ROCK IN JAPAN FES.2017 day4 @国営ひたち海浜公園 8/12
- 2017/08/13
- 19:48
ついに最終日、4日目。しかしながら朝から会場近辺では雨が降り続いており、この日出演するポルノグラフィティが非常に雨バンドということもあるので不安でしかなかったが、開場して8時半くらいになると雨は止み、午後からは青空が広がるという、朝以外は結果的にいつもと同じロッキンの天候になっていた。
10:30~ SPECIAL OTHERS [PARK STAGE]
ロッキンオンジャパン編集長の小柳大輔が
「もはやレギュラーと言ってもいい、このフェスの「FREE」という概念を体現しているようなバンド」
と紹介した、SPECIAL OTHERS。GRASSに出たこともあるし、近年はLAKEへの出演が多かったが、今年は規模が拡大したPARKへの出演。
メンバーが登場すると、しばし楽器の感触や音を確かめるようなジャムを展開してから、芹澤と宮原の声が心地良くメロディを奏でる「Uncle John」からスタートし、徐々に高揚感を高めていく。
フェスで演奏されるのはかなりレアである、バンドの中ではかなりテンポの速い曲「STAR」では曲中に目まぐるしくセッションが展開され、芹澤のピアノ連打、宮原のドラム連打という各々の見せ場も存分に作ったソロパートでは大きな喝采を浴びる。
再びのボーカルパートのある「ORION」ではこの自然のステージの中で聴くのが実によく似合うというこのバンドだからこその空気感に浸らせる中で柳下がギターソロを弾きまくり、雰囲気や空気感だけではなく、ロックフェスでもアピールできる演奏力を充分に発揮していく。
宮原「いやー、雨が上がりましたね!」
芹澤「みなさん、言っておきますけど、雨が上がったのは我々のおかげですからね!」
宮原「我々の物販で格安で売ってるお守りを買えば雨は止みます!8万4千円で売ってます!(笑)」
芹澤「みなさん、我々のおかげだからもうこのステージから移動しちゃダメですよ!もう他のステージは全部終わってますから(笑)そろそろ花火が上がるらしい(笑)」
と嘯きまくるMCは相変わらずだが、
宮原「告知するようなことが一切ない(笑)」
と言いながらも、
芹澤「メジャーデビュー10周年を迎えましたけど、20周年目指してるんで、これからもよろしくお願いします!」
と最後にはこれからの決意を語り、まさに太陽が現れるのを待ち焦がれる曇天の空の下で演奏されるのが今の状況にうってつけ過ぎる「Wait for the Sun」で終了し、芹澤はおなじみの記念撮影。今年も夏の野外というこのバンドのライブを見るには最も相応しい空間をグッドミュージックで満たしてみせた。
1.Uncle John
2.STAR
3.ORION
4.Wait for the Sun
Uncle John
https://youtu.be/H3ajhmnr6RI
11:40~ Mrs. GREEN APPLE [LAKE STAGE]
酒を片手に見ている大人ばかりだったSPECIAL OTHERSから、酒を飲めないような若者ばかりの客席へ。今年で3回目の出演であり、WING TENT、SOUND OF FOREST、そして今年はLAKE STAGEへと歩みを進めたMrs. GREEN APPLEである。
しかしながら始まる前から超満員で、早くも入場規制がかかりそうなレベルというのがこのバンドの今の勢いを象徴している。
そんな中、ラメ入りのド派手なピンクの衣装に金髪という出で立ちの紅一点メンバー・山中を先頭に、藤澤も髪の色が緑色という見た目にも華やかなメンバーがステージに揃うと、「VIP」でスタートし、早くも高野のベースソロが炸裂。大森の声もやはり圧巻と言えるくらいの伸びっぷりを見せている。
ここに集まった多くの人が待ち望んでいたであろう「サママ・フェスティバル!」で今年の夏もこうしてこのバンドと一緒に過ごせてこの曲が聴けるという幸せに浸らせると、大森がハンドマイク状態になってステージを動き回りながら歌う「アンゼンパイ」へ。
「VIP」もそうだが、「アンゼンパイ」もインディーズ時代の曲だし、新代田や渋谷の小さいライブハウスでまだライブをやっていた頃に毎回やっていた曲たちである。しかしその曲たちもこうした1万人規模のステージで鳴らされるべきスケールをあらかじめ持っていたというのがこれだけ大きいステージでたくさんの人の前で演奏されるとよくわかる。
高野もベースからシンセに変わっての「うブ」からはEDM、スタジアムポップ感を強め、それは「WHOO WHOO WHOO」、ドラマの主題歌になっている新曲「WanteD! WanteD!」でもそうなのだが、今年アルバムを出したばかり、さらにその後にもシングルを出しているというのにそれらの曲をほとんどやることなく、さらなる新曲をガンガンライブでやっているというこのバンドの無尽蔵な創作ペースにはもうひれ伏すしかない。
新曲も含め、こうした近年の曲は初期のギターロックの曲からはかなり飛距離があるようにも感じるが、大森は
「なんか、「サママ・フェスティバル!」あたりからMrs.GREEN APPLEって変わっちゃったよね、っていう声もよく聞くんですけど…あんたらはMrs.GREEN APPLEの何を聴いてきたんだ!と。生楽器が減ったらバンドじゃないってすごく狭くないですか?僕らは成長期なんですよ!いろんなことをやりたいんです」
とそのバンドの変化に自らの言葉で答えを出す。
やはり自分も初期のギターロックな曲を聴いてこのバンドのライブに行くようになっただけに、この変化には戸惑いもなかったわけではないのだが、このバンドは大森の若さも含め、そうした旧い価値観から完全に解き放たれたところにいる。もうそうした「バンド」というものの呪縛にあらかじめ全く縛られていない。だからこそこうして新たな音楽性にどんどん踏み込んでいけるし、それをメンバー全員が楽しみながらやっている。もう完全に世代というか時代が違う。これからシーンの先頭を走るようになるのは、このバンドのように何にも縛られることがないようなバンドなんだろうとも思える。
そして「Speaking」で大合唱を巻き起こすと、
「2年前にWING TENTに出た時、めちゃくちゃ緊張してたんです。でもあれから2年経って…同じようにめちゃくちゃ緊張してます!」
と、どっからどう見ても堂々としてるようにしか見えないのにどこが緊張しているんだろうか、と思わされるMCから最後に演奏されたのはメジャーデビュー曲「StaRt」。
インディーズデビュー時からこれまでにもこのバンドには何度も驚かされてきたが、この日はこれまでで最も「ああ、これはこのバンドはもっととんでもないところまで行くんだろうな」と思わされた。それはきっとまた様々な音楽性の変化を遂げながら。もう来年は本当にGRASS に立っているかもしれないが、新しい価値観をその活動を持って提示しているという意味では、どの若手バンドよりもGRASSに立つべきバンドなんじゃないかとも思っている。
しかしミセスを見に来たと思われる、中学生や高校生くらいの人を見ると、その年齢の時からこのフェスに来れて、こうしていろんなアーティストのライブを見ることができるっていうのは本当にうらやましいと素直に思う。それはフェスに行くのが当たり前という時代になったという背景も少なからずあるが、自分が初めてこのフェスに来た時は中学生や高校生なんて全く会場にいなかったから。そのくらいの年齢の時からここに来たかったな。
1.VIP
2.サママ・フェスティバル!
3.アンゼンパイ
4.うブ
5.WHOO WHOO WHOO
6.WanteD! WanteD!
