりおなじみになった。
今年も
LAKESIDE STAGE
Mt.FUJI STAGE
FOREST STAGE
WATER FRONT STAGE
の4ステージ構成で、メインステージであるLAKESIDE STAGEは被りなし、他のステージは多少の時間被りはあるものの、見ようと思えば全てのアクトを見ることができるというタイムテーブルは健在である。
初日のこの日は朝から涼しくも晴れ間が多く、会場内の至る場所から富士山の姿を確認することができる、というのは昨年の初日を彷彿とさせる。
会場内には去年FOREST STAGEエリアにあった、雨を防げるビュッフェがなくなり(高かったから?)、代わりにクライミングブースができていたり、去年までスペシャキッチンがあった場所がワークショップブースになっていたりというエリアの見直しが行われている。
平日にもかかわらずチケットがソールドアウトしているこの日は、TRIPLE AXEの3組とONAKAMA3組、さらにWANIMAやNAMBA69など、パンク・ラウド系バンド大集結という日になった。
9:55~ Saucy Dog [FOREST STAGE] (Opening Act)
スペシャが音楽雑誌MUSICAと共同で行っているオーディション、MASH A&Rの優勝バンドである、男女混合スリーピースバンド、Saucy Dog。THE ORAL CIGARETTESやLAMP IN TERREN、パノラマパナマタウンという過去の優勝バンドたち同様にこのフェスに初出演である。
シンプルなスリーピースのギターロックという点では先輩のLAMP IN TERRENも彷彿とさせるが、CDで聴いた時のイメージよりもバンドの演奏も石原慎也のハイトーンなボーカルもエモーションに感じられるあたりはライブならではの強みや力をしっかり持っているバンドだと思うが、そこに少し柔らかさのようなものを感じるのは、やはりドラムが女性のせとゆいかであり、コーラスも彼女が務めているからだろうか。
短い時間の中に自分たちの魅力を目一杯詰め込もうというライブであり、観客も時には腕を上げたり手拍子をしたりしながらバンドの鳴らす繊細な世界観にじっと聴き入るという感じ。
「来年は本編に食い込めるように頑張ります」
と石原は言っていたが、このバンドはオーラルやパノラマパナマタウンのようなわかりやすい個性はない。それだけに勝負になるのはやはりメロディと歌詞をどこまで研ぎ澄ませられるかというところにかかっているわけだが、どれも良い曲ではあるのだが、まだこれぞ!という曲がないようにも感じる。それが出てきた時、オーラルのようにこのフェスのオープニングアクトから一気に飛躍したバンドになれると思う。
1.煙
2.ロケット
3.ナイトクロージング
4.グッバイ
5.いつか
いつか
https://youtu.be/agQ23NdBROY
10:25~ BIGMAMA [Mt.FUJI STAGE]
オープニングアクトを除く初日のトップバッター、つまり今年のこのフェスの始まりを告げるのは、去年はFOREST STAGEのトリだったBIGMAMA。
60秒前のカウントダウンが0になると、SEが流れてメンバー5人がステージへ。リアドはサングラスをかけ、金井も実に夏の野外っぽい白いTシャツを着た爽やかな出で立ちで、東出のヴァイオリンのイントロによる「走れエロス」(フェスで聴くのは久々)からスタートするのだが、東出は音の調子が良くないのか、本来弾くべきパートを弾かずにスタッフを呼んだりするなど、サウンド面に関しては本調子とは言えない様子。ちなみにこの東出、開場直後に客席エリアをウロウロしていたのだが、声をかけてきたファンに、
「自分が出るMt.FUJI STAGEの場所がどこかわからない」
と言ってファンに場所を聞くという天然っぷりを発揮していた。彼女がその前に向かおうとしていたのは位置が間逆のFOREST STAGEだったが、去年出た時のことはもう覚えていないんだろうか。
続く「秘密」ではラストサビ前で金井が口に人差し指を当てて「シークレット シークレット」という様が完全に女子をノックアウトすると、堰を切ったようにダイバーが続出。この序盤の2曲では久しぶりにダイバーが飛びまくるBIGMAMAのライブを見れたのだが、本来このバンドはこういう景色を作ってきたバンドなんだよなぁということを改めて思い出させてくれる。
勇壮なコーラスが響く「ファビュラ・フィビュラ」では満員の観客がタオルを掲げ、「荒狂曲”シンセカイ”」で再び暴れて楽しむ空間を作ると、「BLINKSTONEの真実を」では金井が
「両手を上に!」
を
「両手を腕に!」
と言い間違えるという天然ぶりを発揮。東出とともに天然ばっかりのメンバーである。
「このフェスの3日間で最も相応しい曲を!」
という「Sweet Dreams」で大きな合唱を巻き起こすのだが、最後の金井、東出、柿沼のボーカルのスイッチがこの曲のドラマチックさを際立たせており、たくさんの人がいるフェスの場に相応しい曲になっている。
そしてラストはダンスミュージックの要素を取り入れた「MUTOPIA」で幸福のダンスフロアを生み出し、
「10月の日本武道館で会えることを願っております」
と初の日本武道館ワンマンの告知をして、2年目のラブシャのステージを後にした。
タイミング的にはアルバム「Fabula Fibula」のリリースツアーのファイナルであり、ベスト盤リリースツアーの直後でもある武道館。それだけに最新と集大成の両側を見せてくれるものになるのだろうか。まだチケット取れそうなんだな、という感じでもあるが。
1.走れエロス
2.秘密
3.ファビュラ・フィビュラ
4.荒狂曲”シンセカイ”
5.BLINKSTONEの真実を
6.Sweet Dreams
7.MUTOPIA
BLINKSTONEの真実を
https://youtu.be/BhKIfc6KxcY
11:10~ BLUE ENCOUNT [LAKESIDE STAGE]
04 Limited Sazabys、THE ORAL CIGARETTESとともにONAKAMAを形成するBLUE ENCOUNT。今年はその3組の中で唯一にして、3年連続にして念願のLAKESIDE STAGE進出である。
アッパーなSEに合わせて、やはり元気一杯な4人がステージに登場すると、ドラマ主題歌としてこのバンドの存在を一躍お茶の間に知らしめた「LAST HERO」からスタートし、「ルーキー ルーキー」と序盤から飛ばしまくる。江口のタッピングギターも冴え渡っているが、このバンドがラウドバンドやパンクバンドとも渡り合える最大の要因である辻村と高村のリズム隊もライブを重ねてさらに進化し、このメインステージのキャパに相応しい力強さを感じさせる。
「すげえ人だな!もう人と気球しかないな!(笑)」
と客席の後方に浮く気球が目に入るのか、田邊はやたらと気球をいじりまくりながら、「JUMP」ではタイトル通りにサビ前でイメージと客席のノリにギャップがあったのかいったん演奏をストップさせてから観客を一斉に大ジャンプさせ、「Survivor」「DAY × DAY」ではキャッチーでありながらも重いバンドのサウンドを響かせる。
「雨が多いフェスだけど、俺たちが出てる日は毎年晴れてます!だから3年連続で呼ばれてます!(笑)」
と自身の晴れバンドっぷりをアピールし(確かに過去の2年の出演もこのバンドの出演日は晴れていた)、
「もう次の曲を聴いたら他のステージ移動してもいいから!クソが!でも移動したら絶対後悔するようなライブやってやるからな!」
と田邊が意を決してから演奏したのはやはり「もっと光を」。もはや田邊がサビを歌わなくても歌が響くくらいの大合唱っぷり。フェスに出まくっているバンドであるが、もはやフェスの一大アンセムと言ってもいい曲だろう。
そしてラストは田邊が
「みんなタオル出してくれ!」
と言ったので「LIVER」で締めか、と思ったら「SUMMER DIVE」だった。青空の下でタオルがグルグルと回るのを見ながら、ああ今は紛れもなく夏なんだ、と実感した。
田邊が言っていた通り、ただこのステージに出たんじゃなくて、しっかり満員にすることができた。これは紛れもなくバンドのこれまでの活動一つ一つによるもの。このバンドの代名詞でもあった長々とした泣ける熱いMCはほとんどなくなったが、このバンドはしっかり音楽だけでここまでたくさんの人たちを連れて来れる存在になった。
1.LAST HERO
2.ルーキー ルーキー
3.JUMP
4.Survivor
5.DAY × DAY
6.もっと光を
7.SUMMER DIVE
もっと光を
https://youtu.be/soIveYMAZwM
11:45~ BRADIO [FOREST STAGE]
近年はあらゆるフェスに出るようになり、独特の出で立ちのインパクトとサウンドから存在感を増しているBRADIO。このフェスにもついに初登場である。
サポートキーボードを加えた5人編成で登場すると、冒頭の「Revolution」からファンキーなグルーヴと真行寺のソウルフルなボーカルを轟かせ、ファンクとダンスロックの融合とも言うべき「Flayers」では真行寺が綺麗なファルセットボーカルを披露。
合間に観客とこのフェス、そして何よりも音楽への最大限の感謝を告げるのが実にこのバンドらしいのだが、30分という短い時間の中であっても、盛り上がるような曲だけではなく毎回ミドル~バラードというような曲を入れてくるという攻め方は凄い。もちろんそれは真行寺のボーカルの力があるからこそできることであるが、自他共に認めるパーティーバンドがこうしてじっくり聴き入るような曲をやることはなかなかできないし、若手バンドのフェスのライブでこのタイプの曲はなかなか聴けない。その辺りの度胸も素晴らしいバンドだ。
