2日目。前日よりも朝から天気は良く、「ロッキンだな~」という感じだが、そこまでめちゃくちゃ暑いわけでもないというフェス日和。この日は久々にこのフェスに帰ってきた出演者も多く並んでいる。
10:30~ チャットモンチー [PARK STAGE]
この日のPARK STAGEのトップバッターはチャットモンチー。2006年にWING TENTの大トリを務め、2007年には早くもLAKEに進出、それ以降はずっとGRASSに出続けてきたため、PARKに出演するのは初である。
ツアー同様にステージにはギター、ベース、ドラムのみならず様々な機材が並ぶ中、2人が登場すると向かい合うようにシンセの前に座り、メカットモンチーアレンジされた「恋の煙」でスタートすると、さらにgroup_inouがリミックスしたバージョンのさらなるアレンジバージョンの「変身」と続けると、2人がキャップを被ってステージ前まで出てきて、朝イチだからということでラジオ体操を展開。超満員の観客全員参加で揃った体操をするのは圧巻で、
「ラジオ体操やる先生の気持ち良さがわかったわ(笑)」
と絵莉子がクセになったことにより、かなり長めのラジオ体操になった。
そのまま2人がショルダーキーボードを渡し合いながらラップしたのは、スチャダラパーとのコラボ曲「M4EVER」。ツアーでもやっていたとはいえ、まさかフェスでもやることになるとは。
デジタルな編成から一転してアコースティックでの温かいアレンジで演奏されたのは「コンビニエンス・ハネムーン」と、曲によって目まぐるしく編成を変えながら、「majority blues」からは2人編成のバンドの形に。テツandトモが出演しているMVの面白さが話題になっている「Magical Fiction」から「風吹けば恋」、そして
「最後はやっぱりこの曲でしょー!」
とアッコが言い、軽快な四つ打ちのリズムに合わせて手拍子が起き、観客も大合唱した「シャングリラ」で終了。
最近はツアーが中止になったりと、絵莉子の喉の状態が不安になることも多かったが、この日はその不安を感じることは一切なく、あの小さい体から力強い歌声を響かせていた。
しかしこの日、この時間のGRASS STAGEに出演していたのはWANIMA。2年前、WANIMAがこのフェスに初出演した時は、WANIMAがFORESTで、その時間にGRASSに出ていたのがチャットモンチーだった。全く同じ被り方だが、2年で2組の状況は完全に逆転した。それでもこのキャパを満員にする集客力はまだまだある。MCはいつまで経っても一切上手くならないが。
1.恋の煙
2.変身 (GLIDER MIX)
3.M4EVER
4.コンビニエンス・ハネムーン
5.majority blues
6.Magical Fiction
7.風吹けば恋
8.シャングリラ
Magical Fiction
https://youtu.be/pBBEcMurGnk
11:40~ 175R [PARK STAGE]
かつてはGRASS STAGEを揺らしまくっていた175R。活動休止と再会を経て、実に9年ぶりにこのフェスに帰ってきた。
活動再会後にギターのKAZUYAが脱退したため、サポートギター2名を加えての5人編成で登場すると、SHOGOが
「ROCK IN JAPAN、帰ってきたぞー!」
とこのフェスに帰ってこれた喜びを爆発させ、いきなりの「ハッピーライフ」で大合唱が巻き起こる。今でもこの曲を歌える人たちがたくさんいる。
活動再会後の心境そのもののような「これから」、この時期にピッタリの「夏のマボロシ」と、変わらないようでいて確かに昔とは違う、今の175Rの最新系の姿を見せると、槇原敬之「遠く 遠く」のパンクバージョンカバーも披露。前日に出演していた赤い公園もこの曲をカバーしているが、アレンジがそれぞれ違うにもかかわらず、やはりメロディを生かしたものになっているのは共通している。そしてかつての無邪気な少年性の強かったSHOGOのボーカルは、ソロ活動や舞台を経験したことによって渋みを増し、非常に上手くなっている。体型からは年月の経過を感じざるを得ないが。
「僕ら、活動休止して再開して、9年ぶりの出演で。だから僕らが1番胸を張って「ただいま」って言えると思ったら、桑田佳祐さんは15年ぶりだって(笑)(実際には桑田佳祐はサザンオールスターズで2005年にも出ているので12年ぶり。その前に出た、ゆずが16年ぶりで今回最長スパン)