7.Speaking
8.StaRt
サママ・フェスティバル!
https://youtu.be/25kQyBF6mz4
12:45~ cinema staff [BUZZ STAGE]
今はなきSeaside Stageを始め、毎年のようにステージを変えながら出演し続けている、cinema staff。今年はBUZZ STAGEへ登場である。
2週間前にアルカラのイベントで見たばかり、その時は完全に新作モードだったので、「熱源」から始まったこの日もそのモードかと思いきや、先日はやらなかった、バンド最大のヒット曲である「great escape」もやるというフェスらしい選曲をしてくるあたりはさすがにずっとこのフェスに出続けているバンドである。
しかしながらこの日、明らかに気合いが入り過ぎなくらいに入りすぎていたというか、普段は
「岐阜県から来ました。cinema staffです」
と割と落ち着いた語り口で挨拶する三島が
「岐阜県から来ました!!!cinema staffです!!!」
と聴き取れないくらいに気合いが入りまくった挨拶をし、その後も曲間に言葉を挟むのだが、もう全く何を言っているのかわからないレベルで、演奏中もベースをぶん回しながら弾いている。普段は最も自由にギターを弾くことで目立つ辻のお株を奪うくらいの暴れっぷりである。
「theme of us」では間奏でステージ袖からアシンメトリーの髪の男こと、Halo at 四畳半の白井が乱入して辻の代わりにギターを弾くというコラボもあったがらメンバーは全く白井のことには触れず(笑)
三島の暴れっぷりとは対照的にこの日も瑞々しい声を響かせていた飯田はこの日GRASS STAGEのトップバッターとして出演した欅坂46のライブに圧倒されたことを語ると、
「フェスって腕を振って盛り上がるだけじゃないですよね。今日みたいな曇り空の日にピッタリな曲が僕らにもあるので」
と言ってラストに演奏されたのは、壮大な「僕たち」。最後には辻がステージを転がり回りながらギターを弾き、5曲30分とは思えないくらいの満足感溢れる熱演となった。
しかし以前、SOUND OF FORESTに出演した年に三島は、自分たちがこのフェスで小さいステージに出まくっていることを語りながら、
「来年はLAKE行きますよ!」
と力強く宣言していたが、「great escape」のヒットを経ても未だにLAKEにはたどり着けていないし、それはかなり遠くに感じるようになってきてしまった。それでもこのバンドは間違いなくこのフェスを支えてきたバンドなだけに、これからも出続けていて欲しい。
1.熱源
2.great escape
3.エゴ
4.theme of us
5.僕たち
great escape
https://youtu.be/u2YSzzXb2I4
13:30~ 中村一義 [WING STAGE]
2000年の第1回のこのフェスの幻の大トリにして、翌年の大トリである中村一義が、デビュー20周年イヤーの今年にひたちなかに帰還。2000年のこのフェスで初めて人前でライブをやるはずだったという経緯を踏まえると、ここは始まりの地である。
近年の活動の大事な仲間であるバンド海賊(Hermann H.&The Pacemakersとヨースケ@home)とともにステージに登場すると、演奏を始めるかと思いきや、楽器を持ったメンバーが楽器を置いて全員が円陣を組んで気合いを入れると、デビュー曲である「犬と猫」からスタートし、
「どう?どう?」
の大合唱。ギター3人にキーボードも加えたサウンドは実に豊かなサウンドで、TOMO TOMO CLUBとマシータによるリズム隊はロックンロール色が強い。
そのバンドサウンドにピッタリな「ショートホープ」から、海賊とのテーマ曲と言える「スカイライン」では観客がヨースケ@homeに合わせて手を左右に振る。
おなじみの「1,2,3」から、
「ここにいるみんなが死んだように生きてるわけがなかった!」
と歌詞のフレーズを引用して観客に語りかけた「キャノンボール」へ。TOMO TOMO CLUBのベースの音が曲中に8割方出ていないというアクシデントもあったが、サビでの大合唱は未だにこの曲がこのフェスにおける最大のアンセムであることを証明していた。
そしてラストは「ロックンロール」。癌から復活した岡本洋平が中村一義に寄り添うようにしてギターを弾くと、キツそうなハイトーン部分も必死に歌いきり、集まってくれた観客に感謝を告げて海賊たちとともにステージを去って行った。
もうGRASS STAGEに出れるような存在ではないし、このWING STAGEでも満員になるような存在ではなくなってきている。それでも岡本洋平は出番後にSNSで
「中村一義がいなかったらこのフェスはなかった」
と発言していた。自身もヘルマンでまだこのフェスが始まった当初に出演していた経験があるからこその言葉。確かに、このフェスは中村一義がライブをやるための場所という目的もあった。だからこそ、こうしてこれからもこのフェスに出てくれるんならこうして見に行きたい。もちろんワンマンも行くけど。
1.犬と猫
2.ショートホープ
3.スカイライン
4.1,2,3
5.キャノンボール
6.ロックンロール
キャノンボール
https://youtu.be/IPJhcDtOHb8
14:00~ 9mm Parabellum Bullet [LAKE STAGE]
去年まではGRASS STAGEに出演していた、9mm。2008年以来9年ぶりのLAKE STAGEに帰還である。
去年もHEREの武田を加えた5人編成だったが、今年が去年と違うのはステージだけではなく、5人編成の中身。武田だけではなくfolcaの為川も加えたトリプルギター、しかもかみじょうのドラムセットが卓郎のすぐ横のステージ上手側にあるという、「BABEL」ツアーと全く同じものになっている。2週間前のアルカラのイベントではサポートは武田のみのシンプルな4人編成だっただけに、ライブに応じて形を変えていくということだろうか。
「サクリファイス」からスタートしたライブも完全に「BABEL」モード。キメ連発の「ガラスの街のアリス」、
「もっと燃え上がろうぜ!」
と卓郎が煽っての「火の鳥」、轟音でありながら美しいメロディのミドルテンポの「眠り姫」と、様々な角度から最新の9mmの形を見せていく。
しかしながらこれだけフェスで最新アルバムの曲ばかりやることってあっただろうか?というくらいに「BABEL」曲連発だが、
「もっともっと燃え上がって、LAKE STAGEの裏の湖を干上がらせてやろうぜ。そのためにどうするかっていうと、ハートに火をつけるんだよ!」
と卓郎自身も燃え上がるように「ハートに火をつけて」ではサポートギターの2人にギターを任せてハンドマイクで踊りまくりながら歌い、それはおなじみの歌詞にこの会場の名前を入れた「Black Market Blues」もそうだが、ツアーに来ていなかった、この日初めてこの編成でのライブを見る人たちにとってはこれはかなり衝撃的な絵であろう。
再び「BABEL」の「ロング・グッドバイ」からラストは和彦もシャウトしまくり、サポート2人も前に出てきてギターを弾きまくる「Punishment」で轟音のさらに向こう側の世界を見せつけ、卓郎はいつものように丁寧に観客に頭を下げたり手を振ったりしながらステージを去って行った。
去年の滝がシンセでライブを行っていた編成では、代表曲連発という、フェス向きではあるものの、その時、その状況でセトリを大胆に変える9mmらしいものではなかったし、実際「BABEL」ツアー前まではそのセトリはほとんど変わることがなく、物足りなさを感じたりもしていた。9mmがずっとそういう「フェスではフェス向けセトリ」でライブをやるバンドだったらそうは思わなかったかもしれないが、9mmはそういうバンドではなかったから。
でもやはり9mmはそれから様々な試行錯誤や挑戦、そして「BABEL」のリリースとツアーを経て、9mmらしさを取り戻した。いや、取り戻したんじゃないな、これは。新しい9mmのフェスの戦い方の始まりだ。このスタイルがいつまで続くのかはわからないし、できることならやっぱり滝が復帰して4人でライブをやるのが1番良い形なのだが、少なくともワンマンで見てればフェスでは見なくてもいいかな、というバンドになることはなかった。
このステージやPARKに出ていた若手バンドたちに比べると、またGRASSに立つのは厳しいだろうな、とも思わざるを得なかったが、いつかまたGRASSの観覧車越しに太陽が見上げられる位置で「Termination」を聴ける日が来ますように。
1.サクリファイス
2.ガラスの街のアリス
3.バベルの子どもたち