一転してサビでの振り付けが楽しい「スパイシーマドンナ」で再びパーティーモードに切り替わると、パーティーの終着駅はこの日も「Back to the Funk」。真行寺が振り付けをレクチャーしながら曲を演奏するのだが、これだけたくさんの人が綺麗に揃った振り付け(多分若手バンドの振り付けやダンスの中では結構難しい部類に入るはず)をしている様は実に壮観である。
バンドの演奏が止まる中で真行寺が最後のフレーズを歌い切るとそのままマイクを置いてメンバーはステージを去っていくが、これだけバンドでキメを打ったりせずにある意味ではあっさり終わるというバンドもこのバンドくらいじゃないだろうか。
やはりパンク・ラウド系のバンドが多いだけに非常に異色感が強かったのは否めないが、逆にそのラインアップの中に入っても、もっと大きなステージでたくさんの人の前で演奏している姿が想像できるというのは凄いことだ。実際、メンバー自身もこうしたフェスの中で小さいステージに甘んじているつもりは全くないだろう。ブラックミュージックの要素が強いバンドも増えてきているが、ここまで濃いバンドはそうそういないために、このバンドがもっと大きくなったら絶対面白くなるはず。
1.Revolution
2.Flayers
3.Overnight Superstar
4.スパイシーマドンナ
5.Back to the Funk
Revolution
https://youtu.be/tfikMP2nUB0
12:45~ SiM [LAKESIDE STAGE]
5年連続出演にして、すっかりラウド系バンドのボス的な立ち位置になったSiM。3年連続でこのメインであるLAKESIDE STAGEに登場である。
「coldrainです!」
とMAHがいきなり嘘でしかない挨拶をすると、「Blah Blah Blah」で歌わせ踊らせ暴れさせ、不穏な電子音が響く「GUNSHOTS」では観客が一斉にモンキーダンス。
ストレートなラウドサウンドの「MAKE ME DEAD!」ではSHOW-HATEとSINがステージ狭しと暴れまくりながら演奏するのだが、あれだけ激しいアクションをしながらしっかり曲の強度をキープできているあたりはさすがにラウドロックをここまで引き上げた張本人たちである。
「昨今、いろんなフェスでモッシュやダイブが禁止になったりしております!まぁ、モッシュもダイブも怪我する可能性あるからね…でもかけっこはどうなんだろう?(笑)
避難訓練の時の「おかし」ってあったの覚えてる?「おれたち かけっこ したいんです」でしょ!?今年もあのPAテントの周りをグルグル走れー!」
とMAHが煽ると、FOREST STAGEに初出演した時からやっている、「Faster Than The Clock」でのPAテントの周りを何千人もの人たちが走る超巨大サークルが出現。自分も初出演した時のこの景色を見て、このバンドの凄さを思い知らされただけに、こうして毎年この景色が見れるのは感慨深いものがある。
「3日間このフェス開催されますけど、その出演者の中に嘘つきが絶対います!よく「後ろまでよく見えてる」って言う人がいますけど、お前らなんか見えるわけがない!(笑)
だからこそ、声を出してその存在を示せ!」
と大きな声でコーラスするしかないような気分にさせる「Crows」で大合唱を起こすと、「Amy」「KiLLiNG ME」とキラーチューンを畳み掛けまくってくるのだが、ラストの「f.a.i.t.h」でいつものようにウォールオブデスの幅を開けさせるも、
「時間がないからいつもの倍のテンポで!」
と言い、本当に演奏もボーカルも超高速アレンジに。
しかしながらその超高速を持ってしてもチラチラと腕時計を見ていたMAHがついに曲途中で演奏を止めさせ、
「時間が足りなかった~!もうちょっと時間が、アンコールをやる時間さえあれば…!来年はアンコールができる時間に出て、この続きをやってみせる!」
とトリでの出演を宣言して帰っていくという、ある意味衝撃的な締め。しかしこのステージもMAHが「LAKESIDEに出たい」と2年目にMt.FUJIで言ったのを自らの手で叶えた結果であるだけに、来年は本当にトリとして出てきそうな気しかしない。
1.Blah Blah Blah
2.GUNSHOTS
3.MAKE ME DEAD!
4.Faster Than The Clock
5.Crows
6.Amy
7.KiLLiNG ME
8.f.a.i.t.h
KiLLiNG ME
https://youtu.be/vyUMYYc8lxU
13:35~ アルカラ [Mt.FUJI STAGE]
なぜか稲村がカタコトの外国人キャラになってリハから曲を連発していた、アルカラ。15周年イヤーの今年、かつてメインステージに立つくらいにレギュラーだったこのフェスに2年ぶりに帰還。
リハが終わってもステージに居座り続けて稲村が喋りまくり、告知をしようとした瞬間にジングルが鳴ってライブがスタートするというオープニングで早くも笑わせると、リリースされたばかりの最新アルバム「KAGEKI」の1曲目であり、ちょうど1000年後のことを歌った轟音ロック「3017」からスタート。
代表曲も交えながらだが、稲村が
「15年を迎えて「KAGEKI」っていうアルバムを出しました。今日はフェスですけど、リリースライブのつもりでやります」
と宣言し、これぞアルカラというような情報量の多い、轟音で埋め尽くされた「さすらい」からは「KAGEKI」の曲が続く。
世の中への皮肉的な歌詞とも取れる「さ・あ・な」、ライブでやるのは初めてという「コンピュータおじさん」と轟音とシュールのコントラストで、「KAGEKI」を聴けば今のアルカラの持ち味がしっかりわかるということを示す。長髪ギタリストの田原の前にもマイクスタンドが置かれて、下上と疋田とともにコーラスを務めるというのもなかなか新鮮である。
「アリーナ!芝生ステージ!シャドーステージ!(客席の一部だけにある木の下の日陰のこと)」
と独特の視点で煽りながら
「2年前もあの正面の山は禿げ上がってた(笑)
昨日、先乗りして会場の対岸あたりでメンバーみんなでBBQをしてたんだけど、店員が「いらっしゃいませ」以外の言葉を全く発しなかった(笑)
その時に夜空を見上げたらすごく綺麗で。今日この曲をやりたいと思った。夜空じゃないけど(笑)」
と言ってアコギに持ち替えてほぼ弾き語り(稲村以外の3人が微動だにしないのがまた面白い)のような形で演奏されたのは「銀河と斜塔」。まさかこのタイプの曲をフェスでやるとは、という感じだが、確かにこの曲はこの会場の夜の景色にぴったりなように感じる。
そしてラストに「やいやいゆいな」で再び熱狂の渦に叩き込み、慣れ親しんだこのフェスへの帰還を最新の形を見せるという内容で果たしてみせた。
ライブで聴くと改めて「KAGEKI」は本当にかっこいいアルバムだと思うし、15年経ってバンドはさらに鋭さを増していることがよくわかる。
そして稲村はMC部分で、
「BBQをしている時に対岸のこの会場で照明が点いたり消えたりしてて。スタッフが遅い時間まで準備してこの最高な会場を作ってくれてる。そんなスペシャのスタッフに大きな拍手を」
と言ってスタッフへ感謝を告げた。自身が神戸で開催しているサーキットフェス「NEKOフェス」はスペシャと共同で開催しているだけに、バンドのことを支えてくれてる人たちがこのフェスにたくさんいるのだろう。こういうところもまたこのバンドが愛される理由。
リハ.キャッチーを科学する
リハ.サイケデリンジャー
1.3017
2.半径30cmの中を知らない
3.アブノーマルが足りない
4.さすらい
5.さ・あ・な
6.コンピュータおじさん
7.銀河と斜塔
8.やいやいゆいな
Live SWEET LOVE SHOWER 2017
https://youtu.be/RxcnZZOCYqA
14:20~ WANIMA [LAKESIDE STAGE]
3年連続出演にして、今年はついにLAKESIDE STAGEに進出を果たした、WANIMA。(今思うと最初にFOREST STAGEに出ていたのが信じられない)
「JUICE UP!!のテーマ」が賑々しく流れ始めると会場の空気は一変し、待ちきれないといった空気の中で元気いっぱいの3人がステージへ。特にKO-SHINは最初からマイクに向かって叫ぶという、喋らないキャラを覆すかのようなテンションの高さを見せる。
「日本で1番、ラブシャとみんなが好きー!WANIMA!」
とKENTAが言うと、
「開催しまーす!」
を満員の観客が完璧に揃って叫ぶ。曲ではなくこのやり取りはライブを見たことがないとわからないだけに、ここにいる人のほとんどがこのバンドのライブをすでに見たことがあるという浸透度の高さには改めて驚かざるを得ない。
「ともに」でスタートすると、もう最初から飛び跳ねまくりと大合唱。というかもはやどの曲を演奏しても大合唱が発生するという恐ろしさすら感じる状態。ワンマンではなくてフェスだというのに。
KENTA「東京都在住、熊本県出身、谷間でーす!」
FUJI「飛び込みたいー!」
というおなじみのやり取りや、編み込みまで使って髪がさらに派手になったKENTAが自身の髪を自虐的にいじったりしながら、「Hey Lady」ではイントロにKENTAが歌い上げるボーカルを追加し、さらなる大合唱を煽っていく。