まぁ、向こうは売れてますから(笑)」
とかつてとの状況の違いをしみじみと語ると、拳を突き上げて大合唱する「Glory Days」、175Rの持ち味の一つであるスカのリズムで踊らせまくる「Party」と、かつてのライブ定番曲が連発され、
「今日は曇ってるけど、俺には青空に見えるぜー!この想いは届くかなぁ。届くといいなぁ!」
とSHOGOが言って最後に演奏されたのは、やはり「空に唄えば」。PARK STAGEからはみ出すくらいに後ろの方にいる人たちも巻き込んでの凄まじい大合唱は、このバンドが紛れもなくかつて国民的バンドの立場にいたことを思い出させた。(その立場にいた時間は非常に短いものではあったが)
また、SHOGOは「WANIMAは凄いなぁって」とも言っていた。今やGRASS STAGEでも最大規模の動員力を誇るようになったパンクバンドを見て、SHOGOはかつてあのステージに立っていた自分たちの姿を重ねていたのではないだろうか。しかし、175Rはそんな凄いWANIMAでも成し遂げてないことをやった。それはメジャーデビューから2作連続でシングルオリコン1位という、バンドとしてはとんでもない記録。もちろん、今とではオリコンランキングの持つ意味や重要度も違う。でもあの時確かに頂点にいたバンドが活動休止して、2004年に自分が初めてライブを見たこのフェスのステージで見れることももうないと思っていたから、こうしてまたこのフェスで見れたのが本当に嬉しかった。でもそれは単なる懐古主義ではなくて、バンドが様々な経験をしてきた上でちゃんと今の姿、前に進んでる姿を見せてくれたから嬉しかったのである。
1.ハッピーライフ
2.これから
3.夏のマボロシ
4.遠く 遠く
5.Glory Days
6.Party
7.空に唄えば
空に唄えば
https://youtu.be/ThvzSZr5hsI
12:50~ sumika [PARK STAGE]
本気のリハで曲を連発していると、こんなに!?というくらいに始まる前から超満員。これはチャットモンチーや175Rを完全に凌ぐレベルで、LAKE STAGEなら入場規制がかかっているだろうくらい。初のフルアルバム「Familia」もヒットしている中、このバンドへの期待の高さが伺える。
しかしながらリハ中から、
「やっぱりチャットモンチーの機材はさすがだな」
など、よくわからない会話がメンバー間で行われていたのだが、本番でメンバーが登場して片岡が歌い上げたオープニング曲「Answer」を終えると、なんとこの日の朝に機材車盗難に遭い、機材を盗られてしまったことが告げられる。だからこそ他の出演者に機材を借りたことがリハの会話に繋がっていたのだ。
「正直、めちゃムカついています」
と片岡は笑いながらも怒りを隠そうとはしていなかったが、
「完全に満身創痍の我々です。皆さんの力を貸していただけないでしょうか!?」
と「Lovers」では
「ずっとずっと離れぬように」
の大合唱を観客に委ね、機材を盗まれた怒りすらも
「あなたの心を盗みにきました!」
とポップに変換してみせるという、このバンドだからできる逆境の跳ね返し方を見せる。それはこのバンドの音楽には「怒り」の感情が入り込む隙間がないくらいにポップさで満ち溢れているから。
ダンスチューン「カルチャーショッカー」ではモノマネ王子こと小川貴之(キーボード)がフレーズに合わせて様々なアクションを繰り出す様が巨大モニターに映るのが実に面白い。
片岡がハンドマイクになってステージ上をゆらゆらと歩きながら歌うのは、「Familia」のリードトラック的な存在の「Summer Vacation」だが、同じ「ポップ」という括りの中でもブラックミュージックのグルーヴを纏ったこの曲のポップさはバンドにとって間違いなく新機軸。このPARK STAGEの雰囲気にも実によく似合っている。
「全然死んでないと思いますけど、みなさんを復活させてもよろしいでしょうか!?ドラクエ発売おめでとうー!」
と言って一気にアッパーに振り切ったのはやはり「ふっかつのじゅもん」で、
「こうしてこのステージに立っていること、当たり前だとは全然思ってないです。我々がいるだけではダメで、あなたたちがこうしてここにいるからこうやって音楽を鳴らせているんです。最後にみなさんの力を貸していただいてもよろしいでしょうか!?今日しか歌えない歌をみんなで歌いましょう!伝えたいことがあるんです!」