4.火の鳥
5.眠り姫
6.ハートに火をつけて
7.Black Market Blues
8.ロング・グッドバイ
9.Punishment
ガラスの街のアリス
https://youtu.be/uY-QrSbVRW8
14:40~ tacica [WING STAGE]
2014年のSOUND OF FOREST以来の出演となる、tacica。今年はWING STAGEへの出演であるが、開演前から客席からはみ出すくらいの大入りっぷり。
サポート2人を加えた4人編成(ドラマーは中畑大樹)で登場すると、「鼈甲の手」からスタートするという、もう冒頭から盛り上がるような楽しみ方は一切ない、ひたすらに猪狩の声とメロディと歌詞、シンプルなバンドのサウンドをしっかりと聴かせるというこのバンドのスタイルが感じられる。
MVでは完全に吹雪の中で演奏している、かつてオリコンTOP10入りも果たしたヒットシングル曲「人鳥哀歌」という、真夏の野外でまさかこの曲を聴けるとは!という嬉しい選曲のあとには、月末にリリースされるアルバムからの新曲「諦める喉の隙間に新しい僕の風が吹く」を披露。これもまた本当にじっくりと歌詞と向き合うような聴き方しかできないような曲であり、このバンドが本当に周りのシーンに一切流されたり影響されたりすることなく、独自の道を歩き続けていることがよくわかる。
「少し、曇りが良かった…(笑)」
ともう朝の雨はどこへやらとばかりに晴れ渡った空の下が全く似合わない猪狩らしい言葉で笑わせると、
「太陽が眩しくてエフェクターのどこが光ってるのかがわからない…(笑)」
と、もはや中堅と言っていいくらいのキャリアであるにもかかわらず、全く野外慣れしてないことをうかがわせると、猪狩の声が慈悲深く響く「キャスパー」から、
「描けない夢なんてない 叶わない夢なんてない
って思ってたんだろうひとり
残り全部の命を使って
残り全部の命を使え」
というフレーズが穏やかなサウンドながらも確かに力強く歩いていく意志を実感させてくれる「DAN」で終了。
「またここに戻って来られるように頑張ります」
という言葉は嘘いつわりない、このステージがもっと似合うようなバンドになりたいという意識を感じさせた。
昨今、よくフェスで言われている、「盛り上がるような音楽のバンドが人気で、そうじゃない音楽のバンドはフェスに合わない」という論調。しかしtacicaは明らかに後者に属するタイプのバンドでありながら、WING STAGEに入りきれないくらいの人を集め、その人たちがしっかりと曲に向き合うという景色を作った。
派手ではないがヒットシングルを何曲も持っているバンドだからというのもあるが、盛り上がる盛り上がらないではなくて、結局は楽曲が良いものかどうかという問題だと思う。盛り上がるようなバンドが人をたくさん集めているのも、そのバンドが良い曲を作っているから。(だからそうした盛り上がるバンド全てが満員になるっていうわけでは決してない)
この日のtacicaの姿とライブからは、そうしたロックバンドにとって最も大事なものがなんなのか、というのを改めて確認させてくれた気がしている。そういう意味でも、ただ良いライブが見れたっていう以上の感触が残っている。
1.鼈甲の手
2.人鳥哀歌
3.諦める喉の隙間に新しい僕の風が吹く (新曲)
4.キャスパー
5.DAN
人鳥哀歌
https://youtu.be/gbDsE039990
15:25~ DAOKO [BUZZ STAGE]
ヒップホップシーンから現役女子高生ラッパーという立ち位置で登場し、様々なタイアップ曲のリリースによって、現在さらに広い場所に踏み出してきている、DAOKO。CDJに続いて夏にも登場。
この手の楽器を弾かない女性ソロシンガー(及びラッパー)だと得てしてトラックは打ち込みでカラオケ、という形になりがちだが、この日は打ち込みもメインにしながらも、シンセとデジドラのサポート2名がいるという生演奏としてのダイナミズムも感じられる編成。(デジドラを叩くのは米津玄師のバンドでドラムを担当している堀正輝)
その2人の演奏するトラックに導かれて長い黒髪のDAOKOが登場すると、パッと見ではそれしか着てないように見えるビッグサイズの白のTシャツ(の下に青いショーパン)というセクシーなファッションで「FASHION」からスタートし、その独特なアンニュイなボーカルを響かせる。
メジャーデビュー以降はラップというよりも歌モノに移行した感もあるが、曲間には「ROCK IN JAPAN」というこの日ならではのワードも入れたフリースタイルで曲に繋げるというあたりは実に見事で、彼女のスキルの高さを改めてうかがわせる。
「水星」からは青い衣装の女性ダンサーも登場して、DAOKO自身もダンスを踊りながら、オートチューンをかけた声で歌うのだが、その声と出で立ちとダンスという全ての要素からは魔性の力のようなものを強く感じさせる。
一気にビートが強くなった「Shibuya K」から椎名林檎「歌舞伎町の女王」のエレクトロアレンジカバーというセトリで完全に自分のものとして乗りこなしながら渋谷と新宿をつなぎ合わせると、セクシーなダンスの「BANG!」で視覚的にも一気に観客を惹きつける。
そしてラストに披露されたのは、映画の主題歌として楽曲が公開されたばかりの、米津玄師とのコラボ曲である新曲「打上花火」。米津玄師のパートとコーラスは当然打ち込みであったが、この曲が彼女をさらに大きなステージに連れて行くんだろうな、と実感させるとともに、もうこの日打上花火を見たら今年のロッキンが終わってしまうという切なさがこみ上げてきてしまった。
1.FASHION
2.水星
3.Shibuya K
4.歌舞伎町の女王
5.BANG!
6.打上花火
打上花火
https://youtu.be/-tKVN2mAKRI
16:20~ POLYSICS [LAKE STAGE]
実に第2回の2001年から17年連続出演、もはやこのバンドよりも多く(同じ形態で)出演しているのは皆勤賞のDragon Ashしかいないという領域にまで達している、紛れもなくこのフェスの顔と言えるバンド、POLYSICS。初出演時から慣れ親しみ、トリも務めたこともあるLAKE STAGEに登場である。
爽やかな黄色いツナギを着た3人がステージに登場すると、「SUN ELECTRIC」からスタートし、ひたすらに代表曲を畳み掛けていくという20周年を迎えて、ベスト的なリテイクアルバムを出したことによる選曲でガンガン客席を踊らせ、暴れさせていく。
おなじみの「トイス!」の挨拶から、バンドが20周年を迎えたことを、
「こんな日が来るなんて、想像していなかったなぁ…」
と、このフェスに出続けて20周年を迎えた感慨を言葉にすると、観客からは「おめでトイス!」の祝福がバンドに放たれ、ハヤシは投げキスでファンの愛に応える。
「Let'sダバダバ」からもバンドの歴史(それはすなわちこのフェスの歴史でもある)を作ってきた名曲たちを次々に演奏すると、雨が降っていた朝に比べると予想以上に暑かったのか、ハヤシが汗びっしょりで
「今日、めちゃ暑いな!」
と思わず口に出しながらスタッフに水をかけてもらい、「MEGA OVER DRIVE」ではシンセを無理矢理ショルダーキーボードのようにして弾くというおなじみのパフォーマンスも見せ、あまりの暑さとバンドと客席の熱さによってハヤシがバイザーを外して熱唱。
上がりきった気温と熱気をさらに上げるのは、3人がポーズを取ってから演奏に突入した「URGE ON!!」から、ラストはカヨが脱退した後に初めてライブを行った2010年のこのフェスのGRASS STAGEでのライブから、カヨがやっていた振り付けを観客がやるようになったという歴史が染みついている「BUGGIE TECHNICHA」で今年も完全燃焼。
しかしながら、客席の埋まり具合は2~3割という実に厳しいものだった。同じ時間にPARK STAGEに出ていたKEYTALKが超満員だったという要素もあるだろうが、このフェスの歴史を作ってきたPOLYSICSももうこのキャパのステージに立つのはだんだん厳しくなってきている。(CDJもCOSMO STAGEだったし)
それでも、やっぱりこのバンドは絶対このフェスに欠かせないバンドだし、このLAKE STAGEで青空の下で見るのが他のどのステージよりも似合っていると思うだけに、これからも毎年このステージで見ていたい。
1.SUN ELECTRIC
2.Young OH! OH!
3 Baby BIAS
4.Rocket
5.Let'sダバダバ
6.シーラカンスイズアンドロイド
7.Tune Up!
8.MEGA OVER DRIVE
9.URGE ON!!