観客とスタッフへの感謝を告げた「THANX」、ここにいる全ての人の背中を押すような「CHARM」とストレートな曲が続くと、
「最後にもう1曲だけ!」
と言って演奏されたのはWANIMAの持ち味の一つであるエロさを強く打ち出した「いいから」。このタイプの曲も完璧に受け入れられているというのがこのバンドの全方位的な隙の無さを感じさせた。
3年連続出演、ということはフェスに出始めてまだ3年しか経ってない。しかしWANIMAは今や他のどの出演者よりも多くの人を集めるバンドになり、他のどの出演者よりも大合唱を響かせるバンドになった。もうフェスのメインステージですらこのバンドには小さく感じてしまう。間違いなく、このバンドはロックシーンを大きく(しかも無自覚なうちに)変えたし、それはきっとこれからさらに続いていく。
1.ともに
2.オドルヨル
3.Hey Lady
4.THANX
5.CHARM
6.いいから
CHARM
https://youtu.be/Ir3EFQg4H7I
15:10~ 04 Limited Sazabys [Mt.FUJI STAGE]
去年はLAKESIDE STAGEのトップバッターだったフォーリミ。今年はMt.FUJI STAGEの真ん中あたり、ちょうどブルエンとオーラルの間というONAKAMAの中間位置での出演である。
おなじみのSEで4人が登場すると、いきなりRYU-TAが観客にコール&レスポンスを求める「Chicken Race」からスタートするという、先日のロッキンとも、「swim」「monolith」「climb」を連発して、頭3曲飛ばし過ぎ問題とも言われた去年とも全く違う展開。
というのもドキュメンタリーDVDなどでもおなじみだが、このバンドは曲作り合宿をいつもこの山中湖で行っているだけに、GENいわく「産地直送」「地産地消」というスタイルで、「Drops」などこの地で生み出された曲を多く演奏するという姿勢だったのだろう。
今日は仲間でもありライバルでもあるバンドたちがたくさん出演しているという、自身がフェスを主催してバンドシーンを盛り上げていこうという志を持ったバンドとしての立場を感じさせるMCの後の「fiction」ではステージ前方から煙が吹き上がるという特効も使いつつ、「mahoroba」「me?」というパンクなイメージとは違う、このバンドの引き出しの多さを感じさせる曲を続けるのだが、「mahoroba」がCDや「eureka」のツアーで聴いた時よりもはるかにライブ感が強く進化していることに驚き。さすが日々ライブをやって生きてきているバンドである。
リリースが目前に迫った新曲「Squall」のエモーショナルかつストレートなサウンドが夏が終わりに近づいてきている切なさを喚起させると、最後はやはり「swim」かと思いきや、GENが持ち前のハイトーンボイスを響かせたのは「Buster Call」。そのGENのボーカルに合わせて客席最前ブロックではリフトをする人がたくさん出現したのだが、それを見たGENは
「それじゃ人が人の上に乗ってるだけ。そういうのが見たいんじゃないんだよ。もっと本気のやつが見たいんだよ。ダイブしたいんなら自分で上がって来いよ」
と言い、リフトを降ろさせた。その前からGENは
「集団で万引きする、みたいなんじゃなくて、気づいたら刃物を持って暴れてた、みたいなやつが見たい」
と、リフトを遠回しにやめさせようとすることを言っていた。KOUHEIも
「それじゃあ始められないよ」
と言って演奏を止めただけに、これはGENだけではなくバンド全員の意志によるものだったのだろうが、かつてブレイク前にCOUNTDOWN JAPAN 14/15ではGENが
「僕たちのライブは我慢できるくらいの衝撃しか与えられてないんですかねぇ!?」
と言ってダイブ禁止のフェスで直接的に煽ることなくダイブを起こしていたが、あれから3年近く経って、フォーリミの立ち位置や状況は大きく変わった。ただただ自分たちが好き勝手にやりたい放題することはできないくらいに責任が芽生えてきているし、おそらく自分たちのファンが悪く言われているところもたくさん目にしたり耳にしたりしてきただろう。
実際、
「フォーリミのライブはリフトが多過ぎて後ろにいる人が全然ステージが見えないから面白くない」
と言われたこともあった。
ただパンクシーンにとどまって小さいライブハウスでライブをするのが満足ならこんなことをフェスで口にしなくていいはず。でもこのバンドは今よりももっと大きな場所に、もっとたくさんの人たちと一緒に行こうとしている。だから敢えて言葉にした。見た目はまだまだ幼さが残るキッズのようだが、本当に男らしいバンドだと思うし、まだまだ向き合ってない人たちにもちゃんとこのバンドの音楽が届いて欲しいと思った。
1.Chicken Race
2.Warp
3.Drops
4.monolith
5.fiction
6.mahoroba
7.me?
8.Squall
9.Buster Call
Squall
https://youtu.be/-kB2K_4odA0
その後、飲食エリアで遠くからスカパラを聴いていたら、
「久しぶりにやる曲!」
と言って「Diamond In Your Heart」で細美武士が登場。直後にMONOEYESが隣のステージに出るというタイミングであり、スコットはセッティングもしていただけにまさかのコラボ。ライジングサンでもかつて見ていたが、これは本当にラッキーだった。
17:10~ MONOEYES [Mt.FUJI STAGE]
おなじみのスターウォーズのテーマでメンバーが登場した、MONOEYES。細美武士がボーカルの「When I Was A King」、スコットがボーカルの「Borders&Walls」と序盤からパンクな曲を連発すると、
「このステージ初めてだけど、めちゃくちゃ気持ちいいな!」
と去年のLAKESIDE STAGE(the HIATUSで出た時も毎回LAKESIDE)ではなく、このMt.FUJI STAGEに初めて立った感触を語り、
「このフェスは雨が降ることも多いから、俺たちとかはそういうイメージなんだけど、今日がこんなに晴れてたら、今日初めて来たヘイスミとかは全然違う印象を持つと思う」
と、何度もこのフェスに出てきたからこそのこのフェスのイメージに触れ(何回も来ている観客も細美と同じイメージだと思う)、新作「Dim The Lights」からの「Free Throw」を披露。
タイトル通りに疾走感溢れる「Run Run」から、ファーストから「Dim The Lights」への進化の中間地点とも言える「Get Up」と続くと、
「今日はこの後に車で大阪まで行かなくちゃいけないから、酒を一滴も飲んでない(笑)
ライブで酒飲まないのって5年ぶりくらいなんだけど、すごい視界がクリア(笑)」
というこの日の状態の良さをアピールし、新作からの「Two Little Fishes」へ。新作は夏が非常によく似合うアルバムだと思うし、とりわけこの曲は夏の野外が1番似合うシチュエーションの曲だと思っているのだが、この曲がステージで鳴らされていて、そのステージの後ろには夕焼けに染まる富士山と山中湖。ツアーはまだまだ続いているが、こんなに最高のシチュエーションでこの曲が聴けることはもうないかもしれない。
そしてラストはやはり「グラニート」。
「そういう世界があるなら行ってみたいと思った」
その歌詞からイメージした世界は間違いなくこの日のこの場所だった。去年のロッキンのLAKEのトリも素晴らしかったが、それとはまた違う素晴らしさ。それはやはりこの日のライブが「Dim The Lights」を踏まえたライブであったから。
リハ.明日公園で
1.When I Was A King
2.Borders&Walls
3.My Instant Song
4.Free Throw
5.Run Run
6.Get Up
7.Two Little Fishes
8.グラニート
Two Little Fishes
https://youtu.be/iDTc2lP-Tbw
17:55~ マキシマム ザ ホルモン [LAKESIDE STAGE]
封印から解き放たれたマキシマム ザ ホルモン、今年は休止期間中の鬱憤を晴らすかのように各地のフェスに出まくり、その場を荒らしまくっているが、久しぶりにこのフェスにも出演。スペシャはナヲとダイスケはんが司会を務めるMONSTER ROCKをやっているだけあって、ホームと呼べる場所であり、開演前から凄まじい数の人が待ち構えている。
4人がステージに登場すると、いきなりの「恋のメガラバ」で踊らせまくるのだが、砂埃が凄まじいことになっているのはさすがホルモンというところだが、マキシマム ザ 亮君とダイスケはんだけならずナヲもボーカルを取る「シミ」では休止期間にライブはやらずとも練習を重ねていたのか、さらに音が重く進化しているのもさすがである。
しかしながらやはり曲が一区切りついてMCに入ると暴走してしまうのもまたホルモン、久しぶりの出演で観客の多さと盛り上がりぶりに驚きつつ、
「我々このフェス25年ぶりの出演でございます(笑) 25年前はアイアン・メイデンと2マンのSWEET LOVE SHOWERでした(笑)
今日は平日だから会社をズル休みしたやつもいるだろうけど、その人たちの今日の日当は全てスペシャが負担します!」
と言いたい放題で、さらにナヲはなぜかいすゞのトラックのCM曲まで熱唱。ダイスケはんも「名曲」と認めるこの曲、どの辺りが名曲かと言うと、「いすゞのトラック~」と宣伝フレーズで終わるかと思いきやその後にさらに「どこまでも~」というフレーズが続くところだそう。