と言って最後に演奏されたのは、「伝えたい」という想いをそのまま曲にした「「伝言歌」」でバンドメンバーと観客双方からの「伝えたい」という気持ちが重なり合った、逆境に立たされたこの日しか歌えない歌になった。
去り際、片岡は
「来年はGRASSで会いましょう」
と言った。現実的には、GRASSに近いのはすでにCDJでメインステージに立っているKEYTALKやキュウソネコカミ、他のフェスではメインステージに立っているTHE ORAL CIGARETTESや04 Limited Sazabys、BLUE ENCOUNTというあたりだろうが、このバンドはそこに割って入っていこうとしている。現に、この日のライブからは、近い将来本当にGRASS STAGEに立っているであろう確信のようなものを感じた。だからこそ片岡もその言葉を口にしたのだろう。
リハ1.雨天決行
リハ2.グライダースライダー
リハ3.MAGIC
1.Answer
2.Lovers
3.ソーダ
4.カルチャーショッカー
5.Summer Vacation
6.ふっかつのじゅもん
7.「伝言歌」
Summer Vacation
https://youtu.be/kygd-n5VXtU
14:00~ a flood of circle [HILLSIDE STAGE]
4年ぶり、4回目の出演となるa flood of circleだが、このバンドが異質なのは、4回全てでメンバーが違うということ。前回出演時から何人もギターが変わり、アオキテツをサポートギターに加えた編成で登場である。
全員が真っ赤な衣装に身を包み、佐々木亮介が
「おはようございます、a flood of circleです!」
と挨拶すると、「Dancing Zombiez」からスタートするのだが、昼過ぎの炎天下という状況、メンバーの赤い衣装、ボーカルの革ジャンという要素が重なり、まさに灼熱のロックンロールが繰り広げられる。アウトロではテツが渾身のギターソロを披露し、ツアーを完走したバンドの状態が過去最高であるということがよくわかる。
「何しに来たの!?ロックンロールでしょ!」
と亮介が叫ぶと、このステージに集まったロックンローラーからは大きな歓声が上がり、亮介がハンドマイクでステージ上を歩き回りながら歌う「Black Eye Blues」へ。普段のライブでは客席に突入していくのが当たり前な曲だが、このフェスでそれをやると出禁になってしまうため、ステージから降りるようなことはしない。ここらあたりはさすがにもう大人である。
「ROCK IN JAPAN、いつまで名前に拘ってんだ、って思われるかもしれないけど、俺はロックンロールとロックンロールバンドが大好きだから、俺たちの音が向こう(GRASS)に届くまで俺たちは来続けるから!革命はいつだって端っこから始まるんだよ!」
と亮介は語ったが、決して常連バンドではないこのバンドが、「J-POPフェス」と揶揄されることもあるこのフェスの「ROCK」の部分を背負おうとしているし、亮介はデカいステージに立つことを全く諦めていない。初出演から8年、正直個人的にも「いつまでこうして1番小さいステージに出てるんだ」と思ってしまう。でも少しずつではあるが、確実にこのフェスでも爪痕を残しつつある。現に最前ブロックではワンマンでもなかなか見れないくらいの盛り上がりぶりを見せていた。
最新アルバムのリード曲である「New Tribe」をこのステージのキャパをはるかに超えるスケールで響かせると、テツがその場を走ったり足を高く上げながらギターを弾くという、ただ単に曲を弾くのではなく、この男がこのバンドにいるからこそというサポートの枠を大きく超えた存在感を見せてくれる。
そして最後に演奏されたのはやはり「シーガル」で、これまでにこのフェスで刻んできた自分たちのベストを自らの力で更新してみせた。
ここまでこのフェスのROCKな部分を背負おうとしてくれるバンドなんてなかなかいないし、こういうバンドこそこのフェスに立つべきバンドである。だからこそ、今は出演するかしないかの当落線上にいるバンドだが、ロッキンオンの皆様にはこのバンドを毎年呼んで欲しい。それは自分がこのバンドをずっと応援してきているからというのもあるけど、本当にもっと大きなステージで、たくさんの人の前で鳴るべき音楽を鳴らしているから。いつか、このバンドがGRASSに立つ日が来たら…間違いなく泣いてしまうだろうな…。