10.BUGGIE TECHNICHA
Tune Up!
https://youtu.be/zHTYsFo5UCE
17:30~ Base Ball Bear [PARK STAGE]
2006年から12年連続出演。かつてはGRASS STAGEにも立っていたBase Ball BearがPARK STAGEに初のトリとして出演。今年のPARK STAGEに最後に立つバンドである。
おなじみのXTCのSEでサポートギターの弓木英梨乃を加えた4人で登場すると、この日も元気いっぱいというか、何歳になっても全く変わらないように思えてくる堀之内のドラムのイントロから「short hair」でスタート。この涼しくなってきた時間帯のこのステージになんとも似合う選曲である。
観客が「1,2,3,4,5」と歌詞に合わせてカウントする「LOVE MATHEMATICS」「GIRL FRIEND」と代表曲を続けると、
「どうも晴れ男ですいません!」
と、この日もそうだが数々の悪天候の野外フェスを晴れさせてきた小出が自身の晴れ男っぷりを改めて語ると、
「この4日間の出演者の中で最もギターが上手い…でも今年はB'zが出てるから、まぁ松本さんとトントンくらいかな(笑)」
と弓木を凄まじくハードルが上がる紹介をし、関根のベースがバンドのグルーヴを引っ張る「SHINE」、小出のカッティングギターが冴えまくる「逆バタフライ・エフェクト」と最新アルバム「光源」の曲を演奏するのだが、やはりライブで聴くと改めて「C2」で獲得したブラックミュージックのグルーヴを自身の本来の持ち味であるギターロックに融合させているということがわかる。
そのブラックミュージックのグルーヴを「C2」のはるか前から体現していた「十字架You and I」では、かつておなじみだった「ダンス湯浅将平」に変わって、弓木が体を目一杯使った渾身のギターソロを披露し、大きな喝采を浴びる。B'zの松本とトントンという小出の言葉も決して大袈裟ではないかもしれない。
そしてラストはイントロに新たなちょっと曲を長めにするアレンジが加わった、初出演時からずっと演奏し続けている曲である「CRAZY FOR YOUの季節」で終了し、見事に初のトリという大役を果たした。
と思いきや、初日から3日目に至るまで一切このステージではやらなかったアンコールにメンバーが応え、
「12年連続出演。なんで間に断らなかったのかなって思うけど(笑)、また来年も出たいと思います!」
とこれからもこのフェスに出続けていく意志を示してから演奏されたのは、この日唯一の夏曲「BREEEEZE GIRL」で、やはりベボベは我々の世代最強の夏バンドであるということを改めて感じさせてくれた。
2006年のWING TENTに初出演して以降、このバンドのこのフェスでの12年間の出演を全て自分はこの目で見てきた。
「これが新人の宿命なのだよ!」
と小出が持ち時間の短さに愚痴っていた初出演から、全員が浴衣を着てやった時や、全曲夏曲縛りというセトリでやった時。
その全てを見てきたけれど、その連続出演が止まりそうな時もあったし、その時は出れなくても仕方ないと思っていた。というか普通なら一時活動休止するような状況だった。でもそれでもバンドは一歩足りとも立ち止まらなかったからこそ、こうして12年間に渡ってずっと見続けることができた。そしてそれはこれからも続いていく。そうしてこのフェスに来続けることによって一緒に年を重ねていける。
自分が心から愛するこのフェスで1番ライブを見てきたバンド。これから先もずっとよろしく。
リハ.changes
1.short hair
2.LOVE MATHEMATICS
3.GIRL FRIEND
4.SHINE
5.逆バタフライ・エフェクト
6.十字架You and I
7.CRAZY FOR YOUの季節
encore
8.BREEEEZE GIRL
BREEEEZE GIRL
https://youtu.be/bLnRythb-pw
18:30~ RADWIMPS [GRASS STAGE]
いよいよ今年の4日間も最後の時間を迎える。今年の大トリを務めるのは、7年ぶりの出演となるRADWIMPS。CDJの年越しに続く大役である。
森瑞希と刃田綴色のツインドラムを加えた5人編成で登場すると、ツアーでもおなじみだった映画「君の名は。」のオープニング曲でもある「夢灯籠」でスタートするのだが、冒頭の大事なフレーズで洋次郎のマイクが出ていないという実にもったいないアクシデントに見舞われてしまう。それが悔しかったのか、後でMCの時間に洋次郎はその部分をアカペラで歌うことによって補ってみせた。
「夢灯籠」からは「光」というのがツアーではおなじみの流れであったが、今回は2曲目で「前前前世」を演奏し、これには冒頭から満員の観客も大喜び。桑原と武田もステージの横に伸びる花道を走りながら演奏するのだが、その姿が実に楽しそうで、このステージに立つ幸せを噛み締めているかのよう。
かつての出演時にも演奏していたことを思い起こさせる「05410-(ん)」で飛び跳ねさせまくると、洋次郎がピアノの前に座り、
「我々がこのフェスに出るのはいつぶりだろう?と思ってライブ履歴を調べたら7年ぶりで。7年ぶりにこのステージに立てて、最後までこんなにたくさんの人が残っていてくれて本当に嬉しいです」
と久しぶりの出演であることに感謝を告げると、「棒人間」でこの広大な敷地いっぱいに洋次郎の声を響かせると(この日は声の調子が凄く良かった)、そのまま美しいピアノのフレーズから始まる「スパークル」は中央のビジョンに映る星空の映像も相まって、まるで「君の名は。」の糸守の地に自分たちがいて、夏祭りの会場でこの曲を聴いているかのような錯覚に見舞われるくらいの美しさだった。
洋次郎がピアノから戻る間に桑原が
「2005年に初めてこのフェスに出た時、ミスチルやサザンがこのステージでライブをやったのを見ていて。この人たちは実在する人たちなんだな~って思いました」
とかつての出演時のことを懐かしそうに語っていたが、そのかつてのミスチルやサザンの位置に今自分たちが立っていて、若手バンドや観客から同じように思われているということに本人たちは気付いているだろうか。
聴かせるような曲が続いたが、「DADA」からは再びアッパーで「ROCK IN JAPANだから」という通りにロックな展開に。「おしゃかしゃま」では恒例の洋次郎が指揮者のようになってのセッションが展開されたのだが、いつも以上に武田のベースにフィーチャーし、最後には武田の頭を掴んで髪をわしゃわしゃといじるというところまで発展。それでもベースを弾き続けた武田は本当に凄いが。
そして「いいんですか?」では観客が手拍子を鳴らす中、洋次郎が観客にマイクを向けて大合唱を巻き起こすと、
「愛してるよー!」
と洋次郎が叫ぶ。それはメンバーから観客へだけでなく、観客からメンバーへも間違いなく同じ感情だったはずだ。
そしてラストは「君と羊と青」で、ツアーのようにアウトロを何度も繰り返すことはなく、あっという間に本編は終了。
しかし観客が「もしも」を歌いながら、スマホのライトを点灯させてアンコールを待つと、
「もうROCK IN JAPANは終わっちゃうけど、まだ今年の夏は終わらせたくないんだろ!
今日は満天の星空ではないけれど、この場所でこの景色の前で演奏したかった曲をやります」
と言ってスマホライトが輝く中で演奏されたのは「トレモロ」。これは野外の夜にしか見ることができない、本当に美しい光景だった。
しかしそれでもまだ終わらず、
「あともう1曲だけやってもいいですか!?」
と言って、このフェスで今年最後に演奏されたのは「有心論」で超満員の観客の歌声が響き渡ってメンバーがステージから去ると、夜空に終演を告げる花火が打ち上がった。
11年前のWING TENTのトリのアンコールで洋次郎が「最大公約数」で泣いたのも、10年前にLAKEのトリのアンコールで味噌汁'sをやったのも、7年前にこのステージでオアシスの「Don't Look Back In Anger」のカバーをやったのも、全てちゃんと覚えてる。7年前のライブは決して満足のいくものではなかったから、ようやくこのフェスでの自分の中でのRADWIMPSの時計が再び動き出した。だからこそ、こうしてGRASSのトリで全ての人の期待にちゃんと応えるようなライブをやってみせたRADWIMPSが見れて本当に嬉しかった。次はもう7年も空かないで戻ってきてくれよ。
1.夢灯籠
2.前前前世
3.05410-(ん)
4.棒人間
5.スパークル
6.DADA
7.おしゃかしゃま
8.いいんですか?
9.君と羊と青
encore
10.トレモロ
11.有心論
有心論
https://youtu.be/c2y8Ba3WwPY
2004年にここに初めて銀杏BOYZを見に来て、人生が変わった。ライブと音楽だらけの人生を歩むようになった。その始まりがこのフェス。ここまでずっと来続けてきたからこそ、これからもずっと。色々と思うことがないわけではないけど、どれだけフェスが大きくなって変わっても、やはり自分はこの場所が1番好きなんだ。
初めて来た時のことも、それからの13年間も全て本当によく覚えている。だからこそこれからもこのフェスでの記憶と思い出を積み重ねて生きていきたい。
でも14年間行ってて、いろんなことに慣れたけど、終わってしまった後のこの寂しさだけは慣れることができないんだよな。また来年、こうしてこのフェスに行って、終わった後にこうやってライブレポを書けるように、1年間生きていかなければ。ひたちなか、また来年!