亮君がブルーハーツの「月の爆撃機」のフレーズを歌ってから突入する「鬱くしき人々のうた」は「MONSTER ROCK」の番組内で使われている楽曲だからという選曲だろうか、さらにおなじみのイントロで頭を振りまくる「ロッキンポ殺し」と、この日はある程度、久しぶりに見るファンが聴きたい曲を多く演奏していた印象。バンドのホームページではフェスで聴きたい曲を募っていたりしたが、その影響もあるのだろうか。
SiMの「Faster Than The Clock」並みにPAテントの周りを何千人もの人に走らせる「メス豚のケツにビンタ(キックも)」はテンポが非常に速いためにSiMよりもさらに過酷なかけっことなり、ライブが終わるのが寂しいのか、なぜかベースの上ちゃんの生い立ちを語ったりと、とめどなくダイスケはんとナヲのトークが展開しまくり、亮君にすら「長い!」とツッコミを入れられてから、急いで「恋のおまじない」を全員参加でやらせ、最後に演奏されたのはダイスケはんが踊りまくる、もはやフェスの締め(MVのフェスでの盛り上がり方講座も含め)として定番になった感のある「恋のスペルマ」で、久しぶりのこのフェスでホルモンのライブの破壊力を存分に示した。
ちなみに今年の夏フェスで全て時間が押していると言っていたが、この日も完全に押していました。
1.恋のメガラバ
2.シミ
3.鬱くしきOP ~月の爆撃機~
4.鬱くしき人々のうた
5.ロッキンポ殺し
6.メス豚のケツにビンタ(キックも)
7.恋のスペルマ
恋のスペルマ
https://youtu.be/Nw8624J0s5Y
18:30~ THE BAWDIES [FOREST STAGE]
9年連続出演にして、このフェスの最多出演記録を持つ、このフェスの象徴と言えるバンド、THE BAWDIES。かつてはメインステージのトリを務めたこともあるが、今年はFOREST STAGEの初日のトリというスロットでの登場。去年もキュウソネコカミが前年のLAKESIDE STAGEから一転して何故かFOREST STAGEに出ていたが、これはキャパが落ちたからという理由ではないだろう。(ステージは小さくてもトリの方が持ち時間が長いというのもあるし)
おなじみの「ダンス天国」のSEで夏らしい爽やかな白いスーツを身に纏ったメンバーが登場すると、ガレージロック炸裂ナンバー「THE EDGE」でまさにエッジの立ちまくったバンドサウンドとROYのボーカルが響くのだが、1番驚いたのはロッキンの時にはツアーで足を負傷した影響で椅子に座ってギターを弾いていたJIMがなんの予告もなく、今まで通りに立って笑顔でギターを弾いていることである。
これはメンバーたちにも突っ込まれていたが、予想以上に速い回復ぶりだったようで、ステージを軽やかに動き回りながら弾く姿は完全復活と言っていいだろう。
「IT'S TOO LATE」「YOU GOTTA DANCE」という曲で地面が揺れているのがわかるくらいに観客を飛び跳ねさせて揺らしまくると、今回のタームでおなじみのメドレーでお得な感じにさせ、恒例の小芝居ではTAXMANのパンとJIMのソーセージが入れ替わっているという「君の名は。」バージョンでの「HOT DOG」で凄まじい盛り上がりぶりを生み出してみせる。
するとここでROYがあらかじめ告知をしていた、東名阪の対バンツアーのゲストを紹介。
大阪:マキシマム ザ ホルモン
名古屋:SiM
東京:9mm Parabellum Bullet,ドレスコーズ with B
というまさにモンスター級の対バンだが、気になるドレスコーズ with BのBはTHE BAWDIES自身のことであり、志磨遼平のバックバンドをTHE BAWDIESが務め、ドレスコーズや毛皮のマリーズの曲をやることまで宣告。これは間違いなく見逃せないライブになるはず。
そして「SING YOUR SONG」では観客の大合唱を巻き起こすのだが、9年連続出演ということで、最初の9倍の声を求めてさらなる大合唱となり、
「まだ時間ありますか!?やっていいですか!?」
とアンコール代わりに「KEEP ON ROCKIN'」を演奏し、夜のこの森の中を観客の手拍子だけが響くという忘れられない光景を作り上げ、演奏が終わると恒例の大将ことTAXMANの「わっしょい」(例年の「SWEET LOVE SHOWERっしょい」ではなかったけど)も行なわれるという全部乗せっぷりで、9年目の出演をやり遂げてみせた。
9年も出ているとバンドの状況や立ち位置は変わる。もう登りつめるところまで行ったし、今では後輩バンドが続々とその位置まで達しようとしている。しかしながらロッキンも含めてこの夏で感じたのは、THE BAWDIESのライブの底力。なかなかフェスでのキラーチューンが更新されていかないというもどかしさもファンからすればないことはないが、やはりこのバンドはロックンロールを選び、ロックンロールに選ばれたバンドである。だからこれからもこうした大きなフェスでロックンロールを鳴らし続けていて欲しい。それができるロックンロールバンドはやはりこのバンドだけなのだから。
1.THE EDGE
2.IT'S TOO LATE
3.YOU GOTTA DANCE
4.メドレー
JUST BE COOL ~ KEEP YOU HAPPY ~ ROCK ME BABY ~ JUST BE COOL
5.HOT DOG
6.SING YOUR SONG
7.KEEP ON ROCKIN'
THE EDGE
https://youtu.be/ez_0OtpiRYI
19:35~ エレファントカシマシ [LAKESIDE STAGE]
今年でデビュー30周年のエレファントカシマシ。これまでにも何度か務めたこのステージのトリとして今年も出演。
サポートのヒラマミキオ(ギター)と村山潤(キーボード)を含めた6人編成で登場すると、「悲しみの果て」でスタートし、アニバーサリーイヤーらしいヒット曲の連発でこのフェスの初日を締めにかかる。ロッキンでは何度もやり直すという不発になってしまった(あれはあれでめちゃくちゃ面白かったけど)「デーデ」もこの日はなんのトラブルもなくしっかり演奏されて一安心。
しかしながらロッキンよりも持ち時間が短いというのもあってか、宮本の面白MCはやや控えめ、それでも最新シングル「風と共に」ではかつて10歳の時にNHKの合唱団で歌って宮本がレコードデビューを果たした「初めての僕デス」のエピソードとともに、ちょっとだけ曲を口ずさんだりする。曲自体は間違いなく誰も知らないけれど。
「今聴いても当時の自分の歌の上手さと曲の良さにビックリする」
という宮本節炸裂のMCで上がったハードルを軽く飛び越える「風に吹かれて」の名曲っぷりから、「RAINBOW」「ガストロンジャー」では獰猛なバンドサウンドが30年を迎えても全く衰えることなく、むしろさらに進化を果たしていることを実感させてくれるという圧巻ぶりを見せる。石森も帽子とサングラスを落として長髪を振り乱しながらギターを弾くという気持ちの入りっぷり。
「友達がいるのさ」で再びメロディの良さと宮本のボーカルの素晴らしさを実感させると、ラストは「ファイティングマン」で
「良い顔してるぜエブリバディー!暗くてよく見えないけど!(笑)」
と観客を讃え、すぐさま出てきたアンコールでは銀テープが放たれる中、
「さぁ頑張ろうぜ」
というフレーズがファンの背中と、バンドの新たな黄金期を支えてきた「俺たちの明日」で初日をしっかりと締めくくった。
30年。近年は宮本や富永が療養で間隔が開くこともあったが、メンバーが全く変わらず、様々な浮き沈みを経験してもずっとバンドは続いてきて、今でもこんなに大きなフェスの大きなステージでトリができるくらいに最前線で戦い続けていられている。
この日は今まさに階段を駆け上がっている若手バンドがたくさん出演していたが、そのバンドたちがこれからずっとバンドを続けていくために必要なものがエレカシのライブにはある。そして大ベテランと言えるような立場になっても呼ばれたフェスやイベントには必ず出て、至るところでライブをすることによって、その背中を若手に見せてくれている。だからこそライブを見れば必ず感じることがある。ただライブが素晴らしいというだけでなく、そうした生きた教科書になっているという点でも、このバンドはもう国宝に認定した方がいいレベルだと思う。
1.悲しみの果て
2.今宵の月のように
3.デーデ
4.風と共に
5.風に吹かれて
6.RAINBOW
7.ガストロンジャー
8.友達がいるのさ
9.ファイティングマン
encore
10.俺たちの明日
Live SWEET LOVE SHOWER 2017
https://youtu.be/l_nguaCVlPY
終了後、場内にはOasisの「Don't Look Back In Anger」が終演BGMとして流れた。「ビートルズの「All You Need Is Love」じゃなかったっけ?」と思いながら翌日に備えて宿に向かったが、どうやら去年も初日はこの曲だったみたいだ。
結果的にこの日は3日間で天気が最も良く、常に富士山がその姿を見せていた。それは忙しなくステージ移動するフェスで思わず立ち止まって見惚れてしまうくらいに美しかった。やはりこのフェスの晴れた日は他のどこよりも美しい景色を見ることができる。だからこうして毎年ここに来るんだ。
Next→ 8/26 SWEET LOVE SHOWER day2 @山中湖交流プラザきらら