リハ.Blood Red Shoes
1.Dancing Zombiez
2.Flayer's Waltz
3.Black Eye Blues
4.New Tribe
5.ベストライド
6.シーガル
New Tribe
https://youtu.be/0Ml5Pi-kDC0
14:30~ エレファントカシマシ [GRASS STAGE]
今年デビュー30周年を迎え、ツアーを敢行中のエレカシ。宮本の難聴による活動休止の1年以外は初回から毎回出演している、このフェスの守護神的な存在である。
おなじみのヒラマミキオ(ギター)に加え、この日はキーボードにメンバーと同い年のソウル・フラワー・ユニオンの奥野真哉を迎えての強力な編成で、1曲目は「歴史」という実に重い出だし。
しかし1曲終わるごとに、自らを「生きる伝説」と称する宮本が本当によく喋る。バブル経済真っ只中の頃の話や、バンドがレコード会社をクビになった時の話など、時間は大丈夫か?と心配になるくらい。ツアーでもこのMCによってかなりライブの時間が伸びているらしいが。ちなみに最初にソニーにいた、黎明期の給料は1人9万円だったらしい。
そんな話を繰り広げながらもバンドの持つ名曲を次々に演奏していくのだが、宮本がハンドマイクを持ってステージ前の花道の端っこまで言って「デーデ」を演奏するも、あまりにステージから離れてしまったがためにマイクから音が出なくなり、演奏を続けるバンドの元に宮本が戻り、
「マイク出てないのに演奏続けるんじゃねぇ!」
と一喝。気を取り直してもう1回ステージ端まで行って演奏を始めるのだがまたしてもマイクから音が出ず、再び演奏を止め、
「マイク出てないんだから止めろって!応用が効かないな、君たちは!」
と再度一喝。しかしそれでもまたもう一回ステージ端まで行ってまた音が出ず…と3回目も失敗したため、「デーデ」を中止しようとするも結局最後は宮本がギターを持ってステージ中央で歌う。この50歳を超えたおじさんたちのコントみたいなやり取り、見ていて爆笑が止まらなかったのだが、周りの人はあんまり笑っていなかったのはなんでだろうか。
当然時間がかなり差し迫る中、最新シングル「風と共に」、名曲「風に吹かれて」を続けるも、宮本は「風に吹かれて」の高音部がかなりキツそうになっていた。
やはり「デーデ」の疲れが出て来たのか、とも思ったが、それよりもはるかに歌うのが厳しいはずの「RAINBOW」をステージを走り回りながら歌うというとんでもないバイタリティを見せる。さらに「ガストロンジャー」と歌うのがキツいであろう曲が続くのに宮本はさらに調子を増して行っている感すらある。まさに生きる伝説。山本昌もビックリの超人っぷりである。あまりにも走り回りながら歌うので、「あんまり端っこまで行くとまたマイク出なくなるぞ!」とヒヤヒヤしながら見ていたが。
しかしながらやはり時間をかなり押してしまっていたからか、「俺たちの明日」で観客を鼓舞すると、メンバーは楽器を置いてステージを降りようとするが宮本が
「大丈夫だって!」
と、明らかに時間を過ぎてしまっていることをわかっているかのように言ってメンバーに楽器を持たせ、「ファイティングマン」の締めだけをやって終了した。本来なら、この曲もフルで演奏していたであろうだけにもったいないところであるが、トラブルが連発してもバンドの力をフルに発揮したと思えるあたりはさすがとしか言いようがない。生きる伝説というか、もはや国宝認定してもいいようなバンド。
1.歴史
2.悲しみの果て
3.今宵の月のように
4.デーデ
5.風と共に
6.風に吹かれて
7.RAINBOW
8.ガストロンジャー
9.俺たちの明日
ファイティングマン(締めだけ)
風と共に
https://youtu.be/lr5NpqKZoMc
15:50~ [Alexandros] [GRASS STAGE]
2年前にはこのステージでトリを務めているだけに、すっかり貫禄がついてきた[Alexandros]。今年はまだ日が高い時間帯での登場である。
おなじみ「Burger Queen」のSEでメンバーが登場すると、いきなりの「ワタリドリ」で川上がハンドマイクでステージを歩き回りながら歌うと、
「それでも歌い続けた」
のフレーズから川上がカメラに寄って歌う様子が巨大ビジョンに映り、「歌い続けた」のフレーズで川上はマイクをポンポンと指差し、
「傷ついたあなたを 笑わせたいから」