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10:30~ SPECIAL OTHERS [PARK STAGE]
ロッキンオンジャパン編集長の小柳大輔が
「もはやレギュラーと言ってもいい、このフェスの「FREE」という概念を体現しているようなバンド」
と紹介した、SPECIAL OTHERS。GRASSに出たこともあるし、近年はLAKEへの出演が多かったが、今年は規模が拡大したPARKへの出演。
メンバーが登場すると、しばし楽器の感触や音を確かめるようなジャムを展開してから、芹澤と宮原の声が心地良くメロディを奏でる「Uncle John」からスタートし、徐々に高揚感を高めていく。
フェスで演奏されるのはかなりレアである、バンドの中ではかなりテンポの速い曲「STAR」では曲中に目まぐるしくセッションが展開され、芹澤のピアノ連打、宮原のドラム連打という各々の見せ場も存分に作ったソロパートでは大きな喝采を浴びる。
再びのボーカルパートのある「ORION」ではこの自然のステージの中で聴くのが実によく似合うというこのバンドだからこその空気感に浸らせる中で柳下がギターソロを弾きまくり、雰囲気や空気感だけではなく、ロックフェスでもアピールできる演奏力を充分に発揮していく。
宮原「いやー、雨が上がりましたね!」
芹澤「みなさん、言っておきますけど、雨が上がったのは我々のおかげですからね!」
宮原「我々の物販で格安で売ってるお守りを買えば雨は止みます!8万4千円で売ってます!(笑)」
芹澤「みなさん、我々のおかげだからもうこのステージから移動しちゃダメですよ!もう他のステージは全部終わってますから(笑)そろそろ花火が上がるらしい(笑)」
と嘯きまくるMCは相変わらずだが、
宮原「告知するようなことが一切ない(笑)」
と言いながらも、
芹澤「メジャーデビュー10周年を迎えましたけど、20周年目指してるんで、これからもよろしくお願いします!」
と最後にはこれからの決意を語り、まさに太陽が現れるのを待ち焦がれる曇天の空の下で演奏されるのが今の状況にうってつけ過ぎる「Wait for the Sun」で終了し、芹澤はおなじみの記念撮影。今年も夏の野外というこのバンドのライブを見るには最も相応しい空間をグッドミュージックで満たしてみせた。
1.Uncle John
2.STAR
3.ORION
4.Wait for the Sun
Uncle John
https://youtu.be/H3ajhmnr6RI
11:40~ Mrs. GREEN APPLE [LAKE STAGE]
酒を片手に見ている大人ばかりだったSPECIAL OTHERSから、酒を飲めないような若者ばかりの客席へ。今年で3回目の出演であり、WING TENT、SOUND OF FOREST、そして今年はLAKE STAGEへと歩みを進めたMrs. GREEN APPLEである。
しかしながら始まる前から超満員で、早くも入場規制がかかりそうなレベルというのがこのバンドの今の勢いを象徴している。
そんな中、ラメ入りのド派手なピンクの衣装に金髪という出で立ちの紅一点メンバー・山中を先頭に、藤澤も髪の色が緑色という見た目にも華やかなメンバーがステージに揃うと、「VIP」でスタートし、早くも高野のベースソロが炸裂。大森の声もやはり圧巻と言えるくらいの伸びっぷりを見せている。
ここに集まった多くの人が待ち望んでいたであろう「サママ・フェスティバル!」で今年の夏もこうしてこのバンドと一緒に過ごせてこの曲が聴けるという幸せに浸らせると、大森がハンドマイク状態になってステージを動き回りながら歌う「アンゼンパイ」へ。
「VIP」もそうだが、「アンゼンパイ」もインディーズ時代の曲だし、新代田や渋谷の小さいライブハウスでまだライブをやっていた頃に毎回やっていた曲たちである。しかしその曲たちもこうした1万人規模のステージで鳴らされるべきスケールをあらかじめ持っていたというのがこれだけ大きいステージでたくさんの人の前で演奏されるとよくわかる。
高野もベースからシンセに変わっての「うブ」からはEDM、スタジアムポップ感を強め、それは「WHOO WHOO WHOO」、ドラマの主題歌になっている新曲「WanteD! WanteD!」でもそうなのだが、今年アルバムを出したばかり、さらにその後にもシングルを出しているというのにそれらの曲をほとんどやることなく、さらなる新曲をガンガンライブでやっているというこのバンドの無尽蔵な創作ペースにはもうひれ伏すしかない。
新曲も含め、こうした近年の曲は初期のギターロックの曲からはかなり飛距離があるようにも感じるが、大森は
「なんか、「サママ・フェスティバル!」あたりからMrs.GREEN APPLEって変わっちゃったよね、っていう声もよく聞くんですけど…あんたらはMrs.GREEN APPLEの何を聴いてきたんだ!と。生楽器が減ったらバンドじゃないってすごく狭くないですか?僕らは成長期なんですよ!いろんなことをやりたいんです」
とそのバンドの変化に自らの言葉で答えを出す。
やはり自分も初期のギターロックな曲を聴いてこのバンドのライブに行くようになっただけに、この変化には戸惑いもなかったわけではないのだが、このバンドは大森の若さも含め、そうした旧い価値観から完全に解き放たれたところにいる。もうそうした「バンド」というものの呪縛にあらかじめ全く縛られていない。だからこそこうして新たな音楽性にどんどん踏み込んでいけるし、それをメンバー全員が楽しみながらやっている。もう完全に世代というか時代が違う。これからシーンの先頭を走るようになるのは、このバンドのように何にも縛られることがないようなバンドなんだろうとも思える。
そして「Speaking」で大合唱を巻き起こすと、
「2年前にWING TENTに出た時、めちゃくちゃ緊張してたんです。でもあれから2年経って…同じようにめちゃくちゃ緊張してます!」
と、どっからどう見ても堂々としてるようにしか見えないのにどこが緊張しているんだろうか、と思わされるMCから最後に演奏されたのはメジャーデビュー曲「StaRt」。
インディーズデビュー時からこれまでにもこのバンドには何度も驚かされてきたが、この日はこれまでで最も「ああ、これはこのバンドはもっととんでもないところまで行くんだろうな」と思わされた。それはきっとまた様々な音楽性の変化を遂げながら。もう来年は本当にGRASS に立っているかもしれないが、新しい価値観をその活動を持って提示しているという意味では、どの若手バンドよりもGRASSに立つべきバンドなんじゃないかとも思っている。
しかしミセスを見に来たと思われる、中学生や高校生くらいの人を見ると、その年齢の時からこのフェスに来れて、こうしていろんなアーティストのライブを見ることができるっていうのは本当にうらやましいと素直に思う。それはフェスに行くのが当たり前という時代になったという背景も少なからずあるが、自分が初めてこのフェスに来た時は中学生や高校生なんて全く会場にいなかったから。そのくらいの年齢の時からここに来たかったな。
1.VIP
2.サママ・フェスティバル!
3.アンゼンパイ
4.うブ
5.WHOO WHOO WHOO
6.WanteD! WanteD!