今年も
LAKESIDE STAGE
Mt.FUJI STAGE
FOREST STAGE
WATER FRONT STAGE
の4ステージ構成で、メインステージであるLAKESIDE STAGEは被りなし、他のステージは多少の時間被りはあるものの、見ようと思えば全てのアクトを見ることができるというタイムテーブルは健在である。
初日のこの日は朝から涼しくも晴れ間が多く、会場内の至る場所から富士山の姿を確認することができる、というのは昨年の初日を彷彿とさせる。
会場内には去年FOREST STAGEエリアにあった、雨を防げるビュッフェがなくなり(高かったから?)、代わりにクライミングブースができていたり、去年までスペシャキッチンがあった場所がワークショップブースになっていたりというエリアの見直しが行われている。
平日にもかかわらずチケットがソールドアウトしているこの日は、TRIPLE AXEの3組とONAKAMA3組、さらにWANIMAやNAMBA69など、パンク・ラウド系バンド大集結という日になった。
9:55~ Saucy Dog [FOREST STAGE] (Opening Act)
スペシャが音楽雑誌MUSICAと共同で行っているオーディション、MASH A&Rの優勝バンドである、男女混合スリーピースバンド、Saucy Dog。THE ORAL CIGARETTESやLAMP IN TERREN、パノラマパナマタウンという過去の優勝バンドたち同様にこのフェスに初出演である。
シンプルなスリーピースのギターロックという点では先輩のLAMP IN TERRENも彷彿とさせるが、CDで聴いた時のイメージよりもバンドの演奏も石原慎也のハイトーンなボーカルもエモーションに感じられるあたりはライブならではの強みや力をしっかり持っているバンドだと思うが、そこに少し柔らかさのようなものを感じるのは、やはりドラムが女性のせとゆいかであり、コーラスも彼女が務めているからだろうか。
短い時間の中に自分たちの魅力を目一杯詰め込もうというライブであり、観客も時には腕を上げたり手拍子をしたりしながらバンドの鳴らす繊細な世界観にじっと聴き入るという感じ。
「来年は本編に食い込めるように頑張ります」
と石原は言っていたが、このバンドはオーラルやパノラマパナマタウンのようなわかりやすい個性はない。それだけに勝負になるのはやはりメロディと歌詞をどこまで研ぎ澄ませられるかというところにかかっているわけだが、どれも良い曲ではあるのだが、まだこれぞ!という曲がないようにも感じる。それが出てきた時、オーラルのようにこのフェスのオープニングアクトから一気に飛躍したバンドになれると思う。
1.煙
2.ロケット
3.ナイトクロージング
4.グッバイ
5.いつか
いつか
https://youtu.be/agQ23NdBROY
10:25~ BIGMAMA [Mt.FUJI STAGE]
オープニングアクトを除く初日のトップバッター、つまり今年のこのフェスの始まりを告げるのは、去年はFOREST STAGEのトリだったBIGMAMA。
60秒前のカウントダウンが0になると、SEが流れてメンバー5人がステージへ。リアドはサングラスをかけ、金井も実に夏の野外っぽい白いTシャツを着た爽やかな出で立ちで、東出のヴァイオリンのイントロによる「走れエロス」(フェスで聴くのは久々)からスタートするのだが、東出は音の調子が良くないのか、本来弾くべきパートを弾かずにスタッフを呼んだりするなど、サウンド面に関しては本調子とは言えない様子。ちなみにこの東出、開場直後に客席エリアをウロウロしていたのだが、声をかけてきたファンに、
「自分が出るMt.FUJI STAGEの場所がどこかわからない」
と言ってファンに場所を聞くという天然っぷりを発揮していた。彼女がその前に向かおうとしていたのは位置が間逆のFOREST STAGEだったが、去年出た時のことはもう覚えていないんだろうか。
続く「秘密」ではラストサビ前で金井が口に人差し指を当てて「シークレット シークレット」という様が完全に女子をノックアウトすると、堰を切ったようにダイバーが続出。この序盤の2曲では久しぶりにダイバーが飛びまくるBIGMAMAのライブを見れたのだが、本来このバンドはこういう景色を作ってきたバンドなんだよなぁということを改めて思い出させてくれる。
勇壮なコーラスが響く「ファビュラ・フィビュラ」では満員の観客がタオルを掲げ、「荒狂曲”シンセカイ”」で再び暴れて楽しむ空間を作ると、「BLINKSTONEの真実を」では金井が
「両手を上に!」
を
「両手を腕に!」
と言い間違えるという天然ぶりを発揮。東出とともに天然ばっかりのメンバーである。
「このフェスの3日間で最も相応しい曲を!」
という「Sweet Dreams」で大きな合唱を巻き起こすのだが、最後の金井、東出、柿沼のボーカルのスイッチがこの曲のドラマチックさを際立たせており、たくさんの人がいるフェスの場に相応しい曲になっている。
そしてラストはダンスミュージックの要素を取り入れた「MUTOPIA」で幸福のダンスフロアを生み出し、
「10月の日本武道館で会えることを願っております」
と初の日本武道館ワンマンの告知をして、2年目のラブシャのステージを後にした。
タイミング的にはアルバム「Fabula Fibula」のリリースツアーのファイナルであり、ベスト盤リリースツアーの直後でもある武道館。それだけに最新と集大成の両側を見せてくれるものになるのだろうか。まだチケット取れそうなんだな、という感じでもあるが。
1.走れエロス
2.秘密
3.ファビュラ・フィビュラ
4.荒狂曲”シンセカイ”
5.BLINKSTONEの真実を
6.Sweet Dreams
7.MUTOPIA
BLINKSTONEの真実を
https://youtu.be/BhKIfc6KxcY
11:10~ BLUE ENCOUNT [LAKESIDE STAGE]
04 Limited Sazabys、THE ORAL CIGARETTESとともにONAKAMAを形成するBLUE ENCOUNT。今年はその3組の中で唯一にして、3年連続にして念願のLAKESIDE STAGE進出である。
アッパーなSEに合わせて、やはり元気一杯な4人がステージに登場すると、ドラマ主題歌としてこのバンドの存在を一躍お茶の間に知らしめた「LAST HERO」からスタートし、「ルーキー ルーキー」と序盤から飛ばしまくる。江口のタッピングギターも冴え渡っているが、このバンドがラウドバンドやパンクバンドとも渡り合える最大の要因である辻村と高村のリズム隊もライブを重ねてさらに進化し、このメインステージのキャパに相応しい力強さを感じさせる。
「すげえ人だな!もう人と気球しかないな!(笑)」
と客席の後方に浮く気球が目に入るのか、田邊はやたらと気球をいじりまくりながら、「JUMP」ではタイトル通りにサビ前でイメージと客席のノリにギャップがあったのかいったん演奏をストップさせてから観客を一斉に大ジャンプさせ、「Survivor」「DAY × DAY」ではキャッチーでありながらも重いバンドのサウンドを響かせる。
「雨が多いフェスだけど、俺たちが出てる日は毎年晴れてます!だから3年連続で呼ばれてます!(笑)」
と自身の晴れバンドっぷりをアピールし(確かに過去の2年の出演もこのバンドの出演日は晴れていた)、
「もう次の曲を聴いたら他のステージ移動してもいいから!クソが!でも移動したら絶対後悔するようなライブやってやるからな!」
と田邊が意を決してから演奏したのはやはり「もっと光を」。もはや田邊がサビを歌わなくても歌が響くくらいの大合唱っぷり。フェスに出まくっているバンドであるが、もはやフェスの一大アンセムと言ってもいい曲だろう。
そしてラストは田邊が
「みんなタオル出してくれ!」
と言ったので「LIVER」で締めか、と思ったら「SUMMER DIVE」だった。青空の下でタオルがグルグルと回るのを見ながら、ああ今は紛れもなく夏なんだ、と実感した。
田邊が言っていた通り、ただこのステージに出たんじゃなくて、しっかり満員にすることができた。これは紛れもなくバンドのこれまでの活動一つ一つによるもの。このバンドの代名詞でもあった長々とした泣ける熱いMCはほとんどなくなったが、このバンドはしっかり音楽だけでここまでたくさんの人たちを連れて来れる存在になった。
1.LAST HERO
2.ルーキー ルーキー
3.JUMP
4.Survivor
5.DAY × DAY
6.もっと光を
7.SUMMER DIVE
もっと光を
https://youtu.be/soIveYMAZwM
11:45~ BRADIO [FOREST STAGE]
近年はあらゆるフェスに出るようになり、独特の出で立ちのインパクトとサウンドから存在感を増しているBRADIO。このフェスにもついに初登場である。
サポートキーボードを加えた5人編成で登場すると、冒頭の「Revolution」からファンキーなグルーヴと真行寺のソウルフルなボーカルを轟かせ、ファンクとダンスロックの融合とも言うべき「Flayers」では真行寺が綺麗なファルセットボーカルを披露。
合間に観客とこのフェス、そして何よりも音楽への最大限の感謝を告げるのが実にこのバンドらしいのだが、30分という短い時間の中であっても、盛り上がるような曲だけではなく毎回ミドル~バラードというような曲を入れてくるという攻め方は凄い。もちろんそれは真行寺のボーカルの力があるからこそできることであるが、自他共に認めるパーティーバンドがこうしてじっくり聴き入るような曲をやることはなかなかできないし、若手バンドのフェスのライブでこのタイプの曲はなかなか聴けない。その辺りの度胸も素晴らしいバンドだ。