のフレーズでカメラを「あなた」こと客席に導くと、熱狂する客席の様子が映るという、もはやカメラマンと事前に打ち合わせしているのかと思ってしまうくらいの見事なビジョンの使い方。
ヒップホップ色の強い「Kaiju」からは最近のライブ定番曲が続くが、やはりバンドの演奏はもちろん、川上のボーカルが本当に素晴らしい。完全にこのキャパで歌うための声。このバンドがここまで来れた最大の武器はやはりこの男の声である。
テンポをグッと落としたバラードのようなアレンジがイントロに追加されたのは「You're So Sweet & I Love You」。まるでOasisの「Don't Look Back In Anger」のようなアンセムとして大合唱がこの広いGRASS STAGEに響き渡る。
「ここは日本で1番大きいフェスです!ここは全員がバラバラの音楽を聴いてる満員電車とは違う。みんなが同じ音楽を聴いている。だから多少の衝突があるかもしれないけど、今日は許してあげてください!」
と川上が最近にしては珍しくライブ中にMCで観客に対して語りかけると(最近はワンマンでもMCはほとんどしない)、「Starrrrrr」「city」というバンドをこの位置まで連れてきたキラーチューンを連発し、川上は再度ハンドマイクになり「Adventure」へ。川上は
「亜麻色のひたちなか」
とこの日限りの歌詞に変えて歌いながら、またもや
「いつだって僕たちは君を連れて行くんだ」
のフレーズでカメラ目線で歌い、「君を連れて行くんだ」の部分で客席を写すようにカメラを促す。この冒頭と同じ完璧なカメラとビジョンの使い方。本人たちもこの大きなステージでライブができるのを本当に楽しそうにしていたし、フェスにおいてもライブハウスにこだわりを見せるバンドが多い中で、このバンドはステージが大きければ大きいほどさらに力を発揮するという稀有なバンドである。
そして
「今日はみなさんにお土産があります!初披露の新曲です!」
と言って最後に演奏されたのは、VIP PARTYで披露された「謎曲」とも違う、本当に初披露の新曲。背後にうっすらとEDMのビートが流れてはいるが、実に[Alexandros]らしいメロディのキャッチーな曲。しかしながらこれまでの曲で似ている曲が全く頭に浮かんで来ない。[Alexandros]らしくはあれど、バンドが新たな領域に踏み込んだことを予感させる曲。「Feel Like」「Aoyama」といった曲でもそう感じさせられたが、それとは曲のタイプが全く違う。いったいこのバンドにはどこまで引き出しがあるのだろうか。おそらくシングル曲になると思われるだけに、年内にはまた新たなCDが出るのだろうか?
1.ワタリドリ
2.Kaiju
3.Girl A
4.Kick&Spin
5.You're So Sweet & I Love You
6.Starrrrrr
7.city
8.Adventure
9.新曲
ワタリドリ
https://youtu.be/O_DLtVuiqhI
16:55~ きのこ帝国 [SOUND OF FOREST]
佐藤がTシャツ姿という夏フェスらしい出で立ちでSOUND OF FORESTに登場した、きのこ帝国。
あーちゃんの轟音ギターが会場を埋め尽くす「WHIRLPOOL」でスタートすると、ポップに開けながらもサウンドは轟音というこのバンドの世界観が気持ち良く森の中を涼しくしていく。
あーちゃんがピアノを弾く「猫とアレルギー」では佐藤がアウトロで轟音ギターを鳴らし、一転して「LAST DANCE」ではブラックミュージックのリズムを取り入れた心地良いグルーヴを生み出し、様々な角度からこのバンドのポップさを浮かび上がらせていく。
「私たちは普段めちゃくちゃインドア派なんですけど、みんなはこういうところに来ているっていうことはアウトドア派なんですか?…あ、1割くらいですね。じゃあインドア派の人は?…ほぼみんなインドア派ですね(笑)
っていうことはみんな音楽を聴くためにこうしてわざわざ外に出てきたっていうことですね。素晴らしい」
と、ステージ上も客席もインドア派ばかりであることが判明し、大名曲「東京」から、最後はメンバー全員が手拍子を促す「ありふれた言葉」。図らずもインドア派の集まりとなったが、メンバーも観客もマインドは完全に開かれたものになっていた。
そしてすでに野音ワンマンでも実証されてきたが、このバンドは意外なほどに夏の野外が似合う。