7.Speaking
8.StaRt
サママ・フェスティバル!
https://youtu.be/25kQyBF6mz4
12:45~ cinema staff [BUZZ STAGE]
今はなきSeaside Stageを始め、毎年のようにステージを変えながら出演し続けている、cinema staff。今年はBUZZ STAGEへ登場である。
2週間前にアルカラのイベントで見たばかり、その時は完全に新作モードだったので、「熱源」から始まったこの日もそのモードかと思いきや、先日はやらなかった、バンド最大のヒット曲である「great escape」もやるというフェスらしい選曲をしてくるあたりはさすがにずっとこのフェスに出続けているバンドである。
しかしながらこの日、明らかに気合いが入り過ぎなくらいに入りすぎていたというか、普段は
「岐阜県から来ました。cinema staffです」
と割と落ち着いた語り口で挨拶する三島が
「岐阜県から来ました!!!cinema staffです!!!」
と聴き取れないくらいに気合いが入りまくった挨拶をし、その後も曲間に言葉を挟むのだが、もう全く何を言っているのかわからないレベルで、演奏中もベースをぶん回しながら弾いている。普段は最も自由にギターを弾くことで目立つ辻のお株を奪うくらいの暴れっぷりである。
「theme of us」では間奏でステージ袖からアシンメトリーの髪の男こと、Halo at 四畳半の白井が乱入して辻の代わりにギターを弾くというコラボもあったがらメンバーは全く白井のことには触れず(笑)
三島の暴れっぷりとは対照的にこの日も瑞々しい声を響かせていた飯田はこの日GRASS STAGEのトップバッターとして出演した欅坂46のライブに圧倒されたことを語ると、
「フェスって腕を振って盛り上がるだけじゃないですよね。今日みたいな曇り空の日にピッタリな曲が僕らにもあるので」
と言ってラストに演奏されたのは、壮大な「僕たち」。最後には辻がステージを転がり回りながらギターを弾き、5曲30分とは思えないくらいの満足感溢れる熱演となった。
しかし以前、SOUND OF FORESTに出演した年に三島は、自分たちがこのフェスで小さいステージに出まくっていることを語りながら、
「来年はLAKE行きますよ!」
と力強く宣言していたが、「great escape」のヒットを経ても未だにLAKEにはたどり着けていないし、それはかなり遠くに感じるようになってきてしまった。それでもこのバンドは間違いなくこのフェスを支えてきたバンドなだけに、これからも出続けていて欲しい。
1.熱源
2.great escape
3.エゴ
4.theme of us
5.僕たち
great escape
https://youtu.be/u2YSzzXb2I4
13:30~ 中村一義 [WING STAGE]
2000年の第1回のこのフェスの幻の大トリにして、翌年の大トリである中村一義が、デビュー20周年イヤーの今年にひたちなかに帰還。2000年のこのフェスで初めて人前でライブをやるはずだったという経緯を踏まえると、ここは始まりの地である。
近年の活動の大事な仲間であるバンド海賊(Hermann H.&The Pacemakersとヨースケ@home)とともにステージに登場すると、演奏を始めるかと思いきや、楽器を持ったメンバーが楽器を置いて全員が円陣を組んで気合いを入れると、デビュー曲である「犬と猫」からスタートし、
「どう?どう?」
の大合唱。ギター3人にキーボードも加えたサウンドは実に豊かなサウンドで、TOMO TOMO CLUBとマシータによるリズム隊はロックンロール色が強い。
そのバンドサウンドにピッタリな「ショートホープ」から、海賊とのテーマ曲と言える「スカイライン」では観客がヨースケ@homeに合わせて手を左右に振る。
おなじみの「1,2,3」から、
「ここにいるみんなが死んだように生きてるわけがなかった!」
と歌詞のフレーズを引用して観客に語りかけた「キャノンボール」へ。TOMO TOMO CLUBのベースの音が曲中に8割方出ていないというアクシデントもあったが、サビでの大合唱は未だにこの曲がこのフェスにおける最大のアンセムであることを証明していた。
そしてラストは「ロックンロール」。癌から復活した岡本洋平が中村一義に寄り添うようにしてギターを弾くと、キツそうなハイトーン部分も必死に歌いきり、集まってくれた観客に感謝を告げて海賊たちとともにステージを去って行った。
もうGRASS STAGEに出れるような存在ではないし、このWING STAGEでも満員になるような存在ではなくなってきている。それでも岡本洋平は出番後にSNSで
「中村一義がいなかったらこのフェスはなかった」
と発言していた。自身もヘルマンでまだこのフェスが始まった当初に出演していた経験があるからこその言葉。確かに、このフェスは中村一義がライブをやるための場所という目的もあった。だからこそ、こうしてこれからもこのフェスに出てくれるんならこうして見に行きたい。もちろんワンマンも行くけど。
1.犬と猫
2.ショートホープ
3.スカイライン
4.1,2,3
5.キャノンボール
6.ロックンロール
キャノンボール
https://youtu.be/IPJhcDtOHb8
14:00~ 9mm Parabellum Bullet [LAKE STAGE]
去年まではGRASS STAGEに出演していた、9mm。2008年以来9年ぶりのLAKE STAGEに帰還である。
去年もHEREの武田を加えた5人編成だったが、今年が去年と違うのはステージだけではなく、5人編成の中身。武田だけではなくfolcaの為川も加えたトリプルギター、しかもかみじょうのドラムセットが卓郎のすぐ横のステージ上手側にあるという、「BABEL」ツアーと全く同じものになっている。2週間前のアルカラのイベントではサポートは武田のみのシンプルな4人編成だっただけに、ライブに応じて形を変えていくということだろうか。
「サクリファイス」からスタートしたライブも完全に「BABEL」モード。キメ連発の「ガラスの街のアリス」、
「もっと燃え上がろうぜ!」
と卓郎が煽っての「火の鳥」、轟音でありながら美しいメロディのミドルテンポの「眠り姫」と、様々な角度から最新の9mmの形を見せていく。
しかしながらこれだけフェスで最新アルバムの曲ばかりやることってあっただろうか?というくらいに「BABEL」曲連発だが、
「もっともっと燃え上がって、LAKE STAGEの裏の湖を干上がらせてやろうぜ。そのためにどうするかっていうと、ハートに火をつけるんだよ!」
と卓郎自身も燃え上がるように「ハートに火をつけて」ではサポートギターの2人にギターを任せてハンドマイクで踊りまくりながら歌い、それはおなじみの歌詞にこの会場の名前を入れた「Black Market Blues」もそうだが、ツアーに来ていなかった、この日初めてこの編成でのライブを見る人たちにとってはこれはかなり衝撃的な絵であろう。
再び「BABEL」の「ロング・グッドバイ」からラストは和彦もシャウトしまくり、サポート2人も前に出てきてギターを弾きまくる「Punishment」で轟音のさらに向こう側の世界を見せつけ、卓郎はいつものように丁寧に観客に頭を下げたり手を振ったりしながらステージを去って行った。
去年の滝がシンセでライブを行っていた編成では、代表曲連発という、フェス向きではあるものの、その時、その状況でセトリを大胆に変える9mmらしいものではなかったし、実際「BABEL」ツアー前まではそのセトリはほとんど変わることがなく、物足りなさを感じたりもしていた。9mmがずっとそういう「フェスではフェス向けセトリ」でライブをやるバンドだったらそうは思わなかったかもしれないが、9mmはそういうバンドではなかったから。
でもやはり9mmはそれから様々な試行錯誤や挑戦、そして「BABEL」のリリースとツアーを経て、9mmらしさを取り戻した。いや、取り戻したんじゃないな、これは。新しい9mmのフェスの戦い方の始まりだ。このスタイルがいつまで続くのかはわからないし、できることならやっぱり滝が復帰して4人でライブをやるのが1番良い形なのだが、少なくともワンマンで見てればフェスでは見なくてもいいかな、というバンドになることはなかった。
このステージやPARKに出ていた若手バンドたちに比べると、またGRASSに立つのは厳しいだろうな、とも思わざるを得なかったが、いつかまたGRASSの観覧車越しに太陽が見上げられる位置で「Termination」を聴ける日が来ますように。
1.サクリファイス
2.ガラスの街のアリス
3.バベルの子どもたち