一転してサビでの振り付けが楽しい「スパイシーマドンナ」で再びパーティーモードに切り替わると、パーティーの終着駅はこの日も「Back to the Funk」。真行寺が振り付けをレクチャーしながら曲を演奏するのだが、これだけたくさんの人が綺麗に揃った振り付け(多分若手バンドの振り付けやダンスの中では結構難しい部類に入るはず)をしている様は実に壮観である。
バンドの演奏が止まる中で真行寺が最後のフレーズを歌い切るとそのままマイクを置いてメンバーはステージを去っていくが、これだけバンドでキメを打ったりせずにある意味ではあっさり終わるというバンドもこのバンドくらいじゃないだろうか。
やはりパンク・ラウド系のバンドが多いだけに非常に異色感が強かったのは否めないが、逆にそのラインアップの中に入っても、もっと大きなステージでたくさんの人の前で演奏している姿が想像できるというのは凄いことだ。実際、メンバー自身もこうしたフェスの中で小さいステージに甘んじているつもりは全くないだろう。ブラックミュージックの要素が強いバンドも増えてきているが、ここまで濃いバンドはそうそういないために、このバンドがもっと大きくなったら絶対面白くなるはず。
1.Revolution
2.Flayers
3.Overnight Superstar
4.スパイシーマドンナ
5.Back to the Funk
Revolution
https://youtu.be/tfikMP2nUB0
12:45~ SiM [LAKESIDE STAGE]
5年連続出演にして、すっかりラウド系バンドのボス的な立ち位置になったSiM。3年連続でこのメインであるLAKESIDE STAGEに登場である。
「coldrainです!」
とMAHがいきなり嘘でしかない挨拶をすると、「Blah Blah Blah」で歌わせ踊らせ暴れさせ、不穏な電子音が響く「GUNSHOTS」では観客が一斉にモンキーダンス。
ストレートなラウドサウンドの「MAKE ME DEAD!」ではSHOW-HATEとSINがステージ狭しと暴れまくりながら演奏するのだが、あれだけ激しいアクションをしながらしっかり曲の強度をキープできているあたりはさすがにラウドロックをここまで引き上げた張本人たちである。
「昨今、いろんなフェスでモッシュやダイブが禁止になったりしております!まぁ、モッシュもダイブも怪我する可能性あるからね…でもかけっこはどうなんだろう?(笑)
避難訓練の時の「おかし」ってあったの覚えてる?「おれたち かけっこ したいんです」でしょ!?今年もあのPAテントの周りをグルグル走れー!」
とMAHが煽ると、FOREST STAGEに初出演した時からやっている、「Faster Than The Clock」でのPAテントの周りを何千人もの人たちが走る超巨大サークルが出現。自分も初出演した時のこの景色を見て、このバンドの凄さを思い知らされただけに、こうして毎年この景色が見れるのは感慨深いものがある。
「3日間このフェス開催されますけど、その出演者の中に嘘つきが絶対います!よく「後ろまでよく見えてる」って言う人がいますけど、お前らなんか見えるわけがない!(笑)
だからこそ、声を出してその存在を示せ!」
と大きな声でコーラスするしかないような気分にさせる「Crows」で大合唱を起こすと、「Amy」「KiLLiNG ME」とキラーチューンを畳み掛けまくってくるのだが、ラストの「f.a.i.t.h」でいつものようにウォールオブデスの幅を開けさせるも、
「時間がないからいつもの倍のテンポで!」
と言い、本当に演奏もボーカルも超高速アレンジに。
しかしながらその超高速を持ってしてもチラチラと腕時計を見ていたMAHがついに曲途中で演奏を止めさせ、
「時間が足りなかった~!もうちょっと時間が、アンコールをやる時間さえあれば…!来年はアンコールができる時間に出て、この続きをやってみせる!」
とトリでの出演を宣言して帰っていくという、ある意味衝撃的な締め。しかしこのステージもMAHが「LAKESIDEに出たい」と2年目にMt.FUJIで言ったのを自らの手で叶えた結果であるだけに、来年は本当にトリとして出てきそうな気しかしない。
1.Blah Blah Blah
2.GUNSHOTS
3.MAKE ME DEAD!
4.Faster Than The Clock
5.Crows
6.Amy
7.KiLLiNG ME
8.f.a.i.t.h
KiLLiNG ME
https://youtu.be/vyUMYYc8lxU
13:35~ アルカラ [Mt.FUJI STAGE]
なぜか稲村がカタコトの外国人キャラになってリハから曲を連発していた、アルカラ。15周年イヤーの今年、かつてメインステージに立つくらいにレギュラーだったこのフェスに2年ぶりに帰還。
リハが終わってもステージに居座り続けて稲村が喋りまくり、告知をしようとした瞬間にジングルが鳴ってライブがスタートするというオープニングで早くも笑わせると、リリースされたばかりの最新アルバム「KAGEKI」の1曲目であり、ちょうど1000年後のことを歌った轟音ロック「3017」からスタート。
代表曲も交えながらだが、稲村が
「15年を迎えて「KAGEKI」っていうアルバムを出しました。今日はフェスですけど、リリースライブのつもりでやります」
と宣言し、これぞアルカラというような情報量の多い、轟音で埋め尽くされた「さすらい」からは「KAGEKI」の曲が続く。
世の中への皮肉的な歌詞とも取れる「さ・あ・な」、ライブでやるのは初めてという「コンピュータおじさん」と轟音とシュールのコントラストで、「KAGEKI」を聴けば今のアルカラの持ち味がしっかりわかるということを示す。長髪ギタリストの田原の前にもマイクスタンドが置かれて、下上と疋田とともにコーラスを務めるというのもなかなか新鮮である。
「アリーナ!芝生ステージ!シャドーステージ!(客席の一部だけにある木の下の日陰のこと)」
と独特の視点で煽りながら
「2年前もあの正面の山は禿げ上がってた(笑)
昨日、先乗りして会場の対岸あたりでメンバーみんなでBBQをしてたんだけど、店員が「いらっしゃいませ」以外の言葉を全く発しなかった(笑)
その時に夜空を見上げたらすごく綺麗で。今日この曲をやりたいと思った。夜空じゃないけど(笑)」
と言ってアコギに持ち替えてほぼ弾き語り(稲村以外の3人が微動だにしないのがまた面白い)のような形で演奏されたのは「銀河と斜塔」。まさかこのタイプの曲をフェスでやるとは、という感じだが、確かにこの曲はこの会場の夜の景色にぴったりなように感じる。
そしてラストに「やいやいゆいな」で再び熱狂の渦に叩き込み、慣れ親しんだこのフェスへの帰還を最新の形を見せるという内容で果たしてみせた。
ライブで聴くと改めて「KAGEKI」は本当にかっこいいアルバムだと思うし、15年経ってバンドはさらに鋭さを増していることがよくわかる。
そして稲村はMC部分で、
「BBQをしている時に対岸のこの会場で照明が点いたり消えたりしてて。スタッフが遅い時間まで準備してこの最高な会場を作ってくれてる。そんなスペシャのスタッフに大きな拍手を」
と言ってスタッフへ感謝を告げた。自身が神戸で開催しているサーキットフェス「NEKOフェス」はスペシャと共同で開催しているだけに、バンドのことを支えてくれてる人たちがこのフェスにたくさんいるのだろう。こういうところもまたこのバンドが愛される理由。
リハ.キャッチーを科学する
リハ.サイケデリンジャー
1.3017
2.半径30cmの中を知らない
3.アブノーマルが足りない
4.さすらい
5.さ・あ・な
6.コンピュータおじさん
7.銀河と斜塔
8.やいやいゆいな
Live SWEET LOVE SHOWER 2017
https://youtu.be/RxcnZZOCYqA
14:20~ WANIMA [LAKESIDE STAGE]
3年連続出演にして、今年はついにLAKESIDE STAGEに進出を果たした、WANIMA。(今思うと最初にFOREST STAGEに出ていたのが信じられない)
「JUICE UP!!のテーマ」が賑々しく流れ始めると会場の空気は一変し、待ちきれないといった空気の中で元気いっぱいの3人がステージへ。特にKO-SHINは最初からマイクに向かって叫ぶという、喋らないキャラを覆すかのようなテンションの高さを見せる。
「日本で1番、ラブシャとみんなが好きー!WANIMA!」
とKENTAが言うと、
「開催しまーす!」
を満員の観客が完璧に揃って叫ぶ。曲ではなくこのやり取りはライブを見たことがないとわからないだけに、ここにいる人のほとんどがこのバンドのライブをすでに見たことがあるという浸透度の高さには改めて驚かざるを得ない。
「ともに」でスタートすると、もう最初から飛び跳ねまくりと大合唱。というかもはやどの曲を演奏しても大合唱が発生するという恐ろしさすら感じる状態。ワンマンではなくてフェスだというのに。
KENTA「東京都在住、熊本県出身、谷間でーす!」
FUJI「飛び込みたいー!」
というおなじみのやり取りや、編み込みまで使って髪がさらに派手になったKENTAが自身の髪を自虐的にいじったりしながら、「Hey Lady」ではイントロにKENTAが歌い上げるボーカルを追加し、さらなる大合唱を煽っていく。