1.WHIRLPOOL
2.35°C
3.猫とアレルギー
4.LAST DANCE
5.東京
6.ありふれた言葉
東京
https://youtu.be/yBRqRAh9vJM
17:30~ キュウソネコカミ [PARK STAGE]
この日のPARK STAGEのトリはキュウソネコカミ。去年までのLAKE STAGEからこのステージへ移動したが、CDJではEARTH STAGEに出ているだけに、やはりもうこのキャパでも収まりきらないくらいの超満員っぷり。
桑田佳祐「波乗りジョニー」のSEで登場すると、金髪になったヨコタが目を惹く中、「KMDT25」からスタートするが、いつものように盆踊りサークルはできず、やはり客席に突入できないロッキンオンのフェスであるが故に正攻法での戦い方になる。
しかし曲自体が飛び道具と言ってもいい新曲「NO MORE 劣化実写化」では漫画が実写映画化した時の様々なアレンジを全て「大人の事情」で片付け、「海賊版はダメダメ」のフレーズ部分でメンバーがコミカルなダンスを踊る後ろで、マネージャーのはいからさんが「8月23日発売」と書かれたボードを持って徘徊し、シングルの宣伝を行う。
ひたすらに「イェー」を繰り返すショートチューン「家」を挟んでの「KMTR645」では間奏部分でオカザワがギターソロを披露するかと思いきや、この時間にGRASS STAGEに出演している、ゆずの「夏色」のギターリフを弾き始め、普通にワンコーラスバンドで演奏し、サビは観客に大合唱させるというサービス精神を見せる。きっと本人たちもゆずを見たかったと思うが。
「公式ではPARKの方が広いって言ってるけど、どう見てもLAKEの方が広いやろ」
と誰もが思いながらも口に出してはいなかったことを言ってしまう。
その後の終盤ではどんどん演奏もセイヤの歌唱もエモーショナルになっていくと、
「一つだけ正直に言う!今年PARK STAGEだったの、めちゃくちゃ悔しいー!来年は絶対GRASSに出てやるからな!」
と、普段の面白いキャラとは全く違う、ロックバンドとしての熱さを放出させ、キュウソの中で最もエモい曲と言われている「わかってんだよ」で終わり…かと思いきや、
「まだ帰るんじゃねー!」
とセイヤが叫び、ヨコタもキーボードをぶっ倒しながら歌う「キュウソネコカミ」。
「ロキノン系にはなれそうもない」
とこの曲で歌ったバンドは、今やロッキンオンのフェスに欠かせない存在になった。それはただ面白いだけのバンドではなく、真っ直ぐに自分たちのロックを鳴らすバンドとして。だからこそセイヤはこの日、
「ロックンロール!!」
と叫んだ。ロッキンオンのフェスでは飛び道具的なパフォーマンスは見れないが、このバンドの1番根っこにあるロックバンドの部分を見ることができる。だから毎回目が離せないバンドなのである。
1.KMDT25
2.MEGA SHAKE IT!!
3.ファントムバイブレーション
4.NO MORE 劣化実写化
5.家
6.KMTR645
ゆず「夏色」カバー
7.ハッピーポンコツ
8.ビビった
9.わかってんだよ
10.キュウソネコカミ
NO MORE 劣化実写化
https://youtu.be/SJwOnThUt9I
18:35~ THE BAWDIES [LAKE STAGE]
予定時間は18:35~であったが、その前のドレスコーズのライブが押していたため、実際に白いスーツを着たメンバーがウィルソン・ピケット「ダンス天国」のSEで登場したのは18:45分くらい。このステージのトリは2011年以来の2回目である。MARCYは髪が金髪というか、銀と言っていいような色に変わっているが、それ以上に目を惹くのはやはりツアー中に足を負傷したJIMが松葉杖をついて登場し、椅子に座ってギターを弾き始めたこと。
それでもすぐに座っていられなくなったのか、動くことはできないが、負傷した左足を椅子に乗せて立ち上がって演奏。
「桑田佳祐さん見ないでここに来たっていうことは、騒ぎまくりたいっていうことでしょ!?任せてくださいよ!心の浴衣なんか脱いでしまえ!それで恥ずかしいっていう人は心のうちわで隠してください(笑)」
とROYが暑苦しく叫ぶと「YOU GOTTA DANCE」で飛び跳ねさせまくり、今年のツアーでも披露していたメドレーに代表曲を詰め込む。Aメロ~Bメロ~サビ~アウトロと言ってもいいような構成にしているのは見事である。