4.火の鳥
5.眠り姫
6.ハートに火をつけて
7.Black Market Blues
8.ロング・グッドバイ
9.Punishment
ガラスの街のアリス
https://youtu.be/uY-QrSbVRW8
14:40~ tacica [WING STAGE]
2014年のSOUND OF FOREST以来の出演となる、tacica。今年はWING STAGEへの出演であるが、開演前から客席からはみ出すくらいの大入りっぷり。
サポート2人を加えた4人編成(ドラマーは中畑大樹)で登場すると、「鼈甲の手」からスタートするという、もう冒頭から盛り上がるような楽しみ方は一切ない、ひたすらに猪狩の声とメロディと歌詞、シンプルなバンドのサウンドをしっかりと聴かせるというこのバンドのスタイルが感じられる。
MVでは完全に吹雪の中で演奏している、かつてオリコンTOP10入りも果たしたヒットシングル曲「人鳥哀歌」という、真夏の野外でまさかこの曲を聴けるとは!という嬉しい選曲のあとには、月末にリリースされるアルバムからの新曲「諦める喉の隙間に新しい僕の風が吹く」を披露。これもまた本当にじっくりと歌詞と向き合うような聴き方しかできないような曲であり、このバンドが本当に周りのシーンに一切流されたり影響されたりすることなく、独自の道を歩き続けていることがよくわかる。
「少し、曇りが良かった…(笑)」
ともう朝の雨はどこへやらとばかりに晴れ渡った空の下が全く似合わない猪狩らしい言葉で笑わせると、
「太陽が眩しくてエフェクターのどこが光ってるのかがわからない…(笑)」
と、もはや中堅と言っていいくらいのキャリアであるにもかかわらず、全く野外慣れしてないことをうかがわせると、猪狩の声が慈悲深く響く「キャスパー」から、
「描けない夢なんてない 叶わない夢なんてない
って思ってたんだろうひとり
残り全部の命を使って
残り全部の命を使え」
というフレーズが穏やかなサウンドながらも確かに力強く歩いていく意志を実感させてくれる「DAN」で終了。
「またここに戻って来られるように頑張ります」
という言葉は嘘いつわりない、このステージがもっと似合うようなバンドになりたいという意識を感じさせた。
昨今、よくフェスで言われている、「盛り上がるような音楽のバンドが人気で、そうじゃない音楽のバンドはフェスに合わない」という論調。しかしtacicaは明らかに後者に属するタイプのバンドでありながら、WING STAGEに入りきれないくらいの人を集め、その人たちがしっかりと曲に向き合うという景色を作った。
派手ではないがヒットシングルを何曲も持っているバンドだからというのもあるが、盛り上がる盛り上がらないではなくて、結局は楽曲が良いものかどうかという問題だと思う。盛り上がるようなバンドが人をたくさん集めているのも、そのバンドが良い曲を作っているから。(だからそうした盛り上がるバンド全てが満員になるっていうわけでは決してない)
この日のtacicaの姿とライブからは、そうしたロックバンドにとって最も大事なものがなんなのか、というのを改めて確認させてくれた気がしている。そういう意味でも、ただ良いライブが見れたっていう以上の感触が残っている。
1.鼈甲の手
2.人鳥哀歌
3.諦める喉の隙間に新しい僕の風が吹く (新曲)
4.キャスパー
5.DAN
人鳥哀歌
https://youtu.be/gbDsE039990
15:25~ DAOKO [BUZZ STAGE]
ヒップホップシーンから現役女子高生ラッパーという立ち位置で登場し、様々なタイアップ曲のリリースによって、現在さらに広い場所に踏み出してきている、DAOKO。CDJに続いて夏にも登場。
この手の楽器を弾かない女性ソロシンガー(及びラッパー)だと得てしてトラックは打ち込みでカラオケ、という形になりがちだが、この日は打ち込みもメインにしながらも、シンセとデジドラのサポート2名がいるという生演奏としてのダイナミズムも感じられる編成。(デジドラを叩くのは米津玄師のバンドでドラムを担当している堀正輝)
その2人の演奏するトラックに導かれて長い黒髪のDAOKOが登場すると、パッと見ではそれしか着てないように見えるビッグサイズの白のTシャツ(の下に青いショーパン)というセクシーなファッションで「FASHION」からスタートし、その独特なアンニュイなボーカルを響かせる。
メジャーデビュー以降はラップというよりも歌モノに移行した感もあるが、曲間には「ROCK IN JAPAN」というこの日ならではのワードも入れたフリースタイルで曲に繋げるというあたりは実に見事で、彼女のスキルの高さを改めてうかがわせる。
「水星」からは青い衣装の女性ダンサーも登場して、DAOKO自身もダンスを踊りながら、オートチューンをかけた声で歌うのだが、その声と出で立ちとダンスという全ての要素からは魔性の力のようなものを強く感じさせる。
一気にビートが強くなった「Shibuya K」から椎名林檎「歌舞伎町の女王」のエレクトロアレンジカバーというセトリで完全に自分のものとして乗りこなしながら渋谷と新宿をつなぎ合わせると、セクシーなダンスの「BANG!」で視覚的にも一気に観客を惹きつける。
そしてラストに披露されたのは、映画の主題歌として楽曲が公開されたばかりの、米津玄師とのコラボ曲である新曲「打上花火」。米津玄師のパートとコーラスは当然打ち込みであったが、この曲が彼女をさらに大きなステージに連れて行くんだろうな、と実感させるとともに、もうこの日打上花火を見たら今年のロッキンが終わってしまうという切なさがこみ上げてきてしまった。
1.FASHION
2.水星
3.Shibuya K
4.歌舞伎町の女王
5.BANG!
6.打上花火
打上花火
https://youtu.be/-tKVN2mAKRI
16:20~ POLYSICS [LAKE STAGE]
実に第2回の2001年から17年連続出演、もはやこのバンドよりも多く(同じ形態で)出演しているのは皆勤賞のDragon Ashしかいないという領域にまで達している、紛れもなくこのフェスの顔と言えるバンド、POLYSICS。初出演時から慣れ親しみ、トリも務めたこともあるLAKE STAGEに登場である。
爽やかな黄色いツナギを着た3人がステージに登場すると、「SUN ELECTRIC」からスタートし、ひたすらに代表曲を畳み掛けていくという20周年を迎えて、ベスト的なリテイクアルバムを出したことによる選曲でガンガン客席を踊らせ、暴れさせていく。
おなじみの「トイス!」の挨拶から、バンドが20周年を迎えたことを、
「こんな日が来るなんて、想像していなかったなぁ…」
と、このフェスに出続けて20周年を迎えた感慨を言葉にすると、観客からは「おめでトイス!」の祝福がバンドに放たれ、ハヤシは投げキスでファンの愛に応える。
「Let'sダバダバ」からもバンドの歴史(それはすなわちこのフェスの歴史でもある)を作ってきた名曲たちを次々に演奏すると、雨が降っていた朝に比べると予想以上に暑かったのか、ハヤシが汗びっしょりで
「今日、めちゃ暑いな!」
と思わず口に出しながらスタッフに水をかけてもらい、「MEGA OVER DRIVE」ではシンセを無理矢理ショルダーキーボードのようにして弾くというおなじみのパフォーマンスも見せ、あまりの暑さとバンドと客席の熱さによってハヤシがバイザーを外して熱唱。
上がりきった気温と熱気をさらに上げるのは、3人がポーズを取ってから演奏に突入した「URGE ON!!」から、ラストはカヨが脱退した後に初めてライブを行った2010年のこのフェスのGRASS STAGEでのライブから、カヨがやっていた振り付けを観客がやるようになったという歴史が染みついている「BUGGIE TECHNICHA」で今年も完全燃焼。
しかしながら、客席の埋まり具合は2~3割という実に厳しいものだった。同じ時間にPARK STAGEに出ていたKEYTALKが超満員だったという要素もあるだろうが、このフェスの歴史を作ってきたPOLYSICSももうこのキャパのステージに立つのはだんだん厳しくなってきている。(CDJもCOSMO STAGEだったし)
それでも、やっぱりこのバンドは絶対このフェスに欠かせないバンドだし、このLAKE STAGEで青空の下で見るのが他のどのステージよりも似合っていると思うだけに、これからも毎年このステージで見ていたい。
1.SUN ELECTRIC
2.Young OH! OH!
3 Baby BIAS
4.Rocket
5.Let'sダバダバ
6.シーラカンスイズアンドロイド
7.Tune Up!
8.MEGA OVER DRIVE
9.URGE ON!!