観客とスタッフへの感謝を告げた「THANX」、ここにいる全ての人の背中を押すような「CHARM」とストレートな曲が続くと、
「最後にもう1曲だけ!」
と言って演奏されたのはWANIMAの持ち味の一つであるエロさを強く打ち出した「いいから」。このタイプの曲も完璧に受け入れられているというのがこのバンドの全方位的な隙の無さを感じさせた。
3年連続出演、ということはフェスに出始めてまだ3年しか経ってない。しかしWANIMAは今や他のどの出演者よりも多くの人を集めるバンドになり、他のどの出演者よりも大合唱を響かせるバンドになった。もうフェスのメインステージですらこのバンドには小さく感じてしまう。間違いなく、このバンドはロックシーンを大きく(しかも無自覚なうちに)変えたし、それはきっとこれからさらに続いていく。
1.ともに
2.オドルヨル
3.Hey Lady
4.THANX
5.CHARM
6.いいから
CHARM
https://youtu.be/Ir3EFQg4H7I
15:10~ 04 Limited Sazabys [Mt.FUJI STAGE]
去年はLAKESIDE STAGEのトップバッターだったフォーリミ。今年はMt.FUJI STAGEの真ん中あたり、ちょうどブルエンとオーラルの間というONAKAMAの中間位置での出演である。
おなじみのSEで4人が登場すると、いきなりRYU-TAが観客にコール&レスポンスを求める「Chicken Race」からスタートするという、先日のロッキンとも、「swim」「monolith」「climb」を連発して、頭3曲飛ばし過ぎ問題とも言われた去年とも全く違う展開。
というのもドキュメンタリーDVDなどでもおなじみだが、このバンドは曲作り合宿をいつもこの山中湖で行っているだけに、GENいわく「産地直送」「地産地消」というスタイルで、「Drops」などこの地で生み出された曲を多く演奏するという姿勢だったのだろう。
今日は仲間でもありライバルでもあるバンドたちがたくさん出演しているという、自身がフェスを主催してバンドシーンを盛り上げていこうという志を持ったバンドとしての立場を感じさせるMCの後の「fiction」ではステージ前方から煙が吹き上がるという特効も使いつつ、「mahoroba」「me?」というパンクなイメージとは違う、このバンドの引き出しの多さを感じさせる曲を続けるのだが、「mahoroba」がCDや「eureka」のツアーで聴いた時よりもはるかにライブ感が強く進化していることに驚き。さすが日々ライブをやって生きてきているバンドである。
リリースが目前に迫った新曲「Squall」のエモーショナルかつストレートなサウンドが夏が終わりに近づいてきている切なさを喚起させると、最後はやはり「swim」かと思いきや、GENが持ち前のハイトーンボイスを響かせたのは「Buster Call」。そのGENのボーカルに合わせて客席最前ブロックではリフトをする人がたくさん出現したのだが、それを見たGENは
「それじゃ人が人の上に乗ってるだけ。そういうのが見たいんじゃないんだよ。もっと本気のやつが見たいんだよ。ダイブしたいんなら自分で上がって来いよ」
と言い、リフトを降ろさせた。その前からGENは
「集団で万引きする、みたいなんじゃなくて、気づいたら刃物を持って暴れてた、みたいなやつが見たい」
と、リフトを遠回しにやめさせようとすることを言っていた。KOUHEIも
「それじゃあ始められないよ」
と言って演奏を止めただけに、これはGENだけではなくバンド全員の意志によるものだったのだろうが、かつてブレイク前にCOUNTDOWN JAPAN 14/15ではGENが
「僕たちのライブは我慢できるくらいの衝撃しか与えられてないんですかねぇ!?」
と言ってダイブ禁止のフェスで直接的に煽ることなくダイブを起こしていたが、あれから3年近く経って、フォーリミの立ち位置や状況は大きく変わった。ただただ自分たちが好き勝手にやりたい放題することはできないくらいに責任が芽生えてきているし、おそらく自分たちのファンが悪く言われているところもたくさん目にしたり耳にしたりしてきただろう。
実際、
「フォーリミのライブはリフトが多過ぎて後ろにいる人が全然ステージが見えないから面白くない」
と言われたこともあった。
ただパンクシーンにとどまって小さいライブハウスでライブをするのが満足ならこんなことをフェスで口にしなくていいはず。でもこのバンドは今よりももっと大きな場所に、もっとたくさんの人たちと一緒に行こうとしている。だから敢えて言葉にした。見た目はまだまだ幼さが残るキッズのようだが、本当に男らしいバンドだと思うし、まだまだ向き合ってない人たちにもちゃんとこのバンドの音楽が届いて欲しいと思った。
1.Chicken Race
2.Warp
3.Drops
4.monolith
5.fiction
6.mahoroba
7.me?
8.Squall
9.Buster Call
Squall
https://youtu.be/-kB2K_4odA0
その後、飲食エリアで遠くからスカパラを聴いていたら、
「久しぶりにやる曲!」
と言って「Diamond In Your Heart」で細美武士が登場。直後にMONOEYESが隣のステージに出るというタイミングであり、スコットはセッティングもしていただけにまさかのコラボ。ライジングサンでもかつて見ていたが、これは本当にラッキーだった。
17:10~ MONOEYES [Mt.FUJI STAGE]
おなじみのスターウォーズのテーマでメンバーが登場した、MONOEYES。細美武士がボーカルの「When I Was A King」、スコットがボーカルの「Borders&Walls」と序盤からパンクな曲を連発すると、
「このステージ初めてだけど、めちゃくちゃ気持ちいいな!」
と去年のLAKESIDE STAGE(the HIATUSで出た時も毎回LAKESIDE)ではなく、このMt.FUJI STAGEに初めて立った感触を語り、
「このフェスは雨が降ることも多いから、俺たちとかはそういうイメージなんだけど、今日がこんなに晴れてたら、今日初めて来たヘイスミとかは全然違う印象を持つと思う」
と、何度もこのフェスに出てきたからこそのこのフェスのイメージに触れ(何回も来ている観客も細美と同じイメージだと思う)、新作「Dim The Lights」からの「Free Throw」を披露。
タイトル通りに疾走感溢れる「Run Run」から、ファーストから「Dim The Lights」への進化の中間地点とも言える「Get Up」と続くと、
「今日はこの後に車で大阪まで行かなくちゃいけないから、酒を一滴も飲んでない(笑)
ライブで酒飲まないのって5年ぶりくらいなんだけど、すごい視界がクリア(笑)」
というこの日の状態の良さをアピールし、新作からの「Two Little Fishes」へ。新作は夏が非常によく似合うアルバムだと思うし、とりわけこの曲は夏の野外が1番似合うシチュエーションの曲だと思っているのだが、この曲がステージで鳴らされていて、そのステージの後ろには夕焼けに染まる富士山と山中湖。ツアーはまだまだ続いているが、こんなに最高のシチュエーションでこの曲が聴けることはもうないかもしれない。
そしてラストはやはり「グラニート」。
「そういう世界があるなら行ってみたいと思った」
その歌詞からイメージした世界は間違いなくこの日のこの場所だった。去年のロッキンのLAKEのトリも素晴らしかったが、それとはまた違う素晴らしさ。それはやはりこの日のライブが「Dim The Lights」を踏まえたライブであったから。
リハ.明日公園で
1.When I Was A King
2.Borders&Walls
3.My Instant Song
4.Free Throw
5.Run Run
6.Get Up
7.Two Little Fishes
8.グラニート
Two Little Fishes
https://youtu.be/iDTc2lP-Tbw
17:55~ マキシマム ザ ホルモン [LAKESIDE STAGE]
封印から解き放たれたマキシマム ザ ホルモン、今年は休止期間中の鬱憤を晴らすかのように各地のフェスに出まくり、その場を荒らしまくっているが、久しぶりにこのフェスにも出演。スペシャはナヲとダイスケはんが司会を務めるMONSTER ROCKをやっているだけあって、ホームと呼べる場所であり、開演前から凄まじい数の人が待ち構えている。
4人がステージに登場すると、いきなりの「恋のメガラバ」で踊らせまくるのだが、砂埃が凄まじいことになっているのはさすがホルモンというところだが、マキシマム ザ 亮君とダイスケはんだけならずナヲもボーカルを取る「シミ」では休止期間にライブはやらずとも練習を重ねていたのか、さらに音が重く進化しているのもさすがである。
しかしながらやはり曲が一区切りついてMCに入ると暴走してしまうのもまたホルモン、久しぶりの出演で観客の多さと盛り上がりぶりに驚きつつ、
「我々このフェス25年ぶりの出演でございます(笑) 25年前はアイアン・メイデンと2マンのSWEET LOVE SHOWERでした(笑)
今日は平日だから会社をズル休みしたやつもいるだろうけど、その人たちの今日の日当は全てスペシャが負担します!」
と言いたい放題で、さらにナヲはなぜかいすゞのトラックのCM曲まで熱唱。ダイスケはんも「名曲」と認めるこの曲、どの辺りが名曲かと言うと、「いすゞのトラック~」と宣伝フレーズで終わるかと思いきやその後にさらに「どこまでも~」というフレーズが続くところだそう。