「EMOTION POTION」ではブレイク部分でROYがシャウトすると、いきなり
「シャウトのお手本を見せてもらいましょう、MARCYさんに」
と言ってMARCYにシャウトを振るも、案の定大きな声が出せるわけもなく、
「THE BAWDIES、小鳥を一羽飼っております(笑)」
と言われてしまうというオチに。なのでやはりROYと観客がシャウトして、さらにテンポと熱量が一気に上がる。
この日のTAXMANボーカル曲は「B.P.B」だったが、この日TAXMANは非常にテンションが高く、間奏部分でもROYがビックリして笑うくらい、
「ひたちなかー!騒ぎてぇんだろー!騒ぎてぇんだろー!騒ぎてぇんだろー!」
と繰り返した。これは出番前に、この時間にGRASSのトリを務めた桑田佳祐と互いの検討をたたえてガッチリと握手したという、レジェンドにこのステージを任されたからという思いもあったのだろう。
「夏ということで、ラムネのような曲を」
と言っての「LEMONADE」で夜のLAKE STAGEに爽やかな風を吹かせると、おなじみの「HOT DOG」での小芝居では「波乗りジョニー」が主役という、桑田佳祐にリスペクトを込めたもの。
そして「SING YOUR SONG」で大声を振り切ったシャウトを観客に要求するも、思ったようなシャウトにならず、
「そんな声しか出せないんじゃ家まで帰れないでしょ!?」
と煽ってさらなる巨大シャウトを生み出すと、
「最後、乗り遅れないでくださいね!」
と言って「IT'S TOO LATE」で終了…かと思いきや、ROYがギターを置くJIMとTAXMANを制し、
「もう1曲だけやってもいいですか!?怒られますか!?やりましょう!」
と言うと、ステージに下がらないアンコールという形で「KEEP ON ROCKIN'」を追加。JIMはもう「立って弾きたい!」という思いに駆られたのか、椅子から足を離し、負傷しているにもかかわらず立ち上がってギターを弾こうとする。すぐに倒れてしまうくらい、やはりまだ万全な状態ではなかったのだが、その姿からはこのステージに賭ける思いが伝わってきた。
そして間奏でのハンドクラップ。バンドが演奏せずに観客だけに委ねて会場に鳴り響くハンドクラップの音。ここにいた観客全員がこの音を奏でている。本当に美しい、この時間にこのステージを選んで良かったと思える瞬間だった。
最後、ROYは何度も
「この時間にここを選んでくれて本当にありがとう!」
と叫んだ。テレビの中じゃない、ひたすらにライブを行って勝ってきたバンド。ロックンロールバンドの代表として、それを思い出させてくれた、文句なしのこの日のベストアクトだった。
2009年に今はなきSeaside Stageに初出演して以来、翌年にはPARK STAGEのトリ、その次にはこのLAKE STAGEのトリ、そして翌年にはGRASS STAGEに進出と、THE BAWDIESは一段飛ばしで階段を駆け上がりながら常に満員のステージに立ってきた。しかしこの日は満員とはならなかった。桑田佳祐の裏の厳しさを実感せざるを得ないとともに、もうかつてとはバンドが置かれている状況が違うことも実感させられた。
でも、それでもこのバンドにかかったロックンロールの魔法は今も全く消えていなかった。これが日本代表のロックンロールバンドだ。本当にこのバンドがこのステージのトリで良かった。
1.45s
2.NO WAY
3.YOU GOTTA DANCE
4.メドレー
JUST BE COOL ~ KEEP YOU HAPPY ~ ROCK ME BABY ~ JUST BE COOL
5.EMOTION POTION
6.B.P.B
7.LEMONADE
8.HOT DOG
9.SING YOUR SONG
10.IT'S TOO LATE
encore
11.KEEP ON ROCKIN'
HOT DOG
https://youtu.be/gOqNlnPuWEU
LAKE STAGEの時間が押していたのもあってか、すぐさま花火が打ち上がったが、音だけが聞こえてくるだけで全く見えず。疲れを和らげるためにGRASSエリアの茶屋ビレッジに行っていちごけずりを食べようと思ったが、着いたらもう店が閉まっていた。なのでそれはまた2週目に。もう今年も半分が終わってしまった。
Next→ 8/11,12 ROCK IN JAPAN FES.2017 @国営ひたち海浜公園