10.BUGGIE TECHNICHA
Tune Up!
https://youtu.be/zHTYsFo5UCE
17:30~ Base Ball Bear [PARK STAGE]
2006年から12年連続出演。かつてはGRASS STAGEにも立っていたBase Ball BearがPARK STAGEに初のトリとして出演。今年のPARK STAGEに最後に立つバンドである。
おなじみのXTCのSEでサポートギターの弓木英梨乃を加えた4人で登場すると、この日も元気いっぱいというか、何歳になっても全く変わらないように思えてくる堀之内のドラムのイントロから「short hair」でスタート。この涼しくなってきた時間帯のこのステージになんとも似合う選曲である。
観客が「1,2,3,4,5」と歌詞に合わせてカウントする「LOVE MATHEMATICS」「GIRL FRIEND」と代表曲を続けると、
「どうも晴れ男ですいません!」
と、この日もそうだが数々の悪天候の野外フェスを晴れさせてきた小出が自身の晴れ男っぷりを改めて語ると、
「この4日間の出演者の中で最もギターが上手い…でも今年はB'zが出てるから、まぁ松本さんとトントンくらいかな(笑)」
と弓木を凄まじくハードルが上がる紹介をし、関根のベースがバンドのグルーヴを引っ張る「SHINE」、小出のカッティングギターが冴えまくる「逆バタフライ・エフェクト」と最新アルバム「光源」の曲を演奏するのだが、やはりライブで聴くと改めて「C2」で獲得したブラックミュージックのグルーヴを自身の本来の持ち味であるギターロックに融合させているということがわかる。
そのブラックミュージックのグルーヴを「C2」のはるか前から体現していた「十字架You and I」では、かつておなじみだった「ダンス湯浅将平」に変わって、弓木が体を目一杯使った渾身のギターソロを披露し、大きな喝采を浴びる。B'zの松本とトントンという小出の言葉も決して大袈裟ではないかもしれない。
そしてラストはイントロに新たなちょっと曲を長めにするアレンジが加わった、初出演時からずっと演奏し続けている曲である「CRAZY FOR YOUの季節」で終了し、見事に初のトリという大役を果たした。
と思いきや、初日から3日目に至るまで一切このステージではやらなかったアンコールにメンバーが応え、
「12年連続出演。なんで間に断らなかったのかなって思うけど(笑)、また来年も出たいと思います!」
とこれからもこのフェスに出続けていく意志を示してから演奏されたのは、この日唯一の夏曲「BREEEEZE GIRL」で、やはりベボベは我々の世代最強の夏バンドであるということを改めて感じさせてくれた。
2006年のWING TENTに初出演して以降、このバンドのこのフェスでの12年間の出演を全て自分はこの目で見てきた。
「これが新人の宿命なのだよ!」
と小出が持ち時間の短さに愚痴っていた初出演から、全員が浴衣を着てやった時や、全曲夏曲縛りというセトリでやった時。
その全てを見てきたけれど、その連続出演が止まりそうな時もあったし、その時は出れなくても仕方ないと思っていた。というか普通なら一時活動休止するような状況だった。でもそれでもバンドは一歩足りとも立ち止まらなかったからこそ、こうして12年間に渡ってずっと見続けることができた。そしてそれはこれからも続いていく。そうしてこのフェスに来続けることによって一緒に年を重ねていける。
自分が心から愛するこのフェスで1番ライブを見てきたバンド。これから先もずっとよろしく。
リハ.changes
1.short hair
2.LOVE MATHEMATICS
3.GIRL FRIEND
4.SHINE
5.逆バタフライ・エフェクト
6.十字架You and I
7.CRAZY FOR YOUの季節
encore
8.BREEEEZE GIRL
BREEEEZE GIRL
https://youtu.be/bLnRythb-pw
18:30~ RADWIMPS [GRASS STAGE]
いよいよ今年の4日間も最後の時間を迎える。今年の大トリを務めるのは、7年ぶりの出演となるRADWIMPS。CDJの年越しに続く大役である。
森瑞希と刃田綴色のツインドラムを加えた5人編成で登場すると、ツアーでもおなじみだった映画「君の名は。」のオープニング曲でもある「夢灯籠」でスタートするのだが、冒頭の大事なフレーズで洋次郎のマイクが出ていないという実にもったいないアクシデントに見舞われてしまう。それが悔しかったのか、後でMCの時間に洋次郎はその部分をアカペラで歌うことによって補ってみせた。
「夢灯籠」からは「光」というのがツアーではおなじみの流れであったが、今回は2曲目で「前前前世」を演奏し、これには冒頭から満員の観客も大喜び。桑原と武田もステージの横に伸びる花道を走りながら演奏するのだが、その姿が実に楽しそうで、このステージに立つ幸せを噛み締めているかのよう。
かつての出演時にも演奏していたことを思い起こさせる「05410-(ん)」で飛び跳ねさせまくると、洋次郎がピアノの前に座り、
「我々がこのフェスに出るのはいつぶりだろう?と思ってライブ履歴を調べたら7年ぶりで。7年ぶりにこのステージに立てて、最後までこんなにたくさんの人が残っていてくれて本当に嬉しいです」
と久しぶりの出演であることに感謝を告げると、「棒人間」でこの広大な敷地いっぱいに洋次郎の声を響かせると(この日は声の調子が凄く良かった)、そのまま美しいピアノのフレーズから始まる「スパークル」は中央のビジョンに映る星空の映像も相まって、まるで「君の名は。」の糸守の地に自分たちがいて、夏祭りの会場でこの曲を聴いているかのような錯覚に見舞われるくらいの美しさだった。
洋次郎がピアノから戻る間に桑原が
「2005年に初めてこのフェスに出た時、ミスチルやサザンがこのステージでライブをやったのを見ていて。この人たちは実在する人たちなんだな~って思いました」
とかつての出演時のことを懐かしそうに語っていたが、そのかつてのミスチルやサザンの位置に今自分たちが立っていて、若手バンドや観客から同じように思われているということに本人たちは気付いているだろうか。
聴かせるような曲が続いたが、「DADA」からは再びアッパーで「ROCK IN JAPANだから」という通りにロックな展開に。「おしゃかしゃま」では恒例の洋次郎が指揮者のようになってのセッションが展開されたのだが、いつも以上に武田のベースにフィーチャーし、最後には武田の頭を掴んで髪をわしゃわしゃといじるというところまで発展。それでもベースを弾き続けた武田は本当に凄いが。
そして「いいんですか?」では観客が手拍子を鳴らす中、洋次郎が観客にマイクを向けて大合唱を巻き起こすと、
「愛してるよー!」
と洋次郎が叫ぶ。それはメンバーから観客へだけでなく、観客からメンバーへも間違いなく同じ感情だったはずだ。
そしてラストは「君と羊と青」で、ツアーのようにアウトロを何度も繰り返すことはなく、あっという間に本編は終了。
しかし観客が「もしも」を歌いながら、スマホのライトを点灯させてアンコールを待つと、
「もうROCK IN JAPANは終わっちゃうけど、まだ今年の夏は終わらせたくないんだろ!
今日は満天の星空ではないけれど、この場所でこの景色の前で演奏したかった曲をやります」
と言ってスマホライトが輝く中で演奏されたのは「トレモロ」。これは野外の夜にしか見ることができない、本当に美しい光景だった。
しかしそれでもまだ終わらず、
「あともう1曲だけやってもいいですか!?」
と言って、このフェスで今年最後に演奏されたのは「有心論」で超満員の観客の歌声が響き渡ってメンバーがステージから去ると、夜空に終演を告げる花火が打ち上がった。
11年前のWING TENTのトリのアンコールで洋次郎が「最大公約数」で泣いたのも、10年前にLAKEのトリのアンコールで味噌汁'sをやったのも、7年前にこのステージでオアシスの「Don't Look Back In Anger」のカバーをやったのも、全てちゃんと覚えてる。7年前のライブは決して満足のいくものではなかったから、ようやくこのフェスでの自分の中でのRADWIMPSの時計が再び動き出した。だからこそ、こうしてGRASSのトリで全ての人の期待にちゃんと応えるようなライブをやってみせたRADWIMPSが見れて本当に嬉しかった。次はもう7年も空かないで戻ってきてくれよ。
1.夢灯籠
2.前前前世
3.05410-(ん)
4.棒人間
5.スパークル
6.DADA
7.おしゃかしゃま
8.いいんですか?
9.君と羊と青
encore
10.トレモロ
11.有心論
有心論
https://youtu.be/c2y8Ba3WwPY
2004年にここに初めて銀杏BOYZを見に来て、人生が変わった。ライブと音楽だらけの人生を歩むようになった。その始まりがこのフェス。ここまでずっと来続けてきたからこそ、これからもずっと。色々と思うことがないわけではないけど、どれだけフェスが大きくなって変わっても、やはり自分はこの場所が1番好きなんだ。
初めて来た時のことも、それからの13年間も全て本当によく覚えている。だからこそこれからもこのフェスでの記憶と思い出を積み重ねて生きていきたい。
でも14年間行ってて、いろんなことに慣れたけど、終わってしまった後のこの寂しさだけは慣れることができないんだよな。また来年、こうしてこのフェスに行って、終わった後にこうやってライブレポを書けるように、1年間生きていかなければ。ひたちなか、また来年!
Next→ 8/25~27 SWEET LOVE SHOWER 2017 @山中湖交流プラザきらら