亮君がブルーハーツの「月の爆撃機」のフレーズを歌ってから突入する「鬱くしき人々のうた」は「MONSTER ROCK」の番組内で使われている楽曲だからという選曲だろうか、さらにおなじみのイントロで頭を振りまくる「ロッキンポ殺し」と、この日はある程度、久しぶりに見るファンが聴きたい曲を多く演奏していた印象。バンドのホームページではフェスで聴きたい曲を募っていたりしたが、その影響もあるのだろうか。
SiMの「Faster Than The Clock」並みにPAテントの周りを何千人もの人に走らせる「メス豚のケツにビンタ(キックも)」はテンポが非常に速いためにSiMよりもさらに過酷なかけっことなり、ライブが終わるのが寂しいのか、なぜかベースの上ちゃんの生い立ちを語ったりと、とめどなくダイスケはんとナヲのトークが展開しまくり、亮君にすら「長い!」とツッコミを入れられてから、急いで「恋のおまじない」を全員参加でやらせ、最後に演奏されたのはダイスケはんが踊りまくる、もはやフェスの締め(MVのフェスでの盛り上がり方講座も含め)として定番になった感のある「恋のスペルマ」で、久しぶりのこのフェスでホルモンのライブの破壊力を存分に示した。
ちなみに今年の夏フェスで全て時間が押していると言っていたが、この日も完全に押していました。
1.恋のメガラバ
2.シミ
3.鬱くしきOP ~月の爆撃機~
4.鬱くしき人々のうた
5.ロッキンポ殺し
6.メス豚のケツにビンタ(キックも)
7.恋のスペルマ
恋のスペルマ
https://youtu.be/Nw8624J0s5Y
18:30~ THE BAWDIES [FOREST STAGE]
9年連続出演にして、このフェスの最多出演記録を持つ、このフェスの象徴と言えるバンド、THE BAWDIES。かつてはメインステージのトリを務めたこともあるが、今年はFOREST STAGEの初日のトリというスロットでの登場。去年もキュウソネコカミが前年のLAKESIDE STAGEから一転して何故かFOREST STAGEに出ていたが、これはキャパが落ちたからという理由ではないだろう。(ステージは小さくてもトリの方が持ち時間が長いというのもあるし)
おなじみの「ダンス天国」のSEで夏らしい爽やかな白いスーツを身に纏ったメンバーが登場すると、ガレージロック炸裂ナンバー「THE EDGE」でまさにエッジの立ちまくったバンドサウンドとROYのボーカルが響くのだが、1番驚いたのはロッキンの時にはツアーで足を負傷した影響で椅子に座ってギターを弾いていたJIMがなんの予告もなく、今まで通りに立って笑顔でギターを弾いていることである。
これはメンバーたちにも突っ込まれていたが、予想以上に速い回復ぶりだったようで、ステージを軽やかに動き回りながら弾く姿は完全復活と言っていいだろう。
「IT'S TOO LATE」「YOU GOTTA DANCE」という曲で地面が揺れているのがわかるくらいに観客を飛び跳ねさせて揺らしまくると、今回のタームでおなじみのメドレーでお得な感じにさせ、恒例の小芝居ではTAXMANのパンとJIMのソーセージが入れ替わっているという「君の名は。」バージョンでの「HOT DOG」で凄まじい盛り上がりぶりを生み出してみせる。
するとここでROYがあらかじめ告知をしていた、東名阪の対バンツアーのゲストを紹介。
大阪:マキシマム ザ ホルモン
名古屋:SiM
東京:9mm Parabellum Bullet,ドレスコーズ with B
というまさにモンスター級の対バンだが、気になるドレスコーズ with BのBはTHE BAWDIES自身のことであり、志磨遼平のバックバンドをTHE BAWDIESが務め、ドレスコーズや毛皮のマリーズの曲をやることまで宣告。これは間違いなく見逃せないライブになるはず。
そして「SING YOUR SONG」では観客の大合唱を巻き起こすのだが、9年連続出演ということで、最初の9倍の声を求めてさらなる大合唱となり、
「まだ時間ありますか!?やっていいですか!?」
とアンコール代わりに「KEEP ON ROCKIN'」を演奏し、夜のこの森の中を観客の手拍子だけが響くという忘れられない光景を作り上げ、演奏が終わると恒例の大将ことTAXMANの「わっしょい」(例年の「SWEET LOVE SHOWERっしょい」ではなかったけど)も行なわれるという全部乗せっぷりで、9年目の出演をやり遂げてみせた。
9年も出ているとバンドの状況や立ち位置は変わる。もう登りつめるところまで行ったし、今では後輩バンドが続々とその位置まで達しようとしている。しかしながらロッキンも含めてこの夏で感じたのは、THE BAWDIESのライブの底力。なかなかフェスでのキラーチューンが更新されていかないというもどかしさもファンからすればないことはないが、やはりこのバンドはロックンロールを選び、ロックンロールに選ばれたバンドである。だからこれからもこうした大きなフェスでロックンロールを鳴らし続けていて欲しい。それができるロックンロールバンドはやはりこのバンドだけなのだから。
1.THE EDGE
2.IT'S TOO LATE
3.YOU GOTTA DANCE
4.メドレー
JUST BE COOL ~ KEEP YOU HAPPY ~ ROCK ME BABY ~ JUST BE COOL
5.HOT DOG
6.SING YOUR SONG
7.KEEP ON ROCKIN'
THE EDGE
https://youtu.be/ez_0OtpiRYI
19:35~ エレファントカシマシ [LAKESIDE STAGE]
今年でデビュー30周年のエレファントカシマシ。これまでにも何度か務めたこのステージのトリとして今年も出演。
サポートのヒラマミキオ(ギター)と村山潤(キーボード)を含めた6人編成で登場すると、「悲しみの果て」でスタートし、アニバーサリーイヤーらしいヒット曲の連発でこのフェスの初日を締めにかかる。ロッキンでは何度もやり直すという不発になってしまった(あれはあれでめちゃくちゃ面白かったけど)「デーデ」もこの日はなんのトラブルもなくしっかり演奏されて一安心。
しかしながらロッキンよりも持ち時間が短いというのもあってか、宮本の面白MCはやや控えめ、それでも最新シングル「風と共に」ではかつて10歳の時にNHKの合唱団で歌って宮本がレコードデビューを果たした「初めての僕デス」のエピソードとともに、ちょっとだけ曲を口ずさんだりする。曲自体は間違いなく誰も知らないけれど。
「今聴いても当時の自分の歌の上手さと曲の良さにビックリする」
という宮本節炸裂のMCで上がったハードルを軽く飛び越える「風に吹かれて」の名曲っぷりから、「RAINBOW」「ガストロンジャー」では獰猛なバンドサウンドが30年を迎えても全く衰えることなく、むしろさらに進化を果たしていることを実感させてくれるという圧巻ぶりを見せる。石森も帽子とサングラスを落として長髪を振り乱しながらギターを弾くという気持ちの入りっぷり。
「友達がいるのさ」で再びメロディの良さと宮本のボーカルの素晴らしさを実感させると、ラストは「ファイティングマン」で
「良い顔してるぜエブリバディー!暗くてよく見えないけど!(笑)」
と観客を讃え、すぐさま出てきたアンコールでは銀テープが放たれる中、
「さぁ頑張ろうぜ」
というフレーズがファンの背中と、バンドの新たな黄金期を支えてきた「俺たちの明日」で初日をしっかりと締めくくった。
30年。近年は宮本や富永が療養で間隔が開くこともあったが、メンバーが全く変わらず、様々な浮き沈みを経験してもずっとバンドは続いてきて、今でもこんなに大きなフェスの大きなステージでトリができるくらいに最前線で戦い続けていられている。
この日は今まさに階段を駆け上がっている若手バンドがたくさん出演していたが、そのバンドたちがこれからずっとバンドを続けていくために必要なものがエレカシのライブにはある。そして大ベテランと言えるような立場になっても呼ばれたフェスやイベントには必ず出て、至るところでライブをすることによって、その背中を若手に見せてくれている。だからこそライブを見れば必ず感じることがある。ただライブが素晴らしいというだけでなく、そうした生きた教科書になっているという点でも、このバンドはもう国宝に認定した方がいいレベルだと思う。
1.悲しみの果て
2.今宵の月のように
3.デーデ
4.風と共に
5.風に吹かれて
6.RAINBOW
7.ガストロンジャー
8.友達がいるのさ
9.ファイティングマン
encore
10.俺たちの明日
Live SWEET LOVE SHOWER 2017
https://youtu.be/l_nguaCVlPY
終了後、場内にはOasisの「Don't Look Back In Anger」が終演BGMとして流れた。「ビートルズの「All You Need Is Love」じゃなかったっけ?」と思いながら翌日に備えて宿に向かったが、どうやら去年も初日はこの曲だったみたいだ。
結果的にこの日は3日間で天気が最も良く、常に富士山がその姿を見せていた。それは忙しなくステージ移動するフェスで思わず立ち止まって見惚れてしまうくらいに美しかった。やはりこのフェスの晴れた日は他のどこよりも美しい景色を見ることができる。だからこうして毎年ここに来るんだ。
Next→ 8/26 SWEET LOVE SHOWER day2 @山中湖交流プラザきらら


